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JP3703310B2 - 手持ち型眼科装置 - Google Patents

手持ち型眼科装置 Download PDF

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JP3703310B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼の検査・測定を行う他覚式眼屈折力測定装置、角膜形状測定装置等の眼科装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
他覚式眼屈折力測定装置等の眼科装置は据え置き型のものが多い。この据え置き型の装置は、固定基台に対して検査測定部を相対移動できるように構成され、検者がジョイスティック等の操作により被検眼に対して検査測定部を移動させ、片眼ずつアライメントして検査測定を行うのが一般的である。したがって、このような眼科装置では、片眼をアライメントした状態からもう片方の眼をアライメントしたときの検査測定部の左右移動量を得ることにより、被検者の瞳孔間距離を知ることができ、また、固定基台の中央に対して検査測定部が左右どちらに移動したかを検出することにより、被検眼の左右の判別を行うことができる。
【0003】
また一方、上記のような据え置き型の眼科装置は、乳幼児や寝ている状態の患者、動物等を検眼することは困難であり、持ち運びにも不都合であるため、手持ち型の眼科装置が提案されている。手持ち型の眼科装置においては、据え置き型の眼科装置のように検査測定部の移動によって被検眼の左右の判別をすることができないため、検者が被検眼の左右どちらを検査測定しているか、スイッチ等により入力する方法などを採用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、被検眼の左右の判別をスイッチ等により入力する方法は、操作が煩雑となり、検者が入力することを忘れてしまうため、測定ミスとなることがあり不都合であった。また、手持ち型の眼科装置においては、片眼ずつアライメントする際の左右移動量を得ることができないため、被検者の瞳孔間距離を測定することができなかった。
【0005】
本発明は土記従来技術の欠点に鑑み、被検眼の左右の判別を検者が入力する必要がない眼科装置、さらには、片眼ずつのアライメントによる左右移動量を得る必要なしに、被検者の瞳孔間距離を測定する眼科装置を提供することを技術課題とする。
【0006】
また、簡単に操作できる手持ち型の眼科装置を提供することを技術課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有することを特徴とする。
【0008】
(1) 左右いずれかの被検眼と屈折力測定光学系とを所定の位置関係に位置合わせするためのアライメント光学系を備え、被検眼の屈折力を測定する手持ち型眼科装置において、前記屈折力測定光学系の光軸L1の左右に、光軸L1に平行な投射光軸を持ち略平行光束を非測定眼に向けて投射する非測定眼指標投影光学系と、検出光軸が被検眼の前眼部で光軸L1と交差するように、前記屈折力測定光学系の光軸L1の下方に設けられた検出光学系であって、検出素子として二次元位置検出素子を有し、該二次元位置検出素子の前に結像レンズか又はスリット状光束絞りを配置して、該結像レンズにより結像された非測定眼指標投影光学系による角膜反射像の位置を検出するか、非測定眼指標投影光学系の角膜反射像の光束を前記スリット状光束絞りにより制限することによって形成されるスリット像の位置を検出する非測定眼指標検出光学系と、該非測定眼指標検出光学系により、前記アライメント光学系によりアライメント完了と判定された時の、非測定眼指標投影光学系角膜反射像の位置を検出し、その検出結果に基づいて測定眼の左右判別又は瞳孔間距離を求める演算制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。ここでは手持ち型の他覚式眼屈折力測定装置を実施例としている。
【0019】
図1は実施例の装置の一部光学系を横方向から見たときの概略配置を示す図である。光学系は、測定眼用正面指標投影光学系、距離指標投影光学系、指標検出・観察光学系、レチクル投影光学系、固視標投影光学系、眼屈折力測定光学系、正面指標検出光学系、及び非測定眼用正面指標投影光学系に大別される。なお、図1では図示の都合上、非測定眼用正面指標投影光学系は省略している。
【0020】
ここで、Eaは測定眼である。L1は後述する測定光学系の測定光軸である。70は測定眼Eaの前眼部を照明するための光源である。
【0021】
(測定眼用正面指標投影光学系)
1は測定眼用正面指標投影光学系である。2は測定光学系を略アライメントするための光源である。3は光源2からの光を略平行光束とするためのコリメータレンズである。4は光源2からの光の投射軸L2を測定光軸L1と同軸とするためのビームスプリッタである。光源2を発した光は、コリメータレンズ3により略平行光束とされ、後述するビームスプリッタ116を通過し、ビームスプリッタ4によって測定光軸L1と同軸とされ、後述するダイクロイックミラー21を通過し、測定眼Eaに投影される。
【0022】
(距離指標投影光学系)
10a、10bは測定眼Eaと装置との作動距離を検出するための指標を投影する距離指標投影光学系である。距離指標投影光学系10aは、光源11a、スポット絞り12a、及び光源11aからの光を略平行光束とするためのコリメータレンズ13によって構成され、測定眼Eaに光学的に無限速方からスポット絞り指標を投影する。一方、距離指標投影光学系10bは、光源11b及びスポット絞り12bによって構成され,測定眼Eaに光学的に有限な距離からスポット絞り指標を投影する。距離指標投影光学系10a、10bは、測定光軸L1に対してその投射軸が同一角度で交差するように配置されている。(図1では図示の都合上、測定眼Eaの上下方向から投射しているが、距離指標投影光学系10a、10bは、まぶた及びまつげによる光束の欠られを防ぐため、水平方向に配置することが好ましい。)
(指標検出・観察光学系)
20は指標検出・観察光学系である。光源70による前眼部像と、測定眼用正面指標投影光学系1による角膜反射像と、距離視標投影光学系10a、10bによる角膜反射像とは、ダイクロイックミラー21、22によって反射され、後述するビームスプリッタ34を通過し、結像レンズ23によって観察用カメラ24の撮像素子上に結像する。観察用カメラ24は本実施例では近赤外用CCDカメラを用いている。観察用カメラ24によって撮像された前眼部像及び角膜反射像は、テレビモニタ25によって表示される。
【0023】
(レチクル投影光学系)
30はレチクル投影光学系である。31はレチクル板32を照明するための光源である。レチクル板32には図2に示すようにレチクルマークが形成されている。32aは円環状のマークである。32bは測定系の乱視軸が0度方向を示すラインマークである。ラインマーク32bは無くてもよく、また、逆に90度方向のラインマークをさらに設けてもよい。レチクル板32を通過した光は、投影レンズ33を通過し、ビームスプリッタ34により反射され、結像レンズ23によって観察用カメラ24の撮像素子上に結像する。観察用カメラ24によって撮像されたレチクルマーク像は、テレビモニタ25によって表示される。
【0024】
(固視標投影光学系)
40は固視標投影光学系である。41は光源、42は固視標、43は投影レンズである。投影レンズ43は光軸方向に移動することによって測定眼Eaの雲霧を行う。固視標投影光学系40は前述したダイクロイックミラー22によって指標検出・観察光学系20と同軸とされている。光源41は固視標42を照明し、固視標42からの光束は投影レンズ43及びダイクロイックミラー22を通過した後、ダイクロイックミラー21で反射して測定眼Eaに向かい、測定眼Eaは固視標42を固視する。
【0025】
(眼屈折力測定光学系)
100は眼屈折力測定光学系である。眼屈折力測定光学系100は、スリット投影光学系とスリット像検出光学系とから構成される。
【0026】
110はスリット投影光学系である。111はスリット照明光源である。112はモータ113により一定の速度で一定方向に回転する円筒状の回転セクターである。回転セクター112の側面には、図3にその展開図を示すように、2種類の異なる傾斜角度のスリット開口112a、112bがそれぞれ複数個設けられている。スリット開口112aは回転セクター112の回転方向に対して45度の傾斜角度を持つように設けられ、スリット開口112bはスリット開口112aに直交するように回転方向に対して135度の傾斜角度を持つように設けられている。114は投影レンズであり、光源111は投影レンズ114に関して測定眼Eaの角膜近傍と共役な位置に位置する。115は制限絞り、116はスリット投影光学系110と測定眼用正面指標投影光学系1とを同軸とするためのビームスプリッタである。
【0027】
光源111からの光は回転セクター112のスリット開口112aまたは112bを照明する。回転セクター112の回転により走査されたスリット光束は、投影レンズ114を通過した後、ビームスプリッタ116で反射されて測定眼用正面視標投影光学系1と同軸とされて測定眼Eaに向かい、測定眼Eaの角膜近傍で集光した後、眼底に投影される。なお、回転セクター112は異なる傾斜角度のスリット開口を持つため、いずれの角度のスリット光束が投影されているかを図示なきセンサで検出するようになっている。
【0028】
120はスリット像検出光学系であり、その測定光軸L1上に受光レンズ121、絞り122及び受光部123を備える。絞り122は受光レンズ121の後ろ側焦点位置に配置され、受光部123は受光レンズ121に関して測定眼Eaの角膜と略共役な位置に配置される。受光部123はその受光面に、図4に示すように4個の受光素子124a〜124dを有している。受光素子124a、124bは測定光軸L1を中心にして対称に設けられ、同じく受光素子124c、124dは測定光軸L1を中心にして対称に設けられている。この2対の受光素子は、2種類の傾斜角度を持つスリット開口112a、112bにより投影される測定眼Eaの眼底上でのスリット光束の走査方向(眼底上でのスリット光束は、あたかもスリットの長手方向に直交する方向に走査されるようになる)にそれぞれ対応させて配置されている。実施例の装置では、乱視を持たない遠視または近視の測定眼Eaの眼底上で、スリット開口112aによるスリット光束が走査されたとき、受光部123上で受光されるスリットの長手方向に直交する方向に対応するように、一対の受光素子124a、124bを配置し、同じくスリット開口112bによるスリット光束が走査されたとき、受光部123上で受光されるスリットの長手方向に直交する方向に対応するように、一対の受光素子124c、124dを配置している。
【0029】
スリット投影光学系110は、測定眼Eaの眼底に2つの方向のスリット状の光束を走査して投影し、スリット像検出光学系120は、眼底で反射されたスリット光束を、測定眼Eaの角膜と略共役な位置に光軸を挟んで対称に配置された受光素子124a、124bの対と、受光素子124c、124dの対で検出する。ある第1の方向のスリット光束が乱視を持たない測定眼Eaに投影されたとき、そのスリット光束の長手方向に直交する方向に対応して受光素子124a、124bが配置され、このときの受光素子124c、124dの位相差信号出力に基づいて測定眼Eaの角膜中心または視軸中心を検出する。検出した角膜中心または視軸中心と、前記第1の方向に対応して配置された受光素子124a、124bのそれぞれの出力信号に基づいて、各々の受光素子位置に対応する角膜部位で屈折力を求める。これにより、角膜中心または視軸中心に対する経線方向の屈折力が求まり、不正乱視の有無を検知する。なお、眼屈折力測定については、詳しくは、特願平8−283280「眼屈折力測定装置」を参照されたい。
【0030】
(正面指標検出光学系)
50は正面指標検出光学系である。51は測定眼Eaからの角膜反射光束M、及び後述する非測定眼用正面指標投影光学系による非測定眼Ebからの角膜反射光束Nを制限するための光束絞りであり、図5に示すように、縦方向に伸びたスリット51aを備えている。スリット51aは上下方向についても所定の範囲で角膜反射光束を制限できるようになっている。52は光束絞り51(スリット51a)によって制限されたスリット光を検出するための二次元位置検出素子であり、本実施例では近赤外用二次元CCDカメラを用いている。光束絞り51は位置検出素子52から被検眼の方向に所定距離だけ離れて配置されており、スリット51aは位置検出素子52のほぼ中心にくるように設けられている。また、光束絞り51及び位置検出素子52は、測定光軸L1(投射軸L2)に対して下方に配置されている。
【0031】
図6は実施例の装置の一部光学系を土方向から見たときの概略配置を示す図である。なお、図6では図示の都合上、正面指標検出光学系及び非測定眼用正面指標投影光学系のみを示しており、他の光学系については省略している。
【0032】
(非測定眼用正面指標投影光学系)
Ebは非測定眼であり、60a、60bは非測定眼用正面指標投影光学系である。60aは検者側から見て装置右側に配置されており、60bは検者側から見て装置左側に配置されている。61a、61bは非測定眼Ebに光を投射するための光源である。62a、62bは光源61a、61bが発した光を略平行光束にするためのコリメータレンズである。L3は非測定眼用正面指標投影光学系60a、60bの投射軸である。測定範囲を拡大するには、測定光束の径を相対的に大きくする必要があり、測定光軸L1(投射軸L2)と投射軸L3の距離は、平均的瞳孔間距離である64mm程度が望ましい。Nは非測定眼Ebからの角膜反射光束である。
【0033】
なお、光源2、11、31、61a、61b及び111には、すべて近赤外域の光を発するLEDを用いており、測定眼Ea及び非測定眼Ebに負担をかけることなく光を投射することができる。
【0034】
以上のような実施例の装置において、その動作について説明する(図7参照)。動作については、測定眼の左右判別と被検者の瞳孔間距離測定とを別けて説明する。
【0035】
<左右眼判別>
まず、装置を測定眼Eaの前に移動し、図示なきスイッチ等により、前眼部照明用の光源70、そしてアライメント用の光源2及び光源31を発光させる。光源70による前眼部像と、光源2により測定眼Eaに形成された角膜反射像と、レチクル投影光学系30によるレチクルマーク像とは、観察用カメラ24によって撮像され、テレビモニタ25に表示される。検者はテレビモニタ25上の角膜反射像及びレチクルマーク像を見ながら、レチクルマーク32aの中心に光源2の角膜反射像が位置するようにさらに装置を移動させ上土下左右方向のアライメントを行う。また、ラインマーク32bを設けている場合は、テレビモニタ25を見ながらラインマーク32bの像が水平になるように、装置の傾きを調整する。
【0036】
画像処理技術により検出された角膜反射像が所期する領域内に位置し、測定眼Eaに上下左右方向のアライメントができたことが確認されると、制御部は光源61aまたは61bを発光させ、非測定眼Ebに近赤外光を投射する。この際、制御部は光源70を消灯させる。非測定眼Ebに投射された光は非測定眼Ebに入射して角膜反射像を形成し、非測定眼Ebからの角膜反射光束は光束絞り51のスリット51aを通過し位置検出素子52に入射する。
【0037】
光源61a(または61b)の発光により位置検出素子52が角膜反射光束を検出しなければ、次に制御部は反対の光源61b(または61a)を発光する。光源61aの発光により位置検出素子52が角膜反射光束を検出すれば測定眼は右眼、光源61bの発光により位置検出素子52が角膜反射光束を検出すれば測定眼は左眼となる。
【0038】
また、光源61a、61bを別々に発光させず同時に発光させ、位置検出素子52の中心に対し左側で検出するか右側で検出するかにより左右を判別することも可能である。この場合、位置検出素子52の中心に対して検者側から見て左側で検出すれば測定眼は右眼、右側で検出すれば測定眼は左眼となる。
【0039】
測定眼Eaへの上下左右方向のアライメントが完了しているにも拘らず、光源61a、61bの両方の発光によって位置検出素子52が角膜反射光束を検出しなければ、装置が傾いている可能性が高いので、検者は装置の傾きを調整して、図示なきスイッチ等により光源61aまたは61bを発光させる(または光源61a、61bを同時に発光させる)。このとき、ラインマーク32bを設けている場合は、テレビモニタを見ながらラインマーク32bに対し、被検眼が水平になるように再度装置の傾きを調整する。また、水準器等により傾きを検出し、所定の基準を越えている場合には、音声又はテレビモニタ25に表示するなどの方法で、検者に対し警告させてもよい。さらに、水準器等により傾きを検出し、所定の基準内にある場合のみ光源61aまたは61bを発光させる(または同時に発光させる)ようにしてもよい。
【0040】
<瞳孔間距離測定>
まず、装置を測定眼Eaの前に移動し、図示なきスイッチ等により、前眼部照明用の光源70、そしてアライメント用の光源2及び光源31を発光させる。光源70による前眼部像と、光源2により測定眼Eaに形成された角膜反射像と、レチクル投影光学系30によるレチクルマーク像とは、観察用カメラ24によって撮像され、テレビモニタ25に表示される。検者はテレビモニタ25上の角膜反射像及びレチクルマーク像を見ながら、レチクルマーク32aの中心に光源2の角膜反射像が位置するようにさらに装置を移動させ、上下左右方向のアライメントを行う。また、ラインマーク32bを設けている場合は、テレビモニタ25を見ながらラインマーク32bの像が水平になるように、装置の傾きを調整する。
【0041】
さらに、測定眼Eaの角膜反射像にピントを合わせることによって、作動距離をラフに判断する。このような作動距離のラフな調整と平行して、装置は作動距離の適否を距離指標投影光学系10a、10bを用いて行っている。この場合、距離指標投影光学系10a、10bにより形成される角膜反射像の像高を比較する。図8に示すように、距離指標投影光学系10aによる光は、コリメータレンズ13によって略平行光束とされているので、光源11aは光学的に無限遠となり、作動距離が変化しても角膜反射像の像高X1は変化しない(図8のa参照)。一方、距離指標投影光学系10bによる光は、略平行光束とされていないので、光源11bは光学的に有限遠となり、作動距離が変化すると角膜反射像の像高X2は変化する(図8のb参照)。作動距離(ワーキング・ディスタンス)を、X2/X1=αとなるように設定しておく(αは定数)。そして、X1及びX2の値を検出し、演算することにより、次のようにしてフォーカスずれの状態を検出することができる。
(1)X2/X1>α :角膜が手前にずれている。
(2)X2/X1<α :角膜が後方にずれている。
(3)X2/X1=α :アライメント(位置合わせ)完了。
なお、αの値は装置の要求するアライメント精度との関係で幅を持たせても良い。演算結果が上記の(1)及び(2)になったときは、そのずれの状態をテレビモニタ25に表示し、(3)の状態になった旨が表示されるまで検者は表示にしたがって装置を移動する。
【0042】
以上のようにして、画像処理技術により検出された角膜反射像の像高が所期する関係にあり、測定眼Eaに作動距離方向のアライメントができたことが確認されると、制御部は非測定眼Eb側の光源61aまたは61bを発光する(または光源61a、61bを同時に発光する)。このとき制御部は光源11及び70を消灯させる。光源61aまたは61bからの光はコリメータレンズ62により略平行光束となり非測定眼Ebに入射する。
【0043】
光源2によるアライメント光の測定眼Eaからの角膜反射光束の一部は、光束絞り51に設けられたスリット51aにより制限されたスリット光となり、位置検出素子52に入射してスリット像を形成している。スリット51aは位置検出素子52に対して中心に設けられているため、測定眼Eaの角膜反射光束によるスリット像は位置検出素子52の中心に形成している。
【0044】
一方、光源61aまたは61bによる非測定眼Ebからの角膜反射光束も、光束絞り51に設けられたスリット51aにより制限されたスリット光となり、位置検出素子52に入射してスリット像を形成する。図6の場合、非測定眼Ebは光源61aからの光によって角膜反射光束を形成するため、非測定眼Ebからの角膜反射光束は位置検出素子52の中心に対して検者側から見て左側に入射する。
【0045】
測定眼Eaへのアライメントが完了しているにも拘らず、光源61a、61bの両方の発光によって位置検出素子52が角膜反射光束を検出しなければ、装置が傾いている可能性が高いので、前記した要領で検者は装置の傾きを調整する。
【0046】
位置検出素子52上には、測定眼1からの角膜反射光束と非測定眼2からの角膜反射光束によって2つのスリット像ができるため、その2つのスリット像間の距離を測定することによって、測定眼Eaと非測定眼Ebとの距離を割り出すことができる。
【0047】
この瞳孔間距離測定の方法については、図9を使って詳しく説明する。
【0048】
測定眼Eaの角膜反射像と非測定眼Ebの角膜反射像との距離すなわち被検者の瞳孔間距離をPD、測定眼Eaの角膜反射像と光束絞り51(スリット51a)との距離をS、光束絞り51(スリット51a)と位置検出素子52(測定眼Eaからの角膜反射光束によるスリット像)との距離をd、位置検出素子52上の測定眼Eaからの角膜反射光束によるスリット像と非測定眼Ebからの角膜反射光束によるスリット像との間の左右方向距離をWとする。
【0049】
ここで、dは設計により設定できる既知の値であり、Sは測定眼Eaに正確にアライメントされたときの装置の作動距離(ワーキング・ディスタンス)の設定値である。そして、図9からPD:W=S:dという関係になることを導き出すことができるため、その関係によってPD*d=W*Sという計算式が成立し、さらに、PD=W*S/dという計算式が成立する。したがって、位置検出素子52上の測定眼Eaからの角膜反射光束によるスリット像と非測定眼Ebからの角膜反射光束によるスリット像を検出し、2つのスリット像間の左右方向距離すなわちWの値を演算し、上記の計算式に代入することによって、PD(被検者の瞳孔間距離)の値を求めることができる。
【0050】
非測定眼Ebに対し略平行光束を投射し、角膜によって形成される角膜反射像の左右方向の位置は、角膜の曲率(個人差による)及び光源61a(または61b)と対向する非測定眼Ebの位置(PDの個人差によって変わる)によって変化するが、その変化量は瞳孔間距離測定で要求される精度に対し無視できる量である。このことが前記検出方法及び計算方法を提案する根拠である。
【0051】
一般に眼屈折力測定等は複数回の測定を行う。例えば、一回毎の眼屈折力測定時にこの瞳孔間距離測定を行い、さらに測定眼を切り換え、測定する。これらのデータを平均化し、精度を高めて出力(表示、印字)することができる。
【0052】
以上の実施例では、スリット像の検出により測定眼の左右判別と被検者の瞳孔間距離測定を行ったが、それそれの動作を独立して行うこともでき、また同時に行うこともできる。同時に行う場合は、土下左右方向及び作動距離方向のアライメント完了の後、測定眼の左右判別と被検者の瞳孔間距離測定を同時に行えば良い。つまり、左右眼判別のために光源61aまたは61bを発光させ(または同時に発光させ)、非測定眼Ebからの角膜反射光束によるスリット像が位置検出素子52に検出されれば、そのスリット像を使って瞳孔間距離測定を行うことができる。
【0053】
以上の説明では、位置検出素子52を二次元位置検出素子として説明したが、左右眼判別または瞳孔間距離測定においては一次元位置検出素子(CCD,PSD等)で十分である。二次元位置検出素子の使用は、以下の応用において格別の効果を発揮する。
【0054】
すなわち、測定眼Eaからの角膜反射光束によるスリット像、及び非測定眼Ebからの角膜反射光束によるスリット像の位置を二次元位置検出素子によって検出し、左右眼判別、瞳孔間距離測定に加えて、装置の傾き検出及び眼屈折力や角膜曲率測定等での乱視軸角度の補正を行うことができる。これについては図10を使って説明する。
【0055】
図10の(a)は、測定眼Ea及び非測定眼Ebからの2本の角膜反射光束による2つのスリット像を結ぶ線(本実施例では2つのスリット像のそれぞれの中心点を結ぶ線とする)が、装置の水平基準(撮像素子の長手方向は装置の水平方向に合わせて取り付けられている)に対して平行になっていることを示している。一方、図10の(b)は、測定眼Ea及び非測定眼Ebからの2本の角膜反射光束による2つのスリット像を結ぶ線が、装置の水平基準に対して傾きθを持っていることを示している。この場合、2つのスリット像を結ぶ線と、装置の水平基準との傾きθの角度は検出・演算される。この得られた傾きθの角度は、テレビモニタ25に数値またはパターンで表示され、検者が容易に装置の傾きを知り、正すことができる。また、測定結果に対して、軸角度の補正演算に利用することで、少々の傾きがあっても正しい軸角度が得られる。
【0056】
なお、測定眼への上下左右方向及び作動距離方向のアライメントについては、本実施例に説明した方法以外にも周知の方法を用いることができる。
【0057】
また、本実施例では、測定眼Eaからの角膜反射光束M及び非測定眼Ebからの角膜反射光束Nを制限するために光束絞り51を設けたが、光束絞り51の代りに結像レンズ53を用いてもよい(図11参照)。この場合、角膜反射像と位置検出素子52とは、結像レンズ53に関して共役な位置関係にある。光束絞り51の代りに結像レンズ53を用いることにより、検出する角膜反射光束の光量を安定して得ることができる。
【0058】
また、本実施例では左右眼を測定眼、非測定眼と区別したが、本発明は片眼測定の装置に限定するものではない。左右眼用の測定系を備える両眼測定の装置においても本発明を適用することができることは言うまでもない。
【0059】
またさらに、本発明は手持ち型の眼科測定装置に限ることなく、据え置き型の眼科測定装置に利用することもできる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被検眼の左右眼判別を検者が入力する必要がなく、さらには片眼のアライメントのみによって被検者の瞳孔間距離の測定も可能となり、特に手持ち型の眼科装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の装置の一部光学系を横方向から見たときの概略配置を示す図である。
【図2】レチクル板に設けられているレチクルマークを説明する図である。
【図3】回転セクターの側面に設けられているスリット開口の展開図である。
【図4】受光部が有する4個の受光素子の配置を説明する図である。
【図5】光束絞りに設けられているスリットを説明する図である。
【図6】実施例の装置の一部光学系を上方向から見たときの概略配置を示す図である。
【図7】実施例の装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図8】被検眼の作動距離方向のアライメント方法について説明する図である。
【図9】被検者の瞳孔間距離の測定方法について説明する図である。
【図10】被検眼の軸角度の検出方法について説明する図である。
【図11】実施例の装置の変容例の一部光学系を上方向から見たときの概略配置を示す図である。
【符号の説明】
1 測定眼用正面指標投影光学系
10 距離指標投影光学系
20 指標検出・観察光学系
30 レチクル投影光学系
40 固視標投影光学系
50 正面指標検出光学系
60 非測定眼用正面指標投影光学系
100 眼屈折力測定光学系

Claims (1)

  1. 左右いずれかの被検眼と屈折力測定光学系とを所定の位置関係に位置合わせするためのアライメント光学系を備え、被検眼の屈折力を測定する手持ち型眼科装置において、前記屈折力測定光学系の光軸L1の左右に、光軸L1に平行な投射光軸を持ち略平行光束を非測定眼に向けて投射する非測定眼指標投影光学系と、検出光軸が被検眼の前眼部で光軸L1と交差するように、前記屈折力測定光学系の光軸L1の下方に設けられた検出光学系であって、検出素子として二次元位置検出素子を有し、該二次元位置検出素子の前に結像レンズか又はスリット状光束絞りを配置して、該結像レンズにより結像された非測定眼指標投影光学系による角膜反射像の位置を検出するか、非測定眼指標投影光学系の角膜反射像の光束を前記スリット状光束絞りにより制限することによって形成されるスリット像の位置を検出する非測定眼指標検出光学系と、該非測定眼指標検出光学系により、前記アライメント光学系によりアライメント完了と判定された時の、非測定眼指標投影光学系角膜反射像の位置を検出し、その検出結果に基づいて測定眼の左右判別又は瞳孔間距離を求める演算制御手段と、を備えたことを特徴とする手持ち型眼科装置。
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