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JP3705938B2 - 指紋登録装置、指紋照合装置及び指紋照合方法 - Google Patents

指紋登録装置、指紋照合装置及び指紋照合方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、指紋登録装置、指紋照合装置及び指紋照合方法に関し、特に、個人を識別する場合に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータが広範な社会システムの中に導入されるのに伴い、システム・セキュリティに関心が集まっている。例えば、コンピュータルームへの入室や端末利用の際の本人確認手段として、IDカードやパスワードを用いる方法があるが、これらの方法は、セキュリティ確保の面から問題があった。
【0003】
そこで、IDカードやパスワードを用いる方法に代わって、生体情報を利用した個人照合技術が求められている。個人照合に、各個人固有の生体情報を用いると、本人以外の者はその生体情報を持つことはできないので、本人であることを確実に保証することができる。
【0004】
個人照合に用いることのできる生体情報として、指紋、声紋、虹彩・網膜血管分布図・サイン等がある。これらの生体情報は、CCDカメラなどの各種センサで画像などの電子情報に変換される。その後、センサで得られた生体情報に種々の情報処理を行い、生体照合に必要なキーとなる情報を抽出する。その後、予め登録されてある各個人の生体キー情報と、入力された生体キー情報を照合し、個人認証を行う。
【0005】
以下、生体情報として、指紋を例にとって説明する。
指紋は、『万人不同』・『終生不変』という二大特徴を持ち、本人確認の最も有力な手段と考えられている。このため、指紋を用いた簡便な個人照合システムに関して多くの研究開発が行われている。
【0006】
人間の指先には、細かな凹凸がある。凸部の連なりを隆線という。隆線は個人に固有な様々な紋様を形成している。隆線をたどっていくと、二つに分かれる点(分岐点)や、行き止まりの点(端点)にぶつかる。この分岐点や端点の分布は各個人ごとに全て異なるため、これらの点は指紋の特徴点と呼ばれる。特徴点は、個人を特定するための有力な手段として用いられている。なお、犯罪捜査の分野では、この特徴点が12個以上一致した時に本人と特定できることが裁判所の判例で確立している。指紋照合では、これらの特徴点の位置、種類、方向が一致するかどうかを確かめることにより、同一な指紋かどうかを調べている。
【0007】
図33は、従来の指紋登録処理及び指紋照合処理を示すフローチャートである。
指紋登録処理では、まず、登録対象となる指紋画像を指紋センサで採取し(ステップS191)、採取した指紋画像を二値化する(ステップS192)。
【0008】
次に、二値化した指紋画像を細線化し(ステップS193)、隆線幅が1画素の指紋細線画像を得る。
次に、指紋細線画像上で指紋の特徴点位置を特定することにより、指紋細線画像から指紋の特徴点を抽出する(ステップS194)。抽出された特徴点には、一般に誤特徴点が含まれているので、誤特徴点除去を行う(ステップS195)。この誤特徴点除去では、2つの端点が短い間隔で互いに向かい合っている場合、元々1本の隆線であったものが、画像採取の途中で途切れたものとみなし、その間の隆線を復元することにより、2つの端点を除去する。また、互いに平行な2本の隆線が途中の一点でくっついたために分岐点となっている場合、この分岐点は画像採取の途中で癒着したものとみなし、くっついた隆線を分離することにより、分岐点を除去する。
【0009】
次に、指紋画像から抽出された各特徴点の指紋情報を収集し(ステップS196)、登録指紋データとして指紋データ登録部110に保存する。
指紋照合処理では、照合対象となる指紋画像を指紋センサで採取し(ステップS197)、採取した指紋画像を二値化する(ステップS198)。
【0010】
次に、二値化した指紋画像を細線化し(ステップS199)、隆線幅が1画素の指紋細線画像を得る。
次に、指紋細線画像上で指紋の特徴点位置を特定することにより、指紋細線画像から指紋の特徴点を抽出する(ステップS200)。抽出された特徴点には、一般に誤特徴点が含まれているので、誤特徴点除去を行う(ステップS201)。
【0011】
次に、指紋画像から抽出された各特徴点の指紋情報を収集する(ステップS202)。そして、指紋データ登録部101から登録指紋データを読み出し、入力指紋画像と登録指紋画像との位置合わせを行う(ステップS203)。
【0012】
次に、入力指紋画像の指紋情報と、指紋データ登録部101から読み出した指紋登録データとを比較することにより、入力指紋画像と登録指紋画像との照合を行う。すなわち、入力指紋画像と登録指紋画像との間で、指紋情報が一致する特徴点の数を計数し(ステップS204)、指紋情報が一致する特徴点の数が予め決められた値を超えた場合(ステップS205)、登録指紋画像の指紋と入力指紋画像の指紋とは同一の指紋であると判断する(ステップS106)。一方、指紋情報が一致する特徴点の数が予め決められた値に満たない場合(ステップS205)、登録指紋画像の指紋と入力指紋画像の指紋とは異なる指紋であると判断する(ステップS207)。
【0013】
ここで、特徴点の特徴点情報として、それぞれの特徴点の位置(座標)と種類と方向とが一般的に用いられる。そして、入力指紋画像と登録指紋画像との間で、それぞれの特徴点の位置と種類と方向が一致するかどうかを確かめることにより、同一指紋であるかどうかの判断を行う。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特徴点の位置と種類と方向だけの比較では、高い照合率が期待できない。これは、指の皮膚の部分的な伸び縮みや回転のため、指紋画像の採取の度に指紋に歪みが発生し、特徴点の位置や方向が微妙に異なってしまうためである。また、指紋センサに対する指の置き方、指の指紋センサに対する押圧のし過ぎ、指紋センサの汚れ、または、かさついた指などが原因で、指紋画像の採取の度に端点/分岐点の判定が不安定になり、照合率が低下するという問題もあった。
【0015】
そこで、本発明の目的は、高精度な指紋照合を安定して行うことが可能な指紋照合装置及び指紋照合方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明によれば、指紋データから隆線上の特徴点を抽出し、隆線に対する特徴点の配置状態に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
【0017】
このことにより、指の皮膚の部分的な伸び縮みや回転などにより指紋に歪みが発生した場合においても、特徴点の隆線上への配置状態は変化しないため、高精度な指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明の一態様によれば、指紋データから抽出された隆線上に仮想的な特徴点を設定し、この仮想的な特徴点の指紋情報に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
【0019】
このことにより、採取された指紋の隆線構造を変化させることなく、指紋を特定する手がかりとなる情報を増やすことが可能となり、高精度な指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、隆線上に実在する特徴点を他の隆線上に投影することにより、仮想的な特徴点を隆線上に生成するようにしている。
このことにより、2次元的な隆線構造を、特定の隆線上に反映させることが可能となり、隆線上の1次元的な探索を行うことにより、指紋を特定することが可能となることから、高精度な指紋照合を高速に行うことが可能となる。
【0021】
また、本発明の一態様によれば、隆線上の特徴点あるい仮想的な特徴点の間の道のりに基づいて、指紋照合を行うようにしている。
このことにより、特徴点あるい仮想的な特徴点の位置で隆線を区切った時の隆線の長さに基づいて、指紋照合を行うことが可能となり、特徴点あるい仮想的な特徴点の位置で隆線を区切った時の隆線の長さは、指紋に歪みが発生した場合においてもほとんど変化しないことから、高精度な指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0022】
また、本発明の一態様によれば、隆線上の特徴点あるい仮想的な特徴点の間の距離に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
このことにより、隆線に沿った道のりの計測が直線距離の計測になり、指紋情報を生成する際の演算を簡単にすることが可能となる。
【0023】
また、本発明の一態様によれば、隆線上の特徴点あるいは仮想的な特徴点への接続方向に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
このことにより、特徴点あるいは仮想的な特徴点を基準とした複数方向への接続状態を考慮しながら、指紋照合を行うことが可能となり、指紋照合を精度よく行うことが可能となる。
【0024】
また、本発明の一態様によれば、隆線上に存在している特徴点及び仮想的な特徴点の個数に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
このことにより、隆線上に存在している特徴点及び仮想的な特徴点の個数は、指紋に歪みが発生した場合においても変化しないことから、指紋照合を安定して行うことが可能となるとともに、特徴点及び仮想的な特徴点の個数は容易に算出することが可能なため、指紋照合を高速に行うことが可能となる。
【0025】
また、本発明の一態様によれば、隆線上に存在している特徴点の種類に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
このことにより、隆線上に存在している特徴点の種類は、指紋に歪みが発生した場合においてもほとんど変化しないことから、指紋照合を安定して行うことが可能となるとともに、特徴点及び仮想的な特徴点の個数だけを用いて指紋照合を行う場合に比べて、照合精度をより向上させることが可能となる。 また、本発明の一態様によれば、隆線の接続先の投影特徴点に対する投影元特徴点の種類情報に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
【0026】
このことにより、仮想的な特徴点に種類情報を付加することが可能となり、仮想的な特徴点の種類情報も考慮して指紋照合を行うことが可能となることから、指紋照合を精度よく行うことが可能となる。 また、本発明の一態様によれば、特徴点及び仮想的な特徴点の隆線上への配列順序に基づいて、指紋照合を行うようにしている。
【0027】
このことにより、隆線上に存在している特徴点及び仮想的な特徴点の配列順序は、指紋に歪みが発生した場合においても変化しないことから、指紋照合を安定して行うことが可能となるとともに、特徴点及び仮想的な特徴点の個数や種類を用いて指紋照合を行う場合に比べて、照合精度をより向上させることが可能となる。
【0028】
また、本発明の一態様によれば、隆線上の特徴点の種類を仮想的に変更するようにしている。
このことにより、特徴点の種類の検出が不安定な場合においても、指紋照合を正確に行うことが可能となる。
【0029】
また、本発明の一態様によれば、隆線の端点とその端点に対応する投影点とを統合することにより、隆線上に仮想的な分岐点を生成するようにしている。
このことにより、指紋センサへの指圧の差などが原因で隆線に亀裂が入ったために、分岐点を端点と間違えて検出した場合においても、元の隆線構造を復元して指紋照合を行うことが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0030】
また、本発明の一態様によれば、特徴点から他の特徴点へ至る道のりと、その特徴点から仮想的な特徴点へ至る道のりとを比較することにより、指紋照合を行うようにしている。
【0031】
このことにより、元々同一の隆線上に存在していた特徴点が、異なる隆線上に存在するものとして抽出された場合や、元々異なる隆線上に存在していた特徴点が、同一の隆線上に存在するものとして抽出された場合においても、それらの特徴点の間の道のりを比較することが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0032】
また、本発明の一態様によれば、隆線を分岐点で分離することにより、仮想的な端点とその端点に対応する投影点とを生成するようにしている。
このことにより、指紋センサへの指圧の差などが原因で隆線が癒着したために、端点を分岐点と間違えて検出した場合においても、元の隆線構造を復元して指紋照合を行うことが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0033】
また、本発明の一態様によれば、仮想的な特徴点から他の特徴点へ至る道のりと、その仮想的な特徴点から他の仮想的な特徴点へ至る道のりとを比較することにより、指紋照合を行うようにしている。
【0034】
このことにより、元々同一の隆線上に存在していた特徴点と仮想的な特徴点とが、異なる隆線上に存在するものとして抽出された場合や、元々異なる隆線上に存在していた特徴点と仮想的な特徴点とが、同一の隆線上に存在するものとして抽出された場合においても、それらの特徴点と仮想的な特徴点との間の道のりを比較することが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0035】
また、本発明の一態様によれば、異なる隆線上の特徴点の指紋情報を比較するようにしている。
このことにより、隆線に亀裂が入ったり隆線が癒着したために隆線の本数が増減した場合においても、指紋情報を比較することが可能となり、指紋照合を精度良く行うことが可能となる。
【0036】
また、本発明の一態様によれば、第1の隆線上の特徴点を基準として、第1の隆線上の他の特徴点または第1の隆線上の仮想的な特徴点への道のりを算出するようにしている。
【0037】
このことにより、隆線上の道のりを比較することで特徴点が一致するかどうかを判定することが可能となり、隆線上の道のりは、指紋が歪んだ場合においてもほとんど変化しないことから、特徴点の照合を安定して行うことが可能となる。
【0038】
また、本発明の一態様によれば、第1の隆線上の特徴点に対応させて第2の隆線上に仮想的な特徴点を生成し、この仮想的な特徴点を基準として、第2の隆線上の特徴点または第2の隆線上の他の仮想的な特徴点への道のりを算出するようにしている。
【0039】
このことにより、第1の隆線上の特徴点の指紋情報に対し、第2の隆線上の指紋情報を付加することが可能となり、未接続の隆線構造も考慮して1つの特徴点の照合を行うことが可能となることから、特徴点の照合を精度良く行うことが可能となる。
【0040】
また、本発明の一態様によれば、照合対象となる特徴点と関係する他の特徴点または投影元特徴点の指紋情報に基づいて、特徴点が一致しているかどうかを判定するようにしている。
【0041】
このことにより、1つの特徴点の照合を行う際に、広範囲の隆線構造を考慮することが可能となり、特徴点の照合を精度良く行うことが可能となる。
また、本発明の一態様によれば、特徴点の隆線接続状態が求められない理由を抽出し、その理由を隆線接続状態に含めるようにしている。
【0042】
このことにより、後の照合で隆線接続状態が求められた時、その正当性を考慮した特徴点の照合を行うことが可能となる。
また、本発明の一態様によれば、各指紋情報に重み付けを行い、特徴点の接続状態の照合に重点を置く評価方式と、特徴点の位置、種類または方向の照合に重点を置く評価方式とを切り換える、または、両方の評価方式を用いる。
【0043】
このことにより、複数の評価基準を設けることが可能となり、皮膚の伸び縮みや回転による照合困難性と隆線の亀裂・癒着による照合困難性の両方の照合困難性に対応することができる。
【0044】
また、本発明の一態様によれば、隆線の谷線部と山線部とを反転させるようにしている。
このことにより、端点と分岐点の位置を逆転することができ、例えば、端点についての画像処理機能を備えるだけで、分岐点の画像処理を実行できるようになる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
【0046】
図1において、指紋データ入力手段1は、指紋データを入力する。ここで、指紋データは、指紋画像データや圧縮画像データなどである。また、2値化や細線化などを行った画像処理後のデータでもよい。
【0047】
隆線抽出手段2は、指紋データ入力手段1から入力された指紋データに基づいて、指紋上の隆線を抽出する。
特徴点抽出手段3は、指紋データ入力手段1から入力された指紋データに基づいて、隆線抽出手段2により抽出された隆線上の特徴点を抽出する。
【0048】
配置状態検出手段4は、特徴点抽出手段3により抽出された特徴点の隆線上での配置状態を検出する。
照合手段5は、配置状態検出手段4により検出された特徴点の隆線上での配置状態に基づいて、指紋照合を行う
ここで、隆線上での特徴点の配置状態を検出することにより、特徴点と特徴点とが隆線を介してどのように接続し合っているかを照合対象とすることが可能となる。このため、特徴点の種類・位置・方向が指紋登録時と指紋照合時とで変化した場合においても、特徴点同士の隆線による接続状態はほとんど変化しないことから、同一指紋を正しく識別することが可能となる。すなわち、特徴点と特徴点が隆線を介してどのように接続し合っているかを調べることにより、指紋の紋様がどのような幾何構造を構成しているかを判別し、登録指紋と入力指紋とを照合する。
【0049】
なお、各特徴点のもつ指紋情報は、特徴点の位置・種類・方向の他に、隆線を介してその特徴点に接続している他の特徴点や、特徴点近辺にある隆線上に存在する他の特徴点の情報(隆線接続関係情報)なども併せ持つことが可能なものである。
【0050】
このように、特徴点と隆線の隆線接続関係を照合対象とすることにより、指紋画像の採取の度に発生する特徴点の移動、方向・種類の変化などによる照合率の低下を抑えることができる。これは、皮膚が部分的に伸び縮みしたり回転したりしても特徴点と隆線の接続関係は不変だからである。
【0051】
図2は、本発明の第2実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
図2において、指紋データ入力手段11は、指紋データを入力する。
【0052】
仮想特徴点設定手段12は、指紋データ入力手段11により入力された指紋データに基づいて、隆線上に仮想的な特徴点を設定する。
指紋情報算出手段13は、仮想特徴点設定手段12により設定された仮想的な特徴点の指紋情報を算出する。
【0053】
照合手段14は、指紋情報算出手段13により算出された指紋情報に基づいて、指紋照合を行う
ここで、仮想的な特徴点は、隆線上に実在している特徴点を、近接する隆線上に投影することにより生成することができる。
【0054】
図3は、指紋の特徴点を示す図である。
図3において、細線指紋画像から隆線R1〜R11が抽出されている。隆線R1は隆線R3と分岐点P1で接続している。隆線R2は隆線R3と分岐点P3で接続し、端点P2で途切れている。隆線R4は隆線R5と分岐点P5で接続し、端点P4、P6で途切れている。隆線R5は隆線R6と分岐点P7で接続している。隆線R7は隆線R8と分岐点P8で接続するとともに、隆線R9と分岐点P9で接続している。これらの分岐点P1、P3、P5、P7、P8、P9及び端点P2、P4、P6はそれぞれ、指紋の特徴点に対応している。
【0055】
ここで、分岐点P5から近傍特徴点への隆線接続関係(幾何構造)を考える。隆線を介して分岐点P5に接続している他の特徴点は、端点P6、分岐点P7、画像の終点による端点P4がある。また、分岐点P5からそれぞれの特徴点までの隆線上の道のりは、端点P6<分岐点P7<端点P4の関係がある。
【0056】
分岐点P5の両隣の隆線に注目する。指先側の隆線R2には、分岐点P3と端点P2が存在している。付け根側の隆線R8には、分岐点P8が存在している。分岐点P5に対する隆線接続関係は、分岐点P5を基準として何本となりの隆線にどのような特徴点がどのような位置に存在しているかを示すものである。以下、特徴点P1〜P4、P5〜P9を特徴点P5に対する近傍特徴点と呼ぶ。
【0057】
指紋の各特徴点P1〜P9に上記の隆線接続関係情報を持たせるが、その隆線接続関係情報には、投影特徴点情報を含めることができる。ここで、投影特徴点とは、特徴点P1〜P9を周辺の隆線R1〜R11に投影した投影点のことである。
【0058】
図4(a)は、特徴点の投影方法を示す図である。
図4(a)において、指紋画像から隆線R21〜R26が抽出され、隆線R21上には、端点P21が存在し、隆線R22上には、端点P22が存在し、隆線R23及び隆線R24上には、分岐点P23が存在し、隆線R26上には、端点P26が存在している。ここで、分岐点P23及び端点P21、P22、P26は、指紋の特徴点に対応している。
【0059】
また、端点P21を投影することにより、投影特徴点Q21が隆線R22上に生成され、端点P22を投影することにより、投影特徴点Q22が隆線R21上に生成されるとともに、投影特徴点Q22’が隆線R23上に生成され、分岐点P23を投影することにより、投影特徴点Q23が隆線R22上に生成されるとともに、投影特徴点Q23’が隆線R25上に生成され、端点P26を投影することにより、投影特徴点Q26が隆線R25上に生成されている。
【0060】
図4(b)は、投影方向の一例を示す図である。
図4(b)において、隆線R32上の端点P32を隆線R31、R33に投影する場合、端点P32において隆線R32から垂線を引き、その垂線と隆線R31、R33との交点を投影特徴点Q32、Q32’とすることができる。なお、投影方向は、端点P32における隆線R32の方向と垂直な方向が好ましいが、それ以外の方向でもよい。
【0061】
以下、隆線接続関係情報について具体的に説明する。
地点Aと地点Bとの接続関係を表現するものとして、例えば、道のりがある。道のりとは、地点Aと地点Bが隆線で結ばれており、その隆線に沿って計測した区間AB間の長さを意味している。なお、地点Aと地点Bとを直線で結んだ時の長さ、すなわち、地点Aと地点Bとの最短距離を用いることにより、地点Aと地点Bとの接続関係を表現することもできる。
【0062】
図5は、道のりの例及び道のりの算出方法を示す図である。
図5(a)及び図5(b)において、指紋画像から隆線R41〜R44が抽出され、端点P41が隆線R41上に存在し、端点P42が隆線R42上に存在し、分岐点P43が隆線R42、R43上に存在し、端点P44が隆線R44上に存在している。なお、端点P41、P42、P44及び分岐点P43は、指紋の特徴点に対応している。
【0063】
また、端点P42を投影することにより、投影特徴点Q42が隆線R41上に生成され、分岐点P43を投影することにより、投影特徴点Q43が隆線R41上に生成され、端点P44を投影することにより、投影特徴点Q44が隆線R42上に生成されている。
【0064】
ここで、端点P42に注目した場合の道のりとして、隆線R42を通って端点P42から分岐点P43へ至る道のり(第0次主距離)、隆線R42を通って端点P42から投影特徴点Q44へ至る道のり(第0次副距離)、隆線R41を通って投影特徴点Q42から端点P41へ至る道のり(第1次主距離)及び隆線R41を通って投影特徴点Q42から投影特徴点Q43へ至る道のり(第1次副距離)を算出する。
【0065】
このように、端点P42を隆線R41に投影することにより、隆線R42から分離している隆線R41上の特徴点や投影特徴点の道のり情報も、端点P42についての道のり情報に取り込むことが可能となる。
【0066】
道のりの算出は、指紋画像の細線画像上で行うことができる。この指紋画像の細線画像では、1画素幅の線により隆線が与えられている。このため、道のりの値は、2点間の細線の画素数で表すことができる。例えば、図5(c)において、隆線R51、R52が細線画像上に存在している場合、隆線R51上の端点P51と分岐点P52との間の道のりは、20画素となる。
【0067】
また、画素が対角線方向に繋がっている場合には、その画素についての道のりを√2(2の平方根)倍すれば、道のりをより正確に求めることができる。これは、各画素の形状が正方形の場合、各画素の対角線の長さは、各画素の辺の長さの√2倍となるからである。例えば、図5(c)において、隆線R51上の端点P51と分岐点P52との間の道のりは、16+4√2画素となる。
【0068】
また、隆線上の道のりは、実際の指紋上の物理的な長さで表せば、倍率の違う指紋画像の間でも照合が可能となる。この方法では、道のりを画素数で表現する代わりに、5ミリメートルなどの長さで表現する。
【0069】
この道のりを分類すると、以下の4通りに分けることができる。
1)隆線を介して注目特徴点に接続する他の特徴点までの道のり(特徴点と特徴点との間の道のり)。以後、この道のりを第0次主距離と呼ぶ。なお、注目特徴点から他の特徴点への方向情報も隆線接続関係情報に加える場合がある。
【0070】
2)隆線を介して注目特徴点に接続する他の投影特徴点までの道のり(特徴点と投影特徴点との間の道のり)。以後、この道のりを第0次副距離と呼ぶ。なお、注目特徴点から他の投影特徴点への方向情報も隆線接続関係情報に加える場合がある。
【0071】
3)注目特徴点のn本となりにある隆線上に注目特徴点を投影した点を計測起点とした場合において、この計測起点から測定した他の特徴点までの道のり(投影特徴点と特徴点との間の道のり)。以後、この道のりを第n次主距離(nは、0以外の整数)と呼ぶ。なお、計測起点から他の特徴点への方向情報も隆線接続関係情報に加える場合がある。
【0072】
4)注目特徴点のn本となりにある隆線上に注目特徴点を投影した点を計測起点とした場合において、この計測起点から測定した投影特徴点までの道のり(投影特徴点と投影特徴点との間の道のり)。以後、この道のりを第n次副距離(nは、0以外の整数)と呼ぶ。なお、計測起点から投影特徴点への方向情報も隆線接続関係情報に加える場合がある。
【0073】
隆線接続関係を隆線上に存在する特徴点や投影特徴点の個数で表現することもできる。すなわち、
1)隆線を介して注目特徴点に接続する他の特徴点までの道のり上に存在する投影特徴点の個数。以後、この投影特徴点数を第0次投影特徴点数と呼ぶ。なお、注目特徴点から他の特徴点への方向情報も隆線接続関係情報に加える場合がある。
【0074】
2)注目特徴点のn本となりにある隆線上に注目特徴点を投影した点を計測起点とした場合において、この計測起点から他の特徴点までの道のり上に存在する投影特徴点の個数。以後、この投影特徴点数を第n次投影特徴点数(nは、0以外の整数)と呼ぶ。なお、計測起点から投影特徴点への方向情報も隆線接続関係情報に加える場合がある。
【0075】
各特徴点は、少なくとも2つ以上の近傍特徴点への隆線接続関係情報を持つことができる。1つの特徴点(注目特徴点)が持つ隆線接続関係情報は、主に以上に述べた情報、または、その組み合わせで構成することができる。
【0076】
指紋照合では、隆線接続関係情報の一致を確認する。この時、特徴点の種類が登録時と照合時で異なる場合を想定した指紋照合も行う。登録指紋と照合指紋との間で特徴点の種類が異なる場合、特徴点の種類が同じになるように隆線構造を変形し、その隆線構造の下での照合結果が良好であれば、同一特徴点と判断することができる。
【0077】
指紋照合は、まず、個々の特徴点毎に照合を行う。最終的に登録指紋と入力指紋との間で、同一特徴点と判断された特徴点の割合が高ければ、登録指紋と入力指紋は同一指紋であると判断する。
【0078】
個々の特徴点の照合方法として、隆線接続関係情報が、予め決められた基準を満たしているかを判断する方法がある。
この方法では、2つの特徴点の隆線接続関係情報が一致した場合、同一特徴点とみなす。隆線接続関係の一致または不一致の度合いは、隆線接続関係一致度を定義し、その値より判断する。隆線接続関係一致度とは、隆線接続関係の一致具合を示す評価値である。この評価値が高い値の場合、隆線接続関係の一致の度合いが良いことを示す。二つの特徴点の隆線接続関係一致度が予め決められた値を超えた場合、同一特徴点とみなす。
【0079】
隆線接続関係一致度は、例えば、加点方式で求めることができる。すなわち、特徴点の第n次主距離/副距離の一致具合により配点を決め、その合計点を二つの特徴点の隆線接続関係一致度とする。また、照合する二つの特徴点の種類が同じかどうかにより、隆線接続関係一致度の求め方を分けることにより、特徴点の種類の検出が不安定である場合の照合を可能とする。
【0080】
図6は、指紋に歪みが発生した時に、道のりがどのように変化するかを説明する図である。
図6(a)において、端点P42の注目した場合の道のりとして、端点P42と分岐点P43との間の道のりL1、端点P42と投影特徴点Q44との間の道のりL2、投影特徴点Q42と端点P41との間の道のりL3及び投影特徴点Q42と投影特徴点Q43との間の道のりL4が登録されているものとする。
【0081】
そして、図6(b)に示すように、照合時の指紋に歪みが発生し、端点P42の注目した場合の道のりとして、端点P42と分岐点P43との間の道のりL1’、端点P42と投影特徴点Q44との間の道のりL2’、投影特徴点Q42と端点P41との間の道のりL3’及び投影特徴点Q42と投影特徴点Q43との間の道のりL4’が得られたものとする。この場合、皮膚が部分的に伸び縮みしたり回転したりして、指紋に歪みが発生した場合においても、隆線自体の長さはほとんど変化しないことから、L1=L1’、L2=L2’、L3=L3’、L4=L4’となる。このため、指紋に発生した歪みの影響を受けることなく、指紋照合を行うことが可能となる。
【0082】
このことは、例えば、隆線を紐とみなし、特徴点を紐の結び目または紐の切れ目とみなし、指紋に歪みが発生した場合を紐が弛んだ場合とみなすことにより、容易に理解することができる。すなわち、紐が弛んだ場合、紐の結び目の空間上の座標や紐の切れ目の空間上の座標は変化しても、紐の長さは変化しないことは明らかである。このため、紐の結び目や紐の切れ目の間の道のりは変化しない。これと同様の関係が隆線構造にも当てはまると考えることができ、指紋に歪みが発生した場合においても、隆線上の特徴点の間の道のりはほとんど変化しない。この結果、隆線接続関係として特徴点の間の道のりを用いることにより、精度の高い指紋照合を行うことが可能となる。
【0083】
このように、隆線接続関係を用いて指紋照合を行うことにより、隆線の何本か隣りにある隆線上の特徴点の位置関係も考慮しながら隆線構造の照合を行うことが可能となり、照合精度を向上させることが可能となる。また、登録時に分岐点であった特徴点が、照合時では端点に変化してしまうなど、特徴点の検出が不安定な場合でも、的確に照合することが可能となる。
【0084】
なお、個々の特徴点の照合方法として、特徴点の種類・位置・方向が一致しているかを判断する方法もある。
この方法では、特徴点の位置・種類・方向の一致具合を調べて、特徴点の照合を行う。2つの特徴点間で以下の条件を全て満たした時、それらは同一特徴点とみなす。
1)特徴点の種類が同じ
2)特徴点の方向の差が予め決められた閾値以下
3)特徴点間の距離が予め決められた閾値以下、または、共通座標系上での特徴点の座標の差が、予め決められた閾値以下
また、個々の特徴点の照合方法として、特徴点の種類・位置・方向が一致し、かつ、隆線接続関係情報が予め決められた基準を満たしているかを判断する方法もある
この方法では、特徴点の位置・種類・方向及び隆線接続関係の一致具合を調べて、特徴点の照合を行う。2つの特徴点間で以下の条件を全て満たした時、それらは同一特徴点とみなす。
【0085】
1)特徴点の種類が同じ
2)特徴点の方向の差が予め決められた閾値以下
3)特徴点間の距離が予め決められた閾値以下、または、共通座標系上での特徴点の座標の差が、予め決められた閾値以下
4)隆線接続関係一致度が予め決められた閾値以上
図7は、本発明の一実施例に係わる指紋照合装置のシステム構成を示すブロック図である。
【0086】
図7において、21は全体的な処理を行う中央演算処理ユニット(CPU)、22はリードオンリメモリ(ROM)、23はランダムアクセスメモリ(RAM)、24は入出力インターフェイス、25は指紋画像や照合結果などを表示するディスプレイ、26は指紋画像や照合結果などを印刷するプリンタ、27はスキャナ28により読み取られたデータを一時的に格納するメモリ、28は指紋を読み取るスキャナ、29は通信インターフェイス、30は通信ネットワーク、31は記憶媒体を駆動するドライバ、32はハードディスク、33はICメモリカード、34は磁気テープ、35はフロッピーディスク、36はCD−ROMやDVD−ROMなどの光ディスク、37はバス、38はキーボードである。
【0087】
指紋登録処理を行うプログラムや指紋照合処理を行うプログラム、あるいは隆線接続関係情報などを、ハードディスク32、ICメモリカード33、磁気テープ34、フロッピーディスク35、光ディスク36などの記憶媒体に格納する。そして、これらの記憶媒体から指紋登録処理を行うプログラムをRAM23に読み出すことにより、指紋登録を行うことができる。また、これらの記憶媒体からや指紋照合処理を行うプログラムや隆線接続関係情報などをRAM23に読み出すことにより、指紋照合を行うことができる。また、指紋登録処理を行うプログラムや指紋照合処理を行うプログラム、あるいは隆線接続関係情報などを、ROM22に格納しておくこともできる。
【0088】
さらに、指紋登録処理を行うプログラムや指紋照合処理を行うプログラム、あるいは隆線接続関係情報などを、通信インターフェイス29を介して通信ネットワーク30から取り出すことをできる。通信インターフェイス29に接続される通信ネットワーク30として、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、アナログ電話網、デジタル電話網(ISDN:Integral Service Digital Network)、PHS(パーソナルハンディシステム)や衛星通信などの無線通信網を用いることができる。
【0089】
CPU21は、指紋登録処理を行うプログラムが起動されると、スキャナ28で読み取られた指紋画像データを受信する。そして、スキャナ28で読み取られた指紋画像データを受信すると、指紋画像データから隆線接続関係情報を抽出し、抽出した隆線接続関係情報を各個人ごとに格納する。
【0090】
CPU21は、指紋照合処理を行うプログラムが起動されると、スキャナ28で読み取られた指紋画像データを受信する。そして、スキャナ28で読み取られた指紋画像データを受信すると、この指紋画像データから隆線接続関係情報を抽出する。また、記憶媒体や通信ネットワーク30から隆線接続関係情報を獲得し、獲得した隆線接続関係情報と、抽出した隆線接続関係情報とを照合する。この照合結果は、ディスプレイ25やプリンタ26に出力される。
【0091】
図8は、本発明の第3実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。この第3実施例では、各特徴点の第n次主距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を、指指紋登録時に記録する。ただし、特徴点で区切られた隆線の1つにつき、1つの主距離を記録する。そして、各特徴点の第n次主距離を比較することにより、指紋照合を行う。
【0092】
図8において、指紋センサ41は、人間または動物の指から指紋画像データを採取する。画像記憶部42は、指紋センサ41により採取された指紋画像データを保持したり、画像処理を行った画像データを保持したりする。画像二値化部43は、画像記憶部42に格納されている多値画像を二値画像に変換する。画像細線化部44は、画像二値化部43で二値化された二値画像を細線化し、指紋隆線の細線画像データを生成する。特徴点抽出部45は、指紋細線画像より特徴点位置を検出し、その結果を特徴点位置記憶部46に保持する。特徴点位置記憶部46は、指紋画像中の特徴点位置を保持する。誤特徴点除去部47は、指紋細線画像と抽出された特徴点から誤特徴点を検出することにより、特徴点位置記憶部46から誤特徴点情報を取り除く。また、指紋細線画像修正部48に誤特徴点情報を伝達する。指紋細線画像修正部48は、誤特徴点除去部47から送られた誤特徴点情報により、指紋細線画像の修正を行う。主距離情報抽出部49は、画像記憶部42に保持されている指紋細線画像と特徴点位置記憶部46に保持されている特徴点位置とから、各特徴点の隆線接続関係情報(指紋情報)を抽出し、指紋情報記憶部50に出力する。指紋情報記憶部50は、主距離情報抽出部49で抽出された各特徴点の隆線接続関係情報を記憶する。登録指紋情報記憶部51は、指紋照合装置に登録された指紋の指紋情報を保持する。指紋照合部52は、入力指紋より得られた指紋情報と登録指紋情報記憶部51に記憶されている登録指紋の指紋情報とを照合し、指紋照合結果を照合結果表示部53に伝達する。照合結果表示部53は、ディスプレイや音声などで指紋照合装置利用者に指紋照合結果を伝達する。
【0093】
ここで、主距離情報抽出部49は、隆線接続関係情報として、各特徴点の第n次主距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を算出する。
図9は、端点を基準とした時の第n次主距離の算出方法を説明する図である。
【0094】
図9において、指紋画像から隆線R51〜R59が抽出され、分岐点P53が隆線R52、R53上に存在し、端点P54が隆線R54上に存在し、分岐点P55が隆線R54、R55上に存在し、分岐点P57が隆線R56、R57上に存在し、端点P58が隆線R58上に存在している。なお、端点P54、P58及び分岐点P53、P55、P57は、指紋の特徴点に対応している。
【0095】
また、端点P54を投影することにより、投影特徴点Q54が隆線R53上に生成され、投影特徴点Q54’が隆線R52上に生成され、投影特徴点Q54’’が隆線R56上に生成され、投影特徴点Q54’’’が隆線R58上に生成されている。
【0096】
ここで、端点P54に注目した場合の道のりとして、端点P54と分岐点P55との間の道のり(第0次主距離)、投影特徴点Q54と分岐点P53との間の道のり(第1次主距離)、投影特徴点Q54’と分岐点P53との間の道のり(第2次主距離)、投影特徴点Q54’’と分岐点P57との間の道のり(−1次主距離)及び投影特徴点Q54’’’と端点P58との間の道のり(−2次主距離)が算出される。
【0097】
なお、第0次主距離は、注目特徴点と隆線を介してそれに接続している他の特徴点までの道のりを表す。第n次主距離(nは、0以外の整数)は、注目特徴点からn本目の隆線に注目特徴点を投影し、その投影点を道のりの計測起点として、その隆線上に存在する他の近傍特徴点までの道のりを表す。次数nは、注目特徴点のどちら側の隆線を対象にしているかにより、プラス/マイナスの値を取ることができる。
【0098】
図10は、分岐点を基準とした時の第n次主距離の算出方法を説明する図である。
図10において、指紋画像から隆線R61〜R70が抽出され、分岐点P63が隆線R62、R63上に存在し、分岐点P64が隆線R64、R65上に存在し、分岐点P65が隆線R64、R66上に存在し、端点P66、P67が隆線R66上に存在し、分岐点P68が隆線R67、R68上に存在し、端点P69が隆線R69上に存在している。なお、端点P66、P67、P69及び分岐点P63、P64、P65、P68は、指紋の特徴点に対応している。
【0099】
また、分岐点P65を投影することにより、投影特徴点Q65が隆線R63上に生成され、投影特徴点Q65’が隆線R62上に生成され、投影特徴点Q65’’が隆線R67上に生成され、投影特徴点Q65’’’が隆線R69上に生成されている。
【0100】
ここで、分岐点P65に注目した場合の道のりとして、分岐点P65と分岐点P64との間の道のり(第0次主距離)、分岐点P65と分岐点P67との間の道のり(第0次主距離)、分岐点P65と端点P66との間の道のり(第0次主距離)、投影特徴点Q65と分岐点P63との間の道のり(第1次主距離)、投影特徴点Q65’と分岐点P63との間の道のり(第2次主距離)、投影特徴点Q65’’と分岐点P68との間の道のり(−1次主距離)及び投影特徴点Q65’’’と端点P69との間の道のり(−2次主距離)が算出される。
【0101】
このように、分岐点P65については、3つの第0次主距離を持つことができる。
図11は、図8の指紋照合装置の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【0102】
図11において、まず、指紋センサ41などを用いることにより、指紋画像データを取得する(ステップS1)。次に、画像二値化部43は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る(ステップS2)。次に、画像細線化部44は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る(ステップS3)。次に、特徴点抽出部45は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する(ステップS4)。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部47は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う(ステップS5)。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部48は、指紋細線化画像の修正を行う(ステップS6)。次に、主距離情報抽出部49は、各特徴点毎に第n次主距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する(ステップS7)。この主距離情報を指紋情報として登録指紋情報記憶部51に保存する(ステップS8)。
【0103】
図12は、図8の指紋照合装置において特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
図12において、特徴点を道のり計測開始位置に設定し(ステップS10)、計測値Lengthを0に設定する(ステップS11)。
【0104】
次に、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進み(ステップS12)、他の特徴点に到達した場合(ステップS13)、計測値Lengthを第0次主距離とする(ステップS14)。また、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、画像の端に到達した場合(ステップS15)、第0次主距離情報は、「画像の外」とする(ステップS16)。さらに、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、誤特徴点に到達した場合(ステップS17)、第0次主距離情報は、「不明」とする(ステップS18)。
【0105】
一方、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、以上の条件に当てはまらない場合、計測値Lengthを1つだけ増加させ(ステップS19)、ステップS12に戻ることにより、探索を続ける。
【0106】
図13は、図8の指紋照合装置において投影特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
図13において、注目特徴点からn本目の隆線上への投影特徴点を道のり計測開始位置に設定し(ステップS20)、計測値Lengthを0に設定する(ステップS21)。
【0107】
次に、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進み(ステップS22)、他の特徴点に到達した場合(ステップS23)、計測値Lengthを第n次主距離とする(ステップS24)。また、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、画像の端に到達した場合(ステップS25)、第n次主距離情報は、「画像の外」とする(ステップS26)。さらに、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、誤特徴点に到達した場合(ステップS27)、第n次主距離情報は、「不明」とする(ステップS28)。
【0108】
一方、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、以上の条件に当てはまらない場合、計測値Lengthを1つだけ増加させ(ステップS29)、ステップS22に戻ることにより、探索を続ける。
【0109】
図14は、図8の指紋照合装置の指紋照合処理を示すフローチャートである。
図14において、まず、指紋センサ41などを用いることにより、指紋画像データを取得する(ステップS30)。次に、画像二値化部43は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る(ステップS31)。次に、画像細線化部44は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る(ステップS32)。次に、特徴点抽出部45は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する(ステップS33)。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部47は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う(ステップS34)。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部48は、指紋細線化画像の修正を行う(ステップS35)。次に、主距離情報抽出部49は、各特徴点毎に第n次主距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する(ステップS36)。
【0110】
次に、登録指紋情報記憶部51に保存されている主距離情報を読み出す(ステップS37)。そして、登録指紋と入力指紋の全ての特徴点の組み合わせにおいて、隆線接続関係一致度を計算し、それが予め決められた所定値を超える組み合わせの数をカウントする(ステップS38)。なお、第3実施例では、指紋情報に副距離情報がないので、隆線接続関係一致度は、単に同じ次数の主距離が、所定の誤差範囲で一致しているかどうかを示している。
【0111】
次に、登録指紋と入力指紋中に存在する全特徴点数を調べ、同一特徴点数を全特徴点数で規格化し、指紋一致率を算出する(ステップS39)。そして、指紋一致率が所定の値を超えた場合、同一指紋とする(ステップS40)。一方、指紋一致率が所定の値以下の場合、異指紋とする(ステップS41)。
【0112】
このように、登録指紋と入力指紋の特徴点照合において、特徴点の位置・種類・方向を照合する代わりに、特徴点と隆線との接続関係を照合することにより、皮膚の伸びや縮みや回転に影響されることなく、正しい特徴点照合を達成することができる。
【0113】
また、隆線接続関係情報を特徴点間の道のりで表現することにより、一つの特徴点の周辺の隆線構造を簡単に表現することができ、その照合もグラフ理論などを必要とせずに簡単に達成することができる。
【0114】
さらに、隆線接続関係情報を表現するものとして、投影特徴点の概念を新たに導入し、特徴点と投影特徴点との間の道のりで隆線構造を表現することにより、より詳細な隆線構造を簡単に表現することができる。また、その照合も簡単に達成することができる。
【0115】
なお、指紋中心座標、各特徴点の座標、種類、方向を指紋情報に付け加え、指紋照合の高速化、精度の向上化を図ってもよい。例えば、指紋中心座標を用いて、登録指紋と入力指紋間のおおよその位置合わせを行っておく。そして、二つの特徴点間の隆線接続関係情報の照合を行う時、その特徴点の座標が所定の誤差より大きく離れていた場合は、隆線接続関係一致度に関わらず異なる特徴点と判断し、隆線接続関係一致度の計算を省略する。このようにすれば、照合時間の短縮化が図れる。また、二つの特徴点の照合を行う時、特徴点の種類や方向の照合も用いることで精度の高い照合が達成される。
【0116】
図15は、本発明の第4実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。この第4実施例では、指紋登録時に記録する指紋情報を以下の通りとする。
【0117】
1)各特徴点の第n次主距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき、一つの主距離を記録するものとする。
【0118】
2)各特徴点の第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき、一つの副距離を記録するものとする。
【0119】
そして、各特徴点の第n次主距離及び第n次副距離を比較することにより、指紋照合を行う。
図15において、指紋センサ61は、人間または動物の指から指紋画像データを採取する。画像記憶部62は、指紋センサ61により採取された指紋画像データを保持したり、画像処理を行った画像データを保持したりする。画像二値化部63は、画像記憶部62に格納されている多値画像を二値画像に変換する。画像細線化部64は、画像二値化部63で二値化された二値画像を細線化し、指紋隆線の細線画像データを生成する。特徴点抽出部65は、指紋細線画像より特徴点位置を検出し、その結果を特徴点・投影特徴点位置記憶部66に保持する。特徴点・投影特徴点位置記憶部66は、特徴点抽出部65で抽出された特徴点位置を保持するとともに、投影特徴点生成部69で生成された投影特徴点の位置情報を記憶する。誤特徴点除去部67は、指紋細線画像と抽出された特徴点から誤特徴点を検出することにより、特徴点・投影特徴点位置記憶部66から誤特徴点情報を取り除く。また、指紋細線画像修正部68に誤特徴点情報を伝達する。指紋細線画像修正部68は、誤特徴点除去部67から送られた誤特徴点情報により、指紋細線画像の修正を行う。
【0120】
投影特徴点生成部69は、誤特徴点が除かれた修正指紋細線画像と特徴点位置とから全特徴点に関する投影特徴点を生成する。主距離・副距離情報抽出部70は、画像記憶部62に保持されている指紋細線画像と特徴点・投影特徴点位置記憶部66に保持されている特徴点・投影特徴点位置から、各特徴点の隆線接続関係情報を取得し、指紋情報記憶部71に出力する。
【0121】
指紋情報記憶部71は、主距離・副距離情報抽出部70で抽出された各特徴点及び投影特徴点の隆線接続関係情報を記憶する。登録指紋情報記憶部72は、指紋照合装置に登録された指紋の指紋情報を保持する。指紋照合部73は、入力指紋より得られた指紋情報と登録指紋情報記憶部72に記憶されている登録指紋の指紋情報とを照合し、指紋照合結果を照合結果表示部74に伝達する。照合結果表示部74は、ディスプレイや音声などで指紋照合装置利用者に指紋照合結果を伝達する。
【0122】
図16は、端点を基準とした時の副距離の算出方法を説明する図である。
図16において、指紋画像から隆線R51〜R59が抽出され、端点P51が隆線R51上に存在し、分岐点P53が隆線R52、R53上に存在し、端点P54が隆線R54上に存在し、分岐点P55が隆線R54、R55上に存在し、分岐点P57が隆線R56、R57上に存在し、端点P58が隆線R58上に存在し、端点P59が隆線R59上に存在している。なお、端点P51、P54、P58、P59及び分岐点P53、P55、P57は、指紋の特徴点に対応している。
【0123】
また、端点P54を投影することにより、投影特徴点Q54が隆線R53上に生成され、投影特徴点Q54’が隆線R52上に生成され、投影特徴点Q54’’が隆線R56上に生成され、投影特徴点Q54’’’が隆線R58上に生成されている。
端点P51を投影することにより、投影特徴点Q51が隆線R52上に生成され、分岐点P53を投影することにより、投影特徴点Q53が隆線R51上に生成されるとともに、投影特徴点Q53’が隆線R54上に生成され、分岐点P55を投影することにより、投影特徴点Q55が隆線R52上に生成されるとともに、投影特徴点Q55’が隆線R56上に生成され、分岐点P57を投影することにより、投影特徴点Q57が隆線R53上に生成されるとともに、投影特徴点Q57’が隆線R58上に生成され、端点P58を投影することにより、投影特徴点Q58が隆線R56上に生成されるとともに、投影特徴点Q58’が隆線R59上に生成され、端点P59を投影することにより、投影特徴点Q59が隆線R58上に生成されている。
【0124】
ここで、端点P54に注目した場合の道のりとして、端点P54と投影特徴点Q53’との間の道のり(第0次副距離)、投影特徴点Q54と投影特徴点Q57との間の道のり(第1次副距離)、投影特徴点Q54’と投影特徴点Q51との間の道のり(第2次副距離)、投影特徴点Q54’’と投影特徴点Q58との間の道のり(−1次副距離)及び投影特徴点Q54’’’と投影特徴点Q57’との間の道のり(−2次副距離)が算出される。
【0125】
なお、第0次副距離は、注目特徴点と隆線を介してそれに接続している投影特徴点までの道のりを表す。第n次副距離(nは、0以外の整数)は、第n次主距離と同様に、n本隣にある隆線に注目特徴点を投影し、その投影点を道のり計測起点として、その隆線上に存在する他の投影特徴点までの道のりを表す。次数nは、プラス/マイナスの両方の値を取ることができる。
【0126】
図17は、分岐点を基準とした時の副距離の算出方法を説明する図である。
図17において、指紋画像から隆線R61〜R70が抽出され、端点P61が隆線R61上に存在し、分岐点P63が隆線R62、R63上に存在し、分岐点P64が隆線R64、R65上に存在し、分岐点P65が隆線R64、R66上に存在し、端点P66、P67が隆線R66上に存在し、分岐点P68が隆線R67、R68上に存在し、端点P69が隆線R69上に存在し、端点P70が隆線R70上に存在している。なお、端点P61、P66、P67、P69、P70及び分岐点P63、P64、P65、P68は、指紋の特徴点に対応している。
【0127】
また、分岐点P65を投影することにより、投影特徴点Q65が隆線R63上に生成され、投影特徴点Q65’が隆線R62上に生成され、投影特徴点Q65’’が隆線R67上に生成され、投影特徴点Q65’’’が隆線R69上に生成されている。
【0128】
端点P61を投影することにより、投影特徴点Q61が隆線R62上に生成され、分岐点P63を投影することにより、投影特徴点Q63が隆線R61上に生成されるとともに、投影特徴点Q63’が隆線R64上に生成され、分岐点P64を投影することにより、投影特徴点Q64が隆線R62上に生成されるとともに、投影特徴点Q64’が隆線R66上に生成され、端点P66を投影することにより、投影特徴点Q66が隆線R63上に生成されるとともに、投影特徴点Q66’が隆線R67上に生成され、端点P67を投影することにより、投影特徴点Q67が隆線R65上に生成されるとともに、投影特徴点Q67’が隆線R674上に生成され、分岐点P68を投影することにより、投影特徴点Q68が隆線R66上に生成されるとともに、投影特徴点Q68’が隆線R69上に生成され、端点P69を投影することにより、投影特徴点Q69が隆線R67上に生成されるとともに、投影特徴点Q69’が隆線R70上に生成され、端点P70を投影することにより、投影特徴点Q70が隆線R69上に生成されている。
【0129】
ここで、分岐点P65に注目した場合の道のりとして、分岐点P65と投影特徴点Q63’との間の道のり(第0次副距離)、分岐点P65と投影特徴点Q64’との間の道のり(第0次副距離)、分岐点P65と投影特徴点Q68との間の道のり(第0次副距離)、投影特徴点Q65と投影特徴点Q66との間の道のり(第1次副距離)、投影特徴点Q65’と投影特徴点Q61との間の道のり(第2次副距離)、投影特徴点Q65’’と投影特徴点Q69との間の道のり(−1次副距離)及び投影特徴点Q65’’’と投影特徴点Q68’との間の道のり(−2次副距離)が算出される。
図18は、図15の指紋照合装置の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【0130】
図18において、まず、指紋センサ61などを用いることにより、指紋画像データを取得する(ステップS51)。次に、画像二値化部63は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る(ステップS52)。次に、画像細線化部64は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る(ステップS53)。次に、特徴点抽出部65は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する(ステップS54)。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部67は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う(ステップS55)。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部68は、指紋細線化画像の修正を行う(ステップS56)。
【0131】
次に、投影特徴点生成部69は、特徴点抽出部65で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する(ステップS57)。次に、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する(ステップS58)。この主距離・副距離情報を指紋情報として、登録指紋情報記憶部72に保存する(ステップS59)。
【0132】
図19は、図15の指紋照合装置において特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
図19において、特徴点を道のり計測開始位置に設定し(ステップS61)、計測値Lengthを0に設定する(ステップS62)。
【0133】
次に、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進み(ステップS63)、他の投影特徴点に到達した場合(ステップS64)、計測値Lengthを第0次副距離とする(ステップS65)。また、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、他の特徴点に到達した場合(ステップS66)、第0次副距離はないものとする(ステップS67)。
【0134】
また、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、画像の端に到達した場合(ステップS68)、第0次副距離情報は、「画像の外」とする(ステップS69)。さらに、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、誤特徴点に到達した場合(ステップS70)、第0次主距離情報は、「不明」とする(ステップS71)。
【0135】
一方、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、以上の条件に当てはまらない場合、計測値Lengthを1つだけ増加させ(ステップS72)、ステップS63に戻ることにより、探索を続ける。
【0136】
図20は、図15の指紋照合装置において投影特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
図20において、注目特徴点からn本目の隆線上への投影特徴点を道のり計測開始位置に設定し(ステップS81)、計測値Lengthを0に設定する(ステップS82)。
【0137】
次に、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進み(ステップS83)、他の投影特徴点に到達した場合(ステップS84)、計測値Lengthを第n次副距離とする(ステップS85)。また、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、他の特徴点に到達した場合(ステップS86)、第n次副距離はないものとする(ステップS68)。
【0138】
また、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、画像の端に到達した場合(ステップS88)、第n次副距離情報は、「画像の外」とする(ステップS89)。さらに、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、誤特徴点に到達した場合(ステップS90)、第n次副距離情報は、「不明」とする(ステップS91)。
【0139】
一方、細線指紋画像上で隆線上を1画素分だけ進んだ結果、以上の条件に当てはまらない場合、計測値Lengthを1つだけ増加させ(ステップS92)、ステップS83に戻ることにより、探索を続ける。
【0140】
図21は、図15の指紋照合装置の指紋照合処理を示すフローチャートである。
図21において、まず、指紋センサ61などを用いることにより、指紋画像データを取得する(ステップS101)。次に、画像二値化部63は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る(ステップS102)。次に、画像細線化部64は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る(ステップS103)。次に、特徴点抽出部65は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する(ステップS104)。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部67は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う(ステップS105)。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部68は、指紋細線化画像の修正を行う(ステップS106)。次に、投影特徴点生成部69は、特徴点抽出部65で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する(ステップS107)。次に、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する(ステップS108)。
【0141】
次に、登録指紋情報記憶部72に保存されている主距離・副距離情報を読み出す(ステップS109)。そして、登録指紋と入力指紋の全ての特徴点の組み合わせにおいて、隆線接続関係一致度を計算し、それが予め決められた所定値を超える組み合わせの数をカウントする(ステップS110)。第4実施例では、指紋情報に主距離・副距離情報の両方を用いているので、各特徴点の種類(端点/分岐点)の検出が不安定な場合でも、特徴点毎の照合を行うことができる。
【0142】
次に、登録指紋と入力指紋中に存在する全特徴点数を調べ、同一特徴点数を全特徴点数で規格化し、指紋一致率を算出する(ステップS111)。指紋一致率が所定の値を超えた場合、同一指紋とする(ステップS112)。一方、指紋一致率が所定の値以下の場合、異なる指紋とする(ステップS113)。
【0143】
このように、登録指紋と入力指紋の特徴点照合において、特徴点の位置・種類・方向の照合を行う代わりに、投影特徴点と隆線との接続関係を照合することにより、皮膚の伸び縮みや回転に影響されることなく、正しい特徴点照合が達成される。また、投影特徴点の概念を導入することで、照合対象の特徴点に接続している隆線の構造ではなく、その隆線の周辺の隆線構造の照合を達成することができる。
【0144】
また、特徴点と投影特徴点との道のりで隆線接続関係情報を表現することにより、特徴点の周辺の隆線構造を簡単に表現することができ、その照合も簡単に達成することができる。
【0145】
さらに、一つの特徴点の隆線接続関係情報をその特徴点の投影特徴点と他の特徴点の投影特徴点との間の道のりで表現することにより、特徴点に接続している隆線の隆線構造ではなく、周辺の広範囲な隆線構造を簡単に表現することができ、その照合も簡単に達成される。
【0146】
なお、指紋中心座標、各特徴点の座標・種類、方向を指紋情報に付け加え、指紋照合の高速化、精度の向上化を図ってもよい。すなわち、指紋中心座標を用いて、登録指紋と入力指紋間のおおよその位置合わせを行っておく。そして、二つの特徴点間の隆線接続関係情報の照合を行うとき、その特徴点の座標が所定の誤差より大きく離れていた場合は、隆線接続関係一致度に関わらず異なる特徴点と判断し、隆線接続関係一致度の計算を省略する。このようにすれば、照合時間の短縮化が図れる。また、二つの特徴点の照合を行う時、特徴点の種類や方向の照合も用いることで精度の高い照合が達成される。さらに、隆線接続関係情報にその隆線接続関係に用いた接続先投影特徴点の投影元特徴点の種類の照合を加えることによって、より精度の高い照合が達成される。
【0147】
隆線接続関係情報の副距離を用いる代わりに、第n次投影特徴点数を用いてもよい。投影特徴点数を用いることにより、隆線接続関係情報の表現が簡単になり、登録指紋データの容量を小さくすることができる。
【0148】
次に、図15の指紋照合装置の指紋照合方法について、より詳細に説明する。
同一特徴点であれば、それぞれの特徴点における第n次主距離・副距離は一致するはずである。そこで、各主距離同士と副距離同士が一致した場合、隆線接続関係一致度の評価点を高くする。すなわち、一つの主距離同士の一致、副距離同士の一致の配点を高く設定する。
【0149】
一方、指紋画像の採取時の指の押圧の差により、近傍の特徴点の種類が異なって検出される場合がある。この場合、特徴点の主距離が副距離になったり、副距離が主距離になったりする。
【0150】
図22は、特徴点の種類が変化した時の主距離と副距離の変化を説明する図である。
図22(a)において、指紋画像から隆線R81〜R84が抽出され、端点P81が隆線R81上に存在し、分岐点P82が隆線R82、R83上に存在し、分岐点P83が隆線R83、R84上に存在している。なお、端点P81及び分岐点P82、P83は、指紋の特徴点に対応している。また、端点P81を投影することにより、投影特徴点Q81が隆線R82上に生成されている。
【0151】
ここで、分岐点P82に注目した場合の道のりとして、分岐点P82と分岐点P83との間の道のり(第0次主距離)、分岐点P82と投影特徴点Q81との間の道のり(第0次副距離)が登録されているものとする。
【0152】
そして、この登録されている指紋と同一の指紋について、指紋採取時の押圧の差などにより、図22(b)の指紋画像が得られたものとする。
図22(b)において、隆線R81が隆線R81’に変形し、隆線R81’が隆線R82にくっつくことにより、端点P81が分岐点P81’に変化している。また、隆線R84が隆線R84’に変形し、隆線R84’が隆線R83と分離することにより、分岐点P83が端点P83’に変化し、端点P83’を投影した投影特徴点Q83が隆線R83上に生成されている。
【0153】
このため、分岐点P82に注目した場合の道のりとして、分岐点P82と投影特徴点Q83との間の道のり(第0次副距離)、分岐点P82と分岐点P81’との間の道のり(第0次主距離)が算出される。
【0154】
このように、近傍の特徴点の種類が異なって検出されると、特徴点の主距離が副距離になったり、副距離が主距離になったりする。そこで、主距離と副距離が一致する場合も、隆線接続関係一致度の評価点を高くする。ただし、主距離同士、副距離同士が一致した場合よりは配点を低くする。このことにより、指紋画像の採取時の指の押圧の差などにより、近傍の特徴点の種類が異なって検出された場合においても、指紋照合を的確に行うことが可能となる。
【0155】
図23は、接続先特徴点の種類の誤検出を考慮した指紋照合処理の一例を示すフローチャートである。なお、H0、H1、H2は、隆線接続関係一致度の評価する際に配点で、H0>H1>H2とする。
【0156】
図23において、まず、隆線接続関係一致度を0に設定し(ステップS121)、照合する主距離及び副距離の次数iを−mに設定する(ステップS122)。
【0157】
次に、登録指紋と入力指紋との間で、i次の主距離同士が一致し、かつ、副距離同士も一致する場合(ステップS123)、隆線接続関係一致度を配点H0だけ増加させて(ステップS124)、ステップS125に進む、
次に、登録指紋と入力指紋との間で、i次の主距離同士が一致するが、副距離同士は一致しない場合(ステップS127)、隆線接続関係一致度を配点H1だけ増加させて(ステップS128)、ステップS125に進む、
次に、登録指紋と入力指紋との間で、i次の副距離同士が一致するが、主距離同士は一致しない場合(ステップS129)、隆線接続関係一致度を配点H1だけ増加させて(ステップS128)、ステップS125に進む、
次に、登録指紋のi次の主距離と入力指紋のi次の副距離が一致する場合(ステップS130)、隆線接続関係一致度を配点H2だけ増加させて(ステップS131)、ステップS132に進む、
次に、登録指紋のi次の副距離と入力指紋のi次の主距離が一致する場合(ステップS132)、隆線接続関係一致度を配点H2だけ増加させて(ステップS133)、ステップS125に進む、
次に、照合する主距離及び副距離の次数iを1だけ増加させ(ステップS125)、照合する主距離及び副距離の次数iがmを越えるまで(ステップS126)、以上の処理を繰り返す。
【0158】
このように、特徴点の隆線接続関係情報を照合する場合、登録指紋と照合指紋との間で、特徴点と特徴点との間の道のり及び特徴点と投影特徴点との間の道のりを比較することにより、隆線接続関係情報の接続先特徴点/投影特徴点の種類が異なった場合においても、隆線構造の照合を正確に行うことが可能となる。
【0159】
また、特徴点の隆線接続関係情報の照合する場合、登録指紋と照合指紋との間で、接続元投影特徴点(道のり計測起点)と特徴点との間の道のり及び接続元投影特徴点(道のり計測起点)と投影特徴点との間の道のりを比較することにより、隆線接続関係情報の接続先特徴点/投影特徴点の種類が異なった場合においても、隆線構造の照合を正確に行うことが可能となる。
【0160】
なお、近傍の特徴点の種類が異なって検出される場合のほか、注目特徴点の種類が異なって検出される場合もある。この場合、登録指紋と照合指紋との間で各々の特徴点における主距離・副距離の次数がずれるようになる。
【0161】
図24は、端点を分岐点と間違って検出した時の次数の変化を説明する図である。
図24(a)において、指紋画像から隆線R51〜R58が抽出され、分岐点P53が隆線R52、R53上に存在し、端点P54が隆線R54上に存在し、分岐点P55が隆線R54、R55上に存在し、分岐点P57が隆線R56、R57上に存在し、端点P58が隆線R58上に存在している。なお、端点P54、P58及び分岐点P53、P55、P57は、指紋の特徴点に対応している。
【0162】
また、端点P54を投影することにより、投影特徴点Q54が隆線R53上に生成され、投影特徴点Q54’が隆線R52上に生成され、投影特徴点Q54’’が隆線R56上に生成され、投影特徴点Q54’’’が隆線R58上に生成されている。
【0163】
ここで、端点P54に注目した場合の道のりとして、端点P54と分岐点P55との間の道のり(第0次主距離)、投影特徴点Q54と分岐点P53との間の道のり(第1次主距離)、投影特徴点Q54’と分岐点P53との間の道のり(第2次主距離)、投影特徴点Q54’’と分岐点P57との間の道のり(−1次主距離)及び投影特徴点Q54’’’と端点P58との間の道のり(−2次主距離)が登録されているものとする。
【0164】
そして、この登録されている指紋と同一の指紋について、指紋採取時の押圧の差などにより、図24(b)の指紋画像が得られたものとする。
図24(b)において、隆線R54が隆線R54’に変形し、隆線R54’が隆線R53にくっつくことにより、端点P54が分岐点P54’に変化している。
【0165】
このため、分岐点P54’に注目した場合の道のりとして、分岐点P54’と分岐点P53との間の道のり(第0次主距離)、分岐点P54’と分岐点P55との間の道のり(第0次主距離)、投影特徴点Q54’と分岐点P53との間の道のり(第1次主距離)、投影特徴点Q54’’と分岐点P57との間の道のり(−1次主距離)及び投影特徴点Q54’’’と端点P58との間の道のり(−2次主距離)が算出される。
【0166】
そこで、特徴点照合を行う二つの特徴点のうち、端点が隣の隆線にくっついて分岐点になった場合、照合する二つの特徴点の種類を強制的に一致させ、隆線接続関係一致度を求める。
【0167】
まず、端点がプラス1次側の隆線にくっついた場合を考える。この場合、隆線接続関係情報のうち、主距離/副距離の正の次数は全て1つずつ下がる。
そこで、端点側の主距離/副距離の正の次数を全て1つずつ下げ、特徴点の種類が同じ場合と同じ方法で、隆線接続関係一致度を求める。
【0168】
次に、端点がマイナス1次側の隆線にくっついている場合を考える。この場合、端点側の主距離/副距離の負の次数は全て1つずつ上がる。そこで、端点側の主距離/副距離の負の次数を全て1つずつ上げ、隆線接続関係一致度を求める。この求めた二つの隆線接続関係一致度の中で、高い方を最終的な隆線接続関係一致度とする。
【0169】
図25は、接続元特徴点の種類の誤検出を考慮した指紋照合処理の一例を示すフローチャートである。
図25において、まず、特徴点の種類が端点を示す特徴点をTとする(ステップS141)。
【0170】
次に、特徴点Tの1次以上の主距離と副距離の全ての次数を1つだけ下げる(ステップS142)。例えば、1次の主距離及び副距離の次数を0次とし、2次の主距離及び副距離の次数を1次とする。
【0171】
次に、特徴点の種類が同じ場合の方法で、隆線接続関係一致度W1を求め(ステップS143)、特徴点Tの主距離と副距離の次数を元に戻す(ステップS134)。
【0172】
次に、特徴点Tの−1次以下の主距離と副距離の全ての次数を1つだけ上げる(ステップS145)。例えば、−1次の主距離及び副距離の次数を0次とし、−2次の主距離及び副距離の次数を−1次とする。
【0173】
次に、特徴点の種類が同じ場合の方法で、隆線接続関係一致度W2を求め(ステップS146)、特徴点Tの主距離と副距離の次数を元に戻す(ステップS147)。
【0174】
次に、隆線接続関係一致度W1と隆線接続関係一致度W2のうち、大きい方の値を、特徴点照合における隆線接続関係一致度とする(ステップS148)。
このように、隆線接続関係情報の照合する場合、照合対象の特徴点とその特徴点の投影特徴点のと間に存在する隆線の本数を±1づつ増減させて照合を行うことにより、登録指紋と入力指紋との間で特徴点の種類が異なった場合においても、隆線構造の照合を正確に行うことが可能となる。
【0175】
次に、本発明の第5実施例に係わる指紋照合装置について説明する。
この第5実施例では、指紋登録時に記録する指紋情報を以下の通りにする。
1)各特徴点の第n次主距離(n=−m,−1,0,1,…,m)と注目特徴点/計測起点から他の特徴点への方向情報
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき少なくとも一つ以上の主距離を記録するものとする。
【0176】
2)各特徴点の第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,m)と注目特徴点/計測起点から投影特徴点への方向情報
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき少なくとも一つ以上の副距離を記録するものとする。
【0177】
そして、各特徴点の第n次主距離、第n次副距離及び方向情報を比較することにより、指紋照合を行う。
図26は、主距離に方向情報を付加した例を説明する図である。
【0178】
図26において、指紋画像から隆線R91〜R101が抽出され、分岐点P92が隆線R92、R93上に存在し、分岐点P93が隆線R93、R94上に存在し、端点P95が隆線R95上に存在し、分岐点P96が隆線R95、R96上に存在し、分岐点P97が隆線R97、R98上に存在し、端点P99、P100が隆線R99上に存在し、分岐点P101が隆線R100、R101上に存在している。なお、端点P95、P99、P100及び分岐点P92、P93、P96、P97、P101は、指紋の特徴点に対応している。
【0179】
また、端点P95を投影することにより、投影特徴点Q95が隆線R94上に生成され、投影特徴点Q95’が隆線R93上に生成され、投影特徴点Q95’’が隆線R97上に生成され、投影特徴点Q95’’’が隆線R99上に生成されている。
【0180】
ここで、端点P95に注目した場合の主距離として、端点P95と分岐点P96との間の道のり(第0次主距離)が算出される。
投影特徴点Q95を起算点とした場合、左方向の道のりとして、投影特徴点Q95と分岐点P93との間の道のり(第1次主距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。また、右方向には、画像端まで特徴点が存在しないため、右方向に進んだ場合、画像端まで存在しないという情報が道のり情報に付加される。
【0181】
投影特徴点Q95’を起算点とした場合、左方向の道のりとして、投影特徴点Q95’と分岐点P93との間の道のり(第2次主距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。また、右方向の道のりとして、投影特徴点Q95’と分岐点P92との間の道のり(第2次主距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。
【0182】
投影特徴点Q95’’を起算点とした場合、左方向には、画像端まで特徴点が存在しないため、左方向に進んだ場合、画像端まで存在しないという情報が道のり情報に付加される。また、右方向の道のりとして、投影特徴点Q95’’と分岐点P97との間の道のり(−1次主距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。
【0183】
投影特徴点Q95’’’を起算点とした場合、左方向の道のりとして、投影特徴点Q95’’’と端点P99との間の道のり(−2次主距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。また、右方向の道のりとして、投影特徴点Q95’’’と端点P100との間の道のり(−2次主距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。
【0184】
なお、隆線構造によっては、主距離が求められない場合がある。主距離が求められない理由として、以下のものがある。
(1)注目特徴点/計測起点から指紋画像の端まで、特徴点が存在しない。
(2)隆線構造が正しく求められていないため、明らかに正しく主距離が求められない。これは、隆線に亀裂が多発していたり、癒着の影響で隆線が網の目状になっている場合に発生する。
【0185】
これらの原因で主距離が求められない場合もその理由を隆線接続関係情報とする。
図27は、副距離に方向情報を付加した例を説明する図である。
【0186】
図27において、指紋画像から隆線R91〜R101が抽出され、端点P91が隆線R91上に存在し、分岐点P92が隆線R92、R93上に存在し、分岐点P93が隆線R93、R94上に存在し、端点P95が隆線R95上に存在し、分岐点P96が隆線R95、R96上に存在し、分岐点P97が隆線R97、R98上に存在し、端点P99が隆線R99上に存在し、分岐点P101が隆線R100、R101上に存在し、端点P102が隆線R100上に存在している。なお、端点P91、P95、P99、P102及び分岐点P92、P93、P96、P97、P101は、指紋の特徴点に対応している。
【0187】
また、端点P95を投影することにより、投影特徴点Q95が隆線R94上に生成され、投影特徴点Q95’が隆線R93上に生成され、投影特徴点Q95’’が隆線R97上に生成され、投影特徴点Q95’’’が隆線R99上に生成されている。
【0188】
端点P91を投影することにより、投影特徴点Q91が隆線R93上に生成され、分岐点P93を投影することにより、投影特徴点Q93が隆線R91上に生成されるとともに、投影特徴点Q93’が隆線R95上に生成され、分岐点P96を投影することにより、投影特徴点Q96が隆線R93上に生成されるとともに、投影特徴点Q96’が隆線R97上に生成され、分岐点P97を投影することにより、投影特徴点Q97が隆線R94上に生成されるとともに、投影特徴点Q97’が隆線R99上に生成され、端点P99を投影することにより、投影特徴点Q99が隆線R97上に生成されるとともに、投影特徴点Q99’が隆線R100上に生成され、端点P102を投影することにより、投影特徴点Q102が隆線R99上に生成されている。
【0189】
ここで、端点P95に注目した場合の副距離として、端点P95と投影特徴点Q93’との間の道のり(第0次副距離)が算出される。なお、この第0次副距離として、端点P95を基点として左方向に隆線R95を探索し、最初にぶつかった投影特徴点Q93’との間の道のりを算出するようにしている。
【0190】
投影特徴点Q95を起算点とした場合、左方向には、投影特徴点Q95と分岐点P93との間に他の投影特徴点が存在しないため、左方向に進んだ場合、副距離が存在しないという情報が道のり情報に付加される。ここで、分岐点P93にぶつかった時に、それ以降の探索を打ち切るのは、分岐点P93からの探索方向が複数あるため、どの方向に進めばよいかが不明だからである。なお、分岐点P93からの探索方向を予め決めておき、それ以降の探索を続行することにより、投影特徴点を探索するようにしても良い。また、右方向の道のりとして、投影特徴点Q95と投影特徴点Q97との間の道のり(第1次副距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。
【0191】
投影特徴点Q95’を起算点とした場合、左方向には、投影特徴点Q95’と分岐点P93との間に他の投影特徴点が存在しないため、左方向に進んだ場合、副距離が存在しないという情報が道のり情報に付加される。また、右方向の道のりとして、投影特徴点Q95’と投影特徴点Q91との間の道のり(第2次副距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。
【0192】
投影特徴点Q95’’を起算点とした場合、左方向の道のりとして、投影特徴点Q95’’と投影特徴点Q99との間の道のり(−1次副距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。なお、この−1次副距離として、投影特徴点Q95’’を基点として左方向に隆線R97を探索し、最初にぶつかった投影特徴点Q99との間の道のりを算出するようにしている。また、右方向には、投影特徴点Q95’’と分岐点P97との間に他の投影特徴点が存在しないため、右方向に進んだ場合、副距離が存在しないという情報が道のり情報に付加される。
【0193】
投影特徴点Q95’’’を起算点とした場合、左方向の道のりとして、投影特徴点Q95’’’と投影特徴点Q101との間の道のり(−2次副距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。また、右方向の道のりとして、投影特徴点Q95’’’と投影特徴点Q97’との間の道のり(−2次副距離)が算出され、道のり情報に方向情報が付加される。
【0194】
このように、道のり情報に方向情報を付加することにより、同一次数の隆線において、複数の道のり情報を持つことが可能となる。
なお、隆線構造によっては、副距離が求められない場合がある。副距離が求められない理由に、
(1)注目特徴点または計測起点から他の特徴点までの道のり上に投影特徴点が存在しない。
【0195】
(2)隆線構造が正しく求められていないため、明らかに正しく副距離が求められない。これは、隆線に亀裂が多発していたり、癒着の影響で隆線が網の目状になっている場合に発生する。
【0196】
これらの原因で副距離が求められない場合もその理由を隆線接続関係情報とする。
指紋登録時は、上記の隆線接続関係情報を抽出し、指紋登録データとして記録する。
【0197】
また、主距離・副距離の方向情報を隆線接続関係情報に用いた場合は、その一致も確認する。方向情報が一致した場合のみ配点を与えるものとする。主距離・副距離が、何らかの理由で求められない場合は、その求められない理由が一致した場合も、配点を与えるようにしてもよい。以上のようにして、各n次における主距離・副距離の一致具合を調べ、隆線接続関係一致度を求めることが可能となる。
【0198】
以下、第5実施例の指紋登録方法について説明する。
図15において、まず、指紋センサ61などを用いることにより、指紋画像データを取得する。次に、画像二値化部63は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る。次に、画像細線化部64は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る。次に、特徴点抽出部65は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部67は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部68は、指紋細線化画像の修正を行う。
【0199】
次に、投影特徴点生成部69は、特徴点抽出部65で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する。次に、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する。ここで、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点の1つの次数について、複数の主距離・副距離を算出することができる。例えば、図26に示すように、各主距離・副距離について、1つ、または2つの主距離情報と副距離情報が算出される。また、各主距離情報・副距離情報は、道のり計測起点から接続先特徴点・投影特徴点の方向情報も併せ持つ。そして、この主距離・副距離情報及び方向情報を指紋情報として、登録指紋情報記憶部72に保存する。
【0200】
次に、第5実施例の指紋照合方法について説明する。この第5実施例では、1つの次数について、複数の主距離・副距離の照合が行われる。
図15において、まず、指紋センサ61などを用いることにより、指紋画像データを取得する。次に、画像二値化部63は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る。次に、画像細線化部64は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る。次に、特徴点抽出部65は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部67は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部68は、指紋細線化画像の修正を行う。次に、投影特徴点生成部69は、特徴点抽出部65で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する。次に、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)及び方向を計測する。
【0201】
次に、登録指紋情報記憶部72に保存されている主距離・副距離情報及び方向情報を読み出す。そして、登録指紋と入力指紋の全ての特徴点の組み合わせにおいて、隆線接続関係一致度を計算し、それが予め決められた所定値を超える組み合わせの数をカウントする。ここで、隆線接続関係一致度の計算は、複数ある主距離/副距離の内、同じ方向情報を持つものを比較対象として算出する。なお、各特徴点の種類(端点・分岐点)が登録指紋と入力指紋との間で異なって検出されることを想定した隆線接続関係一致度の計算も行うようにしてもよい。
【0202】
次に、登録指紋と入力指紋中に存在する全特徴点数を調べ、同一特徴点数を全特徴点数で規格化し、指紋一致率を算出する。指紋一致率が所定の値を超えた場合、同一指紋とする。一方、指紋一致率が所定の値以下の場合、異なる指紋とする。
【0203】
このように、接続元特徴点、または、接続元投影特徴点から接続先投影特徴点への方向情報を、隆線接続関係情報に付加することにより、複数の接続先投影特徴点の情報を持つことができ、広範囲で精度の高い特徴点照合が達成される。
【0204】
なお、指紋中心座標、各特徴点の座標・種類・方向を指紋情報に付け加え、指紋照合の高速化、精度の向上化を図ってもよい。すなわち、指紋中心座標を用いて、登録指紋と入力指紋間のおおよその位置合わせを行っておく。そして、2つの特徴点間の隆線接続関係情報の照合を行う時、その特徴点の座標が所定の誤差より大きく離れていた場合は、隆線接続関係一致度に関わらず異なる特徴点と判断し、隆線接続関係一致度の計算を省略する。このようにすれば、照合時間の短縮化が図れる。また、二つの特徴点の照合を行う時、特徴点の種類や方向の照合も用いることにより、精度の高い照合が達成される。 隆線接続関係情報の副距離の代わりに、第n次投影特徴点数を用いてもよい。投影特徴点数を用いれば、登録指紋データの容量も小さくすることができる。
【0205】
次に、本発明の第6実施例に係わる指紋照合装置について説明する。
この第6実施例では、指紋登録時に記録する指紋情報を以下の通りとする。
1)各特徴点の第n次主距離(n=−m,…,−1,0,1,m)
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき一つの主距離を記録するものとする。
【0206】
2)各特徴点の第n次主距離に用いた接続先特徴点自身の隆線接続関係情報
3)各特徴点の第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,m)
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき一つの副距離を記録するものとする。
【0207】
4)各特徴点の第n次副距離に用いた接続先投影特徴点の投影元特徴点自身の隆線接続情報
そして、各特徴点の第n次主距離、第n次副距離、接続先特徴点の隆線接続関係情報及び投影元特徴点の隆線接続情報を比較することにより、指紋照合を行う。
【0208】
以下、第6実施例の指紋登録方法について説明する。
図15において、まず、指紋センサ61などを用いることにより、指紋画像データを取得する。次に、画像二値化部63は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る。次に、画像細線化部64は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る。次に、特徴点抽出部65は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部67は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部68は、指紋細線化画像の修正を行う。
【0209】
次に、投影特徴点生成部69は、特徴点抽出部65で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する。次に、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する。ここで、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点ごとに第n次主距離、副距離を算出するとともに、その主距離・副距離の接続先特徴点/投影特徴点自身の隆線接続関係も算出することができる。そして、この主距離・副距離情報及びその主距離・副距離の接続先特徴点/投影特徴点自身の隆線接続関係を指紋情報として、登録指紋情報記憶部72に保存する。
【0210】
次に、第6実施例の指紋照合方法について説明する。この第6実施例では、2段階の隆線接続関係情報の照合が行われる。第1段階は、接続元特徴点/投影特徴点についての隆線接続関係の照合、第2段階は、接続先特徴点/投影特徴点についての隆線接続関係の照合である。
【0211】
図15において、まず、指紋センサ61などを用いることにより、指紋画像データを取得する。次に、画像二値化部63は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る。次に、画像細線化部64は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る。次に、特徴点抽出部65は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部67は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部68は、指紋細線化画像の修正を行う。次に、投影特徴点生成部69は、特徴点抽出部65で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する。次に、主距離・副距離情報抽出部70は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)及びその主距離・副距離の接続先特徴点/投影特徴点自身の隆線接続関係を計測する。
【0212】
次に、登録指紋情報記憶部72に保存されている主距離・副距離情報及びその主距離・副距離の接続先特徴点/投影特徴点自身の隆線接続関係を読み出す。そして、登録指紋と入力指紋の全ての特徴点の組み合わせにおいて、隆線接続関係一致度を計算し、それが予め決められた所定値を超える組み合わせの数をカウントする。ここで、接続元特徴点/投影特徴点の隆線接続関係情報に加えて、接続先特徴点/投影特徴点の隆線接続関係情報も一致した場合、接続元特徴点/投影特徴点の隆線接続関係情報だけが一致した場合に比べて、隆線接続関係一致度の値をより高く設定する。なお、各特徴点の種類(端点・分岐点)が登録指紋と入力指紋との間で異なって検出されることを想定した隆線接続関係一致度の計算も行うようにしてもよい。
【0213】
次に、登録指紋と入力指紋中に存在する全特徴点数を調べ、同一特徴点数を全特徴点数で規格化し、指紋一致率を算出する。指紋一致率が所定の値を超えた場合、同一指紋とする。一方、指紋一致率が所定の値以下の場合、異なる指紋とする。
【0214】
このように、主距離・副距離の接続先の特徴点/投影特徴点自身の隆線接続関係も照合対象に加えることにより、1組の特徴点の照合を行うだけで、広範囲な隆線構造の照合を達成することができる。また、接続先投影特徴点の投影元特徴点自身の隆線接続関係情報を、接続元特徴点の隆線接続関係情報に加えることによって、広範囲な隆線構造の照合を簡単に達成することができる。
【0215】
また、指紋中心座標、各特徴点の座標・種類・方向を指紋情報にさらに付け加え、指紋照合の高速化、精度の向上化を図ってもよい。指紋中心座標を用いて、登録指紋と入力指紋間のおおよその位置合わせを行っておく。そして、二つの特徴点間の隆線接続関係情報の照合を行う時、その特徴点の座標が所定の誤差より大きく離れていた場合は、隆線接続関係一致度に関わらず異なる特徴点と判断し、隆線接続関係一致度の計算を省略する。このようにすれば、照合時間の短縮化が図れる。また、二つの特徴点の照合を行う時、特徴点の種類や方向の照合も用いることにより、精度の高い照合が達成される。
【0216】
隆線接続関係情報の副距離の代わりに、第n次投影特徴点数を用いてもよい。投影特徴点数を用いれば、登録指紋データの容量も小さくすることができる。
図28は、本発明の第7実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
【0217】
この第7実施例では、指紋登録時に記録する指紋情報を以下の通りとする。
1)指紋の中心座標
2)各特徴点の種類
3)各特徴点の座標
4)各特徴点の方向
5)各特徴点の第n次主距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき、一つの主距離を記録するものとする。
【0218】
6)各特徴点の第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)
ただし、特徴点で区切られた隆線一つにつき、一つの副距離を記録するものとする。
【0219】
図28において、指紋センサ81は、人間または動物の指から指紋画像データを採取する。画像記憶部82は、指紋センサ81により採取された指紋画像データを保持したり、画像処理を行った画像データを保持したりする。画像二値化部83は、画像記憶部82に格納されている多値画像を二値画像に変換する。画像細線化部84は、画像二値化部83で二値化された二値画像を細線化し、指紋隆線の細線画像データを生成する。特徴点抽出部85は、指紋細線画像より特徴点位置を検出し、その結果を特徴点・投影特徴点位置記憶部86に保持する。特徴点・投影特徴点位置記憶部86は、特徴点抽出部85で抽出された特徴点位置を保持するとともに、投影特徴点生成部89で生成された投影特徴点の位置情報を記憶する。誤特徴点除去部87は、指紋細線画像と抽出された特徴点から誤特徴点を検出することにより、特徴点・投影特徴点位置記憶部86から誤特徴点情報を取り除く。また、指紋細線画像修正部88に誤特徴点情報を伝達する。指紋細線画像修正部88は、誤特徴点除去部87から送られた誤特徴点情報により、指紋細線画像の修正を行う。
【0220】
投影特徴点生成部89は、誤特徴点が除かれた修正指紋細線画像と特徴点位置とから全特徴点に関する投影特徴点を生成する。主距離・副距離情報抽出部90は、画像記憶部82に保持されている指紋細線画像と特徴点・投影特徴点位置記憶部86に保持されている特徴点・投影特徴点位置から、各特徴点の隆線接続関係情報(指紋情報)を取得し、指紋情報記憶部93に出力する。
【0221】
指紋中心位置検出部91は、指紋画像より指紋中心位置を検出する。特徴点情報検出部92は、各特徴点の座標・種類・方向についての特徴点情報を検出する。
【0222】
指紋情報記憶部93は、主距離・副距離情報抽出部90で抽出された各特徴点及び投影特徴点の隆線接続関係情報に加え、各特徴点の座標・種類・方向についての特徴点情報を記憶する。登録指紋情報記憶部94は、指紋照合装置に登録された指紋の指紋情報を保持する。指紋照合部95は、入力指紋より得られた指紋情報と登録指紋情報記憶部94に記憶されている登録指紋の指紋情報とを照合し、指紋照合結果を照合結果表示部96に伝達する。照合結果表示部96は、ディスプレイや音声などで指紋照合装置利用者に指紋照合結果を伝達する。
【0223】
図29(a)は、登録指紋画像を示す図である。
図29(a)において、登録対象となる指紋は、隆線R111〜R120を備えている。ここで、隆線R111は隆線R113と分岐点P111で接続している。隆線R112は隆線R113と分岐点P113で接続し、端点P112で途切れている。隆線R114は隆線R115と分岐点P115で接続し、端点P114で途切れている。隆線R116は隆線R117と分岐点P116で接続している。隆線R117は隆線R118と分岐点P117で接続している。そして、分岐点P111、P113、P115、P116、P117及び端点P112、P114が指紋画像から抽出され、指紋中心C1を基準とした時の位置及び方向が、特徴点の種類とともに登録される。
【0224】
また、分岐点P111、P113、P115、P116、P117及び端点P112、P114についての隆線接続関係や、これらの特徴点及び投影特徴点についての隆線接続関係も登録される。
【0225】
図29(b)は、入力指紋画像を示す図である。
図29(b)において、照合対象となる指紋は、隆線R111’〜R120’を備えている。ここで、隆線R111’は隆線R113’と分岐点P111’で接続している。隆線R112’は隆線R113’と分岐点P113’で接続し、端点P112’で途切れている。隆線R114’は隆線R115’と分岐点P11’5で接続し、端点P114’で途切れている。隆線R116’は隆線R117’と分岐点P116’で接続している。隆線R117’は隆線R118’と分岐点P117で接続している。
【0226】
このように、登録指紋画像の範囲と入力指紋画像の範囲とは異なっていることから、登録指紋画像と入力指紋画像との共有領域100を切り出す。そして、この共有領域100について、指紋照合を行う。
【0227】
すなわち、この共有領域100において、分岐点P111’、P113’、P115’、分岐点P116’、P117’及び端点P112’、P114’が入力指紋画像から抽出され、入力指紋画像から抽出されたこれらの特徴点について、指紋中心C1’を基準とした時の位置及び方向が算出される。
【0228】
また、分岐点P111’、P113’、P115’、P116’、P117’及び端点P112’、P114’についての隆線接続関係や、これらの特徴点及び投影特徴点についての隆線接続関係も算出される。
【0229】
そして、分岐点P111、P113、P115、P116、P117及び端点P112、P114に関する種類・位置・方向及び隆線接続関係が、分岐点P111’、P113’、P115’、P116’、P117’及び端点P112’、P114’に関する種類・位置・方向及び隆線接続関係と一致するかどうかを調べることにより、図29(a)の登録指紋画像と図29(b)の入力指紋画像とを照合する。
【0230】
以下、第7実施例の指紋登録処理を説明する。
図30は、図28の指紋照合装置の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【0231】
図30において、まず、指紋センサ81などを用いることにより、指紋画像データを取得する(ステップS150)。次に、画像二値化部83は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る(ステップS151)。次に、画像細線化部84は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る(ステップS152)。次に、特徴点抽出部85は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する(ステップS153)。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部87は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う(ステップS154)。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部88は、指紋細線化画像の修正を行う(ステップS155)。
【0232】
次に、投影特徴点生成部89は、特徴点抽出部85で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する(ステップS156)。次に、指紋中心位置検出部91は、指紋中心位置を検出する(ステップS157)。次に、特徴点情報検出部92は、各特徴点の特徴点情報(座標・種類・方向)を検出する(ステップS158)。次に、主距離・副距離情報抽出部90は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する(ステップS159)。すなわち、指紋情報は全部で、指紋中心位置情報、各特徴点毎の特徴点情報、各特徴点毎の第n次主距離・副距離情報となる。そして、これらの指紋情報を登録指紋情報記憶部94に保存する(ステップS160)。
【0233】
次に、第7実施例の指紋照合方法について説明する。
図31及び図32は、図28の指紋照合装置の指紋照合処理を示すフローチャートである。
【0234】
図31において、まず、指紋センサ81などを用いることにより、指紋画像データを取得する(ステップS161)。次に、画像二値化部83は、得られた指紋画像を二値化し、指紋二値化画像を得る(ステップS162)。次に、画像細線化部84は、指紋二値化画像を細線化し、指紋細線化画像を得る(ステップS163)。次に、特徴点抽出部85は、指紋細線化画像より、指紋特徴点位置を抽出する(ステップS164)。抽出された指紋特徴点には、一般に誤特徴点が含まれている。そのため、誤特徴点除去部87は、得られた指紋特徴点から誤特徴点の除去を行う(ステップS165)。誤特徴点部分は、指紋細線化画像の誤り(隆線の亀裂や連結)によって生じているので、指紋細線画像修正部88は、指紋細線化画像の修正を行う(ステップS166)。次に、投影特徴点生成部89は、特徴点抽出部85で抽出された全ての特徴点に関する投影特徴点を生成する(ステップS167)。
【0235】
次に、指紋中心位置検出部91は、指紋中心位置を検出する(ステップS168)。次に、特徴点情報検出部92は、各特徴点の特徴点情報(座標・種類・方向)を検出する(ステップS169)。次に、主距離・副距離情報抽出部90は、各特徴点毎に第n次主距離・第n次副距離(n=−m,…,−1,0,1,…,m)を計測する(ステップS170)。
【0236】
次に、登録指紋情報記憶部94に保存されている指紋情報を読み出し(ステップS171)、登録指紋と入力指紋のそれぞれにおいて、指紋中心に近い特徴点を1つずつ選ぶ。そして、選んだ特徴点の位置を一致させることにより、指紋の位置合わせを行う(ステップS172)。ここで、指紋の位置合わせに特徴点を用いるのは、指紋中心は測定の度にずれる場合があるからである。
【0237】
次に、登録指紋と入力指紋との特徴点の全ての組み合わせの中から、特徴点間の距離が所定値以下の特徴点を選択する。そして、選択した特徴点の全ての組み合わせについて、隆線接続関係一致度を計算する(ステップS173)。
【0238】
次に、図32において、隆線接続関係一致度が所定値を超える特徴点対の数を数える(ステップS174)。次に、隆線接続関係一致度が所定値を超えなかった特徴点対に対し、特徴点間の距離が所定値(上記の特徴点間距離による隆線接続関係一致度の計算対象の削減に用いた所定値より小さな値)以下、かつ、特徴点の種類が同じ、かつ、方向の差が所定値以下の条件を満たす特徴点対の数を数える(ステップS175)。次に、登録指紋と入力指紋の共有領域内に存在する全特徴点の数を数える。そして、同一特徴点数と共有領域内の全特徴点数により、登録指紋と入力指紋との指紋一致度を計算する(ステップS176)。
【0239】
指紋一致率が所定値を超えた場合(ステップS177)、登録指紋と入力指紋とは、同一指紋であると判断する(ステップS178)。指紋一致率が所定値を超えない場合、位置合わせの再調整の回数が所定の回数を超えたかどうかを判断する(ステップS179)。そして、位置合わせの再調整の回数が所定の回数を超えた場合、登録指紋と入力指紋は異指紋と判断する(ステップS180)。
【0240】
一方、位置合わせの再調整の回数が所定の回数以下の場合、登録指紋と入力指紋とにおいて、指紋中心に近い特徴点の組を新たに選択することにより、位置合わせに用いる特徴点の組み合わせを変更し、位置合わせを再度行う(ステップS181)。そして、ステップS173に戻り、指紋一致率を再び計算する。
【0241】
なお、隆線接続関係情報の副距離の代わりに、第n次投影特徴点数を用いてもよい。投影特徴点数を用いれば、登録指紋データの容量を小さくすることができる。
【0242】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限定されることなく、本発明の技術的思想の範囲内で他の様々の変更が可能である。例えば、上述した実施例では、指紋照合を例にとって説明したが、血管分布の照合や文字認識などを行う場合に適用してもよい。
【0243】
また、特徴点の種類として、端点と分岐点を例に取って説明したが、隆線が途中で折れ曲がった屈曲点などを特徴点として抽出するようにしてもよい。
また、上述した実施例では、隆線に沿った道のりを特徴点情報として用いる場合について説明したが、道のりを距離に置き換えるようにしてもよい。このことにより、隆線に沿った道のりの計測が直線距離の計測になり、簡単に隆線接続関係情報を作成することができる。
【0244】
また、上述した実施例では、特徴点で区切られた隆線上の一つの区間について、一つの主距離または副距離を記録する場合について説明したが、特徴点で区切られた隆線上の一つの区間に対し、複数の主距離または副距離を記録するようにしてもよい。
【0245】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、隆線に対する特徴点の配置状態に基づいて、指紋照合を行うことにより、指の皮膚の部分的な伸び縮みや回転などにより指紋に歪みが発生した場合においても、高精度な指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0246】
また、本発明の一態様によれば、隆線上に設定された仮想的な特徴点の指紋情報に基づいて、指紋照合を行うことにより、採取された指紋の隆線構造を変化させることなく、指紋を特定する手がかりとなる情報を増やすことが可能となり、高精度な指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0247】
また、本発明の一態様によれば、隆線上に実在する特徴点を他の隆線上に投影することにより、2次元的な隆線構造を、隆線上で1次元的に表現するすることが可能となり、隆線上を1次元的にたどるだけで、2次元的な隆線構造の特徴を把握することがが可能となることから、高精度な指紋照合を高速に行うことが可能となる。
【0248】
また、本発明の一態様によれば、特徴点あるい仮想的な特徴点の位置で隆線を区切った時の隆線の長さに基づいて指紋照合を行うことにより、指紋に歪みが発生した場合においても、元の指紋の特徴を保存することが可能となり、高精度な指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0249】
また、本発明の一態様によれば、隆線上の特徴点あるい仮想的な特徴点の間の距離に基づいて、指紋照合を行うことにより、隆線に沿った道のりの計測が直線距離の計測になり、指紋情報を生成する際の演算を簡単にすることが可能となる。
【0250】
また、本発明の一態様によれば、隆線上の特徴点あるいは仮想的な特徴点への接続方向に基づいて、指紋照合を行うことにより、特徴点あるいは仮想的な特徴点を基準とした複数方向への接続状態を考慮しながら、指紋照合を行うことが可能となり、指紋照合を精度よく行うことが可能となる。
【0251】
また、本発明の一態様によれば、隆線上に存在している特徴点及び仮想的な特徴点の個数に基づいて、指紋照合を行うことにより、指紋照合を安定して高速に行うことが可能となる。
【0252】
また、本発明の一態様によれば、隆線上に存在している特徴点の種類に基づいて、指紋照合を行うことにより、指紋照合を安定して行うことが可能となるとともに、特徴点及び仮想的な特徴点の個数だけを用いて指紋照合を行う場合に比べて、照合精度をより向上させることが可能となる。
【0253】
また、本発明の一態様によれば、隆線の接続先の投影特徴点に対する投影元特徴点の種類を、投影特徴点の種類情報とすることにより、仮想的な特徴点の種類情報も考慮した指紋照合を行うことが可能となる。
【0254】
また、本発明の一態様によれば、特徴点及び仮想的な特徴点の隆線上への配列順序に基づいて指紋照合を行うことにより、照合精度をより向上させることが可能となる。
【0255】
また、本発明の一態様によれば、隆線上の特徴点の種類を仮想的に変更することにより、特徴点の種類の検出が不安定な場合においても、指紋照合を正確に行うことが可能となる。
【0256】
また、本発明の一態様によれば、隆線の端点と投影点とを統合して分岐点を生成することにより、分岐点を端点と間違えて検出した場合においても、元の隆線構造を考慮した指紋照合を行うことが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0257】
また、本発明の一態様によれば、特徴点と特徴点との間の道のりと、特徴点と仮想的な特徴点との間の道のりとを比較することにより、接続先の特徴点または仮想的な特徴点の種類が誤って検出された場合においても、道のりを比較することが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0258】
また、本発明の一態様によれば、隆線を分岐点で分離して端点と投影点とを生成することにより、端点を分岐点と間違えて検出した場合においても、元の隆線構造を考慮した指紋照合を行うことが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0259】
また、本発明の一態様によれば、仮想的な特徴点と特徴点との間の道のりと、仮想的な特徴点と他の仮想的な特徴点との間の道のりを比較することにより、接続先の特徴点または仮想的な特徴点の種類が誤って検出された場合においても、道のりを比較することが可能となり、指紋照合を安定して行うことが可能となる。
【0260】
また、本発明の一態様によれば、異なる隆線上の特徴点の指紋情報を比較することにより、道のりを算出する起点となる特徴点の種類が誤って検出された場合においても、指紋情報を比較することが可能となり、指紋照合を精度良く行うことが可能となる。
【0261】
また、本発明の一態様によれば、同一隆線上の道のりを比較することで特徴点が一致するかどうかを判定することにより、指紋が歪んだ場合においても、特徴点の照合を安定して行うことが可能となる。 また、本発明の一態様によれば、異なる隆線上の道のり情報を指紋情報に付加することにより、未接続の隆線構造も考慮して1つの特徴点の照合を行うことが可能となり、特徴点の照合を精度良く行うことが可能となる。
【0262】
また、本発明の一態様によれば、1つの特徴点の照合を行う際に、照合対象となる特徴点と関係する他の特徴点または投影元特徴点の指紋情報を考慮することにより、広範囲の隆線構造を考慮することが可能となり、特徴点の照合を精度良く行うことが可能となる。
【0263】
また、本発明の一態様によれば、特徴点の隆線接続状態が求められない理由を隆線接続状態に含めることにより、後の照合で隆線接続状態が求められた時、その正当性を考慮した特徴点の照合を行うことが可能となる。
【0264】
また、本発明の一態様によれば、複数の評価基準を設けることにより、皮膚の伸び縮みや回転による照合困難性と隆線の亀裂・癒着による照合困難性の両方の照合困難性に対応することができる。
【0265】
また、本発明の一態様によれば、隆線の谷線部と山線部とを反転させることにより、端点と分岐点の位置を逆転することができ、例えば、端点についての画像処理機能を備えるだけで、分岐点の画像処理を実行できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係わる指紋の特徴点の分布を示す図である。
【図4】(a)は、本発明の一実施例に係わる投影特徴点の生成方法を説明する図、(b)は、投影特徴点の生成方向を示す図である。
【図5】(a)は、隆線上の第0次距離の例を示す図、(b)は、隆線上の第1次距離の例を示す図、(c)は道のりの算出方法を説明する図である。
【図6】指紋に歪みが発生した時に、道のりがどのように変化するかを説明する図である。
【図7】本発明の一実施例に係わる指紋照合装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
【図9】端点を基準とした時の主距離の算出方法を説明する図である。
【図10】分岐点を基準とした時の主距離の算出方法を説明する図である。
【図11】図8の指紋照合装置の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【図12】図8の指紋照合装置の特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
【図13】図8の指紋照合装置の投影特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
【図14】図8の指紋照合装置の指紋照合処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第4実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
【図16】端点を基準とした時の副距離の算出方法を説明する図である。
【図17】分岐点を基準とした時の副距離の算出方法を説明する図である。
【図18】図15の指紋照合装置の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【図19】図15の指紋照合装置の特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
【図20】図15の指紋照合装置の投影特徴点を計測起点とした時の道のり算出処理を示すフローチャートである。
【図21】図15の指紋照合装置の指紋照合処理を示すフローチャートである。
【図22】特徴点の種類が変化した時の主距離と副距離の変化を説明する図である。
【図23】接続先特徴点の種類の誤検出を考慮した指紋照合処理を示すフローチャートである。
【図24】端点を分岐点と間違えて検出した時の次数の変化を説明する図である。
【図25】接続元特徴点の種類の誤検出を考慮した指紋照合処理を示すフローチャートである。
【図26】主距離に方向情報を付加した例を説明する図である。
【図27】副距離に方向情報を付加した例を説明する図である。
【図28】本発明の第7実施例に係わる指紋照合装置の構成を示すブロック図である。
【図29】(a)は登録指紋画像を示す図、(b)は入力指紋画像を示す図である。
【図30】図28の指紋照合装置の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【図31】図28の指紋照合装置の指紋照合処理を示すフローチャートである。
【図32】図28の指紋照合装置の指紋照合処理を示すフローチャートである(図31の続き)。
【図33】従来の指紋登録処理及び指紋照合処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1、11 指紋データ入力手段
2 隆線抽出手段
3 特徴点抽出手段
4 配置状態検出手段
5、14 照合手段
12 仮想特徴点設定手段
13 指紋情報算出手段
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 入出力インターフェイス
25 ディスプレイ
26 プリンタ
27 メモリ
28 スキャナ
29 通信インターフェイス
30 通信ネットワーク
31 ドライバ
32 ハードディスク
33 ICメモリカード
34 磁気テープ
35 フロッピーディスク
36 光ディスク
37 バス
38 キーボード
41、61、81 指紋センサ
42、62、82 画像記憶部
43、63、83 画像二値化部
44、64、84 画像細線化部
45、65、85 特徴点抽出部
46 特徴点位置記憶部
47、67、87 誤特徴点除去部
48、68、88 指紋細線画像修正部
49 主距離情報抽出部
50、71、93 指紋情報記憶部
51、72、94 登録指紋情報記憶部
52、73、95 指紋照合部
53、74、96 照合結果表示部
66、86 特徴点・投影特徴点位置記憶部
69、89 投影特徴点生成部
70、90 主距離・副距離情報抽出部
91 指紋中心位置検出部
92 特徴点情報検出部

Claims (33)

  1. 指紋データを入力する指紋データ入力手段と、
    前記指紋データに基づいて、指紋の隆線を抽出する隆線抽出手段と、
    前記指紋データに基づいて、前記隆線上の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
    前記特徴点の前記隆線上への配置状態を検出する配置状態検出手段と、
    前記特徴点抽出手段により抽出された特徴点に対応させて、隆線上に仮想的な特徴点を設定する仮想特徴点設定手段と、
    前記仮想的な特徴点についての指紋情報を算出する指紋情報算出手段と、
    前記配置状態および前記指紋情報算出手段により算出された指紋情報を個人情報として登録する登録手段とを備え、
    前記仮想的な特徴点は、隆線上に実在する特徴点を他の隆線上に投影した投影点である
    ことを特徴とする指紋登録装置。
  2. 前記配置状態は、前記隆線上に存在している特徴点の個数、前記隆線上に存在している特徴点の種類、前記特徴点の前記隆線上への配列順序、前記隆線上に設定された基準点から前記特徴点への距離あるいは道のり、または前記基準点から前記特徴点への接続方向のうちの少なくとも1つである
    ことを特徴とする請求項1に記載の指紋登録装置。
  3. 前記特徴点の種類は、端点または分岐点である
    ことを特徴とする請求項2に記載の指紋登録装置。
  4. 前記指紋情報は、前記隆線上に存在している特徴点及び仮想的な特徴点の個数、前記隆線上に存在している特徴点の種類、前記特徴点及び仮想的な特徴点の前記隆線上への配列順序、前記隆線上の特徴点あるいは仮想的な特徴点の間の距離あるいは道のり、または前記隆線上の特徴点あるいは仮想的な特徴点への接続方向のうちの少なくとも1つである
    ことを特徴とする請求項1に記載の指紋登録装置。
  5. 指紋データを入力する指紋データ入力手段と、
    前記指紋データに基づいて、指紋の隆線を抽出する隆線抽出手段と、
    前記指紋データに基づいて、前記隆線上の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
    前記特徴点の前記隆線上での配置状態を検出する配置状態検出手段と、
    前記指紋データに基づいて、隆線上に仮想的な特徴点を設定する仮想特徴点設定手段と、
    前記仮想特徴点設定手段により設定された仮想的な特徴点の指紋情報を算出する指紋情報算出手段と、
    前記配置状態および指紋情報に基づいて、指紋照合を行う照合手段を備え、
    前記仮想的な特徴点は、隆線上に実在する特徴点を他の隆線上に投影した投影点である
    ことを特徴とする指紋照合装置。
  6. 前記配置状態は、前記隆線上に存在している特徴点の個数、前記隆線上に存在している特徴点の種類、前記特徴点の前記隆線上への配列順序、前記隆線上に設定された基準点から前記特徴点への距離あるいは道のり、または前記基準点から前記特徴点への接続方向のうちの少なくとも1つである
    ことを特徴とする請求項5に記載の指紋照合装置。
  7. 前記特徴点の種類は、端点または分岐点である
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の指紋照合装置。
  8. 前記仮想特徴点設定手段は、前記隆線上に実在する特徴点を他の隆線上に投影した投影点を生成する投影点生成手段を備える
    ことを特徴とする請求項5に記載の指紋照合装置。
  9. 前記仮想特徴点設定手段は、前記隆線の端点と前記端点に対応する投影点とを統合することにより、前記隆線上に仮想的な分岐点を生成する仮想分岐点生成手段を備える
    ことを特徴とする請求項8に記載の指紋照合装置。
  10. 前記仮想特徴点設定手段は、前記隆線を分岐点で分離することにより、仮想的な端点と前記端点に対応する投影点とを生成する仮想端点生成手段を備える
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の指紋照合装置。
  11. 前記照合手段は、第1の隆線上に存在する第1の特徴点および第2の隆線上に存在する第2の特徴点の位置および種類を比較することにより照合処理を行う第1の比較手段を備える
    ことを特徴とする請求項5、8〜10のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  12. 前記照合手段は、所定の隆線上に存在する第1の特徴点から上記所定の隆線上に存在する第2の特徴点へ至る道のり、または上記第1の特徴点から上記所定の隆線上に投影された仮想的な特徴点へ至る道のりを利用して照合処理を行う第2の比較手段を備える
    ことを特徴とする請求項5、8〜10のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  13. 前記照合手段は、所定の隆線上に投影された第1の仮想的な特徴点から上記所定の隆線上に存在する特徴点へ至る道のり、または上記第1の仮想的な特徴点から所定の隆線上に投影された第2の仮想的な特徴点へ至る道のりを利用して照合処理を行う第3の比較手段を備える
    ことを特徴とする請求項5、8〜10のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  14. 指紋データを入力する指紋データ入力手段と、
    前記指紋データに基づいて、第1の特徴点を抽出する第1の特徴点抽出手段と、
    前記指紋データに基づいて、第2の特徴点を抽出する第2の特徴点抽出手段と、
    前記第1の特徴点を他の隆線上に投影することにより仮想的な特徴点を生成する仮想特徴点生成手段と、
    前記第2の特徴点及び前記仮想的な特徴点の隆線による接続状態を検出する接続状態検出手段と、
    前記接続状態に基づいて、指紋照合を行う照合手段を備え、
    前記接続状態は、前記第2の特徴点と前記仮想的な特徴点との間の距離または道のりである
    ことを特徴とする指紋照合装置。
  15. 前記接続状態検出手段は、さらに、前記第1の特徴点及びその第1の特徴点と同一隆線上に存在する第3の特徴点の隆線による接続状態としてそれら2点間の距離または道のりを検出する
    ことを特徴とする請求項14に記載の指紋照合装置。
  16. 指紋データを入力する指紋データ入力手段と、
    前記指紋データに基づいて、第1の特徴点を抽出する第1の特徴点抽出手段と、
    前記指紋データに基づいて、第2の特徴点を抽出する第2の特徴点抽出手段と、
    前記第1の特徴点に対応させて、第1の仮想的な特徴点を生成する第1の仮想特徴点生成手段と、
    前記第2の特徴点に対応させて、第2の仮想的な特徴点を生成する第2の仮想特徴点生成手段と、
    前記第1の仮想的な特徴点及び前記第2の仮想的な特徴点の隆線による接続状態を検出する接続状態検出手段と、
    前記接続状態に基づいて、指紋照合を行う照合手段を備え、
    前記第1および第2の仮想的な特徴点は、それぞれ、前記第1および第2の特徴点を他の隆線上に投影した投影点であり、
    前記接続状態は、前記第1および第2の仮想的な特徴点間の距離または道のりである
    ことを特徴とする指紋照合装置。
  17. 指紋画像を入力する指紋画像入力手段と、
    前記指紋画像を二値化する二値化手段と、
    二値化された指紋画像を細線化する細線化手段と、
    細線化された指紋画像から隆線を抽出する隆線抽出手段と、
    前記隆線上の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
    前記特徴点の前記隆線による接続状態を抽出する特徴点接続情報抽出手段と、
    前記特徴点を周辺の隆線に投影した投影特徴点を生成する投影特徴点生成手段と、
    前記隆線による前記特徴点の接続状態および前記投影特徴点に基づいて、前記指紋画像を照合する照合手段と、
    を備えることを特徴とする指紋照合装置。
  18. 前記特徴点接続情報抽出手段は、前記特徴点間の隆線上の道のりまたは距離を算出する第1の算出手段を備え、
    前記照合手段は、前記特徴点間の隆線上の道のりまたは距離が所定値以内で一致している場合、隆線構造が一致しているとみなす第1の判定手段を備えることを特徴とする請求項17に記載の指紋照合装置。
  19. 前記特徴点接続情報抽出手段は、前記特徴点と前記投影特徴点との間の隆線上の道のりまたは距離を算出する第2の算出手段を備え、
    前記照合手段は、前記特徴点と前記投影特徴点との間の隆線上の道のりまたは距離が、他の指紋画像と所定値以内で一致している場合、隆線構造が一致しているとみなす第2の判定手段を備えることを特徴とする請求項17または18に記載の指紋照合装置。
  20. 前記特徴点接続情報抽出手段は、
    前記特徴点を近辺の隆線へ投影した投影特徴点を計測起点に設定する計測起点設定手段と、
    前記計測起点に接続する隆線上の他の特徴点あるいは他の投影特徴点までの道のりまたは距離を算出する第3の算出手段を備え、
    前記照合手段は、前記計測起点に接続する隆線上の他の特徴点あるいは他の投影特徴点までの道のりまたは距離が、所定値以内で一致している場合、隆線構造が一致しているとみなす第3の判定手段を備える
    ことを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  21. 前記特徴点接続情報抽出手段は、前記隆線上に存在する特徴点及び投影特徴点の数を算出する第4の算出手段を備え、
    前記照合手段は、前記隆線上に存在する特徴点及び投影特徴点の数が、所定値以内で一致している場合、隆線構造が一致しているとみなす第4の判定手段を備える
    ことを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  22. 前記特徴点接続情報抽出手段は、前記特徴点と関係する他の特徴点または投影元特徴点の指紋情報を抽出する指紋情報抽出手段を備え、
    前記照合手段は、前記指紋情報に基づいて、隆線構造が一致しているかどうかを判定する第5の判定手段を備える
    ことを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  23. 前記特徴点接続情報抽出手段は、前記隆線の接続先の投影特徴点に対する投影元特徴点の種類情報を抽出する第2の種類情報抽出手段を備える
    ことを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  24. 前記特徴点接続情報抽出手段は、接続元の特徴点または投影特徴点から、接続先の特徴点または投影特徴点への方向情報を抽出する方向情報抽出手段を備える
    ことを特徴とする請求項17〜23のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  25. 前記照合手段は、
    照合対象の特徴点と前記特徴点を投影した投影特徴点との間に存在する隆線の本数を増減する隆線増減手段と、
    前記隆線増減手段により増減された隆線構造が一致しているかどうかを判定する第7の判定手段とを備える
    ことを特徴とする請求項17〜24のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  26. 前記照合手段は、所定の隆線上に存在する第1の特徴点から上記所定の隆線上に存在する第2の特徴点へ至る道のり、または上記第1の特徴点から上記所定の隆線上に投影された仮想的な特徴点へ至る道のりを利用して照合処理を行う比較手段を備える
    ことを特徴とする請求項17〜25のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  27. 前記照合手段は、所定の隆線上に投影された第1の仮想的な特徴点から上記所定の隆線上に存在する特徴点へ至る道のり、または上記第1の仮想的な特徴点から所定の隆線上に投影された第2の仮想的な特徴点へ至る道のりを利用して照合処理を行う比較手段を備える
    ことを特徴とする請求項17〜26のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  28. 指紋画像を入力する指紋画像入力手段と、
    前記指紋画像を二値化する二値化手段と、
    二値化された指紋画像を細線化する細線化手段と、
    細線化された指紋画像から隆線を抽出する隆線抽出手段と、
    第1の隆線上から第1の特徴点を抽出するとともに、第2の隆線の端点である第2の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
    前記第2の特徴点を前記第1の隆線上に投影することにより仮想的な分岐点を生成する特徴点仮想変更手段と、
    前記第1の特徴点と前記仮想的な分岐点の前記第1の隆線による接続状態を抽出する特徴点接続情報抽出手段と、
    記接続状態に基づいて、前記指紋画像を照合する照合手段、を備え、
    前記接続状態は、前記第1特徴点と前記仮想的な分岐点との間の距離または道のりである
    ことを特徴とする指紋照合装置。
  29. 指紋画像を入力する指紋画像入力手段と、
    前記指紋画像を二値化する二値化手段と、
    二値化された指紋画像を細線化する細線化手段と、
    細線化された指紋画像から隆線を抽出する隆線抽出手段と、
    第1の隆線上から第1特徴点を抽出するとともに、前記第1の隆線とその第1の隆線に隣接する第2の隆線との分岐点である第2の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
    前記第2の特徴点の種類を、仮想的に、前記第2の隆線の端点を前記第1の隆線上に投影することにより得られる投影点に変更する特徴点仮想変更手段と、
    前記第1の特徴点と前記投影点の前記第1の隆線による接続状態を抽出する特徴点接続情報抽出手段と、
    記接続状態に基づいて、前記指紋画像を照合する照合手段、を備え、
    前記接続状態は、前記第1特徴点と前記投影点との間の距離または道のりである
    ことを特徴とする指紋照合装置。
  30. 前記指紋画像の隆線は、谷線部と山線部とを反転させたものであることを特徴とする請求項5〜29のいずれか1項に記載の指紋照合装置。
  31. 指紋データを入力するステップと、
    前記指紋データに基づいて、隆線上に実在する特徴点を他の隆線上に投影した投影点である仮想的な特徴点を設定するステップと、
    前記仮想的な特徴点の指紋情報を算出するステップと、
    前記指紋情報に基づいて、指紋照合を行うステップ
    を備えることを特徴とする指紋照合方法。
  32. 指紋データを入力する機能と、
    前記指紋データに基づいて、隆線上に実在する特徴点を他の隆線上に投影した投影点である仮想的な特徴点を設定する機能と、
    前記仮想的な特徴点の指紋情報を算出する機能と、
    前記指紋情報に基づいて、指紋照合を行う機能
    をコンピュータに実現させるプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
  33. 前記指紋データに基づいて、指紋の隆線を抽出する機能と、
    前記指紋データに基づいて、前記隆線上の特徴点を抽出する機能と、
    前記特徴点の前記隆線上への配置状態を検出する機能と、
    前記配置状態に基づいて、指紋照合を行う機能
    をコンピュータに実現させるプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な請求項32に記載の記憶媒体。
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