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JP3712511B2 - 柔軟性不織布 - Google Patents

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JP3712511B2
JP3712511B2 JP26649797A JP26649797A JP3712511B2 JP 3712511 B2 JP3712511 B2 JP 3712511B2 JP 26649797 A JP26649797 A JP 26649797A JP 26649797 A JP26649797 A JP 26649797A JP 3712511 B2 JP3712511 B2 JP 3712511B2
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polyethylene
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flexible nonwoven
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浩 石井
邦彦 武居
国衛 広重
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性不織布に関し、特に、柔軟かつ触感が良好であり、使い捨ておむつ等の医療・衛生材、包装材、衣料用などの産業用資材に好適である柔軟性不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン繊維からなる不織布は、柔軟でかつ触感が良好であることが知られている(特開昭60−209010号公報)。しかし、ポリエチレン繊維は紡糸が難しく細デニールの繊維とするのが困難であり、またカレンダーロールによって加熱・加圧処理する際に、ポリエチレンは溶融し易く、繊維の強度が低いためロールに巻き付きやすい。その対策として、低温で処理されるが、その場合には、繊維同士を十分に熱接着させることが困難であることから、得られる不織布は十分な摩擦堅牢度を有せず、また、ポリプロピレン繊維からなる不織布に比べて強度に劣る、という問題があった。
【0003】
この繊維同士の熱接着の問題を解決するために、鞘にポリエチレン、芯にポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂を用いてなる芯鞘型複合繊維を用いて不織布を形成する方法が知られている(特公昭55−483号公報、特開平2−182960号公報、特開平5−263353号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来提案されている芯鞘型複合繊維は、いずれも芯を構成するポリプロピレンやポリエステルの複合繊維に占める割合が50%以上であるため、芯を構成する樹脂の剛性に影響され、得られる不織布は、その剛性がポリエチレンだけからなる不織布に比べ剛直になってしまい、柔軟性を損なうばかりでなく、触感や摩擦堅牢度に劣るという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ポリエチレン不織布本来の柔軟性を損なうことなく、触感および摩擦堅牢度が格段に改良された、特に、使い捨ておむつ等の医療・衛生材、包装材、衣料用などの産業用資材に好適である柔軟性不織布を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、ポリプロピレンからなる芯と、ポリエチレンからなる鞘とからなり、ポリプロピレン/ポリエチレンの重量構成比が5/95〜20/80であり、かつ繊度が3.0d以下の芯鞘型複合長繊維からなる不織布であって、ポリプロピレンはMFRが30〜80g/10分、Mw/Mnが2〜4であり、ポリエチレンは密度が0.92〜0.95g/cm 3 である、クラーク法(JIS L1096 C法)による縦方向と横方向の剛軟度の和が80mm以下である柔軟性不織布を提供するものである。
【0007】
前記ポリエチレンが、Mw/Mn1.5〜4であることが好ましい。
【0008】
前記ポリエチレンが、MFR20〜60g/10分であることが好ましい。
【0009】
以下、本発明の柔軟性不織布(以下、「本発明の不織布」という)について詳細に説明する。
【0010】
本発明の不織布は、芯鞘型複合長繊維からなる不織布である。芯鞘型複合長繊維は、ポリプロピレンからなる芯と、ポリエチレンからなる鞘とからなり、芯は鞘の内部に鞘と同心または偏心した状態で包まれた形態、あるいは並列する形態を有するものである。特に、触感が優れる点で、同心型、および高融点樹脂が露出しない偏心型が好ましい。
【0011】
ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンを主成分とし、これとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体であり、これらの単独重合体または共重合体は、1種単独でもしくは2種以上を組み合わせても用いられる。これらの中でも、紡糸性が良好で、生産性に優れ、良好な柔軟性を有する不織布が得られる点で、プロピレンと少量のエチレンのランダム共重合体であって、エチレンに由来する構造単位の含有量が0.5〜5mol%であるものが好ましい。本発明において、良好な紡糸性とは、紡糸ノズルからの吐き出しおよび延伸中に糸切れを生じず、フィラメントの融着が生じないことをいう。
【0012】
また、このポリプロピレンは、MFRが30〜80g/10分であるものが、紡糸性および繊維強度のバランスが優れる点で好ましい。本発明において、ポリプロピレンのMFRは、ASTM D1238に基づいて、230℃、荷重:2.16kgで測定されるものである。
【0013】
さらに、このポリプロピレンは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜4であるものであり、紡糸性が良好で、かつ繊維強度が特に優れる点で、3以下のものが好ましい。本発明において、Mw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって、通常の方法で測定されるものである。
【0014】
また、芯鞘型複合長繊維の鞘を構成するポリエチレンは、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンとの共重合体であり、これらの単独重合体または共重合体は、1種単独でも、もしくは2種以上を組み合わせても用いられる。
また、このポリエチレンは、MFRが20〜60g/10分であるものが、紡糸性、繊維強度および摩擦堅牢度が優れる繊維が得られる点で、好ましい。本発明において、ポリエチレンのMFRは、ASTM D1238に基づいて、190℃、荷重:2.16kgで測定されるものである。
【0015】
さらに、このポリエチレンは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜4のものであり、紡糸性が良好で、繊維強度および摩擦堅牢度に優れる繊維が得られる点で、3以下のものが特に好ましい。
さらにまた、このポリエチレンは、密度が0.92〜0.95g/cm3 であるものが、摩擦堅牢度に優れる点で、好ましく、柔軟でかつ十分な摩擦堅牢度を有する点で、特に0.94〜0.95g/cm3 であるものが好ましい。
【0016】
また、本発明において、芯鞘型複合長繊維の芯または鞘を構成するポリプロピレンおよびポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、他の重合体、着色剤、耐熱安定剤、核剤、滑剤などを含んでいてもよい。着色剤としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機系着色剤、フタロシアニン等の有機系着色剤などが挙げられる。耐熱安定剤としては、例えば、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)等のフェノール系安定剤などが挙げられる。本発明において、特に、鞘を構成するポリエチレンが、滑剤を0.1〜0.5重量%含むものであると、摩擦堅牢度が良くなるため、好ましい。用いられる滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0017】
本発明において、芯鞘型複合長繊維におけるポリプロピレン(A)/ポリエチレン(B)の重量構成比は、5/95〜20/80であり、容易に細デニール化を行うことができる点で、10/90〜20/80であるのが好ましい。ポリプロピレンの複合繊維中に占める割合が5未満であると、繊維強度が改善されないおそれがあり、一方、20を超える場合は、得られる不織布が柔軟性に劣るおそれがある。
【0018】
本発明で用いられる芯鞘型複合長繊維の断面積における芯と鞘の面積比は、通常、重量構成比とほぼ等しく、5/95〜20/80である。
【0019】
本発明の不織布において、この芯鞘型複合長繊維の繊度は、3.0d以下であり、より柔軟性に優れた不織布が得られる点で、好ましくは2.5d以下である。複合長繊維は、繊維断面において、円形状の芯部が心を同じくするドーナツ状の鞘部に包まれる同心型、芯部と鞘部の心がずれてかつ芯部が鞘部に包まれる偏心型、または、偏心した芯部が鞘部に包まれていない並列型の形態を有する。
【0020】
また、本発明の不織布は、縦方向と横方向の剛軟度の和が、80mm以下であるものである。本発明において、剛軟度は、クラーク法(JIS L1096 C法)によって測定される数値である。本発明において、縦方向とは、不織布の形成時にウェブの流れ方向に平行な方向である。横方向とは、ウェブの流れ方向に垂直な方向である。
【0021】
また、本発明の不織布は、通常、目付量が25g/m2 以下であるものが、柔軟性を要する用途には適しているが、用途に応じて、さらに高目付量のものであってもよい。例えば、風呂敷、医療用の覆布等の用途には、高目付量のものが適している。
【0022】
本発明の不織布の製造は、芯鞘型複合長繊維の芯を構成するポリプロピレンと、鞘を構成するポリエチレンとを、それぞれ別個に押出機等で溶融し、各溶融物を所望の芯鞘構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する紡糸口金から吐出させて、芯鞘型の複合長繊維を紡出させる。紡出された複合長繊維を、冷却流体により冷却し、さらに延伸エアによって長繊維に張力を加えて所定の繊度とし、そのまま捕集ベルト上に捕集して所定の厚さに堆積させた後、交絡処理する方法にしたがって行うことができる。
【0023】
交絡処理する方法としては、例えば、エンボスロールを用いて熱エンボス処理する方法、超音波により融着する方法、ウォータージェットを用いて繊維を交絡させる方法、ホットエアースルー、ニードルパンチを用いる方法などの各種の方法を、適宜、使用することができる。これらの中でも、エンボスロールを用いて熱エンボス処理することにより、部分的に熱圧着する方法が、特に摩擦堅牢度に優れる不織布が得られる点で、好ましい。熱圧着部分の不織布に占める割合(エンボス面積率)は、用途に応じて適宜決定することができ、通常、5〜40%の範囲が、柔軟性、通気度および摩擦堅牢度のバランスに優れる不織布が得られる点で、好ましい。
【0024】
本発明の不織布は、柔軟で表面の触感に優れ、かつ摩擦堅牢度の高い不織布であるため、包装資材、衣料用素材、おむつ用素材等として好適に使用できるものである。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例になんら限定されるものではない。
【0026】
(実施例1〜8、比較例1〜3)
各例において、表1〜3に示すMFR、Mw/Mnおよびエチレンに由来する構造単位の含有量を有するポリプロピレンと、表1〜3に示すMFR、Mw/Mnおよび密度を有するポリエチレンおよびオレイン酸アミド(ポリエチレンに対して0.3重量%配合)とを、それぞれ別の押出機に供給して溶融混練し、ノズル孔径0.6mmφの複合紡糸ノズルのノズル数1093の紡糸口金から、単孔当たり1.0g/分の吐出量で吐出させて複合溶融紡糸を行い、ポリプロピレンからなる芯と、ポリエチレンからなる鞘とからなる、表1に示すポリプロピレン/ポリエチレン(A/B)の重量比、および繊度を有する芯鞘型複合長繊維を成形した。得られた芯鞘型複合長繊維を、そのまま捕集面上に堆積させ、熱エンボスロールを用いてエンボス面積率20%でエンボス処理して交絡させ、目付量23g/m2 の柔軟性不織布を得た。
【0027】
得られた柔軟性不織布の縦方向および横方向について、JIS L1096に記載のC法(クラーク法)に準拠して、それぞれの剛軟度を測定し、その和を求めた。
【0028】
また、得られた柔軟性不織布を、学振式摩擦堅牢度試験機(JIS L10823の摩擦試験機II型に準拠)を用いて、学振回数:100回往復、荷重:300g・摩擦子重さ:200g)で摩擦堅牢度試験に供した後、目視にて限度見本と比較して、下記の基準で評価した。
◎:よれ玉および毛羽立ち無し
○:よれ玉無し、毛羽立ちあり
△:よれ玉あり、毛羽立ちあり
×:不織布が破断
結果を表1〜3に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003712511
【0030】
【表2】
Figure 0003712511
【0031】
【表3】
Figure 0003712511
【0032】
【発明の効果】
本発明の柔軟性不織布は、柔軟でかつ十分な摩擦堅牢度を有するものである。そのため、本発明の不織布は、使い捨ておむつ等の医療・衛生材、包装用、衣料用等の産業用資材などの広範囲の用途に用いることができる。

Claims (6)

  1. ポリプロピレンからなる芯と、ポリエチレンからなる鞘とからなり、ポリプロピレン/ポリエチレンの重量構成比が5/95〜20/80であり、かつ繊度が3.0d以下の芯鞘型複合長繊維からなる不織布であって、ポリプロピレンはMFRが30〜80g/10分、Mw/Mnが2〜4であり、ポリエチレンは密度が0.92〜0.95g/cm 3 である、クラーク法(JIS L1096 C法)による縦方向と横方向の剛軟度の和が80mm以下である柔軟性不織布。
  2. 前記ポリエチレンが、Mw/Mn1.5〜4である請求項1に記載の柔軟性不織布。
  3. 前記ポリエチレンが、MFR20〜60g/10分である請求項1または2に記載の柔軟性不織布。
  4. 前記柔軟性不織布が、部分的に熱圧着されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の柔軟性不織布。
  5. 前記ポリプロピレンが、エチレンに由来する構造単位を0.5〜5.0mol%含有する請求項1〜4のいずれかに記載の柔軟性不織布。
  6. 前記ポリエチレンが、滑剤を0.1〜0.5重量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の柔軟性不織布。
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