JP3714034B2 - 防犯プレート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き戸のガラス面に貼り付けることで防犯機能を向上できる防犯プレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、家屋の窓部やバルコニー等におけるアルミサッシよりなる引き戸装置には、部外者が屋内へ侵入するのを防止するための本締まり錠としてクレセント錠が広く採用されている。
しかし、上記クレセント錠による施錠だけでは、屋外引き戸のガラスの錠対応部分だけを割って当該クレセント錠を解錠すれば、部外者が比較的容易に侵入できることが知られている。
【0003】
そこで、屋外引き戸のガラスの屋内側面に張り付け可能な取付基板と、この取付基板に上下揺動自在に取り付けられたロック部材と、を備えており、このロック部材が、屋内引き戸の走行経路から外れるアンロック姿勢と屋内引き戸の走行経路内に突出するロック姿勢とに切り換え自在になっている引き戸の補助ロック装置が既に市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の補助ロック装置によれば、当該ロック部材をロック姿勢にしておけば、クレセント錠による本施錠に加えて引き戸を補助的にロックできるので、この点で引き戸の防犯機能を向上することができる。
しかるに、この種の補助ロック装置では、取付基板を屋外引き戸のガラスの上端部又は下端部に取り付けるようにしており、取付基板によって屋外引き戸のガラスの錠対応部分を割ること自体を防止できる訳ではない。
【0005】
このため、当該補助ロック装置を設けただけでは、クレセント錠(本締まり錠)そのものの解錠を有効に防止することはできず、この点で防犯機能の向上にも自ずから限界があった。
そこで、本発明の課題は、部外者が屋外引き戸のガラスの錠対応部分を割ること自体を可及的に防止できるようにして、引き戸の防犯機能を大幅に向上する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明の防犯プレートは、両引き戸の本締まり錠を屋外側から見えなくなるように覆うことができかつ屋外引き戸のガラス面に貼り付け可能なプレート本体と、このプレート本体の裏面に設けられた接着層と、を備えており、前記プレート本体は、屋外引き戸のガラスの屋内側面に貼り付けられる屋内プレートよりなり、この屋内プレートは、クレセント錠の被掛止爪との干渉を避けるための逃げ凹部が形成された直線縁を有しているものである。
【0007】
上記の本発明によれば、屋外引き戸のガラスにおける本締まり錠の対応部分にプレート本体を貼り付けることにより、当該プレート本体によって本締まり錠が屋外側から見えないように隠され、プレート本体よりも広い範囲で屋外引き戸のガラスを割らない限り本締まり錠を解錠できなくなる。
このため、プレート本体を貼り付けていない場合に比べて、本締まり錠を解錠するのに必要なガラスを割る範囲が拡大することになり、泥棒等の部外者が屋外引き戸のガラスの錠対応部分を割るのを諦めて退散する蓋然性が大きくなる。
【0008】
上記の本発明において、プレート本体は、屋外引き戸のガラスの屋内側面に貼り付けられる屋内プレートより構成され、この屋内プレートは、逃げ凹部が形成された直線縁を有しているので、その直線縁が屋外引き戸の縦枠に添いかつ逃げ凹部内に被掛止爪が位置する状態で、屋外引き戸のガラスの屋内側面に貼り付けることができる。
もっとも、プレート本体は、かかる屋内プレートと、この屋内プレートと同じ外周形状に形成された屋外プレートとから、二枚一組のものとして構成することもできる。
【0009】
本発明において、屋外プレートを有するプレート本体を採用する場合には、その屋外プレートの表面に防犯設置表示を記載しておくことが好ましい。また、屋内プレートよりなるプレート本体を採用する場合には、その屋内プレートの接着面に防犯設置表示を記載しておくことが好ましい。
【0010】
その理由は、本締まり錠を覆った状態で貼り付けてあるプレート本体に上記防犯設置表示を記載しておけば、泥棒等の部外者が引き戸における本締まり錠の対応部分に注目した途端に当該表示がその部外者の目に止まることになり、このため、同部外者が屋外引き戸のガラスの錠対応部分を割ることを諦める蓋然性がより増大するからである。
【0011】
また、屋内プレートを有するプレート本体を採用する場合には、屋内引き戸の走行経路から外れるアンロック姿勢と屋内引き戸の走行経路内に突出するロック姿勢とに切り換え自在なロック部材を屋内プレートに設けておけば、当該防犯プレートを引き戸の補助ロック装置として兼用できるようになる。
更に、この補助ロック装置を兼用した防犯プレートにおいて、上記ロック部材を、屋内引き戸に対する走行方向におけるロック位置を切り換えることができる機能を有するものにしておけば、屋内引き戸を換気のための半開き状態でロックできるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1〜図4は、本発明の第一の実施形態の防犯プレート1を示しており、このうち、図1は、家屋の窓部やバルコニー等に設置されるアルミサッシよりなる引き戸装置に本実施形態の防犯プレート1を使用した場合を示している。
【0013】
この場合の引き戸装置は、図外のサッシ枠に互いに引き違い状となるように走行自在に嵌め込まれた屋外引き戸2及び屋内引き戸3と、これらの両引き戸2,3を本締めするためのクレセント錠(本締まり錠)4と、を備えており、両引き戸2,3の枠内には板状の透明又は半透明のガラス5が嵌め込まれている。
上記クレセント錠4は、屋外引き戸2の縦枠6の枠内端面に固定された被掛止爪8と、屋内引き戸3の縦枠7の枠外端面に固定された錠本体9と、を備えている。
【0014】
このうち、錠本体9は、上記縦枠7の枠外端面に固定された取付台10と、この取付台10に横軸回りに回転自在に枢着された円弧状のロックプレート11と、このロックプレート11に固定された操作レバー12と、を備えており、操作レバー12を上方へ回してロックプレート11を前記被掛止爪8に引っ掛けることにより、屋内外方向に重なる縦枠6,7同士を互いに連結し、これによって両引き戸2,3を本施錠できるようになっている。
【0015】
本実施形態の防犯プレート1は、両引き戸2,3を本締めする上記クレセント錠4を屋外側から見えなくなるように覆うことができかつ屋外引き戸2のガラス5に貼り付け可能な屋外プレート13及び屋内プレート14よりなるプレート本体15と、このプレート本体15の裏面に設けられた接着層16とから構成されている。
【0016】
図2に示すように、プレート本体15を構成する各プレート13,14のうち、屋外プレート13は、ステンレス等の金属平板を半円状に形成してなり、この半円金属板の裏面に接着層16を塗布することによって構成されている。
この屋外プレート13は、屋内引き戸3の枠外端面から突出するクレセント錠4の錠本体9の突出幅よりも大きい幅寸法を有しており、かつ、錠本体9の操作レバー12を上方に向けても下方に向けてもこれを完全に隠すことのできる高さ寸法を有している。
【0017】
また、屋外プレート13の表面には、「Security・plate」の文字と手形のマークよりなる防犯設置表示17が記載されている。この防犯設置表示17は、当該引き戸装置に何らかの防犯対策が施されていることを観念させる表示であればよく、一般的な表示として、「防犯装置設置所」、「防犯ロック設置済み」、「防犯ベル設置所」、「警官立ち寄り所」等を採用することにしてもよい。
【0018】
一方、図3に示すように、屋内プレート14は、ステンレス等の金属平板を半円状に形成してなり、クレセント錠4の被掛止爪8との干渉を避けるための逃げ凹部18を中央部に備えている。
この屋内プレート14も、屋外プレート13と同じ外周形状の半円状に形成されており、このため、屋内引き戸3の枠外端面から突出するクレセント錠4の錠本体9の突出幅よりも大きい幅寸法を有しており、かつ、錠本体9の操作レバー12を上方に向けても下方に向けてもこれを完全に隠すことのできる高さ寸法を有している。
【0019】
なお、図示省略しているが、この屋内プレート14の裏面にも前記接着層16が塗布されている。
次に、図1及び図4を参照しつつ、本実施形態の防犯プレート1の使用方法と作用を説明する。
【0020】
すなわち、まず、当該防犯プレート1を引き戸装置に設置するには、図1に示すように、直線縁が屋外引き戸2の縦枠6に添いかつ逃げ凹部18内に被掛止爪8が位置するように屋内プレート14を位置決めし、その状態で屋外引き戸2のガラス5の屋内側面に屋内プレート14を貼り付ける。
その後、上記屋内プレート14と重なり合うように屋外プレート13を位置決めし、その状態で屋外引き戸2のガラス5の屋外側面に屋外プレート13を貼り付けることにより、防犯プレート1の設置が完了する。
【0021】
図4はその防犯プレート1の設置後の引き戸装置を屋外側から見た正面図であり、同図に示すように、クレセント錠4は上記各プレート13,14によって屋外側から見えないように覆われている。
このように、本実施形態の防犯プレート1によれば、クレセント錠4を屋外側から見えないように覆う屋外プレート13と屋内プレート14を屋外引き戸2のガラス5に貼り付けるようにしているので、泥棒等の部外者がクレセント錠4を解錠するのに必要なガラス5を割る範囲が大幅に拡大し、このため、その部外者が屋外引き戸2のガラス5の錠対応部分を割るのを諦める蓋然性が高くなり、引き戸装置の防犯機能を向上させることができる。
【0022】
また、本実施形態では、屋外プレート13の表面に防犯設置表示17が記載されているので、泥棒等の部外者がクレセント錠4の対応部分に注目した途端に当該表示17がその部外者の目に止まることになり、同部外者が屋外引き戸2のガラス5の錠対応部分を割ることを諦める蓋然性がより高められるという効果もある。
【0023】
更に、本実施形態では、屋外プレート13と屋内プレート14をガラス5の表裏に重なり合うように貼り付けているので、仮に部外者が屋外プレート13を無理やり剥がしても、その裏の屋内プレート14によってクレセント錠4が依然として隠されることになり、この点でも、部外者が屋外引き戸2のガラス5の錠対応部分を割ることを諦める蓋然性がより高められる。
【0024】
図5は、本発明の第二の実施形態を示している。
本実施形態が第一実施形態と異なる点は、屋内プレート14に屋内引き戸3の開き方向の走行を規制するロック部材20を設けることにより、当該防犯プレート1を引き戸の補助ロック装置として兼用している点にある。
すなわち、本実施形態の屋内プレート14は、縦長の長方形板状に形成され、屋内引き戸3の走行経路から外れるアンロック姿勢と屋内引き戸3の走行経路内に突出するロック姿勢とに切り換え自在なロック部材20を上端部に備えている。
【0025】
この屋内プレート14の上部左右両側には支持ブラケット21が屈曲形成され、この両支持ブラケット21間に架設したシャフト22に前記ロック部材20の基端部が上下揺動自在に枢着されている。
また、本実施形態のロック部材20は、長方形状に形成された閉鎖ロック用の第一ロック体23と、同じく長方形状に形成された換気ロック用の第二ロック体24とに左右に分割構成されていて、これにより、屋内引き戸3に対する走行方向におけるロック位置を切り換えられるようになっている。
【0026】
屋内プレート14の表面上部には、ロック部材20を屋内側に押圧する板ばね25が設けられており、ロック部材20を上方へ回動すると、この板ばね25がロック部材20の上面に当接し、同ロック部材20が屋内プレート14に対して折り畳み状態となってアンロック姿勢に位置決めされる。
他方、アンロック姿勢にあるロック部材20を下方へ回動すると、板ばね25がロック部材20の基端縁面に当接し、同ロック部材20が片持ち状態に突出するロック姿勢に位置決めされる。
【0027】
なお、ロック部材20をロック姿勢とアンロック姿勢とに切り換え自在にする手段としては、片持ち状態よりも下方へ下がらないようにロック部材20の回動範囲を規制しておき、ロック部材20を磁力でアンロック姿勢に保持する手段を採用することもできる。
本実施形態の防犯プレート1によれば、ロック部材20を構成する各ロック体23,24のうち、第一ロック体23をロック姿勢にしておけば、クレセント錠4による本施錠に加えて、閉鎖状態にある引き戸2,3を補助的にロックすることができる。
【0028】
また、第一ロック体23をアンロック姿勢にしかつ第二ロック体24をロック姿勢にしておくことにより(図5の状態)、屋内引き戸3を換気のために半開きにした状態でロックすることができる。
【0029】
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。
例えば、プレート本体15は、屋外プレート13又は屋内プレート14のいずれか一方だけで構成することもできる。
もっとも、プレート本体15を屋外プレート13だけで構成した場合には、これを剥がすだけでクレセント錠4を目視できるようになって防犯効果が低下するので、少なくとも屋内プレート14を貼り付けておくことが好ましい。
【0030】
また、プレート本体15を屋内プレート14だけで構成する場合には、その接着面に前記防犯設置表示17を記載しておくことにより、ガラス5を通して当該表示17を部外者に知らしめることが好ましい。
更に、屋外プレート13及び屋内プレート14は、クレセント錠4が外部から見えないように実質的に覆うことができる大きさのものであればその平面形状は任意であり、前記半円形状や長方形状以外のものを採用してもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、部外者が屋外引き戸のガラスの錠対応部分を割ること自体を可及的に防止できるので、引き戸の防犯機能を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態の防犯プレートとその設置構造を示す斜視図である。
【図2】(a)は屋外プレートの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。
【図3】屋内プレートの平面図である。
【図4】防犯プレートを設置した後の引き戸装置を屋外側から見た正面図である。
【図5】第二実施形態の防犯プレートとその設置構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 防犯プレート
2 屋外引き戸
3 屋内引き戸
4 クレセント錠(本締まり錠)
5 ガラス
13 屋外プレート
14 屋内プレート
15 プレート本体
16 接着層
17 防犯設置表示
20 ロック部材
Claims (6)
- 両引き戸(2,3)の本締まり錠(4)を屋外側から見えなくなるように覆うことができかつ屋外引き戸(2)のガラス(5)に貼り付け可能なプレート本体(15)と、このプレート本体(15)の裏面に設けられた接着層(16)と、を備えており、
前記プレート本体(15)は、屋外引き戸(2)のガラス(5)の屋内側面に貼り付けられる屋内プレート(14)よりなり、この屋内プレート(14)は、クレセント錠(4)の被掛止爪(8)との干渉を避けるための逃げ凹部(18)が形成された直線縁を有している防犯プレート。 - プレート本体(15)は、直線縁が屋外引き戸(2)の縦枠(6)に添いかつ逃げ凹部(18)内に被掛止爪(8)が位置する状態で屋外引き戸(2)のガラス(5)の屋内側面に貼り付けられる屋内プレート(14)に加えて、
前記屋内プレート(14)と同じ外周形状に形成されかつ当該屋内プレート(14)と重なり合う状態で前記屋外引き戸(2)のガラス(5)の屋外側面に貼り付けられる屋外プレート(13)を備えている請求項1に記載の防犯プレート。 - 屋外プレート(13)の表面に防犯設置表示(17)が記載されている請求項2に記載の防犯プレート。
- 屋内プレート(14)の接着面に防犯設置表示(17)が記載されている請求項1に記載の防犯プレート。
- 屋内引き戸(3)の走行経路から外れるアンロック姿勢と屋内引き戸(3)の走行経路内に突出するロック姿勢とに切り換え自在なロック部材(20)が屋内プレート(14)に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の防犯プレート。
- ロック部材(20)は、屋内引き戸(3)に対する走行方向におけるロック位置を切り換えることができる機能を有する請求項5に記載の防犯プレート。
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