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JP3712886B2 - 漏電遮断器及び地絡の検出方法 - Google Patents

漏電遮断器及び地絡の検出方法 Download PDF

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JP3712886B2
JP3712886B2 JP11591699A JP11591699A JP3712886B2 JP 3712886 B2 JP3712886 B2 JP 3712886B2 JP 11591699 A JP11591699 A JP 11591699A JP 11591699 A JP11591699 A JP 11591699A JP 3712886 B2 JP3712886 B2 JP 3712886B2
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勝弘 川上
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、零相変流器により漏電の検出を行う漏電遮断器及び地絡の検出方法に関するもので、特に、零相変流器の不平衡特性による誤動作を防止した漏電遮断器及び地絡の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、例えば特開平09ー093790号公報に示された従来の漏電遮断器の内部回路を示すブロック図である。
図において、1は交流電路、2は零相変流器、3は漏電検出回路、4は漏電検出回路3の出力端子に接続されたスイッチング素子、5はスイッチング素子4により駆動される電磁装置、6は電磁装置5の駆動により交流電路1の電流を遮断する遮断器接点、7は過電流検出処理回路で、その内部構成は各相で検出された負電圧出力を正電圧に変換するためのレベル変換回路8、レベル変換回路8の出力をデイジタル信号に変換するためのA/D変換回路9、電流レベルの判定およびその大きさにより時限を決定するためのマイクロコンピュータ(CPU)10により形成されている。11は電源回路であり、漏電検出回路3、電磁装置5の作動直流電力を供給する。
【0003】
21〜23、30、41〜44は電流検出手段を形成するもので、21、22、23は交流電路1の各相の電流を検出する変流器、30は変流器21、22、23の2次出力を全波整流する整流回路であり、ダイオード31〜38で構成されている。41〜44は相電流検出抵抗で、各相の電流に比例した電圧を各抵抗両端に負電圧として出力する。このうち相電流検出抵抗44は零相電流を検出するもので、零相電流の値により交流電路1が地絡しているか否かを判定する。
【0004】
10aは過電流引外し信号出力であり、交流電路1の各相に対応する相電流検出抵抗41〜44の電圧をレベル判定して、所定以上のレベルと時限(所定レベル以上の継続時間)によりスイッチング素子4への出力を与える。スイッチング素子4は過電流引外し信号出力10aまたは漏電検出信号3aのいずれでも作動するようダイオード12、13を介して接続されている。
【0005】
10bはロック信号出力であり、その出力はトランジスタ14を制御して漏電検出出力3aを短絡し漏電検出信号3aをスイッチング素子4へ入力させないようにするものである。ロック信号出力10bは交流電路1の電流が所定値以上でかつ地絡でない場合、出力されるが、この判定レベルは過電流引外し信号の判定レベルとは異なる値に設定されている。
【0006】
マイクロコンピュータ10に入力された信号は図7のフローチャートに従って処理される。その処理手順を説明する。まず、A/D変換回路9からの入力信号を不平衡領域判定ステップ101で不平衡領域の入力信号かどうかを判定し、YESであれば地絡かどうかの判定を相電流検出抵抗44で検出された入力信号のレベルにより地絡電流判定ステップ102にて判定する。
【0007】
もし、地絡でないと判定された場合にはロック信号を出力し、スイッチング素子4の動作を阻止し、漏電検出回路3の誤出力による遮断器接点6の開離を防止する。入力信号が不平衡領域の電流でない場合、もしくは不平衡領域の入力信号であっても地絡が発生していると判定された場合は、直ちにロツク信号10bを出力せず、漏電検出回路3のスイッチング素子4への出力を阻害しないようにする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の漏電遮断器は以上のように構成されており、地絡かどうかの判定を行う地絡電流判定ステップ102において、相電流検出抵抗44で検出された零相電流が固定しきい値を通過する回数を計数し、その結果により判定を行っていた。
この判定内容を図8に示し、サンプリング時間(T1〜T6:例えば20ms)内に零相電流が固定しきい値を通過する回数を計数し、4回未満は地絡と判定し、4回以上であれば正常の三相通電として判定するものである。
【0009】
しかし、変流器21〜23それぞれの交流電路1の内部導体の配置の違いと、変流器21〜23の電流検出の性能差により、零相電流に特性差が生じ、例えば、サンプリング時間T2の区間において、正常の三相通電状態であるのに固定しきい値を通過する回数が3回であることから、地絡と判定し、過電流検出処理回路7のマイクロコンピュータ10はロック信号10bが出力しないようにロック解除を行ってしまい、漏電検出回路3の漏電検出信号3aにより漏電遮断器が誤動作するという問題があった。
【0010】
この発明は上記ような問題点を解決するためになされたもので、交流電路1に電流が流れた時、地絡かどうかを確実に判定すると共に、誤動作しない漏電遮断器を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)この発明に係わる漏電遮断器は、零相変流器により交流電路の漏電電流を検出してその検出値が所定レベルに達すると漏電検出信号を出力する漏電検出手段と、上記交流電路の各相に流れる電流を検出し、検出した電流レベルに応じて過電流引き外し信号を出力する過電流検出手段と、上記検出した各相に流れる電流値と、この電流値の大きさに応じて導出される変動しきい値との比較に基づいて地絡か否かを判定し、否であればロック信号を出力する地絡判定手段と、上記ロック信号に応じて上記漏電検出信号を通過または阻止するロック手段と、上記ロック手段を通過した上記漏電検出信号、または上記過電流引き外し信号に応じて上記交流電路を遮断する開閉手段とを備えたものである。
【0012】
(2)また、変動しきい値は、正常時に検出される合成検出電圧の最大値P1と、地絡時に検出される合成検出電圧の最大値P2との中間に設定されているものである。
【0013】
(3)また、変動しきい値は予め地絡判定手段に設定しておくようにしたものである。
【0014】
(4)この発明に係わる地絡の検出方法は、交流電路の各相に流れる電流と、この交流電路の各相に流れる電流の大きさに応じて導出した変動しきい値との比較に基づいて地絡か否かを判定するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係わる漏電遮断器の内部回路を示すブロック図は図6に示す従来のものと同様であり、マイクロコンピュータ10に入力された信号は図1のフローチャートに従って処理される。
【0016】
(1)まず、A/D変換回路9からの入力信号を不平衡領域判定ステップ201で不平衡領域の入力信号か否かを判定し、
(2)判定がYESであれば、地絡電流判定ステップ202にて、地絡かどうかの判定を相電流検出抵抗44で検出された入力信号の合成相電流レベルにより判定する。
【0017】
(3)もしステップ202での判定が「NO」で、地絡でないと判定された場合は、ステップ204にてロック信号を出力し、スイッチング素子4の動作を阻止し、漏電検出回路3の誤出力による遮断器接点6の開離を防止する。
(4)ステップ201で、入力信号が不平衡領域の電流でない場合、もしくは、ステップ202で、不平衡領域の入力信号であっても地絡が発生していると判定された場合は、ステップ203にてロツク信号10bを出力せず、漏電検出回路3のスイッチング素子4への出力を阻害しないようにする。
【0018】
(5)次にステップ205で、変流器21〜23で検出し、CPU10で演算された各相に流れる電流が所定レベル以上か否か、または、零相変流器2で検出した漏電検出回路3からの電流が所定レベル以上か否かの判定(過電流の判定)をする。
(6)判定結果が否(NO)であれば、ステップ201に返る。
【0019】
(7)判定結果がYESで、ステップ206で過電流の状態が所定の時限まで継続すると、ステップ207で過電流引き外し信号を出力して、交流電路1を遮断する。
(8)もし、過電流であってもステップ206で所定の時限に達しない場合は、
ステップ201に返って、交流電路1を遮断しない。
【0020】
図2は相電流検出抵抗44で検出された検出電圧(合成相電流)と地絡か否かを判定するための変動しきい値の関係図であり、この変動しきい値は交流電路1を流れる電流を変流器21〜23で検出し、整流回路30、相電流検出抵抗44、レベル変換回路8、A/D変換回路9によりデータ変換を行った後、マイクロコンピュータ10に入力され、演算により求められる。
【0021】
図3は変動しきい値を決定するための特性を示すもので、交流電路1に流れる電流のピーク値が通常の三相通電した場合の電流ピーク値に対する合成相検出電圧(ピーク値)と、交流電路1に単極地絡した場合の電流ピーク値に対する合成相検出電圧(ピーク値)とを漏電遮断器の機種毎に測定し、この2つの特性曲線の中間の値を変動しきい値の特性曲線としている。
【0022】
漏電遮断器の機種毎に変動しきい値の特性曲線を求めてCPUのメモリ上に設定してもよいが、簡易化するため、変動しきい値を折れ線(1次関数)として、
次の演算式を近似式としている。
変動しきい値=[K(Z−X)/100]+Y −−−−−(1)
ただし、Z:交流電路を流れる電流値(ピーク値)
K,X,Y:変動しきい値の係数(Zの値の範囲により可変する係数)
【0023】
交流電路1を流れる電流のピーク値と演算式(1)で求められる変動しきい値との関係の一例を図4に示す。機種A,B共それぞれ2つの直線(折れ線)で近似した変動しきい値としている。
【0024】
この演算式によれば、変動しきい値は正常時に相電流検出抵抗44で検出される検出電圧の最大値P1と、地絡時に相電流検出抵抗44で検出される検出電圧の最大値P2との中間に設定されるため、たとえ、交流電路1を流れる電流値が変動したり、電流を検出する変流器21〜23の性能差により、零相電流に特性差が生じることがあっても、地絡時は相電流検出抵抗44で検出された検出電圧が設定された変動しきい値を超え、地絡の判定がおこなわれ、正常時は相電流検出抵抗44で検出された検出電圧は設定された変動しきい値を超えることはなく、正常(三相通電)であるとの判定が行われるものである。
【0025】
なお、上記の説明では交流電路1を流れている電流データを連続的にマイクロコンピュータ10に取り込み、演算式により変動しきい値を算出し、設定する場合について述べたが、あらかじめ、実験結果により交流電路1を流れている電流データと変動しきい値との関係を求めておき、マイクロコンピュータ10内のメモリにデータとして保存しておけば、演算時間が省略でき高速な処理ができる。
【0026】
以上のように本発明によれば、交流電路1に過渡的な電流が流れた時、地絡かどうかを確実に判定すると共に、誤動作することがない漏電遮断器を得ることができる。
【0027】
なお、上記では漏電遮断器において地絡を検出する場合について述べたが、その他の交流電路における機器の地絡の検出方法として利用ができるものである。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1では三相の交流電路における漏電遮断器であったが、この実施の形態2は単相の交流電路に漏電遮断器の場合を示す。
図5はこの実施の形態2の漏電遮断器の回路構成を示すブロック図である。
この図5は実施の形態1の図6の回路から、交流電路1の中央電路を省くと共に、変流器22、ダイオード33,34、相電流検出抵抗42を省いたものである。
動作については実施の形態1と同様であるので省略する。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明の漏電遮断器および地絡の検出方法は、交流電路に過渡的な電流が流れた時、地絡かどうかを確実に判定し、誤動作または誤検出を防止する効果がある。
【0030】
また、この発明の地絡の検出方法は地絡か否かを確実に判定する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による漏電遮断器の動作を示すフローチャートである。
【図2】 この発明の実施の形態1による相電流検出抵抗での検出電圧波形と変動しきい値の関係図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による変動しきい値を導出する特性図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による交流電路を流れる電流と演算式で求められる変動しきい値との関係の一例を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態2による漏電遮断器の回路構成を示すブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態1および従来の漏電遮断器の回路構成を示すブロック図である。
【図7】 従来の漏電遮断器の動作を示すフローチャートである。
【図8】 従来の相電流検出抵抗での検出電圧波形と固定しきい値の関係図である。
【符号の説明】
1 交流電路、 2 零相変流器、 3 漏電検出回路、
3a 漏電検出信号、 4 スイッチング素子、 5 電磁装置、
6 遮断器接点 7 過電流検出処理回路、 8 レベル変換回路、
9 A/D変換回路、 10 マイクロコンピュータ(CPU)、
10a 過電流引外し信号出力、 10b ロック信号出力、
11 電源回路、 12、13 ダイオード、 14 トランジスタ、
21、22、23 変流器、 30 ダイオード、
31、32、33、34、35、36、37、38 ダイオード、
41、42、43、44 相電流検出抵抗。

Claims (4)

  1. 零相変流器により交流電路の漏電電流を検出してその検出値が所定レベルに達すると漏電検出信号を出力する漏電検出手段と、
    上記交流電路の各相に流れる電流を検出し、検出した電流レベルに応じて過電流引き外し信号を出力する過電流検出手段と、
    上記検出した各相に流れる電流値と、この電流値の大きさに応じて導出される変動しきい値との比較に基づいて地絡か否かを判定し、否であればロック信号を出力する地絡判定手段と、
    上記ロック信号に応じて上記漏電検出信号を通過または阻止するロック手段と、
    上記ロック手段を通過した上記漏電検出信号、または上記過電流引き外し信号に応じて上記交流電路を遮断する開閉手段とを備えた漏電遮断器。
  2. 変動しきい値は、正常時に検出される合成検出電圧の最大値P1と、地絡時に検出される合成検出電圧の最大値P2との中間に設定されていることを特徴とする請求項1記載の漏電遮断器。
  3. 変動しきい値は予め地絡判定手段に設定しておくようにした請求項1または請求項2記載の漏電遮断器。
  4. 交流電路の各相に流れる電流と、この交流電路の各相に流れる電流の大きさに応じて導出した変動しきい値との比較に基づいて地絡か否かを判定する地絡の検出方法。
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