JP3724011B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機は、冷房運転や暖房運転を行うが、最近は省エネルギーに対するニーズが大きく、これを満足する一手段として室内熱交換器の伝熱面積を十分大きくすることがある。ルームエアコン等の小形の空気調和器では、室内機の寸法に制限があり、こうした制限下で伝熱面積を大きくするために、最近では、実願平2−95183号(実開平4−57073号)のマイクロフィルムに記載されているように室内熱交換器を室内機の前面から背面にかけて多段に曲げた構造にしたものが知られている。
【0003】
一方、空気調和機において、湿度を下げるための除湿運転として、冷却・除湿された空気流を冷凍サイクルの凝縮熱により再加熱する方式が特開平2−183776号公報に記載されている。
【0004】
この公報には、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器等を順次冷媒配管で接続し、さらに室内熱交換器を上下に二分割してこれらの間に除湿運転用の小孔付き二方弁を設けたサイクル構成が開示されている。そして除湿運転時には小孔付二方弁を閉じて冷媒を小孔を通して流すことにより絞り作用を行い、上側室内熱交換器を凝縮器、下側室内熱交換器を蒸発器とする。さらに室内空気流をこれらの室内熱交換器に並列に流し、蒸発器で冷却・除湿し、凝縮器で加熱することにより、冷え過ぎを防止しながら湿度を下げる除湿運転を可能にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、空気調和器の冷房・暖房という基本性能を向上させながら除湿効率を向上させる点は配慮されていない。
【0006】
本発明の目的は、冷房・暖房運転という空気調和器の基本性能を満足しつつ、除湿運転を可能とする空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、圧縮機と、四方弁と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器とを配管により接続した冷凍サイクルを有し、室内機内に設けられた前記室内熱交換器は、除湿運転の際に加熱器となる複数系統の冷媒流路を有する第1の室内熱交換部分及び除湿運転の際に冷却器となる複数系統の冷媒流路を有する第2の室内熱交換部分とを備え、この第1の室内熱交換部分とこの第2の室内熱交換部分との間の冷媒流路に設けられ除湿運転の際に絞りとして作用する膨張機構と、前記室内熱交換器の空気流れ方向下流に配置された室内ファンとを備えた空気調和機において、前記室内熱交換器を上段部分及び下段部分を有する構造とし、この上段部分を前記第1の室内熱交換部分、この下段部分を前記第2の室内熱交換部分とし、暖房運転時に、前記第2の室内熱交換部分におけるガス冷媒が流れる入口側が空気流の風下側に配されるように前記複数系統の冷媒流路を構成し、前記第1の室内熱交換部分における暖房運転時の冷媒流出口側が前記複数系統の冷媒流路から一系統の冷媒流路となるように、かつこの一系統の冷媒流路が風上側に配されるように前記冷媒流路を構成した空気調和機。とすることで達成される。
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、冷房・暖房運転という空気調和機の基本性能を満足しつつ、除湿運転を可能とする空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による一実施例を図1、図2及び図3に示す。
【0010】
図1は本実施例である室内機の側断面を示す図である。図1において、室内機内に組み込まれた多段曲げ(3段)構造の室内熱交換器1は、熱的な切断線24により、室内機における前面下段部分2と、前面側上段部分3から背面部分4にかけての部分とに熱的に分離されて構成されている。また、室内熱交換器1には、複数枚の放熱フィン23を貫通するように設けられた伝熱管20(○印で示した)が設けられ、伝熱管同士は接続管21及び接続管22(破線で示した)により接続されている。
【0011】
さらに、除湿制御弁5は、後述するように除湿運転時に絞り作用を行う機能を有している。室内熱交換器1の前面上段部分3及び背面部分4が熱的に一体に結合され、これらと除湿制御弁5の一方の接続口が接続配管6によりに接続され、除湿制御弁5の他方の接続口は、接続配管7を介して前面上段部分3及び背面部分4とは熱的に分離された室内熱交換器1の前面下段部分2と接続されている。 貫流ファンタイプの室内ファン9が回転すると、前面吸い込みグリル10、前面側上部吸い込みグリル11及び背面側上部吸い込みグリル12から室内空気が流入し、フィルタ13を介して、多段曲げ室内熱交換器1にて冷媒と熱交換されたあと室内ファン9を通り、吹出口15から室内に吹出される。なお、14は背面ケーシング、15は吹出口、16は吹出口風向板である。17は多段曲げ室内熱交換器の前面側部分2及び3に対する露受皿、18は多段曲げ室内熱交換器1の背面部分4に対する露受皿であり、冷房運転や除湿運転の時に生じる除湿水を受ける機能を有する。
【0012】
図2に上記した除湿制御弁5を示した。図2(a)は除湿運転時における除湿制御弁5の動作状態を示す図であり、図2(b)は冷房及び暖房運転時の除湿制御弁5の動作状態を示す図である。弁本体30は、弁座31、弁体32、弁体32の弁部33、接続管34、接続管35、弁体32を動かす電磁モ−タ36を備え、大きい矢印38、39は冷媒流方向、矢印40は除湿運転時の冷媒流方向を示す。
【0013】
除湿運転時には、図2(a)のように、弁体32は電磁モ−タ36により閉じられた状態になっている。この時、室内熱交換器1の凝縮器となる前面上段から背面にかけての部分3、4を出た高圧の凝縮液冷媒は、接続管34から流入し、弁部33と弁座31との隙間で構成される狭い通路37を矢印40のように流れ、ここで絞り作用を受け低圧・低温の冷媒となった後、接続管33を通って蒸発器となる室内熱交換器1の前面下段部分2に流入する。この結果、室内熱交換器1の前面上段から背面にかけての部分3、4が加熱器、前面下段部分2が冷却器となって、室内空気を加熱すると同時に冷却・除湿する温度の調整ができる除湿運転が可能になる。
【0014】
また、冷房及び暖房運転時には、図2(b)のように、除湿制御弁5は、電磁モータ36により弁体32が引き上げられ全開の状態になる。この結果、接続管34と35はほとんど流通抵抗なしで連通し、冷媒はほとんど抵抗なしで流れることになる。
【0015】
図3は、本実施例の全体のサイクル構成を示す図である。回転数制御等により能力可変の冷媒を圧縮する圧縮機50、運転状態を切り換える四方弁51、室外熱交換器52、絞り作用の無い全開状態が可能な電動膨張弁53、さらに前述の多段曲げ室内熱交換器1及び除湿制御弁5を加えて、これらが接続配管により環状に接続されて冷凍サイクルを構成している。また、図3においては、多段曲げ室内熱交換器1の伝熱管の流路状態の一実施例を模式的に示してあり、室内熱交換器1の前面上段部分3と背面部分4は一体に接続されて、伝熱管を接続した二系統の冷媒流路54、55から構成され、さらに切断線24により熱的に分離された室内熱交換器1の前面下段部分2は56、57の二冷媒流路から構成されており、これらの伝熱管冷媒流路は除湿制御弁5を介して接続管6及び7により接続されている。なお、58は室外ファンである。
【0016】
以上の室内機構造及び冷凍サイクル構成において、除湿運転時には、四方弁51を冷房運転時と同じ方向に切り換え、除湿制御弁5を適当に絞り電動膨張弁53を全開とすることにより、冷媒を一点鎖線で示すように圧縮機50、四方弁51、室外熱交換器52、電動膨張弁53、室内熱交換器1の前面上段部分3及び背面部分4、除湿制御弁5、室内熱交換器1の前面下段部分2、四方弁51、圧縮機50の順に循環させ、室外熱交換器52が上流側の凝縮器、室内熱交換器1の前面上段部分3及び背面部分4が下流側の凝縮器、室内熱交換器1の前面下段部分2が蒸発器となるように運転する。そして、室内空気を室内ファン9により矢印59で示すように流すと、室内空気は蒸発器として作用する前面下段熱交換器部分2で冷却・除湿されると同時に、下流側の凝縮器すなわち加熱器となる室内熱交換器の前面上段部分3及び背面部分4で加熱され、さらにこれらの空気が混合されて室内に吹き出される。この場合、回転数を制御して圧縮機50の能力や室内ファン9及び室外ファン58の送風能力を制御することにより、室内熱交換器1の前面下段部分2、前面上段部分3及び背面部分4の能力を調節することができ、最終的には除湿量や吹き出し空気温度を広い範囲で変えることができる。また、室内熱交換器1を多段曲げ熱交換器にして伝熱面積を大きくしたことにより、相対的に冷却器部分も大きくなり除湿能力を向上できる。さらに、除湿運転において加熱器での加熱量を大きくするためには、室内熱交換器の加熱器部分の割合を冷却器部分に比べて大きくする必要があるが、室内熱交換器1を多段曲げ熱交換器にしてこの前面側上段から背面にかけての部分を加熱器、前面側下段部分を冷却器になるようにすることにより、加熱器部分の伝熱面積を冷却器部分より大きくすることができる。
【0017】
次に、冷房運転時には、除湿制御弁5を開き電動膨張弁53を適当に絞ることにより、冷媒を実線の矢印で示すように循環させ、室外熱交換器52を凝縮器、多段曲げ室内熱交換器1を蒸発器として室内の冷房を行う。暖房運転時には、四方弁51を切り替え除湿制御弁5を開き電動膨張弁52を適当に絞ることにより、冷媒を破線の矢印で示すように循環させ、多段曲げ室内熱交換器1を凝縮器、室外熱交換器52を蒸発器として室内の暖房を行う。
【0018】
そして冷房、暖房の各運転に対してもサイクル性能及び多段曲げ室内熱交換器1での熱交換性能を確保して効率良く運転する必要がある。以下、この方法について説明する。
【0019】
まず、図3において、多段曲げ室内熱交換器1を室内機の前面上段から背面にかけての部分3、4と前面下段部分2の二つに熱的に分割し、これらを除湿制御弁5を介して直列に接続してあるため、冷房運転及び暖房運転のうち特に冷房運転においては、室内熱交換器1は全体が低圧でガス冷媒の比容積が大きくて体積流量が多くなる蒸発器となるため、ここでの圧力損失が大きくなってサイクルの性能が低下する。この問題を解決するために、図3においては、多段曲げ室内熱交換器1の前面上段から背面にかけての部分3、4と前面下段部分2の各冷媒流路をそれぞれ54、55と56、57の二系統にしてある。この結果、冷媒流路での圧力損失が十分小さくなり、特に冷房運転での性能低下を防ぐことができる。
【0020】
また暖房運転での性能をさらに向上するためには、室内熱交換器の出口で十分なサブクールを取る必要がある。このサブクール域では、冷媒が液状態であると同時に冷媒温度が凝縮温度から徐々に下がることから、液冷媒流の速度を速めて伝熱管内の熱伝達率を高めてやると同時に、伝熱管が風上側になるようにして熱交換前の比較的温度の低い空気流と熱交換するようにする必要がある。室内熱交換器1の前面下段部分2における暖房運転時の入口部分では高温ガス冷媒の温度が凝縮温度まで低下するため、この部分でも冷媒流と空気流とが対向流になるようにしてやる必要がある。このための他の実施例による室内熱交換器1での冷媒流路構成を図4に示す。図3と同一番号を付けたものは同一部分を示す。図4においては、多段曲げ室内熱交換器1の前面上段から背面にかけての部分3、4を、風上側に設けた一系統の冷媒流路部分60と二系統の冷媒流路部分61、62から構成する。さらに室内熱交換器1の前面下段部分2の冷媒流路を56、57の二系統にすると同時に前面下段部分2における暖房運転時の冷媒流入口部分を空気流の風下側に設けた配管構成にしてある。
【0021】
このサイクル構成により、暖房運転においては、圧縮機50を出て四方弁51を通った後の高温高圧のガス冷媒が室内熱交換器1に入り、前面下段部分2の冷媒流路が二系統の伝熱管56、57を分流して通った後、除湿制御弁5を通って室内熱交換器1の前面上段から背面にかけての部分3、4に入り、冷媒流路が二系統の伝熱管61、62を分流して流れる。この流れは、この後合流して冷媒流路が一系統の伝熱管60を流れる。この場合、室内熱交換器1の前面下段部分2では高温のガス冷媒が流れる入口側が空気流の風下側になり二相冷媒の流れる出口側が温度の低い空気流の風上側になるため、前面下段部分2では冷媒流と空気流とが熱交換性能の優れた対向流状態となる。また前面上段から背面にかけての部分3、4では冷媒流の出口側が一系統冷媒流路の伝熱管60となっており、飽和温度から徐々に温度の下がるサブクール域に設けられた伝熱管60は温度の低い上流側空気流と熱交換をするため、十分なサブクールが取れ、暖房性能を向上することができる。
【0022】
また、冷房運転においては、電動膨張弁53で絞られ低圧・低温になった冷媒が室内熱交換器1に入り、前面上段から背面にかけての熱交換器部分3、4において一系統の伝熱管60を通ったあと分流して二系統の伝熱管61、62に入り、さらに除湿制御弁5を通って前面下段部分2に入り二系統の伝熱管56、57に分流して流れる。しかし、伝熱管60では冷媒の乾き度が比較的小さいため一系統の冷媒流路でも圧力損失は比較的小さい。また乾き度が比較的大きい伝熱管61、62と56、57の部分では冷媒流路をそれぞれ二系統にしたことから圧力損失が十分小さくなる。この結果、圧力損失による冷房性能の低下を防ぐことができる。
【0023】
なお、図3及び図4に示す実施例では、室内熱交換器1の伝熱管を二系統に分ける場合及び一系統と二系統を組み合わせた場合を示したが、これらに限るものではなく、冷媒流路をさらに多くの系統に分ける事も可能であり、この場合も室内熱交換器1での冷媒流圧力損失を低減し、特に冷房性能の低下を防止できる。但し、冷媒流路をあまり多系統にすると、冷媒流の圧力損失は低下するが、熱伝達率の低下が著しく、冷房運転及び暖房運転における能力や動作係数といった空気調和機全体の性能が低下してしまうため、最適な系統数の冷媒流路に設定する必要があり、この系統数は主に冷媒配管の内径に応じて決定される。
【0024】
ところで図1〜図4の実施例では室内熱交換器1を、前面下段部分2、前面上段部分3、背面部分4の三段に曲げた場合を示したが、これに限るものではなく、各部分を必要に応じてそれぞれ多段に構成しても良い。図5には熱的な切断線63の下段部分である室内熱交換器1の前面下段部分2'を64、65、66の3段にした場合を示す。これにより伝熱面積を図3より大きくできる。さらには図6に示すように前面下段から前面上段、背面までを折れ線でなく連続した曲線にした一体構造にして、さらに除湿運転時に加熱器となる前面上段から背面にかけての部分と冷却器となる前面下段部分とを、切断線67により68と69の二つに熱的に分離した構造にしても良く、同様に伝熱面積を大きくすることができる。特に小形の空気調和機であるルームエアコン等では、室内熱交換器を収納するスペースが十分に取れないことが多く、この場合には室内熱交換器の曲げ回数を多くしたり、曲線状にすることにより、狭いスペースに十分な伝熱面積を持つ室内熱交換器を収納でき、冷房、暖房さらには除湿運転での性能を向上することができる。
【0025】
また図1に示す実施例では、除湿運転時において加熱器となる伝熱管の本数を冷却・除湿器となる伝熱管の本数より多くしてあるが、これは加熱器での加熱能力を多くして暖房気味の除湿運転を行う上で有効となるからである。すなわち、除湿運転において、冷却器の能力に比べて、加熱器の能力を十分高くできることから、暖房気味の除湿運転がやり易くなる。
【0026】
ここで除湿運転において、図3における室外ファン58の送風能力を落とすと室外熱交換器52で外気に放熱する能力が減少して室内熱交換器1の加熱器部分3、4での放熱能力が増大する。また圧縮機50の能力を増す事により加熱器部分3、4での加熱能力を増したり、冷却器部分2での除湿能力を増すことができる。また、室内ファン9の送風能力を変えることによりいろいろな使用状態に適した除湿運転を行うことができる。たとえば通常の除湿運転では人の好みに応じて室内風量を変え、洗濯物を乾燥するときには室内風量を増して運転し、寝るときには室内風量を落として運転するようにする。この場合、最近ではDCモータファンやインバータ圧縮機が採用されており、これらは回転数の制御が容易なことからファンや圧縮機の能力を容易に変えて、除湿運転における加熱能力を広い範囲で変えて吹出温度を冷房気味から等温気味、暖房気味まで変えたり、除湿能力を変えたり、さらには使用状態に合わせて室内風量を変えて上記種々の除湿運転を行うことができる。
【0027】
室内機の全面から背面にかけて設けた室内熱交換器構造に対して、図1乃至図6では、前面上段から背面にかけての部分3、4と前面下段部分2とを熱的に2分割して、これらの間に除湿制御弁5を設けた構成としている。この構成を、前面上段部分3と背面部分4との間に切断線を入れて熱的に2分割し、この間に除湿制御弁5を設けた構成としてもよい。すなわち、除湿運転時においては、前面上段部分3及び前面下段部分2が加熱器として作用し、背面部分4が冷却器として作用することとなる。この場合においても、加熱部分が冷却部分よりも大きいので、暖房気味除湿運転時に問題となる再熱量の不足を防止することができる。さらに、冷却器の下側に加熱器が配置されないことから冷却器で生じた除湿水が加熱器にかかって再蒸発することがない。また、室内熱交換器の前面部分2、3及び背面部分を夫々2系統以上の冷媒流路としたり、前面部分で冷房運転時の冷媒流入り口部分を1系統にして空気流の風上側に配置したり、さらには背面部分で暖房運転時の冷媒流入り口部分を空気流の風上側に配置することにより、冷房運転や暖房運転において圧力損失を低減すると共に空気流と冷媒流を対向流とすることができる。さらに、暖房運転において、十分なサブクールを取ることができる。このため、冷房運転及び暖房運転において、図3乃至図4に記載の実施例と同様に十分効率のよい運転を行うことができる。
【0028】
また図3における除湿制御弁5や電動膨張弁53はキャピラリーチューブあるいは通常の膨張弁と二方弁とを並列に設けた構成のものにしてもよく(図示省略)、二方弁の開閉により、図3の実施例と同様の作用を実現することができる。
【0029】
さらにまた以上説明した実施例においては、空気調和機でよく使用されるHCFC22(ハイドロクロロフルオロカーボン22の略)等の単一冷媒を使用する場合に付いて説明してきた。しかし最近は、オゾン層破壊や地球温暖化の点からHCFC22に代わる代替冷媒の研究が盛んになっており、代替冷媒としては単一冷媒だけでなく、混合冷媒の使用が検討されている。これに対して、図1及び図2に示す実施例で述べてきた室内機の構造、サイクル構成、運転の制御方法を適用できることは明らかであり、同様の効果が得られる。
【0030】
以上本実施例によれば、コンパクトな室内機の中に十分大きな熱交換器を設けるために、室内熱交換器を多段曲げあるいは曲線状にすると同時に室内機の前面から背面にかけて設けた構造にし、さらに該室内熱交換器を室内機の前面下段部分と前面上段から背面にかけての部分あるいは前面部分と背面部分を熱的に二分割しその間に除湿運転時に絞り作用を行う除湿制御弁を設けて、除湿運転時には室内熱交換器の前面下段部分あるいは背面部分が冷却器、前面上段から背面にかけての部分あるいは前面部分が加熱器となる冷凍サイクル構成にした。この結果、コンパクトな室内機においても、冷房及び暖房運転での性能を十分向上して省電力を図り、除湿運転では除湿効率(除湿量/消費電力)を向上させると共に冷却器で生じた除湿水が加熱器にかかって再蒸発することの無いようにした。
【0031】
また、熱的に二分割した室内熱交換器の各々の冷媒流路をそれぞれ二系統以上にして室内機における前面から背面にかけて設けた室内熱交換器での冷媒流の流通抵抗の増加を防止したり、室内熱交換器の冷媒流路における暖房運転時の出口部分を一系統にして暖房運転時に十分な冷媒サブクールが取れるようにしたり、さらには室内熱交換器における冷媒流と空気流とができるだけ対向流になるような配管構成にしたことにより、熱交換器を大きくして冷媒流路が長くなったり、除湿制御弁を設けたことによる性能の低下を防ぐことができる。
【0032】
また、室外ファン及び圧縮機を能力制御可能なものにしてこれらの機器の能力を適当に制御することにより加熱器での加熱量を広い範囲で制御して、除湿水量を十分取れる状態で、暖房気味、等温気味、冷房気味の除湿運転を行うと同時に、室内ファンの能力制御により種々の利用形態の除湿運転を行うことができる。
【0033】
さらにまた、以上のような除湿運転方法及び室内熱交換器の配管構成は、単一冷媒、混合冷媒を問わず適用でき、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例である空気調和機の室内機構造を示す図である。
【図2】図1における除湿制御弁の構造及動作状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施例である空気調和機のサイクル構成を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例である室内熱交換器の配管構成を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例である室内熱交換器の形状を示す図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例である室内熱交換器の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1…室内熱交換器、2、2'…室内熱交換器の前面下段部分、3…室内熱交換器の前面上段部分、4…室内熱交換器の背面部分、5…除湿制御弁、6、7…室内熱交換器と除湿制御弁との接続配管、9…室内ファン、10…前面吸い込みグリル、11…上面吸い込みグリル、12…背面吸い込みグリル、13…フィルタ、14…背面ケーシング、15…吹き出し口、16…吹出口風向板、17…前面露受皿、18…背面露受け皿、20…伝熱管、21、22…伝熱管の接続配管、23…放熱フィン、24、63、67…熱的切断線、
30…弁本体、31…弁座、32…弁体、33…弁部、34、35…接続管、36…電磁モータ、37…除湿運転時の冷媒流路、50…圧縮機、51…四方弁、52…室外熱交換器、53…電動膨張弁、54、55、56、57、60、61、62…冷媒流路、58…室外ファン、59…室内空気流方向、64、65、66、68、69…熱交換器部分。
Claims (1)
- 圧縮機と、四方弁と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器とを配管により接続した冷凍サイクルを有し、室内機内に設けられた前記室内熱交換器は、除湿運転の際に加熱器となる複数系統の冷媒流路を有する第1の室内熱交換部分及び除湿運転の際に冷却器となる複数系統の冷媒流路を有する第2の室内熱交換部分とを備え、この第1の室内熱交換部分とこの第2の室内熱交換部分との間の冷媒流路に設けられ除湿運転の際に絞りとして作用する膨張機構と、前記室内熱交換器の空気流れ方向下流に配置された室内ファンとを備えた空気調和機において、
前記室内熱交換器を上段部分及び下段部分を有する構造とし、
この上段部分を前記第1の室内熱交換部分、この下段部分を前記第2の室内熱交換部分とし、
暖房運転時に、前記第2の室内熱交換部分におけるガス冷媒が流れる入口側が空気流の風下側に配されるように前記複数系統の冷媒流路を構成し、前記第1の室内熱交換部分における暖房運転時の冷媒流出口側が前記複数系統の冷媒流路から一系統の冷媒流路となるように、かつこの一系統の冷媒流路が風上側に配されるように前記冷媒流路を構成した空気調和機。
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