JP3715066B2 - 電流モードロジック回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、MOSトランジスタのボディ領域の電圧を制御し、低電圧動作および高速動作可能なMOSトランジスタを用いた電流モードロジック回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例1.
図7は、MOSトランジスタを用いた従来の電流モードロジック回路を示す回路図であり、図において、N1,N2はNMOSトランジスタ、R1,R2は抵抗、Iは定電流源、INはNMOSトランジスタN1のゲートへ接続された入力端子、OUTはNMOSトランジスタN1のドレインへ接続された出力端子、REF(リファレンス)は基準電圧の入力端子、dはノード、BはNMOSトランジスタN1、N2のボディ端子である。
【0003】
次に動作について説明する。
以下の説明で用いられる電圧値、電流値、抵抗値は一例であり、電源電圧が2.0V、基準電圧が1.2V、抵抗R1,R2がともに1kΩ、定電流源Iが供給する電流Iが0.4mA、NMOSトランジスタN1およびN2のしきい値電圧が0.4Vであるとする。また、入力端子INには、ロウレベル(Low)の電圧として1.0Vの矩形波電圧が、ハイレベル(High)の電圧値として1.4Vの矩形波電圧が印加されるものとする。
【0004】
先ず、ノードdの電圧が、入力端子INに印加される電圧に従ってどのように決定されるかを説明する。ノードdの電圧は、入力端子INあるいは基準電圧REFの電圧よりもNMOSトランジスタN1、N2のしきい値電圧分下がった電圧値となる。入力端子INへロウレベルの電圧が印加される場合、ノードdの電圧は基準電圧より、しきい値電圧分下がった電圧である0.8Vになる。入力端子INへハイレベルの電圧が印加される場含、ノードdの電圧は、入力端子電圧よりしきい値電圧分下がった電圧である1.0Vになる。
【0005】
次に、NMOSトランジスタN1,N2のオン・オフ動作および出力端子OUTの電圧について説明する。
入力端子INへ1.0Vのロウレベルの電圧が印加された場含、NMOSトランジスタN1のゲート・ソース間の電圧差は0.2Vである。この値はしきい値電圧0.4Vよりも小さい電圧であるため、NMOSトランジスタN1はオフする。一方、NMOSトランジスタN2のゲート・ソース間の電圧差は0.4Vであり、NMOSトランジスタN2はオン状態にある。このため、出力端子OUTの電圧は、定電流源Iの電圧値2.0Vとなる。
【0006】
次に、入力端子INに1.4VのHigh電圧が印加された場合、NMOSトランジスタN1のゲート・ソース間の電圧差は0.4V、NMOSトランジスタN2のゲート・ソース間の電圧差は0.2Vになるため、NMOSトランジスタN1がオン、NMOSトランジスタN2がオフ状態になる。このとき抵抗R1には0.4mAの電流が流れ、このため出力端子OUTの電圧は1.6Vになる。以上により、以下の関係を得る。
【0007】
<IN> <OUT>
−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.0V 2.0V
1.4V 1.6V
−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0008】
上記した関係より、図7に示す従来の電流モードロジック回路は、入力端子INへ印加された入力電圧値を反転させるインバータの役割を果たす機能を有することがわかる。
【0009】
従来例2.
図8は、従来のソースホロワ回路を備えたフリップフロップ回路を示す回路図であり、図において、R1〜R4は抵抗、Q1〜Q16はNMOSトランジスタ、CS1〜CS6は定電流源、Dはデータ信号入力端子、Cはクロック信号入力端子、QおよびQBはデータ信号出力端子、VB1は第1の基準電圧端子、VB2は第2の基準電圧端子である。
【0010】
図8に示す従来例2のフリップフロップ回路は、NMOSトランジスタQ1〜Q8、抵抗R1,R2、定電流源CS1〜CS3からなるマスタ回路と、NMOSトランジスタQ9〜Q16、抵抗R3,R4、定電流源CS4〜CS6からなるスレーブ回路から構成されている。このマスタ回路とスレーブ回路とは同一の回路構成となっている。
【0011】
次に動作について説明する。
以下では、第1の基準電圧端子VB1には、データ入力端子Dに入力される信号の論理振幅のしきい値電圧を供給するものとする。また第2の基準電圧端子VB2にはクロック入力端子Cに入力される信号の論理振幅のしきい値電圧を与えるものとする。NMOSトランジスタQ1とQ2,Q9とQ10はそれぞれデータ書き込み回路を、NMOSトランジスタQ4とQ5,Q12とQ13はそれぞれデータ保持回路を構成する。
【0012】
クロック信号入力端子Cへ入力されるクロック信号がハイレベル(High)のときには、NMOSトランジスタQ3,Q14がオンし、マスタ回路内のデータ書き込み回路とスレーブ回内路のデータ保持回路がオンする。NMOSトランジスタQ6,Q11はオフし、マスタ回路内のデータ保持回路とスレーブ回路内のデータ書き込み回路はオフ状態になる。このとき、NMOSトランジスタQ1に入力されるデータ信号ID1がハイレベルであれば、NMOSトランジスタQ1がオンし、NMOSトランジスタQ2がオフし、定電流源CS1によって設定された電流は、NMOSトランジスタQ1,Q3を介して抵抗R1を流れる。
【0013】
したがって、NMOSトランジスタQ8はロウレベル(Low)を出力する。一方、NMOSトランジスタQ2はオフしているので、抵抗R2には電流が流れず、NMOSトランジスタQ7はハイレベルを出力する。このようにしてマスタ回路ではデータ書き込みが行われる。スレーブ回路ではデータ保持回路がオンしているので、前回保持したデータ信号ID0が保持されており、NMOSトランジスタQ15,Q16を介してデータ信号出力端子QB,Qへ出力されている。
【0014】
NMOSトランジスタQ7とQ8と同様に、NMOSトランジスタQ15とQ16はお互いに相補の関係にある信号を出力する。クロック信号入力端子Cに入力されるクロック信号が、ハイレベルからロウレベルへ変化すると、NMOSトランジスタQ6,Q11がオンし、マスタ回路内のデータ保持回路とスレーブ回路内のデータ書き込み回路がオンする。NMOSトランジスタQ3,Q14はオフし、マスタ回路内のデータ書き込み回路とスレーブ回路内のデータ保持回路はオフ状態になる。
【0015】
NMOSトランジスタQ4とQ5は、ゲート端子がそれぞれNMOSトランジスタQ7とQ8のソース端子に接続されており、クロック信号がハイレベルのときに入力されていたデータ信号ID1によりNMOSトランジスタQ4はオンしNMOSトランジスタQ5はオフし、これによりデータ信号ID1は保持される。従って、NMOSトランジスタQ7,Q8はクロック信号がハイレベルのときと同じ値をスレーブ回路へ出力し続ける。
【0016】
スレーブ回路内のデータ書き込み回路はオンしており、NMOSトランジスタQ7はハイレベルを出力し、またNMOSトランジスタQ8はロウレベルを出力している。このため、NMOSトランジスタQ9はオンし、NMOSトランジスタQ10はオフする。従って、定電流源CS4により設定されている電流は、NMOSトランジスタQ9,Q11を介して抵抗R3を流れる。
【0017】
このため、NMOSトランジスタQ16はロウレベルを出力する。NMOSトランジスタQ10はオフしているので、抵抗R4には電流が流れず、NMOSトランジスタQ15はハイレベルを出力する。このようにして、スレーブ回路ではデータが更新される。データ入力端子に入力される入力データがロウレベルの場合でも同様に動作するが、この場合には、NMOSトランジスタQ16はハイレベルを、NMOSトランジスタQ15はロウレベルを出力する。
【0018】
上記したように、図8に示す従来例2のフリップフロップ回路では、クロック信号がハイレベルのときにマスタ回路内にデータを取り込み、クロック信号がロウレベルのときに、スレーブ回路がデータを更新する。
【0019】
図9は、図8に示す従来例2のフリップフロップ回路の動作を示すタイミングチャートである。図9のタイミングチャートに示すように、図8に示す従来のフリップフロップ回路は、クロック信号入力端子Cから入力されるクロック信号に基づいて、入力端子Dから入力される入力データ信号を取り込み、所定クロック経過して、出力データ端子Q,QBからデータ信号を出力する。
【0020】
図10は、図8に示す従来のフリップフロップ回路に用いる定電流源を示す回路図であり、図において、Idは電流、Vcsはゲートに供給される電圧、Vdはドレインへ供給される電圧である。図11は、図10に示す定電流源の電流−電圧特性を示す説明図である。図12の説明図に示すように、一般に、ドレイン電圧Vdには飽和領域の電圧を与え、ドレイン電圧Vdが変化した場合であっても一定値の電流Idを流せるような領域で使用する。また、電圧Vcs2は、電圧Vcs1よりも高い電圧を示す。所望の電流値Idを得るためには、電圧Vcsの設定値をVcs2あるいはVcs1に設定する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示した従来例1の電流モードロジック回路では、NMOSトランジスタのボディ端子Bをアース電圧GNDに接続すると、ソース・ボディ間の電圧差Vsbが大きくなるので、基板バイアス効果を介してNMOSトランジスタのしきい値電圧が上がる。上記の従来例1で説明したように、NMOSトランジスタN1,N2を用いた従来の電流モードロジック回路では、NMOSトランジスタのしきい値電圧程度の振幅を持つ入力波形を必要とするため、電源電圧を下げるのが困難であるという課題があった。さらに、図7に示す従来例1の電流モードロジック回路内の抵抗R1,R2を可変にし、NMOSトランジスタN1がオンの時には抵抗R1の抵抗値を大きく、NMOSトランジスタN1がオフの時には、抵抗R1の抵抗値を小さくすれば、高速に動作されることができる。
【0022】
また、従来例2のフリップフロップ回路は、図8に示す構成を有しており、図9に示す定電流源回路が用いられていた。このため、NMOSトランジスタQ7と定電流源CS2、NMOSトランジスタQ8と定電流源CS3、NMOSトランジスタQ15と定電流源CS5、NMOSトランジスタQ16と定電流源CS6で構成されたソースホロワ回路において、出力がロウレベルからハイレベルヘ変化する場合には高速に動作するが、ハイレベルからロウレベルへ変化する場合には動作が遅くなるという課題があった。
【0023】
これは、出力が立ち上がるときには、NMOSトランジスタQ7,Q8,Q15,Q16の高駆動力による、即ち、負荷容量が大きいときには、ゲート電圧の2乗に比例する電流が流れる。一方、出力が立ち下がるときには、定電流源CS2,CS3,CS5,CS6の一定電流による電流が流れるためである。
【0024】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、低電圧動作および高速動作が可能な電流モードロジック回路を得ることを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係る電流モードロジック回路は、ゲートおよびボディ端子が第1の電圧を受ける入力端子に共通に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、ゲートおよびボディ端子が第2の電圧を受ける入力端子に共通に接続される第2のNMOSトランジスタと、第1及び第2のNMOSトランジスタのそれぞれのソースに接続される定電流源とを備え、第1および第2のNMOSトランジスタのドレインが、それぞれ抵抗を介して電源電圧へ接続されていることで、低電圧動作を可能にするものである。また、第1および第2のNMOSトランジスタのボディ端子のそれぞれに、第1の電圧を印加する入力端子および第2の電圧を印加する入力端子を接続して、第1および第2のNMOSトランジスタのボディ電圧を制御することで、第1および第2のNMOSトランジスタのしきい値電圧を下げ、低電圧動作を可能にするものである。
【0027】
請求項2記載の発明に係る電流モードロジック回路は、ゲートが第1の電圧を受ける入力端子に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、ゲートが第2の電圧を受ける入力端子に接続される第2のNMOSトランジスタと、ソースが電源電圧へ接続され、ゲートが接地され、ドレインが第1および第2のNMOSトランジスタのそれぞれのドレインへ接続された負荷素子としての第1および第2のPMOSトランジスタとを備え、第1のPMOSトランジスタのボディ端子が第2のPMOSトランジスタのドレインへ接続され、第2のPMOSトランジスタのボディ端子が第1のPMOSトランジスタのドレインへ接続され、第1および第2のPMOSトランジスタのボディ電圧を制御し、これら第1および第2のPMOSトランジスタのオン抵抗を制御することで、高速動作を可能とするものである。
【0028】
請求項3記載の発明に係る電流モードロジック回路は、ゲートが第1の電圧を受ける入力端子に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、ゲートが第2の電圧を受ける入力端子に接続される第2のNMOSトランジスタと、ソースが電源電圧へ接続され、ゲートが接地され、ドレインが第1および第2のNMOSトランジスタのそれぞれのドレインへ接続された負荷素子としての第1および第2のPMOSトランジスタとを備えている。さらに、第1のPMOSトランジスタのボディ端子が第1のNMOSトランジスタのゲートへ接続され、第2のPMOSトランジスタのボディ端子が第1のNMOSトランジスタのドレインへ接続されている。そして、第1および第2のPMOSトランジスタのオン抵抗を制御することで、高速動作を可能とするものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電流モードロジック回路を示す回路図であり、図において、N1,N2はNMOSトランジスタ(第1および第2のNMOSトランジスタ)、R1,R2は抵抗、Iは定電流源、INはNMOSトランジスタN1のゲートに接続された入力端子、OUTはNMOSトランジスタN1のソースに接続された出力端子、REF(リファレンス)は基準電圧の入力端子、dはノード、B1,B2はそれぞれNMOSトランジスタN1,N2のボディ端子である。実施の形態1の電流モードロジック回路は、NMOSトランジスタN1,N2のそれぞれのボディ端子B1,B2をそれぞれのゲート端子へ接続した構成となっている。
【0030】
実施の形態1の電流モードロジック回路は、NMOSトランジスタN1,N2のそれぞれのボディ端子B1,B2を、それぞれのゲートへ接続した構成にすることで、NMOSトランジスタのしきい値電圧を下げ低電圧動作を可能とするものである。
【0031】
次に動作について説明する。
NMOSトランジスタN1,N2のそれぞれのボディ端子B1,B2は、それぞれのゲート端子へ接続されているため、ソース・ボディ間の電圧差Vsbが負になる。以下の説明では、従来例1との比較を容易にするため、従来例1の場合と同様に、電源電圧が2.0V、基準電圧が1.2V、抵抗R1、R2がともに1kΩ、定電流源Iが供給する電流Iが0.4mA、NMOSトランジスタN1およびN2のしきい値電圧が0.4Vであるとする。また、入力端子INには、ロウレベルの電圧として1.0Vの矩形波電圧が、ハイレベルの電圧値として1.4Vの矩形波電圧が印加されるものとする。
【0032】
入力端子INへ印加される電圧が1.0Vから1.4Vへ変化する場合、ノードdの電圧は0.8Vから1.0Vの間で変化する。この実施の形態1の電流モードロジック回路では、NMOSトランジスタN1のボディ端子B1は、入力端子INと接続されているため、電圧差Vsbは負になる。そして、基板バイアス効果から、NMOSトランジスタN1のしきい値電圧は、電圧差Vsbが小さくなるほど低くなる。
【0033】
以上のように、この実施の形態1によれば、基板バイアス効果から、NMOSトランジスタのしきい値電圧は、電圧差Vsbが小さくなるほど低くなるので、この実施の形態1の電流モードロジック回路の回路構成によれば、NMOSトランジスタのしきい値電圧を低くして電源電圧を下げることができる。
【0034】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2による電流モードロジック回路を示す回路図であり、図3は、図2に示す電流モードロジック回路の他の構成を示す。これらの図において、P1,P2はPMOSトランジスタ(第1および第2のPMOSトランジスタ)、B3,B4はそれぞれPMOSトランジスタP1,P2のボディ端子、d1,d2はノードである。また、N3,N4はNMOSトランジスタ(第3および第4のNMOSトランジスタ)である。尚、その他の構成要素は実施の形態1のものと同様なのでそれらの説明は省略する。
図2および図3に示すこの実施の形態2の電流モードロジック回路では、実施の形態1の電流モードロジック回路における抵抗R1,R2をPMOSトランジスタP1,P2、あるいはNMOSトランジスタN3,N4で置き換える。さらに、PMOSトランジスタP1,P2、NMOSトランジスタN3,N4のボディ端子B3,B4のそれぞれが、それぞれのドレインへ接続された構成を有する。
また、図2に示す電流モードロジック回路では、PMOSトランジスタP1,P2のゲートは接地されており、図3に示す電流モードロジック回路では、NMOSトランジスタN3,N4のゲートは電源電圧へ接続されている。
【0035】
実施の形態2の電流モードロジック回路は、PMOSトランジスタP1,P2、NMOSトランジスタN3,N4のボディ端子B3,B4のそれぞれが、それぞれのドレインへ接続された構成を有し、PMOSトランジスタP1,P2、NMOSトランジスタN3,N4のボディ電圧を制御してオン抵抗を制御し、これにより高速動作が可能な電流モードロジック回路を得るものである。
【0036】
次に動作について説明する。
以下では、図2に示す電流モードロジック回路の動作に関して説明を行う。尚、図3に示すNMOSトランジスタN3,N4を用いた電流モードロジック回路の動作は、基本的に図2の場合と同様なので、ここではそれらの説明を省略する。
入力端子INにロウレベルの電圧が入力されると、NMOSトランジスタN1がオフ状態、NMOSトランジスタN2がオン状態となる。このとき、ノードdの電圧は上昇し、ノードd2の電圧は下降する。このためPMOSトランジスタP1のボディ電圧は下がり、基板バイアス効果によりPMOSトランジスタP1のしきい値電圧は下がる。よってPMOSトランジスタP1のオン抵抗が下がり、出力端子OUTの電圧は、電源電圧まで上昇する。
【0037】
入力端子INにハイレベルの電圧が印加すると、NMOSトランジスタN1がオン状態、NMOSトランジスタN2がオフ状態になる。このとき、PMOSトランジスタP1のボディ端子B3でのボディ電圧は上昇し、これによりPMOSトランジスタP1のしきい電圧が上昇するので、PMOSトランジスタP1のオン抵抗が上がる。これにより、出力端子OUTの出力電圧が下がりやすくなる。尚、図2に示した実施の形態2では、インバータ論理の場合について説明したが、例えば、バッファ論理の場合(図示せず)では、NMOSトランジスタN2のドレインへ出力端子OUTが接続され、同様の動作を行う。
【0038】
以上のように、この実施の形態2によれば、PMOSトランジスタP1,P2、NMOSトランジスタN3,N4のボディ端子B3,B4のそれぞれが、それぞれのドレインへ接続された構成を有し、これによりPMOSトランジスタP1、NMOSトランジスタN3,N4のしきい値電圧を上昇させ、出力端子OUTの出力電圧を下がりやすくして、高速動作を行うことができる。
【0039】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3による電流モードロジック回路を示す回路図であり、図において、d3,d4はノードである。尚、その他の構成要素は、実施の形態2のものと同様なのでそれらの説明は省略する。
この実施の形態3の電流モードロジック回路では、実施の形態2の電流モードロジック回路におけるPMOSトランジスタP1,P2のボディ端子B3,B4をそれぞれノードd3,d4へ接続し、PMOSトランジスタP1,P2のゲートを接地した構成を有している。
【0040】
実施の形態3の電流モードロジック回路は、PMOSトランジスタP1,P2のボディ端子B3,B4のそれぞれが、ノードd3,d4へ接続された構成を有し、PMOSトランジスタP1,P2のボディ電圧を制御してPMOSトランジスタP1,P2のオン抵抗を制御し、これにより高速動作が可能なインバータを得るものである。
【0041】
次に動作について説明する。
PMOSトランジスタP1のボディ端子B3はノードd3を介して入力端子INへ接続されている。また、PMOSトランジスタP2のボディ端子B4は、ノードd4を介して出力端子OUTへ接続されている。
【0042】
この実施の形態3の電流モードロジック回路の動作は、図2に示す実施の形態2の電流モードロジック回路の動作と同様に、負荷トランジスタであるPMOSトランジスタP1のオン抵抗が可変になり、その動作が高速化される。実施の形態2の電流モードロジック回路の場合と比較すると、実施の形態3の電流モードロジック回路は、PMOSトランジスタP1のボディ端子B3の電圧の変化が入力端子INに印加される電圧の変化とともに変化するので、実施の形態2のものと比較してさらに高速動作を行わせることができる。
【0043】
実施の形態4.
図5は、この発明の実施の形態4によるソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路を示す回路図であり、図において、Q1〜Q6,Q7(第5のNMOSトランジスタ),Q8(第6のNMOSトランジスタ),Q9〜Q14,QA(第7のNMOSトランジスタ),QB(第8のNMOSトランジスタ),QC,QDはNMOSトランジスタ、R1〜R4は抵抗、CS1,CS2,CS4,CS5は定電流源、QB,Q,C,D,VB1,VB2はそれぞれ、MOSトランジスタQ13,Q12,Q3,Q1,Q2,Q6のゲートに接続されている端子である。この実施の形態4のソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路は、MOSトランジスタQ1〜Q8,QA,QBからなるマスタ回路と、MOSトランジスタQ9〜Q16,QC,QDからなるスレーブ回路から構成されている。また、NMOSトランジスタQ7,Q8,QA,QBと電流源CS2からソースホロワ回路が構成される。
【0044】
実施の形態4のソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路は、マスタ回路内のNMOSトランジスタQ7,Q8,QA,QBと電流源CS2から構成されるソースホロワ回路により、NMOSトランジスタQ8の出力を高速に立ち下げてフリップフロップ回路を高速に動作させるものである。
【0045】
次に動作について説明する。
以下では、第1の基準電圧端子VB1には、データ入力端子Dに入力される信号の論理振幅のしきい値電圧を供給するものとする。また第2の基準電圧端子VB2にはクロック入力端子Cに入力される信号の論理振幅のしきい値電圧を与えるものとする。
【0046】
NMOSトランジスタQ1とQ2、Q9とQ10はそれぞれデータ書き込み回路を、NMOSトランジスタQ4とQ5、Q12とQ13はそれぞれデータ保持回路を構成する。
【0047】
クロック信号入力端子Cへ入力されるクロック信号がハイレベルのときには、NMOSトランジスタQ3,Q14がオンし、マスタ回路内のデータ書き込み回路とスレーブ回路内のデータ保持回路がオンする。NMOSトランジスタQ6,Q11はオフし、マスタ回路内のデータ保持回路とスレーブ回路内のデータ書き込み回路はオフ状態になる。このとき、NMOSトランジスタQ1に入力されるデータ信号ID1がハイレベルであれば、NMOSトランジスタQ1がオンし、NMOSトランジスタQ2がオフし、定電流源CS1によって設定された電流は、NMOSトランジスタQ1,Q3を介して抵抗R1を流れる。したがって、NMOSトランジスタQ8はロウレベルを出力する。
【0048】
一方、NMOSトランジスタQ2はオフしているので、抵抗R2には電流が流れず、NMOSトランジスタQ7はハイレベルを出力する。このようにしてマスタ回路ではデータ書き込みを行う。スレーブ回路ではデータ保持回路がオンしているので、前回保持したデータ信号ID0が保持されており、NMOSトランジスタQ15,Q16を介してデータ信号出力端子QB,Qへ出力されている。
【0049】
NMOSトランジスタQ7とQ8と同様に、NMOSトランジスタQ15とQ16はお互いに相補の関係にある信号を出力する。クロック信号入力端子Cに入力されるクロック信号が、ハイレベルからロウレベルに変化すると、NMOSトランジスタQ6,Q11がオンし、マスタ回路内のデータ保持回路とスレーブ回路内のデータ書き込み回路がオンする。NMOSトランジスタQ3,Q14はオフし、マスタ回路内のデータ書き込み回路とスレーブ回路内のデータ保持回路はオフ状態になる。
【0050】
NMOSトランジスタQ4とQ5は、ゲート端子がそれぞれNMOSトランジスタQ7とQ8のソースに接続されており、クロック信号がハイレベルのときに入力されていたデータ信号ID1によりNMOSトランジスタQ4はオンしNMOSトランジスタQ5はオフし、これによりデータ信号ID1は保持される。従って、NMOSトランジスタQ7,Q8はクロック信号がハイレベルのときと同じ値をスレーブ回路へ出力し続ける。
【0051】
スレーブ回路内のデータ書き込み回路はオンしており、NMOSトランジスタQ7はハイレベルを出力し、またNMOSトランジスタQ8はロウレベルを出力している。このため、NMOSトランジスタQ9はオンし、NMOSトランジスタQ10はオフする。従って、定電流源CS4により設定されている電流は、NMOSトランジスタQ9,Q11を介して抵抗R3を流れる。
【0052】
このため、NMOSトランジスタQ16はロウレベルを出力する。NMOSトランジスタQ10はオフしているので、抵抗R4には電流が流れず、NMOSトランジスタQ15はハイレベルを出力する。このようにして、スレーブ回路ではデータが更新される。データ入力端子に入力される入力データがロウレベルの場合でも同様に動作するが、この場合には、NMOSトランジスタQ16はハイレベルを、NMOSトランジスタQ15はロウレベルを出力する。即ち、クロック信号がハイレベルのときにマスタ回路内にデータを取り込み、クロック信号がロウレベルのときに、スレーブ回路がデータを更新する。
【0053】
図5に示す実施の形態4のフリップフロップ回路において、マスタ回路内のNMOSトランジスタQ7,Q8,QA,QBと定電流源CS2から構成されるソースホロワ回路では、NMOSトランジスタQ7にハイレベルの電圧の信号が入力され、NMOSトランジスタQ8にロウレベルの電圧の信号が入力された場合、NMOSトランジスタQBがオンし、定電流源CS2の電流は、すべてNMOSトランジスタQBを流れ、NMOSトランジスタQ8の出力を高速に立ち下げることができる。また、このときにはNMOSトランジスタQAはオフし、NMOSトランジスタQ7に流れる電流は、すべてNMOSトランジスタQ7の出力の立ち上がりに使われる。
【0054】
以上のように、この実施の形態4によれば、マスタ回路内のNMOSトランジスタQ7,Q8,QA,QBと電流源CS2から構成されるソースホロワ回路により、NMOSトランジスタQ8の出力を高速に立ち下げることができる。この場合、NMOSトランジスタQAはオフしてNMOSトランジスタQ7に流れる電流は、すべてNMOSトランジスタQ7の出力の立ち上がりに使用することができるので、フリップフロップ回路を高速に動作することができる。
【0055】
実施の形態5.
図6は、この発明の実施の形態5によるソースホロワ回路を備えるフリップフロップ回路を示す回路図であり、図において、RA,RB,RC,RDは抵抗であり、それぞれNMOSトランジスタQA,QB,QC,QDのゲートへ接続されている。抵抗RA,RBの他方の端子は定電流源CS2へ接続されている。同様に抵抗RC,RDの他方の端子は定電流源CS5へ接続されている。尚、他の構成要素は、実施の形態4のものと同様でありそれらの説明を省略する。
【0056】
実施の形態5のソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路は、抵抗RA、RBをNMOSトランジスタQA,QBのソース側と定電流源CS2との間に挿入し、スレーブ回路においては抵抗RC,RDをNMOSトランジスタQC,QDと定電流源CS5との間に挿入し、マスタ回路のNMOSトランジスタQA,QBのいずれか、またスレーブ回路のNMOSトランジスタQC,QDのいずれかを完全にオフさせないようにするものである。即ち、マスタ回路内で、NMOSトランジスタQBが即座にオンし、定電流源CS2のほとんどの電流はNMOSトランジスタQBを流れ、NMOSトランジスタQ8の出力を高速に立ち下げ、またこの時、NMOSトランジスタQAは、徐々に緩やかにオンし、NMOSトランジスタQ7に流れる大部分の電流はNMOSトランジスタQ7の出力の立ち上がりとして使用させ高速に動作させるものである。
【0057】
次に動作について説明する。
NMOSトランジスタQ7のゲート入力としてハイレベルの電圧の信号が入力され、NMOSトランジスタQ8のゲート入力としてロウレベルの電圧の信号が入力された場合、NMOSトランジスタQBが即座にオンし、定電流源CS2のほとんどの電流はNMOSトランジスタQBを流れ、NMOSトランジスタQ8の出力を高速に立ち下げる。またこの時、NMOSトランジスタQAは、徐々に緩やかにオンし、NMOSトランジスタQ7に流れる大部分の電流はNMOSトランジスタQ7の出力の立ち上がりとして使用される。以上のようにして高速動作を実現する。
【0058】
この実施の形態5のフリップフロップ回路の動作は、基本的に実施の形態4のフリップフロップ回路の動作と同様であるが、実施の形態5のフリップフロップ回路のマスタ回路において、抵抗RA,RBをNMOSトランジスタQA,QBのソース側と定電流源CS2との間に挿入し、スレーブ回路においては抵抗RC,RDをNMOSトランジスタQC,QDのソース側と定電流源CS5との間に挿入し、マスタ回路のNMOSトランジスタQA,QBのいずれか、またスレーブ回路のNMOSトランジスタQC,QDのいずれかを完全にオフさせないようにしたものである。
【0059】
例えば、実施の形態4のフリップフロップ回路では、NMOSトランジスタQAが完全にオフした場合に、NMOSトランジスタQ7内のリーク電流により、低周波数で動作させる場合、NMOSトランジスタQ7の出力レベルが上昇してしまう場合がある。これに対し実施の形態5のフリップフロップ回路の構成では、そのようなことは発生しない。
【0060】
なお、実施の形態4および実施の形態5では、ソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路の例を示したが、この発明は、この例に限定されることなく一般的な電流モード回路のすべてに適用できるのは言うまでもない。また、NMOSトランジスタのボディ端子はソース電位でもGNDレベルのいずれに接続した構成でもよい。
【0061】
以上のように、この実施の形態5によれば、ソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路内のマスタ回路で、NMOSトランジスタQBが即座にオンし、定電流源CS2のほとんどの電流はNMOSトランジスタQBを流れ、NMOSトランジスタQ8の出力を高速に立ち下げ、またこの時、NMOSトランジスタQAは、徐々に緩やかにオンし、NMOSトランジスタQ7に流れる大部分の電流はNMOSトランジスタQ7の出力の立ち上がりとして使用されるので、高速動作を実現することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、ゲートおよびボディ端子が第1の電圧を受ける入力端子に共通に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、ゲートおよびボディ端子が第2の電圧を受ける入力端子に共通に接続される第2のNMOSトランジスタと、前記第1及び第2のNMOSトランジスタのそれぞれのソースに接続される定電流源とを備え、第1および第2のNMOSトランジスタのドレインが、それぞれ抵抗を介して電源電圧へ接続するように構成したので、低電圧動作できる効果がある。また、第1および第2のNMOSトランジスタのしきい値電圧を下げ、低電圧動作が可能となる効果がある。
【0064】
請求項2記載の発明によれば、ゲートが第1の電圧を受ける入力端子に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、ゲートが第2の電圧を受ける入力端子に接続される第2のNMOSトランジスタと、ソースが電源電圧へ接続され、ゲートが接地され、ドレインが第1および第2のNMOSトランジスタのそれぞれのドレインへ接続された負荷素子としての第1および第2のPMOSトランジスタとを備える。さらに、第1のPMOSトランジスタのボディ端子が第2のPMOSトランジスタのドレインへ接続され、第2のPMOSトランジスタのボディ端子が第1のPMOSトランジスタのドレインへ接続され、第1および第2のPMOSトランジスタのボディ電圧を制御して、第1および第2のPMOSトランジスタのオン抵抗を制御するように構成したので、高速動作できる効果がある。
【0065】
請求項3記載の発明によれば、第1および第2のPMOSトランジスタのゲートは接地され、第1のPMOSトランジスタのボディ端子は第1のNMOSトランジスタのゲートへ接続され、第2のPMOSトランジスタのボディ端子は第1のNMOSトランジスタのドレインへ接続され、第1および第2のPMOSトランジスタのオン抵抗を制御するように構成したので、高速動作できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による電流モードロジック回路を示す回路図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による電流モードロジック回路を示す回路図である。
【図3】 図2に示す電流モードロジック回路の他の構成を示す回路図である。
【図4】 この発明の実施の形態3による電流モードロジック回路を示す回路図である。
【図5】 この発明の実施の形態4によるソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路を示す回路図である。
【図6】 この発明の実施の形態5によるソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路を示す回路図である。
【図7】 従来の電流モードロジック回路を示す回路図である。
【図8】 従来のソースホロワ回路を有するフリップフロップ回路を示す回路図である。
【図9】 従来のフリップフロップ回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】 従来のフリップフロップ回路に用いる定電流源を示す回路図である。
【図11】 図10に示す定電流源の電流−電圧特性を示す説明図である。
【符号の説明】
B1,B2,B3,B4 ボディ端子、I 定電流源、IN 入力端子、N1NMOSトランジスタ(第1のNMOSトランジスタ)、N2 NMOSトランジスタ(第2のNMOSトランジスタ)、N3 NMOSトランジスタ(第3のNMOSトランジスタ)、N4 NMOSトランジスタ(第4のNMOSトランジスタ)、OUT 出力端子、P1 PMOSトランジスタ(第1のPMOSトランジスタ)、P2 PMOSトランジスタ(第2のPMOSトランジスタ)、Q1,Q2 データ書き込み回路、Q4,Q5 データ保持回路、Q7 NMOSトランジスタ(第5のNMOSトランジスタ)、Q8 NMOSトランジスタ(第6のNMOSトランジスタ)、QA NMOSトランジスタ(第7のNMOSトランジスタ)、QB NMOSトランジスタ(第8のNMOSトランジスタ)、R1,R2,RA,RB 抵抗。
Claims (3)
- ゲートおよびボディ端子が第1の電圧を受ける入力端子に共通に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、
ゲートおよびボディ端子が第2の電圧を受ける入力端子に共通に接続される第2のNMOSトランジスタと、
前記第1及び第2のNMOSトランジスタのそれぞれのソースに接続される定電流源とを備え、
前記第1及び第2のNMOSトランジスタのドレインはそれぞれ抵抗を介して電源電圧へ接続されている電流モードロジック回路。 - ゲートが第1の電圧を受ける入力端子に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、
ゲートが第2の電圧を受ける入力端子に接続される第2のNMOSトランジスタと、
ソースが電源電圧へ接続され、ゲートが接地され、ドレインが前記第1および第2のNMOSトランジスタのそれぞれのドレインへ接続された負荷素子としての第1および第2のPMOSトランジスタとを備え、
前記第1のPMOSトランジスタのボディ端子が前記第2のPMOSトランジスタのドレインへ接続され、前記第2のPMOSトランジスタのボディ端子が前記第1のPMOSトランジスタのドレインへ接続されることを特徴とする電流モードロジック回路。 - ゲートが第1の電圧を受ける入力端子に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1のNMOSトランジスタと、
ゲートが第2の電圧を受ける入力端子に接続される第2のNMOSトランジスタと、
ソースが電源電圧へ接続され、ゲートが接地され、ドレインが前記第1および第2のNMOSトランジスタのそれぞれのドレインへ接続された負荷素子としての第1および第2のPMOSトランジスタとを備え、
前記第1のPMOSトランジスタのボディ端子は前記第1のNMOSトランジスタのゲートへ接続され、前記第2のPMOSトランジスタのボディ端子は前記第1のNMOSトランジスタのドレインへ接続されることを特徴とする電流モードロジック回路。
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