JP3708768B2 - 読取り装置及びデータ処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、帳票等の予め決まった所定様式に記入されたデータを読み取る読取り装置、及び所定様式に記入されたデータの読取り、伝送及び印刷等を行うデータ処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、帳票等を用いてデータの管理を行う場合、記入枠が設けられた所定様式の記入用紙にデータの記入がなされる。また、各装置間がネットワークによって結ばれたデータ管理システムにおいて、記入用紙に記入されたデータを装置間で伝送する際には、データ伝送量を削減するために記入枠のデータを削除し、記入されたデータのみを伝送する方式がよく使用される。
【0003】
記入枠の印刷された記入用紙へのデータ記入は、手書きやスタンプの押印等によってなされることが多い。このような方法で記入用紙に記入されたデータを装置間で伝送する場合には、スキャナ等の読取り装置によって記入データを読み取り、丈字認識を行った後に他の装置に伝送される。このようにデータ伝送量を削減するために、記入用紙に印刷されている記入枠を削除する方法として、様々な技術が提案されている。例えば、特開平6−2490296号公報には、記入枠の様式(レイアウト)データを予め帳票レイアウト登録部に格納しておき、読取り装置によって読み取られた画像データと上記様式データとの排他的論理和演算を行って、記入枠を消去する文字認識装置に関する技術が開示されている。この装置を用いることで、データ伝送量を削減できるとともに文字認識精度を上げることができる。
【0004】
しかしながら、上記公報に開示された装置の構成では、帳票の様式(レイアウト)を消去するのに排他的論理和演算を行っているため、記入枠がかすれたり滲んだりして元の様式と違いが発生した場合には、その部分は消去できずに残ってしまう問題がある。
【0005】
また、記入枠内を主に印刷装置で印刷する記入用紙では、記入枠は小さく設計されることが多いが、そのような記入用紙に対して手書き記入を行う場合、記入データが完全に記入枠内に記載されるとは限らない。即ち、記載された文字等が記入枠に接触したり、あるいは記入枠からはみ出して記入されるといったことが起こる。このような文字を含む読取り画像データに対して上記公報の方法で記入枠を消去した場合、記入枠と文字の重複部分も同時に削除されてしまい、文字に対して欠損部分が生じるため、文字認識精度が低下するという問題がある。
【0006】
このような記入枠からはみ出した記入データに対応する方法としては、例えば、特開平7−175891号公報や特開平10−222606号公報において、記入枠からはみ出したり記入枠に接触した文字を正確に切り出し、記入枠の消去に伴う文字の欠損部分を補正することによって、文字認識精度を高める方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、オフィス・オートメーション(OA)化による文書の電子化に伴い、パソコン等のデータ入力装置を用いて入力したデータは、記憶装置によって一元管理され、プリンタ等の印刷装置を用いて記入用紙へのデータ記入(印刷)を行うのが一般的になっている。このため、記入用紙の記入枠は、データ記載時の便宜よりもデータ閲覧時の一覧性を重視して、前記のように小さく設計されることが多くなっている。しかし、近年においても全てのデータ記入が印刷装置によって行われるわけではなく、手書きによってデータの記入を行う場合もある。よって、この場合は、データが記入された記入用紙を読取り装置で読み取り、文字認識を行ってデータ入力を行うが、上述のようにプリンタ等の印刷装置を前提とした様式では、記入枠に手書きで記入を行うには小さすぎる場合が多い。そのため、記入文字が記入枠からはみ出したり接触したりするといったことが生じやすい。
【0008】
この場合、特開平7−175891号公報及び特開平10−222606号公報に開示された技術を用いると問題を解決することができる。しかしながら、装置のプログラムが複雑になり、装置のコストアップを招来するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、記入用紙に印刷された様式や記入されたデータにかすれや滲み等があっても、確実に様式を消去して、記入されたデータのみを抽出して伝送できる読取り装置を提供することである。また、データを記入する箇所が小さい様式に対して、記入するデータと様式の枠線とが重複しないようにするデータ処理システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0011】
(1) 所定様式が印刷された記入用紙に記入されたデータ、及び該記入用紙に印刷された所定様式の印刷倍率情報を読み取る読取り部と、
読み取った画像データに重ね合わせるマスクデータを記憶する記憶部と、
前記印刷倍率情報に基づいて前記記憶部からマスクデータを読み出す処理、
前記画像データに前記マスクデータを重ね合わせて前記マスクデータに覆われた部分の画像データを消去して、前記画像データから前記記入用紙に記入されたデータを得る処理、を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成においては、読取り装置の制御部は、読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された印刷倍率情報に基づいて、画像データに重ね合わせるマスクデータを記憶部から読み出す。そして、読取り部で読み取った画像データに、記憶部から読み出したマスクデータを重ね合わせ、マスクデータと重なった画像データを消去して、記入用紙に記入されたデータを得る。したがって、記入用紙の印刷時や記入用紙の読み取り時に記入用紙に印刷される記入枠等の様式がかすれたり滲んでいても、様式を完全に消去して記入用紙に記入されたデータを得ることができる。また、読み取った画像データから様式を消去することにより、例えば、記入データのデータ伝送を行う場合に伝送するデータ量を削減できる。さらに、拡大印刷されていても容易にマスクデータを選択して、画像データとマスクデータの重ね合わせ処理を迅速に行なうことができる。
【0013】
(2) 前記制御部は、前記記入用紙に予め印刷された様式コードを前記読取り部に読み取らせて、該様式コードに対応する様式のマスクデータを前記記憶部から読み出すことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、読取り部で読み取られた記入用紙に予め印刷された様式コードに対応するマスクデータが記憶部から読みだされる。したがって、記入用紙の様式が複数種類用意されている場合にも、読み取った様式に応じて記入されたデータを確実に得ることができる。
【0015】
(3) 前記制御部は、前記記入用紙に予め印刷された検知マークを前記読取り部に読み取らせて、該検知マークに基づいて前記画像データの位置及び傾きを補正することを特徴とする。
【0016】
この構成においては、読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された検知マークに基づいて、制御部は画像データの位置や傾きの補正を行う。したがって、読み取った画像データに位置ずれ、傾き等があっても様式を正確に消去することができる。
【0017】
(4) 前記制御部は、前記記入用紙に予め印刷された検知マークを前記読取り部に読み取らせて、該検知マークに基づいて前記画像データと前記記憶部から読み出したマスクデータとの大きさを一致させることを特徴とする。
【0018】
この構成においては、読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された検知マークに基づいて、画像データとマスクデータとの大きさを一致させる。したがって、記入用紙において、特にフリガナ等小さい文字の手書き記入を容易にするために様式を拡大印刷した場合であっても、様式を正確に消去して記入データのみを得ることができる。
【0019】
(5) 前記制御部は、前記記憶部に前記印刷倍率情報と一致するマスクデータが格納されていない場合には、前記様式情報に基づいて前記記憶部から拡大前のマスクデータを読み出し、前記倍率情報に基づいてマスクデータを前記読取り部で読み取った記入用紙と同じ倍率にする処理を行うことを特徴とする。
【0020】
この構成においては、前記記憶部に前記印刷倍率情報と一致するマスクデータが格納されていない場合には、前記様式情報に基づいて前記記憶部から拡大前のマスクデータを読み出し、前記倍率情報に基づいてマスクデータを前記読取り部で読み取った記入用紙と同じ倍率にする。したがって、拡大印刷されていても容易にマスクデータを作成して、画像データとマスクデータの重ね合わせ処理を迅速に行なうことができる。
【0021】
(6) 前記記憶部は、記入用紙に印刷された前記様式の枠線よりも太い枠線のマスクデータを記憶していることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、画像データに重ね合わせるマスクデータは、記入用紙に印刷された様式の枠線よりも太い。したがって、読み取った画像データに位置ずれ、傾き、かすれ等があってもマスクデータは画像データを覆うことができるので、様式を確実に消去できる。
【0023】
(7) 前記マスクデータは、前記所定様式、前記印刷倍率情報、前記様式コード及び前記検知マークの印刷領域のデータであることを特徴とする。
【0024】
この構成においては、記憶部に記憶されたマスクデータは、所定様式、印刷倍率情報、様式コード及び検知マークの印刷領域のデータである。したがって、記入用紙に印刷された様式だけでなく、所定様式のマスクデータを選択するための印刷倍率情報、様式コード、及び読み取った画像データとマスクデータを重ね合わせるための検知マークのデータも消去して、記入データのみを得ることができる。
【0025】
(8) (1) 乃至 (7) のいずれかに記載の読取り装置と、
前記記入用紙で使用される様式の様式データを管理する様式管理手段と、
前記読取手段から送信される記入データと、前記様式管理手段から送信される様式データと、を合成して印字出力する印刷手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成においては、データ処理システムは、(1) 乃至 (7) のいずれかに記載の読取り装置と、様式管理手段と、印刷手段と、によって構成され、読取り装置は、読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された印刷倍率情報に基づいて、画像データに重ね合わせるマスクデータを記憶部から読み出す。そして、読取り部で読み取った画像データに該所定様式の一部を覆うマスクデータを重ね合わせて、マスクデータに覆われた部分のデータを消去することによって画像データから様式の消去を行い記入データを得、様式管理手段は、記入用紙で使用される様式の様式データを管理し、印刷手段は、読取手段から送信される記入データと、様式管理手段から送信される様式データと、を合成して印字出力する。したがって、読取手段によって読み取られた画像データ量が多い場合でも、読取手段から印刷手段に送るデータ量を少なくすることができ、データ処理システムの各手段の負荷を軽くすることができる。また、記入用紙の印刷時や記入用紙の読み取り時に記入用紙に印刷される記入枠等の様式がかすれたり滲んでいても、様式を完全に消去して記入用紙に記入されたデータを得ることができる。さらに、拡大印刷されていても容易にマスクデータを選択して、画像データとマスクデータの重ね合わせ処理を迅速に行なうことができる。
【0029】
(9) 前記様式管理手段は、データ記入する箇所を拡大した様式と拡大前の様式とを関連付けて登録することを特徴とする。
【0030】
この構成においては、データ処理システムの様式管理手段は、データ記入する箇所を拡大した様式と拡大前の様式とを関連付けて登録する。したがって、拡大印刷した様式に記入されたデータは拡大前の様式のデータとして認識されるので、拡大前の様式のデータとして取り扱うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態では、データ処理システムを帳票処理システムに適用した場合を例示して説明を行う。図1は、帳票処理システムの構成を示す図である。帳票処理システム1は、読取り手段である読取り装置10、印刷手段である印刷装置20、及び様式管理手段である様式管理装置30等の装置によってネットワークが構成され、それぞれ通信線で接続されてデータの送受信を行う。また、クライアント端末40、クライアント端末41及びクライアント端末42がネットワークに接続されている。
【0032】
読取り装置10は、所定の様式が印刷された記入用紙に記入されたデータを読み取り、読み取った画像データに所定の様式の枠線等一部のデータを覆うマスクデータを重ね合わせて、マスクデータに覆われた部分のデータを消去することによって、画像データから様式の消去を行い記入データを得る。印刷装置20は、読取り装置10から送信される記入データと、様式管理装置30から送信される様式データと、を合成して印刷を行う。様式管理装置30は、記入用紙で使用される様式の様式データを管理する。また、クライアント端末40、41及び42は、帳票処理システム1のユーザがデータ入力や各種指示を行うための装置であり、例えば、パソコン(パーソナルコンピュータ)等が用いられる。
【0033】
読取り装置10は、帳票等の記入用紙に記録されたデータを読み取るための読取り部11、読取り部11において読み取られた画像データから記入用紙に印刷された記入枠に相当するデータを消去するためのマスクデータを記憶する記憶部12、上記画像データ及び上記マスクデータに基づいて様式消去を行い、また読取り装置の各部を制御する制御部13、読取り部11で読み取った画像データを一旦記憶するデータバッファ14、及び上記様式消去が行われたデータをネットワークに接続された他の機器(印刷装置20等)に伝送するためのデータ伝送部(ネットI/F)15を備えている。
【0034】
印刷装置20は、印字を行うための印字部(プリンタエンジン)21、印字を制御するための制御部23、印字データを受信するためのデータ受信部(ネットI/F)25を備えている。
【0035】
様式管理装置30は、記入用紙に印刷された様式データを記憶する記憶部32、様式データの登録更新を管理する制御部33、様式データをネット接続された他の機器(読取り装置10、印刷装置20等)に伝送するためのデータ伝送部(ネットI/F)35を備えている。
【0036】
次に、帳票処理システム1で使用する記入用紙の例と記入用紙の処理方法を図2乃至9を用いて説明する。図2は、手書きで記入する記入様式を示す図である。図3は、図2の記入様式に様式コードと検知マークを追加した記入様式を示す図である。図4は、図3に示した記入様式のマスクデータを示す図である。図5は、マスクデータを作成する手順を示すフローチャートである。図6は、読取り装置におけるデータ処理の手順を示すフローチャートである。図7は、記入枠を拡大した様式を示す図である。図8は、様式70の記入例を示す図である。図9は、様式の記入枠を消去した例を示す図である。
【0037】
本発明においては、読取り装置10で読み取った記入用紙の画像データに、予め作成しておいた記入枠の枠線等のマスクデータを重ね合わせる。そして、画像データにおいて、マスクデータが重なった部分のデータを消去する。また、マスクデータが重ならない部分のデータである記入データをネットワークに接続された他の装置、例えば印刷装置に送り印刷を行う。このようにすることで、データ伝送量を減らして、帳票処理システム1における各装置の負荷を軽減させることができる。印刷装置20においては、様式管理装置30から送られた記入枠のデータと、読取り装置10から送られた記入データと、を印刷装置20で合成して、所定の用紙に印刷する。
【0038】
帳票処理システム1を使用する際には、様式管理装置30に登録された図2に示す様式70に対して、様式コード71と検知マーク72とを付加した図3に示すような様式70bを、予め印刷装置20によって記入用紙に印刷しておく。様式コード71は、様式70を判別するためのものである。検知マーク72は、読取り装置10の読取り部11で読み取った画像データと、記憶部12から読み出すマスクデータ80と、を重ね合わせる際の位置合わせのための基準として用いる。また、図4に示すような画像データに重ね合わせて様式を消去するためのマスクデータ80を予め作成して、読取り装置10の記憶部12に記憶させておく。
【0039】
マスクデータを作成する手順を図5のフローチャートを用いて説明する。まず、帳票処理システム1のユーザ(以下、ユーザと称する。)は、クライアント端末40乃至42のいずれかを用いて、マスクデータを作成するように指示する。その指示に従って、様式管理装置30の制御部33は、記憶部32に記憶させてある様式データを読取り装置10に送信する。読取り装置10の制御部13は、受信した様式データ70の所定の位置に、様式コード71と検知マーク72とを追加した様式データ70bを作成する(s11)。
【0040】
次に、読取り装置10の制御部13は、このデータを2値化する。即ち、記入用紙に印刷された様式70が階調を持つものであったりカラーであっても消去できるように、各画素を1bitの1または0のデータに変換する(s12)。
【0041】
さらに、読取り装置10の制御部13は、この2値化したデータに太め処理を行う(s13)。ここで、太め処理とは、記入用紙に印刷された様式70bの記入枠線及び様式コード71に対して、線や文字の太さを太くし、様式70bの記入枠線及び様式コード71の印刷領域より広い領域をマスクデータ80とする処理である。この処理により、記入用紙の印刷時や読取り時において多少滲みが出たり傾きが発生した状態で、読取り装置10でデータを読み取っても、太め処理を行ったマスクデータ80を画像データに重ねると、元の様式に対してずれが発生しても、確実に様式部分を消去することができる。
【0042】
なお、作成するマスクデータ80は、画像データの枠線や不要な文字等を消去するために作成するので、様式コード71の表示文字については、文字を覆うように塗りつぶした四角形状に形成してもよい。また、検知マーク72は、画像データとマスクデータ80とを重ね合わせる基準である。そのため、検知マーク72には、太め処理を行わない。
【0043】
このように、予め様式を消去するためのマスクデータ80を用意して、読取り装置10の記憶部12に記憶させておき、様式70bが印刷された記録用紙にデータの手書き入力を行う。そして、データの記入がなされた記入用紙を読取り装置10において読み取らせ、得られた画像データから様式70bを消去することによって実質的な記入データのみが得られる。
【0044】
このような様式消去を行うための処理を図6のフローチャートに基づいて詳述する。帳票処理システム1のクライアント端末40乃至42のいずれかを用いて、ユーザは読取り装置10に様式消去の指示を与える。その指示に従って、読取り装置10の制御部13は、データ記入のなされた記入用紙を読取り部11で読み取る。そして、制御部13は、得られた画像データを一旦、データバッファ14に記憶させる(s1)。そして、データバッファ14に記憶させた画像データに対して、制御部13は様式コード71の識別を行う(s2)。これは、様式管理装置30において複数の様式が管理され、複数の様式に対応したマスクデータが記憶部12に記憶されている場合に、上記記入用紙において印刷されている様式を識別するための処理である。例えば、記入用紙に図3に示した様式70bが印刷されている場合、上述のように様式コード71が記載されている。読取り装置10の制御部13は、様式コード71を読取り部11で読み取って、記入用紙の様式を判別する。なお、様式コード71の識別は、複数の様式が管理される場合に必要なものであり、様式管理装置30において管理される様式が1種類の場合には省略可能である。
【0045】
様式コード71の識別に続いて、制御部13は、画像データの位置及び傾きの補正を行う(s3)。位置・傾き補正は、読み取られた画像データにマスクデータを重ね合わせて様式消去を行う時に、画像データとマスクデータとの傾きによるずれを無くすための処理である。このため、記入用紙には図3に示したように、様式70の位置を検出するために予め印刷された検知マーク72に基づいて、読み取った画像データの位置及び傾きの補正を行う。
【0046】
次に制御部13は、読取り部11で読み取った画像データの様式コード71に基づいてマスクデータの選択を行う(s4)。即ち、様式管理装置30において複数の様式が管理されている場合、これらの様式に対応する複数のマスクデータが読取り装置10の記憶部12において記憶されているため、これらの様式の中から記入用紙に印刷された様式70と一致する適切なマスクデータ80が選択される。
【0047】
様式データに基づいてマスクデータ80の選択を行うと、続いて、制御部13は、記入用紙における様式70が拡大されているか否かの判定を行う(s5)。前記のように、手書き記入を行うのに十分大きな記入枠が設けられていない様式が用いられている場合、記入枠から記入するデータがはみ出す可能性がある。そこで、データの手書き記入を容易に行えるように、記入用紙において記入粋の印刷倍率を変更して所定の大きさに拡大した様式を印刷すると、記入するデータが記入枠に接触したり記入枠からはみ出したりすること無く、記入を行なうことができる。この時、図7に示すように、様式が拡大印刷された記入用紙において、様式コード71に加えて元の様式に対する拡大率を示す倍率コード73を印刷しておく。そして、この倍率コード73を読み取ることによって、記入用紙における様式の拡大率が容易に認識できる。
【0048】
また倍率コード73が記入用紙に印刷されていない場合、制御部13は検知マーク72を検出し、各検知マーク72間の距離を測定して様式70の印字倍率を求める。
【0049】
ここで、記入用紙の様式は、全体を拡大しても、手書きで記入する部分である一部のみを拡大してもよい。但し、記入用紙において様式の拡大印刷を行う場合に様式全体の印刷を行うと、記入用紙のサイズが大きくなるため、その取り扱いが煩わしいものとなる。しかしながら、手書きで記入する部分のみの部分拡大印刷とすることにより、記入用紙はサイズの大きな物を使用しなくても良い。そのため、手頃なサイズの記入用紙を使用することができ、印刷、記入、読取りにおける記入用紙の取り扱いを容易にすることができる。
【0050】
記入用紙における様式の拡大が確認されれば、制御部13は記入用紙に印刷されている拡大率を示すコードによってその倍率を識別し、s4のステップで選択されたマスクデータを記入用紙と同じ倍率にする(s6)。また、拡大率が用紙サイズによって限られている場合等は、所定の倍率に拡大されたマスクデータを予め記憶部に格納しておき、記入用紙の様式の倍率を判定した後に、その様式及び倍率に基づいてマスクデータを選択するようにしても良い。この場合は、図6においてs5→s6のステップが省略される。
【0051】
このように、s4〜s6のステップにおいて適切なマスクデータが選択されると、制御部13はデータの手書き記入がなされた記入用紙を読取り装置で読み取って得られた図8に示すような画像データと、図4に示した記憶部12に格納されたデータから選択されたマスクデータ80と、を検知マーク72を基準にして重ね合わせて、画像データからマスクデータと重なる部分のデータを消去する(s7)。
【0052】
前記のように、マスクデータ80は、記入用紙の様式70よりも、若干太い線によって記入枠が形成されている。そのため、記入用紙の読み取りにおいて、画像データに多少の位置ずれ、傾き及び歪み等が生じていても、記入用紙から読み取った画像データにおける様式70を確実に消去できる。これにより、図9に示すように、様式の記入枠、様式コード71、及び検知マーク72の印刷部分等(図9において射影部で記載されている部分)は消去され、手書き記入による記入データのみが残ることとなる。
【0053】
また、s5のステップにおいて、記入用紙において様式の拡大がされていない場合は、次にs7のステップを実行する。
【0054】
このように、読み取られた手書き入力の記入データは、読み取ったまま、あるいは必要に応じて文字認識された後、記入データのみが必要に応じてネットワークで接続された他の機器に伝送され、外部記憶装置において格納・保管されたり、ホストコンピュータにおいて各種処理に使用されたり、印刷装置において印字出力されたりする。このように、記入データのみを伝送することで、帳票処理システム1における各機器の負荷を軽減することができる。
【0055】
印刷装置20において上記記入データの印字出力を行う場合には、読取り装置10からデータ伝送部15を介して記入データが送信される。また、様式管理装置30から読取り装置10で読み取った記入用紙の様式に対応した様式データがデータ伝送部35を介して送信される。そして、印刷装置20のデータ伝送部25を介して受信された記入データと様式データとは、印刷装置20の制御部23でデータの合成が行われる。そして、印字部21で所定の記録用紙に印刷が行われる。
【0056】
なお、様式管理装置30では、データ記入する箇所を拡大した様式と拡大前の様式とは、関連付けて登録されている。関連付けは様式コード71及び倍率コード73を用いてなされている。そのため、印刷倍率が一緒に表示された様式コード71及び倍率コード73を読み取ることで、元の記入用紙の様式を直ちに認識して呼び出すことができる。
【0057】
また、読取り装置10で読み取った一部または全体が拡大された記入用紙のデータは、様式管理装置30から送信された様式データの記入枠内に印刷されるように印刷装置20の制御部23でデータの印字サイズが調整される。
【0058】
さらに、ユーザはクライアント端末40乃至42のいずれかを用いて、読み取った記入データの加工を行うことができる。
【0059】
なお、本発明のデータ処理システムとして、帳票処理システムを例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のシステムにおいても適用できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0061】
(1) 読取り装置の制御部は、読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された印刷倍率情報に基づいて、画像データに重ね合わせるマスクデータを記憶部から読み出して、読取り部で読み取った画像データに、記憶部に記憶したマスクデータを読み出して重ね合わせ、マスクデータと重なった画像データを消去して、記入用紙に記入されたデータを得ることにより、記入用紙の印刷時や記入用紙の読み取り時に記入用紙に印刷される記入枠等の様式がかすれたり滲んでいても、様式を完全に消去して記入用紙に記入されたデータを得ることができる。また、読み取った画像データから様式を消去することにより、例えば、記入データのデータ伝送を行う場合に伝送するデータ量を削減できる。さらに、拡大印刷されていても容易にマスクデータを選択して、画像データとマスクデータの重ね合わせ処理を迅速に行なうことができる。
【0062】
(2) 読取り部で読み取られた記入用紙に予め印刷された様式コードに対応するマスクデータが記憶部から読みだされるので、記入用紙の様式が複数種類用意されている場合にも、読み取った様式に応じて記入されたデータを確実に得ることができる。
【0063】
(3) 読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された検知マークに基づいて、制御部は画像データの位置や傾きの補正を行うことにより、読み取った画像データに位置ずれ、傾き等があっても様式を正確に消去することができる。
【0064】
(4) 読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された検知マークに基づいて、画像データとマスクデータとの大きさを一致させることにより、記入用紙において、特にフリガナ等小さい文字の手書き記入を容易にするために様式を拡大印刷した場合であっても、様式を正確に消去して、記入データのみを得ることができる。
【0065】
(5) 前記記憶部にマスクデータが格納されていない場合には、前記様式情報に基づいて前記記憶部から拡大前のマスクデータを読み出し、前記倍率情報に基づいてマスクデータを前記読取り部で読み取った記入用紙と同じ倍率にするので、拡大印刷されていても容易にマスクデータを作成して、画像データとマスクデータの重ね合わせ処理を迅速に行なうことができる。
【0066】
(6) 画像データに重ね合わせるマスクデータは、記入用紙に印刷された様式の枠線よりも太いため、読み取った画像データに位置ずれ、傾き、かすれ等があってもマスクデータは画像データを覆うことができるので、様式を確実に消去できる。
【0067】
(7) 記憶部に記憶されたマスクデータは、所定様式、印刷倍率情報、様式コード及び検知マークの印刷領域のデータであるので、記入用紙に印刷された様式だけでなく、所定様式のマスクデータを選出するための印刷倍率情報、様式コード、及び読み取った画像データとマスクデータを重ね合わせるための検知マークのデータも消去して、記入データのみを得ることができる。
【0068】
(8) データ処理システムは、(1) 乃至 (7) のいずれかに記載の読取り装置と、様式管理手段と、印刷手段と、によって構成され、読取り装置は、読取り部で読み取った記入用紙に予め印刷された印刷倍率情報に基づいて、画像データに重ね合わせるマスクデータを記憶部から読み出す。そして、読取り部で読み取った画像データに該所定様式の一部を覆うマスクデータを重ね合わせて、マスクデータに覆われた部分のデータを消去することによって画像データから様式の消去を行い記入データを得、様式管理手段は、記入用紙で使用される様式の様式データを管理し、印刷手段は、読取手段から送信される記入データと、様式管理手段から送信される様式データと、を合成して印字出力するので、読取手段によって読み取られた画像データ量が多い場合でも、読取手段から印刷手段に送るデータ量を少なくすることができ、データ処理システムの各手段の負荷を軽くすることができる。また、記入用紙の印刷時や記入用紙の読み取り時に記入用紙に印刷される記入枠等の様式がかすれたり滲んでいても、様式を完全に消去して記入用紙に記入されたデータを得ることができる。さらに、拡大印刷されていても容易にマスクデータを選択して、画像データとマスクデータの重ね合わせ処理を迅速に行なうことができる。
【0070】
(9) データ処理システムの様式管理手段は、データ記入する箇所を拡大した様式と拡大前の様式とを関連付けて登録するため、拡大印刷した様式に記入されたデータは拡大前の様式のデータとして認識されるので、拡大前の様式のデータとして取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】帳票処理システムの構成を示す図である。
【図2】手書きで記入する様式を示す図である。
【図3】図2に示した様式に様式コードと検知マークを追加した様式を示す図である。
【図4】図3に示した様式のマスクデータを示す図である。
【図5】マスクデータを作成する手順を示すフローチャートである。
【図6】読取り装置におけるデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図7】記入枠を拡大した様式を示す図である。
【図8】様式の記入例を示す図である。
【図9】様式の記入枠を消去した例を示す図である。
【符号の説明】
10−読取り装置
11−読取り部
12−記憶部
20−印刷装置
30−様式管理装置
40−クライアント端末
70−様式
71−様式コード
72−検知マーク
Claims (9)
- 所定様式が印刷された記入用紙に記入されたデータ、及び該記入用紙に印刷された所定様式の印刷倍率情報を読み取る読取り部と、
読み取った画像データに重ね合わせるマスクデータを記憶する記憶部と、
前記印刷倍率情報に基づいて前記記憶部からマスクデータを読み出す処理、
前記画像データに前記マスクデータを重ね合わせて前記マスクデータに覆われた部分の画像データを消去して、前記画像データから前記記入用紙に記入されたデータを得る処理、を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする読取り装置。 - 前記制御部は、前記記入用紙に予め印刷された様式コードを前記読取り部に読み取らせて、該様式コードに対応する様式のマスクデータを前記記憶部から読み出すことを特徴とする請求項1に記載の読取り装置。
- 前記制御部は、前記記入用紙に予め印刷された検知マークを前記読取り部に読み取らせて、該検知マークに基づいて前記画像データの位置及び傾きを補正することを特徴とする請求項1または2に記載の読取り装置。
- 前記制御部は、前記記入用紙に予め印刷された検知マークを前記読取り部に読み取らせて、該検知マークに基づいて前記画像データと前記記憶部から読み出したマスクデータとの大きさを一致させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の読取り装置。
- 前記制御部は、前記記憶部に前記印刷倍率情報と一致するマスクデータが格納されていない場合には、前記様式情報に基づいて前記記憶部から拡大前のマスクデータを読み出し、前記倍率情報に基づいてマスクデータを前記読取り部で読み取った記入用紙と同じ倍率にする処理を行う請求項1に記載の読取り装置。
- 前記記憶部は、記入用紙に印刷された前記様式の枠線よりも太い枠線のマスクデータを記憶していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の読取り装置。
- 前記マスクデータは、前記所定様式、前記印刷倍率情報、前記様式コード及び前記検知マークの印刷領域のデータであることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の読取り装置。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の読取り装置と、
前記記入用紙で使用される様式の様式データを管理する様式管理手段と、
前記読取手段から送信される記入データと、前記様式管理手段から送信される様式データと、を合成して印字出力する印刷手段と、
を備えたことを特徴とするデータ処理システム。 - 前記様式管理手段は、データ記入する箇所を拡大した様式と拡大前の様式とを関連付けて登録することを特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
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