JP3706835B2 - 薄膜光電変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜光電変換装置に関し、特に薄膜光電変換装置の低コスト化と性能改善に関するものである。なお、本願明細書において、「結晶質」と「微結晶」の用語は、部分的に非晶質を含むものをも意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】
近年、光電変換装置の低コスト化、高効率化を両立するために資源面での問題もほとんど無い薄膜光電変換装置が注目され、開発が精力的に行われている。薄膜光電変換装置の一つである非晶質シリコン太陽電池は、低温で大面積のガラス基板やステンレス基板上に形成できることから、低コスト化が期待できる。この非晶質シリコン太陽電池の変換効率を向上させるために、従来、太陽光の吸収量を増加させる方法として、光電変換層に入射する光の光路長を増加させる工夫がなされてきた。ガラス基板を使用した非晶質シリコン太陽電池の場合は、ガラス表面を研磨する方法、熱CVD法により酸化錫(SnO2)膜を形成する方法など、基板表面に凹凸を形成させることが行われている。(特開昭58−57756、特開平2−164077等)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガラスを研磨する方法では微細な凹凸を有する表面を得ることが難しく、また熱CVD法によりSnO2膜を形成する場合は、大きな設備が必要で、生産性が悪くコスト高になるという欠点がある。
【0004】
一方、薄膜光電変換装置の低コスト化と高効率化の両立を目指すという点では、太陽光の主波長領域(400〜1200nm)を有効に利用できる光電変換層材料が検討されており、近年、結晶質シリコンを含む薄膜、例えば低温で形成する多結晶シリコンや微結晶シリコン薄膜等を用いた光電変換装置の開発が精力的に行われている。これらの材料は、非晶質シリコンで利用される波長(〜800nm程度)に加えて、さらに長波長の光を利用することから、光電変換層に入射する光の光路長を増加させるための基板表面形状も従来非晶質シリコン光電変換装置用に最適化されてきた形状を改良する必要が生じてきた。しかし、熱CVD法により形成されるSnO2膜単独では、透明電極として必要な導電性と透過率を維持した状態で凹凸形状を大きく変えることは困難である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ガラス基板の表面に形成する透明で均一な絶縁性微粒子によって微細な凹凸を形成することにより、光電変換効率が高く、しかも安価に薄膜光電変換装置を提供できることを見出した。即ち、本発明の一つの態様による薄膜光電変換装置は、ガラス基板上に順次堆積された絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜、前面透明電極、少なくとも1つの結晶質光電変換ユニット、裏面電極を含み、絶縁性微粒子の平均粒径は0.1〜1.0μmであり、前記絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜とこの上に形成される層の界面が凹凸形状を有しており、前記絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜は、その80%以上の領域が絶縁性微粒子により占められており、かつ、概ね緻密な単微粒子層を形成していることを特徴としている。ここで、前記絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜が、ガラス基板上にロールコート法により形成されてなる薄膜であることが好ましい。
【0006】
本発明のもう一つの態様による薄膜光電変換装置は、結晶質光電変換ユニットに加えて、非晶質光電変換ユニットをさらに含むことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において使用されるガラス基板は、光電変換層へより多くの太陽光を吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましい。同様の意図から、太陽光が入射するガラス表面での光反射ロスを低減させるために無反射コーティングを行うと高効率化が図れる。
【0008】
本発明において使用される絶縁性微粒子は、屈折率がガラスに近い材料が好ましく、例えば、シリカ(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム錫(ITO)またはフッ化マグネシウム(MgF2)等が用いられる。屈折率の値としては、1.4〜2.5のものが好ましい。材料の透明度やガラス基板との相性という点では、シリカ微粒子が特に好ましい。微粒子の平均粒径は、0.1〜1.0μmである。該範囲は、太陽光の主波長400〜1200nmの範囲に対応したものであり、0.1μm未満あるいは1.0μmを超えると光路長の増加効果が減少し、光線吸収効率が低下するので好ましくない。また、できるだけ微細な凹凸を均一に形成するために、微粒子の形状は球状であることが好ましい。
【0009】
絶縁性微粒子の薄膜をガラスの表面に形成させる方法は特に限定されないが、溶媒を含んだバインダー形成材料と共に微粒子を塗布する方法が望ましい。微粒子同士、および微粒子とガラスとの間の付着強度を向上させる役目を果たすバインダーは、長期信頼性や光電変換層形成条件(特に温度)に対する耐久性を考慮すると、無機材料が好ましい。具体的には、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物およびタンタル酸化物のうち、少なくとも一つの金属酸化物が好ましい。特に、ガラス基板にシリカ微粒子を付着させる場合、同じシリコンを主成分とするシリコン酸化物をバインダーとして用いると、付着力が強く、透明性も良く、屈折率も基板や微粒子に近いため、好ましい。
【0010】
ガラス基板の表面に上記塗布液を塗布する方法としては、ディッピング法、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ロールコート法、フローコート法等が挙げられるが、特に緻密な単微粒子層を形成するにはロールコート法が好適に用いられる。塗布操作が完了したら、直ちに塗布薄膜を加熱乾燥する。加熱乾燥の方法は、乾燥の初期を無風状態で乾燥し、溶媒が飛散したら400℃程度まで昇温し薄膜を形成させる。形成された、絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜の80%以上の領域が絶縁性微粒子により占められており、凹凸形状を形成していることが好ましい。ここで言う、前記絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜の80%以上の領域が絶縁性微粒子により占められているとは、ガラス基板に垂直な方向から見た時に、絶縁性微粒子とバインダーからなる薄膜の80%以上の面積に絶縁性微粒子が配置されていることを意味する。このような膜は、微粒子が緻密に並んでいるため、凹凸形状の均一性が良く、凹凸の高さも揃っている。従って、後に形成される薄膜光電変換ユニットの電気的または機械的な短絡を防止できる。
【0011】
その上に前面透明電極となる透明導電膜、たとえばAlドープされたZnOを形成し、光電変換装置用基板とする。透明電極の材料としては、Al、B、Ga等がドープされたZnOやITO、SnO2等の酸化物が用いられる。微粒子にて微細な凹凸がガラス基板上に形成されていることから、酸化物自体には特に凹凸は必要ない。従って、透明電極部の形成方法は、大きな設備を要する熱CVD法よりも簡便なスパッタ法や蒸着法、MOCVD法等を用いることができる。本基板を用いた薄膜光電変換装置は、基板上に形成された微小な凹凸により入射した太陽光の光路長を増加させ、吸収量を増大することにより、光電変換効率を向上できる(光閉じ込め効果)。加えて、微粒子の球面形状を反映し、丸みを帯びた電極の凹凸形状は、その上に形成される結晶質薄膜光電変換ユニットの電気的または機械的な短絡を防止し、歩留まりが向上する。
【0012】
本発明の第一の形態による薄膜光電変換装置の模式的な断面を図1に示す。この薄膜光電変換装置では、ガラス板1上に絶縁性微粒子およびバインダーからなる層10および透明導電膜11がこの順に形成された導電膜付きガラス基板上に、光電変換ユニット12が形成され、さらに裏面電極13が形成されている。
【0013】
光電変換層は図示したように単層としてもよいが、複数層を積層してもよい。光電変換ユニットとしては、太陽光の主波長域(400〜1200nm)に吸収を有するものが好ましく、結晶質シリコン系薄膜や非晶質シリコン系薄膜を光電変換層としたユニットが挙げられる。特に約800nmまでしか吸収を有しない非晶質シリコン系薄膜に比べ、結晶質シリコン系薄膜は1200nmあたりまで吸収を有することから、光電変換層として好適である。また、「シリコン系」の材料には、非晶質または結晶質のシリコンに加え、非晶質または結晶質のシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなど、シリコンを50%以上含む半導体材料も該当するものとする。
【0014】
非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットや結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットは、pin型の順にプラズマCVD法により各半導体層を積層して形成される。具体的には、例えば導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン系層、光電変換層となる真性結晶質シリコン層、および導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン系層をこの順に堆積すればよい。しかし、これら各層は上記に限定されず、例えばp型層として非晶質シリコン系膜を用いてもよい。またp型層として、非晶質または微結晶のシリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどの合金材料を用いてもよい。なお、導電型(p型、n型)微結晶シリコン系層の膜厚は3nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がさらに好ましい。
【0015】
真性結晶質シリコン層はプラズマCVD法によって下地温度400℃以下の低温で形成することが好ましい。低温で形成することにより、結晶粒界や粒内における欠陥を終端させて不活性化させる水素原子を多く含む。具体的には、光電変換層の水素含有量は1〜30原子%の範囲内にある。この層は、導電型決定不純物原子の密度が1×1018cm-3以下である実質的に真性半導体である薄膜として形成される。さらに、真性結晶質シリコン層に含まれる結晶粒の多くは、前面電極側から柱状に延びて成長しており、その膜面に平行に(110)の優先配向面を有することが好ましい。真性結晶質シリコン層の膜厚は0.1μm以上10μm以下が好ましい。ただし、薄膜光電変換ユニットとしては、太陽光の主波長域(400〜1200nm)に吸収を有するものが好ましいため、真性結晶質シリコン層に代えて、合金材料である非晶質シリコンカーバイド層(例えば10原子%以下の炭素を含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコンカーバイド層)や非晶質シリコンゲルマニウム層(例えば30原子%以下のゲルマニウムを含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコンゲルマニウム層)を形成してもよい。
【0016】
裏面電極としては、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrから選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも一層の金属層をスパッタ法または蒸着法により形成することが好ましい。また、光電変換ユニットと金属電極との間に、ITO、SnO2、ZnO等の導電性酸化物からなる層を形成しても構わない。
【0017】
本発明の光電変換装置のもう一つの形態は、図2に示されるような非晶質シリコン系光電変換ユニット20と結晶質シリコン系光電変換ユニット21を順に積層したタンデム型薄膜光電変換装置である。非晶質シリコン系光電変換層は約360〜800nmの光に感度を有し、結晶質シリコン系光電変換層はそれより長い約1200nmまでの光を光電変換することが可能であるため、光入射側から非晶質シリコン系光電変換ユニット、結晶質シリコン系光電変換ユニットの順で配置される光電変換装置は、入射光をより広い範囲で有効に利用可能なため、高効率の光電変換装置となる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の記載例に限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
実施例1として図1に示されるような薄膜光電変換装置を作製した。
厚み4mm、127mm角のガラス板1の片面にゾルゲル法によりシリカ微粒子膜10を形成した。コーティング液は、平均粒径が0.3μmの球状シリカ分散液、テトラエトキシシラン、水、エチルセロソルブおよび塩酸を混合したものを用いた。コーティング液を塗布した後、90℃で30分乾燥し、その後400℃で10分間加熱焼成して表面に微小な凹凸が形成されたガラス基板を得た。この基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、球状シリカが均一に分散され一層配列されており、シリカ微粒子でガラスの表面が90%以上被覆された緻密な凹凸が確認された。
【0020】
また、この基板の透過率を分光光度計で、球状シリカの積層されていない側から光を入射し、測定した。波長400nm〜1200nmの範囲で88%以上の透過率を示した。
【0021】
得られたガラス基板のシリカ微粒子が積層されている側に、スパッタ法でAlドープされたZnO膜を0.5μmの厚みで形成し、透明電極11とした。透明電極のシート抵抗は約9Ω/□であった。この透明電極の上に、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層121、厚さ2μmの真性結晶質シリコン光電変換層122、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層123からなる結晶質シリコン光電変換層ユニット12を順次プラズマCVD法で形成した。その後、裏面電極13として厚さ90nmのAlドープされたZnO131と厚さ300nmのAg132をスパッタ法にて順次形成した。
【0022】
以上のようにして得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.511V、短絡電流密度(Jsc)が27.3mA/cm2、曲線因子(F.F.)が69.3%、そして変換効率が9.7%であった。
【0023】
(実施例2)
実施例2においても、実施例1と同様にシリコン系薄膜光電変換装置を作製した。ただし、実施例1と異なるのは、ガラス基板として厚み1.1mmのものを用いた点である。シリカ微粒子付きガラス基板の透過率は、波長400nm〜1200nmの範囲で90%以上を示した。
【0024】
得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、Vocが0.520V、Jscが28.0mA/cm2、F.F.が69.1%、そして変換効率が10.1%であった。
【0025】
実施例1よりも変換効率が改善された理由は、ガラス基板の透過率が高く透明性が優れていたために、光電変換層へ吸収される太陽光の量が多くなり、Jscの向上につながったものと考えられる。従って、使用するガラス基板およびそれを構成するガラス板、微粒子、バインダーのそれぞれは、透過率の高いものが好ましい。
【0026】
(実施例3)
実施例3においても、実施例1と同様にシリコン系薄膜光電変換装置を作製した。ただし、実施例1と異なるのは、シリカ微粒子付きガラス基板上に形成する前面透明電極のZnO膜厚を0.8μmとした点である。透明電極のシート抵抗は約7.5Ω/□であった。
【0027】
得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、Vocが0.526V、Jscが27.0mA/cm2、F.F.が70.1%、そして変換効率が9.9%であった
実施例1よりもVocおよびF.F.が改善された理由は、厚めに形成したZnOにより、シリカ微粒子凹凸形状の特に凹部がなだらかになり、続いて堆積される結晶質シリコン層の膜質が改善されたためと考えられる。また、F.F.が改善されているもう一つの理由としては、出力特性の直列抵抗が低下していることより、透明電極のシート抵抗値が低いことに起因していると考えられる。従って、用いられる前面電極部は、透過率とともに抵抗が低いこと、そして、微粒子の凹凸形状をなだらかにする役割を有するものが好ましい。
【0028】
(実施例4)
実施例4においても、実施例1と同様にシリコン系薄膜光電変換装置を作製した。ただし、実施例1と異なるのは、シリカ微粒子の粒径が0.11μmのものを用いた点である。この場合も球状シリカが均一に分散され一層配列されており、シリカ微粒子でガラスの表面が90%以上被覆された緻密な凹凸が確認された。シリカ微粒子付きガラス基板の透過率は、波長400nm〜1200nmの範囲で88%以上を示した。
【0029】
得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、Vocが0.528V、Jscが26.2mA/cm2、F.F.が70.3%、そして変換効率が9.7%であった
実施例1よりもVocおよびF.F.が改善された理由は、シリカ微粒子の粒径が小さいことにより、前面透明電極上の凹凸形状がなだらかになり、続いて堆積される結晶質シリコン層の膜質が改善されたためと考えられる。しかし、Jscが若干低くなっていることから、実施例1ほど光が光電変換層内に閉じ込められていないと考えられる。
【0030】
(実施例5)
実施例1と同様の前面電極付きガラス基板を用いて図2に示すタンデム型薄膜光電変換装置を作製した。前面電極付きガラス基板上に、プラズマCVD法により、厚さ15nmのp型非晶質シリコン層201、厚さ300nmの真性非晶質シリコン光電変換層202、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層203からなる非晶質シリコン光電変換層ユニット20を形成し、続いて実施例1と同様に結晶質シリコン光電変換層ユニット21を形成した。その後、裏面電極13として厚さ90nmのAlドープされたZnO131と厚さ300nmのAg132をスパッタ法にて順次形成し、タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を得た。得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、Vocが1.35V、Jscが12.2mA/cm2、F.F.が70.5%、そして変換効率が11.6%であった。
【0031】
(比較例1)
厚み4mm、127mm角のガラス板の片面に、熱CVD法にて厚さ800nmのピラミッド状SnO2膜を形成した。このSnO2膜の形状は、非晶質シリコン薄膜光電変換装置用に最適化された形状をしている。
【0032】
得られた透明電極付きガラス基板のシート抵抗は約8Ω/□であった。この透明電極の上に、実施例1と同様の厚さ15nmのp型微結晶シリコン層、厚さ2μmの真性結晶質シリコン光電変換層、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層からなる結晶質シリコン光電変換層ユニットを順次プラズマCVD法で形成した。その後、裏面電極として厚さ90nmのAlドープされたZnOと厚さ300nmのAgをスパッタ法にて順次形成した。
【0033】
以上のようにして得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、Vocが0.490V、Jscが25.6mA/cm2、F.F.が62.3%、そして変換効率が7.8%であった。
【0034】
実施例1〜5と比較して、実施例ほどのJscや光電変換効率が得られていないことから、実施例の方が結晶質を含む薄膜光電変換装置に適した前面透明電極の凹凸であることを示している。
【0035】
(比較例2)
比較例2においては、比較例1で用いた透明電極付きガラス基板に厚さ50nmのZnO膜を形成した以外は同じ方法で結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を作製した。
【0036】
以上のようにして得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、Vocが0.495V、Jscが26.0mA/cm2、曲線因子F.F.が63.7%、そして変換効率が8.2%であった。
【0037】
比較例1と比較してJscが若干改善されているのは、厚さ50nmのZnO膜により、結晶質シリコン層形成時のプラズマによって前面電極であるSnO2膜が還元されるのを防止することができたためと考えられる。しかし、実施例ほどのJscや光電変換効率が得られていないことから、実施例の方が結晶質を含む薄膜光電変換装置に適した前面透明電極の凹凸であることを示している。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、製造工程が複雑でなく安価に製造可能な薄膜光電変換装置用基板を用いて、性能の改善された薄膜光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る薄膜光電変換装置の一例を示す断面図。
【図2】 本発明に係るタンデム型薄膜光電変換装置の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 ガラス板
10 絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜
11 前面透明電極
12 結晶質光電変換ユニット
121 p型層
122 真性結晶質光電変換層
123 n型層
13 裏面電極
131 導電性酸化物膜
132 金属層
20 非晶質光電変換ユニット
201 p型層
202 真性非晶質光電変換層
203 n型層
21 結晶質光電変換ユニット
211 p型層
212 真性結晶質光電変換層
213 n型層
Claims (7)
- ガラス基板上に順次堆積された絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜、前面透明電極、少なくとも1つの結晶質光電変換ユニット、裏面電極を含み、前記絶縁性微粒子の平均粒径が0.1〜1.0μmであり、前記絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜とこの上に形成される層の界面が凹凸形状を有しており、前記絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜は、その80%以上の領域が絶縁性微粒子により占められており、かつ、概ね緻密な単微粒子層を形成していることを特徴とする薄膜光電変換装置。
- 前記絶縁性微粒子およびバインダーからなる薄膜が、ガラス基板上にロールコート法により形成されてなる薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜光電変換装置。
- 前記バインダーがシリカからなることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置。
- 前記絶縁性微粒子は透明でかつ1.4〜2.5の屈折率を有する材料であることを特徴とする請求項1から3の各項に記載の薄膜光電変換装置。
- 前記透明電極は酸化亜鉛、酸化錫、またはインジウム錫酸化物の透明導電性酸化物を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1から4の各項に記載の薄膜光電変換装置。
- 前記裏面電極は順に積層された酸化物透明導電層と金属層とを含むことを特徴とする請求項1から5の各項に記載の薄膜光電変換装置。
- 前記結晶質光電変換ユニットに加えて、非晶質光電変換ユニットの少なくとも1つを積層していることを特徴とする請求項1から6の各項に記載の薄膜光電変換装置。
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