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JP3716158B2 - 車両の風洞試験方法及び装置 - Google Patents

車両の風洞試験方法及び装置 Download PDF

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JP3716158B2 JP2000145419A JP2000145419A JP3716158B2 JP 3716158 B2 JP3716158 B2 JP 3716158B2 JP 2000145419 A JP2000145419 A JP 2000145419A JP 2000145419 A JP2000145419 A JP 2000145419A JP 3716158 B2 JP3716158 B2 JP 3716158B2
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  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の性能を測定するための車両の風洞試験方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の開発過程において各種の性能試験は不可欠であり、そのための一つとして風洞試験装置が用いられている。この風洞試験は、風が流れる風洞内にクレイモデルを静止状態に配置して、前記クレイモデルの主に外形形状によってもたらされる空力特性上の性能が向上するかどうかを知るために行われている。
【0003】
そして、この風洞試験により、特に高速走行時に所望の空力特性を得るべくクレイモデルに基づいて外形が決定された試作車を製作し、この試作車に様々な計測機器を搭載してテストサーキットや公道を実際に走行させている。この実走行試験では、前記空力特性の実際上の評価の他、横風の影響、風切り音等の評価、及び路面状態による操縦性能等への影響等の各種の評価が行われる。又、この実走行試験は様々にテスト条件を変えて数回繰返される。
【0004】
前記のように従来の風洞試験が専ら空力特性のみを評価しているために、その後に実走行試験を数回行うことを、自動車の開発過程では余儀なくされている。このような実走行試験は、長時間テストサーキットを占有し、かつ、テストドライバーを長時間拘束しなければならないことに加えて、各種計測機器の調整の手間、及び新しいテスト条件に応じた調整が都度必要であるので、前記実走行試験には多大な手間が必要である。しかも、実走行試験においては、テストドライバーが大きな危険に晒される蓋然性が高い試験条件等を設定することは問題であるので、自ずと試験条件に制限がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、実走行試験を模擬できる車両の風洞試験方法及び装置を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係る車両の風洞試験方法は、風洞内に少なくとも上面が位置している車両載置台上に実車を載せ、6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータにより、前記車両載置台を動かすことによって前記風洞内で前記実車を動かしながら、前記風洞を通る風の前記実車への影響を測定することを特徴とするものである。
【0007】
同様に、前記課題を解決するために、本発明に係る車両の風洞試験装置は、風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置台を6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータにより下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置と、を具備したことを特徴とするものである。
【0008】
又、本発明の風洞試験装置を実施するにあたり、前記風洞内に配置される実車の駆動車輪を支持してこの車輪に従動して回転するローラを有した車輪受けを前記車輪載置台上に取付けるとよい。
【0009】
同様に、本発明の風洞試験装置を実施するにあたり、前記風洞の床に載置台配置孔を設け、この配置孔に前記車両載置台を配置するとよい。
【0010】
同様に、本発明の風洞試験装置を実施するにあたり、前記車両載置台の動きに追従して可撓変形し得る導風板を、前記載置台配置孔の孔縁と前記車両載置台の周部とに亘って設けるとよい。
【0011】
又、本発明は、風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置を下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置とを備え、前記モーション装置を、前記実車が有する車輪を個別に載置して無端回転するモーションベルト、又は前後一対の自由回転するローラを有する回転テーブルと、この回転テーブルが回転可能取り付けられた載置台ベースと、この載置台ベースの動きを制御する複数本の駆動アクチュエータとを備えて形成したことを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の風洞試験装置を実施するにあたり、風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置台を下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置とを備え、前記モーション装置を、前記実車が有する車輪を個別に載置して無端回転するフラットベルト、又は前後一対の自由回転するローラを有する複数の前記車両載置台と、これら各載置台の動きを個別に制御する複数本の駆動アクチュエータを有する前記台駆動部とを備えて形成することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は第1実施形態に係る風洞試験装置の概略的構成を示す平面図であり、この図中1はエンドレス構造の風洞であり、その一部には風洞1内に風を流すための送風機2が取付けられている。送風機2はその回転速度を自在に調節でき、それにより風洞内を流れる風の速度を任意に変えることができるようになっている。なお、図1中3は風洞1内を流れる風の向きを円滑に変えるために風洞1の風向きが変る部分に配置された変流翼、4は消音器、5は空気冷却器を示している。
【0015】
風洞1の一部は無音室6内を通る密閉胴1aをなしており、この胴1aには測定部7が設けられている。風洞1における測定部7の上流側部分は、測定部7に向けて絞られている。この測定部7は被試験体である実車8を出し入れできる大きさであるとともに、測定部7にはモーション装置9が設けられ、この装置9によって測定部7内の実車8に各種の動きが与えられるようになっている。
【0016】
図2に示すようにモーション装置9には例えばスチュワートプラット型の振動台が採用されており、従って、この装置9は、車両載置台11と、この台11を動かす台駆動部12とを備える。台駆動部12は、上端を関節機構を介して車両載置台11の下面に連結し、下端を固定基板13等の基礎に関節機構を介して連結するとともに、この車両載置台11を下から支持する6本(3本のみ図示する。)の駆動アクチュエータ14を有している。各アクチュエータ14は油圧サーボアクチュエータで形成されている。台駆動部12は、コンピュータを主体とする図示しないコントローラで各駆動アクチュエータ14を伸縮動作させることにより、図4に示されるように車両載置台11を、6自由度、つまり、上下、左右、前後、ローリング、ピッチング、及びヨーイングで制御するようになっている。
【0017】
このモーション装置9の車両載置台11は、風洞1における測定部7の床7aに設けられた載置台配置孔15内に配置されている。そのため、車両載置台11の上面は測定部7内に位置されている。車両載置台11は、その上面に実車8を載せることができる大きさで、かつ、図3に示すように円板形状をなしている。
【0018】
載置台配置孔15の孔縁上面と車両載置台11の周部上面とに亘って一対の導風板16、17が取付けられている。これら導風板16、17は車両載置台11の動きに追従して可撓変形できる材料、例えばゴム板で夫々半円形状に形成されている。一方の導風板16は、その両端を測定部7を流れる風(なお、図2及び図3中に矢印で風の流れ方向を示す。)の下流側に位置させるとともに、外周側部分を載置台配置孔15の孔縁に多数の固定部品18により固定して取付けられている。同様に、他方の導風板17は、その両端を測定部7を流れる風の上流側に位置させるとともに、内周側部分を車両載置台11の周部に多数の固定部品19により固定して取付けられている。導風板16の両端部は導風板17の両端部に重ねられている。したがって、導風板16、17はリング状に組合わされていて、載置台配置孔15の孔縁と車両載置台11の周部との間の隙間gを上方から覆っている。
【0019】
図2に示すように載置台配置孔15の孔縁下面と車両載置台11の周部下面とに亘って環状のエアーシール20が取付けられている。このシール20は前記導風板16、17よりも遥かに薄く柔軟性及び伸縮性に優れるゴムで形成されていて、その内周部及び外周部の夫々は載置台配置孔15の孔縁下面及び車両載置台11の周部下面に夫々固定されている。このようなエアーシール20を設けることにより、前記隙間gを通って測定部7から空気が下方に漏れることを防止して、車両載置台11回りの空気の挙動が不安定になることを抑制できるに伴い、風洞試験での測定精度を向上するのに役立つとともに、前記隙間gを空気が通ることにより車両載置11の可動性が損なわれることがない点で優れている。
【0020】
図2及び図3に示すように車両載置台11上には、自由回転する一対のローラ21を有した合計4個の車輪受け22が取付けられ、これら車輪受け22のローラ21に車輪を載せて実車8が車両載置台11上に支持されるようになっている。
【0021】
前輪駆動の実車8を風上に向けて車両載置台11上に支持した場合には、その駆動側の車輪(前輪)が測定部7を流れる風の上流側に位置された一対の前側車輪受け22上に載置されるとともに、非駆動側の車輪(後輪)が前記風の下流側に位置された一対の後側車輪受け22上に載置される。この逆に、前記前輪駆動の実車8を風下に向けて車両載置台11上に支持した場合には、後輪が一対の前側車輪受け22上に載置され、かつ、前輪が一対の後側車輪受け22上に載置される。又、後輪駆動の車両を風上に向けて車両載置台11上に支持した場合には、その非駆動側の車輪(前輪)が一対の前側車輪受け22上に載置されるとともに、駆動側の車輪(後輪)が一対の後側車輪受け22上に載置され、この逆に、前記後輪駆動の実車8を風下に向けて車両載置台11上に支持した場合には、後輪が一対の前側車輪受け22上に載置され、かつ、前輪が一対の後側車輪受け22上に載置される。又、四輪駆動の実車8については、風上又は風下のいずれの方向に車両を向けて車両載置台11上に支持した場合でも、各駆動車輪の夫々が前記4個の車輪受け22上に載置される。
【0022】
従って、以上のように風上側に2個の車輪受け22を設けるとともに風下側にも2個の車輪受け22を設けた構成によれば、向かい風状態での実走行を模擬するときにおいても、又、追い風状態での実走行を模擬するときにおいても、車両の駆動車輪を車輪受け22に支持して車両載置台11上に載せることができる点で優れている。なお、本発明において実車8が四輪自動車ではなく、二輪車である場合には、それに応じて車輪受け22上を風上側及び風下側に夫々1個づつ設けて実施することができる。
【0023】
又、前記車両載置台11上には図示しないが車両8が着脱される拘束手段が搭載されており、この手段により車両載置台11上の車両8を機械的に拘束して、車両支持台11の各種の動きに拘らずに、この支持台11と車両8との相対的位置が変ることがないようにしてある。
【0024】
前記構成の風洞試験装置を使用する場合には、まず、既に所望の空力特性を得るべく外形が決定された実車(試作車を含む)8に各種の計測機器を搭載し、この実車8を向かい風又は追い風に適合する向きで風洞1の測定部7に収容する。この収容において車両8の各車輪は夫々車輪受け22のローラ21によって支持されるとともに、車両8は図示しない拘束手段により車両載置台11に対して機械的に動かないように拘束される。
【0025】
次に、この収容状態において、風洞1の送風機2を駆動して、風洞1内に風を流すとともに、モーション装置9の台駆動部12を図示しないコントローラにより駆動して車両載置台11を動かす。それにより、この台11上の実車8を風洞1の測定部7内で動かしながら、前記各種計測機器による測定を行う。
【0026】
こうした風洞試験では、モーション装置9で車両載置台11とともに実車8をピッチングさせることにより、高速道路の路面の凹凸を考慮した実走行を模擬できる。そして、モーション装置9で車両載置台11とともに実車8をヨーイングさせることにより、高速道路での横風の影響を考慮した実走行を模擬できる。更に、モーション装置9で車両載置台11とともに実車8をローリングさせることにより、高速道路でのカーブ部分を曲る際の車体への風の影響を考慮した実走行を模擬できる。又、モーション装置9で車両載置台11とともに実車8を傾斜(前又は後に傾斜、若しくは左又は右に傾斜)させることにより、高速道路の傾きに伴う車体への風の影響を考慮した実走行を模擬できる。しかも、これらの各実走行の模擬を、前記送風機2の送風力の強さの切換えるに伴い、各種の風圧のもとで行うことができる。この場合に、モーション装置9が6自由度を有することにより、車両載置台11とともに実車8を風洞1の測定部7内で動かす自由度が高い。
【0027】
従って、このような実車8の姿勢等を測定部7内で変えながら行われる風洞試験によれば、走行安定性(例えば各種の強さの風圧による車体姿勢への影響、路面の凹凸を模擬した上下動時の車体の浮き上がり等の車体安定性等)を評価できるとともに、各種の強さの風圧により車体に波及する力の影響の評価、各種の強さの風圧に対する車体姿勢の変化に伴う風切り音の評価、及び各種の強さの風圧に対する横風の影響などを評価することができる。
【0028】
その上、以上の風洞試験は、車両載置台11が車輪受け22を有していることにより、非駆動状態ではなく、必要により実車8内にドライバーが乗り込み、又は、遠隔制御されるドライバーロボットにより、実車8のエンジンを駆動しながら行うこともできる。このようにする場合には、更に実際の車速に合わせた総合的な試験を行うことができ、例えば、各種の強さの風圧下でのエンジンの冷却効果の測定、車輪のタイヤの温度の測定、燃費の測定等も模擬的に行うことができる。
【0029】
そして、前記のようにドライバーロボットを用いる場合には、危険度が高い動きを車両8に与えて、既述の風洞試験をすることもでき、それにより、試験条件を大幅に広げることが可能である。
【0030】
以上のように風洞1内において各種風圧下で実車8に各種の動きを与えながら風洞試験を行うから、風洞1内で実走行試験を模擬的に行うことが可能である。それにより、四輪自動車等の車両の開発にあたって、従来の実走行試験のように長時間テストサーキットを占有したり、テストドライバーを確保して長時間拘束したりすることを著しく減らすことができるとともに、実車8に搭載した各種計測機器の調整の手間や新しいテスト条件に応じた調整も、実車8が移動しないので手軽に行うことができ、よって、車両の開発に要する手間の削減に役立つ。しかも、既述のようにドライバーロボットを用いることが可能であるため危険度が高い試験条件での試験も必要により可能にできる。
【0031】
又、以上の風洞試験において車両載置台11が動かされる際には、その挙動に伴って、導風板16、17が可撓変形するので、車両載置台11が測定部7の床7aに対して段を付けて競り上がったり、載置台配置孔15内に落込んだりしても、その段差等に測定部7を流れる風が直接ぶつかることがなくなるとともに、前記風を導風板16、17により導いて整流できる。そのため、測定部7での風の乱れを少なくでき、測定精度を高めることが可能である。
【0032】
図5は本発明の第2実施形態を示している。この実施形態は基本的には前記第1実施形態と同様な構成であるので、同様構成部分には前記第1実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なる部分は、載置台配置孔15の孔縁と車両載置台11の周部とに亘って設けられている導風板25である。
【0033】
すなわち、第2実施形態では、同一の導風板25を多数用いている。これら導風板25は互いの側縁部を重ね合わせて環状に配置されているとともに、その両端部はいずれも載置台配置孔15の孔縁と車両載置台11の周部と固定部品18又は19を介して夫々固定されている。そして、車両載置台11の動きをより容易にするために固定部品18又は19が通る導風板25の固定孔の内の一方は、車両載置台11の径方向に延びる長孔25ade形成されている。なお、以上の点以外の構成は図5に示されない構成を含めて前記第1実施形態と同じである。
【0034】
従って、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用を得て、本発明の課題を解決できるものである。しかも、この第2実施形態では導風板25の両端部を載置台配置孔15及び車両載置台11に固定したから、これら導風板25の車両載置台11側が起き上がることがなくなり、そのため、風洞内を流れる風をより整流し易く測定部での風の乱れをより少なくできる点で優れている。
【0035】
図6及び図7は本発明の第3実施形態を示している。この実施形態は基本的には前記第1実施形態と同様な構成であるので、同様構成部分には前記第1実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第3実施形態が第1実施形態と異なる部分は、モーション装置の構成である。
【0036】
すなわち、第3実施形態で採用したモーション装置31は、複数例えば4台の車両載置台32と、これらの台32の動きを制御する台駆動部33とを備えている。各車両載置台32は、試験対象である実車8の車輪を個別に支持して無端回転するフラットベルト32aを水平方向に装備している。台駆動部33は、各車両載置台32に個別に連結された油圧サーボアクチュエータ等の複数本の駆動アクチュエータ33aを有して形成されている。なお、本実施形態において各車両駆動台32は前後一対の自由回転するローラを前記フラットベルトに代えて有するものであってもよい。このモーション装置31により、その各車両載置台32に亘って支持される実車8は、左右、前後、及びヨーの方向には夫々固定されているが、車両8の車輪を独立して加振させることにより、ピッチング、ローリング、及び上下方向には自由に挙動でき、かつ、実際の路面の凹凸を模擬した各車輪の独立の動きを再現できるようになっている。又、この第3実施形態において載置台配置孔15は、例えば風上側2個の車両載置台32が配置される風上側のものと、風下側2個の車両載置台32が配置される風下側のものとが設けられており、夫々は格別塞がれていない。なお、以上の点以外の構成は図6及び図7に示されない構成を含めて前記第1実施形態と同じである。
【0037】
従って、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、送風機の送風力の強さの切換えに伴う各種の風圧のもとで、例えば実車8をピッチングさせながらの風洞試験により、高速道路の路面の凹凸を考慮した実走行を模擬できるとともに、実車8をローリングさせながらの風洞試験により、高速道路の道路のカーブを曲る際の車体姿勢への影響を考慮した実走行を模擬できる等、走行安定性の評価ができるとともに、各種の強さの風圧により車体に波及する力の影響の評価、各種の強さの風圧に対する車体姿勢の変化に伴う風切り音の評価、及び各種の強さの風圧に対する横風の影響などを評価することができる。しかも、こうした風洞試験に当り、各車両載置台32のフラットベルト32aが駆動されるので、車両8のエンジンを駆動することなく、実走行を風洞の測定部7内で模擬できる。なお、フラットベルト32aに代えて一対の自由回転するローラを車両載置台が有する場合には、車両8のエンジンを駆動して風洞実験をすることにより、実走行を風洞の測定部7内で模擬できる。
【0038】
図8は本発明の第4実施形態を示している。この実施形態は基本的には前記第1実施形態と同様な構成であるので、同様構成部分には前記第1実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第4実施形態が第1実施形態と異なる部分は、モーション装置の配置である。
【0039】
すなわち、第4実施形態ではモーション装置9全体を風洞の測定部7内に収容している。なお、以上の点以外の構成は図8に示されない構成を含めて前記第1実施形態と同じである。従って、第4実施形態においても、第1実施形態と同様の作用を得て、本発明の課題を解決できるものである。
【0040】
図9は本発明の第5実施形態を示している。この実施形態は基本的には前記第3実施形態と同様な構成であるので、同様構成部分には前記第3実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第5実施形態が第3実施形態と異なる部分は、台駆動部33上に支持された車両載置台32の構成である。
【0041】
すなわち、本実施形態において車両載置台32は、床7aに開けられた単一の載置台配置孔15に遊挿された四角形状の載置台ベース32cと、このベース32c上に多数のボールベアリング又はローラベアリング32dを介して載置台ベース32cの上面に沿って回転可能に取付けられた回転テーブル32eと、このテーブル32e上に実車8の各車輪に対応して設けられた車輪受けとしての例えば4台の無端回転するモーションベルト32a(又は一対の自由回転するローラでもよい。)とを備えて形成されている。回転テーブル32eは図示しないテーブル駆動部により適宜回転駆動されるようになっている。そして、載置台ベース32cは前記第3実施形態で説明した台駆動部33の各駆動アクチュエータ33aに関節機構32fを介して連結されている。なお、以上の説明した点以外の構成は前記第3実施形態と同じであある。
【0042】
従って、この第5実施形態においても、第3実施形態と同様に、送風機の送風力の強さの切換えに伴う各種の風圧のもとで、例えば実車8をピッチングさせながらの風洞試験により、高速道路の路面の凹凸を考慮した実走行を模擬できるとともに、実車8をローリングさせながらの風洞試験により、高速道路の道路のカーブを曲る際の車体姿勢への影響を考慮した実走行を模擬できる等、走行安定性の評価できるとともに、各種の強さの風圧により車体に波及する力の影響の評価、各種の強さの風圧に対する車体姿勢の変化に伴う風切り音の評価、及び各種の強さの風圧に対する横風の影響などを評価することができる。しかも、こうした風洞試験に当り、各車両載置台32のフラットベルト32aが駆動されるので、車両8のエンジンを駆動することなく(なお、フラットベルト32aに代えて一対の自由回転するローラを用いる場合には車両のエンジンを駆動して)、実走行を風洞の測定部7内で模擬できる。その上、回転テーブル32aを有しているから、このテーブル32aの回転駆動させることにより、ヨーイングさせながら前記風洞試験を行うことができる。
【0043】
なお、本発明は前記各実施形態には制約されない、例えば風洞の測定部は密閉胴ではなく、開放胴であってもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0045】
風洞内に少なくとも上面が位置している車両載置台上に実車を載せ、6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータにより、前記車両載置台を動かすことによって前記風洞内で前記実車を動かしながら、前記風洞を通る風の前記実車への影響を測定することを特徴とする発明によれば、各種風圧下で実車に各種の動きを与えながら風洞試験を行うから、風洞内で実走行試験を模擬できる車両の風洞試験方法を提供できる。そのため、この方法を実施することにより、車両の開発にあたって、長時間テストサーキットを占有したり、テストドライバーを確保して長時間拘束したりすることを著しく減らすことができるとともに、各種計測機器の調整も手軽に行うことができるから、車両の開発に要する手間の削減に役立つ。これに加えて、台駆動部は、車両載置台の動きを6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータを有しているので、車両載置台とともに風洞内の車両を動かす自由度が高いので、実車に様々な動きを与えて風洞内で実走行試験を模擬できる。
【0046】
同様に、風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置台を6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータにより下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置と、を具備した発明によれば、各種風圧下で実車に各種の動きを与えながら風洞試験を行って、風洞内で実走行試験を模擬できる車両の風洞試験装置を提供できる。そのため、この装置を用いて風洞試験を行うことにより、車両の開発にあたって、長時間テストサーキットを占有したり、テストドライバーを確保して長時間拘束したりすることを著しく減らすことができるとともに、各種計測機器の調整も手軽に行うことができるから、車両の開発に要する手間の削減に役立つ。これに加えて、台駆動部は、車両載置台の動きを6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータを有しているので、車両載置台とともに風洞内の車両を動かす自由度が高いので、実車に様々な動きを与えて風洞内で実走行試験を模擬できる車両の風洞試験装置を提供できる。
【0047】
又、前記風洞内に配置される実車の駆動車輪を支持してこの車輪に従動して回転するローラを有した車輪受けを前記車輪載置台上に取付けた発明によれば、実車のエンジンを駆動した状態で、各種風圧下で実車に各種の動きを与えながら風洞試験を行って、風洞内で実走行試験を模擬できる車両の風洞試験装置を提供できる。
【0048】
又、前記風洞の床に載置台配置孔を設け、この配置孔に前記車両載置台を配置した発明によれば、モーション装置の台駆動部が風洞を流れる風を乱すことがなく、風洞内で実走行試験を模擬できる車両の風洞試験装置を提供できる。
【0049】
又、前記車両載置台の動きに追従して可撓変形し得る導風板を、前記載置台配置孔の孔縁と前記車両載置台の周部とに亘って設けた発明によれば、風洞を流れる風が車両載置台の動きによって乱されることを抑制しつつ、風洞内で実走行試験を模擬できる車両の風洞試験装置を提供できる。
【0050】
又、風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置を下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置とを備え、前記モーション装置を、前記実車が有する車輪を個別に載置して無端回転するモーションベルト、又は前後一対の自由回転するローラを有する回転テーブルと、この回転テーブルが回転可能取り付けられた載置台ベースと、この載置台ベースの動きを制御する複数本の駆動アクチュエータとを備えて形成した発明によれば、実車に様々な動きを与えて風洞内で実走行試験を模擬できる車両の風洞試験装置を提供できる。
【0051】
又、風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置台を下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置とを備え、前記モーション装置を、前記実車が有する車輪を個別に載置して無端回転するフラットベルト、又は前後一対の自由回転するローラを有する複数の前記車両載置台と、これら各載置台の動きを個別に制御する複数本の駆動アクチュエータを有する前記台駆動部とを備えて形成した発明によれば、車両の各車輪を独立に加振して、風洞内の実車に様々な動きを与えながら実走行試験を模擬できる車両の風洞試験装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る風洞試験装置の概略的構成を示す平面図。
【図2】図1に示された風洞試験装置の測定部の床回りの概略構成を示す縦断側面図。
【図3】図2中矢印Z−Z方向から見て示す測定部の床回りの平面図。
【図4】図2中に示された測定部の車両載置台の各種の動きを説明するための図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る風洞試験装置の測定部での車両載置台回りを示す平面図。
【図6】本発明の第3実施形態に係る風洞試験装置の測定部の床回りの概略構成を示す縦断側面図。
【図7】図6中矢印Y−Y方向から見て示す測定部の床回りの平面図。
【図8】本発明の第4実施の態に係る風洞試験装置の測定部の概略構成を示す縦断側面図。
【図9】本発明の第5実施形態に係る風洞試験装置の測定部の概略構成を示す縦断側面図。
【符号の説明】
1…風洞
7…測定部
7a…床
8…実車
9、31…モーション装置
11、32…車両載置台
12、32…台駆動部
14、33a…駆動アクチュエータ
15…載置台配置孔
16、17、25…導風板
21…ローラ
22…車輪受け
32a…フラットベルト

Claims (7)

  1. 風洞内に少なくとも上面が位置している車両載置台上に実車を載せ、該車両載置台の動きを6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータにより、前記車両載置台を動かすことによって前記風洞内で前記実車を動かしながら、前記風洞を通る風の前記実車への影響を測定することを特徴とする車両の風洞試験方法。
  2. 風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置台を6自由度で制御する6本の駆動アクチュエータにより下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置と、を具備したことを特徴とする車両の風洞試験装置。
  3. 前記風洞内に配置される実車の駆動車輪を支持してこの車輪に従動して回転するローラを有した車輪受けを前記車輪載置台上に取付けたことを特徴とする請求項2に記載の車両の風洞試験装置。
  4. 前記風洞の床に載置台配置孔を設け、この配置孔に前記車両載置台を配置したことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両の風洞試験装置。
  5. 前記車両載置台の動きに追従して可撓変形し得る導風板を、前記載置台配置孔の孔縁と前記車両載置台の周部とに亘って設けたことを特徴とする請求項4に記載の車両の風洞試験装置。
  6. 風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置台を下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置とを備え、前記モーション装置を、前記実車が有する車輪を個別に載置して無端回転するモーションベルト、又は前後一対の自由回転するローラを有する回転テーブルと、この回転テーブルが回転可能取り付けられた載置台ベースと、この載置台ベースの動きを制御する複数本の駆動アクチュエータとを備えて形成したことを特徴とする車両の風洞試験装置。
  7. 風が流れる風洞と、この風洞内に少なくとも上面が位置されるとともにこの上面に実車が載置される車両載置台、及びこの載置台を下側から支持して可動させる台駆動部を有したモーション装置とを備え、前記モーション装置を、前記実車が有する車輪を個別に載置して無端回転するフラットベルト、又は前後一対の自由回転するローラを有する複数の前記車両載置台と、これら各載置台の動きを個別に制御する複数本の駆動アクチュエータを有する前記台駆動部とを備えて形成したことを特徴とする車両の風洞試験装置。
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