JP3726191B2 - 位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地殻変動の検出や船舶、航空機、車両等の姿勢制御、人の身体各部位の動作・姿勢の検出等に用いることができる位置・姿勢の変化に対応する電気信号発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば船舶の姿勢制御に用いられる、船舶の姿勢(傾斜)を検出する手段として、容器にその容積の所定比率の液状誘電体を装入するとともに所定の平面をもつ少なくとも一対の電極をこの液状誘電体に浸漬しておき、容器の傾斜の大きさに対応して電極間で液状誘電体に浸漬している面積に差異を生じ、この差異に対応する発現静電容量と抵抗を電気的に接続して電圧信号として取出す電気信号発生装置が、たとえば特開平11−118412号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によるときは、特定の実験環境或は定置式の姿勢計測に限られることが多かった。本発明は、あらゆる場面、場所での対象の変位・姿勢の計測が可能な、位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、非導電性中空球状容器と、該非導電性中空球状容器の各半球を少なくとも4等分した区画にそれぞれ電極面が形成されて球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面が形成され、一方、前記非導電性中空球状容器とその中心点を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした内部球体が前記非導電性中空球状容器内に支持・固設されさらに、前記非導電性中空球状容器内周面と内部球体外周電極面とによって形成される空間内に該空間容積未満の液状誘電体が封入されまた、前記非導電性中空球状容器内周面に形成された少なくとも8箇の電極面および内部球体外周電極面各々に配線を接続してなる姿勢変化に対応する電気信号発生装置である。この発明によれば、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸何れかまたは、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸における傾斜角(姿勢)を一度に電気信号として取出すことができる。また、電気信号発生装置が天地反転しても測定が可能である。
【0005】
請求項2に記載の発明は、四面以上の面をもつ多角状の非導電性中空容器と、該非導電性中空多角状容器の内側各面に各等しい形状、面積をもつ導電性領域を形成して電極面とするとともに、前記非導電性中空多角状容器とその重心を共有するとともにその内側各面に間隔を置いて相対向する、各外面全域を電極面とした、前記非導電性中空多角状容器と相似形の内部多角状体を、前記非導電性中空多角状容器の各内側コーナと内部多角状体外側コーナ間で支持・固設しさらに、前記非導電性中空多角状容器内側面と内部多角状体外側面間とによって形成される空間内に、該空間容積未満の液状誘電体を封入しまた、前記非導電性中空多角状容器各内側電極面および内部多角状体外側面(電極面)各々に配線を接続してなる姿勢変化に対応する電気信号発生装置である。この発明によるときも、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸何れかまたは、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸における傾斜角(姿勢)を一度に電気信号として取出すことができる。また、電気信号発生装置が天地反転しても測定が可能である。
【0006】
請求項3に記載の発明は、非導電性中空球状容器と、該非導電性中空球状容器の各半球を少なくとも4等分した区画にそれぞれ電極面が形成されて球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面が形成され、一方、前記非導電性中空球状容器とその中心点を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした内部中空球体を前記非導電性中空球状容器内周面における電極面間かつ非導電性中空球状容器の大円および子午線において弾機的に支持するとともに、前記内部中空球体の各半球を少なくとも4等分した区画にそれぞれ電極面が形成されて球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面が形成されさらに、前記内部中空球体とその中心点を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした最内部球体が前記内部中空球体内に支持・固設されさらに、前記非導電性中空球状容器内周面と内部中空球体外周電極面間ならびに内部中空球体内周面と最内部球体外周面によって形成される各空間内に各空間容積未満の液状誘電体が封入されまた、前記非導電性中空球状容器内周面に形成された少なくとも8箇の電極面、内部中空球体外周面電極、内部中空球体内周面に形成された少なくとも8箇の電極面、および最内部球体外周面電極各々に配線を接続し、前記非導電性中空球状容器へ加えられるX軸、Y軸、およびZ軸方向何れか又はこれらが複合された方向への加速度によって生起する前記非導電性中空球状容器内周面と内部中空球体外周面間の近接・離隔によって変化する静電容量ならびに、内部中空球体内周面に配設された電極面と最内部球体外周面電極間における静電容量の、前記非導電性中空球状容器の姿勢(傾き)変化に対応する変化を検出することによって、X軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向の加速度およびX軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向における姿勢(傾き)変化を併せ測定するよう構成してなる位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置である。この発明によれば、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸何れかまたは、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸における傾斜角(姿勢)を一度に電気信号として取出すことができるとともに、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸方向における加速度、速度、および変位量を、電気信号として一度に取出せる。また、電気信号発生装置が天地反転しても測定が可能である。
【0007】
請求項4に記載の発明は、 四面以上の面をもつ非導電性中空多角状容器と、該非導電性中空多角状容器内側各面に各等しい形状、面積をもつ導電性領域を形成して電極面とするとともに、前記非導電性中空多角状容器とその重心を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした、前記非導電性中空多角状容器と相似形の内部中空多角状体を前記非導電性中空多角状容器の各内側コーナと前記内部中空多角体各外側コーナ間とで弾機的に支持し、一方、前記内部中空多角状体内側各面に各等しい形状、面積をもつ導電性領域を形成して各独立した電極面とするとともに前記内部中空多角状体とその重心を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした最内部多角体を前記内部中空多角体内に支持・固設しさらに、前記非導電性中空多角状容器内側面と内部中空多角状体外周電極面間ならびに内部中空多角状体内側面と最内部多角体外側面によって形成される各空間内に各空間容積未満の液状誘電体を封入しまた、前記非導電性中空多角状容器各内側面に形成された面電極、内部中空多角状体外側面電極、内部中空多角状体各内周面に形成された面電極、および最内部多角体外側面電極各々に配線を接続し、前記非導電性中空多角状容器へ加えられるX軸、Y軸、およびZ軸方向何れか又はこれらが複合された方向への加速度によって生起する前記非導電性中空多角状容器内側面と内部中空多角状体外側面間の近接・離隔によって変化する静電容量ならびに、内部中空多角状体内側面に配設された電極面と最内部多角体外側面電極間における静電容量の、前記非導電性中空多角状容器の姿勢(傾き)変化に対応する変化を検出することによって、X軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向の加速度およびX軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向における姿勢(傾き)変化を併せ測定するよう構成してなる位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置である。この発明によるときも、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸何れかまたは、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸における傾斜角(姿勢)を一度に電気信号として取出すことができるとともに、測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸方向における加速度、速度、および変位量を、電気信号として一度に取出せる。また、電気信号発生装置が天地反転しても測定が可能である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、非導電性中空容器内側電極面と内部球体外側電極面或は多角状体外側電極間または内部中空球体或は内部中空多角状体内側電極面と最内部球体或は多角状体外側電極面間における空間の容積未満の液状誘電体が封入された電極間に電圧が印加される少なくとも一対の電極間での前記液状誘電体との接触面の差異に起因する発現静電容量の差異に対応する電圧を出力する電気信号発生手段が、高周波電圧を印加され、高周波電圧発振器が発生する搬送波に非導電性中空容器の傾斜角に対応する周波数変調を生起せしめ、この信号をFM復調するものである請求項1乃至請求項4何れかに記載の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に則して説明する。
【0010】
【実施例1】
図1に本発明の一実施例に係る位置の変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の概要を示す。図1において、1は容器であって、この実施例においては円筒状を呈しており、たとえばプラスチックで形成されている。1−2は蓋であり、容器1を覆う。2は電極であって、導電性物質で形成され、容器1の内周面に貼着されて弧面を形成する。3は円盤(ディスク)あり、その平面中心において軸4に固定されている。円盤3の外周面には、図1および図4に示すように、非導電性領域5および導電性領域6が形成されている。この実施例においては、円筒状容器1内周面に貼着されている弧状電極2と、円盤3の外周面に形成されている導電性領域6とが間隔を置いて相対向する如く配置されるとともにそれぞれ交流電圧または直流電圧が印加されてコンデンサを形成する。この実施例においては、円盤3の外周面を周方向において4等分し、交互に非導電性領域5および導電性領域6を形成している。
【0011】
円盤3は軸4に固定されており、軸4は図4に示すように、ダンパ7、この実施例においてはばね7を介してその下端部が容器1の底面に固設されている。而して円盤3は、その周方向の変位に際してダンパ7によって慣性を付与される。軸4の上端は蓋1−2に回転自在に支承されている。
【0012】
この実施例に係る、位置の変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の動作を説明する。容器1が公転或は自転すると、容器1は軸4に軸心回りに回動する。一方、円盤3はそれ自体慣性モーメントを有し、ダンパ7によって慣性を付与されているから、容器1の周方向における運動の加速度に対応して、電極2と相対向する円盤3における導電性領域6或は非導電性領域5との間に周方向においてずれを生じる。このずれによって、電極2と相対向する円盤3における導電性領域6とで形成されていたコンデンサの静電容量に変化を生起させる。この静電容量の変化を電圧の変化として検出すれば、容器1の周方向における加速度を計測することができる。加速度を時間について2階積分すると、変位量が求まる。
【0013】
このようにして、容器1の軸心(Z軸)回りの変位量、加速度を電気信号として取出すことができ、計測対象がどの向きにどれだけ変位したかを知ることができる。
【0014】
【実施例2】
次に、上記計測対象のZ軸回りの変位量に加えて計測対象の姿勢(傾き)を併せて計測する実施形態における、姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)について説明する。図2および図3において、11は容器であって、測定対象の姿勢(傾き)の変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の概要を示す。図2および図3において、11は容器であって、液状誘電体13たとえばエチレングリコールを溶媒とし水酸化テトラメチルアンモニウムを溶質とする溶液が封入されている。Aは液状誘電体13が注入されていない部分を示す。
【0015】
12は電極であり、この実施例においては、図2および図3に示すように、一対相対向して液状誘電体13にそのある割合が浸漬する如く配置されている。14は配線、15は静電容量計測装置である。
【0016】
而して、容器11が傾斜すると、電極12対間で液状誘電体13との接触面積が相異してくる。この接触面積の変化に対応して発現静電容量が変化する。静電容量Cは、
【0017】
【数1】
C=ξ0・ξ・S/t=8.855×10−12×ξ・S/t (1)
C:静電容量
S:電極面積
t:電極間距離
ξ0:真空の誘電率(8.855×10−12)
ξ:誘電体の比誘電率
【0018】
で与えられる。この静電容量の変化を、静電容量計測装置15において電圧の変化として検出する。
【0019】
発明者の知見によれば、液状誘電体に求められる特性は、
1)陽極、陰極等の構成材料に対して、化学的に安定であること。
2)電極面をよく濡らす性質を有すること。
3)電極或は容器を保護し、弱点部分を修復する化成能力を有すること。
4)高温においても蒸気圧が低いこと。
5)長期間安定した性質を有し、毒性などに配慮した物質であること。
などである。このような性質を有する液状誘電体として、溶媒としてエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、N−メチルホルムアミド等、溶質としてアジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、塩基性のものとしてアンモニア、アンモニア水、トリエチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の溶液を用いることができる。
【0020】
液状誘電体として、たとえば水と油のように、混じり合うことのない2種類の液状物を容器に封入して用いることもできる。その場合、液状誘電体表面の脈動が抑えられて好ましい。
【0021】
この姿勢(傾き)変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)を、少なくともX軸方向およびY軸方向において配置するとともに、図4に示すように、実施例1における容器1のZ軸回りの変位に対応する電気信号発生デバイスを集積搭載すれば、計測対象がどの向きにどれだけ傾斜したかを測定することができる。即ち、姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の座標軸の向きをリアルタイムで併せ測定することが可能になる。
【0022】
図4に示す上記位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の回路を、図5に示す。図5において、C1、C3はデバイスのX軸方向における傾斜を検出すべく機能するコンデンサであり、C2、C4はY軸方向における傾斜を検出すべく機能するコンデンサである。C5、C6は図1に示す容器1のZ軸回りの変位に対応する電気信号発生デバイスにおけるコンデンサである。それぞれ信号処理回路から、電気信号発生装置(デバイス)がZ軸回り何れの方向に向いているのかまた、その向きを基準としてX軸方向或はY軸方向にどれだけ傾いているのかを併せて出力(OUT)する。
【0023】
本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置は、測定対象の位置・姿勢の変化に対応して電極対間の静電容量が変化することを利用してこれを電圧といった電気信号として取出すものであるから、電極に高周波電圧または直流電圧を印加することで、前者の場合には主に発振器の共振回路における静電容量の変化を、後者の場合には2枚の電極間で誘電体との接触面積が変化するため、電極に電圧を印加しておけば電圧の変化と等価と見做すことができる。従って、たとえば高周波電圧を印加した場合、人の手の関節運動によって発振器の発する搬送波に周波数変調が加えられることになる。この信号をFM(Frequency Modulation)復調すれば手の関節運動を表す信号を得ることができる。また、直流電圧を用いた場合、差動増幅器によって手の関節運動を表す信号を得ることができる。FM復調を用いて信号を得る場合、電気的雑音に非常に強い電気信号発生装置(デバイス)とすることができる。
【0024】
実施例3
次に、測定対象が線形変位しているときに電気信号を発生する電気信号発生装置(デバイス)について説明する。図6にこの電気信号発生装置(デバイス)の構成を示す。図6において、21は容器であって、この実施例においては、液状誘電体が封入されている。容器21内部の天井部および底面に電極22が間隔gを置いて配設されている。24は可動子であり、図6でみて上下面に電極22が貼着されている。可動子24はシャフト25に遊嵌・支承され、図6でみて左右方向に変位自在である。可動子24の一端はダンパ(ばね)23に係合され、ダンパ23の他端は容器21の一端に固定されている。而して、容器21内部の天井部および底面の電極22と可動子24上下面の電極22間には間隔が保たれる。
【0025】
容器21に、シャフト25の軸方向の力Fによって加速が生じると、ダンパ23による慣性により容器21における電極22と可動子24における電極22の相対向する面積に変化を生じる。而して、容器21に加わる加速が止まると、可動子24はダンパ(ばね)23の作用によって元の位置に戻る。前記相対向する電極22間の面積の変化が静電容量の変化として検出され、容器21の加速度が測定される。
【0026】
図6に示す、線形変位に対応する電気信号発生装置(デバイス)の電気回路を図7に示す。容器21が加速を受けC1の静電容量が減少したとすると、C2の静電容量は増加する。これによって、可動子24に対して容器21が加速しているのか減速しているのかを知ることができる。
【0027】
実施例4
本発明の、位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)を構成要素とするコントロールユニットの一実施例を図8に示す。本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)は、従来、持ち運ぶことが困難であった姿勢計測装置を、たとえば人の身体に取り付け、身体各部位の動作・姿勢を測定し記録することができるようにしたものである。その際、センター(管制)側とインターネットを経由して通信を行う小型のコンピュータが必要となる。図8に示すWebサーバの構成は、制御用コンピュータの一例である。
【0028】
図8に示す制御用コンピュータはワンチップで構成されている点によって特徴づけられ、センター側と無線、有線で通信を行い、通信が不可能な場合は、ROMに予め書かれたプログラム通りに起動し、利用者のメモリ(RAM)に記録しておき、後日、このメモリからデータを抜き取ることで利用者の一日の行動記録を得ることができる。ここで、本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)は、静電容量計測(FM復調)モジュールまたは差動増幅モジュール、A/D(アナログ/デジタル変換)モジュールを経て計算機に接続されている。
【0029】
実施例5
図9に、本発明の他の実施例に係る位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)を示す。図9において、31は非導電性中空球状容器であって、この実施例においては、プラチック製の中空球体である。非導電性中空球状容器31の内周面には、図9に示すように、各半球の大円において少なくとも4等分された区画にそれぞれ電極面35が形成されて中空球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面が配設される。X軸、Y軸、およびZ軸何れかの軸における傾斜のみを検出するときは、非導電性中空球状容器31内周面全体で2箇の電極面の配設でよい。図9に示すように、各電極面には配線32が接続され、電極に電圧を印加できるよう構成されている。このように、非導電性中空球状容器31全体で8箇の電極面35を配設すると、X軸、Y軸、およびZ軸における非導電性中空球状容器31の傾きを一度に検出することができる。
【0030】
33は内部球体であり、その外周面全域に導電性物質が貼着され電極として機能する。この電極にも配線32が接続され、電圧を印加できる。内部球体33は、図9に示すように、非導電性中空球状容器31内周面かつ非導電性中空球状容器31の大円および子午線から半径方向に延在する軸34によって非導電性中空球状容器31内周面に支持され、非導電性中空球状容器31とその中心点を共有する如く配置される。また内部球体33は、内部球体33外周面全域と非導電性中空球状容器31内周面との間に所定の間隔が存在して、非導電性中空球状容器31内周面に配設されている8箇の電極面(導電性領域)35と内部球体33外周面全域に形成されている電極面とでコンデンサを構成できるディメンジョンとされる。また、図9に示すように、軸34をたとえば金属製とし、配線の一部として機能させることもできる。
【0031】
一方、非導電性中空球状容器31内周面と内部球体33外周面間に形成される空間内には、その容積未満の容積、この実施例においては、図9でみて大円(赤道)の位置まで(空間容積の50%)の容積の液状誘電体が封入される。
【0032】
次に、この実施例に係る位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の動作を説明する。非導電性中空球状容器31が図9に示す状態から何れかの方向に傾くと、非導電性中空球状容器31内周面に配設されている8箇の電極面(導電性領域)35相互間で液状誘電体との接触面積に変化を生じる。而して、非導電性中空球状容器31内周面に形成されている8箇の電極面と内部球体33外周面全域に形成されている電極面間で構成されているコンデンサの静電容量もコンデンサ相互間で変化する。これら個々のコンデンサにおける静電容量の変化を検出することによって、非導電性中空球状容器31のX軸、Y軸、およびZ軸の傾斜角度を一度に電気信号として取出すことができる。
【0033】
上記のように、この実施例に係る位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)は、非導電性中空球状容器31のX軸、Y軸、およびZ軸方向における傾きを静電容量の変化から電気信号として取出すものである。即ち、非導電性中空球状容器31内周面に形成されている8箇の電極面と内部球体33外周面全域に形成されている電極面間および液状誘電体で構成されているコンデンサにおける静電容量の変化から非導電性中空球状容器31のX軸、Y軸、およびZ軸方向における傾きを電気信号として取出す。非導電性中空球状容器31内周面と内部球体33外周面間に形成される空間内には、液状誘電体および気体が、この実施例においては、等しい容積で封入されている。而して前記液状誘電体は、駆動誘電体として機能する。コンデンサの静電容量は、数1で示したように、
C=ξ0・ξ・S/t=8.855×10−12×ξ・S/t
C:静電容量
S:電極面積
t:電極間距離
ξ0:真空の誘電率(8.855×10−12)
ξ:誘電体の比誘電率
によって与えられる。従って、電極面積:S、電極間距離:tとによって静電容量を検出することができる。この実施例においては、電極間距離tは一定であるから、電極面積:S即ち、非導電性中空球状容器31の傾斜に起因する、非導電性中空球状容器31内周面に形成されている8箇の電極面と内部球体33外周面間における液状誘電体との接触面積の変化が静電容量Cの変化として検出されることになる。
【0034】
図9に示す、位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)によって電気信号を取出すには、たとえばオペアンプを用いる、図13に示す差動増幅回路による。差動増幅回路は、2つの入力電圧の電位差のみを増幅する回路である。オペアンプも一種の差動増幅回路であるが、そのままでは増幅度が高過ぎるため安定した動作を期待できない。従って、図13に示すように、負帰還をかける。図13に示す回路は、回路におけるn点とp点の電位が等しくなるように働くから、
【0035】
【数2】
V1−R1I1=R2I2 (2)
【0036】
が成立し、入力インピーダンスの高いオペアンプに電流が流れ込まない処から、電流I1 、I2はそれぞれ、
【0037】
【数3】
I1=(V1−VO)/(R1+R2) (3)
【0038】
【数4】
I2=V2/(R1+R2) (4)
【0039】
で与えられる。代入して整理すれば、出力電圧VOは、
【0040】
【数5】
VO=(R1/R2)・(V2−V1) (5)
【0041】
によって求めることができる。これによって、入力端子の電位差のみを増幅できることが分かる。
【0042】
図14に、図9に示す本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の電気回路を示す。非導電性中空球状容器31内周面に形成されている8箇の電極面(導電性領域)35と内部球体33外周面全域に形成されている電極(導電性領域)間ならびに液状誘電体で構成されるコンデンサの箇数はC1、C2、-----、C8の計8箇である。各コンデンサを構成する電極間には配線32を介して電圧が印加される。この実施例においては、非導電性中空球状容器31内周面と内部球体33外周面間に形成される空間内には、この空間の50%の容積の液状誘電体が封入されている。而して、非導電性中空球状容器31が何れかの方向に傾斜すると、前記コンデンサ相互間で静電容量が変化する。たとえば図9に示す非導電性中空球状容器31上半球内周面に配置されているコンデンサをC1、C2、-----、C4とし、下半球内周面に配置されているコンデンサをC5、C6、-----、C8とすると、非導電性中空球状容器31の傾きによって、下半球内周面に配置されているコンデンサの静電容量は減少し、上半球内周面に配置されているコンデンサの静電容量は増加する。X軸、Y軸、およびZ軸のどの方向にどれだけ傾いているかを知るには、傾く前の8箇のコンデンサの静電容量を比較することによって測定することができる。測定は、非導電性中空球状容器31が天地反転する場合でも可能である。この静電容量の変化を測定するには、8箇のコンデンサを配線32を介して静電容量計測器に接続して行うことができる。この静電容量計測器の基本回路として図13に示す回路(差動増幅回路)を用いると、装置を小型化できる。
【0043】
実施例6
本発明の本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)における非導電性中空球状容器のX軸、Y軸、およびZ軸方向における加速度を併せ測定することができる実施例を説明する。図10に、非導電性中空球状容器の加速度(位置)の変化に対応する電気信号を併せ発生する電気信号発生装置(デバイス)の概要を示す。図10において、41は非導電性中空球状容器であって、この実施例においては、非導電性材料たとえばプラスチック製の中空球体である。非導電性中空球状容器41の内周面には、図10に示すように、各半球の大円において少なくとも4等分された区画にそれぞれ電極面45が形成され球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面45が形成される。図10に示すように、各電極45には配線42が接続され、各電極45に電圧を印加できるよう構成されている。
【0044】
43は内部中空球体であって、その外周面全域に導電性薄層が形成されて非導電性中空球状容器41内周面に配設される8箇の電極面45と相俟ってコンデンサC9、C10、-----、C16を構成する。一方、内部中空球体43の内周面には、非導電性中空球状容器41内周面に配設される8箇の電極面45をスケールダウンした状態で電極が配設される。また、内部中空球体43内には、非導電性中空球状容器41および内部中空球体43とその中心点を共有するとともに外周面全域に導電性薄層が形成された最内部球体(図示せず)が、図9に示す非導電性中空球状容器31および内部球体33の関係をスケールダウンした形で、軸によって内部中空球体43内に保持される。而して、内部中空球体43内周面と最内部球体外周面間には、8箇のコンデンサC1、C2、-----、C8が構成される。内部中空球体43内周面と最内部球体外周面間に形成される空間内にこの空間容積の50%に相当する容積の液状誘電体が封入される。
【0045】
一方、内部中空球体43は、非導電性中空球状容器41内周面における電極面45間かつ非導電性中空球状容器41の大円および子午線それぞれにおける周方向に4等分された箇所で、非導電性中空球状容器41内周面からダンパ46を有する軸44によって弾機的に支持されている。この場合もダンパ46を有する軸44をたとえば金属製とし、配線42の一部として機能させることができる。
【0046】
次に、この実施例に係る本発明の本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の動作を説明する。非導電性中空球状容器41がX軸、Y軸、およびZ軸方向の何れかまたは複合した方向へ加速されると、内部中空球体43はそれ自体の慣性モーメントを有しダンパ46によって慣性を付与されているから、非導電性中空球状容器41のX軸、Y軸、およびZ軸の各軸方向における加速度に対応して、非導電性中空球状容器41内周面に配設される8箇の電極面45各電極と相対向する、内部中空球体43外周面全域に形成されている導電性薄層(電極)ならびに液状誘電体とで構成されているコンデンサにおける静電容量に電極間距離変化に起因する変化を生起させる。この静電容量の変化を電圧の変化として検出すれば、非導電性中空球状容器41のX軸、Y軸、およびZ軸の各軸方向における加速度を測定することができる。加速度を時間について2階積分すれば、変位量が求まる。
【0047】
図16に、この実施例に係る本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の電気回路を示す。この実施例のデバイスによれば、非導電性中空球状容器41のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜を、8箇のコンデンサC1、C2、-----、C8(内部中空球体43内周面と最内部球体外周面と液状誘電体で構成される)によって電気信号として取出すことができる。一方、内部中空球体43は非導電性中空球状容器41内周面にダンパ46を介して支持されているから、非導電性中空球状容器41が直線的に加速するとダンパ46によって内部中空球体43に慣性が付与され、非導電性中空球状容器41内周面配設されている8箇の電極面45各電極と相対向する内部中空球体43外周面全域に形成されている導電性薄層(電極)間の間隔が変化する。これは、コンデンサとして考えた場合、静電容量が変化することに他ならない。ここで、コンデンサの箇数は、内部中空球体43内部にC1、C2、-----、C8(内部中空球体43内周面と最内部球体外周面と液状誘電体で構成される)の8箇、非導電性中空球状容器41内周面と内部中空球体43外周面間でC9、C10、-----、C16の8箇である。この合計16箇のコンデンサで非導電性中空球状容器41のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度と加速度を一度に測定することができる。各コンデンサを構成する電極間には電圧が印加されており、コンデンサC1、C2、-----、C8における静電容量の変化から、非導電性中空球状容器41がX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合したどの方向へどれだけ傾いているかを知ることができまた、コンデンサC9、C10、-----、C16における電極間隔の変化からどの軸方向にどれだけ変位したのかを測定することができる。
【0048】
このようにして、非導電性中空球状容器41のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度と加速度(速度、変位量)を電気信号として一度に取出すことができる。而して、図9に示す電気信号発生装置(デバイス)では測定対象の3次元的な傾き(姿勢)を知ることができ、図10に示す電気信号発生装置(デバイス)によれば、測定対象の3次元的な傾き(姿勢)と併せ非導電性中空球状容器41のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への加速度(速度、変位量)を電気信号として一度に取出すことができる。
【0049】
実施例7
次に、四面以上の面をもつ非導電性中空多角状容器および内部多角体とで構成される本発明の姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の実施例を説明する。
【0050】
図11に、この実施例に係る姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)を示す。図11において、51は非導電性中空多角状容器であって、この実施例においては正六面体であり、たとえばプラスチックで形成されている。52は配線であって、図11に示すように、非導電性中空多角状容器51における6つの内側面に形成される各等しい形状、面積の導電性領域(電極面)55たとえば金属箔に接続され、相対向する電極面との間に電圧を印加すべく機能する。53は内部多角状体、この実施例においては正六面体であり、非導電性中空多角状容器51とその重心を共有する位置に、非導電性中空多角状容器51の各内側コーナと内部多角状体53の各外側コーナをそれぞれ結ぶ8本の軸54によって非導電性中空多角状容器51内側で支持される。
【0051】
内部多角状体53の6つの外側面にも導電性領域(電極面)55が、たとえば金属箔の貼着によって形成され電極として機能する。この電極にも配線52が接続され、非導電性中空多角状容器51の各内側6面に形成されている導電性領域(電極面)55と内部多角状体53の6つの外側面の導電性領域(電極面)55との間に電圧を印加できる。内部多角状体53は、図11に示すように、非導電性中空多角状容器51の各内側6面に形成されている導電性領域(電極面)55間かつ非導電性中空多角状容器51の各内側コーナと内部多角状体53の各外側コーナをそれぞれ結ぶ8本の軸54によって非導電性中空多角状容器51内側で支持され、非導電性中空多角状容器51とその重心を共有する如く配置される。また、内部多角状体53は、内部多角状体53外側面と非導電性中空多角状容器51の各内側6面との間に所定の間隔が存在して非導電性中空多角状容器51の各内側6面に形成されている導電性領域(電極面)55と内部多角状体53外側面に形成されている6箇の電極(導電性領域)55とでコンデンサを構成できるディメンジョンとされる。
【0052】
一方、非導電性中空多角状容器51の各内側面と内部多角状体53外側面間に形成される空間内には、その空間容積未満の容積、この実施例においては、空間容積の50%の容積の液状誘電体が封入される。
【0053】
次に、この実施例に係る姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の動作を説明する。非導電性中空多角状容器51が図11に示す状態から何れかの方向に傾くと、非導電性中空多角状容器51の各内側面に形成されている6箇の電極面相互間で液状誘電体との接触面積に変化を生じる。而して、非導電性中空多角状容器51の各内側面に形成されている6箇の電極面と内部多角状体53外側各面に形成されている電極面間で構成されているコンデンサの静電容量もコンデンサC1、C2、-----、C6相互間で変化する。これら個々のコンデンサにおける静電容量の変化を検出することによって、非導電性中空多角状容器51のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度を一度に電気信号として取出すことができる。この静電容量計測器の基本回路として図13に示す回路(差動増幅回路)を用いると、装置を小型化できる。
【0054】
実施例8
本発明の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の、非導電性中空多角状容器のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向における加速度を併せ測定することができる実施例を説明する。図12に、非導電性中空多角状容器の加速度(位置)の変化に対応する電気信号を併せ発生する電気信号装置(デバイス)の概要を示す。図12において、61は非導電性中空多角状容器であって、この実施例においては中空正六面体であり、たとえばプラスチックで形成されている。非導電性中空多角状容器61の内側面には、図12に示すように、導電性領域65からなる電極面が形成され、非導電性中空多角状容器61内面全体で6箇の電極面が配設される。図12に示すように、各電極面65には配線62が接続され、電極に電圧を印加できるよう構成されている。
【0055】
63は内部中空多角状体であって、各外側面に導電性薄層が形成されて非導電性中空多角状容器61内側面に配設されている電極面と相俟ってコンデンサC7、C8、-----、C12を構成する。一方、内部中空多角状体63の各内側面には、非導電性中空多角状容器61内面における6箇の電極面をスケールダウンした状態で電極が配設される。また、内部中空多角状体63内には、非導電性中空多角状容器61、内部中空多角状体63と重心を共有する最内部多角体(図示せず)が、図12に示す非導電性中空多角状容器61および内部中空多角状体63をスケールダウンした形で、軸によって内部中空多角状体63内に保持される。そして、最内部多角体の各外側面には導電性物質層が形成され電極として機能する。而して、内部中空多角状体63各内側面と最内部多角体の各外側面間には6箇のコンデンサC1、C2、-----、C6が構成される。内部中空多角状体63内側面と最内部多角体の外側面間に形成される空間内に、この空間容積の50%に相当する容積の液状誘電体が封入される。
【0056】
一方、内部中空多角状体63は、非導電性中空多角状容器61各内側面における電極面間かつ内側コーナからダンパ66を有する軸64によって弾機的に支持されている。
【0057】
次に、この実施例に係る姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の動作を説明する。非導電性中空多角状容器61がX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向へ加速されると、内部中空多角状体63はそれ自体の慣性モーメントを有しダンパ66によって慣性を付与されているから、非導電性中空多角状容器61の各軸方向における加速度に対応して各電極面と相対向する、内部中空多角状体63各外側面に形成されている導電性薄層(電極面)ならびに液状誘電体とで構成されているコンデンサにおける静電容量に電極面間隔の変化に起因する変化を生起させる。この静電容量の変化を電圧の変化として検出すれば、非導電性中空多角状容器61の各軸方向における加速度を測定することができる。加速度を時間について2階積分すれば、変位量が求まる。
【0058】
図17に、この実施例に係る姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の電気回路を示す。この実施例のデバイスによれば、非導電性中空多角状容器61のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜をコンデンサC1、C2、-----、C6によって電気信号として取出すことができる。一方、内部中空多角状体63は非導電性中空多角状容器61内側にダンパ66を介して支持されているから、非導電性中空多角状容器61が直線的に加速すると、ダンパ66によって内部中空多角状体63に慣性が付与され、非導電性中空多角状容器61各内側面の電極と内部中空多角状体63の各外側面に形成されている電極間の間隔が変化する。これは、コンデンサとして考えた場合、静電容量が変化することに他ならない。ここで、コンデンサの箇数は、内部中空多角状体63内部にC1、C2、-----、C6の計6箇、非導電性中空多角状容器61内側と内部中空多角状体63外側間でC7、C8、-----、C12の計6箇である。この12箇のコンデンサで非導電性中空多角状容器61のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度と加速度を一度に測定することができる。各コンデンサを構成する電極間には電圧が印加されており、コンデンサC1、C2、-----、C6における静電容量の変化から非導電性中空多角状容器61がどの軸においてどれだけ傾いているかを知ることができまた、コンデンサC7、C8、-----、C12における電極間隔の変化からどの軸方向にどれだけ変位したのかを測定することができる。
【0059】
このようにして、非導電性中空多角状容器61のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度と加速度(速度、変位量)を一度に測定することができる。而して、図11に示す電気信号発生装置(デバイス)によれば、測定対象の3次元的な傾き(姿勢)を知ることができ、図12に示す電気信号発生装置(デバイス)によれば、測定対象の3次元的な傾き(姿勢)と併せ非導電性中空多角状容器61のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への加速度(速度、変位量)を電気信号として一度に取出すことができる。
【0060】
実施例9
図18に、本発明の測定対象の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)からの情報を、Webサーバまたはコンピュータのメモリに記録する構成の一例を示す。図18に示すように、本発明のデバイスを制御するコントロールユニット(以下、Web PCと称する。)をポケットに入るようにデザインすることによって手軽に持ち運びでき、様々な場所・場面における姿勢(傾斜)および加速度(変位)を測定することができる。たとえば、大工や左官作業において、より正確な位置・姿勢計測が可能となり、その情報を共有管理することが可能となる。また、たとえば図18に示すコンピュータ構成を図19に示す携帯コンピュータとして用いると、電気信号発生装置(デバイス)を人体の各部位に取付け、位置・姿勢を測定することができる。さらに、利用者にGPS(Global Positioning System)を取付けると、利用者が何処でどのような動作を行っているのかを記録しまた、インターネットを介してデータを配信することもできる。このことは、従来、人体に取付け持ち運ぶことができなかったモーションキャプチャ装置を手軽に持ち運び、人体各部位の方向ベクトルが可能となったことを意味する。
【0061】
また、Web PCは独自にIPアドレスをもっているため、被検者側のWeb PCをインターネットに接続することで、世界中の利用者PCへ身体各部位の動作・姿勢を発信することができる。さらに、無線LANを使っているため、ローカルなネットワーク環境で利用すれば、手軽に数人分の動作データを取得することが可能となる。
【0062】
また、図19に示す被検者側Web PCは、ワンチップで構成されている点によって特徴づけられ、利用者PC側と無線、有線で通信を行い、通信が不可能である場合には、ROMに予め書かれたプログラム通りに、被検者側のWeb PC内部メモリに動作データを記録する。後日、このメモリからデータを抜き取ることによって利用者の1日の完全な行動記録を得ることができる。たとえば、スポーツ選手等に取付けることによって、スポーツ選手の競技中の動作を数値的に記録することができる。また、人体に限ることなく、たとえば医療インプラント上のポートを位置決めするための装置や建築物の傾斜角度の長期的な計測、自動車、鉄道、飛行機、船舶等の姿勢制御等多くの分野で利用することができる。
【0063】
図19に、図18のWeb PCを人体に取付けたときの概略を示す。図19に示すように、人体の各部位に電気信号発生装置(デバイス)を取付ける。これにより、利用者がどの場所(GPSにより取得)でどのような動作を行っているかをインターネット上で知ることができる。インターネットを利用できない場合は、図18に示すように、Web PCにおける記録メモリによるデータの記録および優先によるデータの配信が可能な構成となっているから必ずしもインターネットは必要ではない。また、電気信号発生装置(デバイス)を取付けた測定対象が移動する場合にはGPSが必要であるが、測定対象が建築物などのように移動しない場合は必要ない。
【0064】
【発明の効果】
本発明の測定対象の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)はきわめて簡潔、小型で、X軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度を電気信号として一度に取出すことができる。
【0065】
請求項3および請求項4に記載の発明によれば、測定対象の3次元的な傾き(姿勢)と併せ測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への加速度(速度、変位量)を電気信号として一度に取出すことができる。
【0066】
本発明の他の実施形態によれば、測定対象のZ軸回りの変位量、速度、加速度を測定することができる。
【0067】
本発明のさらに他の実施形態によれば、測定対象のZ軸回りの変位量、速度、加速度を測定と併せ測定対象の3次元的な傾き(姿勢)を一度に電気信号として取出すことができる。
【0068】
本発明の他の実施形態によれば、測定対象の線形変位に対応する電気信号を取出すことができる。
【0069】
本発明の測定対象の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)はきわめて小型であっていわゆるウエアラブルコンピュータ用センサとして有用であり、人の身体各部位の運動記録や医療分野においてたとえば医療インプラント上のポートを位置決めするための装置等に用いることができる。また、自動車、鉄道、航空機、船舶等の姿勢制御等多くの分野で利用することができる。さらに、地殻変動の計測にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 測定対象のZ軸回りの位置、速度、加速度を検出するための、位置変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の構成を示す模式図
【図2】 測定対象のX軸方向或はY軸方向における傾斜(姿勢)を検出するための、姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の構成を示す模式図
【図3】 姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)が傾斜したときの模様を示す模式図
【図4】 図1および図2に示す電気信号発生装置(デバイス)を1ユニットに集積した電気信号発生装置(デバイス)を示す模式図
【図5】 図4に示す電気信号発生装置(デバイス)の電気回路図
【図6】 測定対象の線形変位に対応する電気信号発生装置(デバイス)を示す模式図
【図7】 図6に示す電気信号発生装置(デバイス)の電気回路図
【図8】 本発明の測定対象の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)を構成要素とするWebサーバの構成の一例を示すブロック図
【図9】 測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度を電気信号として一度に取出す姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の構成を示す模式図
【図10】 測定対象の3次元的な傾き(姿勢)と併せ測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への加速度(速度、変位量)を測定する傾斜変化および加速度に対応する電気信号発生装置(デバイス)の構成を示す模式図
【図11】 測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への傾斜角度を電気信号として取出す姿勢変化に対応する電気信号発生装置(デバイス)の構成を示す模式図
【図12】 測定対象の3次元的な傾き(姿勢)と併せ測定対象のX軸、Y軸、およびZ軸の何れかまたは複合した方向への加速度(速度、変位量)を測定する傾斜変化および加速度を同時に測定できる電気信号発生装置(デバイス)の構成を示す模式図
【図13】 静電容量の変化を電気信号として取出すための、回路の一例を示す電気回路図
【図14】 図9に示す電気信号発生装置(デバイス)の電気回路図
【図15】 図11に示す電気信号発生装置(デバイス)の電気回路図
【図16】 図10に示す電気信号発生装置(デバイス)の電気回路図
【図17】 図12に示す電気信号発生装置(デバイス)の電気回路図
【図18】 本発明の電気信号発生装置(デバイス)で測定した測定対象の位置・姿勢変化に対応する3次元姿勢情報および3軸における加速度検出結果を構成要素としたWebサーバおよびコンピュータ(メモリに記録)の構成の一例を示すブロック図
【図19】 図18に示すWeb PCを用いて人体の動作記録を行う実施形態を示すブロック図
【符号の説明】
1 容器
1−2 蓋
2 電極
3 円盤(ディスク)
4 軸
5 非導電性外周面領域
6 導電性外周面領域
7 ダンパ(ばね)
11 容器
12 電極
13 液状誘電体
14 配線
15 静電容量計測装置
A 液状誘電体を注入しない部分
21 容器
22 電極
23 ダンパ(ばね)
24 可動子
25 シャフト
g 間隔
31 非導電性中空球状容器
32 配線
33 内部球体
34 軸
35 導電性領域(電極)
41 非導電性中空球状容器
42 配線
43 内部中空球体
44 軸
45 導電性領域(電極)
46 ダンパ
51 非導電性中空多角状容器
52 配線
53 内部多角状体
54 軸
55 導電性領域(電極)
61 非導電性中空多角状容器
62 配線
63 内部中空多角状体
64 軸
65 導電性領域(電極)
66 ダンパ
Claims (5)
- 非導電性中空球状容器(31)と、該非導電性中空球状容器(31)の各半球を少なくとも4等分した区画にそれぞれ電極面が形成されて球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面が形成され、一方、前記非導電性中空球状容器(31)とその中心点を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした内部球体(33)が前記非導電性中空球状容器(31)内に支持・固設されさらに、前記非導電性中空球状容器(31)内周面と内部球体(33)外周電極面とによって形成される空間内に該空間容積未満の液状誘電体が封入されまた、前記非導電性中空球状容器(31)内周面に形成された少なくとも8箇の電極面(35)および内部球体(33)、外周電極面各々に配線(32)を接続してなる姿勢変化に対応する電気信号発生装置。
- 四面以上の面をもつ多角状の非導電性中空容器(51)と、該非導電性中空多角状容器(51)の内側各面に各等しい形状、面積をもつ導電性領域を形成して電極面(55)とするとともに、前記非導電性中空多角状容器(51)とその重心を共有するとともにその内側各面に間隔を置いて相対向する、各外面全域を電極面とした、前記非導電性中空多角状容器(51)と相似形の内部多角状体(53)を、前記非導電性中空多角状容器(51)の各内側コーナと内部多角状体(53)外側コーナ間で支持・固設しさらに、前記非導電性中空多角状容器(51)内側面と内部多角状体(53)外側面間とによって形成される空間内に、該空間容積未満の液状誘電体を封入しまた、前記非導電性中空多角状容器(51)各内側電極面(55)および内部多角状体(53)外側面(電極面)各々に配線(52)を接続してなる姿勢変化に対応する電気信号発生装置。
- 非導電性中空球状容器(41)と、該非導電性中空球状容器(41)の各半球を少なくとも4等分した区画にそれぞれ電極面が形成されて球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面が形成され、一方、前記非導電性中空球状容器(41)とその中心点を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした内部中空球体(43)が前記非導電性中空球状容器(41)内周面における電極面間かつ非導電性中空球状容器(41)の大円および子午線において弾機的に支持されるとともに、前記内部中空球体(43)の各半球を少なくとも4等分した区画にそれぞれ電極面が形成されて球体内周面全体で少なくとも8箇の電極面が形成されさらに、前記内部中空球体(43)とその中心点を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした最内部球体が前記内部中空球体(43)内に支持・固設されさらに、前記非導電性中空球状容器(41)内周面と内部中空球体(43)外周電極面間ならびに内部中空球体(43)内周面と最内部球体外周面によって形成される各空間内に各空間容積未満の液状誘電体が封入されまた、前記非導電性中空球状容器(41)内周面に形成された少なくとも8箇の電極面(45)、内部中空球体(43)、外周面電極、内部中空球体(43)内周面に形成された少なくとも8箇の電極面、および最内部球体外周面電極各々に配線(42)が接続され、前記非導電性中空球状容器(41)へ加えられるX軸、Y軸、およびZ軸方向何れか又はこれらが複合された方向への加速度によって生起する前記非導電性中空球状容器(41)内周面と内部中空球体(43)外周面間の近接・離隔によって変化する静電容量ならびに、内部中空球体(43)内周面に配設された電極面と最内部球体外周面電極間における静電容量の、前記非導電性中空球状容器(41)の姿勢(傾き)変化に対応する変化を検出することによって、X軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向の加速度およびX軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向における姿勢(傾き)変化を併せ測定するよう構成してなる位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置。
- 四面以上の面をもつ非導電性中空多角状容器(61)と、該非導電性中空多角状容器(61)内側各面に各等しい形状、面積をもつ導電性領域を形成して電極面(65)とするとともに、前記非導電性中空多角状容器(61)とその重心を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした、前記非導電性中空多角状容器(61)と相似形の内部中空多角状体(63)を前記非導電性中空多角状容器(61)の各内側コーナと前記内部中空多角状体(63)各外側コーナ間とで弾機的に支持し、一方、前記内部中空多角状体(63)内側各面に各等しい形状、面積をもつ導電性領域を形成して各独立した電極面とするとともに前記内部中空多角状体(63)とその重心を共有するとともにその内周面と間隔を置いて相対向する如く、その外周面全域を導電性材料で被覆して電極面とした最内部多角体を前記内部中空多角状体(63)内に支持・固設しさらに、前記非導電性中空多角状容器(61)内側面と内部中空多角状体(63)外周電極面間ならびに内部中空多角状体(63)内側面と最内部多角体外側面によって形成される各空間内に各空間容積未満の液状誘電体を封入しまた、前記非導電性中空多角状容器(61)各内側面に形成された面電極(65)、内部中空多角状体(63)外側面電極、内部中空多角状体(63)各内周面に形成された面電極、および最内部多角体外側面電極各々に配線(62)を接続し、前記非導電性中空多角状容器(61)へ加えられるX軸、Y軸、およびZ軸方向何れか又はこれらが複合された方向への加速度によって生起する前記非導電性中空多角状容器(61)内側面と内部中空多角状体(63)外側面間の近接・離隔によって変化する静電容量ならびに、内部中空多角状体(63)内側面に配設された電極面と最内部多角体外側面電極間における静電容量の、前記非導電性中空多角状容器(61)の姿勢(傾き)変化に対応する変化を検出することによって、X軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向の加速度およびX軸、Y軸、およびZ軸方向の何れか又はこれらが複合された方向における姿勢(傾き)変化を併せ測定するよう構成してなる位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置。
- 非導電性中空容器内側電極面と内部球体外側電極面或は多角状体外側電極間または内部中空球体或は内部中空多角状体内側電極面と最内部球体或は多角状体外側電極面間における空間の容積未満の液状誘電体が封入された電極間に電圧が印加される少なくとも一対の電極間での前記液状誘電体との接触面の差異に起因する発現静電容量の差異に対応する電圧を出力する電気信号発生手段が、高周波電圧を印加され、高周波電圧発振器が発生する搬送波に非導電性中空容器の傾斜角に対応する周波数変調を生起せしめ、この信号をFM復調するものである請求項1乃至請求項4何れかに記載の位置・姿勢変化に対応する電気信号発生装置。
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