JP3710171B2 - 電子写真感光体の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体デバイスとしての電子写真用感光体デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電力デバイスなどに有用な結晶質、非単結晶質の機能性堆積膜を良好に形成し得るプラズマCVD装置、半導体デバイスや、光学素子としての絶縁膜、金属配線などを好適に形成し得るスパッタリング装置、あるいは半導体デバイスなどのエッチング装置などのプラズマ処理装置及びその処理方法に関し、更に詳しくは、特にプラズマを励起源として用い基体に積層処理を行うプラズマ処理方法であって、特に450MHz以下の高周波を使用するプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造に使用されているプラズマ処理にはそれぞれの用途に応じてさまざまな装置および方法が適用される。例えばプラズマCVD装置やプラズマCVD法を用いた酸化膜、窒化膜、アモルファスシリコン系の半導体膜の形成、スパッタリング装置やスパッタリング法を用いた金属配線膜の形成、エッチング装置やエッチング方法を用いた微細加工などさまざまな技術にその特徴を生かす装置、方法が使用されている。更に、近年膜質及び処理能力向上に対する要望も強くなっており、さまざまな工夫も検討されている。特に高周波電力を用いたプラズマプロセスは放電の安定性が高く、酸化膜や窒化膜などの絶縁性の材料形成にも使用できるなど、さまざまな利点があるため広く使用されている。
【0003】
従来、プラズマCVDなどのプラズマプロセスでは、放電用高周波電源の発振周波数は20MHz以下、一般的に13.56MHzが用いられている。
【0004】
この従来の堆積膜形成に一般的に用いられているプラズマCVD装置の一例を図3に示す。この図に示されるプラズマCVD装置は円筒状の電子写真感光体用基体上にアモルファスシリコン膜(以下、a−Si膜と記す)を形成する場合に好適な成膜装置である。以下、この装置を用いたa−Si膜の形成方法を説明する。
【0005】
減圧可能な堆積室301の内壁を兼ねる円筒状の第2の電極306および対向電極として被成膜基体(電子写真感光体用基体)を兼ねる第1の電極302が配置されている。第1の電極302には補助基体307が取りつけられており、第1の電極の一部を成している。第2の電極306の円筒軸方向の寸法は第1の電極302及び補助基体307の円筒軸方向の長さと同程度に設定するのが一般的である。第1の電極302は内部の加熱ヒーター303により内側より加熱される。高周波電源312は整合回路311を介して第2の電極306に接続されている。315は排気口、304はメインバルブ、310は圧力ゲージ、305はガス放出パイプ、309は原料ガス導入バルブである。
【0006】
堆積室301内に第1の電極を兼ねる被成膜基体302を設置し、メインバルブ304を開き、排気口315を介して堆積室301を一旦排気する。その後原料ガス導入口309を開き、不活性ガスを導入し、所定の圧力になるように流量を調整する。加熱用ヒーター303に通電し、被成膜基体を100〜400℃の所望の温度に加熱する。その後、原料ガス導入バルブ309を介して成膜用の原料ガス、例えばシランガス、ジシランガス、メタンガス、エタンガスなどの材料ガスを、またジボランガス、ホスフィンガスなどのドーピングガスを導入し、数100mTorrから数Torrの圧力に維持するよう排気速度を調整する。
【0007】
高周波電源312より13.56MHzの高周波電力を整合回路311を介して第2の電極306に供給して、第2の電極306と第1の電極302との間にプラズマ放電を発生させ原料ガスを分解することにより、第1の電極を兼ねた被成膜基体302上にa−Si膜を堆積する。この間、第1の電極は加熱ヒーター303により100〜400℃程度に維持される。必要に応じて不図示の回転機構により被成膜基体を回転させ、周方向の膜厚分布を改善しても良い。
【0008】
現在の電子写真感光体を用いる複写機はより高性能、高機能が追求されている。このような追求される性能の目標の一つとしてコピースピードの向上がある。コピースピードが高まれば高まるほど帯電に割くことのできる時間が短くなり、感光体の帯電電位が下がる傾向がある。また、高機能化の1つとして多色コピーが挙げられるが、この場合、複写機に複数の現像器を搭載する必要があるので帯電器から現像器までの距離が遠くなる傾向があり、その間に感光体の表面電位が減衰して、現像器における感光体の帯電電位が下がる傾向がある。以上のように、a−Si膜を使用した電子写真感光体では更なる帯電能力向上が望まれている。
【0009】
従来の成膜方法で電子写真感光体の性能を満足させるa−Si膜を得るための堆積速度は、例えば1時間当たり0.5〜6μm程度であり、それ以上に堆積速度を上げると、感光体がその特性を得ることができない場合がある。一般に電子写真感光体としてa−Si膜を利用する場合、その誘電率の大きさの関係で、充分な帯電能を得るために少なくとも20〜30μmの膜厚が必要である。したがって電子写真感光体を製造するには長時間を要し製造コストを押し上げる一因となっていた。このため、感光体としての特性を落とさずに製造時間を短縮する技術が切望されていた。
【0010】
更に、カールソン方式の電子写真プロセスでは電子写真感光体を帯電する工程が必要であるが、特にa−Si膜を用いた電子写真感光体では、比較的高速の複写機に多用されるためにコロナ放電による帯電プロセスを用いることが多い。この場合、帯電の際に生成したコロナ生成物が感光体表面に付着することがある。これらの付着物は吸湿しやすく、高温、高湿の環境においてはコロナ生成物が吸湿して、感光体表面が低抵抗化し、帯電キャリアが横流れして画像の細線がぼける現像(いわゆる画像流れ)が発生することがあった。
【0011】
また、先に述べたように電子写真用感光体としてa−Si膜を利用する場合には帯電能を得るために少なくとも20〜30μmの膜厚が必要であり、このような厚膜を成膜する場合には膜中に応力が溜まりやすくなる。それゆえa−Si膜と基板の間に厚膜の内部に溜まった応力に打ち勝つだけの密着性が要求されるが、僅かでも成膜条件がずれるとこのバランスが崩れ、膜剥がれが発生することがあった。このため、a−Si膜を用いた電子写真感光体の製造において工程を厳密に管理しなければ良品率が低下してしまう場合があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、上述のような従来の技術の問題点を克服し、従来のプラズマプロセスでは達成できなかった、帯電時の帯電電位が高く、濃度の濃い画像が得られる電子写真感光体を製造するのに最適な方法を提供することである。本発明の第2の目的は、製造時間が短く、再現性に優れた低コストの電子写真感光体を製造するのに最適な方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、耐環境性が高く、高温、高湿度の環境で用いても画像品質が低下せず、濃度が濃く、白地にかぶりのない鮮明な画像が得られる電子写真感光体を提供することである。
本発明の第4の目的は、製造工程で多少の条件変動があっても膜剥がれ等のトラブルが発生しない、安定で再現性が良く、工程管理が容易な電子写真感光体の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な堆積室内に導電性の円筒状基体を設置し、少なくともシリコン原子を含んだガス状原料を高周波電力により励起されたグロー放電により分解し、該円筒状基体上に少なくともシリコン原子を母材とする非結晶質材料を堆積させて電子写真感光体を製造する製造方法において、該電子写真感光体が阻止型であって前記円筒状基体上の堆積層が少なくとも下部阻止層および光導電層からなり、前記光導電層を 50 MH z 以上、 450 MH z 以下の高周波電力を用いて形成し、該光導電層以外の層を 20 MH z 未満の高周波電力を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の形成方法である。
具体的には電子写真感光体が表面保護層を有し、該表面保護層を 20 MH z 未満の高周波電力を用いて形成することを特徴としている。
また、本発明は、排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な堆積室内に導電性の円筒状基体を設置し、少なくともシリコン原子を含んだガス状原料を高周波電力により励起されたグロー放電により分解し、該円筒状基体上に少なくともシリコン原子を母材とする非結晶質材料を堆積させて電子写真感光体を製造する製造方法において、該電子写真感光体が阻止型であって前記円筒状基体上の堆積層が少なくとも下部阻止層、光導電層、表面保護層からなり、前記下部阻止層および前記表面保護層を 50 MH z 以上、 450 MH z 以下の高周波電力を使用して形成し、該下部阻止層および該表面保護層以外の層を 20 MH z 未満の高周波電力を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の形成方法である。
さらに、本発明は、排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な堆積室内に導電性の円筒状基体を設置し、少なくともシリコン原子を含んだガス状原料を高周波電力により励起されたグロー放電により分解し、該円筒状基体上に少なくともシリコン原子を母材とする非結晶質材料を堆積させて電子写真感光体を製造する製造方法において、該電子写真感光体は阻止型であって、前記円筒状基体上の堆積層が下部阻止層、光導電層及び表面保護層を有し、前記下部阻止層と前記光導電層とを50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を使用して形成し、前記表面保護層を20MHz未満の高周波電力を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の形成方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
高周波電力として20MHz以下の高周波を使う成膜方法であるRFプラズマCVD法は、堆積される膜が緻密で硬く、また、電子写真感光体のように大面積のデバイスを作成する際にも膜厚や膜質のムラが生じにくいという特徴があり、電子写真感光体の製造方法として比較的適している。しかし、その一方で帯電性能が充分でないこと、堆積速度が小さく、成膜時間が長いこと等に対する改良のほか耐環境性の更なる向上、製造時の膜剥がれ等のトラブルの防止が大きなテーマとなっている。
【0015】
近年、平行平板型のプラズマCVD装置を用い50MHz以上の高周波電源を用いたプラズマCVD法の報告があり(Plasma Chemistry and Plasma Processing,Vol.7,No.3,(1987)p267−273)、放電周波数を従来の13.56MHzより高くすることにより堆積膜の性能を落とさずに堆積速度を向上させる可能性が示されており、注目されている。この放電周波数を高くする報告はスパッタリングなどでもなされ、近年広くその優位性が検討されている。
【0016】
これらの50MHz以上の高周波電力を用いるプラズマCVD成膜では高エネルギーのプラズマを容易に発生できるために高品質の堆積膜が得られやすく、同様の理由により堆積速度を容易に向上させることができる。更にイオン衝撃を減少させることができるために膜応力が低減でき、膜の密着性を向上させることができるという特徴がある。
【0017】
本発明者らは、この改良されたプラズマCVD法と従来のRFプラズマCVD法を組みあわせることによって前記の問題点を解決することができることを見い出した。
【0018】
すなわち、電子写真感光体の堆積層のある層を50MHzから450MHzの高周波電力で成膜し、他の層を従来の20MHz以下の高周波電力で成膜することによりこれまでにない優れた特性を発揮する感光体が得られることを見い出した。具体的には次の各種プロセスがある。
(1)基体と接する層領域に50MHz以上の高周波電力によって作成した膜を適用し、他の層については20MHz以下の例えば13.56MHzの高周波電力によって膜堆積させる。この方法によって、帯電能ムラのない、均一な品質であってかつ製造時の膜剥がれの発生しない電子写真感光体を製造することができる。
(2)最表面の層に50MHz以上の高周波電力によって作成した膜を適用し、最表面以外の層については20MHz以下の例えば13.56MHzの高周波電力によって膜堆積させる。この方法によって、緻密で撥水性の高い膜が最表面を覆うことになり、高温高湿環境において画像流れが発生しにくくなる。
(3)光導電層に50MHz以上の高周波電力によって作成した膜を適用し、光導電層以外の層については20MHz以下の例えば13.56MHzの高周波電力によって膜堆積させる。この方法では堆積速度が大で成膜時間を短縮することができ、製造コストを短縮することができる。
(4)基体と接する層と最表面の層に50MHz以上の高周波電力によって作成した膜を適用し、中間の層については20MHz以下の例えば13.56MHzの高周波電力によって膜堆積させる。この方法によって、帯電能ムラのない、均一な品質であってかつ製造時の膜剥がれの発生せず、かつ撥水性の高い膜が最表面を覆うことになり、高温高湿環境において画像流れが発生しにくい電子写真感光体を製造することができる。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の方法を行うための装置の一例を模式的に示したものであり、電子写真感光体の円筒状の基体の回りを囲むように第2の電極を設置する、いわゆる同軸タイプの堆積膜形成装置である。
【0020】
図において101は堆積膜を形成するための堆積室であり、排気口115はメインバルブ104を介して排気装置108に接続されている。排気装置108は例えばメカニカルブースターポンプとロータリーポンプを組み合わせたものや、拡散ポンプ及びロータリーポンプを組み合わせたものなどが好適に用いられる。これらの排気装置には必要に応じて可変コンダクタンスバルブなどが取りつけられても良い。109は原料ガスを堆積室に導入するための原料ガス導入バルブであり、不図示のガス供給系から原料ガスを堆積室内に導入する。原料ガスは堆積室内に立てられたガス放出パイプ105から放電空間に放出される。原料ガスを導入した際の堆積室内の圧力は圧力ゲージ110でモニターすることができる。20MHz未満の周波数でのプラズマCVD法と50MHz以上450MHz以下の周波数でのプラズマCVD法では最適な真空度が異なる場合があるが、この場合は前述の排気装置108の不図示のメカニカルブースターポンプの駆動周波数を調整したり、別途可変コンダクタンスバルブを用いることにより各々適切な真空度を調整すれば良い。102はアースに接続された被成膜基体を兼ねる第1の電極であり、被成膜基体の上下には補助基体107が設けてある。103は基体を所定の温度に加熱するための加熱用ヒーターである。又、被成膜基体は、本模式図においては固定となっているが、必要に応じて回転機構により回転し、周方向の膜厚の更なる均一化を図ることもできる。112は50MHz〜450MHz、あるいは20MHz以下の高周波を発生する高周波電源であり、高周波出力は111の整合回路を介して第2の電極106に印加されるように配線されている。なお図に示したように第2の電極106は堆積室101の内壁を兼ねていてももちろん良い。
【0021】
第2の電極106は20MHz以下の周波数でも50MHz以上450MHz以下の周波数においても効率的に電力を堆積室101に導入できるように軸方向の長さを適宜調整し最適な装置形態とすることができる。本模式図においては絶縁材113によって電気的に絶縁された内壁114を使用して第2の電極106が第1の電極102及び補助基体107を合わせた長さよりもやや短くした例を示している。
【0022】
実際の成膜において周波数を切り替えるには高周波電源112と整合回路111の両方を取り替えたり、または、整合範囲の広い整合回路であれば整合回路111は固定とし、高周波電源のみを周波数の異なるものと交換することにより本発明は達成することができる。また、整合範囲の広い整合回路と20MHz以下から50MHz以上まで周波数を可変可能な高周波電源であれば整合回路111と高周波電源112を取り替えることなく本発明の方法を達成することができて好都合である。
【0023】
図2は本発明の方法を行うための別の装置の一例を模式的に示したものであり、電子写真用感光体のような円筒状の基体が同心円上に設置され、基体に囲まれた内部で放電が励起されるタイプの堆積膜形成装置である。
図において201は堆積膜を形成するための堆積室であり、第1の電極を兼ねた円筒状基体202が第2の電極206を囲んだ形態を示している。堆積室201には排気口215があり不図示の排気装置に接続されている。排気装置は例えばメカニカルブースターポンプとロータリーポンプを組み合わせたものや、拡散ポンプ及びロータリーポンプを組み合わせたものなどが好適に用いられる。排気口215には必要に応じて可変コンダクタンスバルブなどが取りつけられても良い。
【0024】
209は原料ガスを堆積室に導入するための原料ガス導入バルブであり、不図示のガス供給系から原料ガスを堆積室内に導入する。原料ガスは堆積室内にガス放出パイプ205から放電空間に放出される。原料ガスを導入した際の堆積室内の圧力は圧力ゲージ210でモニターすることができる。20MHz未満の周波数でのプラズマCVD法と50MHz以上450MHz以下の周波数でのプラズマCVD法では最適な真空度が異なる場合があるが、この場合は前述の排気装置のメカニカルブースターポンプの駆動周波数を調整したり、別途可変コンダクタンスバルブを用いることにより各々適切な真空度に調整すれば良い。
【0025】
202はアースに接続された被成膜基体を兼ねる第1の電極であり、被成膜基体の上下には補助基体207が設けてある。203は基体を所定の温度に加熱するための加熱用ヒーターである。被成膜基体202は回転機構により回転し、周方向の膜厚の均一化を図ることができるようになっている。212は50MHz〜450MHz、または20MHz以下の高周波を発生する高周波電源であり、高周波出力は211の整合回路を介して第2の電極206に印加されるように配線されている。
【0026】
第2の電極206は20MHz以下の周波数でも50MHz以上450MHz以下の周波数においても効率的に電力を堆積室201に導入できるように軸方向の長さを適宜調整することにより最適な装置形態とすることができる。
【0027】
実際の成膜において周波数を切り替えるには高周波電源212と整合回路211の両方を取り替えたり、または、整合範囲の広い整合回路であれば整合回路211は固定とし、高周波電源のみを周波数の異なるものと交換することにより本発明は達成することができる。また、整合範囲の広い整合回路と20MHz以下から50MHz以上まで周波数を可変高周波電源であれば整合回路211と高周波電源112を取り替えることなく本発明の方法を達成することができて好都合である。
【0028】
使用される高周波電源は、20MHz未満の周波数を発生する電源、及び50MHzから450MHzまでを発生する電源であれば何でも使用することができる。発振周波数を変化できるタイプの高周波電源で、特に20MHz以下の周波数から50MHz以上の周波数まで可変にできるものは好適に本発明の方法に適用される。出力は10Wから5000W以上まで、装置および処方に適した電力を発生することができればいかなる出力のものでも好適に使用できる。
【0029】
更に、高周波電源の出力変動率はいかなる値であっても本発明の効果を得ることができる。
【0030】
使用される整合回路は高周波電源と負荷の整合を取ることができるものであればいかなる構成のものでも好適に使用できる。整合を取る方法としては、自動的に調整されるものが製造時の煩雑さを避けるために好適であるが、手動で調整されるものであっても本発明の効果に全く影響はない。又、整合回路が配置される位置に関しては整合が取れる範囲においてどこに設置してもなんら問題はないが、整合回路から第2の電極間の配線のインダクタンスをできるだけ小さくするような配置とする方が広い負荷条件で整合を取ることが可能になるため望ましい。
【0031】
図1の堆積膜形成装置を用いた本発明の堆積膜の形成方法の一例は次の手順のように行われる。
まず、表面を例えば旋盤を用いて鏡面加工を施した被成膜基体(第1電極を兼ねる)102に補助基体107を取りつけ、堆積室101内の加熱用ヒーター103に被成膜基体に107を挿入する。
【0032】
次に、原料ガス導入バルブ109を閉とし、メインバルブ104を開として排気口115より堆積室内を一旦排気した後、原料ガス導入バルブ109を開として加熱用の不活性ガス、一例としてアルゴンを原料ガス放出パイプ105より堆積室内に導入し、堆積室内が所望の圧力になるように圧力ゲージ110を監視しながら加熱用不活性ガスの流量を調整する。その後、不図示の温度コントローラーを作動させて基体102を加熱用ヒーター103により加熱し、基体102が所望の温度に加熱されたところで原料ガス導入バルブ109を閉じ、堆積室内へのガス流入を止める。
【0033】
堆積膜の形成は原料ガス導入バルブ109を開として原料ガス導入口105から所定の原料ガス、例えばシランガス、ジシランガス、メタンガス、エタンガスなどの材料ガスを、またジボランガス、ホスフィンガスなどのドーピングガスを堆積室101内に導入し、数mTorrから数Torrの所望の圧力に維持するよう排気速度を調整する。調整の方法としては、メインバルブ104の開度を適宜調整する方法、あるいは不図示のコンダクタンス調整バルブを用いて調整する方法、さらには排気系にメカニカルブースターポンプとロータリーポンプを組み合わせて使用している場合にはメカニカルブースターポンプの回転周波数を調整する方法などがある。圧力が安定した後、高周波電源112の電源を入れてグロー放電を生起させる。
【0034】
このとき、ある層形成時においては発振周波数が20MHz未満の高周波電力を投入し、また、別の層形成時においては、発振周波数が50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を投入する。どの層形成時において、20MHz未満の高周波電力を投入するか、50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を投入するかは適宜選択される。
【0035】
いずれの場合も整合回路111を調整し、反射波が最小となるように調整する。高周波の入射電力から反射電力を差し引いた値を所望の値に調整し、所望の膜厚を形成したところでグロー放電を止め、原料ガス導入バルブ109を閉じて原料ガスの堆積室101への流入を止め、堆積室内を一旦高真空にもどした後に層の形成を終える。この手順を所望の回数繰り返し、種々の機能を有する堆積膜を積層した電子写真感光体が作成される。
【0036】
図2の堆積膜形成装置を用いた本発明の堆積膜の形成方法の一例は次の手順のように行われる。
まず、表面を例えば旋盤を用いて鏡面加工を施した被成膜基体(第1電極を兼ねる)202に補助基体207を取りつけ、堆積室201内の加熱用ヒーター203に被成膜基体202及び補助基体207を挿入する。
【0037】
次に、原料ガス導入バルブ209を閉とし、排気口215より堆積室内を一旦排気した後、原料ガス導入バルブ209を開として加熱用の不活性ガス、例えばアルゴンを原料ガス放出パイプ205より堆積室内に導入し、堆積室内が所望の圧力になるように圧力ゲージ210を監視しながら加熱用不活性ガスの流量を調整する。その後、不図示の温度コントローラーを作動させて基体202を加熱用ヒーター203により加熱し、基体202が所望の温度に加熱されたところで原料ガス導入バルブ209を閉じ、堆積室内への不活性ガスの流入を止める。
【0038】
堆積膜の形成は原料ガス導入バルブ109を開として原料ガス導入口205から所定の原料ガス、例えばシランガス、ジシランガス、メタンガス、エタンガスなどの材料ガスを、またジボランガス、ホスフィンガスなどのドーピングガスを堆積室101内に導入し、数mTorrから数Torrの所望の圧力に維持するよう排気速度を調整する。調整の方法としては、不図示のメインバルブの開度を適宜調整する方法、あるいは不図示のコンダクタンス調整バルブを用いて調整する方法、更には不図示の排気系にメカニカルブースターポンプとロータリーポンプを組み合わせて使用している場合にはメカニカルブースターポンプの回転周波数を調整する方法などがある。圧力が安定した後、高周波電源212の電源を入れてグロー放電を生起させる。
【0039】
このとき、ある層形成時においては発振周波数が20MHz未満の高周波電力を投入し、また、別の層形成時においては、発振周波数が50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を投入する。どの層形成時において、20MHz未満の高周波電力を投入するか、50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を投入するかは適宜選択される。
【0040】
いずれの場合も整合回路211を調整し、反射波が最小となるように調整する。高周波の入射電力から反射電力を差し引いた値を所望の値に調整し、所望の膜厚を形成したところでグロー放電を止め、原料ガス導入バルブ209を閉じて、原料ガスの堆積室201への流入を止め、堆積室内を一旦高真空にもどした後に層の形成を終える。この手順を所望の回数繰り返し、種々の機能を有する堆積膜を積層した電子写真感光体が作成される。
【0041】
図1、図2のいずれの装置においても、各層の間に組成等を連続的に変化させた変化層を設ける場合、例えば光導電層と表面層の間に中間層を設ける場合には、上記の操作により光導電層を形成した後、高周波電力の供給を止めずに、原料ガスの流量条件を光導電層形成時の条件から、表面層形成時の条件に徐々に、かつ連続的に変化させる等の方法をとることができる。このときには高周波電源112、212は発振周波数を可変可能なものを用い、また、整合器111、211も該当する周波数帯域をカバーできるものを用いる必要がある。原料ガスの流量を変化させると同時に、高周波電源112、212の発振周波数を変化させ、かつ、同時に変化層形成時の所望の条件が得られるように、高周波電源112、212の出力及び、メインバルブ104等を必要に応じて調整する。また原料ガスの流量を変化させるに際して、ガスの突出等による極端な圧力変化が起きないように十分配慮することは言うまでもない。この変化領域の層の厚さは上記のように、光導電層と表面層の間に実質的に界面を形成する程度の厚さであれば良い。
【0042】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが堆積室内およびガス供給系の配管内に残留することを避けるために一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。また上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0043】
第2の電極の材質としては銅、アルミニューム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス、およびこれらの材料の中の2種以上の複合材料などが好適に用いられる。形状は円筒形が好ましいが、必要に応じて楕円形、多角形を用いても良い。第2の電極は必要に応じて冷却手段を設けても良い。具体的な冷却手段としては、水、空気、液体チッ素、ベルチェ素子などによる冷却が適用される。
【0044】
第1の電極は被成膜基体としての役割があり、使用目的に応じた材質や形状などを有するものであれば良い。形状に関しては、電子写真感光体に供する場合には円筒状が望ましいが、必要に応じて、平板状や、その他の形状であっても良い。材質においては銅、アルミニューム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス、およびこれらの材料の中の2種以上の複合材料、更にはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、セラミックス、紙などの絶縁材料に導電性材料を被覆したものなどが使用できる。
【0045】
円筒状基体の中央付近の基体温度は一般に100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは200℃以上350℃以下にすることが、膜中のダングリングボンドを低減し、緻密な膜になるために望ましい。
【0046】
基体加熱ヒーターを構成する発熱体は、真空仕様であればよく、より具体的にはシース状ヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター、カーボンヒーター等の電気抵抗発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体も本発明の基体加熱ヒーターとして好適に用いることができるが、この場合には中央に設置するランプよりヒーターの端部に電力の大きいランプを設置することにより温度勾配が形成されるようにする必要がある。加熱手段の表面材料には、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。
【0047】
本発明において使用される基体材料としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性材料としては、Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性材料の場合は少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理して使用する。
【0048】
本発明において使用される基体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望の電子写真用光受容部材を形成し得るように適宜決定するが、電子写真用光受容部材としての可撓性が要求される場合には、基体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、基体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上が好ましい。
【0049】
特にレーザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現われる、いわゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するために、基体の表面に凹凸を設けてもよい。基体の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168156号公報、同60−178457号公報、同60−225854号公報等に記載された公知の方法により作成される。
【0050】
レーザー光などの可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する別の方法として、基体の表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。すなわち、基体の表面が電子写真用光受容部材に要求される解像力よりも微少な凹凸を有し、しかもこの凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものである。基体の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載された公知の方法により作成される。
【0051】
本発明の製造装置で製造するのに適している阻止型の電子写真感光体の電荷注入阻止層は、光受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、基体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。この層に含有される伝導性を制御する原子は、層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、基体側に多く分布するように含有させるのが好適である。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要である。
【0052】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野におけるいわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第III b族に属する原子(以後「第III b族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いることができる。第IIIb族原子としては、具体的には、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Ta(タリウム)等があり、特にB,Al,Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的にはP(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適である。
【0053】
電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104 原子ppm、より好適には50〜5×103 原子ppm、最適には1×102 〜1×103 原子ppmとされるのが望ましい。
【0054】
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。
電荷注入阻止層に含有される炭素原子、窒素原子およびまたは酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行な面においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要である。
【0055】
電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその量として、二種以上の場合はその総和として、好ましくは1×10-3〜50原子%、より好適には5×10-3〜30原子%、最適には1×10-2〜10原子%が望ましい。
【0056】
電荷注入阻止層に水素原子および/またはハロゲン原子を含有させると、層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0057】
電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、および経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、最適には1〜4μmが望ましい。
【0058】
本発明の目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻止層を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
【0059】
希釈ガスであるH2 および/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対しH2 を、通常の場合1〜20倍、好ましくは3〜15倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0060】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10-4〜10Torr、好ましくは5×10-4〜5Torr、最適には1×10-3〜1Torrとするのが好ましい。
【0061】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力を、通常の場合0.5〜7倍、好ましくは1〜6倍、最適には1.5〜5倍の範囲に設定することが望ましい。
【0062】
基体の温度もまた同様に層設計に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常100℃〜400℃、好ましくは150℃〜350℃、最適には200℃〜350℃の範囲に設定することが望ましい。
【0063】
本発明の製造装置で製造するのに適している電子写真感光体の光導電層中には水素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。
【0064】
水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/およびハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%が望ましい。
【0065】
本発明において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4 ,Si2 H6 ,Si3 H8 ,Si4 H10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層形成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4 ,Si2 H6 が好ましいものとして挙げられる。そして、形成される光導電層中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるようにはかり、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに更に水素あるいは水素原子を含む珪素化合物のガスを所望量混合して層形成することが必要である。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0066】
また本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。さらにシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2 ),BrF,ClF,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3 ,IF7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSi2 F4 ,Si2 F6 等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0067】
光導電層中に含有される水素原子または/およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の温度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の堆積室内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0068】
本発明においては、光導電層には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0069】
前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野におけるいわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える第III b族原子またはn型伝導特性を与える第Vb族原子を用いることができる。
【0070】
第III b族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB,Al,Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP,Asが好適である。
【0071】
光導電層に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104 原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103 原子ppm、最適には1×10-1〜1×103 原子ppmとされるのが望ましい。
【0072】
伝導性を制御する原子、たとえば、第III b族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第III b族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層を形成するための他のガスとともに導入すればよい。第III b族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0073】
第III b族原子導入用の原料物質として具体的には、B2 H6 ,B4 H10,B5 H9 ,B5 H11,B6 H10,B6 H12,B10H14等の水素化硼素、BF3 ,BCl3 ,BBr3 等のハロゲン化硼素、AlCl3 ,GaCl3 ,Ga(CH3 )3 ,InCl3 ,TlCl3 等を挙げることができる。
【0074】
第Vb族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 、P2 H4 等の水素化燐、PH4 I,PF3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr5 ,PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,SbCl5 ,BiH3 ,BiCl3 ,BiBr3 等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2 および/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0075】
本発明において、光導電層の層厚は所望の電子写真特性および経済的効果等の点から適宜決定され、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μmである。
【0076】
本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有する光導電層を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、堆積室内のガス圧、放電電力ならびに基体温度を適宜設定することが必要である。希釈ガスとして使用するH2 および/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対し希釈ガスを、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜15倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0077】
堆積室内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10-4〜10Torr、好ましくは5×10-4〜5Torr、最適には1×10-3〜1Torrとするのが好ましい。
【0078】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力を、通常の場合0.5〜7倍、好ましくは1〜6倍、最適には1.5〜5倍の範囲に設定することが望ましい。
【0079】
基体の温度もまた同様に層設計に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常100℃〜400℃、好ましくは150℃〜350℃、最適には200℃〜350℃の範囲に設定することが望ましい。
【0080】
本発明においては、光導電層を形成するための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0081】
本発明の製造装置で製造するのに適している電子写真感光体は、光導電層の上に更にアモルファスシリコン系の表面層を形成することが好ましい。この表面層は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。本発明においては、光受容層を構成する光導電層と表面層とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているので、積層界面において化学的な安定性の確保が十分成されている。
【0082】
表面層は、アモルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と記す)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiO:H,X」と記す)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,X」と記す)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiCON:H,X」と記す)等の材料が好適に用いられる。
【0083】
本発明に用いる表面層の材料としてはシリコンを含有するアモルファス材料ならば何れでも良いが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対して30%から90%の範囲が好ましい。
【0084】
本発明において表面層中に水素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.6〜4原子%が望ましい。
【0085】
本発明の表面層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4 ,Si2 H6 ,Si3 H8 ,Si4 H10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が挙げられ、特に層形成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4 ,Si2 H6 が好ましい。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0086】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH4 ,C2 H6 ,C3 H8 ,C4 H10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が挙げられ、更に層形成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でCH4 ,C2 H6 が好ましい。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0087】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH3 ,NO,N2 O,NO2 ,O2 ,CO,CO2 ,N2 等のガス状態の化合物が挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2 ,He ,Ar ,Ne 等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0088】
また、形成される表面層中に導入される水素原子の導入割合の制御をさらに容易にするために、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えない。
【0089】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得るハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2 ),BrF,ClF,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3 ,IF7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4 ,Si2 F6 等の弗化珪素が好ましい。
【0090】
表面層中に含有される水素原子または/およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の温度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の堆積室内への導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0091】
炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は、表面層中に万偏なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0092】
本発明における表面層の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmが望ましい。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、層厚が3μmを超えると残留電位の増大等の電子写真特性の低下がみられる。
【0093】
堆積室内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは1×10-4〜10Torr、より好ましくは5×10-4〜5Torr、最適には1×10-3〜1Torrである。
【0094】
基体の温度もまた同様に層設計に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常100℃〜400℃、好ましくは150℃〜350℃、最適には200℃〜350℃の範囲に設定することが望ましい。
【0095】
本発明の装置で製造された電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、レーザー製版機などの電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0096】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
参考例1
図1に示した堆積膜形成装置においてアルミニューム製の円筒状基体にa-Si膜を形成し、電子写真用感光体を作成した。放電以外の製造条件は表1に示した。発振周波数105MHzの高周波電源を使用して下部阻止層の成膜を行った後、一旦放電を切り、高周波電源を13.56MHzのものに置き換えて従来と同じ手順で光導電層、および表面保護層を成膜した。
【0097】
【表1】
得られた電子写真感光体は次の方法で評価した。
【0098】
各々の感光体について電子写真装置(キヤノン社製NP6060を実験用に改造したもの)にセットして、初期の帯電能、残留電位等の電子写真特性を次のように評価した。
【0099】
帯電能 …電子写真用感光体を実験装置に設置し、帯電器に+6kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行ない、表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定する。
【0100】
帯電ムラ…電子写真感光体を電子写真装置に設置し、帯電器に+6kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行ない、表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を現像位置で測定する。電子写真感光体の軸方向に5点測定し、このときの電位ムラを評価する。
【0101】
感度ムラ…電子写真感光体を、一定の暗部表面電位に帯電させる。そして直ちにフィルターを用いて600nm以上の波長域の光を除いたハロゲンランプ光を照射し、電子写真感光体の明部表面電位が所定の値になるように光量を調整する。このときに必要な光量をハロゲンランプ光源の点灯電圧から換算する。この手順で電子写真感光体の軸方向に5点感度を測定し、このときの感度ムラを評価する。
【0102】
残留電位…電子写真感光体を、一定の暗部表面電位に帯電させる。そして直ちに一定光量の比較的強い光を照射する。光像はハロゲンランプ光源を用い、フィルターを用いて600nm以上の波長域の光を除いた光を照射した。この時表面電位計により電子写真感光体の明部表面電位を測定する。
【0103】
濃度ムラ…電子写真感光体の表面電位を現像位置において所定の暗部表面電位に帯電させる。そして直ちにハロゲンランプを光源とし、フィルターを用いて600nm以上の波長域の光を除いた光を照射し、表面電位が50Vになる時の光量を測定する。次に前記と同様に所定の表面電位に帯電させた後に前記光量の1/2光量を照射し、現像器により現像を行う。この時の画像濃度を電子写真感光体の軸方向に5点測定し、評価した。但し、画像濃度の測定は、画像濃度計:Macbeth RD914を用いた。
【0104】
画像流れ…高温高湿環境(気温:30℃、湿度:80%)下で、画像形成時の原稿として、図4に示す黒色部と白色部とが一定の幅aで並んだテストチャートを用意し、線幅aを狭めていった時に、複写画像上において再現し解像し得る最小の線幅aにより評価を行った。すなわち、テストチャートにおける線幅aを小さくしていった時に、ある線幅a以下になると、画像上の隣り合う黒色部の輪郭の画像流れによる微小なボケが重なり合い、事実上解像不可となってしまう。そのときの線幅aの数値を、画像流れ程度を表すものとして評価した。
【0105】
白ポチ …キヤノン製全面黒チャート(部品番号:FY9−9073)を原稿台に置きコピーしたときに得られたコピー画像の同一面積内にある直径0.2mm以上の白ポチの数によって評価した。評価の表示区分は次のとおり。
それぞれについて、
◎ 非常に良好
〇 良好
△ 従来レベルで実用上問題無し
× 実用上問題有り
膜の密着性試験…100gの鉄球を50cmの高さから落下させて電子写真感光体に衝突させた。このとき生じた打痕を詳細に観察し、a−Si膜と基体の密着性を評価した。
【0106】
◎ 打痕の回りの膜に全くひび割や膜剥がれはなく、非常に良好
〇 僅かにひび割れはあるが膜剥がれはなく、良好
△ ひび割れはあるが膜剥がれはなく、実用上問題無し
× 打痕の回りの膜に膜剥がれが発生し、実用上問題有り
成膜時間…比較例1のトータルの成膜時間を基準とした時の成膜時間を評価した。
【0107】
◎ 比較例1より成膜時間が10%以上短い
〇 比較例1より成膜時間が10%程度短い
△ 比較例1とほぼ同等の時間
× 比較例1より成膜時間が長い
以上の評価結果を、同様の方法で評価した後述する参考例2、実施例1〜4および比較例1〜2の結果とともに、表2にまとめて示す。
【0108】
参考例2
使用発振周波数を変えた以外は参考例1と同様にして、電子写真用感光体を作成した。下部阻止層〜光導電層を発振周波数13.56MHzの高周波電源を使用して成膜を行った後、一旦放電を切り、高周波電源を105MHzのものに置き換えて表面保護層を成膜した。
実施例1
使用発振周波数を変えた以外は参考例1と同様にして、電子写真用感光体を作成した。下部阻止層では発振周波数13.56MHzの高周波電源を使用して成膜を行った後、一旦放電を切り、高周波電源を105MHzのものに置き換えて光導電層を成膜した。更に光導電層の成膜終了後に一旦放電を切り、再び電源を13.56MHzに戻して表面保護層を成膜した。
実施例2
使用発振周波数を変えた以外は参考例1と同様にして、電子写真用感光体を作成した。下部阻止層では発振周波数105MHzの高周波電源を使用して成膜を行った後、一旦放電を切り、高周波電源を13.56MHzのものに置き換えて光導電層を成膜した。更に光導電層の成膜終了後に一旦放電を切り、再び電源を105MHzに戻して表面保護層を成膜した。
実施例3
図2に示した堆積膜形成装置においてアルミニューム製の円筒状基体の表1の製造条件(内圧を除く)に従ってa-Si膜を形成し、電子写真用感光体を作成した。本実施例では下部阻止層〜光導電層を発振周波数で使用する高周波電源の発振周波数は80MHzとし、内圧を0.05Torrで成膜し、その他の層領域では10MHzの高周波電源を用いて内圧0.5Torrで成膜を行った。
実施例4
使用発振周波数を変えた以外は実施例3と同様にして、電子写真用感光体を作成した。光導電層〜表面層で使用する高周波電源の発振周波数は60MHzとし、内圧を0.04Torrで成膜し、下部阻止層では15MHzの高周波電源を用いて内圧0.45Torrで成膜を行った。
比較例1
図1に示した堆積膜形成装置において発振周波数13.56MHzの高周波電源を設置し、アルミニューム製の円筒状基体にa-Si膜を形成し、電子写真用感光体を作成した。本比較例では表1の製造条件に従って、下部阻止層、光導電層、および表面保護層すべてを発振周波数13.56MHzの高周波電源で成膜を行った。
比較例2
図2に示した堆積膜形成装置において発振周波数13.56MHzの高周波電源を設置し、アルミニューム製の円筒状基体にa-Si膜を形成し、電子写真用感光体を作成した。本比較例では表1の製造条件に従って、下部阻止層、光導電層、および表面保護層すべてを発振周波数13.56MHzの高周波電源で成膜を行った。
【0109】
【表2】
【0110】
以上の結果、本発明の電子写真感光体は比較例1、2に示した従来の感光体に比べてすべての評価において非常に良好な特性を示すことが判明し、本発明の優位性が明らかとなった。
【0111】
参考例3
参考例1と同様の堆積膜形成装置および手順でアルミニューム製の円筒状基体に表1の製造条件に従ってa-Si膜を形成し、電子写真用感光体を作成した。但し、本実施例では下部阻止層で使用する高周波の発振周波数を105MHzから200MHzに変更した。成膜時の内圧は参考例1と同様に0.02Torrである。こうして作成した電子写真用感光体を参考例1、2及び実施例1〜4と同様の手順で評価を行ったところ、参考例1と同様の良好な結果が得られた。
参考例4
参考例2と同様の堆積膜形成装置、および手順でアルミニューム製の円筒状基体に表1の製造条件に従ってa-Si膜を形成し、電子写真用感光体を作成した。但し、本実施例では表面保護層で使用する高周波の発振周波数を105MHzから300MHzに変更した。成膜時の内圧は実施例2と同様に0.03Torrである。こうして作成した電子写真用感光体を参考例1、2及び実施例1〜4と同様の手順で評価を行ったところ、参考例2と同様の良好な結果が得られた。
実施例5
実施例1と同様の堆積膜形成装置および手順でアルミニューム製の円筒状基体に表1の製造条件に従ってa-Si膜を形成し、電子写真用感光体を作成した。但し、本実施例では光導電層で使用する高周波の発振周波数を105MHzから50MHzに変更した。成膜時の内圧は実施例1と同様に0.03Torrである。こうして作成した電子写真用感光体を参考例1、2及び実施例1〜4と同様の手順で評価を行ったところ、実施例1と同様の良好な結果が得られた。
【0112】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように少なくともシリコン原子を母材とする非結晶質材料から成る電子写真感光体を製造する方法において、発振周波数が20MHz未満の高周波電力により励起されたグロー放電により堆積される層と、発振周波数が50MHz以上、450MHz以下の高周波電力により励起されたグロー放電により堆積される層とが混在するように形成させることによって、高速の処理速度で比較的大面積の基体をプラズマ処理でき、帯電性能が高く、画像濃度が濃く、製造時間が短く低コストであり、高温、高湿度の環境で用いても画像品質が低下せず、更に製造工程で多少の条件変動があっても膜剥がれ等のトラブルが発生しない、安定で、再現性が良く、製造工程管理が容易な電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の形成方法に使用する装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の形成方法に使用する装置の他の例を示す模式図である。
【図3】従来の電子写真感光体の形成方法に使用する装置の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の電子写真感光体の画像流れ試験用チャートの模式図である。
【符号の説明】
101、201、301 堆積室
102、202、302 被成膜基体を兼ねる第1の電極
103、203、303 加熱用ヒーター
104、304 メインバルブ
105、205、305 原料ガス放出パイプ
106、206、306 第2の電極
107、207、307 補助基体
108、308 排気装置
109、209、309 原料ガス導入バルブ
110、210、310 圧力ゲージ
111、211、311 整合器
112、212、312 高周波電源
113、313 絶縁材
114、314 絶縁された炉壁
115、215、315 排気口
Claims (4)
- 排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な堆積室内に導電性の円筒状基体を設置し、少なくともシリコン原子を含んだガス状原料を高周波電力により励起されたグロー放電により分解し、該円筒状基体上に少なくともシリコン原子を母材とする非結晶質材料を堆積させて電子写真感光体を製造する製造方法において、
該電子写真感光体が阻止型であって前記円筒状基体上の堆積層が少なくとも下部阻止層および光導電層からなり、前記光導電層を50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を用いて形成し、該光導電層以外の層を20MHz未満の高周波電力を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の形成方法。 - 前記電子写真感光体が表面保護層を有し、該表面保護層を 20 MH z 未満の高周波電力を用いて形成することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の形成方法。
- 排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な堆積室内に導電性の円筒状基体を設置し、少なくともシリコン原子を含んだガス状原料を高周波電力により励起されたグロー放電により分解し、該円筒状基体上に少なくともシリコン原子を母材とする非結晶質材料を堆積させて電子写真感光体を製造する製造方法において、
該電子写真感光体が阻止型であって前記円筒状基体上の堆積層が少なくとも下部阻止層、光導電層、表面保護層からなり、前記下部阻止層および前記表面保護層を50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を使用して形成し、該下部阻止層および該表面保護層以外の層を20MHz未満の高周波電力を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の形成方法。 - 排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な堆積室内に導電性の円筒状基体を設置し、少なくともシリコン原子を含んだガス状原料を高周波電力により励起されたグロー放電により分解し、該円筒状基体上に少なくともシリコン原子を母材とする非結晶質材料を堆積させて電子写真感光体を製造する製造方法において、
該電子写真感光体は阻止型であって、前記円筒状基体上の堆積層が下部阻止層、光導電層及び表面保護層を有し、前記下部阻止層と前記光導電層とを50MHz以上、450MHz以下の高周波電力を使用して形成し、前記表面保護層を20MHz未満の高周波電力を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の形成方法。
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