JP3798432B2 - ディジタル画像を符号化および復号化する方法および装置 - Google Patents
ディジタル画像を符号化および復号化する方法および装置 Download PDFInfo
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Description
本発明は、ディジタル画像を含むビデオデータストリームの符号化および復号化に関する。
【0002】
画像符号化の標準規格MPEG1、MPEG2、JPEG、H.261、H.263に相応するビデオ信号の符号化はいわゆるブロックベースの画像符号化の方式に基づいている(文献[1]〜[4]を参照)。
【0003】
ブロックベースの画像符号化では予測符号化および変換符号化の方式が使用されている。
【0004】
予測のために、予測された画像データを符号化すべき元の画像データから減算することにより差の画像が形成される。ここではいわゆる動き補償予測が使用されており、このために必要な動きの推定ないし見積もりの基礎、および動き補償予測への応用は当業者には周知である(文献[5]を参照)。動きの推定は符号化すべき画像ブロックごとに符号化すべき画像ブロックの画像の各ピクセルに対応しているルミナンス情報(輝度情報とも称する)と、時間的に先行する記憶された画像における同じ形状の領域のルミナンス情報とを比較して行われる。この比較は通常個々のルミナンス値の絶対差を形成することにより行われる。つまり符号化すべき画像ブロックと先行する画像の複数の領域とが比較される。先行の画像を以下先行画像ブロックと称する。差の画像は、画像ブロックのルミナンス値と動きの推定の際に“最も良好に”一致する先行画像ブロックのルミナンス値との差のみを含む。
【0005】
差の画像に存在している位置的な相関関係、すなわち隣接するピクセル間の相関関係が適切な変換例えば離散コサイン変換DCTによって利用される。使用された変換符号化から変換符号化係数が得られ、この係数に対して量子化およびエントロピー符号化が行われる。続いて変換符号化係数は受信機へ伝送され、そこで符号化の手法全体が反転した形で実施される。これにより受信機では復号化の実施後、再び直接にピクセルに関する情報を使用可能となる。
【0006】
また、ブロックベースの画像符号化法では2つの異なる画像符号化モードが区別される。フレーム内符号化モードではそのつど画像全体または適切な画像部分(例えば画像ブロック)が画像のピクセルに対応する全符号化信号とともに符号化および伝送され、いわゆるIピクチャまたはIピクチャブロックが符号化されている。フレーム間符号化モードではそのつど時間的に連続する2つの画像の差の画像情報のみが符号化され伝送され、いわゆるPピクチャまたはBピクチャ、またはPピクチャブロックまたはBピクチャブロックが符号化されている。
【0007】
符号化信号とは以下では画像のピクセルに対応する輝度情報(ルミナンス情報)または色情報(クロミナンス情報)を意味するものとする。
【0008】
文献[6]からは、いわゆるオブジェクトベースの画像符号化のための手法が知られる。オブジェクトベースの画像符号化では1つの画像のセグメント分割がその画像に存在している画像オブジェクトに相応に行われる。画像オブジェクトは個別に符号化される。この手法でも同様に動きの推定および変換符号化の手法が使用される。
【0009】
オブジェクトベースの画像符号化法では、各画像オブジェクトBOがまず固定の大きさ、例えば8×8ピクセルを含む画像ブロックBPに分解される(図4を参照)。分解後に得られた多数の画像ブロックには画像オブジェクトBOの完全な内部に存在しているものもあるが、画像オブジェクトBOのオブジェクトエッジOKの部分を含む画像ブロックもある。オブジェクトエッジOKの少なくとも一部を含む画像ブロックを以下では境界画像ブロックRBBと称する。
【0010】
分解後、画像オブジェクトBOの完全な内部に存在している画像ブロックBBは上述のブロックベースの画像符号化法に則って一般的なブロックベースの離散コサイン変換DCTを用いて変換符号化される。一方、境界画像ブロックRBBは特殊な手法で符号化しなければならない。
【0011】
境界画像ブロックRBBの符号化に対して、従来2つの基本的な手がかりが存在している。
【0012】
よく知られているのは、境界画像ブロックRBB内部の画像オブジェクトBOのピクセルの符号化信号を、符号化信号の適切な外挿法を用いて完全な境界画像ブロックRBBの平面へ補足する手法である。この手法はパディングと称される。補足された平面は続いて通常の2次元の離散コサイン変換DCTにより符号化される。
【0013】
これに代えて、文献[6][7]からは、境界画像ブロックRBB内部の画像オブジェクトBOのピクセルの符号化信号を行および列にしたがって別々に変換する手法も知られる。この技術はシェイプアダプティブ変換符号化と称され、DCTが使用される場合にはシェイプアダプティブDCTと称される(Shape Apaptive DCT/SA-DCT)。画像オブジェクトBOに対応するDCT係数は、境界画像ブロックRBBにおける画像オブジェクトBOに属さないピクセルがフェードアウトされるように定められる。残りのピクセルBPにはまず列ごとに1次元DCTが適用され、その長さはそれぞれの列の残りのピクセルBPの数に相応する。得られたDCT係数は水平方向に配向され、続いてさらに1次元DCTが水平方向に相応の長さで行われる。
【0014】
文献[7]から周知のシェイプアダプティブDCTの式は、次の構造を有する変換マトリクスDCT-Nに基づいている。すなわち
DCT-N(p,k)=γ・cos[p・(k+1/2)・π/N]
k,p=0→N−1
ここでγの値はp=0の場合γ=1/√2であり、他の全ての場合γ=1である。Nは変換されたピクセルを含む変換すべき画像ベクトルの大きさを表しており、DCT-NはN×Nの大きさの変換マトリクスを表しており、p,kはp,k∈[0,N−1]で示されるインデクスである。
【0015】
シェイプアダプティブDCTの後、変換すべき画像ブロックの各列は式
cj=2・(2/N)・DCT-N・xj
により垂直方向で変換され、その後同じ式が得られたデータに水平方向で適用される。
【0016】
シェイプアダプティブDCTの欠点は、得られる変換係数(スペクトル係数)のいずれも画像オブジェクトBOのピクセルBPの符号化信号の直流成分を表していないことである。DC係数と称される直流成分は通常の画像データでは信号エネルギの最大の成分であり、したがって効率的な画像符号化に重要な意義を有している。
【0017】
したがって本発明の課題は、直流成分を考慮した効率的な符号化および復号化の可能なディジタル画像の符号化および復号化方法および装置を提供することである。
【0018】
この課題は請求項1、5に記載の方法、請求項9、13に記載の装置、および請求項17、18に記載の記憶媒体を構成することにより解決される。
【0019】
装置は専用のハードウェアモジュール、例えばディジタル画像処理専用のコンピュータカードであってもよい。このコンピュータカードは以下に説明する符号器ないし復号器の論理ユニットのための専用モジュールを含んでいる。
【0020】
この方法および装置の利点は、直流成分を個別に求め、それぞれの画像ブロックまたはその一部のこの直流成分を低減することにより、画像の伝送に必要な伝送容量を著しく節約でき、画像データの圧縮の向上を達成できること、また以下に説明する正規直交のシェイプアダプティブDCTのバリエーションを使用できることである。これによりさらに符号化効率が改善され、データレートが等しい場合には画像の品質を著しく向上させることができる。具体的には本発明により、境界画像ブロックごとにこの境界画像ブロックに含まれるピクセルの符号化信号の直流成分を個別に求めて、境界画像ブロックのピクセルの符号化信号からこれを差し引き、これにより符号化効率の向上を達成することができる。
【0021】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0022】
符号化方法の実施形態として有利には、位置領域におけるピクセルの符号化信号の信号エネルギが周波数領域におけるピクセルの変換された符号化信号の信号エネルギに等しくなるように変換符号化が行われる。
【0023】
その際に有利には、変換係数cjをピクセルの符号化信号の差値djから次の式
【0024】
【数11】
【0025】
にしたがって形成する。ここでdjは符号化信号と直流成分との間の差値を表しており、NはピクセルBPが含まれている変換すべき画像ベクトルの大きさを表しており、DCT-NはスN×Nの大きさの変換マトリクスを表しており、p,kはp,k∈[0,N−1]で示されるインデクスである。
【0026】
上述の正規直交のシェイプアダプティブDCTの変形により符号化効率が著しく向上する。
【0027】
復号化方法の実施形態として有利には、位置領域におけるピクセルの符号化信号の信号エネルギが周波数領域におけるピクセルの変換された符号化信号の信号エネルギに等しくなるように逆変換符号化が行われる。
【0028】
その際に有利には、差値djを変換係数cjから次の式
【0029】
【数12】
【0030】
にしたがって形成する。ここでNはピクセルxjが含まれている変換すべき画像ベクトルの大きさを表しており、DCT-NはN×Nの大きさの変換マトリクスを表しており、p,kはp,k∈[0,N−1]で示されるインデクスであり、(・)−1はマトリクスの反転を表している。
【0031】
この方法は、画像オブジェクトのオブジェクトエッジ(以下境界画像ブロックと称する)を含む画像ブロックの符号化に特に適している。
【0032】
図に本発明の有利な実施例を示し、以下に詳細に説明する。
【0033】
図1には符号化方法および復号化方法の個々の方法ステップがフローチャートで示されている。図2には画像データの記録、符号化、伝送および復号化のための2つのコンピュータ、カメラおよび伝送媒体を有するコンピュータ装置の概略図が示されている。図3には通常使用されている論理ユニットを用いてブロックベースで画像符号化を行うための一般的な装置の概略図が示されている。図4には画像オブジェクト、画像ブロックおよび境界画像ブロックを有する画像がシンボリックに示されている。
【0034】
図2には一連の画像Bを記録するカメラKと、接続線路Vを介してこの画像が供給される第1のコンピュータR1とが示されている。
【0035】
第1のコンピュータR1では画像Bのシーケンスの複数の画像がディジタル化され、文献[6]に記載のMPEG4規格の手法により符号化される。
【0036】
第1のコンピュータR1は伝送媒体UM、例えばケーブルまたは無線伝送区間を介して第2のコンピュータR2に接続されている。伝送媒体UMを介して第1のコンピュータR1によって符号化された画像データは第2のコンピュータR2へ伝送され、そこで復号化される。
【0037】
第1のコンピュータR1および第2のコンピュータR2はそれぞれ1つずつバスBUを介して相互接続されたメモリSPおよび計算ユニットREを有している。第1のコンピュータR1の計算ユニットREは以下に説明するディジタル画像の符号化の方法ステップを行うように構成されている。第2のコンピュータR2の計算ユニットREは、受信された符号化データをMPEG2の手法に相応に復号化するように構成されている。第1のコンピュータR1および第2のコンピュータR2はさらに画像Bを表示するためにそれぞれ画面BSを有しており、またコンピュータR1、R2を操作するためのキーポードTA、マウスMAを有している。
【0038】
図4には、MPEG4の範囲で画像Bに存在する画像オブジェクトBOに相応して画像Bのセグメント分割が行われる様子が示されている。画像BOオブジェクトは個々に符号化される。
【0039】
画像オブジェクトBOを符号化するために、この画像オブジェクトBOはまず固定の大きさ、この場合には8×8のピクセルBPの画像ブロックBBに分解される。分解後、得られた画像ブロックの一部は完全に画像オブジェクトBO内部に存在しており、このことは図4に示されている。画像Bは少なくとも1つの画像オブジェクトBOを有しており、この画像オブジェクトBOは画像オブジェクトBOのオブジェクトエッジOKによって区切られている。
【0040】
図3には、分解後、完全に画像オブジェクトBO内部に存在する画像ブロックBBが上述のブロックベースの画像符号化法に則って通常のブロックベースの離散コサイン変換DCTを用いて変換符号化される様子が示されている。
【0041】
画像ブロックBBはフレーム内符号化モードまたはフレーム間符号化モードで符号化される。これらのモード間の切換のために2つのスイッチユニットSEが設けられている。
【0042】
フレーム内符号化モードを行うために減算ユニットSが設けられており、この減算ユニットで画像ブロックBBのピクセルBPのルミナンス情報から以下に説明する予測された画像ブロックPBBのピクセルのルミナンス情報が差し引かれる。差形成によって生じた差の画像ブロックDBBは変換符号化DCTのためのユニットへ供給され、このユニットで差の画像ブロックDBBに変換係数TKを形成するための離散コサイン変換DCTが適用される。変換係数TKは量子化ユニットQで量子化されてQTKとなる。量子化された変換係数QTKはエントロピー符号化VLCのためのユニットへ供給され、このユニットにおいていわゆるランレングス符号化および/またはいわゆる可変長符号化(Variable Length Coding)が行われる。符号化の際に量子化された変換係数QTKはさらに逆量子化のためのユニットIQへ供給される。このユニットで逆量子化された変換係数IQTKが形成される。逆変換符号化IDCTのためのユニットでは供給された逆量子化済みの変換係数IQTKが逆変換される。これにより逆変換係数ITKが得られ、この係数は加算ユニットAEへ供給される。また加算ユニットAEにはさらに予測された画像ブロックPBBが供給される。予測された画像ブロックPBBは予測された変換係数を有しており、この係数が逆変換係数ITKに加算される。ここから得られる再構成された変換係数RTKがメモリSPに記憶される。
【0043】
メモリSPにはそのつど時間的に先行する少なくとも1つの再構成された画像が記憶されている。この先行画像は再構成された変換係数RTKを有する先行画像ブロックを有している。この係数は先行画像の先行のピクセルBPの先行のルミナンス情報を表している。メモリSPに記憶された画像は動きの推定のために使用される。動きの推定は動き推定ユニットBSCで行われる。
【0044】
動きの推定は各画像ブロックBBのピクセルBPについてそのルミナンス情報と先行の画像のピクセルBPのルミナンス情報とを比較することにより行われる。先行画像には先行の画像ブロックとしてグループ化された先行の各ピクセルが使用される。
【0045】
画像ブロックBBに対して画像ブロックBBに含まれているピクセルBPのルミナンス情報と、画像ブロックBBと同じ形状を有する先行の画像の所定の領域でのピクセルのルミナンス情報との絶対差が形成される。この差を以下ではエラーの度合と称する。
【0046】
エラーの度合は画像ブロックBBごとに次の式にしたがって形成される。
【0047】
【数13】
【0048】
ここでiは画像ブロックBB内部の行を一義的に識別するための行インデクスであり、jは画像ブロックBB内部の列を一義的に識別するための列インデクスである。xi,jはi,jによって示される位置に存在する画像ブロックBB内のピクセルBPに割り当てられているルミナンス値である。yijは画像ブロックBBと比較される先行画像の領域内のi,jによって示される位置に存在する先行のピクセルBPに割り当てられているルミナンス値である。
【0049】
エラーの度合は所定数の先行の画像内部の領域、いわゆるサーチ領域ごとに形成される。
【0050】
動きの推定の結果として先行の画像Bのうちエラーの度合が最小となる領域が予測された画像ブロックPBBとして選択される。なぜならこの領域については画像ブロックBBとの一致が最適化されているからである。さらに動きの推定の点で先行の画像の予測された画像ブロックPBBに対する画像ブロックBBの位置的なオフセットが求められる。このオフセットを以下では動きベクトルBVと称する。
【0051】
動きの推定に関して先行の画像領域の一義的なアドレシングのためにADRもメモリSPに供給される。動きベクトルBVは動きの推定が完全に終了した後メモリSPに記憶される。
【0052】
予測された画像ブロックPBBのピクセルのルミナンス値が減算ユニットSEに供給され、これが画像ブロックBBのピクセルBPのルミナンス値から差し引かれる。
【0053】
フレーム間符号化モードでは画像ブロックBBに完全にDCTが行われ、量子化され、エントロピー符号化される。動きの推定はこのモードでは行われない。
【0054】
境界画像ブロックRBBは特別な手法で符号化しなければならない。本発明を以下に境界画像ブロックRBBとフレーム内符号化モードとに対して説明する。
【0055】
図1には本発明の方法の個々のステップを示したフローチャートが示されている。
【0056】
第1のステップ101で、境界画像ブロックRBBはフレーム内符号化モードで変換符号化DCTのためのユニットへ供給される。
【0057】
第2のステップ102で、変換符号化DCTのためのユニットにおいて、画像オブジェクトBOに所属する境界画像ブロックRBBのピクセルBPの符号化信号の直流成分DCが求められる。この直流成分DCは次の式
【0058】
【数14】
【0059】
にしたがって形成される。ここでNは境界画像ブロックRBBの画像オブジェクトBOに所属するピクセルBPの数である。f(i,j)は符号化信号の値を表しており、この値はインデクスi,jによって示される位置に存在するピクセルBPに割り当てられている。
【0060】
第3のステップ103では、求められた直流成分DCが、画像オブジェクトBOに属する境界画像ブロックRBBの各ピクセルBPの符号化信号から減算される。
【0061】
ここで符号化信号f(i,j)の差値d(i,j)はそれぞれピクセルごとに境界画像ブロックRBB内部の位置(i,j)で次の式
d(i,j)=f(i,j)−DC ∀ (i,j)∈BO
にしたがって形成される。第4のステップ104で、差値d(i,j)に対してシェイプアダプティブDCTの変形手法が行われる。差のベクトルdjとしてまとめられて変換係数cjがピクセルの符号化信号の差値d(i,j)のベクトルdjから次の式
【0062】
【数15】
【0063】
で得られる。ここでNはピクセルBPが含まれている変換すべき画像ベクトルの大きさであり、DCT−NはN×Nの大きさの変換マトリクスを表しており、p,kはp,k∈[0,N−1]で示されるインデクスである。
【0064】
具体的にはこの変換係数cjを形成するための式は、位置領域におけるピクセルBPの符号化信号の信号エネルギが周波数領域におけるピクセルBPの変換された符号化信号の信号エネルギに等しいことを意味している。
【0065】
第5のステップ105で、直流成分DCは所定の係数αと乗算され、スケーリングされた直流成分DC’となる。すなわち
DC’=α・DC
有利には係数α=sqrt(n)に対する値が導出されている。ここでnは境界画像ブロックRBB内の画像オブジェクトBOに属するピクセルBPの数である。
【0066】
変換係数cjおよびスケーリングされた直流成分DC’は第6のステップ106で量子化され、第7のステップ107でエントロピー符号化が行われる。
【0067】
第8のステップ108で、符号化された画像情報は第1のコンピュータR1から第2のコンピュータR2へ伝送媒体UMを介して伝送される。
【0068】
第2のコンピュータR2では符号化された画像データが受信され、画像の復号化が次の方法ステップで境界画像ブロックRBBに対して行われる。残りの画像ブロックは通常の符号化法を反転して復号化される。すなわちエントロピー復号化、逆量子化、逆変換、および場合により動き補償が行われる。
【0069】
各境界画像ブロックRBBに対しても同様に第9のステップ109でエントロピー復号化が行われ、第10のステップ110で逆量子化が行われる。
【0070】
伝送されるスケーリングされた直流成分DC’から係数αの逆数α−1が乗算されることにより、第11のステップ111で直流成分DCが再構成される。
【0071】
逆量子化された変換係数cjから第12のステップ112で差値d(i,j)が求められる。差のベクトルdjとしてまとめられ、ピクセルの符号化信号の差値d(i,j)のベクトルdjが変換係数cjから次の式
【0072】
【数16】
【0073】
によって得られる。
【0074】
第13のステップ113で直流成分DCが再びピクセルの符号化信号の差値d(i,j)に加算され、これによりピクセルの元の符号化信号が再構成され、境界画像ブロックが復号化される。
【0075】
以下に上述の実施例に代わる手段を示す。
【0076】
本発明はMPEG4による手法に限定されない。本発明はそれぞれオブジェクトベースの画像符号化法に対しても有利には使用可能である。なぜならこの手法では常に境界画像ブロックの符号化ないし復号化の問題が生じるが、本発明によればこの問題がきわめて有利に解決されるからである。
【0077】
本発明はそれぞれ、それ自体では直流成分を送出しないブロックベースの変換符号化またはオブジェクトベースの変換符号化に対しても使用可能である。例えば離散サイン変換DSTまたはウェーブレット変換にも使用可能である。
【0078】
本発明は上述のシェイプアダプティブDCTの実施形態に限定されない。またシェイプアダプティブDCTは変更なしに本発明の範囲において使用できる。
【0079】
具体的には本発明は境界画像ブロックごとに、この境界画像ブロックに含まれているピクセルの符号化信号の直流成分が個別に求められて、境界画像ブロックのピクセルの符号化信号から差し引かれる点に特徴がある。これにより符号化効率が高められる。
【0080】
この明細書では次の諸刊行物が引用されている。
[1]D.Le Gall, The Video Compression Standard for Multimedia Applications, Communications of the ACM, Vol.34, No.4, P.47-58, April 1991
[2]G.Wallace, The JPEG Still Picture Compression Standard, Communications of the ACM, Vol.34, No.4, P.31-44, April 1991
[3]Ming Liou, Overview of the px 64kbit/s Video Coding Standard, Communications of the ACM, Vol.34, No.4, P.60-63, April 1991
[4]ITU-T Rec. H.263, Video Coding Low Bitrate Communication, March 1997, P.1-25
[5]A.N.Netravali & J.D.Robbins, Motion Compensated Television Coding: Part I, Bell System Technical Journal, Vol.58, P.631-690, March 1979
[6]ISO/IEC JTC1/SC29/WG11, MPEG-4 Video Verification Model Version 5.0 Doc.1469, P.55-69, Nov.1996
[7]T.Sikora & B.Makai, Shape Adaptive DCT for Generic Coding of Video Technology, Vol.5, P.59-62, Feb.1995
Claims (18)
- ディジタル画像は少なくとも1つの画像オブジェクトを有しており、該画像オブジェクトは任意の数のピクセルを有しており、該ピクセルにルミナンス値またはクロミナンス値としての符号化信号が割り当てられており、
前記ピクセルを画像ブロックとしてグループ化し、
画像ブロックのうち画像オブジェクトを有する画像ブロックの画像オブジェクトに属するピクセルに対して符号化信号の直流成分
を求め、
該直流成分を画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号から差し引き、
該直流成分の低減された画像オブジェクトに属するピクセルの符号化信号に対してシェイプアダプティブ変換符号化(SA-DCT)を行う、
ディジタル画像を符号化する方法において、
符号化信号からの直流成分の減算を、画像オブジェクトのエッジを含みかつフレーム内符号化モードで符号化される画像ブロックのみに適用する
ことを特徴とするディジタル画像を符号化する方法。 - 位置領域におけるピクセルの符号化信号のエネルギが周波数領域における変換符号化されたピクセルのエネルギに等しくなるようにシェイプアダプティブ変換符号化を行う、請求項1記載の方法。
- 直流成分をスケーリングする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- ディジタル画像は少なくとも1つの画像オブジェクトを有しており、該画像オブジェクトは任意の数のピクセルを有しており、該ピクセルにルミナンス値またはクロミナンス値としての符号化信号が割り当てられており、
前記ピクセルは画像ブロックとしてグループ化されており、
画像ブロックのうち画像オブジェクトを有する画像ブロックの画像オブジェクトに属するピクセルに対して符号化信号の直流成分
が求められており、該直流成分が画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号から差し引かれており、該直流成分の低減された画像オブジェクトに属するピクセルの符号化信号に対してシェイプアダプティブ変換符号化が行われた結果の信号から
ディジタル画像を復号化する方法において、
前記シェイプアダプティブ変換符号化された信号のシェイプアダプティブ逆変換符号化を行い、
直流成分と画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号とを加算し、
該直流成分と符号化信号との加算を画像オブジェクトのエッジを含みかつフレーム内符号化モードで符号化される画像ブロックのみに適用する
ことを特徴とするディジタル画像を復号化する方法。 - 位置領域におけるピクセルの符号化信号のエネルギが周波数領域における変換符号化されたピクセルの変換符号化された信号のエネルギに等しくなるようにシェイプアダプティブ逆変換符号化を行う、請求項5記載の方法。
- 直流成分をスケーリングする、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
- ディジタル画像は少なくとも1つの画像オブジェクトを有しており、該画像オブジェクトは任意の数のピクセルを有しており、該ピクセルにルミナンス値またはクロミナンス値としての符号化信号が割り当てられており、
プロセッサユニットが設けられており、該プロセッサユニットは
a)前記ピクセルが画像ブロックとしてグループ化され、
b)画像ブロックのうち画像オブジェクトを有する画像ブロックの画像オブジェクトに属するピクセルに対して符号化信号の直流成分
が求められ、
c)該直流成分が画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号から差し引かれ、
d)該直流成分の低減された画像オブジェクトに属するピクセルの符号化信号に対してシェイプアダプティブ変換符号化(SA-DCT)が行われる
ように構成されている
ディジタル画像を符号化する装置において、
前記プロセッサユニットは、符号化信号からの直流成分の減算を、画像オブジェクトのエッジを含みかつフレーム内符号化モードで符号化される画像ブロックのみに適用するように構成されている
ことを特徴とするディジタル画像を符号化する装置。 - 前記プロセッサユニットは位置領域におけるピクセルの符号化信号のエネルギと周波数領域におけるピクセルの変換符号化された信号のエネルギとを等しくするシェイプアダプティブ変換符号化を行うように構成されている、請求項9記載の装置。
- 前記プロセッサユニットは直流成分をスケーリングするように構成されている、請求項9から11までのいずれか1項記載の装置。
- ディジタル画像は少なくとも1つの画像オブジェクトを有しており、該画像オブジェクトは任意の数のピクセルを有しており、該ピクセルにルミナンス値またはクロミナンス値としての符号化信号が割り当てられており、
前記ピクセルは画像ブロックとしてグループ化されており、
画像ブロックのうち画像オブジェクトを有する画像ブロックの画像オブジェクトに属するピクセルに対して符号化信号の直流成分
が求められており、該直流成分が画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号から差し引かれており、該直流成分の低減された画像オブジェクトに属するピクセルの符号化信号に対してシェイプアダプティブ変換符号化が行われた結果の信号から
ディジタル画像を復号化する装置において、
プロセッサユニットが設けられており、該プロセッサユニットは
前記シェイプアダプティブ変換符号化された信号のシェイプアダプティブ逆変換符号化を行い、
直流成分と画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号とを加算し、
該直流成分と符号化信号との加算を、画像オブジェクトのエッジを含みかつフレーム内符号化モードで符号化される画像ブロックのみに適用するように構成されている
ことを特徴とするディジタル画像を復号化する装置。 - 前記プロセッサユニットは位置領域におけるピクセルの符号化信号のエネルギと周波数領域におけるピクセルの変換符号化された信号のエネルギとを等しくするシェイプアダプティブ逆変換符号化を行うように構成されている、請求項13記載の装置。
- 前記プロセッサユニットは直流成分をスケーリングするように構成されている、請求項13から15までのいずれか1項記載の装置。
- コンピュータのメモリ内にロードされた場合にディジタル画像を符号化する以下の方法ステップを実施可能なプログラムが記憶されている
コンピュータで読み出し可能な記憶媒体において、
前記ディジタル画像は少なくとも1つの画像オブジェクトを有しており、該画像オブジェクトは任意の数のピクセルを有しており、該ピクセルにルミナンス値またはクロミナンス値としての符号化信号が割り当てられており、
a)前記ピクセルを画像ブロックとしてグループ化するステップと、
b)該画像ブロックのうち画像オブジェクトを有する画像ブロックの画像オブジェクトに属するピクセルに対して符号化信号の直流成分
を求めるステップと
c)該直流成分を画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号から差し引くステップと
d)該直流成分の低減された画像オブジェクトに属するピクセルの符号化信号に対してシェイプアダプティブ変換符号化を行うステップとが実行され、
該符号化信号からの直流成分の減算は画像オブジェクトのエッジを含みかつフレーム内符号化モードで符号化される画像ブロックのみに適用される
ことを特徴とするコンピュータで読み出し可能な記憶媒体。 - コンピュータのメモリ内にロードされた場合にディジタル画像を復号化する以下の方法ステップを実施可能なプログラムが記憶されている
コンピュータで読み出し可能な記憶媒体において、
前記ディジタル画像は少なくとも1つの画像オブジェクトを有しており、該画像オブジェクトは任意の数のピクセルを有しており、該ピクセルにルミナンス値またはクロミナンス値としての符号化信号が割り当てられており、
前記ピクセルは画像ブロックとしてグループ化されており、
画像ブロックのうち画像オブジェクトを有する画像ブロックの画像オブジェクトに属するピクセルに対して符号化信号の直流成分
が求められており、該直流成分が画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号から差し引かれており、該直流成分の低減された画像オブジェクトに属するピクセルの符号化信号に対してシェイプアダプティブ変換符号化(SA-DCT)が行われた結果の信号に対して、
該シェイプアダプティブ変換符号化された信号のシェイプアダプティブ逆変換符号化を行うステップと、
直流成分と画像オブジェクトに属する各ピクセルの符号化信号とを加算するステップとが実行され、
該直流成分と符号化信号との加算は画像オブジェクトのエッジを含みかつフレーム内符号化モードで符号化される画像ブロックのみに適用される
ことを特徴とするコンピュータで読み出し可能な記憶媒体。
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