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JP3706033B2 - 液晶用マトリクス基板の製造方法 - Google Patents

液晶用マトリクス基板の製造方法 Download PDF

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JP3706033B2 JP2001050749A JP2001050749A JP3706033B2 JP 3706033 B2 JP3706033 B2 JP 3706033B2 JP 2001050749 A JP2001050749 A JP 2001050749A JP 2001050749 A JP2001050749 A JP 2001050749A JP 3706033 B2 JP3706033 B2 JP 3706033B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置を形成するための液晶用マトリクス基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液晶表示装置では、Thin Film TransistorからTFTと略称される薄膜トランジスタをスイッチング素子に用いるアクティブマトリクス型液晶表示装置が広く用いられている。TFTをスイッチング素子とするアクティブマトリクス型液晶表示装置では、透明なガラス基板の表面に、TFTアクティブマトリクス回路を形成したTFTアレイ基板を使用する。TFTアレイ基板は、何枚ものフォトマスクを用い、フォトリソグラフィのプロセスによる微細パターニングを繰返すことによって、製造されている。液晶表示装置の生産性および製造歩留まりの向上や、コストダウンを図る観点からは、フォトマスクの使用数の削減、つまりはフォトリソグラフィプロセスの削減が検討されてきている。
【0003】
TFTアクティブマトリクス型液晶表示装置の低消費電力化および高輝度化を図る上では、液晶セルの光透過率を大きく改善するために、TFTアレイ基板の開口率を向上させることが必要である。開口率の向上の手法としては、液晶セルに電界を与えるための画素電極を平坦な保護膜上に形成し、ゲート電極と画素電極とを立体的にオーバーラップさせる方法が知られている。この方法では、80%を超える高開口率が実現されている。このような高開口率アクティブマトリクス基板の製造プロセスは、走査用のゲート電極配線とデータ用のソース電極配線とが交差するG−S交差部、スイッチング素子であるTFT素子部、画素部および周辺回路に設けられる端子部を並べた模式的な断面構成部分に対して、図(a)〜図1(p)に示すように行われる。
【0004】
先ず、図(a)は、ガラス基板21の表面全体にゲート電極膜22を成膜している状態を示す。ゲート電極膜22は、スパッタリング法などによって、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)およびタンタル(Ta)等の金属膜として形成する。次にゲート電極膜22の上に、フォトレジストを均一に塗布し、1枚目のフォトマスクを用いて図(b)に示すようなレジストパターン23を形成する。次にレジストパターン23を利用してエッチングを行い、図(c)に示すようにゲート電極膜22をパターニングする。
【0005】
次に図(d)に示すように、ゲート電極膜24、第1半導体層25、第2半導体層26の3層をプラズマCVD法やスパッタリング法などで、連続積層成膜する。ゲート絶縁膜24は、たとえば窒化シリコン(SiNx)膜などで形成される。第1半導体層25は、アモルファス−シリコン(A−Si)膜で形成される。第2半導体層26は、n型不純物を高濃度にドープしたシリコン(n+−Si)膜で形成される。
【0006】
次にフォトレジストを全体に塗布し、2枚目のフォトマスクを用いて図(e)に示すレジストパターン27を形成する。レジストパターン27が形成されるのは、TFT素子部のみであり、G−S交差部、画素部および端子部には形成されない。レジストパターン27を用いてエッチングを行うと、図(f)に示すように、第1半導体層25および第2半導体層26の2層が島状にパターニングされる。
【0007】
次にレジストパターン27を除去し、図(g)に示すように、全面にソース・ドレイン電極膜28を成膜する。ソース・ドレイン電極膜28は、スパッタリング法等によって、クロム、アルミニウムおよびタンタルなどの金属膜を形成する。その後、一旦全面にフォトレジストを塗布し、3枚目のフォトマスクを用いて、図(h)に示すようなレジストパターン29を形成する。レジストパターン29では、G−S交差部とTFT素子部とに形成されるけれども、TFT素子部ではチャネル部分には形成されない。次にエッチングを行い、図(i)に示すように、チャネル部分にはレジストパターン29が形成されていないので、ソース・ドレイン電極膜28および第2半導体層26が除去され、ソース・ドレイン電極分離パターニングが行われる。さらに第1半導体層25も部分的にエッチングされ、チャネル部の厚みを調整するチャネルエッチング加工が行われる。
【0008】
図1(j)は、図(i)でソース・ドレイン電極分離パターニングおよびチャネルエッチング加工が行われた後、レジストパターン29を除去した状態を示す。次に、図1(k)に示すように、パッシベーション膜30をCVD法およびスパッタリング法などによって全面に形成する。パッシベーション膜30は、たとえば窒化シリコン(SiNx)などの保護膜である。さらに図1(l)に示すように、感光性アクリル系樹脂膜31を平坦化のために塗布する。
【0009】
次に、4枚目のフォトマスクを用いて、図1(m)に示すように、感光性アクリル系樹脂膜31をパターニングする。このパターニングでは、感光性アクリル系樹脂膜31に部分的にパッシベーション膜30に達する貫通孔を形成する。パターニングした感光性アクリル系樹脂膜31をマスクとしてパッシベーション膜30を図1(n)に示すようにエッチングすると、感光性アクリル系樹脂膜31の表面から、ソース・ドレイン電極膜28のうちでソース電極と分離したドレイン電極に達するコンタクトホールが形成される。なお、4枚目のフォトマスクによるパターニングおよびエッチング工程の際には、端子部においても、感光性アクリル系樹脂膜31の表面から、ゲート電極に達するコンタクトホールが同様に形成される。また、図には示していないが、ソース端子部においても同様に、感光性アクリル系樹脂膜31の表面から、ソース電極に達するコンタクトホールが形成される。
【0010】
次に全面に塗布型透明導電膜32をスパッタリング法などによって形成すると、図1(o)に示すようになる。塗布型透明導電膜32は、酸化インジウム錫(ITO)や酸化錫(SnO2)を用いる。図1(p)は、図1(o)で感光性アクリル系樹脂膜31の表面全体に形成した塗布型透明導電膜32を5枚目のフォトマスクを用いてパターニングし、画素電極33を形成している状態を示す。画素電極33は、TFT素子部では感光性アクリル系樹脂膜31で配線パターンやTFT素子に対して立体的にオーバーラップして形成させることができるので、高開口率アクティブマトリクス基板34が形成される。
【0011】
なお、上記従来例では、2枚目のフォトマスクによる第1半導体層25および第2半導体層26の島状パターニングの際、レジストパターン27が形成される部分をTFT素子部のみとしたが、レジストパターン27をG−S交差部にも形成し、第1半導体層25および第2半導体層26がG−S交差部にも残存する構造となっても、同様の特性を有する液晶用マトリクス基板が得られる。
【0012】
以上述べた高開口率アクティブマトリクス基板34の製造工程では、(b),(e),(h),(m)および(p)の各工程で合計5枚のフォトマスクを使用する。このため、プロセス時間の長時間化や製造歩留まりの低下の要因となっている。アクティブマトリクス基板の製造工程で、フォトマスクの使用数を減少させることに関する先行技術としては、たとえば特開平5−303111号公報を挙げることができる。この先行技術では、基板上に先ず塗布型透明導電膜を形成する。塗布型透明導電膜は、画素電極としてばかりではなく、ゲート電極の下地層としても利用する。ゲート電極は、塗布型透明導電膜の上に電解メッキを施して形成する。特開2000−206571号公報には、厚さが異なるレジストパターンを形成して、図(e)から図(i)に示す工程を、1枚のフォトマスクを利用して行う考え方が示されている。厚さが異なるレジストパターンは、特開昭61−181130号公報に示されているように、露光量を変えて形成する。特開昭61−181130号公報では、段差がある部分でも高精度なパターンを形成するために、露光量を変えてレジスト膜パターンを形成している。特開2000−206571号公報では、厚みが異なる部分を利用して2段階のエッチングを行い、フォトマスクの使用数を1枚減少させることを可能にしている。同様の考え方は、C.W.Kim et al.によってSid 2000 Digest第1006〜1009頁に「A Novel Four-Mask-Count Process Architecture for TFT-LCDs」や、月刊FPD intelligenceの1995年5月号の第31〜35頁に記載されている「三国電子IPS TFT−LCDを2PEPで製造するプロセスを考案−TFTチャネル部分をハーフトーン露光」という技術報告にも示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来の高開口率アクティブマトリクス基板34の製造プロセスでは、合計5枚のフォトマスクが必要であり、プロセス時間の長時間化や製造歩留まりの低下の要因となっている。特開平5−303111号公報に開示されている先行技術では、ゲート電極を、画素電極用と同時に成膜するITO透明電極膜を下地とする電解メッキで形成し、フォトプロセスを用いることなくゲート電極膜のパターニングを行って、TFTアレイ製造工程に用いられるフォトマスクの数を低減している。しかしながら、それでも5枚のフォトマスクが必要であり、プロセス時間の長時間化や製造歩留まりの低下の要因となっている。さらに、TFTアレイ基板上への電解メッキによるゲート電極形成の下地膜としてITO透明電極膜を用いているので、ゲート電極と画素電極とをオーバーラップさせることができず、開口率が低下してしまう。また、電解メッキによるゲート電極の作製時には、電位降下による膜厚の不均一性が非常に大きくなりやすく、特に大型基板では膜厚の均一性を保つことが難しくなる。
【0014】
特開2000−206571号公報に示されているような厚さを変えたレジストパターンを用いる方法では、TFT素子部を形成する際に1枚のフォトマスクを低減することが可能となるだけであり、しかもIPS(In Plane Switching)モードのTFTアクティブマトリクス型液晶表示装置について主として説明されているだけである。ゲート電極と画素電極とを立体的にオーバーラップさせ、開口率を高めたTFT基板でフォトマスクの使用数をさらに低減する可能性については示されていない。
【0015】
本発明の目的は、TFTアクティブマトリクス基板などで製造工程で用いるフォトマスクの使用数を低減することができる液晶用マトリクス基板の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の液晶セルを形成するためのマトリクス回路が電気絶縁性基板上に形成される液晶用マトリクス基板の製造方法において、
電気絶縁性基板上に、感光性を有する電気絶縁性合成樹脂材料を塗布して、表面が平坦な電気絶縁膜を形成する工程と、
電気絶縁膜の表面全体をプラズマ照射によって撥水処理する工程と、
該電気絶縁膜を、予め定める画素電極形成領域で部分的に硬化し、予め定めるコンタクトホール領域で未硬化となり、画素電極形成領域およびコンタクトホール領域以外の非形成領域で硬化するように、領域ごとに複数段階に露光量を調整したマスクでハーフトーン露光する工程と、
電気絶縁膜を現像することにより部分的に硬化している画素電極形成領域の撥水処理された電気絶縁膜の表面が除去され、かつ未硬化のコンタクトホール領域の撥水処理された電気絶縁膜が除去されて、コンタクトホール領域の電気絶縁膜にマトリクス回路に達する貫通孔が形成され、該貫通孔に連なる凹所が画素電極形成領域の電気絶縁膜に形成されるようにパターニングする工程と、
パターニングされて撥水処理表面が除去された電気絶縁膜上に、塗布型導電材を塗布して画素電極を形成する工程とを含むことを特徴とする液晶用マトリクス基板の製造方法である。
【0017】
本発明に従えば、複数の液晶セルを形成するためのマトリクス回路が電気絶縁性基板上に形成される液晶用マトリクス基板は、電気絶縁膜の形成、電気絶縁膜表面の撥水処理、電気絶縁膜のハーフトーン露光によるパターニングおよび画素電極の形成を経て製造される。電気絶縁膜の形成は、マトリクス回路が形成されている電気絶縁性基板上に、感光性を有する電気絶縁性合成樹脂材料を塗布して、表面が平坦となるように行う。電気絶縁膜の表面は撥水処理により撥水性を有する。電気絶縁膜のハーフトーン露光は、予め定める画素電極形成領域で部分的に硬化となるように、予め定めるコンタクトホール領域で未硬化となるように、画素電極形成領域およびコンタクトホール領域以外の非形成領域で硬化となるように、領域ごとに複数段階に露光量を調整したマスクを用いて行う。電気絶縁膜を現像すると、コンタクトホール領域の電気絶縁膜にマトリクス回路に達する貫通孔が形成され、該貫通孔に連なる凹所が画素電極形成領域の電気絶縁膜に形成されるように、硬化していない程度に応じてパターニングされる。その際、電気絶縁膜の撥水処理表面は、下地となる電気絶縁膜の厚さが減少する凹所および貫通孔が形成される部分で消失し、画素電極形成領域およびコンタクトホール領域を除く非形成領域で残存する。塗布型導電材料を塗布すると、非形成領域の電気絶縁膜には撥水処理表面が残存して塗布型導電材料を撥く性質を有するので、塗布型導電材料は電気絶縁膜上の凹所およびコンタクトホールに充填され、画素電極とコンタクトホールの導電部分とを形成することができる。凹所と貫通孔とを電気絶縁膜に形成する工程と、画素電極とコンタクトホールの導電部分とを形成する工程とを1枚のフォトマスクで処理することが可能となるため、フォトマスクの使用枚数を削減することができる。
【0018】
また本発明は、前記マトリクス回路は、複数の薄膜トランジスタを含むTFTアクティブマトリクス回路であり、該TFTアクティブマトリクス回路の製造工程は、前記電気絶縁性基板上にゲート電極材料を成膜し、パターニングするゲート電極膜パターニング工程と、ゲート絶縁膜、チャネル領域となる第1の半導体層、オーミックコンタクト層となる第2の半導体層、さらにはソース・ドレイン電極となる金属層を順次積層する積層工程と、領域ごとに複数段階に露光量を調整したマスクを用いるハーフトーン露光によって、第1の半導体層および第2の半導体層を島状に形成し、ソース・ドレイン電極のパターニングおよびチャネルエッチングを行う分離エッチング工程と、分離エッチング工程後に、パッシベーション膜を成膜するパッシベーション工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、複数の薄膜トランジスタを含むTFTアクティブマトリクス回路を形成する際に、TFTアクティブマトリクス回路を、ゲート電極膜パターニング工程、積層工程、分離エッチング工程およびパッシベーション工程を含む製造工程で製造する。ゲート電極膜パターニング工程では、電気絶縁性基板上にゲート電極材料で成膜し、パターニングする。積層工程では、ゲート絶縁膜、チャネル領域となる第1の半導体層、オーミックコンタクト層となる第2の半導体層、さらにはソース・ドレイン電極となる金属層を順次積層する。分離エッチング工程では、露光量を調整したハーフトーン露光によって、第1の半導体層および第2の半導体層を島状に形成し、ソース・ドレイン電極のパターニングおよびチャネルエッチングを行う。パッシベーション工程では、分離エッチング工程後に、パッシベーション膜を成膜して覆う。TFTアクティブマトリクス回路の製造の際には、ゲート電極膜パターニング工程と、分離エッチング工程とでそれぞれフォトマスクを使用し、さらにゲート電極とオーバーラップさせる画素電極の形成の際に1枚のフォトマスクを使用するので、全部で3枚のフォトマスクを使用するだけで高開口率を得ることができるTFTアクティブマトリクス基板を製造することができる。
【0020】
また本発明は、前記画素電極の形成後に、前記非形成領域の電気絶縁膜に残存している撥水処理表面を除去することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、画素電極形成後に、電気絶縁膜に残存している撥水処理表面を除去するので、液晶用マトリクス基板形成時の配向膜形成および配向処理において、面内の均一性を向上し、配向処理の信頼性を高めることができる。
【0022】
また本発明は、前記電気絶縁性合成樹脂材料として、感光性アクリル系樹脂を使用し、前記電気絶縁膜表面の撥水処理は、フッ素系プラズマを照射して施され、前記画素電極は塗布型透明導電材料で形成することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、電気絶縁膜として感光性アクリル系樹脂を用いてマトリクス基板の表面を平坦化し、その表面にフッ素系ガスを用いたプラズマ照射による撥水処理を施して、前記電気絶縁膜をハーフトーン露光により複数段階にパターニングすることで撥水処理部分をパターニングし、電気絶縁膜表面の凹所およびコンタクトホールとに塗布型透明導電材料を充填して、フォトマスクを用いないでも精度よく画素電極およびコンタクトホールを形成することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1〜図6の(a)から(o)で本発明の実施の一形態としての高開口率アクティブマトリクス基板の製造方法の概要を示す。なお、本実施形態についても、図〜図1と同様に、ゲート電極とソース電極とが交差するG−S交差部分、TFT素子部分、画素部分および端子部を並べた模式的な断面構成について示す。
【0025】
図1(a)は、ガラス基板1上にゲート電極膜2を成膜した状態を示す。ゲート電極膜2は、スパッタリング法等でクロム、アルミニウムおよびタンタル等の金属膜を形成する。ゲート電極膜2上には、レジスト層を塗布し、1枚目のフォトマスクを用いて、図1(b)に示すようなレジストパターン3を形成する。さらにレジストパターン3を用いたエッチングにより、図1(c)に示すようにゲート電極膜2をパターニングする。
【0026】
図2(d)は、ゲート絶縁膜4、第1半導体層5および第2半導体層6を3層連続積層成膜し、さらにソース・ドレイン電極膜7をプラズマCVD法やスパッタリング法などで連続して積層成膜する。ゲート絶縁膜4は、たとえば窒化シリコン(SiNx)膜などで形成する。第1半導体層5は、アモルファス−シリコン(a−Si)膜で形成する。第2半導体層6は、n型不純物を高濃度にドープしたn+−Si膜で形成する。ソース・ドレイン電極膜7は、クロム、アルミニウムおよびタンタル等の金属で形成する。さらに、全体にレジストを塗布した後、スリットマスク等のハーフトーン露光が可能なマスク15を用いて露光量を調整し、1回のレジスト塗布、露光、現像で複数段階の厚さのレジストパターン8を、図2(e)に示すように形成する。レジストパターン8は、画素部および端子部には形成しないで、TFT素子部のチャネル部5aに相当する部分は薄肉部8aとして形成する。その他の部分は厚く形成する。すなわち、その他の部分は所定の厚みである第1の厚み以上で形成し、薄肉部8aは第1の厚みより薄い第2の厚みで形成する。次に、図2(f)に示すように、レジストパターン8に覆われていない部分のソース・ドレイン電極7、第2半導体層6および第1半導体層5の3つの層を全てエッチングで除去する。
【0027】
図3(g)は、図2(f)に示す残存しているレジストパターン8の全体をアッシングで厚みを減少させ、薄肉部8aに対応するチャネル部5aの位置でソース・ドレイン電極膜7の表面が露出するようになった状態を示す。次に残存するレジストパターン8を利用して、図3(h)に示すようにソース・ドレイン電極分離およびチャネルエッチングを行う。チャネル部5aでは、第1半導体層5の厚みが調整され、第2半導体層6およびソース・ドレイン電極膜7は除去される。ここでレジストパターン8を除去すると、図3(i)に示す状態になる。
【0028】
次に図4(j)に示すように、基板の全面にパッシベーション膜9を形成する。パッシベーション膜9は、窒化シリコンなどによる保護膜であり、CVD法やスパッタリング法等によって形成する。パッシベーション膜9の上に感光性を有する電気絶縁性合成樹脂材料、たとえば感光性アクリル系樹脂を塗布すると、図4(k)に示すように、表面が平坦化した電気絶縁膜である感光性アクリル系樹脂膜10が得られる。感光性アクリル系樹脂膜10を、80〜100℃の温度でプリベークした後、その表面にフッ素系ガスを用いたプラズマ照射による撥水処理を施し、撥水性を有する撥水処理領域11を形成した状態を図4(l)に示す。
【0029】
次に、3枚目のフォトマスクとして、スリットマスク等のハーフトーン露光が可能なマスク15を用いて感光性アクリル系樹脂膜10のハーフトーン露光を行い、1回の露光、現像で図5(m)に示すように、複数段階のパターン形状にパターニングする。ハーフトーン露光において、感光性アクリル樹脂膜10は、予め定められる画素電極形成領域およびコンタクトホール領域を除いて硬化し、コンタクトホール領域で未硬化となり、画素電極形成領域で部分的に硬化するように露光され、現像処理により、画素電極形成領域では浅い凹所10aの部分と、ドレイン電極部分までの貫通孔であるコンタクトホール10bが形成され、端子部ではゲート電極および図示しないソース電極までの貫通孔であるコンタクトホール10cが形成される。この感光性アクリル系樹脂膜10の現像処理の際に、リフトオフと同様のプロセスによって、画素電極が形成される凹所10a部分とコンタクトホール10b,10cの部分とにおいて、撥水処理領域11が除去される。
【0030】
さらに、複数段階にパターニングされた感光性アクリル系樹脂10をマスクとしてエッチングを行うことにより、コンタクトホール10bの位置でパッシベーション膜9が除去され、ソース・ドレイン電極膜7が露出する。また、端子部においては、コンタクトホール10cの位置でパッシベーション膜9、さらにゲート絶縁膜4も除去されて、ゲート電極膜2および図示しないソース電極膜が露出する。この際、10a,10bおよび10cを除く部分では、感光性アクリル系樹脂膜10がエッチングされないため、撥水処理領域11は除去されずに残る。
【0031】
次に塗布型透明導電材をスピンコート等によって塗布すると、図5(n)に示すように、塗布型透明導電膜12が感光性アクリル系樹脂膜10の凹所10aの部分とコンタクトホール10b,10cの部分に充填される。撥水処理領域11は、撥水性によって塗布型透明導電材を撥くので、塗布型透明導電膜12は撥水処理領域11が残存している部分には形成されない。塗布型透明導電膜13は、画素電極を形成するため酸化インジウム錫(ITO)などを用いることができる。その後、200〜250℃で焼成することにより、塗布型透明導電膜12から画素電極13が形成される。図5(o)は、画素電極13が形成された後、撥水処理領域11をアッシング等によって除去した状態を示す。
【0032】
以上のようにして、高開口率アクティブマトリクス基板14が形成される。
本実施形態の高開口率アクティブマトリクス基板14の製造では、(b),(e)および(m)の3つの工程でフォトマスクを使用しているので、合計3枚のフォトマスクでTFTアレイを製造することが可能となる。すなわちソース・ドレイン電極膜7およびゲート電極膜2と画素電極となる塗布型透明導電膜12を立体的にオーバーラップさせる構造を有し、高開口率で高輝度を実現することができるTFTアレイを、従来の製造プロセスに比べて非常に少ないマスク枚数である3枚のフォトマスクで製造することが可能となる。
【0033】
また本実施形態の高開口率アクティブマトリクス基板14では、画素電極であるITO膜を塗布して形成するので、プラズマCVDやスパッタリングなどの真空成膜法を用いなくても画素電極を形成することができ、製造原価の低減を図ることができる。
【0034】
は、本発明の実施形態で用いるハーフトーン露光用のマスク15の簡略化した断面形状と、対応する透過光量および生成されるレジストパターン形状を示す図である。図には、ポジ型のレジストを使用した例を示す。該マスク15は、前述の実施の一形態による高開口率アクティブマトリクス基板14の製造方法において、2枚目および3枚目のフォトマスクとして用いるハーフトーン露光が可能なマスクである。マスク15は、透過部15A、遮光部15Bおよびメッシュ部15Cを備える。一般のフォトマスクでは、透過部15Aのように光の透過量が100%を目標に形成する部分と、遮光部15Bのように、光の透過量が0%を目標に形成する部分とを備える。前述の製造方法に用いるマスク15では、さらに透過光量が透過部15Aと遮光部15Bとの中間となるメッシュ部15Cを備える。メッシュ部15Cは、たとえば間隔が使用する光の分解能よりも小さいメッシュパターンやスリットパターンで形成する。
【0035】
マスク15の各部分の透過光量の違いによって、図に示すようにポジ型のレジストを使用する場合、透過部15Aに対応する部分ではレジスト厚みが零で、遮光部15Bに対応する部分でレジスト厚みが最大となり、メッシュ部15Cに対応する部分で透過光量に応じたレジスト厚となるレジストパターン16が得られる。すなわち透過光量が異なる部分を設けることによって各部分において透過光量に反比例したレジスト厚となるレジストパターン16を形成することができる。ネガ型のレジストを使用する場合には、逆に透過光量が多い部分ほどレジスト厚も厚いレジストパターンを形成することができる。
【0036】
前述の実施の一形態による高開口率アクティブマトリクス基板14の製造方法において示したように、液晶表示装置の製造に関連して撥水性の樹脂を用いる考え方は、たとえばカラーフィルタの製造に関連して、特開平8−179113号公報や特開平8−292313号公報に開示されている。本発明の実施形態では、画素電極の形成に、図に示すようなハーフトーン露光用のマスク15とともにフッ素系ガスを用いたプラズマ照射により生じる撥水処理領域11を利用している。このような画素電極の形成方法は、単純マトリクス型液晶表示装置用のマトリクス基板の形成にも適用することが可能である。なお、撥水処理は、フッ素系プラズマ照射に限らず、フッ素系以外のガスを用いたプラズマ照射でもよい。
【0037】
また図5(n)に示すように、撥水処理領域11が感光性アクリル系樹脂膜10の表面に残存している状態でも、液晶表示装置を形成することは可能であるが、図(o)に示すように撥水処理領域11を除去してやれば、液晶配向制御のための配向膜形成の際に配向膜の面内均一性を向上し、液晶配向処理の点では非常に有利となる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電気絶縁膜表面にプラズマ照射によって撥水処理を施してハーフトーン露光し、現像処理によって撥水処理された表面ごと電気絶縁膜が除去された画素電極形成領域である凹所およびコンタクトホール領域に導電材を充填するので、コンタクトホールおよび画素電極の形成にフォトマスクを用いる必要がなく、画素電極のパターニングおよびコンタクトホール部分の製造の際に必要なフォトマスクの枚数を低減することができる。
【0039】
また本発明によれば、表面にフッ素系プラズマ照射によって撥水処理を施された電気絶縁膜を1枚のフォトマスクを用いてハーフトーン露光を行い、コンタクトホールとコンタクトホールを通じてマトリクスと導通する画素電極とを1枚のフォトマスクで形成することができる。
【0040】
また本発明によれば、ソースおよびゲート配線と画素電極とのオーバーラップを許容する高開口率アクティブマトリクス基板を3枚のフォトマスクを利用するだけで形成することができる。
【0041】
また本発明によれば、画素電極形成後に撥水処理領域を確実に除去して、配向膜の面内均一性を向上し、液晶配向処理を効率よく行うことができる。
【0042】
また本発明によれば、電気絶縁性合成樹脂材料として感光性アクリル系樹脂を使用し、表面にフッ素系プラズマを照射することによって撥水処理領域を形成するので、塗布型透明導電材料を撥水処理領域で囲まれる領域の内部に限定し、フォトマスクを用いなくても画素電極を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による高開口率アクティブマトリクス基板14の製造過程を示す簡略化した断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態としての高開口率アクティブマトリクス基板14の製造過程を示す簡略化した断面図である。
【図3】本発明の実施の一形態としての高開口率アクティブマトリクス基板14の製造過程を示す簡略化した断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態としての高開口率アクティブマトリクス基板14の製造過程を示す簡略化した断面図である。
【図5】本発明の実施の一形態としての高開口率アクティブマトリクス基板14の製造過程を示す簡略化した断面図である。
【図6】本発明の実施の一形態で用いるハーフトーン露光用のマスク15の簡略化した断面形状と、対応する透過光量および生成されるレジストパターン形状を示す図である。
【図7】従来の高開口率アクティブマトリクス基板34の製造工程の概要を示す簡略化した断面図である。
【図8】従来の高開口率アクティブマトリクス基板34の製造工程の概要を示す簡略化した断面図である。
【図9】従来の高開口率アクティブマトリクス基板34の製造工程の概要を示す簡略化した断面図である。
【図10】従来の高開口率アクティブマトリクス基板34の製造工程の概要を示す簡略化した断面図である。
【図11】従来の高開口率アクティブマトリクス基板34の製造工程の概要を示す簡略化した断面図である。
【図12】従来の高開口率アクティブマトリクス基板34の製造工程の概要を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
1,21 ガラス基板
2,22 ゲート電極膜
3,8,16,23,27,29 レジストパターン
4,24 ゲート絶縁膜
5,25 第1半導体層
5a チャネル部
6,26 第2半導体層
7,28 ソース・ドレイン電極膜
8a 薄肉部
9,30 パッシベーション膜
10,31 感光性アクリル系樹脂膜
10a 凹所
10b,10c コンタクトホール
11 撥水処理領域
12,32 塗布型透明導電膜
13,33 画素電極
14,34 高開口率アクティブマトリクス基板
15 マスク
15A 透過部
15B 遮光部
15C メッシュ部

Claims (4)

  1. 複数の液晶セルを形成するためのマトリクス回路が電気絶縁性基板上に形成される液晶用マトリクス基板の製造方法において、
    電気絶縁性基板上に、感光性を有する電気絶縁性合成樹脂材料を塗布して、表面が平坦な電気絶縁膜を形成する工程と、
    電気絶縁膜の表面全体をプラズマ照射によって撥水処理する工程と、
    該電気絶縁膜を、予め定める画素電極形成領域で部分的に硬化し、予め定めるコンタクトホール領域で未硬化となり、画素電極形成領域およびコンタクトホール領域以外の非形成領域で硬化するように、領域ごとに複数段階に露光量を調整したマスクでハーフトーン露光する工程と、
    電気絶縁膜を現像することにより部分的に硬化している画素電極形成領域の撥水処理された電気絶縁膜の表面が除去され、かつ未硬化のコンタクトホール領域の撥水処理された電気絶縁膜が除去されて、コンタクトホール領域の電気絶縁膜にマトリクス回路に達する貫通孔が形成され、該貫通孔に連なる凹所が画素電極形成領域の電気絶縁膜に形成されるようにパターニングする工程と、
    パターニングされて撥水処理表面が除去された電気絶縁膜上に、塗布型導電材を塗布して画素電極を形成する工程とを含むことを特徴とする液晶用マトリクス基板の製造方法。
  2. 前記マトリクス回路は、複数の薄膜トランジスタを含むTFTアクティブマトリクス回路であり、
    該TFTアクティブマトリクス回路の製造工程は、
    前記電気絶縁性基板上にゲート電極材料を成膜し、パターニングするゲート電極膜パターニング工程と、
    ゲート絶縁膜、チャネル領域となる第1の半導体層、オーミックコンタクト層となる第2の半導体層、さらにはソース・ドレイン電極となる金属層を順次積層する積層工程と、
    領域ごとに複数段階に露光量を調整したマスクを用いるハーフトーン露光によって、第1の半導体層および第2の半導体層を島状に形成し、ソース・ドレイン電極のパターニングおよびチャネルエッチングを行う分離エッチング工程と、
    分離エッチング工程後に、パッシベーション膜を成膜するパッシベーション工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶用マトリクス基板の製造方法。
  3. 前記画素電極の形成後に、前記非形成領域の電気絶縁膜に残存している撥水処理表面を除去することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の液晶用マトリクス基板の製造方法。
  4. 前記電気絶縁性合成樹脂材料として、感光性アクリル系樹脂を使用し、
    前記電気絶縁膜表面の撥水処理は、フッ素系プラズマを照射して施され、
    前記画素電極は塗布型透明導電材料で形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶用マトリクス基板の製造方法。
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