JP3707738B2 - 診療報酬明細書審査支援装置および方法ならびにそのプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、診療報酬明細書審査支援装置および方法ならびにそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
公的医療保険の被保険者は、一部負担金を支払うことにより、病院及び診療所、薬局、歯科医院などの医療機関(以下、医療機関等という)で診察、治療、薬の処方、入院などの医療の提供を受けることができる。また、医師の処方箋をもらった場合にも、一部負担金を支払うことにより、保険薬局で薬剤の処方をしてもらうことができる。
医療機関等は、公的医療保険の保険者に対して、保険者が負担すべき負担金を診療報酬として支払うことを請求することが必要となる。
【0003】
ここで、医療機関等からの保険者に対する診療報酬支払請求は、診療報酬明細書と呼ばれる請求書(以下、レセプトという)を介して行われる。レセプトは、被保険者に対しての処置の回数や投薬の種類と回数等といった診療行為や調剤の内容に関する事項が詳細に記載されており、この記載内容に従って支払が行われている。
【0004】
医療機関等と保険者との間には、このレセプトの適正さを確認し、円滑な診療報酬請求支払を実現するための、レセプトの審査を行う機関として審査支払機関が介在している。
それゆえ、医療機関等によって作成されたレセプトは、審査支払機関に集められ、まず事務補助担当者が疑義の有無を点検し、続いて、専門的、技術的知識を十分に有する医師など(以下、審査担当者という)による詳細な審査に付される。その結果、基本的な誤りがあるレセプトは医療機関等に返送され、適正な、または審査により適正となったレセプトは各保険者に対して送付される。
これらの処理は、従来ほとんどが紙のレセプトによって行われてきた。
【0005】
しかしながら、診療報酬請求事務にて現在取り扱われているレセプトが、ほとんどが紙であることから、事務補助担当者や審査担当者はこの膨大な紙のレセプトを一枚ずつ点検、審査しなければならず、作業が非科学的で非効率的になっている。そのため誤りの程度や、これらに対応して注力すべき程度が相当に異なるという実態があるにも関わらず、同様な人的資力を振り向けているのが実状となっており、十分な事務補助及び審査の効果が得られない状況となっている。
【0006】
なお、従来このようなレセプトや保険の手続きに関するシステムや方法としては、保険者がレセプトを受領するとそのレセプトの請求を決済するかまたは医療機関に差し戻すもの(特許文献1参照)、医療情報を保管している医療情報保管管理会社のデータベースに被保険者ごとの保険証データを格納しておき受診時の保険証の確認や保険者への請求はこの管理会社を介して行い保険医療機関の負担軽減を図るもの(特許文献2参照)、さらに、資格認証機関に被保険者の資格の有無を確認し、保険者にとっての医療費損失を防止しようとするもの(特許文献3参照)がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−344337号公報([0012]、図1)
【特許文献2】
特開2002−41649号公報([0034]、図7)
【特許文献3】
特開2002−109069号公報([0020]〜[0028]、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術のいずれもが、公的医療機関の保険者及び被保険者、医療機関等における、効率的な事務作業の確保、処理負担の軽減という課題を解決しようとするものにすぎず、審査支払機関における、効率的な事務作業の確保、処理負担の軽減といった課題を解決しようとするものではない。
本発明は、前記審査支払機関における効率的な事務作業の確保、処理負担の軽減といった課題に鑑みてなされたものであり、事務補助作業の効率向上及び審査作業の負荷見直し効果が十分に得られるように、各レセプトについての誤りの発見が容易に可能となり、かつ、各レセプトの有する不適正さの程度や注力すべき程度に対応して人的資力を的確に振り向けることが可能となるような、診療報酬明細書審査支援装置および方法ならびにそのプログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために本発明は、紙レセプトのテキストデータ化、特に従来の技術では完全にテキストデータ化できなかった部分を機械処理し、審査に用いることで業務効率の改善を図った。すなわち、レセプトに記述される可能性の高い文字列(キーワード)を辞書として用意し、画像化した紙レセプトから切り取った部品の組み合わせの中で、この辞書と合致するキーワードがあった場合はそれをテキストデータとして登録し、機械処理を可能とした。従来は紙上の情報による人手作業で行って来たため、得られる負担軽減効果は大きい。
【0010】
また、テキスト化されたレセプト情報の項目に関して、データマイニング処理を行う。大量のレセプトデータを用いて、過去の審査から得られたノウハウを元に信憑性の高い仕分けルールを抽出し、このルールを用いてレセプトを仕分けし、誤りがあるレセプトが多いレセプト群、誤りがあるレセプトが少ないレセプト群に分ける。このことにより、審査の不要なレセプトを抽出し、効率的な審査を行うことが可能である。
さらに、審査を行ったものの中から新しいノウハウを得ることができればデータマイニングの視点を変え、新たなルールを生成することができ、以降の審査支援に対して有効な情報になる。
また、誤りのあるレセプトが多いレセプト群に対して、読取り時に抽出しておいたキーワードで構成された判定ルールを適用すると、誤りの可能性の高いレセプトをさらに絞り込むことが可能となり、様々な角度からの審査や、重点的な審査を行うことができ、審査担当者の業務が効率化される。
このことにより、作業の効率向上および審査処理負担の軽減効果が十分に得られ、各レセプトについての誤りの発見が容易になり、かつ、各レセプトの有する誤りの程度や注力すべき程度に対応して人的資力を的確に振り向けることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明実施形態における診療報酬明細書情報読取り方法および診療報酬明細書審査支援方法を実現するモデルおよびその利用主体との関係を説明するために引用した図である。
図1において、符号1は医療機関、符号2は審査支払機関、符号3は保険者を示す。ここでは、被保険者などである患者に対して行われた診療に応じて、その報酬(診療報酬)が保険者へ請求される仕組みも併せて説明されている。
診療報酬の請求は、病院や薬局などである医療機関1が、審査支払機関2に対して請求を行い、審査支払機関2は医療機関1からの診療報酬請求を審査し必要があれば適正に査定した後に保険者ごとに集計して、患者が被保険者として加入している保険者3にその診療報酬を請求する。保険者は審査支払機関に診療報酬を支払い、また保険者での審査、点検を行い、再審査請求を審査支払機関に対して行う。
【0012】
医療機関1が審査支払機関2に対して行う診療報酬の請求は、患者ごと、月ごとに作成されるレセプトに基づいて行われている。医療機関1から提供されるレセプトには、手書きあるいはパソコン等により印刷された紙ベースによるものが殆どであるが、最近では磁気記録媒体によるテキスト、あるいはコードベースによるものも見受けられる。
そこで、本実施形態では、紙ベースによるものでは業務の効率化が得られないことから紙ベースのレセプトに記述された情報をテキストデータ化することを考えた。
【0013】
すなわち、レセプトには、都道府県番号や、医療機関コード、患者の生年月日等に関する情報があり、これらは、いずれもOCRで読取りが可能である。しかしながら、傷病名欄や摘要欄等、診療行為に関する記載箇所については文字が小さいこともあり、また、罫線との重なり等があった場合、誤読が多くなってしまう。
そこで、OCR等により読み込まれた文字を部品として認識させ、それらの組み合わせを考えることとした。その際に医療保険関連資料等からレセプトに記述される可能性の高いキーワードを抽出し(S01)、レセプト辞書として保有することで、読取った部品の組み合わせの中でレセプト辞書と合致するキーワードがあった場合にそれをテキスト(キーワード情報)として認識、保管する。
【0014】
また、現段階では医療機関から提出されるレセプトは紙によるものが殆どであるが(図中、「手書きレセプト」、「紙レセプト」として示されている)、フレキシブルディスク等磁気記録媒体で請求されるレセプトも存在することは前記したとおりである。磁気記録媒体で請求されるものの中には、図中、「印刷レセプト」として示されているテキスト形式になっているもの、あるいは図中、「磁気レセプト」として示されている一部コード化されたものが考えられる。
そこで、先にOCRとキーワード抽出から得た紙ベースのレセプトデータ(キーワード情報)と、磁気記録媒体で請求されたレセプトをコード化し(S02)、データベースに登録することとした。このことにより、審査支払機関2では、電子化移行中の過渡期において様々な形態で受け付けているレセプトを同様の形態で取り扱うことが可能になり、業務効率の改善がはかれる。
【0015】
さらに、審査支払機関2は、前記したとおり、レセプトデータを入手してレセプトの事務的な点検をコンピュータで行った後に、審査支援処理を行う(S03)。審査支援処理作業とは、事務的な点検を行った後のレセプトに対して、仕分けルールに従い誤りがあるレセプトが多いレセプト群と、誤りがあるレセプトが少ないレセプト群に仕分けをすることをいう。
データマイニングによって今までの審査の結果から得られたノウハウを元に信憑性の高いルールを見つけ、これに基づきレセプトを仕分けする。データマイニング処理とは、多様で大量のデータを統計・数学的手法に処理することであり、ここでは、関連性の高いデータの組み合わせパターンを検索する関連性(Association)抽出を用いることとする。
【0016】
前記したルールと審査員のノウハウを用いてレセプトを仕分けすれば、誤りのあるレセプトが多いレセプト群と、誤りのあるレセプトが少ないレセプト郡に仕分けられることから、審査の必要のないレセプト群を抽出でき、審査担当者の負担が軽減される。さらに、誤りのあるレセプトが多いレセプト群に対し、より注力した重点的な審査を行うことにより、効率的な審査の実現が可能となる。また、実際に審査を行ったものの中から新しいノウハウを得ることが出来れば、データマイニングの視点を変え、新たなルールを生成することができ、それ以降の審査支援に対して有効な情報となる。
また、誤りのあるレセプトが多いレセプト群に対して、読み取り時に抽出しておいたキーワードで構成された判定ルールを適用すると、誤りの可能性の高いレセプトをさらに絞り込むことが可能となり、様々な角度からの審査や、重点的な審査を行うことができ、審査担当者の業務が効率化される。
【0017】
また、審査支援として前記を実行すれば、レセプト実体審査を行うときに(S04)、自分の思い通りのレセプトを様々な条件で抽出することができる。また、データとして過去のレセプトも蓄積しているため、縦覧点検を行うときにも楽に検索、点検が行え、効率的な審査を行うことが可能になる。例えば、人が紙で審査を行うときに注目するような、誤りが多く出る病名での検索や、高額医療費に着目した審査、あるいは風邪のような処方に間違いが出にくいものだけを先に抽出してしまうことも可能である。
【0018】
図2は、本実施形態における診療報酬明細書情報読取り装置が実装されるレセプト管理システム4の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
図2において、診療報酬明細書情報読取り装置は、画像ファイル201と、文字読取部202と、テキストファイル203と、仮想文字読取ファイル204と、レセプトデータ取込み部205と、レセプト辞書206と、キーワードファイル207と、記録媒体ファイル208と、コード変換部209、コードテーブル210と、コードファイル211と、レセプト辞書生成部212で構成される。
【0019】
画像ファイル201は、紙ベースのレセプトをOCRで読取った時の画像を保存している。文字読取部202は、画像ファイル201からレセプトの基本情報欄等の情報を読取る機能を持ち、さらに摘要欄等の文字行候補を抽出し、文字列を部品として切出す機能を持つ。基本情報欄等の情報はテキストファイル203に格納され、文字行候補から切出した部品は仮想文字読取ファイル204に格納される。
レセプトデータ取込み部205は、仮想文字読取ファイル204に格納されている文字列の部品のあらゆる組み合わせと、レセプトに記述される使用頻度の高い文字列があらかじめ記述されたレセプト辞書206とを比較し、当該レセプト辞書206に合致する文字列があったときに、その文字列をテキストデータとして抽出する機能を持ち、抽出された文字列はキーワードファイル207に格納される。
【0020】
また、コード変換部209は、文字読取部202とレセプトデータ取込み部205によって取込まれたテキストデータ、さらに記録媒体ファイル208に取込まれた、磁気記録媒体で請求されたレセプト情報のテキストデータをコードテーブル210に則してコード化し、コードファイル211へ格納する機能を持つ。
なお、レセプト辞書生成部212は、あらかじめ医療保険関連資料等からレセプトに記述される可能性の高いキーワードを抽出しレセプト辞書206としてファイルを生成する機能を持つ。
【0021】
図4は、本実施形態における診療報酬明細書情報読取り装置の動作を説明するために引用したフローチャートであり、具体的には本実施形態の診療報酬明細書情報読取りプログラムの処理手順を示す。
以下、図4に示すフローチャートを参照しながら本実施形態の診療報酬明細書情報読取り装置の動作について詳細に説明する。
【0022】
まず、審査支払機関2では、医療機関1から紙ベースのレセプト、記録媒体に記録されたレセプトを受け付ける(S50)。
紙ベースのレセプトの場合、レセプトに記述されたレセプト情報の文字読取りが行なわれるが(S51)、図7に示されるように、レセプトには、都道府県番号や医療機関コード、患者の生年月日等のOCR可読領域Aと、診療行為の記載部分がある摘要欄Bがある。前者は文字読取りの後すぐにコード変換部へ供給されるが、後者は、画像を取込んだ後、以下の処理を行いテキストベースの情報に変換する。
【0023】
摘要欄Bに記述された印刷文字の読取りについて以下に簡単に説明する。
まず、文字読取部202は、画像ファイル201に蓄積された入力画像から文字行候補と文字切出し候補を抽出し(S52)、仮想文字読取ファイル204に格納する(S53)。文字行候補は外接矩形の上下左右における頂点座標であるが、文字切出し候補における上下左右の座標値の場合もある。
【0024】
次に、レセプトデータ取込み部205は、仮想文字読取りファイル204に格納された文字列の切出しデータをあらゆる組み合わせで読み出し、レセプトに記述される使用頻度の高い文字列があらかじめ登録されてあるレセプト辞書206と比較照合する(S54)。ここで、レセプト辞書206に合致する文字列があったときに、その文字列をテキストデータとしてキーワードファイル207に取込む(S55)。その後、OCR可読領域Aの読取りデータ、磁気媒体により請求されたレセプトデータと共にコード変換し(S56)、コードファイルへ格納する(S57)。
このように、入力画像から取込まれる文字列を部品情報として認識させ、その部品情報のあらゆる組み合わせと、医療保険関連資料等からレセプトに記述される可能性の高いキーワードを登録してあったレセプト辞書206のデータの中で合致する文字列があった場合にそれをテキストデータとして抽出することができる。レセプトの審査支援を実現するために必要となる個所を必要な分だけ読取ることにより、従来、OCRでは完全な読取りが不可能で誤読が多かった摘要欄の情報を効率よく得ることができ、レセプトの抽出を行う上で、はるかに効率よく行うことが可能となる。
【0025】
また、先にOCRとキーワード抽出から得た紙ベースのレセプトデータと、摘要欄等からキーワード抽出したレセプトデータ(画像ファイル201、テキストファイル203、キーワードファイル207)、記録媒体により請求されたレセプトデータ(磁気媒体ファイル208)及び、それぞれのテキストデータをコード化したデータを、レセプトDBとしてレセプト管理システム4で一括して管理している。このことにより、審査支払機関2では、電子化移行中の過渡期において様々な形態で受け付けているレセプトを共通のシステムで同じ様に扱うことが可能になり、業務効率の改善がはかれる。
【0026】
図3は、本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
図3において、診療報酬明細書審査支援装置は、レセプトDB213と、仕分けルール選択部214と、レセプト仕分け部215と、仕分けルールDB216と、判定ルール選択部217と、レセプト抽出部218と、判定ルールDB219と、ルール/誤りレセプト画像表示部220と、仕分け条件取込み部221と、仕分けルール更新部222と、判定条件取込み部223と、判定ルール更新部224で構成される。
【0027】
仕分けルール選択部214は、仕分けルールDB216から仕分けルールを表示し、必要に応じてこの中から適用する仕分けルールを選択できる機能を持つ。仕分けルール選択部214は、具体的に、仕分けルールDB216に格納されている、過去の審査実績からデータマイニングによって生成される仕分けルール、もしくはあらかじめ定義された仕分けルールを画面に表示し、選択入力される仕分けルールを仕分けルールDBから読み込む。
【0028】
レセプト仕分け部215は、仕分けルール選択部214で選択されたルールを適用して、レセプト管理システム4で一括管理しているレセプトDB213を、誤りがあるレセプトを多く含むレセプト群と誤りがあるレセプトが少ないレセプト群とに仕分ける機能を持つ。レセプト仕分け部215は、具体的に、診療報酬明細書が、先に選択された仕分けルールが示す条件に合致するか否かを判断し、条件に合致する診療報酬明細書があったときに当該診療報酬明細書を、審査を要する診療報酬明細書として判定する。
【0029】
また、仕分け条件取込み部221は、過去の大量のレセプトデータを用いて相関ルール分析の評価から仕分けルールを決定する機能を持つ。この仕分けルールの適用条件としては、ルールの一般性を示す支持度と、ルールの信頼性を示す確信度を用い、例えば、「支持度2.0%以上、確信度99.9%以上」のように決定する。これらのルールは、最新のレセプトデータを用いて新たに行ったデータマイニングの結果から随時評価され、仕分けルール更新部222によって仕分けルールDB216を更新する。仕分けルール更新部222は、最新の診療報酬明細書を用いて行われるデータマイニングの結果から、評価のために定義される所定の演算を行い、当該演算結果が所定の値を示したときに仕分けルールDB216に格納された仕分けルールを更新する機能を持つ。
【0030】
判定ルール選択部217は判定ルールDB219から判定ルールを表示し、必要に応じてこの中から適用する判定ルールを選択する機能を持つ。
【0031】
レセプト抽出部218は、判定ルール選択部217で選択されたルールに該当するレセプトを抽出する機能を持つ。
【0032】
また、判定条件取込み部223は、過去の審査の結果やノウハウから決定した判定ルールを入力する。これらのルールは、新たなレセプトデータの審査結果から生じたルールを入力し、判定ルール更新部224において登録・修正が行われ、判定ルールDB219が更新される。
【0033】
一方、ルール/誤りレセプト画像表示部216には、仕分けルールと、判定ルール、選択された判定ルールを適用することにより抽出される誤りを含むレセプトが画像表示される。
また、ここでは、誤りを含むレセプトとして判定される理由となった項目が赤線等により強調表示され、また、このとき適用された判定ルールが付箋表示され、その内容によっては判定された理由がメッセージ表示される。
【0034】
図5、図6は、本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置の動作を説明するために引用したフローチャートであり、具体的には、本実施形態の診療報酬明細書審査支援プログラムの処理手順を示す。
以下、図5、図6に示すフローチャートを参照しながら本実施形態の診療報酬明細書審査支援装置の動作について詳細に説明する。
【0035】
ここで、仕分けルール選択部214は、過去のレセプトデータの相関ルールを分析することで得られたルールから、必要に応じて適用するルールを選択する(S60)。このとき、ルール/誤りレセプト画像表示部220には、仕分けルールDB216の内容が表示され、適用するルールが選択できる。画面の「ルール適用」ボタンを押下することで(S61“ON”)選択されたルールを適用し、レセプト仕分け部215によって誤りを含む可能性が高いレセプト群と、誤りを含む可能性が低いレセプト群に仕分けられる(S63)。誤りを含むレセプトが多いと判定されたレセプト群に対して、次の判定ルールの適用がなされる。
【0036】
審査担当者は分類された誤りを含む可能性が高いレセプト群から、レセプト抽出部218によってさらに判定ルールを適用することでレセプトを抽出し、審査を行う。
まず、判定ルールDB219に保存されていたルールを表示させ、判定ルールを選択する、または抽出する条件を入力する(S64“入力あり”)。「ルール適用」ボタンを押下することで(S65“ON”)選択したルールを適用し(S66)、レセプト群の中から条件に合ったレセプトのみが抽出され一覧表示される(S67)。この一覧から見たいレセプトを選んで「画像表示」ボタンを押下すると(S68“ON”)、画像でレセプトを表示することができる(S69)。このときルールに反している個所については印がつく。
また、そのときに適用された判定ルール名を付箋表示し、その付箋をクリックすることにより(S70“あり”)、誤りを含むレセプトとして判定された理由がメッセージ表示される(S71)。
【0037】
図8に、前記で説明した仕分けルールを作成するときに用いる、レセプトの記載項目の一例が示されている。ここでは基本情報欄からは診療月、診療日数、年齢、性別等が、傷病名欄からは病名数、疾病分類が、点数欄からは各診療行為の有無が、決定欄からは決定点の有無が読取られる。
【0038】
図9、10、11に仕分けルール及び、判定ルールの適用を行う際のルール/誤りレセプト画像表示部220の画面例が示されている。
図9には仕分けルールを選択する選択画面を、図10には判定ルールを選択する選択画面を、図11には抽出されたレセプトを画像表示させた画面を示す。
図9の仕分けルールを選択する画面では、仕分けに使うルール(a)に仕分けルールDB216から読み込んだ仕分けルールが表示される。必要に応じてこのルールは選択することも可能である。
図10の判定ルール使用時に表示される画面は、ルール適用で使用する判定ルールリスト(b)と、レセプトデータ取込み部205で抽出されたレセプト中のキーワードリスト(c)が表示され、また画面中には、判定ルールを適用してレセプトを絞り込む際に審査担当者によってクリックされる「ルール適用実行」ボタンと、絞り込まれたレセプトを画像出力するために審査担当者によって実行される「画面表示」ボタンが割り付けられている。一方、図11は、図10において「ルール適用実行」ボタンを押下し、選択したルールに則したレセプトを抽出し画面表示を行った後の状態を表しており、判定ルールの適用結果として、絞り込まれたレセプトのルール適用結果一覧(d)と、画面表示されたレセプトの絞込みに使用した適用ルール名(e)と、絞り込まれたレセプトの画像(f)が表示される。
【0039】
以上説明のように本発明は、レセプトに記述される可能性の高い文字列(キーワード)を辞書として用意し、レセプトから画像として読み取った部品情報の組み合わせの中で、この辞書と合致するキーワードがあった場合はそれをテキストデータとして登録し、従来OCRでは不可能であった摘要欄の読取りが、レセプトの審査支援を実現するために必要となる箇所を必要な分だけ読取ることにより、審査を行う上で重要なデータを得ることができるという機能を備えている。
また、データマイニングによって得られた過去の審査結果による仕分け判定基準と、審査員の持つノウハウから仕分けルールを作成し、誤りがあるレセプトが多いレセプト群と誤りがあるレセプトが少ないレセプト群に分類する。さらに誤りがあるレセプトが多いレセプト群に対して、キーワードからの判定ルール適用を行うことで、重点的な審査が必要なレセプトを抽出し審査を行うことが可能となる。
また、審査を行ったものの中から新しいノウハウを得ることができればデータマイニングの視点を変え、新たなルールを生成することができ、以降の審査支援に対して有効な情報になる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明のように本発明によれば、事務補助作業の効率向上および審査処理負担の軽減・見直し効果により、各診療報酬明細書についての間違いの発見が容易に可能となり、かつ、各レセプトの有する不正確さの程度や注力すべき程度に対応して人的資力を的確に振り向けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における診療報酬明細書情報読取り方法および審査支援方法を実現するモデルおよびその利用主体との関係を説明するために引用した図である。
【図2】本実施形態における診療報酬明細書情報読取り装置が実装されるレセプト管理システム4の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図3】本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置が実装されるレセプト管理システム4の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図4】本実施形態における診療報酬明細書情報読取り装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図5】本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図6】本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図7】本実施形態において使用される診療報酬明細書を構成する領域を説明するために引用した図である。
【図8】本実施形態において使用される相関ルール分析に用いる診療報酬明細書の記載項目の一例を示す図である。
【図9】本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置によって使用される画面構成の一例を示す図である。
【図10】本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置によって使用される画面構成の一例を示す図である。
【図11】本実施形態における診療報酬明細書審査支援装置によって使用される画面構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
4…レセプト管理システム、201…画像ファイル、202…文字読取部、203…テキストファイル、204…仮想文字読取ファイル、205…レセプトデータ取込み部、206…レセプト辞書、207…キーワードファイル、208…記録媒体ファイル、209…コード変換部、210…コードテーブル、211…コードファイル、212…レセプト辞書生成部、213…レセプトDB、214…仕分けルール選択部、215…レセプト仕分け部、216…仕分けルールDB、217…判定ルール選択部、218…レセプト抽出部、219…判定ルールDB、220…ルール/誤りレセプト画像表示部、221…仕分け条件取込み部、222…仕分けルール更新部、223…判定条件取込み部、224…判定ルール更新部
Claims (9)
- 診療報酬明細書に記述された項目の審査を行う際に、審査の支援をする入力部、表示部および処理部を有する診療報酬明細書審査支援装置であって、
前記処理部は、
前記診療報酬明細書を画像として取込み、当該診療報酬明細書の項目欄に記述された文字列に関して文字行候補を読取り、前記文字列を部品として切り出す文字読取り部と、
前記文字読取り部で切り出された文字列の部品の組み合せと、前記診療報酬明細書に記述される使用頻度の高い文字列があらかじめ記述された診療報酬明細書辞書とを比較し、当該診療報酬明細書辞書に合致する文字列の組み合せが一致したときに、その文字列をキーワードデータとして取り込む診療報酬明細書データ取込み部と、
前記文字読取り部によって、前記診療報酬明細書の少なくとも1項目から抽出されたキーワードを前記表示部に表示するキーワードリスト表示部と、
過去の審査実績からデータマイニングによって生成されデータベースに格納されている判定ルールを前記表示部に表示し、利用者に対して適用すべき判定ルールの入力を促す判定ルールリスト表示部と、
前記抽出されたキーワードが前記入力された判定ルールが示す条件に合致するか否かを判断し、前記条件に合致するキーワードがあったときに、そのキーワードを含む診療報酬明細書を抽出して前記表示部に画像表示する診療明細書表示部と、
を含むことを特徴とする診療報酬明細書審査支援装置。 - 前記文字読取り部は、
前記取込まれた画像から文字行候補と文字切出し候補を抽出し、更に前記文字切出し候補を仮想文字読取りファイルとして格納した後、前記診療報酬明細書辞書に合致する文字列の組み合せをキーワードファイルとして格納することを特徴とする請求項1に記載の診療報酬明細書審査支援装置。 - 前記項目のテキストデータと、記録媒体によって請求される診療報酬明細書データと、基本情報欄のテキストデータとをコード化し、コードファイルへ格納するコード変換部を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の診療報酬明細書審査支援装置。
- 前記処理部は、
最新の診療報酬明細書を用いて行われる前記データマイニングの結果から、評価のために定義される所定の演算を行い、当該演算結果が所定の値を示したときに前記データベースに格納された判定ルールを更新するルール更新部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の診療報酬明細書審査支援装置。 - 前記処理部は、
前記診療報酬明細書表示部に、前記条件に合致する診療報酬明細書の項目を強調表示することを特徴とする請求項1に記載の診療明細書審査支援装置。 - 前記処理部は、
前記診療報酬明細書表示部に前記適用された判定ルールを付箋表示し、前記付箋が前記入力部からの入力により選択されたときに、前記条件に合致する診療報酬明細書の項目をメッセージ表示することを特徴とする請求項1に記載の診療明細書審査支援装置。 - 前記処理部は、
前記入力部からの入力により抽出条件となる判定ルールが指定されたときに、前記診療報酬明細書表示部に、前記条件に合致する前記診療報酬明細書を画像表示することを特徴とする請求項1に記載の診療明細書審査支援装置。 - 診療報酬明細書に記述された項目の審査をコンピュータにより行う診療報酬明細書審査支援方法であって、
前記コンピュータの演算手段が、
前記診療報酬明細書を画像として取込み、当該診療報酬明細書の項目欄に記述された文字列に関して文字行候補を読取って前記文字列を部品として切り出し、
前記切り出された文字列の部品の組み合せと、前記診療報酬明細書に記述される使用頻 度の高い文字列があらかじめ記述された診療報酬明細書辞書とを比較し、当該診療報酬明細書辞書に合致する文字列の組み合せが一致したときに、その文字列をキーワードデータとして取り込み、
前記読取られた診療報酬明細書の少なくとも1項目から抽出されたキーワードを表示すると共に、過去の審査実績からデータマイニングによって生成されデータベースに格納されている判定ルールを表示し、利用者に対して適用すべき判定ルールの入力を促して、前記抽出されたキーワードが前記入力された判定ルールが示す条件に合致するか否かを判断し、前記条件に合致するキーワードがあったときに、そのキーワードを含む診療報酬明細書を抽出して画像表示すること、
を特徴とする診療報酬明細書審査支援方法。 - 診療報酬明細書に記述された項目の審査を行う診療報酬明細書審査支援装置に用いられるプログラムであって、
前記診療報酬明細書を画像として取込み、当該診療報酬明細書の項目欄に記述された文字列に関して文字行候補を読取って前記文字列を部品として切り出すステップと、
前記切り出された文字列の部品の組み合せと、前記診療報酬明細書に記述される使用頻度の高い文字列があらかじめ記述された診療報酬明細書辞書とを比較し、当該診療報酬明細書辞書に合致する文字列の組み合せが一致したときに、その文字列をキーワードデータとして取り込むステップと、
前記読取られた診療報酬明細書の少なくとも1項目から抽出されたキーワードを表示すると共に、過去の審査実績からデータマイニングによって生成されデータベースに格納されている判定ルールを表示し、利用者に対して適用すべき判定ルールの入力を促して、前記抽出されたキーワードが前記入力された判定ルールが示す条件に合致するか否かを判断し、前記条件に合致するキーワードがあったときに、そのキーワードを含む診療報酬明細書を抽出して画像表示するステップと、
をコンピュータに実行させる診療報酬明細書審査支援プログラム。
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