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JP3706499B2 - 光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置 - Google Patents

光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置 Download PDF

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    • C03B37/014Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments made entirely or partially by chemical means, e.g. vapour phase deposition of bulk porous glass either by outside vapour deposition [OVD], or by outside vapour phase oxidation [OVPO] or by vapour axial deposition [VAD]
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置に関するものであり、特に気相軸付け法(VAD法)等により光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造するに際して、高品質の光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造することができる光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバの製造工程において、直接、極細の光ファイバを作ろうとすると、最適の屈折率分布を持たせる制御が困難である等の理由から、まず同じ屈折率分布を有する径の太いガラス母材(プリフォーム)を作製し、この母材を加熱して外径を一定に制御しながら細く長く引き伸ばす(線引きする)ことにより、極細の光ファイバを製造するといった方法が採られている。
【0003】
ここで、ガラス母材の製造方法としては、例えば、気相軸付け法や外付CVD法等により光ファイバ用多孔質ガラス母材(スートプリフォーム)を形成し、これを脱水・焼結して透明ガラス化したガラス母材を得る方法等が挙げられる。
【0004】
このような、気相軸付け法や外付CVD法においては、一般的に、酸水素バーナを用いて、原料ガス、例えばSiCl4 、GeCl4 等の蒸気を酸水素火炎中で加水分解して、ガラス微粒子(以下、スートとする。)を合成し、これを基材に吹き付けて堆積させ、光ファイバ用多孔質ガラス母材を得る。気相軸付け法は、光ファイバ用多孔質ガラス母材の作製と透明ガラス化が連続して行え、生産速度が早いという利点を有し、外付CVD法は大口径の母材を作製できるという利点を有するものである。
【0005】
図4は、従来の気相軸付け法による光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を示すものである。
この製造装置は、基材1が挿入されるチャンバ2と、前記基材1の表面に向けてファイバ用原料および反応ガスを吹き付け、すす状の反応生成物を堆積して光ファイバ用多孔質ガラス母材3を形成するコア用バーナ4およびクラッド用バーナ5と、チャンバ内の気体を排気する排気管6とを具備するものである。
【0006】
前記基材1は、チャンバ2の上部開口部7から挿入され、不図示の基材支持手段により回転・昇降自在に支持されている。また、コア用バーナ4およびクラッド用バーナ5は、チャンバ2の下側に取りつけられており、コア用バーナ4からのコア部形成用火炎8およびクラッド用バーナ5からのクラッド部形成用火炎9の噴射の方向が変えられるようになっている。
このコア用バーナ4とクラッド用バーナ5に対向する位置であってチャンバ2の側面には、排気口(開口部)10を有する排気管6が配置されている。
【0007】
このような光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を用いて、光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造する方法としては、まず基材1をチャンバ2内に挿入し、コア用バーナ4およびクラッド用バーナ5をこの基材1の先端に向け、コア用バーナ4からのコア部形成用火炎8およびクラッド用バーナ5からのクラッド部形成用火炎9中で形成されるスート(ガラス微粒子)が前記基材1の先端に堆積するようにする。このスートの堆積が安定して行われるようになった後、その先端にコア用バーナからのコア部形成用火炎8をあててコア部を形成し、形成されたコア部の側面にクラッド用バーナ5からのクラッド部形成用火炎9をあててクラッド部を形成する。そして、このような基材1へのスートの堆積は基材1を回転させながら行われ、基材1を回転させながらゆっくりと上昇させることにより、光ファイバ用多孔質ガラス母材3を成長させることができる。
【0008】
上記クラッド部形成用火炎9中では、アルゴンガス、SiCl4 、水素ガス、酸素ガスによる火炎加水分解によりクラッド部形成用のスートが形成され、コア部形成用火炎8中ではさらにコア部の屈折率を高めるためのドーパント、例えばGeO2 が導入されたコア部形成用のスートが形成される。これらが成長中の光ファイバ用多孔質ガラス母材3の先端に付着して光ファイバ用多孔質ガラス母材3を成長させるのである。なお、光ファイバ用多孔質ガラス母材3に付着しなかったスートは、排気口10から排気管6を経て排出される。
【0009】
このような光ファイバ用多孔質ガラス母材3の製造中に、この光ファイバ用多孔質ガラス母材3の先端部に堆積するスートの量およびその堆積分布は、コア部形成用火炎8およびクラッド部形成用火炎9の形状およびスートの流れの状態、光ファイバ用多孔質ガラス母材3先端の温度等のさまざまな要因で変化するものであるが、特に両火炎8、9の向きの微妙な変化は、光ファイバ内の屈折率分布に大きな影響を与えるため、これを制御することは光ファイバの品質を維持する上で極めて重要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この両火炎8および9の向きは、チャンバ2内の気体の流れの微妙な変化に伴い変化するものであり、この気体の流れを一定に保つ必要がある。
このチャンバ2内の気体の流れを変化させる大きな要因としては、排気管6の下側にあるスート塊12を挙げることができる。このスート塊12は、両火炎8及び9内で形成されたスートの内、光ファイバ用多孔質ガラス母材3の先端に付着しなかったものが排気管上部に付着し(上部付着スート11)、これが落下して集まることにより形成されるものであり、排気管6の下側を閉塞することによりチャンバ2内の気体の流れを変化させる大きな要因となるものである。
【0011】
すなわち、光ファイバ用多孔質ガラス母材3の作製開始時には、前記スート塊12はなく、排気管6はその全体で排気を行うことが可能であるが、光ファイバ用多孔質ガラス母材3の成長が進むにつれて、排気管6内の上部に上部付着スート11が付着し、これが落下することによりスート塊12が徐々に大きくなる。これにつれて、排気管6の下側が徐々に閉塞されることになる。このように排気管6の下側が徐々に閉塞されると、これにつれて排気管6から排気される排気の気流が序々に変化することになる。この排気の気流の変化に伴いコア部形成用火炎8とクラッド部形成用火炎9の向きが変化してしまい、光ファイバ用多孔質ガラス母材3の長手方向で、屈折率や形状、コアロッド率等の特性が変化してしまうという問題点が生じるのである。
【0012】
また、このように排気管下側にスート塊12があると、このスート塊12からスートがチャンバ2内に落下し、この落下したスートがチャンバ2内の気流によりチャンバ2内を舞い、これが光ファイバ用多孔質ガラス母材3に付着して気泡を形成するという問題点もある。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、排気管に付着したスートに起因するチャンバ内の気体の流れの経時的な変化がなく、したがって長手方向に安定した特性を有する光ファイバ用多孔質ガラス母材が製造でき、さらに排気管に付着したスートが再度チャンバ内に落下して光ファイバ用多孔質ガラス母材に付着し、気泡を形成することのない光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を提供することを主目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明は、チャンバと、このチャンバ内に配置され、基材の表面に向けてファイバ用原料および反応ガスを吹き付け、反応生成物を堆積して光ファイバ用多孔質ガラス母材を形成するバーナと、前記チャンバ内の気体を排気するための排気管とを具備する光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置において、前記排気管がその内面下部についたて板を有することを特徴とする光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置である。
【0015】
このように、排気管の内面の下側についたて板を設けることにより、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造を開始するときから排気管の断面の排気有効面積がついたて板によって制限される。したがって、排気管の上側に付着したスートが落下して排気管の下側でスートの塊となりその大きさが徐々に大きくなっても、その高さがついたて板を越えない限り、排気管断面の排気有効面積に影響することがなく、したがってチャンバ内の気体の流れに変化を与えることがない。このため、長手方向に特性の安定した光ファイバ用多孔質ガラス母材を得ることができる。
【0016】
また、ついたて板を設けることにより、上記排気管下側のスートの塊とチャンバとの間についたて板が配置されることになるため、チャンバ内にスートが落下することがない。したがって、チャンバ内に落下したスートが舞い上がり、光ファイバ用多孔質ガラス母材に付着することに起因して発生する気泡を低減することができる。
【0017】
この場合、ついたて板を排気管の開口部に設けられていることが好ましい。
ついたて板を排気管の開口部に設けることにより、より有効に排気管下部のスート塊をついたて板により排気管内に滞留させることができ、排気管からチャンバ内に落下するスートを減少させることができる。
【0018】
さらに、この場合、ついたて板は、排気管の開口部上面よりも突出させることができる。
ついたて板を排気管の開口部上面よりも突出させることにより、排気管からチャンバ内に落下するスートを減少させる効果を、より一層向上させることができる。
【0019】
また、ついたて板を排気管の開口部上面よりも突出させる量は、8mm〜12mmであることが好ましい。
ついたて板を排気管の開口部上面よりも突出させる量が少な過ぎると、突出させた効果が少なく、一方多過ぎると排気の気流に影響を及ぼす場合があるので、前記範囲とすることが好ましい。
【0020】
また、このついたて板の高さはその最大値が5mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。
5mmより低い場合は、排気管の下側にたまったスート塊が、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造が完了する前についたて板の高さを越えてしまう可能性があり、これによりチャンバ内の気体の流れを変化させてしまうため好ましくなく、50mmより高い場合は排気管を閉塞する面積が大きくなり、排気管の排気有効面積が小さくなることから排気能力に問題が生じるため好ましくないからである。
このような装置を用いた光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法により、均一な品質で気泡の少ない光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、光ファイバ用多孔質ガラス母材の長手方向の特性を均一に保つためには排気の気流を一定に保つ必要がある点に着目し、この点について種々検討した結果、排気管に付着したスートが排気の気流の変化に影響を及ぼしていることを新たに見いだし本発明を完成させるに至ったものである。
【0022】
以下、本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を図1に基づき説明する。
図1は、本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を気相軸付け法による装置に適用した例を示すものである。
この製造装置は、図4に示す従来の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置と同様に、基材1が挿入されるチャンバ2と、前記基材1の表面に向けてファイバ用原料および反応ガスを吹き付け、すす状の反応生成物(スート)を堆積して光ファイバ用多孔質ガラス母材3を形成するコア用バーナ4およびクラッド用バーナ5と、チャンバ内の気体を排気する排気管6とを具備するものであり、前記基材1が、チャンバ2の上部開口部7から挿入され、不図示の基材支持手段により回転、昇降自在に支持されている点、コア用バーナ4およびクラッド用バーナ5が、チャンバ2の下側に取り付けられており、コア用バーナ4からのコア部形成用火炎8およびクラッド用バーナ5からのクラッド部形成用火炎9の噴射の方向が変えられる点、さらにチャンバ2内のコア用バーナ4とクラッド用バーナ5に対向する位置であってチャンバ2の側面に排気口(開口部)10を有する排気管6が設けられている点も図4に示す従来の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置と同様である。
【0023】
本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置の特徴は、排気管6の内面下側に、ついたて板13が配置されている点にある。すなわち、本発明は排気管6の内側の下部をついたて板13により一部閉塞したところに特徴を有するものである。
このついたて板13をチャンバ2内側から見た状態を図2に示す。
【0024】
図1および図2に示すように、排気管6の内面の下側についたて板13を設けることにより、光ファイバ用多孔質ガラス母材3の製造当初、すなわち、排気管6内にスート塊12が存在しないときから排気管の断面の排気有効部(図2中の斜線部)14がついたて板によって制限される。したがって、排気管6の上側に付着した上部付着スート11が落下し、排気管の下側でスート塊12が徐々に大きくなった場合でも、スート塊12の高さがついたて板13より低い限りは、排気管断面の排気有効部14に影響することがない。したがって、チャンバ2内の気体の流れは、スート塊12が大きくなっても変化しない。このため、コア部形成用火炎8およびクラッド部形成用火炎9のいずれもがその火炎の向きを変えることがなく、これにより長手方向に特性の安定した光ファイバ用多孔質ガラス母材3を得ることができるのである。
【0025】
また、ついたて板13があることにより、スート塊12からチャンバ2内にスートが落下することがない。したがって、チャンバ2内に落下したスートが舞い上がり、光ファイバ用多孔質ガラス母材3に付着することを防止することができ、これに起因する気泡の発生の低減を図ることができる。
【0026】
このついたて板13は、排気管6の開口部、すなわち排気口10に設けられることが好ましい。
ついたて板13を排気口10に設けることにより、上部付着スート11が落下した際、ほとんど全ての上部付着スート11をチャンバ2内に落下させることなく排気管6内にスート塊12として滞留させることができる。このため、スートがチャンバ2内に落下して舞い上がり光ファイバ用多孔質ガラス母材3に付着することにより生じる気泡の発生を防止することができる。
【0027】
さらに、この場合、図3に示すように、図1および図2と同様な装置構成であって、ついたて板13を排気口10の上面よりも突出させた構造を採ることにより、開口部上部に付着したスート11が落下した際、チャンバ2内に落下させることなく排気管6内にスート塊12として滞留させる効果をより一層向上させることができる。従って、より効果的に上記気泡の発生を防止できる。
なお、ついたて板13を排気口10の上面よりも突出させる量としては、8mm〜12mmとするのが好ましく、これにより確実にスート11がチャンバ2内に落下するのを防止することができる。
【0028】
このついたて板13の高さは、その最大高さtが5mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。
高さの最大値tが5mmより低い場合は、スート塊12が光ファイバ用多孔質ガラス母材3の製造が完了する前についたて板13の高さを越えてしまう可能性が高く、越えた場合はチャンバ2内の排気の気流が変化し、光ファイバ用多孔質ガラス母材3の特性の変化が起こるため好ましくなく、50mmより高い場合は排気管6を閉塞する面積が大きくなり、排気管6の排気有効部14が小さくなることから排気能力に問題が生じるため好ましくない。
また、本発明においては、同様の理由からついたて板13の最大高さtは、排気管6の開口径の5%〜20%の範囲内であることが好ましい。
本発明において上記ついたて板13の最大高さとは、例えば排気管6が図2に示すように円管の場合は、排気管6の最下部からの高さtをいうものである。
【0029】
ついたて板13の材質は、通常排気管6、チャンバ2等に用いられている耐熱性を有するものであれば特に限定されるものではない。
また、排気管6の形状も特に限定されるものではないが、通常は図2に示すような断面が円形状の排気管が用いられる。さらに、排気管6の径は、作製される光ファイバ用多孔質ガラス母材の大きさによって変わり、特に限定されるものではないが、通常100〜300φの範囲内のものが用いられることが多い。
【0030】
本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置に用いられるチャンバ2としては、通常このような装置に用いられるものであればいかなるものをも用いることができ、必要に応じて乾燥空気等のパージ用ガスを導入するための給気口やチャンバ2内部の状態を観察するためののぞき窓等が設けられたものであってもよい。
【0031】
このチャンバ2上部から導入される基材1、この基材1に向けて火炎を噴射するコア用バ−ナ4、クラッド用バーナ5に関しても、通常光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置に用いられるものを用いることができる。
なお、このコア用バーナ4およびクラッド用バーナ5は、図1の例では各1本づつ用いた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばクラッド用バーナ5が複数本設けらていてもよい。
【0032】
本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を用いて、光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造する方法は、上述した図4に示す従来の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を用いた場合とほぼ同じであるが、製造中にコア部形成用火炎8およびクラッド部形成用火炎9の向きが変化することがなく、得られる光ファイバ用多孔質ガラス母材3の長手方向の特性が一定である点で従来の方法とは大きく異なるものである。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて説明する。
(実施例1)
図1に示す本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を用いて、直径150mm、長さ2000mmの光ファイバ用多孔質ガラス母材を20本作製した。この装置において、排気管6の口径は200φとし、その内面の下側に最大高さが30mmのついたて板13を設けた。
作製した光ファイバ用多孔質ガラス母材の特性を測定したところ、長手方向にわたる屈折率差Δnの変動は平均2%であり、気泡の数は平均2個/本であった。
【0034】
(実施例2)
図3に示す本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を用いて、直径150mm、長さ2000mmの光ファイバ用多孔質ガラス母材を20本作製した。この装置において、排気管6の口径は200φとし、その内面の下側に最大高さが30mmのついたて板13を排気管6の開口部上面よりも10mm突出させた。
作製した光ファイバ用多孔質ガラス母材の特性を測定したところ、長手方向にわたる屈折率差Δnの変動は平均2%であり、気泡の数は平均0.5個/本であった。
【0035】
(比較例)
実施例で用いた光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置から、ついたて板13を取り外し、実施例と同サイズの光ファイバ用多孔質ガラス母材を20本作製した。
作製した光ファイバ用多孔質ガラス母材の特性を測定したところ、長手方向にわたる屈折率差Δnの変動は平均5%であり、気泡の数は平均5個/本であった。
【0036】
このように、ついたて板13を取りつけることにより、光ファイバ用多孔質ガラス母材の長手方向の屈折率差Δnの変動が少なく、気泡の数の少ない品質の良好な光ファイバ用多孔質ガラス母材を得ることができた。
【0037】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0038】
例えば、上記発明の実施の形態では、気相軸付け法による光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造する際に、排気の気流が光ファイバ用多孔質ガラス母材の品質に影響を与える製造装置であればいかなる製造装置にも適用することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、チャンバと、このチャンバ内に配置され、基材の表面に向けてファイバ用原料および反応ガスを吹き付け、反応生成物を堆積して光ファイバ用多孔質ガラス母材を形成するバーナと、前記チャンバ内の気体を排気するための排気管とを具備する光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置において、前記排気管がその内面下部についたて板を有する光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置である。
【0040】
したがって、排気管に付着したスートに起因する光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造中におけるチャンバ内の気体の流れの経時的な変化がなく、したがって長手方向に安定した特性を有する光ファイバ用多孔質ガラス母材が製造でき、さらに排気管に付着したスートが再度チャンバ内に落下して光ファイバ用多孔質ガラス母材に付着し気泡を形成することがない。このように、本発明の製造装置によれば、均一な品質で気泡の少ない光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】図1の装置の排気管をチャンバ内から見た状態を示す概略説明図である。
【図3】本発明の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置の別の一例を示す概略説明図である。
【図4】従来の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 … 基材、 2 … チャンバ、
3 … 光ファイバ用多孔質ガラス母材、 4 … コア用バーナ、
5 … クラッド用バーナ、 6 … 排気管、 7 … 開口部、
8 … コア部形成用火炎、 9 … クラッド部形成用火炎、
10 … 排気口、 11 … 上部付着スート、 12 … スート塊、
13 … ついたて板、 14 … 排気有効部、
t … 高さの最大値。

Claims (5)

  1. チャンバと、このチャンバ内に配置され、基材の表面に向けてファイバ用原料および反応ガスを吹き付け、反応生成物を堆積して光ファイバ用多孔質ガラス母材を形成するバーナと、前記チャンバ内の気体を排気するための排気管とを具備する光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置において、前記排気管がその開口部の内面下部についたて板を有することを特徴とする光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置。
  2. 前記ついたて板が、排気管の開口部上面よりも突出していることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置。
  3. 前記ついたて板を排気管の開口部上面よりも突出させる量が、8mm〜12mmであることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置。
  4. 前記ついたて板の高さの最大値が、5mm〜50mmであることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の製造装置を用いることを特徴とする光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法。
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