JP3704421B2 - Pvc鋼板用耐食性金属蒸着フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、PVC鋼板について、その表面に耐沸騰水性に優れた耐食性金属蒸着フィルムをラミネートし装飾PVC鋼板を製造するためのPVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼板にPVCシートをドライラミネートしPVC鋼板を製造することは一般に行われていた。しかし、PVC鋼板の表面に金属光沢を有する装飾を施すことはPVCシートの耐熱性に問題があり困難であった。そこで金属蒸着加工を施したフィルムのフィルム面側をPVCシートにラミネートする方法が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来PVC鋼板の表面に金属蒸着加工フィルムをラミネートし、金属光沢を施す場合、選択する金属の耐汚染性、耐擦傷性、耐食性、耐水バリアー性に問題があり、 PVC鋼板用途に必要な耐沸騰水性(沸騰水中に2時間浸漬)において金属蒸着膜が酸化腐食し金属光沢が消失するという問題があり、実用化に問題があった。
そこでこの問題点を解決するために、透明または不透明の基材プラスチックフィルムの片面に耐食性金属蒸着層を設け、該耐食性蒸着面上に耐汚染性、耐擦傷性、耐水バリアー性に優れたシリコン樹脂を塗布することによるPVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルムを提供するものである。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】
本発明は、透明または不透明の基材プラスチックフィルムの片面に耐食性金属蒸着層を設け、該耐食性金属蒸着面上にシリコン樹脂を塗布することにより耐沸騰水性に優れたPVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルムを提供するものである。本発明の透明または不透明基材プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、アクリロニトリルーブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル、ポリプロピレン等があるが、種々の金属蒸着加工適性があり、また鋼板加工時の耐熱性があり、機械的強度に優れたポリエチレンテレフタレートフィルムが最も効果的であり、25〜50ミクロメータの範囲から選択して使用するのが好ましい。
【0005】
ポリエチレンテレフタレートフィルムへ一般に蒸着される金属には、アルミニウム、錫、金、銀、銅、クロム、チタン、ニッケルクロム、ステンレス、亜鉛、硫化亜鉛や金属酸化物等種々あるが、耐食性に優れた金属であれば、本発明の目的を達成することができる。
本発明における耐食性金属としては、クロム、チタン、ニッケルクロム、ステンレス、金、白金等が挙げられるが、中でもクロム金属およびクロム金属含有のクロム合金が加工性、経済性、耐腐食性の上で好適である。好適なクロム金属の場合、クロム金属蒸着層の膜厚としては一般に5〜50nmの範囲が好ましく、5nm以下では金属光沢が得られにくく、50nm以上では金属の剛性のためクラックが発生し、金属光沢がかえって得られにくい傾向にあった。
耐食性金属蒸着層の形成方式としては、一般には真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等があり適宜選択することが可能である。基材プラスチックフィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルムに耐食性金属蒸着加工を施した蒸着面上に必要に応じて施す着色層は、耐食性金属蒸着の保護と加色のために形成されるものである。着色層としては、該耐食性金属蒸着層との密着性の良い材料でなければならずポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等の熱可塑性樹脂または熱硬化樹脂とさらには必要に応じて無機顔料、有機顔料及び染料等の着色剤が組み合わせにより選択使用できる。着色層の乾燥塗布厚みとしては、0.5〜10ミクロメータの範囲が好ましく、塗布方法は、リバースロールコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンロールコーティング等のコーティング方式により塗布形成することができる。
【0006】
更にこのように形成した着色層表面に塗布形成する耐汚染性、耐擦傷性、耐水バリアー性に優れたシリコン樹脂としては、塗布後に最表面となる空気層界面にポリシロキサン結合が梯子型に規則的に形成する架橋型アクリルシリコン樹脂が好ましい(製品名 昭和電工(株)製 LS−230)。この架橋型アクリルシリコン樹脂は塗布後、前工程層側にアクリル樹脂が配列する性質があるため、前工程層との密着性が極めて向上するのが特徴である。この架橋型アクリルシリコン樹脂の硬化剤としては、耐候性に優れた無黄変型の脂肪族系ポリイソシアネート(製品名 住友バイエルウレタン(株)製 スミジュールN−3500)やブチル化メラミン(製品名 三井東圧(株)製 ユーバン2061)が効果的である。この架橋型アクリルシリコン樹脂の効果としては、耐汚染性、耐擦傷性、耐水バリアー性に優れており、本発明の用途であるPVC鋼板の表面物性を高めるばかりでなく、本発明の効果である耐沸騰水性を相乗的に向上させることが可能であり重要な役割を担っている。この架橋型アクリルシリコン樹脂層は乾燥塗布厚みにおいて、1〜10ミクロメータ形成することが好ましく、1ミクロメータ以下では効果が少なく、塗布厚みが厚くなるほど効果が増すが、10ミクロメータ以上では効果の増大が認められにくく、10ミクロメータ以上の厚みは不必要である。塗布方式としては、リバースロールコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンロールコーティング等のコーティング方式により塗布形成することができる。
【0007】
このようにして作製したPVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルムを用いてPVCシートに透明または不透明な基材プラスチックフィルム面側にドライラミネート接着剤を塗布、PVCにラミネートし、更には鋼板にラミネートしたところ、極めて金属光沢に優れ、更には耐沸騰水性、耐汚染性、耐擦傷性に優れたPVC鋼板を製造することができた。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
【0009】
【実施例1】
25ミクロメータ厚みのヘアーライン加工ポリエチレンテレフタレートフィルムのヘアーライン加工面にクロムを真空蒸着法にて約40nm蒸着し、クロム蒸着層上に有機顔料(チバガイギー(株)製 マイクロリス)を分散配合した二液アクリルウレタン樹脂塗膜を乾燥膜厚1ミクロメータグラビアコーティングにより形成した。更にこの着色層上に架橋型アクリルシリコン樹脂及びポリイソシアネート硬化剤を配合、グラビアコーティングにより塗布し、乾燥硬化後、乾燥膜厚2ミクロメータの塗膜を形成し本発明のPVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルムを得た。このようにして作製したフィルムをPVCシートにドライラミネートした後、鋼板にドライラミネートすることにより耐沸騰水性、耐汚染性、耐擦傷性に優れたPVC鋼板を作製することができた。
【0010】
【実施例2】
25ミクロメータ厚みのマット加工ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にクロム金属を真空蒸着法にて約30nm蒸着し、クロム蒸着面上に架橋型アクリルシリコン樹脂及びポリイソシアネート硬化剤を配合、リバースコーティングにより塗布し、乾燥硬化後、乾燥膜厚5ミクロメータの塗膜を形成し、本発明のPVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルムを得た。こうして作製したPVC鋼板用耐食性蒸着フィルムをPVCにドライラミネートした後、鋼板に貼り合わせたところ、極めて耐沸騰水性、耐汚染性、耐擦傷性の優れた装飾PVC鋼板を作製することができた。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、透明または不透明の基材プラスチックフィルムの片面に耐食性金属蒸着層を設け、該耐食性金属蒸着面上に着色層を設け、ついで着色層面に架橋型アクリルシリコン樹脂を塗布したことを特徴とすることにより、耐沸騰水性、耐汚染性、耐擦傷性に優れたPVC鋼板用耐食金属蒸着フィルムを作製することができた。
Claims (2)
- プラスチックフィルムの片面に耐食性金属蒸着層を設け、
前記耐食性金属蒸着層上に着色層を設け、
前記着色層上にシリコン樹脂層を塗布形成してなること、
を特徴とする、PVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルム。 - 請求項1に記載のPVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルムにおいて、
前記シリコン樹脂として、
前記シリコン樹脂を塗布した後に最表面となる空気層界面において、ポリシロキサン結合が梯子形に規則的に形成する架橋型アクリルシリコン樹脂を用いてなること、
を特徴とする、PVC鋼板用耐食性金属蒸着フィルム。
Priority Applications (1)
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JP21256597A JP3704421B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | Pvc鋼板用耐食性金属蒸着フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP21256597A JP3704421B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | Pvc鋼板用耐食性金属蒸着フィルム |
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JP3704421B2 true JP3704421B2 (ja) | 2005-10-12 |
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Family Applications (1)
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JP21256597A Expired - Fee Related JP3704421B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | Pvc鋼板用耐食性金属蒸着フィルム |
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1997
- 1997-07-23 JP JP21256597A patent/JP3704421B2/ja not_active Expired - Fee Related
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