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JP3724024B2 - 積層板用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

積層板用エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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JP3724024B2
JP3724024B2 JP29414195A JP29414195A JP3724024B2 JP 3724024 B2 JP3724024 B2 JP 3724024B2 JP 29414195 A JP29414195 A JP 29414195A JP 29414195 A JP29414195 A JP 29414195A JP 3724024 B2 JP3724024 B2 JP 3724024B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関し、更に詳しく言えば積層板(プリント配線板)において耐熱性、耐水性、機械的強度および密着性などの諸特性に優れ、特に耐湿耐熱性の良好な電気絶縁材料を提供するエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂積層板におけるワニスとしては、例えば難燃化されたFR−4グレードでは、ハロゲン原子で置換されたエポキシ樹脂を主原料成分とし、これに種々のエポキシ樹脂を混合したエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤とを配合して用いられている。
【0003】
これまでハロゲン含有エポキシ樹脂としては、一般にビスフェノールA型液状エポキシ樹脂をベースとして、これにテトラブロモビスフェノールAを反応させる、所謂Low−Br型エポキシ樹脂と呼ばれるものが知られている。
【0004】
Low−Br型エポキシ樹脂単独では、基材並びに銅箔への密着性は良好であるものの、耐熱性が劣るという問題が生じる為、耐熱性を高める目的からLow−Br型エポキシ樹脂にノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂を一部ブレンドして基材への密着性と耐熱性とのバランスをとる技術が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、積層板の製造工程におけるICチップなどの表面実装への移行、並びに高密度化、多層化、薄物化の傾向が急速に進展し、これにより、硬化物の耐熱性並びに耐湿後の耐半田性等の耐湿耐熱性の向上が求められており、前記したLow−Br型エポキシ樹脂に、ノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂を一部ブレンドする方法においては耐湿耐熱性の向上に限界があった。
【0006】
即ち、耐熱性を優先させて多官能エポキシ樹脂のブレンド比を上げると、樹脂が固く脆くなる点や基材への含浸性が悪くなることから、耐湿耐熱性に劣ったものしか得られず、また、前記多官能エポキシ樹脂のブレンド比を下げた場合には、耐熱性に劣り、やはり、耐湿耐熱性に劣るという課題を有していた。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、硬化物の耐熱性、基材並びに銅箔との密着性、及び、基材への含浸性に優れ、その結果、積層板の耐湿耐熱性に著しく優れる積層板用エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エポキシ樹脂成分としてビスフェノール型エポキシ樹脂若しくは変性樹脂(A)の数平均分子量と重量平均分子量とを調整することで、耐熱性、基材への含浸性およびガラス基材並びに銅箔との密着性の全てを兼備し、結果として耐湿耐熱性が向上することを見いだし本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、数平均分子量(Mn)が500〜1500で、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.7〜4.0であるビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)と、硬化剤(B)とを必須成分としており、かつ、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)中に、ビスフェノールのジグリシジルエーテルが、組成物中の全エポキシ樹脂成分に対して20〜40%(GPC測定結果によるピークエリア%)含まれていることを特徴とする積層板用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)は、上記の通り、数平均分子量(Mn)が500〜1500で、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.7〜4.0であって、かつ、ビスフェノールのジグリシジルエーテルを組成物中の全エポキシ樹脂成分に対して20〜40%(GPC測定結果によるピークエリア%)となる割合で含まれるものである。本発明においては、分子量と分子量分布を調整することで基材への含浸性と密着性とを兼備させることを目的としている。即ち、比較的高分子化された成分によって2級の水酸基の濃度を高め、基材との密着性を向上させ、更に、低分子量成分を増やすことで含浸性を高めるものである。また、低分子量成分比が高まることによって基材への含浸性が高まる他、硬化時の架橋密度も高まるため硬化物の耐熱性も同時に向上する。
【0011】
更に具体的には、数平均分子量(Mn)(以下、単に「Mn」と略記する)が500未満の場合には、密着性の効果が発現されず、一方、1500を越える場合には、低分子成分量を増やしたとしても、含浸性を改良できなくなる。これらのバランスが優れる点からなかでもMnで600〜1100の範囲が好ましい。
【0012】
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)(以下、単に「Mw/Mn」と略記する)は2.7〜4.0であるが、この範囲において、低分子量成分と高分子量成分とのバランスによる効果が達成される。
【0013】
また、かかるMn、並びにMw/Mnの調整に当たっては、特に限定されないが、ビスフェノール型エポキシ樹脂のn=0成分(ビスフェノールのジグリシジルエーテル単体、以下「n=0成分」と略記する)の含有量で調整することが、耐熱性、機械特性の他、コスト等の実用性の面から好ましい。その場合、前記した通り、ワニスの基材含浸性、耐熱性の面からビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分の含有量が、GPC測定結果によるピークエリア%で20〜40%である。
【0014】
本発明で用いるビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)の具体例としては、特に限定はされないが、先ずビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールAD(以下TBBPADと略す)等のビスフェノール類の少なくとも1種類以上のビスフェノールを公知の方法により、エピクロルヒドリンとの反応で得られるエポキシ樹脂、または、それらのエポキシ樹脂をさらにビスフェノール類若しくはハロゲン化ビスフェノール類で反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。これらのなかでも積層板用としてとくにハロゲン原子を含有するハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂が難燃効果の点から好ましく、具体的にはビスフェノール型エポキシ樹脂とテトラブロモビスフェノールとを反応させて得られるLow−Br型エポキシ樹脂が好ましい。
【0015】
一方、ビスフェノール型エポキシ樹脂の変性樹脂としては、上記のビスフェノール型エポキシ樹脂を、ノボラック樹脂で変性したもの、ノボラック型エポキシ樹脂とビスフェノールとを反応させて変性したもの、或いは、その他2官能型エポキシ樹脂若しくは3官能型・4官能型エポキシ樹脂とビスフェノールとを反応させたもの等が挙げられるが、特に耐熱性の点からビスフェノール型エポキシ樹脂と、ビスフェノール類と、ノボラック型・3官能型・4官能型エポキシ樹脂とを反応させたものが好ましい。
【0016】
ビスフェノール型エポキシ樹脂の変性樹脂においても、積層板用途としてはやはりハロゲン原子を含有するハロゲン化エポキシ樹脂であることが難燃効果の点から好ましい。例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールおよびノボラック型エポキシ樹脂を反応させたエポキシ樹脂の場合には、それらの原料成分の何れか1成分がハロゲン化されていればよいが、なかでもビスフェノール型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールがハロゲン化、特に臭素化されていることが好ましい。
【0017】
また、上記したビスフェノール型エポキシ樹脂の変性樹脂は、全量変性されたエポキシ樹脂であっても構わないが、未変性のビスフェノール型エポキシ樹脂を多量に含有するものであってもよい。従って、変性樹脂(A)のMn、並びにMw/Mnの調整においても、ビスフェノール型エポキシ樹脂のn=0成分(ビスフェノールのジグリシジルエーテル単体、以下「n=0成分」と略記する)の含有量で容易に調整することができる。
【0018】
上記したビスフェノール型エポキシ樹脂若しくは変性樹脂(A)のエポキシ当量は特に限定されるものではないが、300〜1000の範囲であることが密着性並びに含浸性の点からこのましく、特にそのバランスが著しく良好となる点から350〜500の範囲であることが好ましい。
【0019】
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂若しくは変性樹脂(A)としてハロゲン原子を含有するハロゲン化エポキシ樹脂を用いる場合には、ハロゲン含有率10〜30重量%の割合であることが難燃効果の点から好ましい。
【0020】
また、本発明においてはビスフェノール型エポキシ樹脂若しくは変性樹脂(A)に、本発明の効果を損なわない範囲で他のエポキシ樹脂を併用してよい。
【0021】
併用可能なエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能型のエポキシ樹脂であればよく、特に限定される物ではないが、例えば、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、ビス−β−トリフルオロメチルジグリシジルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノールジグリシジルエーテル、1−6ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル等の2官能型エポキシ樹脂、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン型エポキシ樹脂、1−(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)−1−(2−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)メタン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)−1−フェニル−メタン等のナフタレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールADノボラック樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、シクロヘキセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂、トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂、シクロペンテンオキサイド基を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンのエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルp−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール、テトラグリシジルm−キシリレンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらのなかでも特に耐熱性の向上効果が著しく優れる点からノボラック型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂及び4官能型エポキシ樹脂が好ましい。
【0022】
上記の併用可能なエポキシ樹脂はそれぞれ単独で、或いは2種以上の混合物として、或いはそれらを反応させたもの、例えば上記エポキシ樹脂をビスフェノール類を介して反応させたものを用いても構わないのは勿論のことである。
【0023】
また、これらの併用可能なエポキシ樹脂の使用量は、特に制限されるものではないが、基材への含浸性を損なうことなく、耐熱性の向上効果が大きくなる点から、組成物中の全エポキシ樹脂成分中5〜30重量%であることが好ましい。或いは、組成物中のエポキシ樹脂成分全体のMn、Mw/Mnの範囲が、Mnが500〜1500で、且つ、Mw/Mnが2.5〜4.5となる範囲であることが更に本発明の効果が顕著なものとなり好ましい。
【0024】
次に、本発明で用いる硬化剤(B)としては、公知慣用の化合物がいずれも使用できるが、そのうちでも代表的なものとしては、アミン系硬化剤としてジシアンジアミド、イミダゾール、BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体等の潜在性硬化剤、アミノフェノール、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリアミド樹脂、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
【0025】
これらのなかでもワニスの安定性(潜在性硬化)に優れる点からアミン系硬化剤、特にジシアンジアミドが好ましい。また、これらの硬化剤は単独でも2種以上の併用でもよい。さらに目的に応じ、アミン系硬化剤に前記したその他の硬化剤を併用してもよい。
【0026】
硬化促進剤としては公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、ベンジルジメチルアミン等の第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能である。
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、更に溶剤を併用してもよく、特に限定されることなく、必要に応じて種々のものが使用出来る。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノールなどが挙げられ、これらの溶剤は、適宜に2種または、それ以上の混合溶剤として使用することも可能である。溶剤の使用量としては、特に制限されないが、基材への含浸性の点から不揮発分で35〜65重量%、なかでも40〜60重量%であることが好ましい。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに必要に応じて種々の添加剤、難燃剤、充填剤等を適宜配合することが出来る。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、積層板用特にプリント配線板用として極めて有用である。
【0030】
本発明のエポキシ樹脂組成物から積層板を製造する方法としては、特に制限されなく、公知慣用の方法によって製造することができるが、例えばガラスクロス等の基板に本発明のエポキシ樹脂組成物を樹脂量30〜70重量%となる割合で含浸してプリプレグとし、次いでこのプリプレグの1〜10枚を加熱プレスして得る方法が挙げられる。
【0031】
【実施例】
次に本発明を参考例、実施例および比較例により具体的に説明する。尚、例中において「部」および「%」は特に断りのない限りすべて重量基準である。
【0032】
参考例1
エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂46部にテトラブロモビスフェノールAの34部を加えて120℃に加熱、攪拌し、さらに2−メチルイミダゾールの0.01部を添加して150℃で4時間反応させた後、エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂を20部を添加し、エポキシ当量440、臭素含有量20%でMnが850、Mw/Mnが3.3のエポキシ樹脂を得た。またこの樹脂中のビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分は、24%であった。以下、この樹脂を(A−1)と略記する。
【0033】
参考例2
エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂36部とエポキシ当量が400のテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂7部にテトラブロモビスフェノールAの32部を加えて120℃に加熱、攪拌し、さらに2−メチルイミダゾールの0.01部を添加して150℃で4時間反応させた後、エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂を25部を添加し、エポキシ当量440、臭素含有量22%でMnが930、Mw/Mnが3.6のエポキシ樹脂を得た。またこの樹脂中のビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分は、26%であった。以下、この樹脂を(A−2)と略記する。
【0034】
参考例3
エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂50部とエポキシ当量が210で、平均官能基数が4のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂20部にテトラブロモビスフェノールAの30部を加えて120℃に加熱、攪拌し、さらに2−メチルイミダゾールの0.01部を添加して150℃で4時間反応させ、エポキシ当量400、臭素含有量18%でMnが830、Mw/Mnが3.1のエポキシ樹脂を得た。またこの樹脂中のビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分は、22%であった。以下、この樹脂を(A−3)と略記する。
【0035】
参考例4
エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂46部にテトラブロモビスフェノールAの34部を加えて120℃に加熱、攪拌し、さらに2−メチルイミダゾールの0.01部を添加して150℃で4時間反応させた後、エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂を20部、エポキシ当量200のテトラフェニロールエタンのテトラグリシジルエーテル型エポキシ樹脂10部を添加し、エポキシ当量400、臭素含有量18%でMnが840、Mw/Mnが3.1のエポキシ樹脂を得た。またこの樹脂中のビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分は、22%であった。以下、この樹脂を(A−4)と略記する。
【0036】
参考例5
エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂66部にテトラブロモビスフェノールAの34部を加えて120℃に加熱、攪拌し、さらに2−メチルイミダゾールの0.01部を添加して150℃で4時間反応させて、エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂を20部を添加し、エポキシ当量440、臭素含有量20%でMnが900、Mw/Mnが2.3のエポキシ樹脂を得た。また、この樹脂中のビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分は、18%であった。以下、この樹脂を(B−1)と略記する。
【0037】
参考例6
エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ樹脂56部にテトラブロモビスフェノールAの34部を加えて120℃に加熱、攪拌し、さらに2−メチルイミダゾールの0.01部を添加して150℃で4時間反応させた後、エポキシ当量が213で軟化点75℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂10部を添加し、エポキシ当量450、臭素含有量20%でMnが930、Mw/Mnが2.3のエポキシ樹脂を得た。また、この樹脂中のビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分は、17%であった。以下、この樹脂を(B−2)と略記する。
【0038】
尚、上記参考例1〜6で得られた各樹脂の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mn、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル単体)成分量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ)にて測定したものである。GPCは、東ソー社製HLC−8020型を使用し、カラムは、TSK gel G4000HXL・G3000HXL・G2000HXL・G2000HXLの4本を使用したもので測定した。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂のn=0成分量はGPC測定結果より、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(単体)のピークエリア%で規定した。
【0039】
実施例1〜4および比較例1〜2
参考例1〜6で得られたそれぞれの樹脂(A−1)〜(A−3)、および、(B−1)〜(B−2)を各別にメチルエチルケトンで溶解させ(比較例2としては(B−2)と所定量のノボラック型エポキシ樹脂とをメチルエチルケトンに溶解)、次いで予めメチルセロソルブに溶解させておいた硬化剤ジシアンジアミドと硬化促進剤2エチル4メチルイミダゾールを加えて、不揮発分(NV)が55%なる混合溶液を調製した。この際の硬化剤の量としては多官能エポキシ樹脂中のエポキシ基に対して0.5当量となるような割合にし、また、硬化促進剤量はプリプレグのゲルタイムが170℃で120秒になる割合にした。
【0040】
しかるのち、それぞれの混合溶液を用い、基材であるガラスクロスWE−18K−104−BZ2〔日東紡(株)製〕に含浸させ、160℃3分乾燥させて樹脂分40%のプリプレグを作製した。
【0041】
次いで、得られたプリプレグを9枚重ね合わせ、圧力40kg/cm2、加熱温度170℃、加熱時間120分の条件で硬化させて積層板を作製した。
【0042】
得られた各々の積層板について、曲げ強度、耐熱性(Tg)、吸水率、耐ハンダ性の各物性を試験した。その結果を第1表および第2表に示す。
尚、各試験は以下の方法に従った。
[曲げ強度][ピール強度(引きはがし強さ)][吸水率]
JIS C−6481に準拠して測定した。
[層間剥離強度]
積層板のガラスクロス1枚ぶんを引きはがし、後はピール強度と同様にしてガラス基材間の密着性を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
動的粘弾性測定装置(DMA法)により測定を行った。
【0043】
[耐湿耐熱性]
120℃の加圧熱水中で2時間、4時間および6時間処理した試験片を260℃の溶融ハンダ上に浮かせ、その試験片の外観を目視判定により評価した。
【0044】
◎ …全く異常なし。
○ …試料1個あたりミーズリング10個未満。
△ …試料1個あたりミーズリング10個以上あるか、または直径2mm以下の膨れ発生。
【0045】
× …直径2mmより大きい膨れ発生。
【0046】
【表1】
Figure 0003724024
【0047】
【表2】
Figure 0003724024
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、硬化物の耐熱性、基材並びに銅箔との密着性、及び、基材への含浸性の全てに優れ、その結果、積層板の耐湿耐熱性に著しく優れる積層板用エポキシ樹脂組成物を提供できる。

Claims (8)

  1. 数平均分子量(Mn)が500〜1500で、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.7〜4.0であるビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)と、硬化剤(B)とを必須成分としており、かつ、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)中に、ビスフェノールのジグリシジルエーテルが、組成物中の全エポキシ樹脂成分に対して20〜40%(GPC測定結果によるピークエリア%)含まれていることを特徴とする積層板用エポキシ樹脂組成物。
  2. ビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)のエポキシ当量が300〜1000である請求項1記載の積層板用エポキシ樹脂組成物。
  3. ビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂であるか、或いは、ビスフェノール型エポキシ樹脂と多価フェノールと多価エポキシ樹脂との反応生成物である請求項1または2記載の積層板用エポキシ樹脂組成物。
  4. ビスフェノール型エポキシ樹脂が、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂である請求項3記載の積層板用エポキシ樹脂組成物。
  5. ビスフェノール型エポキシ樹脂と多価フェノールと多価エポキシ樹脂との反応生成物において、ビスフェノール型エポキシ樹脂、多価フェノール及び多価エポキシ樹脂の少なくとも1つがハロゲン化されたものである請求項3記載の積層板用エポキシ樹脂組成物。
  6. ビスフェノール型エポキシ樹脂若しくはその変性樹脂(A)が、ハロゲン含有率10〜30重量%の割合でハロゲン化されたものである請求項4又は5記載の積層板用エポキシ樹脂組成物。
  7. 更に、その他のエポキシ樹脂(C)を併用する請求項1〜6の何れか1つに記載の積層板用エポキシ樹脂組成物。
  8. 硬化剤(B)が、アミン系硬化剤である請求項1〜7記載の積層板用エポキシ樹脂組成物。
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