本発明の実施の一形態について図1ないし図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明に係る画像出力処理装置の一実施形態を、ネットワークによりパソコン等の外部情報処理装置や、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ等と接続された、デジタル複写機を例示して説明する。
図2は、デジタル複写機1の全体構成を示す断面図である。この図に示すように、デジタル複写機1は、大きくはスキャナ部31及びレーザ記録部32から構成されている。
スキャナ部31は、透明ガラスからなる原稿載置台35、原稿載置台35上へ自動的に原稿を供給搬送するための両面対応自動原稿送り装置(RADF)36、及び原稿載置台35上に載置された原稿の画像を走査して読み取るための原稿画像読み取りユニット、すなわちスキャナユニット40から構成されている。
スキャナ部31にて読み取られた原稿画像は、画像データとして後述する画像データ入力部へと送られ、画像データに対して所定の画像処理が施される。
RADF36は、所定の原稿トレイ上に複数枚の原稿を一度にセットしておき、セットされた原稿を1枚ずつ自動的にスキャナ部31の原稿載置台35上へ送給する装置である。RADF36は、オペレータの選択に応じて原稿の片面又は両面をスキャナユニット40に読み取らせるように、片面原稿のための搬送経路、両面原稿のための搬送経路、搬送経路切り換え手段などから構成されている。尚、RADF36については、従来から数多くの出願、商品化がなされているので、これ以上の説明は行わない。
スキャナユニット40は、原稿面上を露光するランプリフレクタアセンブリ41、原稿からの反射光像を光電変換素子44に導くための第1の反射ミラー42aからなる第1の走査ユニット40a、さらなる原稿からの反射光像を光電変換素子44に導くための第2,第3の反射ミラー42b・42cからなる第2の走査ユニット40b、原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換する光電変換素子44上に結像するための光学レンズ体43、及び原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換するCCD等の光電変換素子44から構成されている。
スキャナ部31は、上記RADF36とスキャナユニット40の関連した動作により、原稿載置台35上に読み取るべき原稿を順次載置させながら、原稿載置台35の下面に沿ってスキャナユニット40を移動させて原稿画像を読み取るように構成されている。
原稿画像をスキャナユニット40で読み取ることにより得られた画像データは、後述する画像処理部へ送られ、各種処理が施された後、レーザ記録部32のレーザ書き込みユニット(以下、LSU)46に与えられる。
レーザ記録部32は、用紙収納・搬送部、LSU46及び画像を形成するための電子写真プロセス部47を備えている。
用紙収納・搬送部には、第1カセット51、第2カセット52、第3カセット53、及びマルチ手差しトレイ54を有しており、さらに、画像が記録された用紙の裏面側に画像を記録させるための両面ユニット55が備えられている。
この用紙収納・搬送部における各カセットには、用紙束がサイズ毎に収容されており、ユーザが所望するサイズが収容されているカセットを選択すると、そのカセット内の用紙束の最上層から、給紙搬送部50にて用紙が1枚ずつ送り出され、搬送経路33を経由して順次レーザ記録部32の電子写真プロセス部47へ向けて搬送される。
LSU46は、上述のメモリから画像データに応じたレーザ光を出射する半導体レーザ、レーザ光を等角速度偏向するポリゴンミラー、等角速度偏向されたレーザ光が電子写真プロセス部47の感光体ドラム48上で等速度偏向されるように補正するf−θレンズ等を有している。
電子写真プロセス部47は、周知の態様に従い、感光体ドラム48の周囲に帯電器、現像器、転写器、剥離器、クリーニング器、除電器を備えると共に、その用紙搬送方向下流側に定着器49を配置してなっている。
また、定着器49より用紙搬送方向さらに下流側には、用紙排出搬送路が設けられており、この用紙排出搬送路は後処理装置34へ通じる搬送路57と、両面ユニット55へ通じる搬送路56とに分岐している。
画像メモリから読み出された画像データは、LSU46によってレーザ光線を走査させることにより感光体ドラム48の表面上に静電潜像として形成され、トナーにより可視像化されたトナー像は用紙収納・搬送部から搬送された用紙の面上に静電転写され定着される。
このようにして画像が形成された用紙は、定着器49から搬送路57を介して後処理装置34へ送られるか、或いは、搬送路56を介して両面ユニット55へと選択的に搬送される。
後処理装置34は、第1の排紙トレイ341と、第2の排紙トレイ342が、装置左側において上下に配置されており、デジタル複写機1側において画像が記録された用紙を搬送路57から受け取る。後処理装置34内には、用紙受け取り口343、第1の搬送経路344、第2の搬送経路345、第1の切り換えゲート346、第2の切り換えゲート347、スイッチバック搬送経路348、第1排出ローラ349、第2排出ローラ350等が配置されており、各種の排出モードに対応している。
第1排出モードでは、用紙受け取り口343に受け取られた用紙は、第1の搬送経路344から直接第1排出ローラ349により第1の排紙トレイ341に排出される。
第2排出モードでは、用紙受け取り口343に受け取られた用紙は、第1の切り換えゲート346により第2の搬送経路345へと導かれ、その後第2の切り換えゲート347により第2排出ローラ350側へと案内され、該第2排出ローラ350から第2の排紙トレイ342に排出される。
第3排出モードでは、用紙受け取り口343に受け取られた用紙は、第1の切り換えゲート346により第2の搬送経路345へと導かれ、その後第2の切り換えゲート347によりスイッチバック搬送経路348へと案内される。そして用紙の後端が第2の切り換えゲート347を通過すると、用紙がスイッチバック搬送され、第2の切り換えゲート347から第2排出ローラ350側へと案内され、該第2排出ローラ350から第2の排紙トレイ342に排出される。
また、第1の排紙トレイ341及び第2の排紙トレイ342には、排出収容される用紙の収容状態を排出方向と略直交する方向に変位させるための、従来から公知のオフセット機構351・352が設けられており、ジョブ単位、あるいは、モード毎に画像が記録された用紙を区分した状態で区分け収容するようになっている。その他、後処理装置34には、ステープル処理部(図示せず)等も配設されている。
そして、図3に示すように、上記デジタル複写機1は、パソコン2、デジタルカメラ3、デジタルビデオカメラ4、携帯端末装置5、ファクシミリ6などの外部の画像処理装置とネットワーク接続されている。
このネットワーク接続された画像処理装置からインターフェイスを介して転送されてきた画像データは、一旦、デジタル複写機1の画像処理部へと送られ、所定の処理が行われた後、レーザ記録部32から画像として記録再現され出力される。
次に、このデジタル複写機1における、読み取られた原稿画像情報に画像処理を行う画像処理部の構成及び機能について説明する。
図4は、図2のデジタル複写機1を構成している各種ユニット部、画像処理部などの全体ブロック構成図であり、略中央に位置するメイン中央演算処理装置401(CPU(Central Processing Unit))により、各ユニット部毎に搭載されたサブ中央演算処理装置(CPU)との連携を取りながら動作管理している状態を示す図である。
このブロック図から分かるように、大きくは図面略右上に位置する操作パネルを管理制御するオペレーションパネルボード100と、図面略左上に位置するデジタル複写機1を構成する各ユニットを管理制御するマシンコントロールボード200と、図面略左下に位置する原稿画像を電気的に読み取り電子データとするCCDボード300と、図面略中央に位置する上記CCDボード300にて電子データ化された原稿画像に対して所定の画像処理を施すメイン画像処理ボード400と、このメイン画像処理ボード400にて処理された画像情報に対してさらに所定の画像処理を施すサブ画像処理ボード500と、さらに、図面略右下に位置する上記サブ画像処理ボード500にインターフェイスを介して接続されたその他の拡張ボード群600(プリンタボード、FAXボード、機能拡張ボード)などから構成されている。
以下、各ボード毎に管理制御している内容について説明する。
オペレーションパネルボード100は、基本的にサブの中央演算処理装置(CPU)101により制御されており、操作パネル103上に配置されたLCD表示部104の表示画面、各種モードに関する指示を入力する操作キー群105からの操作入力などを管理している。
そして、このオペレーションパネルボード100には、操作キー群105から入力されたデータ、LCD表示部104に表示させる情報など操作パネル103における各種制御情報を記憶しておくメモリ102も設けられている。
この構成において、サブの中央演算処理装置101は、メインの中央演算処理装置401との制御データ通信を行い、デジタル複写機1の動作指示を行う。また、メインの中央演算処理装置401からは、デジタル複写機1の動作状態を示す制御信号をサブの中央演算処理装置101へと転送することで、操作パネル103のLCD表示部104を通して、装置が現在どのような状態にあるのかユーザに表示するようになっている。
マシンコントロールボード200は、サブの中央演算処理装置201により全体が制御されており、前述したADF・RADFなどの自動原稿送り装置36、原稿画像を読み取るスキャナ部31、画像情報を画像として再現する電子写真プロセス部47、画像が記録される用紙をカセット等から給紙して電子写真プロセス部47へ向かって順次搬送する給紙搬送部50、用紙の両面に画像が形成されるように用紙を反転搬送する両面ユニット55、画像が記録された用紙に対してステープルなどの後処理を行う後処理装置34などを管理している。
CCDボード300は、原稿画像を電気的に読み取るためのCCD301、CCD301を駆動する回路(CCDゲートアレイ)302、CCD301から出力されるアナログデータのゲイン調整などを行うアナログ回路303、CCD301のアナログ出力をデジタル信号に変換して電子データとして出力するA/D変換器304などから構成され、制御管理はメインの中央演算処理装置401により行われている。
メイン画像処理ボード400は、メインの中央演算処理装置401により制御され、上記CCDボード300から送られてきた原稿画像の電子データをもとに、画像の階調性を所望の状態で表現できるように、シェーディング補正,濃度補正,領域分離,フィルタ処理,MTF補正,解像度変換,電子ズーム(変倍処理),ガンマ補正など多値の画像データの状態のまま処理を施す多値画像処理部402、処理が施された画像データあるいは処理の手順管理など各種制御情報を記憶させておくメモリ403、処理が施された画像情報でもって画像を再現するためにLSU46側へとデータを転送制御するレーザコントロール404などから構成されている。
サブ画像処理ボード500は、メイン画像処理ボード400とコネクタ接続され、メイン画像処理ボード400上のメインの中央演算処理装置401により制御された、2値画像処理部501、画像処理の施された2値画像情報、あるいは処理上での制御情報などを記憶管理するメモリおよびメモリを制御するゲートアレイからなるメモリ部502、複数枚の原稿画像情報を記憶管理しておき、複数枚の原稿画像を繰り返し所望部数の数だけ読み出して複数の複写物を生成するためのディスクメモリおよびディスクメモリを制御するゲートアレイからなるハードディスク装置503、外部インターフェイスとしてのSCSIおよびSCSIを制御するゲートアレイからなるインターフェイス部504などから構成される。
また、前述の2値画像処理部501は、多値画像情報を2値画像に変換する処理部、画像を回転する処理部、2値画像の変倍処理を行う2値変倍(ズーム)処理部などから構成され、さらに、ファックス画像を通信手段を介して送受信することができるようにファックスインターフェイスも備えている。
拡張ボード群600としては、パソコン2などから送られてくるデータをデジタル複写機1のレーザ記録部32からプリンタモードとして出力可能とするためのプリンタボード601、デジタル複写機1の編集機能を拡張してデジタル複写機1の特徴を有効活用するための機能拡張ボード602、デジタル複写機1のスキャナ部31から読み込んだ原稿画像を相手先に対して送信したり、相手先から送られてきた画像情報をデジタル複写機1のレーザ記録部32から出力することを可能にするファクシミリボード603などがある。
以下、デジタル複写機1の画像処理装置として、コピー、ファックス、プリンタの各モードにおける、画像データの処理及び流れについて、さらに詳しく説明する。
《コピーモード》
デジタル複写機1のRADF36の所定位置にセットされた原稿は、1枚ずつスキャナ部31の原稿載置台35上へと順次供給され、原稿の画像は先に説明したスキャナユニット40の構成により順次読み取られ、8ビットの電子データとしてメイン画像処理ボード400へと転送される。尚、この時、原稿載置台35上に送信原稿を1枚ずつユーザがマニュアルでセットしながら読み取らせることも可能である。
メイン画像処理ボード400に転送された8ビットの電子データは、8ビットの電子画像データとして多値画像処理部402上で所定の処理が施される。そして、8ビットの電子画像データにガンマ補正などの処理を行い、レーザコントロール404を介してLSU46へと送られる。
これにより、デジタル複写機1のスキャナ部31にて読み取られた原稿画像は、レーザ記録部32から階調性のあるコピー画像として出力される。
《コピーモードにおける電子RDH(Recycle Document Handler)機能》
同じくデジタル複写機1のRADF36の所定位置にセットされた原稿は、1枚ずつスキャナ部31の原稿載置台35上へと順次供給され、原稿の画像は先に説明したスキャナユニット40の構成により順次読み取られ、8ビットの電子データとしてメイン画像処理ボード400へと転送される。メイン画像処理ボード400に転送された8ビットの電子データは、8ビットの電子画像データとして多値画像処理部402上で所定の処理が施される。
そして、この8ビットの電子画像データは、次にメイン画像処理ボード400側のコネクタ405から、サブ画像処理ボード500側のコネクタ505を介してサブ画像処理ボード500側に送られ、2値画像処理部501の多値2値変換部において誤差拡散などの処理と共に8ビットの電子画像データから2ビットの電子画像データに変換される。
尚、8ビットの電子画像データを誤差拡散などの処理を含めて2ビットの電子画像データに変換しているのは、ただ多値2値変換を行っただけでは画質的に問題があるためで、画質の劣化を少なくする配慮である。また、8ビットの電子画像データを2ビットの電子画像データに変換するのは、画像の記憶容量などを考慮したためである。
このようにして変換された2ビットの電子画像データは、原稿1枚毎にハードディスク装置503のディスクメモリへと転送されて一時的に記憶管理される。デジタル複写機1のRADF36にセットされた原稿群の全てが読み取り処理されると、先程一時的にディスクメモリに記憶された2ビットの電子画像データをゲートアレイの制御により指定された部数の数だけ繰り返し読み出して、読み出された2ビットの電子画像データは、再度コネクタ405,505を介してメイン画像処理ボード400へ送られ、ガンマ補正などの処理が施された後、レーザコントロール404を介してLSU46へと送られる。
尚、ここでは、全ての原稿群画像が読み取られてから画像群を所望する部数の数だけ繰り返し読み出すようにして説明したが、1部目の画像出力は所定分の画像が準備できた段階で順次出力するように構成することも可能である。
これにより、デジタル複写機1のスキャナ部31にて読み取られた原稿画像は、レーザ記録部32から階調性のあるコピー画像として出力される。
《プリンタモード》
前述の図3に示したパソコン2やデジタルカメラ3などのネットワーク接続された外部機器から送られてきた画像は、プリンタボード601上でページ単位の画像として展開された後、インターフェイス部504を構成するSCSIから一旦サブ画像処理ボード500側へ転送され、ハードディスク装置503などのメモリヘと記憶される。
この処理の流れをパソコン2を例示して簡単に説明する。パソコン2側で作成されたテキストデータなどが、PS(Postscript)あるいは、PCL(Printer contro1e Language)のデータ形式の形で転送されてくる。この転送されてきたデータは、一旦プリンタボード601上のバッファ(メモリ2)へと蓄積され、CPUがページメモリ(メモリ1)上にRIP(Raster Image Processor)により展開する。
そして、ぺージメモリ(メモリ1)上に展開された画像データは、SCSIを介してサブ画像処理ボード500ヘと転送されハードディスク装置503へと記憶される。このとき、ぺージメモリ(メモリ1)上に展開記憶されている画像データが容量の関係でハードディスク装置503に記憶できなければ、ハードディスク装置503が開放されるまで待機している。
尚、プリンタボード601上でぺージ画像として展開された画像は、サブ画像処理ボード500側に送られるが、ぺージ画像に2値画像処理は行わず、ハードディスク装置503に一時記憶されるだけである。また、一旦記憶されたぺージ画像がハードディスク装置503から読み出される時も、ぺージ画像に対する2値画像処理は行わない。
そして、ハードディスク装置503へ一時記憶された画像情報は、所定のぺージ順となるようにハードディスク装置503から読み出されながらメイン画像処理ボード400へと送られ、ガンマ補正が施された後、レーザコントロール404からLSU46にて画像を再現するよう画像の書き込みが制御される。
《ファックスモード》
ファックスモードには、相手先に対する原稿の送信と、相手先からの原稿の受信に対する処理がある。
先に相手先に対する原稿の送信について説明する。デジタル複写機1のRADF36の所定位置にセットされた送信原稿は、1枚ずつスキャナ部31の原稿載置台35上へと順次供給され、送信原稿の画像は先に説明したスキャナユニット40の構成により順次読み取られ、8ビットの電子データとしてメイン画像処理ボード400へと転送される。
メイン画像処理ボード400に転送された8ビットの電子データは、8ビットの電子画像データとして多値画像処理部402上で所定の処理が施される。そして、この8ビットの電子画像データは、次にメイン画像処理ボード400側のコネクタ405から、サブ画像処理ボード500側のコネクタ505を介してサブ画像処理ボード500側に送られ、2値画像処理部501の多値2値変換部において誤差拡散などの処理と共に8ビットの電子画像データから2ビットの電子画像データに変換される。
尚、8ビットの電子画像データを誤差拡散などの処理を含めて2ビットの電子画像データに変換しているのは、ただ多値2値変換を行っただけでは画質的に問題があるためで、画質の劣化を少なくする配慮である。
このようにして2値画像化された送信原稿は、所定の形式で圧縮されメモリ部502に記憶される。そして相手先との送信手続きを行い送信可能な状態が確保されると、メモリ部502から読み出された所定の形式で圧縮された送信原稿画像はファックスボード603側へと転送され、このファックスボード603上で圧縮形式の変更など必要な処理が施された後、相手先に対して通信回線を介して順次送信されることとなる。
次に、相手先から送信されてきた原稿画像の処理について説明する。相手先から通信回線を介して原稿が送信されてくると、ファックスボード603での通信手続きを行いながら相手先から送信されてくる原稿画像を受信すると共に、所定の形式に圧縮された状態の受信画像は、サブ画像処理ボード500の2値画像処理部501に設けられたファックスインターフェイスから2値画像処理部501へと送られ、圧縮伸張処理部などによりぺージ画像として送信されてきた原稿画像を再現する。
そして、ぺージ単位の画像として再現された原稿画像は、メイン画像処理ボード400側へと転送されガンマ補正が施された後、レーザコントロール404からLSU46にて画像を再現するよう画像の書き込みが制御される。
《スキャナモード》
スキャナモードでは、スキャナ部31により読み取られた原稿画像が、ネットワーク接続されたパソコン等の外部機器へ送信される。
まず、デジタル複写機1のRADF36の所定位置にセットされた送信原稿は、1枚ずつスキャナユニット40の原稿載置台35上へと順次供給され、送信原稿の画像は先に説明したスキャナユニット40の構成により順次読み取られ、8ビットの電子データとしてメイン画像処理ボード400へと転送される。
メイン画像処理ボード400に転送された8ビットの電子データは、8ビットの電子画像データとして多値画像処理部402上で所定の処理が施される。そして、この8ビットの電子画像データは、次にメイン画像処理ボード400側のコネクタ405からサブ画像処理ボード500側のコネクタ505を介してサブ画像処理ボード500側に送られ、大容量の記憶容量を有するハードディスク装置503に蓄積される。
その後、必要に応じてハードディスク装置503から読み出された画像情報は、SCSIなどのインターフェイス部504を介して外部の接続機器に対して送信される。
以上の構成から判るように、画像情報に所定の処理を施す画像処理部は、主としてスキャナ部31から読み取り入力された原稿画像を多値の画像情報として処理するメイン画像処理ボード400と、このメイン画像処理ボード400にて多値画像情報として処理された原稿画像情報に対して2値化処理など所定の処理を施したり、外部インターフェイスを介して接続された機器から送られてきた画像情報に対して所定の処理を施した後、多値画像処理部402(メイン画像処理ボード400)側へと転送したりするサブ画像処理ボード500とに分割構成されている。
また、メイン画像処理ボード400には、画像をLSU46から電子写真プロセス部47の感光体48上に再現させるため、LSU46の画像情報の書き込みを制御するためのレーザコントロール404が含まれている。この構成により、スキャナ部31から読み取り入力された原稿画像は、多値画像として原稿が有する画像の特徴を損なうことなくレーザ記録部32からコピー画像として再現可能であり、大量の原稿を電子RDH機能などを用いて高速出力処理する場合などは、サブ画像処理ボード500、ハードディスク装置503などを用いることで可能となっている。
また、ファックス、パソコンなど外部機器からの画像情報に対する処理および出力、ファックスに限ってはさらに、多値画像処理が施された(原稿画像の特徴が保たれた)送信原稿に対する2値化処理など、デジタル複写機1として備えられたデジタルの特徴機能に合わせて画像情報に適切な処理を施すことが可能な構成となっている。
また、画像処理部を分散させることで、デジタル複写機1のバリエーション(ラインナップ)を多種多様揃えることが可能であり、ユーザの要望に合わせてデジタル複写機1を設置することができ、また、設置後もユーザの要望に合わせてシステム展開を簡単に図ることが可能である。
さらに、メイン画像処理ボード400上に配置された中央演算処理装置401は、上記構成においてサブ画像処理ボード500をも管理制御しているので、それぞれの処理部において、連続して処理される画像全体の流れが管理され、データおよび処理の流れもスムーズになり、画像データが失われる虞れがない。
以上が、デジタル複写機1に搭載されているスキャナ部31、あるいは拡張ボード群600から入力される画像データを処理する画像処理部の説明である。
《ユーザのID番号を確認するシステム》
本発明の画像出力処理装置であるデジタル複写機1が接続されるネットワークは、例えば企業内等、ある特定のグループ内で使用されるものであり、その構成員であるユーザは、それぞれに固有のID番号を持っている。上記デジタル複写機1に、これに接続されているパソコン等の外部機器からプリントジョブとして画像印字の要求が出された場合、その画像データには印字要求を出したユーザのID番号が情報として付加されている。
また、各ユーザは、自分自身のID番号が記録されたIDカードを携帯している。上記IDカードはデジタル複写機1との間で無線通信可能であり、ユーザがデジタル複写機1の管理エリア内に入ると、デジタル複写機1はそのユーザが携帯しているIDカードとの通信によって、そのID番号を読み取る。
上記デジタル複写機1では、このように、ユーザが該デジタル複写機1の管理エリア内に入った時に、ユーザのID番号を確認し、このID番号に基づいて様々な制御を行うものである。このため、上記デジタル複写機1には、上記ID番号を検知するために、例えば、特開平5−273338号公報に記載されているような移動体識別装置(移動体識別手段)が搭載されている。
上記移動体識別装置は、図5に示すように、質問器60と応答器70とから構成され、デジタル複写機1には質問器60が組み込まれ、各ユーザは応答器70をIDカードとして携帯しているものとする。尚、上記応答器70は、カード以外の形態の携帯物であってもよいし、その他の携帯物に組み込まれたものであってもよい。
上記質問器60は、アンテナ61、受信器62、ROM63、RAM64、およびCPU65を備えている。アンテナ61は受信器62を介してCPU65に接続されており、ROM63、RAM64、およびCPU65は互いに接続されている。また、上記CPU65は、図4において図示されていないが、メイン画像処理ボード400のCPU401と接続されているものとする。上記質問器60は、ROM63に格納されたシステムプログラムに基づいて、CPU65によって動作制御される。
上記応答器70は、アンテナ71、送信機72、ROM73、RAM74、電源(電池)75、およびCPU76を備えている。アンテナ71は送信器72を介してCPU75に接続されており、ROM73、RAM74、およびCPU76は互いに接続されている。上記ROM73には、一般に、応答器70の動作制御を行うシステムプログラムが格納されており、RAM74には、該応答器70を携帯するユーザのID番号が格納されている。
上記質問器60は、送受信機62およびアンテナ61を介して、通常は待機状態にある不特定多数の応答器70に向けてID要求信号を送信している。上記応答器70が上記通信器60の有効電波範囲内(すなわち、デジタル複写機1の管理エリア内)に入ると、上記ID要求信号を受信し、これに対する応答信号としてID番号を質問器60に向けて送信する。
このようにして、デジタル複写機1は、ID番号が記憶されたIDカードが管理エリア内に存在しているかを常時監視することができ、IDカードの存在を検知すると、ID番号の確認を行い、その結果、このIDカードを所持しているユーザがデジタル複写機1の前に存在しているものとして処理する。
そして、このID番号に対応するプリントジョブがハードディスク装置503に管理されているか確認を行い、ID番号に対応するプリントジョブが存在すれば、デジタル複写機1のレーザ記録部32から画像として記録再現する。
上記デジタル複写機1の具体的な動作制御例を以下の実施例1ないし7において、詳細に説明する。
〔実施例1〕
上述の移動体識別装置を搭載したデジタル複写機1が接続されるネットワークシステムにおいて、ユーザがパソコンで作成した画像データ(文書データなど)を印字出力する場合、ユーザがパソコン側の操作によって上記画像データのプリント指示が行われる。
このネットワークシステムは、ネットワークサーバー(プリントサーバー)によってシステム管理されており、ユーザによる画像データのプリント指示が行われると、パソコンから画像データとプリントに関する情報とが、ユーザのID番号が付加された状態でネットワークサーバーへと一旦送られる。
この時付加される上記ID番号は、例えば、各ユーザの個人管理下にあるパソコンに、そのユーザの識別管理情報として予め設定されているものとする。また、他の方法として、パソコンに移動体識別装置を搭載しておき、パソコンを使用しているユーザを自動的に識別して、該ユーザが画像データの転送(出力)指示を行った段階で、画像データおよびプリントに関する情報と共に、自動的に識別したID番号を転送するような方法等も可能である。
次にネットワークサーバーは、デジタル複写機1の状態を確認した上で画像データの記録(印字)が可能であると判断すれば、一時的に蓄積しているパソコンからの画像データ、プリントに関する情報、およびID番号をプリントジョブとしてデジタル複写機1に転送する。上記デジタル複写機1は、プリンタボード601を介して上記プリントジョブを受け付け、受け付けたプリントジョブをハードディスク装置(記憶管理手段)503内に記憶管理しておく。
図6は、デジタル複写機1のハードディスク装置503内に記憶管理されているプリントジョブの管理テーブルを一例として表したものである。尚、今回の説明では、デジタル複写機1のハードディスク装置503にプリントジョブを記憶管理しておくように説明しているが、ネットワークサーバー側においてプリントジョブを記憶管理するように構成してもよい。
本実施例に係るデジタル複写機1は、上述のようにハードディスク装置503に複数のプリントジョブが記憶管理されている状態でIDカードが検知された時に、該IDカードに格納されているID番号を確認し、そのID番号に対応するプリントジョブの表示案内を行うものである。これにより、ユーザは自分の指示したプリントジョブを確認した上で所望する出力物(記録物)を確実に手に入れることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。この場合の動作を図1のフローチャートを用いて説明する。
上記デジタル複写機1は、先に説明したように移動体識別装置により所定エリア内におけるIDカードの存在を常に監視している。この時、上記移動体識別装置によりIDカードがデジタル複写機1の管理エリア内に存在していることが検知されると(S1でYES)、該IDカードのID番号が判別確認され(S2)、この判別されたID番号に対応するプリントジョブがハードディスク装置503内に存在するか否かが確認される(S3)。
そして、プリントジョブの存在が確認できれば(S3でYES)、デジタル複写機1の操作パネル103のLCD表示部104に、上記ID番号に対応するプリントジョブを、プリントに関する情報と合わせてプリントジョブリストとして一覧表示する(S4)。このとき、上記ID番号に対応するプリントジョブが複数確認された場合には、これら複数のプリントジョブに関する情報を上記LCD表示部104に一覧表示するとよい。
その後、デジタル複写機1のレーザ記録部32において、プリント出力が可能であるか否かの判断がなされる(S5)。すなわち、上記S5のステップでは、用紙切れやトナー切れ等の不備がないかが確認される。ここで、プリント出力が可能な状態であると判断されれば、上記S4で表示されたプリントジョブの出力が行われる(S6)。また、この時、用紙切れやトナー切れ等の不備な点があり、プリント出力が可能な状態でないと判断されれば、上記の不備な点が案内表示され(S7)、ユーザがこの不備な点をクリア(S8)した後に、上記S4で表示されたプリントジョブの出力が行われる(S6)。
上記S7では、不備な点の案内表示を行うにあたって、確認されたID番号に対応する表示、つまり本デジタル複写機1の前にいるユーザに対して必要な情報のみを表示する。例えば、ステープル針が切れていても、プリント処理されようとするジョブがステープル処理を必要とするものでなければ、S5において異常無しと判断されS7の表示は行われない。これにより、ユーザには関係のない情報を表示することによりユーザを困惑させてしまうことがない。
また、先のS3において、判別されたID番号に対応するプリントジョブの存在が確認できなければ、プリントジョブがないことを表示して(S9)、処理を終了する。
上記動作をより具体的に説明する。例えば、上記ハードディスク装置503において図6に示すプリントジョブが記憶管理されている場合に、ID番号「0121」のIDカードが検知されれば、該ID番号「0121」に対応するプリントジョブ2および3が選択され、この時、操作パネル103のLCD表示部(表示手段)104には図7に示すような表示がなされる。
ここで、プリントジョブをデジタル複写機1のレーザ記録部32から出力するにあたり、図7に示す表示において、各プリントジョブ毎の出力処理時間、全プリントジョブの出力処理時間を表示することで、一度デジタル複写機1のところへ来たユーザが、プリントジョブの出力完了時間を確認することができる。これにより、プリントの開始後、ユーザが再度デジタル複写機1のところへ出力物を取りに出向くまでの時間の目安とすることができる。
また、上記プリントジョブはユーザのIDカードが検知されることによって、自動的に出力されてもよいが、複数のプリントジョブが一覧表示された中から、ユーザが任意のプリントジョブを指示してデジタル複写機1のレーザ記録部32から優先的にプリントアウトさせることもできる。この場合、ユーザがプリントアウトさせるようとするプリントジョブを任意に選択できる選択キーを設けるようにするとよい。具体例としては、図7に示す表示において、LCD表示部104をタッチパネルとし、タッチキーとして『選択』キーおよび『OK』キーを設ける。ユーザは、『選択』キーによってジョブリストの先頭に表示されるカーソルを移動させてプリントアウトさせるプリントジョブを選択し、『OK』キーによって選択されたプリントジョブの出力を許可する。
また逆に、複数のプリントジョブが一覧表示された中から、任意のプリントジョブを指示してキャンセルすることもできる。この場合、図7に示す表示において、ユーザがプリントをキャンセルしようとするプリントジョブを任意に選択できる選択キーを設けるようにするとよい。具体例としては、図7に示す表示において、さらに『クリア』キーを設ける。ユーザは、『選択』キーによってジョブリストの先頭に表示されるカーソルを移動させてキャンセルするプリントジョブを選択し、『クリア』キーによって選択されたプリントジョブの出力をキャンセルする。
ここで、上記LCD表示部104を含む操作パネル103が特許請求の範囲に記載の選択手段に相当する。また、上記選択に基づくプリントジョブの出力の許可またはキャンセルは、CPU401によって実行されるものであり、上記CPU401が特許請求の範囲に記載の許可手段および出力無効手段に相当する。
尚、上記説明において、デジタル複写機1は、外部機器から指示されたプリントジョブを一時的にハードディスク装置503に蓄積管理しておき、移動体識別装置によりID番号の存在が確認された段階で、ID番号に対応するプリントジョブを出力処理(これを、第1の出力処理モードとする)している。しかしながら、第2の出力処理モードとして、プリントジョブを上記ハードディスク装置503に停滞させることなく、所定のタイミング(出力処理可能なタイミング)でもって順次出力させるようにすることも可能である。この場合、ユーザがパソコンの操作画面上でプリントジョブの出力指示を行う段階で、該プリントジョブを第1および第2の出力処理モードの何れで出力処理させるかを設定するようにすればよい。
すなわち、ユーザによってはパソコンから出力要求を出してからすぐにデジタル複写機1のところへ出力物を取りに行く人もいれば、また、出力するプリントジョブが大量で出力完了までに時間を要する場合もある。このように、出力要求が出されてからすぐに出力を開始することが望ましい場合には、第2の出力処理モードでもって、プリントジョブを上記ハードディスク装置503に停滞させることなく、所定のタイミング(出力処理可能なタイミング)でもって順次出力させるとよい。このためには、ユーザがパソコンから出力要求を出した時点で、該パソコンの画面上で、プリントジョブをハードディスク装置503に蓄えてから出力するか(第1の出力処理モード)、あるいは、プリントジョブをの出力をすぐに開始させるか(第2の出力処理モード)を選択するものとする。
本実施例に係るデジタル複写機は、プリントジョブをID番号と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID番号を確認して対応する前記プリントジョブの前記レーザ記録部32による出力を許可するためのCPU401と、前記CPU401により出力を許可されたプリントジョブに関する情報を表示するLCD表示部104とからなるように構成することができる。
これにより、ユーザは自分自身のID番号に対応するプリントジョブの内容を確認できる。この時、それ以外のID情報に対応するプリントジョブの内容は表示されないので、表示される内容も分かりやすい。また、画像データの送信時に問題が発生したり、画像データが送信中で出力できない状態にあることも確認できる。
また、移動体識別装置により確認されたID番号に対応するプリントジョブが複数存在する場合、上記LCD表示部104が複数のプリントジョブに関する情報を一覧表示することにより、ユーザは該ID番号に対応するプリントジョブの内容をすべて確認できる。
また、移動体識別装置により確認されたID番号に対応するプリントジョブが存在する場合、上記LCD表示部104が、そのプリントジョブに関する情報として、出力処理に関する情報を併せて表示することにより、ユーザはプリントジョブの内容を含め、すべてのプリントジョブが出力処理されるまでの時間なども確認できる。
また、上記移動体識別装置によりID番号が確認され、そのID番号に対応するプリントジョブを実行するにあたり、デジタル複写機1として不備がある場合は、その内容を上記LCD表示部104に表示するとよい。これにより、ID番号が確認された段階で、そのID番号に対応したプリントジョブを実行するにあたり問題となる項目をユーザに対し案内することとなり、プリントジョブを指示したユーザが確認されたときのみ、そのユーザに対して問題となる項目を確実に伝えることができる。また、このとき、他のユーザに与える影響もなく、このデジタル複写機1を利用するユーザ全体が混乱することもなくスムーズに利用することができる。
また、CPU401は、確認されたID番号に対応するプリントジョブを上記LCD表示部104上に一覧表示すると共に、このLCD表示部104上に表示されたプリントジョブの中でも所望するプリントジョブを優先的に出力指示することが出来る。これにより、複数あるプリントジョブの中でもユーザが優先的に出力を希望するものから効率良く出力させることができる。
また、上記CPU401は、確認されたID番号に対応するプリントジョブを上記LCD表示部104上に一覧表示すると共に、このLCD表示部104上に表示されたプリントジョブの中でも任意のプリントジョブの出力を禁止指示することが出来る。これにより、プリントジョブを指示した後からでも不要となったジョブを装置(LCD表示部104)で確認しながら任意にキャンセルすることができる。
また、上記デジタル複写機1は、プリントジョブをID番号と共に一時的に記憶管理した後、ID番号を確認した段階で対応する前記プリントジョブを出力処理する第1の出力処理モードと、プリントジョブを停滞させることなく出力処理する第2の出力処理モードとを有する。これにより、第1の出力処理モードでは、ユーザが装置の近くにいることが確認された段階でプリントジョブを出力処理することとなり、画像が記録された記録物が排出部で混雑することもなく、また、第2の出力処理モードでは、機密情報など不特定多数の人に見られたくない情報を画像として記録する場合に有効である。
〔実施例2〕
本実施例に係るデジタル複写機1は、ハードディスク装置503に複数のプリントジョブが記憶管理されている状態でIDカードが検知された時に、該IDカードに格納されているID番号を確認し、そのID番号に対応する複数のプリントジョブを所定の出力順序で出力処理することによって、プリントジョブ全体を効率よく出力させるものである。この場合の動作は、図8に示すフローチャートのようになる。
上記図8のフローチャートは、図1に示すフローチャートとほぼ類似しているが、S5とS6との間に、確認されたID番号に基づいてプリントジョブの出力順位を確定するステップ(S5a)が設けられる点のみが異なる。上記S5aでは、複数のプリントジョブが一覧表示された中から、所定の条件により、これらプリントジョブの処理順序が自動的に確定される。以下に、これらのプリントジョブを効率良く確実に出力(プリント)するための処理順序の確定方法について説明する。
例えば、上記ハードディスク装置503において図6に示すプリントジョブが記憶管理されている場合に、ID番号「0121」のIDカードが検知されれば、該ID番号「0121」に対応するプリントジョブ2および3が選択され、この時、操作パネル103のLCD表示部104には図7に示すような表示がなされる。
上記図7からも分かるように、ID番号「0121」に対応するプリントジョブは2つ続けて出力指示されている。この管理状況の中で、ID番号「0121」のユーザが確認されると、これらのプリントジョブを受け付けてからの経過時間により、プリントジョブをどの順番で出力処理していくかが確定される。すなわち、これら2つのプリントジョブの出力指示が出されてからID番号「0121」が検知されるまでの時間が、予め設定された所定時間よりも短ければ、両方のプリントジョブともにユーザが必要としているものとして、図7に示す表示画面においてユーザが『OK』キーを操作することにより、プリントジョブが受け付けられた順序で順次出力処理される。
尚、上記経過時間の管理は、ハードディスク装置503とCPU401とによって行なわれるものであり、上記ハードディスク装置503およびCPU401が特許請求の範囲に記載の経過時間管理手段に相当する。また、出力制御はCPU401によって行なわれるものであり、上記CPU401が、特許請求の範囲に記載の出力制御手段に相当する。
一方、図6に示すプリントジョブが記憶管理リストにおいて、ID番号「0009」のユーザは、2つのプリントジョブを出力指示しているものの2つの出力を指示した時間が離れていることがわかる。この状態で、ID番号「0009」のユーザが確認されると、操作パネルの表示画面に図9に示すリストが一覧表示される。尚、上記ID番号が確認された時点で、この時、先に出力指示されているプリントジョブは予め設定された所定時間を超えており、後から出力指示されたプリントジョブは上記所定時間を超えていないものとする。
ここで、図9に示す表示画面においてユーザが『OK』キーを操作すれば、後から出力指示されたプリントジョブの方が優先度が高いものとして優先的に出力処理される。このように、所定時間を超えていないプリントジョブを優先的に出力処理する理由は以下の通りである。
すなわち、出力を指示してから所定時間内にユーザのID番号がが確認されたプリントジョブは、ユーザがその出力物を必要としている可能性が高いが、逆に、出力指示があってから所定時間以上経過した後にユーザが確認されたプリントジョブは、ユーザが必要としなくなった可能性もあるためである。
そこで、ID番号「0009」のユーザが確認された段階で、後から出力要求されたプリントジョブは『OK』キーと同時に出力が開始されるが、先に出力要求されているプリントジョブはこれに続けて出力処理することなく、ユーザに一度確認を求めるために一時的に停止するようにすれば、ユーザにとって必要なプリントのみを確実に得ることができる。
また、他の方法として、出力指示されたプリントジョブの中で所定時間以上経過したものがあれば、ユーザのID番号が検知され出力が開始される前に、出力要求があってから所定時間経過しているプリントジョブの存在を表示し、それぞれのプリントジョブの出力処理を有効とするのか否かをユーザに確認を求めてから出力することも可能である。さらにこの時、出力指示されてから所定時間以上経過したプリントジョブが複数あれば、これらのプリントジョブの出力順序をユーザが設定可能なようにすることも可能である。
さらに、ID番号が確認された段階で、そのID番号に対応するプリントジョブが複数存在する場合には、そのプリントジョブの出力順序決定条件の一つとして、デジタル複写機1において出力処理(記録)が可能なジョブから順次出力処理を行うようにすることも可能である。
ここで、出力処理が可能か否かの判定条件としては、例えば、記録材(用紙)の種類(サイズ、紙質など)によって判定する方法がある。すなわち、装置の給紙カセットにセットされている記録材の特徴を確認した上で、プリントジョブとして指示された記録材の特徴と比較する。この時、プリントジョブとして指示された記録材が給紙カセットにセットされていないものがあれば、そのプリントジョブの出力は不可能であるので、出力処理が可能なその他のプリントジョブから順次出力していくようにすればよい。尚、記録材の特徴の確認方法などは、従来から公知の方法(給紙カセット毎に操作パネル上から予め登録しておく、複数のブロックを組み合わせて特徴を表す信号源を給紙カセットに設けておく、など)を用いることができる。
また、この時、プリントジョブの出力順序決定条件として、上記の方法以外に、例えば、ユーザがプリント出力指示を行ってからの経過時間を管理しておき、所定時間以上経過したジョブの出力順位を下げたり、最新のジョブから順に処理するなど、他の複数の出力順序決定条件を組み合わせてプリントジョブの出力順位を決定することも可能である。
本実施例に係るデジタル複写機1は、プリントジョブをID番号と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID番号を確認して対応する前記プリントジョブの前記レーザ記録部32による出力を許可し、出力を許可されたプリントジョブの出力処理順位を制御するCPU401とからなる構成とすることができる。
これにより、ID番号に対応するプリントジョブが複数記憶管理されていたとしても、プリントジョブ全体を効率良く出力処理することができる。
また、上記CPU401は、プリントジョブの出力指示を受け付けてからの経過時間に基づいて、前記ハードディスク装置503に記憶管理されたプリントジョブを順次出力処理することにより、ID番号に対応するプリントジョブが複数記憶管理されていたとしても、ユーザが必要とするであろうプリントジョブを所定の順番で効率良く出力処理することができる。
また、上記CPU401は、ハードディスク装置503に記憶管理されているプリントジョブが所定時間内に受け付けたものであれば、受け付けた順番で出力処理する。これにより、ユーザは出力を希望するプリントジョブの出力物を確実に得ることが出来る。
また、上記CPU401は、ハードディスク装置503に記憶管理されているプリントジョブの中でも先に受け付けたプリントジョブとの差が所定時間以上の時は、最新のプリントジョブを優先的に出力処理する。これにより、ユーザが出力を希望する最新のプリントジョブの出力物を確実に得ることが出来る。
また、上記CPU401は、ハードディスク装置503に記憶管理されているプリントジョブが所定時間内に受け付けたものであれば出力を許可する。これにより、ユーザが出力を希望するプリントジョブの出力物を確実に得ることが出来る。
また、上記CPU401は、ハードディスク装置503に記憶管理されているプリントジョブが所定時間以上前に受け付けたものであれば出力を阻止(待機)する。これにより、ユーザが出力を希望するプリントジョブの出力物のみを確実に得ることが出来る。
上記CPU401は、確認されたID番号に対応する前記プリントジョブの中でも任意のプリントジョブについて画像の出力処理を行う。これにより、ID番号に対応するプリントジョブが複数記憶管理されていたとしても、この複数のプリントジョブの中でもユーザが必要とするものを任意に出力処理させることができる。
上記CPU401は、確認されたID番号に対応する前記プリントジョブの中でも装置として出力処理可能なプリントジョブから順に画像の出力処理を行う。これにより、ID番号に対応する複数のプリントジョブの中でも、出力処理が可能なプリントジョブから優先的に出力処理されるので、プリントジョブ全体を停滞させることなく効率良く出力処理することが可能となる。
〔実施例3〕
本実施例に係るデジタル複写機1は、確認されたID番号に対するプリントジョブの出力中において新たなID番号が確認された場合に、出力処理中のプリントジョブと新たに確認されたID番号に対するプリントジョブとを並行して処理することによって、プリントジョブ全体を効率よく出力させるものである。
上記デジタル複写機1では、確認されたID番号に対応するプリントジョブの出力処理中に、新たなID番号が上記移動体識別装置により確認されると、現在出力処理中のプリントジョブと並行して、新たに確認されたID番号に対応するプリントジョブ(以下、新たなプリントジョブ)の出力準備が行われる。
ここで行われる出力準備としては、例えば、ハードディスク装置503に一時的に記憶管理されているデータを展開したり、新たなプリントジョブを出力処理するにあたって、記録用紙の有無、後処理装置(ステープル装置)の針の有無などを事前に確認して、現在処理しているプリントジョブの完了後、スムーズに引き続いて新たなプリントジョブを処理させることができるようにすることである。
また、確認されたID番号に対するプリントジョブの出力中に新たなID番号が上記移動体識別装置により確認された場合、現在処理中のID番号に対するプリントジョブと、新たに確認されたID番号に対するプリントジョブとを含めて優先的に処理すべきプリントジョブを確定することも可能である。
例えば、現在出力中のプリントジョブが大量のジョブであり、新たに確認されたID番号に対するプリントジョブが少量のジョブである場合等に、出力枚数の少ないプリントジョブを優先処理することができる。
このプリントジョブの処理方法をとれば、現在、デジタル複写機1として確認されているユーザのID番号に対応するプリントジョブの範囲内で出力処理の優先順位を判別して出力処理することとなり、現時点で装置として出力処理すべきプリントジョブの中でも優先して処理すべきプリントジョブを確実に処理し、記録物をユーザに対して提供することができる。
ここで、新たなプリントジョブを処理するにあたり不備な点が存在するならば、その旨をユーザに対して事前に案内して、記録用紙、後処理装置(ステープル装置)の針などを補充させることができる。
さらに、確認されたID番号に対するプリントジョブの出力中に新たなID番号の存在が上記移動体識別装置により確認された場合において、先に確認されたID番号(すなわち、現在出力処理中のプリントジョブに対応するID番号)が確認できなければ、新たに確認されたID番号に対するプリントジョブを優先的に出力処理することも可能である。
上記処理方法をとれば、現在、デジタル複写機1に確認されているユーザのID番号に対応するプリントジョブの出力処理を優先的に処理することとなり、その場にいるユーザに対して記録物を早急に提供することができる。
本実施例に係るデジタル複写機1は、プリントジョブをID番号と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID番号を確認して対応する前記プリントジョブの前記レーザ記録部32による出力を許可し、出力を許可されたプリントジョブの出力処理を制御するCPU401とを備え、さらに前記CPU401は、プリントジョブの出力処理中に新たなID番号が確認されると、並行して新たに確認されたID番号に対するプリントジョブの出力準備を行う構成とすることができる。
これにより、現在出力されているプリントジョブの出力処理が完了した時点で、新たに確認されたID番号に対応するプリントジョブを続けて(効率良く)出力処理することができる。
また、上記CPU401は、プリントジョブの出力処理中に新たなID番号が確認されると、並行して新たに確認されたID番号に対するプリントジョブのデータを展開する。これにより、プリントジョブを出力処理する段階までデータを展開することなく記憶管理しているので、ハードディスク装置503を有効活用することができる。また、現在出力されているプリントジョブの出力処理が完了した時点で、新たに確認されたID番号に対応するプリントジョブを続けて(効率良く)出力処理することができる。
また、上記CPU401は、プリントジョブの出力処理中に新たなID番号が確認されると、確認されたID番号に対するプリントジョブが処理可能な状態にデジタル複写機1自身があるか確認して、不備な点があれば、例えばLCD表示部103において表示案内する。これにより、プリントジョブを出力処理するにあたり、用紙など不備な部分を処理開始前にユーザに対して案内することとなり、他のジョブを出力処理している間に対応(準備、補充)することができる。また、現在出力されているプリントジョブの出力処理が完了した時点で、新たに確認されたID情報に対応するプリントジョブを続けて(効率良く)出力処理することができる。
また、本実施例に係るデジタル複写機1は、プリントジョブをID情報と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID情報を確認して対応する前記プリントジョブの前記レーザ記録部32による出力を許可し、出力を許可されたプリントジョブの出力処理を制御するCPU401とを備え、さらに前記CPU401は、プリントジョブの出力処理中に新たなID情報が確認されると、現在処理中のID情報に対するプリントジョブと、新たに確認されたID情報に対するプリントジョブを含めて優先的に処理すべきプリントジョブを確定する構成とすることができる。
これにより、プリントジョブを出力処理するにあたり、確認されているID情報に対応するプリントジョブの範囲内で出力処理の優先順位を判別して出力処理しているので、現時点で出力処理すべきプリントジョブの中で優先して処理すべきプリントジョブを確実に処理し、記録物をユーザに対して提供することができる。
また、本実施例に係るデジタル複写機1は、プリントジョブをID情報と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID情報を確認して対応する前記プリントジョブの前記レーザ記録部32による出力を許可し、出力を許可されたプリントジョブの出力処理を制御するCPU401とを備え、さらに前記CPU401は、確認されたID情報に対するプリントジョブの出力中に新たなID情報が確認されると、その時点で先に確認されたID情報が確認できなければ、新たに確認されたID情報に対するプリントジョブを優先的に出力処理する。
これにより、プリントジョブを出力処理するにあたり、確認されているID情報に対応するプリントジョブの出力処理を優先的に処理しているので、その場にいるユーザに対して記録物を早急に提供することができる。
〔実施例4〕
本実施例に係るデジタル複写機1は、確認されたID番号に対応するプリントジョブの出力を開始するまでに、他の動作モードの出力処理に関わる指示が確認されると、プリントモードでのプリントジョブの出力を一時的に停止して、ユーザが所望する状態で装置を利用できるようにするものである。
また、本実施例に係るデジタル複写機1は、プリンタモードの他にコピーモードやファックスモードでの動作も可能であるため、プリントジョブの出力を指示しているユーザが他の目的でデジタル複写機1のところへ来る場合、すなわち、上記ユーザがプリントモード以外のモード(コピーモード、ファックスモード)でデジタル複写機1を利用しようとする場合もある。このような場合、上記ユーザにとっては、上記プリントジョブの出力よりも、コピーモードもしくはファックスモードでの処理を先に行いたい場合もある。
そのため、上記デジタル複写機1は、ユーザのID番号に対応するプリントジョブの存在が確認された段階、もしくはプリントジョブの存在を確認している段階で、ユーザがデジタル複写機1の操作パネルから動作モードの指示を行えば、指示された動作モードでの処理を優先して行なう。上記動作を図10のフローチャートを用いて説明する。
まず、ユーザがデジタル複写機1に近づくと、図5に示した移動体識別装置により該ユーザのID番号が検出される(S11)。上記デジタル複写機1は、この検出されたID番号に対応するプリントジョブがハードディスク装置503に管理されているか否かを確認する(S12)。
この時、上記ユーザが、プリンタモード以外、例えばコピーモードやファックスモードでの処理を行なおうとして、操作パネル上において動作モードを切り換える指示を行なうと、指示された動作モードでの処理が優先して行なわれる。例えば、ユーザがデジタル複写機1に近づくことによって、そのID番号が検出されると、図11に示すように、該ID番号に対応するプリントジョブのリストが表示されるが、ここで、該ユーザが操作パネル上の動作モードキーを操作することによりユーザの所望する動作モードに切り替わる。
ユーザが切り替えた動作モードがコピーモードであれば(S13でYES)、コピーモードによる処理が行なわれた(S14、S15)後、ユーザからのプリントジョブの出力指示を待つ状態(S19)に移行する。また、ユーザが切り替えた動作モードがファックスモードであれば(S16でYES)、ファックスモードによる処理が行なわれた(S17、S18)後、同じく、ユーザからのプリントジョブの出力指示を待つ状態(S19)に移行する。
S19において、ユーザが自己のID番号に対応するプリントジョブの出力指示を行なうと、該プリントジョブのリスト表示が行なわれ(S20)、続いて、該プリントジョブの出力処理が行なわれる(S21)。
このとき、ユーザが指示した動作モードの操作画面に移行してもユーザのID番号に対応するプリントジョブが存在していれば、該プリントジョブのリストが常に案内表示されており、ユーザがS19におけるプリントジョブの出力指示を行うことによって、例えば図9に示すようなユーザのID番号に対応するプリントジョブのリスト表示が行なわれる。これにより、ユーザは、デジタル複写機1を常に所望するモードで利用することが可能であり、また、そのユーザに対応するプリントジョブがあれば、そのプリントジョブの存在を常に案内することができる。
また、ユーザに指示された動作モードが終了した段階で、プリンタモードへの切り替えが行なわれ、その後、ユーザによるプリントジョブの出力指示があれば、この出力指示によって上記ユーザのID番号に対応するプリントジョブが出力される。これにより、優先的に利用した動作モードでの処理が終わっても、装置が自動的にプリントジョブの出力を行なうことがないので、他の動作モードで出力された記録物と、プリントジョブの記録物とが混乱することもなく、ユーザに対して確実に記録物を提供することができる。
本実施例に係るデジタル複写機1は、プリントジョブをID情報と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID情報を確認して対応する前記プリントジョブの前記レーザ記録部32による出力を許可し、出力を許可されたプリントジョブの出力処理を制御するCPU401とを備え、さらに前記CPU401は、プリントジョブの出力を開始する前に、新たな画像に対する処理に関わる指示が確認されると、プリントジョブの出力処理を一時的に停止する構成とすることができる。これにより、利用者の所望する状態で装置が的確に動作することとなる。
また、上記CPU401は、プリントジョブの出力を開始する前に、新たな画像に対する処理に関わる指示が確認されると、新たな画像に対する処理を行うと共に、出力処理すべきプリントジョブが存在することをユーザに対し案内する。これにより、ユーザは、出力処理すべきプリントジョブの存在を確認することが出来る。また、処理されないプリントジョブとしてハードディスク装置503に蓄積されることも少なくなり、ハードディスク装置503を有効利用(最大限に活用)することができる。
また、上記CPU401は、プリントジョブの出力を開始する前に、新たな画像に対する処理に関わる指示が確認されると、新たな画像に対する処理を行うと共に、その後出力処理すべきプリントジョブに対する出力の指示が確認された段階でプリントジョブの出力を開始する。これにより、新たな画像に対する処理が確実に完了した段階でプリントジョブを出力処理することとなり、出力された記録物が混乱することもない。
〔実施例5〕
本実施例に係るデジタル複写機1は、ID番号毎に過去の画像出力タイミング(プリントジョブを受け付けてからID番号が確認されるまでの時間)を統計情報として管理しておき、装置として記憶管理しているプリントジョブデータを出力しなければならない状況となったときに、これまでの出力状況に応じてプリントジョブの画像出力タイミングを確定して出力するものである。
つまり、上記デジタル複写機1は、検知されたID番号に対応するプリントジョブがハードディスク装置503に記憶されているか否か確認を行い、このようなプリントジョブが存在すればデジタル複写機1の記録部から画像として記録再現すると共に、この時の出力指示から出力完了までの経過を履歴情報として管理する。以下に説明する出力処理制御は、この履歴情報を適切な出力タイミングを確定するために活用するものである。
尚、上記統計情報の管理は、ハードディスク装置503とCPU401とによって行なわれるものであり、上記ハードディスク装置503およびCPU401が特許請求の範囲に記載の統計情報管理手段に相当する。
ここで、複数のID番号が確認され、さらにこの複数のID番号についてそれぞれ対応するプリントジョブの存在が確認された場合、過去のプリントジョブの出力処理状況に応じてどちら側のID番号に対するプリントジョブを優先的に処理するか確定する方法について説明する。
上記履歴情報としては、確認されたID番号のユーザが、プリントジョブの出力を指示してから複写機のところに来るまでの時間(複写機の移動体識別装置がID番号を確認するまでの時間)が、図12にあるようにID番号と対応させて管理されている。上記図13は、ID番号「0042」のユーザに関する情報であり、5つのプリントジョブについて管理されている。
このように、本実施例に係るデジタル複写機1では、各ユーザについてジョブ毎の受付時刻と出力時刻(受取時刻)とが統計的に管理され、各ジョブについてその受付時刻と受取時刻とが記録されることにより、印字要求が出されてからユーザがその出力物を受取に来るまでの時間(以下、受取時間)が求められる。これによって、各ユーザ毎に、平均的な出力物の受取時間(以下、平均受取時間)が算出される。そして、複数のID番号が確認され、さらにこの複数のID番号についてそれぞれ対応するプリントジョブの存在が確認された場合、この管理されているこれまでの履歴情報に基づいて、上記平均受取時間の短いユーザ順に出力の優先順位を確定して出力処理する。
また、プリントジョブを記憶管理するハードディスク装置503の記憶容量にも限界があるので、記憶されているジョブが容量の限界近くになると、新たなプリントジョブの出力指示がなされてもこれを記憶できない場合が起こりうる。そこで、ハードディスク装置503の記憶容量が一杯になったとき、あるいは所定容量に達したときには、ID番号の確認が無くても、所定容量の記憶領域が確保できるまで、記憶管理されているプリントジョブを自動的に出力する。
この時も、記憶されているジョブのID番号に対応する過去の出力履歴情報を比較し、平均受取時間が最も早いジョブから優先的に出力を行うようにする。これにより、ID番号が確認される前に画像を出力すべき状態となったとしても、プリントジョブの中でも適切と思われるものから順次出力することができる。
本実施例に係るデジタル複写機1は、少なくともひとつのプリントジョブをID情報と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID情報を確認して対応する前記プリントジョブの前記レーザ記録部32による出力を許可するための許可手段(CPU401)と、上記ハードディスク装置503がプリントジョブを受け入れてから前記許可手段によりプリントジョブの出力を許可するまでの経過時間をID情報と共に管理して統計をとるための統計手段(ハードディスク装置503およびCPU401)と、複数のプリントジョブを出力する状態となった場合、前記統計手段により管理されているID情報毎の統計に基づいてプリントジョブの出力順位を制御する制御手段(CPU401)とからなる構成とすることができる。
これにより、ID情報単位のこれまでの出力処理の状況に基づいてプリントジョブを出力処理することとなり、結果として複数のプリントジョブを停滞させることなく効率良く出力処理させることが可能となる。
また、上記制御手段は、許可手段により複数のID情報とプリントジョブが確認されたとき、上記統計手段により管理されている統計情報に基づいてプリントジョブの出力順位を制御する。これにより、ID情報単位のこれまでの出力処理の状況に基づいてプリントジョブを出力処理することとなり、複数のプリントジョブの出力指示が重なった場合でも、プリントジョブの優先処理順位を適切に設定し、結果として複数のプリントジョブを停滞させることなく効率良く出力処理させることが可能となる。
また、上記制御手段は、ハードディスク装置503における記憶容量が所定レベルに達したとき、上記統計手段により管理されている統計情報に基づいてプリントジョブの出力順位を制御する。これにより、ID情報単位のこれまでの出力処理の状況に基づいてプリントジョブを出力処理することとなり、複数のプリントジョブの出力指示が重なった場合でも、プリントジョブの優先処理順位を適切に設定し、結果として複数のプリントジョブを停滞させることなく効率良く出力処理させることが可能となる。また、記録装置の容量が所定レベルに達すると、新たなプリントジョブの出力指示を受け入れるための準備(処理領域の確保)を行うので、新たな指示を拒否することもなく、すべてのプリントジョブを確実に処理することができる。
〔実施例6〕
本実施例に係るデジタル複写機1は、ID番号毎に、過去の受け取りタイミング(プリントジョブを受け付けてからID番号を確認するまでの時間)を統計情報として管理しておき、これまでの確認(受け取り)状況に応じてプリントジョブの画像出力タイミングを確定して出力処理するものである。
上記デジタル複写機1では、印字要求の出された画像データは、デジタル複写機1に送られた後すぐには出力されず、一旦複写機内のハードディスク装置503に記憶される。この時、上記画像データがデジタル複写機1に入力された時刻が、受付時刻として記録される。そして、受け付けたプリントジョブを所定のタイミング(最初はその他のプリントジョブとの関係を考慮しながら処理順位を確定しておき、以降出力された出力物を受け取りにくる履歴情報により出力処理タイミングを確定する。)でもって出力処理する。
上記デジタル複写機1は、ユーザが近づいてくることによってIDカードを検知すると、そのID番号を読み取り、そのID番号を管理されているプリントジョブと照合する。この時、検知されたID番号に該当するプリントジョブがあれば、本デジタル複写機1は、ユーザが印字要求のあった画像の出力物を受取に来たものと判断し、上記IDデータの検知時刻を受取時刻として、該ID番号に対応させて受付時刻を過去の状況と共に履歴情報として管理する。
このように、各ジョブについてその受付時刻と受取時刻とが記録されることにより、印字要求が出されてからユーザがその出力物を受取に来るまでの時間(以下、受取時間)が求められる。これにより、図13に示すように、過去に印字依頼を行ったジョブについての受取時間が統計として各ユーザ毎に管理される。このような受取時間の統計結果から、これの平均を取ることによって、該ユーザが印字要求を出してから、その出力物を実際に受取に行くまでの平均時間(平均受取時間)が算出できる。上記平均受取時間が算出されれば、該ユーザが新たなジョブに関して印字要求を出した時に、その受付時刻に上記平均受取時間を加算することにより、ユーザにその出力物を受取に行くであろうと予測される時刻(推定受取時刻)が算出できる。
本実施例に係るデジタル複写機1は、上記推定受取時刻に基づいてプリントジョブの出力を制御する。具体的には、あるジョブについてそれが推定受取時刻に到達した時点でジョブの出力を開始する方法と、推定受取時刻に到達した時点でジョブの出力を完了させる方法とがある。
このように、上記推定受取時刻を算出して、これに基づいてプリントジョブの出力を制御することにより、プリント出力された出力物が排出部に放置されたままとなる期間を短くすることができ、出力部において複数の放置されたままの出力物が混在するといった不都合を抑制することができる。
尚、推定受取時刻に到達した時点でジョブの出力を開始する場合、制御部はジョブの印字要求が出されてから、そのジョブが推定受取時刻に到達するまでの時間を監視するのみでよく、簡単な制御で効率のよい出力処理が行える。
また、推定受取時刻に到達した時点でジョブの出力を完了させる場合、制御部はジョブの内容に基づいてプリント出力に要する時間を求め、この時間を考慮してプリント出力命令を出す必要がある。このため、制御部の負担は増加するが、ユーザが出力物を受け取りにいった時には、既に出力が終了している可能性が高くなり、ユーザにとっての利便性が良くなる。
さらに、過去の履歴情報に基づいてプリントジョブの画像の出力を処理しているが、場合によってはプリントジョブの出力が開始、もしくは完了していないことも考えられる。このような時は、ID番号を検知した時点でそのID番号に対応するプリントジョブをハードディスク装置から読み出して優先的に出力処理するようにする。
この時、まだ出力が完了していないことを利用者に伝えた上で、デジタル複写機1が待機していれば、対応するプリントジョブの出力を開始し、他のプリントジョブを出力処理しているのであれば、他のプリントジョブの出力を考慮した上で、他のプリントジョブに対して割り込ませたり、他のプリントジョブの出力が完了した時点で対応するプリントジョブの出力を開始することができる。
さらにまた、プリントジョブの出力された出力物は、プリントジョブ毎に違いが明確となるように、複数の収容トレイを備えたソータなどの仕分け装置により分類収容されるものとすれば、出力を指示した利用者が、自分の出力物を簡単に見分ける(受け取る)ことができる。
本実施例に係るデジタル複写機1は、少なくともひとつのプリントジョブをID情報と共に記憶管理するためのハードディスク装置503と、プリントジョブに応じた画像を出力処理するレーザ記録部32と、ID情報を確認して前記プリントジョブの出力物の受け取りを監視する移動体識別装置と、上記ハードディスク装置503がプリントジョブを受け入れてから前記移動体識別装置によりプリントジョブの出力物の受け取りが確認されるまでの経過時間をID情報と共に管理して統計をとるための統計手段(ハードディスク装置503およびCPU401)と、前記統計手段により管理されているID情報毎の統計に基づいてプリントジョブの出力処理を制御する制御手段(CPU401)とからなる構成とすることができる。
これにより、ID情報単位のこれまでの出力処理の状況に基づいてプリントジョブを出力処理することとなり、プリントジョブを適切なタイミングで効率良く出力処理することができる。また、装置から出力された出力物で出力部が一杯になり、他の出力物との区別が困難となって、目的の出力物が分かりにくくなってしまうといったことも回避できる。
また、上記制御手段は、統計手段により管理されている時間情報に達すると、プリントジョブの上記レーザ記録部32による出力を許可する。これにより、ID情報単位のこれまでの出力処理の状況に基づいてプリントジョブを出力処理することとなり、プリントジョブを適切なタイミングで効率良く出力処理することができる。
また、上記制御手段は、統計手段により管理されている時間情報の頃に、プリントジョブの上記レーザ記録部32による出力を完了させる。これにより、ID情報単位のこれまでの出力処理の状況に基づいてプリントジョブを出力完了することとなり、プリントジョブを適切なタイミングで効率良く出力処理することができる。
また、上記制御手段は、さらに、確認されたID情報に対応するプリントジョブの出力が開始されていなければ、その時点で対応するプリントジョブの出力処理を優先的に開始する。これにより、ID情報単位のこれまでの出力処理の状況に基づいてプリントジョブを出力処理するものの、出力開始前に利用者が出力物を受け取りに来たとしても、待たせることなくその場で出力物を提供することができる。
〔実施例7〕
本実施例に係るデジタル複写機1は、ネットワーク環境下にある外部機器に対して原稿画像を送信するスキャナモードが指示されると、ユーザのID番号に基づいて、入力された画像情報の転送の制御を行うものである。
本実施例において、各ユーザが使用するパソコンは各ユーザ毎に特定されており、上記デジタル複写機1は、各ユーザのID番号と各ユーザの使用するパソコンのアドレスとを対応させてハードディスク装置(送信先ID格納手段)503において管理している。ユーザがデジタル複写機1のスキャナ部(読取手段)31で原稿を読み取り、読み取った画像データをパソコンに転送しようとする場合には、上記デジタル複写機1はIDカードより該ユーザのID番号を確認し、そのID番号と対応して記憶されているパソコンを転送先として画像データの転送を行う。これにより、ユーザは、スキャナモード時においてパネル入力等による送信先パソコンの指定等の処理が不要となり、操作性を向上させることができる。尚、本実施例における画像データの送信制御は、CPU401によって行なわれるものであり、上記CPU401が特許請求の範囲に記載の送信制御手段に相当する。
また、上記デジタル複写機1は、スキャナ部31で読み取った原稿の画像データをパソコン等の外部機器に転送する際に、同時に、IDカードから読み取ったユーザのID番号を併せて送信する。これは、例えば、あるパソコンを送信先として登録されているユーザが複数存在する場合に、パソコン側において誰からの転送画像かを確認することができる。
また、上記デジタル複写機1は、スキャナ部31で読み取った原稿の画像データをパソコンに転送する際に、IDカードから読み取ったユーザのID番号に基づいて画像情報の送信先を確定すると、その確定された送信先情報を、表示パネル等において表示する。これにより、自動的に確定される画像情報の送信先をユーザに対して確認させることができ、誤った送信先への送信を防止できる。
尚、複写機が送信先を誤って設定するような場合は、例えば、原稿送信依頼をしたユーザのID番号が読み取れず(カード未携帯等)、偶然近くにいた他のユーザのID番号が読み取られる場合等があり得る。
また、上記デジタル複写機1は、IDカードから読み取ったユーザのID番号に基づいて画像情報の送信先を確定する第1の送信先確定モードと、指示された送信先を画像情報の送信先として確定する第2の送信先確定モードとを有し、ユーザがこれらの送信先確定モードを任意に選択できるようにする。
これは、すなわち、ユーザがスキャナ部31で読み取った原稿の画像データの第三者に送信したい場合もあり得るわけで、上記第2の送信先確定モードによって、このような場合に対応しようとするものである。また、ユーザがIDカードを未携帯であった場合等にも上記第2の送信先確定モードによる画像データの転送が可能となる。
また、上記デジタル複写機1が、複数のID番号を同時に感知した場合には、これらのID番号に対応する全ての送信先を表示パネル等に選択可能に表示し、ユーザの選択入力によって送信先を確定するようにする。
また、上記デジタル複写機1は、スキャナ部31による読み取りが行われた時、読み取った原稿データをすぐには送信せず、ID番号と対応させて一旦記憶する。そして、上記読み取りを行わせたユーザがパソコン等の外部装置から転送要求を出した時に、ID番号を確認してから転送を要求してきた外部装置に対して画像情報を転送する。
これは、1台のパソコンを複数のユーザで共有している場合などに、他のユーザに上記画像データが自由に見られないようにするプロテクト機能を持たせるためである。また、原稿をセットしたユーザのID番号と共に原稿画像を管理して、このID番号に基づいて転送を行うことにより、原稿画像が他の装置に転送されることのないように防止することもできる。
また、上記デジタル複写機1は、スキャナ部31による読み取りが行われたとき、読み取った原稿画像データをハードディスク装置503などの記憶部に記憶させておく。そして、ID番号を保持するIDカードの存在が確認できなくなった段階で、原稿画像データと共に記憶管理するID番号として確定する。
これは、利用者が原稿の画像を読み取らせた後に原稿を持ち去ったことを自動的に認識して、原稿画像と共にID番号を管理するものである。
これにより、デジタル複写機1は、これ以上の原稿画像の読み取りがないものとして原稿画像の読み取り(入力)モードを自動的に完了するので、利用者の操作性を向上させることができる。
また、上記デジタル複写機1は、スキャナ部31による読み取りが行われたとき、読み取った原稿画像データをハードディスク装置503などの記憶部に記憶させておく。そして、ID番号を保持するIDカードの存在が確認できなくなった段階で、原稿画像データと共に記憶管理するID番号として確定させ、その後、管理されている情報をID番号に対応する送信先装置に対して送信する。
これにより、上記デジタル複写機1は、これ以上の原稿画像の読み取りがないものとして自動的にID番号から送信相手先を確定して送信するので、利用者の操作性を向上させることができる。
また、上記デジタル複写機1は、スキャナ部31による読み取りが行われたとき、読み取った原稿画像データをハードディスク装置503などの記憶部に記憶させておく。そして、ID番号を保持するIDカードの存在が複数確認されている中で、その後(直後)確認できなくなったID番号を、原稿画像データと共に記憶管理するID番号として確定させる。
これにより、複数の利用者が装置の周辺に存在していても、読み取った画像情報を適切なID番号として共に管理することができる。