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JP3723417B2 - 送信電力制御方法および移動通信システム - Google Patents

送信電力制御方法および移動通信システム Download PDF

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JP3723417B2 JP2000197375A JP2000197375A JP3723417B2 JP 3723417 B2 JP3723417 B2 JP 3723417B2 JP 2000197375 A JP2000197375 A JP 2000197375A JP 2000197375 A JP2000197375 A JP 2000197375A JP 3723417 B2 JP3723417 B2 JP 3723417B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信においてスペクトル拡散を用いてマルチプルアクセスを行うCDMA伝送方式(特に、DS−CDMA伝送方式)に適用可能な、送信電力制御方法、および、移動通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のCDMA伝送方式として、例えばDS−CDMA伝送方式においては、従来の情報データ変調信号を高速レートの拡散符号で拡散する2次変調を行って伝送することで複数の通信者が同一の周波数帯を用いて通信を行なう方式であり、各通信者の識別は拡散符号で行う。
【0003】
このため、受信機では従来の復調処理を行う前にまず広帯域の受信入力信号を逆拡散という過程で元の狭帯域の信号に戻す必要がある。この受信機の逆拡散では受信信号と受信信号の拡散符号位相に同期した拡散符号レプリカとの相関検出を行う。DS−CDMA伝送方式では、全ての通信者が同一の周波数帯を用いるため、所要の受信誤り率を得るのに必要な希望波受信信号電力対干渉電力比(SIR)で加入者容量が決まる。
【0004】
移動通信にDS−CDMA伝送方式を適用する場合の問題点は、移動局の存在位置によって基地局で受信された信号の受信信号レベルが移動局毎に大きく異なり(一般に基地局に近い移動局の信号ほど大電力で受信される)、受信信号レベルの大きい移動局の受信信号が他の移動局からの受信信号への大きな干渉となり、受信品質の劣化を引き起こす、いわゆる「遠近問題」が生じることである。
【0005】
この遠近問題を解決する手段として、従来から送信電力制御が提案されてきた。一般に、送信電力制御では、基地局が受信する各移動局からの受信信号電力、もしくは受信信号電力対干渉電力比(SIR)が移動局の位置によらず一定になるように各移動局の送信電力を制御するもので、これによってサービスエリア内で均一の通信品質を得ることができるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、現在までに商用サービスが開始された若しくは近年中にサービスの開始が予定されるDS−CDMAを用いた移動通信セルラーサービスとして、IS−95[TIA/EIA/IS−95“Mobile Station−Base Station Compatibility Standard forDual−Mode Wideband Spread Spectrum Cellular System,”Telecommunication Industry Association,July 1993.]や、W−CDMA[F.Adachi,M.Sawahashi,and H.Suda,“Wideband DS−CDMA for Next Generation Mobile Communication System,”IEEE Commun.Mag.,Vol.36,pp.56−69,Sept.1998.]等がある。
【0007】
これらのシステムでは、上述の送信電力制御が採用されているが、これ以外にも、システムの性能向上を実現するために、チャネル符号化(誤り訂正符号)、Rakeダイバーシチ受信、またはパイロット信号を用いたコヒーレント復調といった技術が併用されている。
【0008】
これら、チャネル符号化、Rakeダイバーシチ受信、またはパイロット信号を用いたコヒーレント復調の性能は、実際の伝搬路における、マルチパス数および移動局の速度(フェージング変動の速度)等に依存して変化する。例えば、チャネル符号化の効果は、一般に移動局の速度が大きくなるほど大きくなる。また、逆に、パイロット信号を用いたコヒーレント復調では、移動局の速度が大きくなるとパイロット信号を用いた受信信号の振幅及び位相の推定精度が劣化し、結果復調後の受信誤り率は悪くなる傾向がある。
【0009】
このため、実際の伝搬路においては、送信電力制御により受信信号電力、もしくはSIRを一定の値に制御しても、マルチパス数および移動局の速度(フェージング変動の速度)等の時間変動に伴い、チャネル符号化の効果、RAKEダイバーシチ効果、パイロット信号を用いた受信信号の振幅及び位相の推定精度等が変動するため、同一の受信品質(受信ビット誤り率、または受信フレーム誤り率等)を確保することができなくなる。
【0010】
さらに、上記文献(IS−95,W−CDMA等)のDS−CDMAを用いた移動通信セルラーサービスでは、移動局が複数の基地局と同時に接続することで瞬断のない高品質受信を実現するソフトハンドオーバー(サイトダイバーシチ)が用いられる。
【0011】
この場合、上りリンク(移動局を送信側、基地局を受信側とするリンク)では、各基地局での受信信号は、その上位局であるRadio Network Controller(RNC)で合成され、受信品質の改善がなされる。このため、各基地局で行われる送信電力制御での目標とする受信信号電力、若しくはSIRが一定である場合、サイトダイバーシチを行わない場合は行う場合に比較して受信品質が劣化することになる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、CDMA伝送方式(特に、DS−CDMA)を用いたセルラ通信において、実際の環境で存在するマルチパス数および移動局の速度といった伝搬環境の変化によらず、一定の受信品質(通信品質)を得る送信電力制御を実現することが可能な送信電力制御方法および移動通信システムを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、CDMA通信方式(特にDS−CDMA)を用いたセルラ通信において、サイトダイバーシチ受信の有無といった送受信状況の変化によらず、一定の受信品質(通信品質)を得る送信電力制御を実現することが可能な送信電力制御方法および移動通信システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、移動局から伝送された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を複数の基地局で受信した後、該各基地局の上位の基地局上位局にてサイトダイバーシチ受信を行うことにより、前記移動局の送信電力の制御を行う方法であって、前記基地局上位局において、前記各基地局において受信した前記移動局からの前記スペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号をサイトダイバーシチにより合成して合成信号を生成する工程と、前記生成された合成信号の受信誤り率を算出する工程と、前記算出された合成後受信誤り率と、予め設定された目標合成後受信誤り率とを比較する工程と、前記受信誤り率の比較結果に基づいて、各基地局で前記移動局に対して設定されている目標受信誤り率を補正する補正工程と、前記基地局において、前記移動局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号の受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を測定する工程と、前記受信したスペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号の受信誤り率を算出する工程と、前記算出された受信誤り率を、前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率と比較する工程と、前記受信誤り率の比較結果に応じて、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値を補正する補正工程と、前記測定された受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を、前記補正後の目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値と比較する工程と、前記電力の比較結果を基に、前記移動局の送信電力を制御する前記送信制御ビットを決定し、該決定された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を前記移動局へ送信する工程と、前記移動局において、前記基地局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号に含まれる前記送信制御ビットを基に、該移動局の送信電力を制御する工程とを具えることによって、送信電力制御方法を提供する。
前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率が、上限目標受信誤り率と下限目標受信誤り率とからなる場合において、前記補正工程は、前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率と前記下限目標受信誤り率との間に存在すると判断した場合には、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値の変更を行わない工程と、前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率又は前記下限目標受信誤り率を超えると判断した場合には、前記目標受信信号電力対干渉電力比値又は前記目標受信電力値を変更する工程とを含んでもよい。
【0015】
本発明は、移動局から伝送された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を複数の基地局で受信した後、該各基地局の上位の基地局上位局にてサイトダイバーシチ受信を行うことにより、前記移動局の送信電力の制御を行うシステムであって、前記基地局上位局は、前記各基地局において受信した前記移動局からの前記スペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号をサイトダイバーシチにより合成して合成信号を生成する手段と、前記生成された合成信号の受信誤り率を算出する手段と、前記算出された合成後受信誤り率と、予め設定された目標合成後受信誤り率とを比較する手段と、前記受信誤り率の比較結果に基づいて、各基地局で前記移動局に対して設定されている目標受信誤り率を補正する補正手段とを具え、前記基地局は、前記移動局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号の受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を測定する手段と、前記受信したスペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号の受信誤り率を算出する手段と、前記算出された受信誤り率を、前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率と比較する手段と、前記受信誤り率の比較結果に応じて、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値を補正する補正手段と、前記測定された受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を、前記補正後の目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値と比較する手段と、前記電力の比較結果を基に、前記移動局の送信電力を制御する前記送信制御ビットを決定し、該決定された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を前記移動局へ送信する手段とを具え、前記移動局は、前記基地局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号に含まれる前記送信制御ビットを基に、該移動局の送信電力を制御する手段を具えることによって、移動通信システムを構成する。
前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率が、上限目標受信誤り率と下限目標受信誤り率とからなる場合において、前記補正手段は、前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率と前記下限目標受信誤り率との間に存在すると判断した場合には、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値の変更を行わないようにする手段と、前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率又は前記下限目標受信誤り率を超えると判断した場合には、前記目標受信信号電力対干渉電力比値又は前記目標受信電力値を変更する手段とを含んでもよい。
【0017】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1の例]
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図5に基づいて説明する。
【0019】
まず、本発明の概要について説明する。
【0020】
(概要)
本発明の概要について説明する。
【0021】
CDMA通信方式(特に、DS−CDMA)を用いたセルラ通信では、全ての通信者が同一の周波数帯を用いるため、各通信者の受信信号は互いに干渉信号となる。このため、所要の受信誤り率を得るのに必要な最小の送信電力で各通信者が信号を送信することが、加入者容量(同時通信者数)を大きくするために重要である。
【0022】
各通信者(移動局)の伝搬環境に応じて所要の受信誤り率を得るのに必要な送信電力制御の目標受信電力、若しくは目標受信SIR(すなわち、受信信号電力対干渉電力比)を変化させることができれば、移動局の送信電力を必要最低限に抑えることができ、これを一定にする場合に比較して、加入者容量を増大させることが可能である。
【0023】
そこで、本発明に係るシステムの特徴について説明する。
【0024】
本発明は、情報伝送レートより高速度の拡散符号で広帯域の信号に拡散して多元接続伝送を行うCDMA(Code Division Multiple Access)伝送方式として、例えば直接拡散CDMA(以下、DS−CDMAという)伝送方式の移動通信システムにおいて、
受信側の装置において、所望の通信(送信)者からの受信信号における受信信号電力対干渉電力比(SIR)、又は、受信電力がある目標受信SIR値若しくは目標受信電力値になるよう周期的に送信側の送信電力を制御する場合、
受信側の装置で前記所望通信者の受信信号の受信誤り率(すなわち、受信ビット誤り率、若しくは、受信フレーム誤り率)を検出し、
該検出した受信誤り率と、受信装置側で予め定められた目標とする目標受信誤り率とを比較し、
該比較結果に基づいて、前記送信電力制御における目標受信SIR値、又は、目標受信電力値を補正制御する送信電力制御法に特徴がある。
【0025】
また、本発明は、上記送信電力制御法において、
前記目標受信誤り率と検出した受信誤り率との比較結果に基づいて、前記送信電力制御における目標受信SIR値、又は、目標受信電力値を補正制御する際、前記目標受信誤り率と検出した受信誤り率との差の大きさに応じて、前記送信電力制御における目標受信SIR値、又は、目標受信電力値の補正量を可変とすることを特徴とする。
【0026】
以下、具体例を挙げて説明する。
【0027】
(信号構成)
図5は、本発明に係る移動通信システムに用いられる信号のフレームの構成例を示す。
【0028】
図5において、本信号の1フレーム10は、15個のスロット20を有する。各スロット20は、同期検波やSIR測定に用いられる4個のパイロット信号(変調成分が既知の信号)を含むパイロット部30と、送信電力制御(TPC)のためのTPC制御ビット40と、36個のデータ信号からなるデータ部50とが時間的に多重化されて構成されている。
【0029】
(受信誤り率:フレーム誤り率/ビット誤り率)
次に、図5に示す信号の受信誤り率について説明する。
【0030】
受信誤り率には、フレーム誤り率と、ビット誤り率等がある。
【0031】
(フレーム誤り率)
フレーム誤り率は、
フレーム誤り率=(誤りフレーム数)/(総フレーム数) …(1)
として表される。例えば、一定期間内で受信するフレーム10の数を100とし、その中で誤りのフレームが5個あったとすると、フレーム誤り率は、総フレーム数=100、誤りフレーム数=5として算出できる。
【0032】
フレームが誤っているか否かの判断は、例えば、フレーム10内の16個のスロット20のデータ部50に対して、予め一般に知られているCyclic redundancy check(CRC)符号化を行って送信し、受信側でCRC符号を復号し、結果がOKかNGかで見分けることができる。
【0033】
この場合、CRC符号の復号結果がNGであった場合、フレーム10内の16個のスロット20のデータ部50のデータ信号のうち、少なくとも1つが間違って受信されていると判定し、このフレーム10を「誤りフレーム」と判断してカウントする。
【0034】
(ビット誤り率)
ビット誤り率は、
ビット誤り率=(誤りビット数)/(総ビット数) …(2)
として表される。例えば、一定期間内で受信するビットの数を100とし、その中で誤りが5個あったとすると、ビット誤り率は、総ビット数=100、誤りビット数=5として算出できる。
【0035】
ビットが誤っているか否かの判断は、例えば、以下のようにして求めることができる。まず、受信ビット系列を誤り訂正復号器に入力し、誤り訂正復号後のビット系列を得る。次に、誤り訂正復号後のビット系列を送信機で用いられる場合と同じ誤り訂正符号化器に入力し、符号化ビット系列を得る。このようにして得られた符号化系列と元の受信ビット系列とは、誤り訂正によって全ての誤りが訂正されていれば、同じ系列になるはずである。
【0036】
そこで、復号後の符号化系列と元の受信ビット系列とを比較し、異なるビットが発生する確率を求めることによって、信号のビット誤り率を近似的に求めることができる。
【0037】
なお、ここでいう近似的とは、誤り訂正によって受信誤りが0であると仮定していることに基づくものである。実際の環境では、誤り訂正後の受信ビット誤り率を10-3とすると、誤り訂正前の受信ビット誤り率は10-1〜10-2程度となり、誤り訂正後のビットに含まれる誤りの影響は無視することができる。
【0038】
(送信制御)
次に、図1は、本システムにおける送信電力制御の処理例を示すフローチャートである。
【0039】
上りリンク(移動局の送信側→基地局の受信側)の場合と、下りリンク(基地局の送信側→移動局の受信側)の動作は、基本的に同一であるため、以下の説明では、上りリンクにおける送信電力制御の例を示す。なお、図1中、ステップS11〜ステップS14が、本例の特徴ある部分である。
【0040】
図1において、まず、基地局では、ステップS1において、各移動局(通信者)からの受信スペクトル拡散信号から瞬時の受信信号電力対干渉電力比(SIR)を測定する。ここで、SIRの測定法は、文献等に示される一般的な周知の手法を用いることができる。
【0041】
そして、ステップS2では、この瞬時のSIR測定値を当該移動局に対して設定される目標SIRと比較する。
【0042】
さらに、ステップS3では、比較結果を基に、移動局の送信電力を制御する送信電力(TPC)制御ビットを送信する。
【0043】
当該移動局では、ステップS4〜ステップS5では、受信した送信電力制御ビットを基に、送信電力を変化させる。
【0044】
一般的な2値制御では、下記のように制御が行われる。
Figure 0003723417
【0045】
この制御により、基地局での受信SIRは常に目標SIRに近い値を取る。DS−CDMA伝送方式を用いた移動通信セルラーサービスでは、この放送電力制御の制御周期は毎秒1000回程度となっており、移動通信環境下に特有のフェージングによる受信レベルの変動を補償し、受信品質の劣化を抑える。
【0046】
基地局において、ステップS11では、各移動局(通信者)からの受信スペクトル拡散信号(受信信号)を復調する。
【0047】
そして、ステップS12では、受信品質の指標として復調した信号のフレーム誤り率を測定する。
【0048】
ここで、フレーム誤り率の測定法の1例を以下に示す。
【0049】
移動局では、予め送信信号に一般に知られるCyclic redundancy check(CRC)符号化を行っておく。基地局では、フレーム毎にCRC符号化の復号を行う。結果がOKの場合はそのフレームの誤りは無いと判定する。NGの場合はフレーム受信誤りが生じたと判定する。
【0050】
基地局において、各移動局の一定のフレーム数NframeでのCRC結果がNGとなるフレーム数Nerrorをカウントすることでフレーム誤り率を測定する。すなわち、フレーム誤り率=Nerror/Nframeである。
【0051】
基地局において、ステップS13では、その測定したフレーム誤り率と予め設定される目標フレーム誤り率との比較を行う。
【0052】
そして、ステップS14では、比較結果を基に各移動局に対して設定されている従来の送信電力制御の目標SIR値を補正する。この目標SIR値を補正は、各移動局の伝搬環境の変化に追従することを目的とするため、0.1秒〜数秒程度の周期で行えばよい。
【0053】
(補正例)
次に、図2〜図4は、送信電力制御における目標SIR値の補正例を示す。
【0054】
(実施例1)
図2は、実施例1を示す。
実施例1では、測定したフレーム誤り率=Nerror/Nframeに対して、目標のフレーム誤り率=Terror/Nframeとの比較に基づいて目標SIR値を補正している。
すなわち、
Figure 0003723417
【0055】
つまり、測定したフレーム誤り率が目標のフレーム誤り率よりも悪い(大きい)場合は、目標SIRを増大させ、測定したフレーム誤り率が目標のフレーム誤り率よりも良い(小さい)場合は、目標SIRを減少させる。
【0056】
一般に、目標SIRが大きいほど実際の受信SIRも大きくなり、受信品質が向上する。また、この逆の場合も同様に、目標SIRが小さいほど実際の受信SIRも小さくなり、受信品質が悪化する。
【0057】
従って、本制御により、目標SIR値は目標フレーム誤り率が達成されるように適応的に制御されることになる。また、この制御は各移動局(通信者)ごとに独立に行われるので、各通信者の伝搬路における、マルチパス数および移動局の速度(フェージング変動の速度)等に依存して適応的に変化することになる。
【0058】
(実施例2)
図3は、実施例2を示す。
【0059】
実施例2では、目標フレーム誤り率として、上限目標フレーム誤り率=Terror,u/Nframeと下限目標フレーム誤り率=Terror,d/Nframeの2つが用意されている(下限目標フレーム誤り率<=上限目標フレーム誤り率、すなわち、Terror,d<=Terror,u)。
【0060】
本制御は、
Figure 0003723417
【0061】
実施例1と比較して、測定したフレーム誤り率が上限目標フレーム誤り率と下限目標フレーム誤り率の間にある場合は目標SIRの変更を行わないところが違いとなっている。このようにすることで、目標SIR制御の安定度が増す可能性がある。
【0062】
(実施例3)
図4は、実施例3を示す。
Figure 0003723417
を設ける。
【0063】
測定したNerrorに応じて、下記のように目標SIRを更新する。
Figure 0003723417
【0064】
本制御の結果、実施例2に同じくフレーム誤り率が上限目標フレーム誤り率と下限目標フレーム誤り率の間もしくはこれに準ずる値になるよう、目標SIRが適応的に補正される。
【0065】
さらに、例としてΔup(n)<Δup(n+1),Δdown(m)<Δdown(m+)の様に設定すれば、伝搬環境が急激に変化し、フレーム誤り率が急激に劣化した(Nerrorが急激に増大)場合に、目標SIRの増大量を大きくすることでこの変動に高速に追従し、受信品質の劣化した時間を短時間に抑えることができる。
【0066】
逆に、伝搬環境の変化で、フレーム誤り率が急激に向上した場合にも、同様に、速やかに目標SIRを低減し、移動局の送信電力を最低限に抑えることかできる。
【0067】
一方、NerrorとTerror,u(1)またはTerror,d(1)との差が小さい場合には、目標SIRの補正量を小さくして、安定した受信品質を得ることができる。
【0068】
[第2の例]
次に、本発明の第2の実施の形態を、図6〜図9に基づいて説明する。
【0069】
(概要)
まず、本システムの概要について説明する。
【0070】
本発明は、通信者の送信信号が複数(=M)の局で受信された後にさらに上位の局で合成されるサイトダイバーシチ受信を行う場合、
受信局#m(1≦m≦M)において、各受信局独立に、所望の通信(送信)者からの受信局#mにおける受信信号の希望波信号電力対干渉電力比#m(SIR#m)、又は、受信電力#mがある目標受信SIR値#m若しくは目標受信電力値#mになるよう周期的に送信側の送信電力を制御し、
さらに、受信局#mにおいて、各受信局独立に、前記所望の通信者の受信局#mにおける受信信号の受信ビット誤り率#m若しくは受信フレーム誤り率#m等の受信誤り率#mを検出し、
前記検出した受信誤り率#mと受信局#mで予め定められた目標の受信誤り率#mとの比較結果に基づいて、受信局#mにおける前記送信電力制御における目標受信SIR値#m、又は、目標受信電力値#mの補正制御を行うようなシステムにおいて、以下の特徴を有する。
【0071】
すなわち、本発明は、上記システムにおいて、さらに、上位局において、全受信局での前記所望通信者の受信信号をサイトダイバーシチにより合成した後の信号に対して、合成後受信ビット誤り率若しくは合成後受信フレーム誤り率等の合成後受信誤り率を検出し、
前記検出した合成後受信誤り率と予め定められた目標の合成後受信誤り率との比較結果に基づいて、各受信局#mにおける目標の受信誤り率#mを補正制御することを特徴とする。
【0072】
また、本発明は、上記システムにおいて、
前記検出した合成後受信誤り率と予め定められた目標の合成後受信誤り率との比較結果に基づいて、各受信局#mにおける目標の受信誤り率#mを補正制御する際、
前記目標合成後受信誤り率と測定した合成後受信誤り率との差の大きさに応じて、前記各受信局#mにおける目標の受信誤り率#mの補正量を可変とすることを特徴とする。
【0073】
以下、具体例を挙げて説明する。
【0074】
(送信制御)
図6は、本システムにおける送信電力制御の処理例を示すフローチャートである。
【0075】
上りリンク(移動局の送信側→基地局の受信側)における送信電力制御の例を示す。
【0076】
図6中、基地局側の制御において、ステップS21〜ステップS24は本例における送信電力制御の処理を示す。なお、ステップS1〜ステップS5のフローは周知の送信電力制御の処理、ステップS11〜ステップS14のフローは前述した第1の例で示した送信電力制御の処理を示し、ここでの説明は省略する。
【0077】
図6において、ステップS21では、サイトダイバーシチ時において、複数の基地局で受信された移動局信号は、それぞれの基地局で復調された後、基地局上位局にてダイバーシチ合成される。ダイバーシチ合成法には、一般に知られる選択合成や最大比合成といった技術が用いられる。
【0078】
ステップS22では、基地局の上位局において、ダイバーシチ合成後の復調信号のフレーム誤り率を測定する。フレーム誤り率の測定法は、前述した第1の例の図1の説明と同じ方法を用いることができる。
【0079】
次に、ステップS23では、その測定した合成後フレーム誤り率と予め設定される目標合成後フレーム誤り率との比較を行う。
【0080】
そして、ステップS24では、比較結果に基づいて、各基地局で当該移動局に対して設定されている目標フレーム誤り率を補正する。
【0081】
すなわち、合成後フレーム誤り率が目標合成後フレーム誤り率よりも小さい場合は、その移動局(通信者)の受信品質が過剰となっていることを意味するので、各基地局での目標フレーム誤り率を大きくし、結果として、前述した第1の例の送信制御(図1参照)により、当該移動局に対する従来の送信電力制御の目標SIRがより小さく制御されることになり、その結果、当該移動局の送信電力をより小さくすることができる。
【0082】
(補正例)
次に、図7〜図9は、送信電力制御における基地局目標フレーム誤り率の補正例を示す。
【0083】
(実施例1)
図7は、実施例1を示す。
BSは、前述した図2〜図4の中に示されるフレーム誤り数のしきい値全体を示す。図2〜図4の説明と同じように、サイトダイバーシチ合成後のフレーム誤り率の測定フレーム数Nframeの間のフレーム誤り数Nerrorを測定し、これを予め決められたしきい値と比較する。
【0084】
実施例1では、NerrorとTerrorとを比較して、
Figure 0003723417
【0085】
つまり、測定した合成後フレーム誤り率が目標の合成後フレーム誤り率よりも悪い(大きい)場合は、各基地局のフレーム誤り率しきい値TBSを低減させ、結果として、各基地局での目標フレーム誤り率を小さくして、受信品質の向上を図る。
【0086】
また、この逆の場合も同様に、測定した合成後フレーム誤り率が目標の合成後フレーム誤り率よりも良い(小さい)場合は、各基地局のフレーム誤り率しきい値TBSを増大させ、結果として、各基地局での目標フレーム誤り率を大きくして、受信品質を劣らせる。
【0087】
(実施例2)
実施例2は、前述した第1の例の実施例2(図3参照)と同様に考えることができる。
【0088】
(実施例3)
実施例3も、前述した第1の例の実施例3(図4参照)と同様に考えることができる。
【0089】
以上の各例の説明では、簡単のため、各しきい値、測定フレーム数が各基地局での制御と同じ記号で示されたが、これらの値は独立に設定することも可能である。また、ステップサイズΔ〜は各基地局のTBS毎に異なる値を用いることもできる。
【0090】
受信電力として、目標受信SIR値の代わりに、目標受信電力値(S)を適用することも可能である。
【0091】
また、受信誤り率として、フレーム誤り率の代わりに、ビット誤り率を適用することも可能である。
【0092】
ビット誤り率の測定には、受信側で送信パターンが既知の信号、例えば、同期検波のためのパイロット信号等を用いる方法や、誤り訂正符号化を行っている場合は、誤り訂正符号の受信側での復号結果を再符号化して、これを参照信号として、受信復調系列(誤り訂正復号前)の誤り率を測定する方法などを用いることができる。
【0093】
また、本発明の送信電力制御法は、上記上りリンクの代わりに、下りリンクに適用しても同様の効果を得ることができる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、広帯域の拡散伝送方式によって信号を伝送するシステムにおいて、信号を受信する装置側において、受信した受信信号の受信誤り率を検出し、該検出された受信誤り率と予め設定された目標受信誤り率とを比較し、該比較結果に基づいて目標とする目標受信信号電力対干渉電力比値(SIR)又は目標とする目標受信電力値を補正し、該補正された前記目標受信信号電力対干渉電力比値又は前記目標受信電力値に基づいて、送信電力が所定の目標値となるように伝送用の制御信号(TPC制御ビット)を設定するようにしたので、例えば、DS−CDMA伝送方式を用いたセルラ通信において、実際の環境で存在するマルチパス数および移動局の速度といった伝搬環境の変化、さらには、サイトダイバーシチ受信の有無といった送受信状況の変化によらず、一定の受信品質(通信品質)を得ることのできる高精度な送信電力制御が実現でき、これにより、各通信者(移動局)は伝搬環境に応じた所要の受信誤り率を得るのに必要な最低限の送信電力で通信を行うことができ、結果として、加入者容量をさらに増大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である送信電力制御の処理例を示すフローチャートである。
【図2】送信電力制御における目標SIR値の補正例(実施例1)を示す説明図である。
【図3】送信電力制御における目標SIR値の補正例(実施例2)を示す説明図である。
【図4】送信電力制御における目標SIR値の補正例(実施例3)を示す説明図である。
【図5】信号のフレーム構成を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態である送信電力制御の処理例を示すフローチャートである。
【図7】送信電力制御における基地局目標フレーム誤り率の補正例(実施例1)を示す説明図である。
【図8】送信電力制御における基地局目標フレーム誤り率の補正例(実施例2)を示す説明図である。
【図9】送信電力制御における基地局目標フレーム誤り率の補正例(実施例3)を示す説明図である。
【符号の説明】
10 フレーム
20 スロット
30 パイロット部
40 送信電力制御ビット
50 データ部

Claims (4)

  1. 移動局から伝送された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を複数の基地局で受信した後、該各基地局の上位の基地局上位局にてサイトダイバーシチ受信を行うことにより、前記移動局の送信電力の制御を行う方法であって、
    前記基地局上位局において、
    前記各基地局において受信した前記移動局からの前記スペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号をサイトダイバーシチにより合成して合成信号を生成する工程と、
    前記生成された合成信号の受信誤り率を算出する工程と、
    前記算出された合成後受信誤り率と、予め設定された目標合成後受信誤り率とを比較する工程と、
    前記受信誤り率の比較結果に基づいて、各基地局で前記移動局に対して設定されている目標受信誤り率を補正する補正工程と、
    前記基地局において、
    前記移動局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号の受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を測定する工程と、
    前記受信したスペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号の受信誤り率を算出する工程と、
    前記算出された受信誤り率を、前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率と比較する工程と、
    前記受信誤り率の比較結果に応じて、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値を補正する補正工程と、
    前記測定された受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を、前記補正後の目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値と比較する工程と、
    前記電力の比較結果を基に、前記移動局の送信電力を制御する前記送信制御ビットを決定し、該決定された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を前記移動局へ送信する工程と、
    前記移動局において、
    前記基地局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号に含まれる前記送信制御ビットを基に、該移動局の送信電力を制御する工程と
    を具えたことを特徴とする送信電力制御方法。
  2. 前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率が、上限目標受信誤り率と下限目標受信誤り率とからなる場合において、
    前記補正工程は、
    前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率と前記下限目標受信誤り率との間に存在すると判断した場合には、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値の変更を行わない工程と、
    前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率又は前記下限目標受信誤り率を超えると判断した場合には、前記目標受信信号電力対干渉電力比値又は前記目標受信電力値を変更する工程と
    を含むことを特徴とする請求項1記載の送信電力制御方法。
  3. 移動局から伝送された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を複数の基地局で受信した後、該各基地局の上位の基地局上位局にてサイトダイバーシチ受信を行うことにより、前記移動局の送信電力の制御を行うシステムであって、
    前記基地局上位局は、
    前記各基地局において受信した前記移動局からの前記スペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号をサイトダイバーシチにより合成して合成信号を生成する手段と、
    前記生成された合成信号の受信誤り率を算出する手段と、
    前記算出された合成後受信誤り率と、予め設定された目標合成後受信誤り率とを比較する手段と、
    前記受信誤り率の比較結果に基づいて、各基地局で前記移動局に対して設定されている目標受信誤り率を補正する補正手段と
    を具え、
    前記基地局は、
    前記移動局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号の受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を測定する手段と、
    前記受信したスペクトル拡散信号を復調し、該復調した信号の受信誤り率を算出する手段と、
    前記算出された受信誤り率を、前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率と比較する手段と、
    前記受信誤り率の比較結果に応じて、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値を補正する補正手段と、
    前記測定された受信信号電力対干渉電力比値又は受信電力値を、前記補正後の目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値と比較する手段と、
    前記電力の比較結果を基に、前記移動局の送信電力を制御する前記送信制御ビットを決定し、該決定された送信制御ビットを有するスペクトル拡散信号を前記移動局へ送信する手段と
    を具え、
    前記移動局は、
    前記基地局から伝送された前記スペクトル拡散信号を受信し、該受信した信号に含まれる前記送信制御ビットを基に、該移動局の送信電力を制御する手段を具えたことを特徴とする移動通信システム。
  4. 前記基地局上位局にて補正された前記移動局の前記目標受信誤り率が、上限目標受信誤り率と下限目標受信誤り率とからなる場合において、
    前記補正手段は、
    前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率と前記下限目標受信誤り率との間に存在すると判断した場合には、予め設定された目標受信信号電力対干渉電力比値又は目標受信電力値の変更を行わないようにする手段と、
    前記算出された受信誤り率が、前記上限目標受信誤り率又は前記下限目標受信誤り率を超えると判断した場合には、前記目標受信信号電力対干渉電力比値又は前記目標受信電力値を変更する手段と
    を含むことを特徴とする請求項3記載の移動通信システム。
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