JP3796476B2 - Conductive ink - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低い加熱温度によっても高い導電性を有する被膜が得られるとともに、描画前の乾燥によっても変質しないという相反する要求を両立する導電性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
導電性被膜の製造方法としては従来から、例えば、金属の真空蒸着、化学蒸着、イオンスパッタリング等が行われていた。しかしながら、これらの方法は真空系又は密閉系での作業を必要とするため、操作が煩雑で、装置が大がかりなためスペースを必要とし、費用がかさむ上、量産性に乏しい等の問題があった。
【0003】
メッキによって導電性被膜を形成する方法もあるが、この場合、多量の廃液を処理する必要があり、材料ロスが大きく余分な費用が掛かる上、環境に対する負荷が大きいという問題があった。
【0004】
導電性被膜で配線のパターンを形成するときには、フォトリソグラフィー法が広く用いられているが、この場合、基材上に形成された導電性被膜の必要部分をマスクする工程が余分に必要である。また、用いられる感光性樹脂や除去された金属被膜、及び、それらを溶解させた廃液が多量に排出されるため、処理費用がかさみ、環境負荷が大きい。
【0005】
これらの方法に対して、導電性被膜を形成する材料をコーティング剤として用い、基材上に描画する方法では、特別な装置を設ける必要もなく簡単な設備で生産できるため、広いスペースを必要とせず、費用も少なくてすむ。また、材料ロスや廃液もほとんど出ないことから、コスト面でも有利であり、環境負荷も小さくできる。
【0006】
上記コーティング剤としては、従来、銀や他の金属粒子を樹脂成分や有機溶媒で練り込んだ金属ペーストや、導電性インクと称されるものが用いられ、これらをディスペンサーやスクリーン印刷で塗布して導電性被膜を形成することが多い。また、最近では粘度の低いコロイド状の金属分散液を導電性インクとして用いインクジェット方式で描画し、配線パターンを形成する方法も試みられている。
【0007】
導電性インクの溶媒としては、有機溶剤、非有機溶剤のいずれを用いることもできるが、非有機溶剤、特に水を用いることで、人体に対する影響や環境に対する負荷を低減することができる。
【0008】
このような導電性インクを用いて配線パターンを描画する場合は、描画後に導電性インクが速やかに乾燥する必要があると同時に、印刷前の導電性インクが乾燥によって変質してはならないという、相反する特性を満足させる必要がある。
【0009】
特にインクジェット方式の場合、インクが吐出されるノズルは非常に微細な構造をしており、乾燥による固形分の凝集が起こると、ノズル詰まりに直結し描画ができなくなるという問題があった。
また、描画後の配線パターンは、加熱処理することにより金属粒子同士が焼結し、高い導電性を発現するが、この熱処理温度が高いと描画を行う基材が変形や溶融、劣化等の損傷を受けるため、基材の材料選択が制約を受けてしまう。
【0010】
このため、上記導電性インクには、できるだけ低い温度で加熱処理ができる設計が求められる。しかし、このことは同時に、先に述べた乾燥時の変質という面では、金属粒子同士が凝集体を形成しやすいということに繋がり、両立させることが非常に困難であった。
【0011】
特許文献1及び特許文献2には基板上に配線パターンを形成するための銀コロイド液が記載されているが、描画後に速やかに乾燥することと、印刷前の乾燥による変質を防ぐことを両立しうるための溶媒は開示されていない。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−35255号公報
【0013】
【特許文献2】
特開2001−35814号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低い加熱温度によっても高い導電性を有する被膜が得られるとともに、描画前の乾燥によっても変質しないという相反する要求を両立する導電性インクを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属成分と有機成分とからなる金属コロイド粒子を主成分とする固形分と、溶媒とからなる導電性インクであって、固形分に対して10℃/分の昇温速度で熱重量分析を行ったときの100〜500℃の重量減少が0.01〜7重量%であり、前記溶媒は、水と1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール又はグリセリンとからなることを特徴とする導電性インクである。
以下に本発明を詳述する。
【0016】
本発明の導電性インクは、金属成分と有機成分とからなる金属コロイド粒子を主成分とする固形分と、溶媒とからなるものである。
上記金属成分は、イオン化列が水素より貴な金属よりなることが好ましく、このような金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等を挙げることができる。これらの金属は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記金属のなかでも、銀、銅、白金、パラジウムが好ましい。
【0017】
本発明の導電性インクは、銀とその他の金属との混合コロイド液であることが好ましい。銀を用いることにより、その導電性インクを用いて形成される被膜の導電率が良好となるが、電子材料として銀を用いる場合は、マイグレーションの問題を考慮する必要がある。銀とその他の金属とからなる混合コロイド液を用いることにより、マイグレーションが起こりにくくなる。上記その他の金属とは、上記の金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムである。なかでも、銅、白金、パラジウムが好ましい。
【0018】
上記のような混合コロイド液を用いる場合、導電性インク中の銀とその他の金属との比率としては、銀とその他の金属との合計量に対して銀の比率が30〜99重量%であることが好ましい。銀の比率が99重量%を超えると、マイグレーションを解決することが困難となる。銀の比率が30重量%未満であると、得られる導電性インクの導電性が低下することがある。より好ましい下限は40重量%であり、より好ましい上限は95重量%である。更に好ましい下限は60重量%であり、更に好ましい上限は90重量%である。
【0019】
上記有機成分としては、例えば、分散剤や還元剤として用いられる有機物を挙げることができる。上記還元剤としては、適当な溶媒に溶解し、還元作用を示すものであれは特に限定されないが、なかでも、タンニン酸、ヒドロキシ酸が好適に用いられる。タンニン酸や、ヒドロキシ酸は還元剤として機能すると同時に分散剤としての効果を発揮する。これらの分散剤や還元剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0020】
上記タンニン酸を用いると、金属コロイド粒子の分散安定性が向上し、導電性インクを乾燥・加熱処理することにより導電性に優れた被膜を得ることができる。上記タンニン酸としては、一般にタンニン酸と称されるもの全てを用いることができ、ガロタンニン酸、五倍子タンニン等と表現されるものも含まれる。
【0021】
上記タンニン酸の含有量としては、金属イオン1価/gに対して、0.01〜6gであることが好ましい。これは、例えば、1価の銀イオンの場合は、銀イオン1g当たりのタンニン酸の含有量は0.01〜6gであり、3価の金イオンの場合は、金イオン1g当たりのタンニン酸の含有量は0.03〜18gである。タンニン酸の含有量が少なすぎると還元反応が充分に進まず、多すぎると過剰に吸着して被膜中に残存することがある。より好ましい下限は0.1gであり、より好ましい上限は1.5gである。
【0022】
上記COOH基とOH基とを合わせて3個以上有し、かつ、COOH基の数はOH基の数以上であるヒドロキシ酸又はその塩を用いると、金属コロイド粒子の分散安定性が向上し、導電性インクを乾燥・加熱処理することにより導電性に優れた被膜を得ることができる。上記ヒドロキシ酸としては、例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、りんご酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム等を挙げることができる。
上記ヒドロキシ酸の含有量は少なすぎると効果が現れず、多すぎると不純物となり、被膜の導電性を阻害するので、金属イオン1価/gに対して、0.1〜15gであることが好ましい。
【0023】
本発明の導電性インクにおいて、上記金属成分と有機成分とからなる金属コロイド粒子の形態としては特に限定されず、例えば、上記金属成分からなる粒子の表面に有機成分が付着しているもの、上記金属成分からなる粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されているもの、金属成分と有機成分とが均一に混合されてなる粒子等を挙げることができる。なかでも、上記金属成分からなる粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されているもの、金属成分と有機成分とが均一に混合されてなる粒子が好ましい。
【0024】
上記金属コロイド粒子中の有機成分量としては、0.5〜30重量%が好ましい。0.5重量%未満であると、得られる導電性インクの貯蔵安定性が悪くなる傾向があり、30重量%を超えると、得られる導電性インクを用いてなる導電性被膜の導電率が悪くなる傾向がある。より好ましい下限は1重量%であり、より好ましい上限は20重量%である。なお、本発明の導電性インクにおいて、上記金属コロイド粒子の「有機成分」とは、金属成分とともに実質的に粒子を構成する有機物のことであり、金属中に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入した微量の有機物が金属成分に付着したもの、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等の有機物が微量、金属成分に付着したもの等は含まれない。また、本発明の導電性インクにおいて、上記「微量」とは、具体的には、金属コロイド粒子中1重量%未満をいう。
本発明の導電性インクにおいて、上記金属コロイド粒子は有機成分を含むものであるので、溶液中での粒子の分散安定性が高い。そのため、導電性インクの金属含量を上げても金属コロイド粒子が凝集しにくく、良好な分散性が保たれる。
【0025】
上記金属コロイド粒子の平均粒径は、1〜400nmであることが好ましい。上記金属コロイド粒子の平均粒径が1nm未満であっても、良好な導電性を有する被膜は得られるが、一般的にそのような微金属コロイド粒子の製造はコスト高で実用的でない。400nmを超えると、金属コロイド粒子の分散安定性が経時的に変化しやすい。より好ましい上限は70nmである。
【0026】
本発明の導電性インクにおいて、上記固形分の濃度は1〜70重量%であることが好ましい。ここで、固形分とは、導電性インクから大部分の溶媒をシリカゲル等により取り除いた後、70℃以下の温度で乾燥させたときに残存する固形分をいい、通常、この固形分は、金属コロイド粒子、残留分散剤及び残留還元剤等からなる。
【0027】
上記固形分の濃度が1重量%未満であると、得られた導電性インクの金属の含有量が少なすぎるので、導電性被膜を形成する際、必要な厚みを出すために何度も重ね塗る必要が生じ工業的に不利である。上記固形分の濃度が70重量%を超えると、粘性が上昇し取扱にくくなるので、これも工業的に不利である。より好ましい下限は3重量%であり、より好ましい上限は50重量%である。
【0028】
本発明の導電性インクは、固形分に対して10℃/分の昇温速度で熱重量分析を行ったときの100〜500℃の重量減少が7重量%以下であることが好ましい。
上記固形物を500℃まで加熱すると、有機物等が酸化分解され、大部分のものはガス化されて消失する。このため、500℃までの加熱による減量は、ほぼ固形分中の有機物の量に相当すると考えてよい。
【0029】
上記重量損失が多ければ金属コロイド液の分散安定性は優れるが、多すぎると不純物として金属被膜中に残留する有機物が、被膜の導電性を阻害する。特に100℃程度の低温での加熱で高い導電性を得るためには上記重量損失が7重量%以下であることが好ましい。一方、上記重量損失が少なすぎるとコロイド状態での分散安定性が損なわれるため、0.01重量%以上であることが好ましい。より好ましい下限は0.05重量%であり、より好ましい上限は4.5重量%である。
【0030】
上記溶媒は、水と20℃における蒸気圧が17mmHg以下であるアルコール類化合物からなるものである。上記20℃における蒸気圧が17mmHg以下であるアルコール類化合物を溶媒に用いることにより、描画後は溶媒が速やかに蒸発して被膜が乾燥するが、印刷前には溶媒は蒸発せず乾燥によるインクの変質が生じない。好ましい下限は0.001mmHgであり、好ましい上限は8.5mmHgである。
【0031】
上記アルコール類化合物としては、例えば、ブタノール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、エチレングリコール、グリセリン等を挙げることができる。なかでも、分子中に水酸基を2個以上有する多価アルコールが好ましく、例えば、1,3−プロパンジオールが常温での揮発抑制と加熱処理時の揮発の面で好適に用いられる。
【0032】
上記アルコール類化合物の含有量は、描画に用いる機械の特性や描画後の乾燥速度に対する要求に合わせて任意に選択できるが、少なすぎると効果が現れず、多すぎると金属コロイド粒子の分散安定性を低下させる可能性があるだけでなく、水を主溶媒として人体への影響や環境負荷を低減させる目的に反する。このため、固形分が多い場合には固形分100重量部に対して1.0〜30.0重量部であることが好ましく、固形分が少ない場合には水100重量部に対して1.0〜30.0重量部であることが好ましい。
【0033】
本発明の導電性インクは界面活性剤を含有していてもよい。上記界面活性剤を含有することにより、多成分溶媒系のインクに起こりがちな、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れや固形分の偏りを抑え、均質な被膜を形成することが可能となる。上記界面活性剤としては特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れを用いることもでき、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等を挙げることができるが、フッ素系界面活性剤が少量の添加で効果が得られるので、好ましい。
【0034】
上記界面活性剤の含有量は少なすぎると効果が得られず、多すぎると被膜中で残量不純物となって導電性を阻害するので、溶媒100重量部に対して0.01〜0.5重量部であるのが好ましい。
【0035】
本発明の導電性インクは、更に液の特性を改質するための他の添加剤を含有していてもよい。
上記他の添加剤としては特に限定されず、例えば、消泡剤、レベリング剤、増粘剤等を挙げることができる。
【0036】
本発明の導電性インクは、金属コロイド粒子を主成分とする固形分と、溶媒とからなるので、電導度を10mS/cm以下とすることができる。従来の導電性インクは、存在する電解質成分の濃度に敏感に反応して凝集沈降し、貯蔵安定性が損なわれることがあったが、電導度が10mS/cm以下であると、この影響を充分に排除することができ、ガラス容器中での保管によるアルカリ分の流出や、空気中の炭酸ガスの溶解による経時的な電解質濃度の上昇による貯蔵安定性の悪化を防止することができる。更に、導電性インクの電導度が10mS/cm以下であると、導電性インクの分散安定性が高いので、固形分濃度が高い導電性インクの製作が容易となり、容積を減ずることができ、流通や運搬時の取り扱いが容易となる。高濃度の導電性インクは、後で適当な溶媒を用いて、使用に最適な濃度に調整してもよい。
【0037】
本発明の導電性インクを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、まず金属コロイド粒子を含む溶液を製造し、ついで、その溶液の洗浄を行う方法等を挙げることができる。
上記金属コロイド粒子を含む溶液を製造する方法としては化学還元法による方法であれば特に限定されず、例えば、分散剤を用いて溶液中に分散させた金属塩又は金属イオンを、何らかの方法により還元させればよい。
【0038】
上記金属塩としては、分散媒中に溶解でき、何らかの手段で還元できるものであれば特に限定されず、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩;塩化金酸、塩化金力リウム、塩化金ナトリウム等の金塩;塩化白金酸、塩化白金、酸化白金、塩化白金酸カリウム等の白金塩;硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム塩等を挙げることができる。これらの金属塩は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記金属塩を還元させる方法としては特に限定されず、還元剤を用いて還元させてもよく、紫外線等の光、電子線、熱エネルギー等を用いて還元させてもよい。上記還元剤としては、分散媒に溶解し上記金属塩を還元させることができるものであれば特に限定されず、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;水素化ホウ素ナトリウム、ヨウ化水素、水素ガス等の水素化合物;一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;クエン酸三ナトリウム、グリコール酸ナトリウム等のヒドロキシ酸塩;硫酸第一鉄、酸化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸鉄、塩化錫、二リン酸錫、シュウ酸錫、酸化錫、硫酸錫等の低原子価金属塩;ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等の有機化合物を挙げることができる。これらの還元剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記の還元剤を使用する際には、更に、光や熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
【0040】
上記金属塩、分散剤及び還元剤を用いて金属コロイド粒子を含む溶液を製造する方法としては、例えば、上記金属塩を純水等に溶かして金属塩溶液を調製し、その金属塩溶液を徐々に分散剤と還元剤とが溶解した水溶液中に滴下する方法等を挙げることができる。
【0041】
上記のようにして得られた金属コロイド粒子を含む溶液中には、金属コロイド粒子の他に、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度が高くなっている。このような状態の液は、電導度が高いので、金属コロイド粒子の凝析が起こり、沈殿しやすい。上記金属コロイド粒子を含む溶液を洗浄して余分な電解質を取り除くことにより、電導度が10mS/cm以下の金属コロイド液を得ることができる。
【0042】
上記洗浄方法としては、例えば、得られた金属コロイド粒子を含む溶液を一定時間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、純水を加えて再度攪拌し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等を挙げることができる。なかでも、脱塩する方法が好ましい。また、脱塩等した液は、適宜濃縮してもよい。
【0043】
複数の金属からなる導電性インクを製造する方法としては特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる導電性インクを製造する場合には、上記の方法にて、銀コロイド液とその他の金属のコロイド液とを別々に製造し、その後混合してもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
【0044】
本発明の導電性インクを基材上に塗布し、乾燥することにより導電性被膜を形成することができる。
上記基材としては特に限定されず、例えば、熱に強い金属、ガラス、セラミック等からなる比較的熱に強い基材;ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂等の高温をかけると変形や分解のおそれがある高分子系の基材等を挙げることができる。
本発明の導電性インクによれば、100℃程度の低温加熱処理でも高い導電性を発現する被膜を形成することができるので、比較的熱に弱い基材上にも導電性被膜を形成することができる。
上記基材の形状としては、例えば、板状、フィルム状等を挙げることができる。
【0045】
上記基材と導電性被膜との密着性を上げるため、上記基材の表面処理を行ってもよい。
上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理;基材上にあらかじめプライマー層や導電性インク受容層を設ける方法等を挙げることができる。
【0046】
上記基材上に本発明の導電性インクを塗布する方法としては特に限定されず、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー方式、バーコート法、スピンコート法、インクジェット法、ディスペンサー法、刷毛による塗布等を挙げることができる。
【0047】
本発明の導電性インクより形成される導電性被膜は、ブラウン管の電磁波遮蔽、建材又は自動車の赤外線遮蔽、電子機器や携帯電話の静電気帯電防止材、曇ガラスの熱線、回路基材やICカードの配線、フラットパネルディスプレイの電極、樹脂に導電性を付与するためのコーティング、スルーホール又は回路自体等に好適に用いられる。
【0048】
本発明の導電性インクにより、100℃程度の低温加熱処理でも高い導電性を発現する被膜を形成することができると同時に、描画前の乾燥による導電性インクの変質の防止という相反する要求を両立することが可能となる。
このため、本発明によれば、基材の種類に制約を受けることなく導電性に優れた導電パターンを形成することができることに加えて、乾燥によるインクの変質が起こりにくいので、幅広い描画装置、印刷機械等に用いることができる。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0050】
実施例1〜4及び比較例1〜5
各実施例及び比較例における導電性インクは、以下のようにして製造した。
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、タンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に対して3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間攪拌を行い銀コロイド水溶液を得た。得られた銀コロイド水溶液に対し、導電率が30μS/cm以下になるまで透析することで脱塩を行った。透析後、3000rpm、10分の条件で遠心分離を行うことで、粗大金属コロイド粒子を除去した。この銀コロイド水溶液中の固形分を、乾燥重量法によって求め、得られた固形分について、セイコー電子工業社製TG/DTA300を用いて昇温速度10℃/分で室温から500℃までの大気中における熱重量変化を求め、100℃から500℃までの重量減少を計算した。銀コロイド水溶液中の固形分及び熱重量分析による重量減少を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
この銀コロイド水溶液に、表2に示した各種アルコール類化合物を添加した後、更にイオン交換水を添加して、最終固形分が15重量%になるように調整し導電性インクとした。得られた導電性インクをスライドガラス上に刷毛塗りし自然乾燥した後、ギヤオーブン中で120℃×1時間の条件で加熱処理し被膜を形成した。
【0053】
【表2】
【0054】
(評価)
(1)乾燥による導電性インクの変質
各実施例及び比較例において得られた導電性インクを自然乾燥し、一旦被膜化したものを再び溶媒に浸漬し、超音波をかけながら1分間放置し、状態変化を観察し再溶解性を評価した。
【0055】
(2)描画テスト
各実施例及び比較例において得られた導電性インクを用いて、市販のインクジェットプリンタによる描画テストを行い、インク充填後、ノズルが詰まって使用不可能になるまでに要する時間を評価した。
【0056】
(3)被膜の導電性
各実施例及び比較例において得られた被膜について、横川電機社製PORTABLE DOUBLE BRIDGE2769を用いてダブルブリッジ法により体積抵抗率を求めた。
評価結果を表3に示した。
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、低温での加熱処理が可能であることから基材の種類に制約を受けることなく導電性に優れた導電パターンを形成することが可能であることに加えて、乾燥によるインクの変質が起こりにくいためパターニング適性に優れ、幅広い描画装置、印刷機械等に適用可能な導電性インクを提供することができる。特にインクジェット方式、ディスペンサーといった精細な描画を行う装置に広く応用することができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a conductive ink capable of obtaining a coating film having high conductivity even at a low heating temperature and at the same time satisfying the conflicting requirements of not being deteriorated by drying before drawing.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, for example, metal vacuum deposition, chemical vapor deposition, ion sputtering and the like have been performed as a method for producing a conductive coating. However, since these methods require work in a vacuum system or a closed system, there are problems such as complicated operations and a large apparatus, requiring space, increasing costs, and lacking in mass productivity. .
[0003]
There is also a method of forming a conductive film by plating, but in this case, it is necessary to treat a large amount of waste liquid, and there is a problem that a material loss is large and an extra cost is required, and the burden on the environment is large.
[0004]
When forming a wiring pattern with a conductive film, a photolithography method is widely used. In this case, an extra step of masking a necessary portion of the conductive film formed on the substrate is necessary. Further, since a large amount of the photosensitive resin used, the removed metal coating, and the waste liquid in which they are dissolved are discharged, the processing cost is high and the environmental load is large.
[0005]
In contrast to these methods, the method of drawing on a substrate using a material that forms a conductive film as a coating agent can be produced with simple equipment without the need for special equipment, and therefore requires a large space. Less cost. In addition, since material loss and waste liquid hardly occur, it is advantageous in terms of cost, and the environmental load can be reduced.
[0006]
As the coating agent, conventionally, a metal paste in which silver or other metal particles are kneaded with a resin component or an organic solvent, or a so-called conductive ink is used, and these are applied by a dispenser or screen printing. A conductive film is often formed. Recently, a method of forming a wiring pattern by drawing an ink jet method using a colloidal metal dispersion having a low viscosity as a conductive ink has been attempted.
[0007]
As the solvent for the conductive ink, either an organic solvent or a non-organic solvent can be used. However, by using a non-organic solvent, particularly water, the influence on the human body and the burden on the environment can be reduced.
[0008]
When drawing a wiring pattern using such conductive ink, it is necessary to dry the conductive ink immediately after drawing, and at the same time, the conductive ink before printing must not be altered by drying. It is necessary to satisfy the characteristics.
[0009]
In particular, in the case of the ink jet system, the nozzle from which the ink is ejected has a very fine structure, and when solid matter agglomerates due to drying, there is a problem that the nozzle is clogged and drawing is impossible.
In addition, the wiring pattern after drawing sinters the metal particles by heat treatment and expresses high conductivity. However, if this heat treatment temperature is high, the substrate on which the drawing is performed is damaged such as deformation, melting, and deterioration. Therefore, the material selection of the base material is restricted.
[0010]
For this reason, the conductive ink is required to have a design that allows heat treatment at the lowest possible temperature. However, at the same time, this has led to the fact that metal particles tend to form aggregates in terms of alteration during drying as described above, and it has been extremely difficult to achieve both.
[0011]
Patent Document 1 and Patent Document 2 describe a silver colloid solution for forming a wiring pattern on a substrate, but it is compatible with drying immediately after drawing and preventing deterioration due to drying before printing. Solvents for obtaining are not disclosed.
[0012]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-35255
[Patent Document 2]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-35814
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a conductive ink that can provide a coating film having high conductivity even at a low heating temperature and can satisfy both conflicting demands that it does not change in quality even after drying before drawing.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
The present invention relates to a conductive ink composed of a solid content mainly composed of metal colloidal particles composed of a metal component and an organic component, and a solvent, and is heated at a heating rate of 10 ° C./min with respect to the solid content. The weight loss at 100 to 500 ° C. when performing gravimetric analysis is 0.01 to 7% by weight, and the solvent includes water and 1,3-propanediol, 1,2-propanediol, ethylene glycol or glycerin. It is the conductive ink characterized by comprising.
The present invention is described in detail below.
[0016]
The conductive ink of the present invention comprises a solid content mainly composed of metal colloid particles composed of a metal component and an organic component, and a solvent.
The metal component is preferably made of a metal whose ionization sequence is more noble than hydrogen. Examples of such a metal include gold, silver, copper, platinum, palladium, rhodium, ruthenium, iridium, and osmium. it can. These metals may be used independently and 2 or more types may be used together. Among the above metals, silver, copper, platinum, and palladium are preferable.
[0017]
The conductive ink of the present invention is preferably a mixed colloidal solution of silver and other metals. When silver is used, the conductivity of the film formed using the conductive ink is improved. However, when silver is used as the electronic material, it is necessary to consider the problem of migration. By using a mixed colloidal solution composed of silver and other metals, migration becomes difficult to occur. Said other metals are said gold | metal | money, copper, platinum, palladium, rhodium, ruthenium, iridium, and osmium. Of these, copper, platinum, and palladium are preferable.
[0018]
When using the above mixed colloidal liquid, the ratio of silver to other metals in the conductive ink is 30 to 99% by weight with respect to the total amount of silver and other metals. It is preferable. When the ratio of silver exceeds 99% by weight, it becomes difficult to solve the migration. If the silver ratio is less than 30% by weight, the conductivity of the resulting conductive ink may be reduced. A more preferred lower limit is 40% by weight, and a more preferred upper limit is 95% by weight. A more preferred lower limit is 60% by weight, and a more preferred upper limit is 90% by weight.
[0019]
As said organic component, the organic substance used as a dispersing agent or a reducing agent can be mentioned, for example. The reducing agent is not particularly limited as long as it dissolves in a suitable solvent and exhibits a reducing action, and tannic acid and hydroxy acid are preferably used. Tannic acid and hydroxy acid function as a reducing agent and at the same time exert an effect as a dispersing agent. These dispersants and reducing agents may be used alone or in combination of two or more.
[0020]
When the tannic acid is used, the dispersion stability of the metal colloidal particles is improved, and a film having excellent conductivity can be obtained by drying and heating the conductive ink. As said tannic acid, all what is generally called a tannic acid can be used, and what is expressed as gallotannic acid, a pentaploid tannin, etc. is contained.
[0021]
As content of the said tannic acid, it is preferable that it is 0.01-6g with respect to metal ion monovalent / g. For example, in the case of monovalent silver ions, the tannic acid content per gram of silver ions is 0.01 to 6 g. In the case of trivalent gold ions, the tannic acid content per gram of gold ions is Content is 0.03-18g. If the tannic acid content is too small, the reduction reaction does not proceed sufficiently, and if it is too large, it may be excessively adsorbed and remain in the coating. A more preferable lower limit is 0.1 g, and a more preferable upper limit is 1.5 g.
[0022]
When a hydroxy acid or a salt thereof having three or more COOH groups and OH groups in total and the number of COOH groups is equal to or more than the number of OH groups, the dispersion stability of the metal colloid particles is improved, A film having excellent conductivity can be obtained by drying and heating the conductive ink. Examples of the hydroxy acid include trisodium citrate, tripotassium citrate, trilithium citrate, disodium malate, disodium tartrate, and the like.
If the content of the hydroxy acid is too small, the effect does not appear. If the content is too large, impurities are formed and the conductivity of the film is inhibited. Therefore, the content is preferably 0.1 to 15 g with respect to monovalent metal ions / g. .
[0023]
In the conductive ink of the present invention, the form of the metal colloid particles composed of the metal component and the organic component is not particularly limited, and examples thereof include those in which an organic component is attached to the surface of the particles composed of the metal component, Examples thereof include particles having a metal component as a core and the surface of which is coated with an organic component, and particles in which a metal component and an organic component are uniformly mixed. Of these, particles having the metal component as a core and the surface of which is coated with an organic component, and particles in which a metal component and an organic component are uniformly mixed are preferable.
[0024]
The amount of the organic component in the metal colloid particles is preferably 0.5 to 30% by weight. If it is less than 0.5% by weight, the storage stability of the resulting conductive ink tends to be poor, and if it exceeds 30% by weight, the conductivity of the conductive film using the resulting conductive ink is poor. Tend to be. A more preferred lower limit is 1% by weight, and a more preferred upper limit is 20% by weight. In the conductive ink of the present invention, the “organic component” of the metal colloidal particle is an organic substance that substantially constitutes the particle together with the metal component, and a trace amount of organic substance contained as an impurity from the beginning in the metal, Does not include trace amounts of organic substances adhering to the metal components that are mixed in the manufacturing process described below, or trace amounts of organic substances such as residual reducing agents and residual dispersants that cannot be removed during the cleaning process, and those that adhere to the metal components. . In the conductive ink of the present invention, the “trace amount” specifically refers to less than 1% by weight in the metal colloid particles.
In the conductive ink of the present invention, since the metal colloid particles contain an organic component, the dispersion stability of the particles in the solution is high. Therefore, even if the metal content of the conductive ink is increased, the metal colloid particles are less likely to agglomerate and good dispersibility is maintained.
[0025]
The average particle size of the metal colloid particles is preferably 1 to 400 nm. Even if the average particle size of the metal colloidal particles is less than 1 nm, a coating film having good conductivity can be obtained, but generally, the production of such fine metal colloidal particles is expensive and impractical. If it exceeds 400 nm, the dispersion stability of the metal colloid particles tends to change over time. A more preferred upper limit is 70 nm.
[0026]
In the conductive ink of the present invention, the concentration of the solid content is preferably 1 to 70% by weight. Here, the solid content refers to the solid content remaining when most of the solvent is removed from the conductive ink with silica gel and then dried at a temperature of 70 ° C. or less. Consists of colloidal particles, residual dispersant, residual reducing agent, and the like.
[0027]
When the solid content is less than 1% by weight, the metal content of the obtained conductive ink is too small. Therefore, when the conductive film is formed, it is repeatedly applied to obtain the necessary thickness. This is an industrial disadvantage. If the concentration of the solid content exceeds 70% by weight, the viscosity increases and it becomes difficult to handle, which is also industrially disadvantageous. A more preferred lower limit is 3% by weight, and a more preferred upper limit is 50% by weight.
[0028]
In the conductive ink of the present invention, the weight loss at 100 to 500 ° C. when the thermogravimetric analysis is performed at a temperature rising rate of 10 ° C./min with respect to the solid content is preferably 7% by weight or less.
When the solid is heated to 500 ° C., organic matter and the like are oxidatively decomposed, and most of them are gasified and disappear. For this reason, it may be considered that the weight loss due to heating up to 500 ° C. corresponds approximately to the amount of organic matter in the solid content.
[0029]
If the weight loss is large, the dispersion stability of the metal colloid liquid is excellent. However, if the weight loss is too large, the organic matter remaining in the metal film as an impurity inhibits the conductivity of the film. In particular, in order to obtain high conductivity by heating at a low temperature of about 100 ° C., the weight loss is preferably 7% by weight or less. On the other hand, since the dispersion stability in a colloidal state is impaired when the weight loss is too small, it is preferably 0.01% by weight or more. A more preferred lower limit is 0.05% by weight, and a more preferred upper limit is 4.5% by weight.
[0030]
The solvent is composed of water and an alcohol compound having a vapor pressure of 17 mmHg or less at 20 ° C. By using an alcohol compound having a vapor pressure at 20 ° C. of 17 mmHg or less as the solvent, the solvent evaporates quickly after drawing and the coating is dried. No alteration occurs. A preferred lower limit is 0.001 mmHg, and a preferred upper limit is 8.5 mmHg.
[0031]
Examples of the alcohol compounds include butanol, propanediol, butanediol, pentanediol, ethylene glycol, glycerin and the like. Especially, the polyhydric alcohol which has 2 or more of hydroxyl groups in a molecule | numerator is preferable, for example, 1, 3- propanediol is used suitably in terms of volatilization suppression at normal temperature and volatilization at the time of heat processing.
[0032]
The content of the alcohol compound can be arbitrarily selected according to the characteristics of the machine used for drawing and the demand for the drying speed after drawing. However, if the amount is too small, the effect does not appear, and if too much, the dispersion stability of the metal colloidal particles This is contrary to the purpose of reducing the impact on the human body and the environmental load by using water as the main solvent. For this reason, when there is much solid content, it is preferable that it is 1.0-30.0 weight part with respect to 100 weight part of solid content, and when solid content is little, it is 1.0 with respect to 100 weight part of water. It is preferably ˜30.0 parts by weight.
[0033]
The conductive ink of the present invention may contain a surfactant. By containing the above-mentioned surfactant, it is possible to form a uniform film by suppressing the roughening of the surface of the film and the unevenness of the solid content due to the difference in volatilization rate at the time of drying, which tends to occur in multi-component solvent inks. It becomes. The surfactant is not particularly limited, and any of an anionic surfactant, a cationic surfactant, and a nonionic surfactant can be used. Examples thereof include alkylbenzene sulfonates and quaternary ammonium salts. However, it is preferable since the effect can be obtained by adding a small amount of a fluorosurfactant.
[0034]
If the content of the surfactant is too small, the effect cannot be obtained. If the content is too large, the remaining amount of impurities in the film becomes an impurity and inhibits conductivity. Part by weight is preferred.
[0035]
The conductive ink of the present invention may further contain other additives for modifying the properties of the liquid.
The other additives are not particularly limited, and examples thereof include an antifoaming agent, a leveling agent, and a thickener.
[0036]
Since the conductive ink of the present invention comprises a solid content mainly composed of metal colloidal particles and a solvent, the conductivity can be 10 mS / cm or less. Conventional conductive inks may be sensitive to the concentration of the electrolyte component present and agglomerate and settle, which may impair storage stability. However, if the electrical conductivity is 10 mS / cm or less, this effect is sufficient. It is possible to prevent the storage stability from deteriorating due to increase in electrolyte concentration over time due to alkali outflow due to storage in a glass container and dissolution of carbon dioxide in the air. Further, when the conductivity of the conductive ink is 10 mS / cm or less, the dispersion stability of the conductive ink is high, so that the production of the conductive ink having a high solid content concentration is facilitated, and the volume can be reduced. And handling during transportation becomes easy. The high-concentration conductive ink may be adjusted to an optimum concentration for use later using an appropriate solvent.
[0037]
A method for producing the conductive ink of the present invention is not particularly limited, and examples thereof include a method of first producing a solution containing metal colloid particles and then washing the solution.
The method for producing the solution containing the metal colloidal particles is not particularly limited as long as it is a chemical reduction method. For example, a metal salt or metal ion dispersed in a solution using a dispersant is reduced by any method. You can do it.
[0038]
The metal salt is not particularly limited as long as it can be dissolved in a dispersion medium and reduced by some means. For example, silver nitrate, silver sulfate, silver chloride, silver oxide, silver acetate, silver nitrite, silver chlorate, Silver salts such as silver sulfide; Gold salts such as chloroauric acid, gold chloride and sodium chloride; Platinum salts such as chloroplatinic acid, platinum chloride, platinum oxide, potassium chloroplatinate; palladium nitrate, palladium acetate, chloride Palladium salts such as palladium, palladium oxide and palladium sulfate can be exemplified. These metal salts may be used independently and 2 or more types may be used together.
[0039]
The method for reducing the metal salt is not particularly limited, and may be reduced using a reducing agent, or may be reduced using light such as ultraviolet rays, electron beam, thermal energy, or the like. The reducing agent is not particularly limited as long as it can be dissolved in a dispersion medium and reduce the metal salt. For example, amine compounds such as dimethylaminoethanol, methyldiethanolamine, triethanolamine, phenidone, and hydrazine; Hydrogen compounds such as sodium borohydride, hydrogen iodide, hydrogen gas; oxides such as carbon monoxide and sulfurous acid; hydroxy acid salts such as trisodium citrate and sodium glycolate; ferrous sulfate, iron oxide and fumaric acid Low-valent metal salts such as iron, iron lactate, iron oxalate, iron sulfide, iron acetate, tin chloride, tin diphosphate, tin oxalate, tin oxide, tin sulfate; formaldehyde, hydroquinone, pyrogallol, tannin, tannic acid And organic compounds such as sugars such as salicylic acid and D-glucose. These reducing agents may be used independently and 2 or more types may be used together.
When using the above reducing agent, the reduction reaction may be further promoted by applying light or heat.
[0040]
As a method for producing a solution containing metal colloidal particles using the metal salt, the dispersant and the reducing agent, for example, the metal salt is dissolved in pure water to prepare a metal salt solution, and the metal salt solution is gradually added. And the like, and the like, in which the dispersant and the reducing agent are dissolved in an aqueous solution.
[0041]
In the solution containing the metal colloidal particles obtained as described above, the residue of the reducing agent and the dispersing agent are present in addition to the metal colloidal particles, and the electrolyte concentration of the entire liquid is high. Since the liquid in such a state has high electrical conductivity, the metal colloidal particles are likely to coagulate and precipitate easily. By washing the solution containing the metal colloid particles to remove excess electrolyte, a metal colloid solution having an electric conductivity of 10 mS / cm or less can be obtained.
[0042]
As the washing method, for example, the solution containing the obtained metal colloid particles is allowed to stand for a certain period of time, and after removing the resulting supernatant, pure water is added and stirred again, and the mixture is further allowed to stand for a certain period. A method of repeating the process of removing the produced supernatant several times, a method of performing centrifugation instead of the above-mentioned standing, a method of desalting with an ultrafiltration device, an ion exchange device or the like can be mentioned. Of these, the desalting method is preferred. Moreover, you may concentrate the liquid which desalted etc. suitably.
[0043]
The method for producing a conductive ink composed of a plurality of metals is not particularly limited. For example, in the case of producing a conductive ink composed of silver and other metals, the silver colloid liquid and others are produced by the above method. The metal colloid solution may be prepared separately and then mixed, or the silver ion solution and other metal ion solution may be mixed and then reduced.
[0044]
A conductive film can be formed by applying the conductive ink of the present invention on a substrate and drying it.
The base material is not particularly limited. For example, a heat resistant base material made of heat-resistant metal, glass, ceramic, etc .; high temperature such as polyester resin, acrylic resin, polyamide resin, polycarbonate resin, vinyl resin is applied. And polymeric base materials that may be deformed or decomposed.
According to the conductive ink of the present invention, a film exhibiting high conductivity can be formed even by a low-temperature heat treatment at about 100 ° C. Therefore, a conductive film can be formed even on a relatively heat-sensitive substrate. Can do.
Examples of the shape of the substrate include a plate shape and a film shape.
[0045]
In order to increase the adhesion between the substrate and the conductive coating, the substrate may be subjected to a surface treatment.
Examples of the surface treatment method include dry treatment such as corona treatment, plasma treatment, UV treatment, and electron beam treatment; a method of previously providing a primer layer and a conductive ink receiving layer on a substrate, and the like.
[0046]
The method for applying the conductive ink of the present invention on the substrate is not particularly limited. For example, dipping, screen printing, spray method, bar coating method, spin coating method, ink jet method, dispenser method, application by brush, etc. Can be mentioned.
[0047]
The conductive film formed from the conductive ink of the present invention is used for electromagnetic shielding of cathode ray tubes, infrared shielding of building materials or automobiles, antistatic materials for electronic devices and mobile phones, heat rays of frosted glass, circuit substrates and IC cards. It is suitably used for wiring, electrodes for flat panel displays, coating for imparting conductivity to resin, through-holes, or the circuit itself.
[0048]
The conductive ink of the present invention can form a film exhibiting high conductivity even at a low-temperature heat treatment of about 100 ° C., while at the same time satisfying the conflicting requirements of preventing deterioration of the conductive ink due to drying before drawing. It becomes possible to do.
For this reason, according to the present invention, in addition to being able to form a conductive pattern excellent in conductivity without being restricted by the type of base material, the ink is hardly deteriorated by drying, so a wide range of drawing devices, It can be used for printing machines.
[0049]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples. However, the present invention is not limited to these examples.
[0050]
Examples 1-4 and Comparative Examples 1-5
The conductive ink in each example and comparative example was manufactured as follows.
17 mL of trisodium citrate dihydrate and 0.36 g of tannic acid were dissolved in 50 mL of water made alkaline by adding 3 mL of 10N-NaOH aqueous solution. To the obtained solution, 3 mL of 3.87 mol / L silver nitrate aqueous solution was added and stirred for 2 hours to obtain a silver colloid aqueous solution. The obtained silver colloid aqueous solution was desalted by dialysis until the electric conductivity became 30 μS / cm or less. After dialysis, the coarse metal colloid particles were removed by centrifugation at 3000 rpm for 10 minutes. The solid content in the aqueous silver colloid solution was determined by the dry weight method, and the obtained solid content was measured in the atmosphere from room temperature to 500 ° C. at a temperature rising rate of 10 ° C./min using TG / DTA300 manufactured by Seiko Denshi Kogyo. The thermogravimetric change in was calculated and the weight loss from 100 ° C to 500 ° C was calculated. Table 1 shows the solid content in the silver colloid aqueous solution and the weight loss by thermogravimetric analysis.
[0051]
[Table 1]
[0052]
After adding various alcohol compounds shown in Table 2 to this silver colloid aqueous solution, ion exchange water was further added to adjust the final solid content to 15% by weight to obtain a conductive ink. The obtained conductive ink was brush-coated on a slide glass and naturally dried, and then heat-treated in a gear oven at 120 ° C. for 1 hour to form a film.
[0053]
[Table 2]
[0054]
(Evaluation)
(1) Deterioration of conductive ink by drying The conductive ink obtained in each Example and Comparative Example was naturally dried, and once coated, it was immersed again in a solvent and left for 1 minute while applying ultrasonic waves. The state change was observed and re-solubility was evaluated.
[0055]
(2) Drawing test Using the conductive ink obtained in each of the examples and comparative examples, a drawing test using a commercially available ink jet printer is performed. After the ink is filled, the time required until the nozzle becomes clogged and becomes unusable. evaluated.
[0056]
(3) Conductivity of coating The volume resistivity of the coating obtained in each Example and Comparative Example was determined by the double bridge method using PORTABLE DOUBLE BRIDGE 2769 manufactured by Yokogawa Electric Corporation.
The evaluation results are shown in Table 3.
[0057]
[Table 3]
[0058]
【The invention's effect】
Since the present invention has the above-described configuration, it is possible to form a conductive pattern having excellent conductivity without being restricted by the type of the substrate because heat treatment at low temperature is possible. Thus, it is possible to provide a conductive ink that is excellent in patterning suitability and is applicable to a wide range of drawing apparatuses, printing machines, and the like because the ink hardly changes due to drying. In particular, the present invention can be widely applied to apparatuses that perform fine drawing such as an ink jet method and a dispenser.
Claims (5)
固形分に対して10℃/分の昇温速度で熱重量分析を行ったときの100〜500℃の重量減少が0.01〜7重量%であり、The weight loss of 100 to 500 ° C. when the thermogravimetric analysis is performed at a heating rate of 10 ° C./min with respect to the solid content is 0.01 to 7% by weight,
前記溶媒は、水と、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール又はグリセリンとの混合溶液からなるThe solvent is a mixed solution of water and 1,3-propanediol, 1,2-propanediol, ethylene glycol or glycerin.
ことを特徴とする導電性インク。A conductive ink characterized by the above.
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