JP3712883B2 - 地盤改良杭造成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)等に用いて好適な無振動・低騒音式の地盤改良杭造成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の無振動・低騒音式の地盤改良杭造成装置として、図4に示す特開平8−284146号公報に開示されたものがある。この無振動・低騒音式の地盤改良杭造成装置としての締め固め砂杭造成装置1は、前面に長尺のリーダー3を立設した施工機本体2を備えている。このリーダー3には、昇降機4とスイーベル機構付きの回動機5を介して長尺の中空管8を回動及び昇降動自在に支持してある。この中空管8の上端は上記スイーベル機構付きの回動機5を介して非回動部6に回動自在に接続され、非回動部6には砂供給用のホッパー7と上記昇降機4の側機構部4aが設けられている。
【0003】
昇降機4は中空管8を地盤9中に貫入する時と引き抜く時にリーダー3からの反力が受けられるものであり、例えば、その側機構部4aに設けられた図示しない駆動機構付きピニオンと該ピニオンに噛合するリーダー3に設けられたラック3aとから構成されている。尚、中空管8は鋼製で円筒状のケーシングパイプからなり、その下端には地盤9中への該中空管8の貫入を助ける掘削ビット8aを複数取り付けてある。
【0004】
そして、この締め固め砂杭造成装置1を用いて、地盤9中に地盤改良杭としての砂杭Sを造成する場合には、まず、中空管8を地盤9の地表面9a上の所定位置に据え、中空管8を回転させながら地盤9中の所定深さまで貫入する。その後、中空管8の一定長の引き抜きと再貫入(打戻し)を順次地表面9aに至るまで細かく繰り返す。この間、中空管8の引き抜き工程でホッパー7より中空管8内に投入された砂を該中空管8の下端開口より圧縮空気を使用しながら排出して円柱状に残置させ、中空管8の再貫入工程で上記残置した砂から成る円柱に圧縮力を加えて締め固めると同時に水平方向に押し拡げ、地盤9中に拡径の砂杭Sを地表面9aまで造成する。
【0005】
尚、この無振動・低騒音式の締め固め砂杭造成装置1に関する類似技術は、特開平6−200520号公報及び特開平9−158166号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の無振動・低騒音式の締め固め砂杭造成装置1では、長尺のリーダー3が必要不可欠なため、装置の全高が非常に高くなり、空港や河川の地盤改良工事で橋梁下等の高さ制限等がある現場では、締め固め砂杭造成装置1の移動や設置作業が煩雑となり、施工時間が長時間かかった。また、長尺のリーダー3の上側に昇降機4及び回動機5が設けられているため、中空管8の貫入時にリーダー3からの反力が不安定となり、硬質地盤の現場では中空管8を原地盤に貫入し難く、中空管8の貫入作業に時間がかかったり、超硬質地盤の現場や転石地盤の現場では施工できなくなる虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、全高を低くすることができると共に、高さ制限等がある現場や硬質地盤の現場でもスムーズに地盤改良工事を行うことができる地盤改良杭造成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、装置本体に対して回動及び昇降動自在に支持された中空管を地盤中の所定深さまで貫入した後、前記中空管の一定長の引き抜きと再貫入を順次地表面に至るまで細かく繰り返して、前記中空管の下端開口より排出されて残置された杭材料から成る柱を順次圧縮しながら締め固めて前記地盤中に拡径の地盤改良杭を造成するようにした地盤改良杭造成装置において、前記装置本体に短尺の中空管を回動及び昇降動自在に支持した管回動・圧入引抜機を設けると共に、該装置本体に短尺のバケットエレベータを立設し、かつ前記短尺の中空管の上端にスイーベル機を介して杭材料供給用のホッパーの下端を取り付け、このホッパーと前記短尺のバケットエレベータの先端との間に伸縮自在なジャバラを介在したことを特徴とする。
【0009】
この地盤改良杭造成装置では、装置本体に短尺の中空管を回動及び昇降動自在に支持した管回動・圧入引抜機を設けると共に、該装置本体に短尺のバケットエレベータを立設し、かつ、短尺の中空管の上端にスイーベル機を介して杭材料供給用のホッパーの下端を取り付け、このホッパーと短尺のバケットエレベータの先端との間に伸縮自在なジャバラを介在したので、装置全体の高さが低くなると共に、高さ制限等がある現場や硬質地盤の現場でもスムーズに地盤改良工事が行われる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の地盤改良杭造成装置であって、前記地盤に貫入された中空管の上端に、継ぎ足し用の短尺の中空管の下端を連結自在にしたことを特徴とする。
【0011】
この地盤改良杭造成装置では、地盤に貫入された中空管の上端に、継ぎ足し用の短尺の中空管の下端を連結自在にしたので、地盤の深層まで地盤改良杭が造成される。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1記載の地盤改良杭造成装置であって、前記装置本体の両側にクローラキャリアをそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0013】
この地盤改良杭造成装置では、装置本体の両側にクローラキャリアをそれぞれ設けたので、管回動・圧入引抜機に中空管を支持した起立状態でも施工位置まで地盤改良杭造成装置がスムーズに移動される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態の無振動・低騒音式の締め固め砂杭造成装置を示す側面図、図2は同装置の施工時の側面図、図3(a)〜(d)は同装置による砂杭の造成工程を順を追って示す説明図である。
【0016】
図1,図2に示すように、締め固め砂杭造成装置(地盤改良杭造成装置)10は、両側にクローラキャリア12をそれぞれ設けた施工機本体(装置本体)11を備えている。この施工機本体11の中央には短尺の中空管14を回動及び昇降動自在に支持した管回動・圧入引抜機13を設けてあると共に、該施工機本体11の前後側にはパワーユニット15と短尺のバケットエレベータ16をそれぞれ立設してある。
【0017】
管回動・圧入引抜機13は、短尺の中空管14を回転或いは往復回動させる油圧モータ等から成る管回動駆動部13aと、短尺の中空管14を中央に貫通させると共にチャッキングして下方に押し込んで圧入したり上方に引き抜く管圧入引抜駆動部13bとを備えている。また、バケットエレベータ16の先端にはジャバラ17を介して砂供給用のホッパー18を取り付けてある。この砂供給用のホッパー18の下端にはスイーベル機19を介して短尺の中空管14を回動自在に支持してある。
【0018】
さらに、ジャバラ17の先端のホッパー18上には、短尺の中空管14内に投入された砂(杭材料)20の砂面の高さを検知する砂面検知機21を取り付けてある。また、スイーベル機19には空気圧縮機22の圧縮空気供給管23を接続してある。これにより、短尺の中空管14に空気圧縮機22から圧縮空気Aが供給されてその内部が圧気されるようになっている。この時、外部に圧縮空気Aが漏れないようにホッパー18とスイーベル機19との間には図示しないエアー弁を開閉自在に取り付けてある。
【0019】
尚、短尺の中空管14は鋼製で円筒状のケーシングパイプからなり、図2に示すように、地盤9に貫入された短尺の中空管14の上端14aには、着脱用の連結リング24を介して継ぎ足し用の短尺の中空管14′の下端14bを連結自在にしてある。また、バケットエレベータ16の中途部と上部との間にはジャバラ17を伸縮自在に支持するワイヤロープ25を掛け渡してある。さらに、バケットエレベータ16は油圧シリンダ26により起立傾倒自在になっている。
【0020】
以上実施形態の締め固め砂杭造成装置10によれば、地盤9中に地盤改良杭としての砂杭Sを造成する場合には、まず、図1に示すように、施工機本体11をクローラキャリア12を介して所定の施工位置まで移動させて停止させる。そして、図3(a)に示すように、施工機本体11の管回動・圧入引抜機13に短尺の中空管14をセットし、該短尺の中空管14内にホッパー18よりポイント砂(中空管14の下端開口に栓をする砂)20′を投入する。
【0021】
次に、図3(b)に示すように、短尺の中空管14を回転或いは往復回動(左右に揺動)させ、該短尺の中空管14内にホッパー18より砂20を投入しながら地盤9中に該短尺の中空管14を貫入する。この際に、管全長が不足する場合には地盤9に貫入途中の短尺の中空管14の地表面9aより突出した上端14aに継ぎ足し用の短尺の中空管14′の下端14bを連結リング24を介して連結する。
【0022】
次に、図3(c)に示すように、短尺の中空管14を地盤9中の所定深さまで貫入した後、該短尺の中空管14内に空気圧縮機22から圧縮空気Aを供給してその内部を圧気して該短尺の中空管8を回転或いは往復回動させて一定長さ上方に引き抜き、該短尺の中空管14の下端14bの開口より砂20を圧縮空気Aを使用しながら排出して円柱状に残置させる。次に、短尺の中空管14を再貫入(打戻し)して上記残置した砂20から成る円柱に圧縮力を加えて締め固める。
【0023】
そして、図3(d)に示すように、短尺の中空管14の一定長の引き抜きと再貫入を順次地表面9aに至るまで細かく繰り返して(ウェーブ施工して)、上記残置した砂20から成る円柱に圧縮力を加えて締め固めると同時に水平方向に押し拡げ、地盤9中に拡径の砂杭Sを地表面9aまで造成する。この間、管の継ぎ足しがあれば、順次外しながら施工する。
【0024】
この砂杭20を造成する締め固め砂杭造成装置10では、従来の長尺のリーダー3が不要なため、装置全体の高さを低くすることができ、空港や河川の地盤改良工事で橋梁下等の高さ制限等がある現場でも、締め固め砂杭造成装置10の移動や短尺の中空管14の設置作業等を簡単に行うことができ、施工時間を短縮することができる。
【0025】
また、施工機本体11の中央に短尺の中空管14を回動及び昇降動させる管回動・圧入引抜機13を設けているため、中空管14を支持する重心を低くかつ安定させることができると共に、管回動・圧入引抜機13による中空管14の貫入動力を大きくすることができ、原地盤が硬質地盤の現場でも中空管14を簡単かつ確実に貫入させることができる。これにより、中空管14の貫入作業の時間を短縮することができ、また、超硬質地盤の現場や転石地盤の現場にも施工することができ、さらに、径の大きい砂杭の造成工事も可能となる。
【0026】
さらに、地盤9に貫入された短尺の中空管14の上端14aに、継ぎ足し用の短尺の中空管14′の下端14bを連結自在したので、地盤9の深層まで砂杭Sを確実に造成することができる。さらにまた、施工機本体11の両側にクローラキャリア12をそれぞれ設けたので、管回動・圧入引抜機13に短尺の中空管14を支持した起立状態でも施工位置まで締め固め砂杭造成装置10をスムーズに移動させることができる。
【0027】
尚、前記実施形態によれば、地盤改良杭の杭材料として砂を用いたが、杭材料は砂に限られず、砂利や砕石等の砂類似粒状材料及び砂を含めたそれらの混合物等を用いても良い。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、装置本体に短尺の中空管を回動及び昇降動自在に支持した管回動・圧入引抜機を設けると共に、該装置本体に短尺のバケットエレベータを立設し、かつ、短尺の中空管の上端にスイーベル機を介して杭材料供給用のホッパーの下端を取り付け、このホッパーと短尺のバケットエレベータの先端との間に伸縮自在なジャバラを介在したので、地盤改良杭造成装置の全高を低くすることができると共に、高さ制限等がある現場や硬質地盤の現場でもスムーズに地盤改良工事を行うことができる。
【0029】
請求項2の発明によれば、地盤に貫入された中空管の上端に、継ぎ足し用の短尺の中空管の下端を連結自在にしたので、地盤の深層まで地盤改良杭を確実に造成することができる。
【0030】
請求項3の発明によれば、装置本体の両側にクローラキャリアをそれぞれ設けたので、管回動・圧入引抜機に中空管を支持した起立状態でも施工位置まで地盤改良杭造成装置をスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の締め固め砂杭造成装置を示す側面図である。
【図2】上記締め固め砂杭造成装置の施工時の側面図である。
【図3】(a)〜(d)は上記締め固め砂杭造成装置による砂杭の造成工程を順を追って示す説明図である。
【図4】従来例の締め固め砂杭造成装置を示す側面図である。
【符号の説明】
9 地盤
9a 地表面
10 締め固め砂杭造成装置(地盤改良杭造成装置)
11 施工機本体(装置本体)
12 クローラキャリア
13 管回動・圧入引抜機
14 短尺の中空管(中空管)
14′ 継ぎ足し用の短尺の中空管
14a 上端
14b 下端
20 砂(杭材料)
S 砂杭(地盤改良杭)
Claims (3)
- 装置本体に対して回動及び昇降動自在に支持された中空管を地盤中の所定深さまで貫入した後、前記中空管の一定長の引き抜きと再貫入を順次地表面に至るまで細かく繰り返して、前記中空管の下端開口より排出されて残置された杭材料から成る柱を順次圧縮しながら締め固めて前記地盤中に拡径の地盤改良杭を造成するようにした地盤改良杭造成装置において、
前記装置本体に短尺の中空管を回動及び昇降動自在に支持した管回動・圧入引抜機を設けると共に、該装置本体に短尺のバケットエレベータを立設し、かつ前記短尺の中空管の上端にスイーベル機を介して杭材料供給用のホッパーの下端を取り付け、このホッパーと前記短尺のバケットエレベータの先端との間に伸縮自在なジャバラを介在したことを特徴とする地盤改良杭造成装置。 - 請求項1記載の地盤改良杭造成装置であって、
前記地盤に貫入された中空管の上端に、継ぎ足し用の短尺の中空管の下端を連結自在にしたことを特徴とする地盤改良杭造成装置。 - 請求項1記載の地盤改良杭造成装置であって、
前記装置本体の両側にクローラキャリアをそれぞれ設けたことを特徴とする地盤改良杭造成装置。
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