JP3700003B2 - イオンビーム発生装置用電源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンエンジンやイオンスパッタリング装置等のイオンビーム発生装置に使用される電源のうち、放電電源にスイッチング方式が採用されたイオンビーム発生装置用電源に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオンエンジンやイオンスパッタリングの分野では、陰極をヒータ電源に接続されたヒータで加熱して熱電子を発生させ、プラズマ室に導入したガスにこの熱電子を衝突させてプラズマを発生させ、生じたプラズマを加速電源から加速電極に印加されるイオン加速電圧によって生じた電界中に置くことによって、プラズマ中のイオンをイオンビームとして引き出して放出するイオンビーム発生装置が用いられている。イオンビーム発生装置においては、イオンビームの流れ、即ち、イオン電流を最適に制御するために、陰極としてのフィラメントを加熱して熱電子を発生させるフィラメント電源を制御することが考えられる。第1プラズマ室とこれに連通する第2プラズマ室とを有する2段階プラズマ生成型イオン源において、内部にフィラメントと第1プラズマ室とを有する中間電極に接続されている中間電極抵抗を流れる電流を検出し、検出電流値と予め設定された電流値とを比較して、この比較によって得られた差信号に基づいて、この差信号がゼロになるようにフィラメント電源を帰還制御することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、ガスに電子を衝突させて得られたプラズマ中のイオンを、電極にイオン加速電圧を印加することで引き出すイオンビーム発生装置とその制御において、ビーム引出しのための光学系が一定であるときに加速電圧と引き出される最適イオン電流とが持つ一定の関係を制御装置に記憶させておき、イオンビームエネルギー又は加速電圧の設定によって、最適の加速電圧とイオン電流の組合せを自動設定することが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
従来のイオンビーム発生装置の一例が、図3に示されている。図3に示すイオンビーム発生装置1は、主に電子を放出する陰極1aと、電子を吸収する陽極1bと、イオン抽出孔を有するスクリーン電極1cにより構成され、これらによって外部と隔離された空間である放電室1d内で中性ガスから電子衝撃によりイオンを生成し、放電室1dの電位を地表電位に対して上げることにより、生成したイオンをスクリーン電極1cの孔から放出し、イオンビームを発生させている。
【0005】
陰極1aから電子を放出して放電室1d内でイオンを生成するために、陰極1aと陽極1bの間に定電流制御される放電電源6が挿入されている。また、放電室1dの電位を地表電位に対して上げるために、陰極1a及びスクリーン電極1cと地表との間に定電圧制御されるビーム電源7aが挿入されている。
【0006】
ビーム電源7aの出力電圧を一定に保ちながらイオンビームの発生量を制御するために、放電電源6の出力電流を変化させることが行われる。通常の動作領域においては、放電電源6の出力電流を大きくするとイオンビームの発生量、即ちビーム電流が増加する。このため、ビーム電流検出器7bから矢線71によって示される経路によりビーム電流検出値信号を比較器7cに送り、このビーム電流検出値信号と、同様に矢線72によって示される経路により送られるビーム電流設定値信号とを比較器7cにおいて比較し、比較器7cの出力が放電電流設定値信号として放電電源6に矢線73に示される経路を経て送られる。
【0007】
放電電源6の入力側は、通常、接地電位近傍におかれる。一例を挙げれば、入力が直流の場合、負極側又は正極側が地表電位とされる。一方、放電電源6の出力側は、ビーム電源7aの作用により地表電位と比べて、通常、高電位となる。一例を挙げれば、ビーム電源7aの出力が直流1000Vの場合、放電電源6の出力側の負極側をビーム電源7aの出力側の陽極側に接続することにより、放電電源6の出力側の両極はいずれも地表電位より1000V以上高くなる。このため放電電源6の入力側と出力側は、直流的に絶縁されていなくてはならない。
【0008】
このため、電力効率の点も考慮して、放電電源6には絶縁型スイッチング方式が多用され、図3においてもこれを採用している。
【0009】
絶縁型スイッチング方式である放電電源6は、主に一次電流をオンオフするスイッチ部6aと、入力側と出力側を直流的に絶縁する絶縁トランス6bと、交流を直流化する整流・平滑部6cと、定電流制御をするための放電電流検出部6dと、放電電流検出値信号を出力側から入力側に伝送する絶縁アンプ6eと、出力側の回路に電力を供給する絶縁電源6fとにより構成されている。放電電源6の定電流制御は、放電電流検出部6dから放電電流検出値信号をスイッチ部6aに帰還させることによって実現される。放電電流検出部6dから取得し、矢線61で示される経路及び絶縁アンプ6eを経由した放電電流検出値信号と、矢線73で示される経路を通じて送られる放電電流設定値信号とを比較器6gで比較し、比較器6gの出力を放電電源制御信号として矢線62の示す経路でスイッチ部6aに送る方式を採ることにより、放電電源6の出力電流を放電電流設定値信号により制御することができる。
【0010】
以上のように、従来のイオンエンジンから放出されるイオンビーム発生量は、放電電流の検出値と放電電源6の放電電流設定値とに基づいて、放電電流設定値信号を変化させるという放電電源6の定電流制御によって制御されていた。
【0011】
絶縁アンプ6eはその内部においてフォトカプラや絶縁トランスを用いて直流的な絶縁を維持しながら信号を伝達しているが、いずれの方式にしても信号をある程度処理しなくてはならず、このため信号の伝送に当たり、直接伝送する場合よりも長い時間を要していた。このためビーム電流に擾乱が起きた場合、その擾乱を抑制する信号の高速化に限界があり、信号伝送の遅れはビーム電流の振動に繋がり、イオンビームの発散角の増大や不要輻射の増加という問題が発生した。更に、絶縁アンプ6eは信号処理のために電力を必要とし、電力を要する箇所の一部は出力側にあるため、絶縁電源6fを用いて電力を送る必要があった。放電電源6の効率を考えた場合、絶縁電源6fに送られる電力は無視できない程の量であるという問題もあった。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−106872号公報([0030]〜[0039]、図1)
【特許文献2】
特開平6−68827号公報([0018]〜[0025]、図1〜図
3)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、最終的に制御されるのはイオンビーム発生量であることに着目して、放電電源の定電流制御に固執することなく、イオンビーム発生量を直接検出した検出値を放電電源の制御回路に帰還させることで、電源装置全体の能力向上を図る点で解決すべき課題がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明によるイオンビーム発生装置用電源は、スイッチング方式のスイッチ部を有し且つイオンビーム発生装置の陽極と陰極との間に挿入される放電電源、並びに前記イオンビーム発生装置の前記陰極及びスクリーン電極と接地との間に挿入されるビーム電源を備え、前記ビーム電源を流れるビーム電流を安定化させるため、前記ビーム電源に流れるビーム電流の検出値と前記ビーム電流の設定値とに基づいて前記放電電源の前記スイッチ部をオンオフ制御することから成っている。
【0015】
このイオンビーム発生装置用電源によれば、イオンビーム発生装置内部の放電室内にイオンを生成するため、放電電源からスイッチング方式のスイッチ部の作動によって定められる放電電流がイオンビーム発生装置に供給される。また、放電室の電位を接地に対して高めるため、ビーム電源から供給される出力電圧が、イオンビーム発生装置の陰極及びスクリーン電極と接地との間に供給される。そうしたイオンビーム発生装置用電源において、ビーム電源に流れるビーム電流の検出値とビーム電流の設定値とに基づいて放電電源のスイッチ部がオンオフ制御される。イオンビーム発生装置用電源は、絶縁アンプを備え放電電源の出力電流を検出して利用する制御系を有しておらず、或いはそうした制御系を有していてもその制御系を利用することなく、放電電源のスイッチ部をビーム電流検出値信号とビーム電流設定値信号によって制御する。従って、放電電源の出力電流を検出・利用する時に生じる比較的長い応答時間を容認することなく、ビーム電流の変動に対して高速の応答が可能となり、安定なビーム電流を得て上記課題の解決を図ることができる。
【0016】
このイオンビーム発生装置用電源において、前記スイッチ部のオンオフ制御を前記イオンビーム発生装置用電源の定常動作状態において行うことが好ましい。イオンビーム発生装置用電源が定常動作状態にあるときには、検出されるビーム電流は、定常動作するビーム電源に流れるビーム電流である。このとき、ビーム電流の検出値に基づいてスイッチ部のオンオフ制御をするイオンビーム発生装置用電源の制御は、ビーム電流を入力側に帰還させたフィードバック制御として行うことができる。
【0017】
このイオンビーム発生装置用電源において、前記スイッチ部のオンオフ制御は、パルス幅制御、周波数制御、又はそれらの複合形制御によって行うことができる。スイッチ部のオンオフ制御としては、パルス幅制御ではスイッチ部のオンオフ動作のデューティ比を変えることにより、またパルス周波数制御ではスイッチのオンオフの周波数(パルスレート)を変えることにより、出力側(二次側、即ち、イオンビーム発生装置)に送る電力を制御することができる。
【0018】
このイオンビーム発生装置用電源において、前記スイッチ部のオンオフ制御は、前記イオンビーム発生装置用電源の定常動作状態において、パルス幅制御、周波数制御、又はそれらの複合形制御によって行うことができる。スイッチ部のオンオフ制御については、イオンビーム発生装置用電源が定常動作状態にあり、定常動作するビーム電源に流れるビーム電流の検出値が得られるときにおいて行うのが好ましく、このとき、スイッチ部のオンオフ制御としては、パルス幅制御ではスイッチ部のオンオフ動作のデューティ比を変えることにより、またパルス周波数制御ではスイッチのオンオフの周波数(パルスレート)を変えることにより、出力側(二次側、即ち、イオンビーム発生装置)に送る電力を制御することができる。
【0019】
このイオンビーム発生装置用電源において、前記放電電源は放電電流検出信号を処理する絶縁アンプを備えており、前記絶縁アンプに電力を送る絶縁電源に送る電力を独立してオンオフ可能とすることができる。絶縁電源に送る電力をオンにするときには、従来と同様の電源制御を行うことができる。絶縁電源に送る電力をオフにすることにより、絶縁アンプを介して放電電流検出信号を放電電源の制御に利用することなく、この発明によるイオンビーム発生装置用電源の制御に移行することができる。
【0020】
このイオンビーム発生装置用電源において、前記スイッチ部については、前記イオンビーム発生装置が定常動作状態でないとき、予め設定されたデューティ比又はパルスレートで動作させることが好ましい。イオンビーム発生装置が暖気運転状態にあるなどのようにビーム電流が流れない場合、ビーム電流の検出値がビーム電源の定常動作に対応した電流想定範囲外の値となり、通常の放電電源の制御ができない。このようなイオンビーム発生装置が定常動作状態にないときには、スイッチ部を予め設定されたデューティ比又はパルスレートで動作させることで、放電電源の出力を制御することができる。
【0021】
【発明の実施の態様】
以下、この発明によるイオンビーム発生装置用電源の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、この発明によるイオンビーム発生装置用電源の第1実施例である回路を示す図である。なお、実施例においては、イオンビーム発生装置の構成の記載はその要部に留めており、陰極加熱装置とその回路、イオンビーム加速電極とその回路等、イオンビーム発生装置について周知の構成は省略してある。
【0022】
イオンビーム発生装置1は、主に電子を放出する陰極1aと、電子を吸収する陽極1bと、イオン抽出孔を有するスクリーン電極1cにより構成され、これらによって外部と隔離された空間である放電室1d内で電子衝撃によりイオンを生成し、放電室1dの電位を地表電位に対して上げることにより、生成したイオンをスクリーン電極1cの孔から放出し、イオンビームを発生させる。陰極1aから電子を放出し、放電室1d内でイオンを生成するために、陰極1aと陽極1bの間に放電電源6を挿入し、放電室1dの電位を地表電位に対して上げるために陰極1a及びスクリーン電極1cと地表の間に定電圧制御されるビーム電源7aが挿入されている。
【0023】
第1実施例では、ビーム電源7aの出力電圧を一定に保ちながら発生させるイオンビームの量を制御するために、スイッチング方式の放電電源6のスイッチ部6aを直接制御している。通常の動作領域においては、放電電源6の出力電流が大きくなると、イオンビームの量、即ちビーム電流が増加する。このためビーム電流検出器7bから矢線71によって示される経路によりビーム電流検出値信号を比較器7cに送り、このビーム電流検出値信号と、同様に矢線72によって示される経路により比較器7cに送られたビーム電流設定値信号とを比較器7cにおいて比較し、比較器7cの出力が矢線62に示される経路により、スイッチ部6aに放電電流制御信号として送られる。放電電源6は主に一次電流をオンオフするスイッチ部6aと、入力側と出力側を直流的に絶縁する絶縁トランス6bと、交流を直流化する整流・平滑部6cにより構成される。
【0024】
以上のように構成されているイオンビーム発生装置用電源においては、放電電源6のスイッチ部6aを直接制御することにより、発生イオンビーム量を制御することができる。イオンビーム発生装置が定常動作でない場合、例えば放電電源6が動作し、ビーム電源7が休止していて、ビーム電流が流れない暖機運転の場合には、スイッチ部6aは予め設定された動作をするものとする。一例を挙げれば、パルス幅制御の場合には、一定パルス幅とする。
【0025】
第1実施例においては、放電電源6に必要な部位が従来のイオンビーム発生装置用電源と比べて少ないことにより、電源全体の体積と質量も削減され、運搬や設置が容易になる。特に宇宙用機器としてその効果は大きい。また、放電電源6に必要な部位が従来のイオンビーム発生装置用電源と比べて少ないことにより、電源全体の信頼性が向上し、特に宇宙用機器としてその効果は大きい。更にまた、従来のイオンビーム発生装置用電源と比べて放電電源に必要な部位も少ないことにより、電源全体のコストを下げることができる。
【0026】
本発明によるイオンビーム発生装置用電源の第2実施例を、図2に示す回路図に基づいて説明する。図2に示されているイオンビーム発生装置用電源は、図1に示すイオンビーム発生装置用電源と比較して、スイッチ部6aは比較器6gから矢線62で示される経路で送られる放電電源制御信号と比較器7cから矢線73で示される経路で送られる放電電流設定値信号を選択的に受け入れ、スイッチの制御に使用する。また、電力スイッチ6hは絶縁電源6fに供給する電力をオンオフする。その他の構成は、図3に示す従来のイオンビーム発生装置用電源の構成と同様であるので、再度の詳細な説明を省略する。
【0027】
この実施例において、イオンビーム発生装置が定常動作状態でない場合には、スイッチ部6aは比較器6gから矢線62で示される経路で送られる放電電源制御信号をスイッチの制御に使用する。このとき、電力スイッチ6hはオンの状態にあり、図3に示す従来のイオンビーム発生装置と同様な動作をする。更に、スイッチ部6が予め設定されたデューティ比又はパルスレートで動作されるという機能を付加することを妨げるものではない。また、イオンビーム発生装置が定常動作状態である場合には、スイッチ部6aは比較器7cから矢線73で示される経路で送られる放電電流設定値信号をスイッチの制御に使用する。このとき、電力スイッチ6hはオフの状態にあり、第1実施例について説明したことと同様の動作をする。第2実施例においては、ビーム電源7aが休止状態にあるなど、定常動作状態になく、ビーム電流が、検出されないなどのような、ビーム電源7aの定常動作に対応した電流想定範囲外の値である場合でも、放電電源6の出力を制御でき、暖気運転時に効果的である。
【0028】
以上の実施例において、スイッチの制御には、パルス幅制御(通称PWM)、パルス周波数制御、これらの複合形、その他絶縁トランス6bの2次側に送る電力を変化させることが可能なあらゆる方式が含まれる。パルス幅制御では、スイッチのオンオフのデューティ比を変えることによって2次側に送る電力を変化させることが可能である。また、パルス周波数制御ではスイッチのオンオフの周波数を変えることによって2次側に送る電力を変化させることも可能である。更にこれらの複合形として、オン時間固定では、オフ時間の長さを変えることによって、2次側に送る電力を変化させることも可能である。オフ時間固定では、オン時間の長さを変えることによって、2次側に送る電力を変化させることも可能である。
【0029】
以上の実施例は、アナログ信号の伝送を想定して描かれているが、デジタル信号の伝送によって置き換えることも可能である。また、以上の実施例では、陰極1aとスクリーン電極1dは同電位であるとしたが、これに限るものではない。また、放電電源6の陰極側をビーム電源7aの陽極側に接続したが、これに限るものではなく、陽極側を接続することもある。更に、以上の実施例の接地点は、地表電位に拘泥するものではなく、状況に応じて適当な電位とする。例えば人工衛星に搭載する場合には、衛星構体電位またはその他の適当な電位を取ることができる。
【0030】
本発明は、同時に他の制御系が働くことを排除するものではない。例えばスイッチ部6aの制御信号として、絶縁トランス6bのタップや別の独立巻線から得た信号も併用することもある。以上の実施例において、比較器7cを放電電源6の外に置いたが、そのように限るものではなく、放電電源6の中に置くことも可能である。また、他の部位についても、その位置を実施例の場所に限定するものではない。更に、第2実施例において、電力スイッチ6hを省略する場合もあり得る。
【0031】
【発明の効果】
この発明によるイオンビーム発生装置用電源は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。即ち、放電電源のスイッチ部のオンオフは、ビーム電流の検出値に基づいて制御されるので、ビーム電流の変動に対して高速の応答が可能となり、安定なビーム電流が得られる。即ち、この発明によるイオンビーム発生装置用電源では、従来のイオンビーム発生装置用電源で用いていた、応答時間を要する絶縁アンプや絶縁電源を備え放電電源の出力電流を検出して利用する制御系を有していないか、或いはそうした制御系を有していてもその制御系を利用することなく、放電電源のスイッチ部のオンオフ制御を行っているので、放電電源の絶縁トランスの2次側には電力を必要とする部分が無くなる。上記制御系を有していてもその制御系を利用しない電源では、定常動作時には、絶縁電源が不要となり、絶縁電源の消費電力を減少させることができる。また、上記制御系を有していない電源では、定常動作時も含めて絶縁電源の消費電力が不要になる。従って、この発明によるイオンビーム発生装置用電源では、放電電源の消費電力と発熱量が減少し、効率が上昇して放熱が容易になり、特に、宇宙用機器としてその効果は大きい。
【0032】
この発明によるイオンビーム発生装置用電源においては、絶縁アンプや絶縁電源を介さずに放電電源を制御することにより、放電電源に必要な部位を減少することができ、電源全体の体積と質量も削減され、運搬や設置が容易になる。電源全体の体積及び質量を小さくすることは、特に、宇宙用機器としてその効果は大きい。また、放電電源に必要な部位が従来のイオンビーム発生装置用電源と比べて少ないことにより、電源全体の信頼性が向上し、特に、宇宙用機器としてその効果は大きい。更にまた、放電電源に必要な部位が従来のイオンビーム発生装置用電源と比べて少ないことにより、電源全体のコストを下げることができる。
【0033】
放電電源に放電電流検出信号を処理する絶縁アンプを備え、前記絶縁アンプに電力を送る絶縁電源に送る電力を独立してオンオフ可能とした構造においては、ビーム電源が休止していてビーム電流が零の場合でも、絶縁電源に送る電力をオンとすることにより、従来のイオンビーム発生装置用電源と同様の態様で放電電源の出力を制御でき、暖気運転時に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるイオンビーム発生装置用電源の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】この発明によるイオンビーム発生装置用電源の第2実施例を示すブロック図である。
【図3】従来のイオンビーム発生装置用電源の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 イオンビーム発生装置
1a 陰極 1b 陽極
1c スクリーン電極 1d 放電室
6 放電電源
6a スイッチ部(スイッチ制御回路を含む) 6b 絶縁トランス
6c 整流・平滑部 6d 放電電流検出部
6e 絶縁アンプ 6f 絶縁電源
6g 比較器 6h 電力スイッチ
61 放電電流検出値信号の経路を示す矢線
62 放電電源制御信号の経路を示す矢線
7a ビーム電源 7b ビーム電流検出部 7c 比較器
71 ビーム電流検出値信号の経路を示す矢線
72 ビーム電流設定値信号の経路を示す矢線
73 放電電流設定値信号の経路を示す矢線
8 電力の経路を示す矢線
Claims (6)
- 駆動源となる交流電力の供給を断続するスイッチング方式のスイッチ部を有し且つイオンビーム発生装置の陽極と陰極との間に挿入される放電電源、並びに前記イオンビーム発生装置の前記陰極及びスクリーン電極と接地との間に挿入されるビーム電源を備え、前記ビーム電源を流れるビーム電流を安定化させるため、前記ビーム電源に流れるビーム電流の検出値と前記ビーム電流の設定値とに基づいて制御信号を生成し該制御信号に基づいて前記放電電源の前記スイッチ部を直接にオンオフ制御することから成るイオンビーム発生装置用電源。
- 前記スイッチ部のオンオフ制御は、前記イオンビーム発生装置用電源の定常動作状態において行われることから成る請求項1に記載のイオンビーム発生装置用電源。
- 前記スイッチ部のオンオフ制御は、パルス幅制御、周波数制御、又はそれらの複合形制御によって行われることから成る請求項1に記載のイオンビーム発生装置用電源。
- 前記スイッチ部のオンオフ制御は、前記イオンビーム発生装置用電源の定常動作状態において、パルス幅制御、周波数制御、又はそれらの複合形制御によって行われることから成る請求項1に記載のイオンビーム発生装置用電源。
- 前記放電電源は放電電流検出信号を処理する絶縁アンプを備えており、前記絶縁アンプに電力を送る絶縁電源に送る電力を独立してオンオフ可能としたことから成る請求項1に記載のイオンビーム発生装置用電源。
- 前記スイッチ部は、前記イオンビーム発生装置が定常動作状態にないとき、予め設定されたデューティ比又はパルスレートで動作されることから成る請求項1に記載のイオンビーム発生装置用電源。
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