JP3794800B2 - データ通信方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動再送方式(ARQ:Automatic Repeat Request )と呼ばれる通信方法を用いるデータ通信方法及び装置に関し、特に、再送回数に制限がある場合のデータ通信方法及び装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
文献:特開平8−65279号公報「重み付け多数決復号法によるARQ通信方法及び装置」
自動再送方式(ARQ)と呼ばれる通信方法により誤り訂正をする技術に、上記文献に開示されているものがある。
【0003】
無線通信等のように誤りのある環境下でも正しいデータを確実に伝送できるようにするための通信方法の一つに、上述の自動再送方式(ARQ)と呼ばれる通信方法がある。この通信方法は、誤りの検出とデータの再送を基本とする通信技術であり、以下の通信動作を基本とする。
【0004】
まず、送信側では、送信すべきデータ(符号化ビット列)がフレームと呼ばれる単位ごと分割された後、CRC(cyclic redundancy check)符号等の誤り検出符号及びフレーム番号が付加されて通信路へ送出される。
【0005】
一方、受信側は、受信されたフレームに誤りがあるか否か誤り検出符号を用いて調べる。誤りの確認されなかったフレームについては後段の処理部に渡され、誤りが確認されたフレームについてはそのフレーム番号が送信側に通知され、同一フレームの再送が要求される。
【0006】
送信側は、再送要求(ARQ信号)を受けると、再送要求で特定されたフレームを再度伝送する。かかる通信手順により、誤りのある伝送路でも正確なデータの伝送を実現している。
【0007】
しかしながら、かかる通信方法により再送されたフレームについて再度誤りが確認される場合には、同一フレームについて再送動作が繰り返され、伝送遅延時間の増加及び通信速度の低下が大きくなってしまう。そこで、再送回数を制限が必要となる。
【0008】
これを、実例を挙げて説明する。伝送遅延時間の増大が問題になる通信には、テレビ電話等の双方向映像通信がある。一般に双方向の映像通信において許容される表示遅延時間は300msec前後であり、表示遅延がこれ以上になると円滑なコミュニケーションができなくなる。しかし、動画像の符号化/復号化処理には150msec前後の時間を必要とするため、映像の再送信に割くことができる実質的な時間は150msec程度となる。また、通信路の応答遅延時間は100msec前後になるため、再送回数は1〜2回程度が現実的な値となる。
【0009】
図2は、自動再送方式(ARQ)と呼ばれる通信方法を用いる動画像通信装置の構成を表している機能ブロック図である。なお、図2に示す機能ブロック群のうち、上段の機能ブロック群201〜207が送信側端末に対応し、下段の機能ブロック群208〜212が受信側端末に対応している。従って、図中、Aの部分が下りの通信路、Bの部分が上りの通信路である。
【0010】
図2の動画像通信装置による通信動作を説明する。端子201から入力された画像データは、動画像符号化器202において圧縮された後、フレームと呼ばれる単位に分割される。再送要求のない場合、この出力はセレクタ204を介して誤り検出符号化器205に入力される一方、将来の再送要求に備えて再送メモリ203に蓄えられる。誤り検出符号化器205に入力されたフレームデータは、この誤り検出符号化器205においてCRC符号等の誤り検出符号を付加された後、後段のフレーム番号付加器206においてさらにフレーム番号が付加されて通信路に出力される。
【0011】
受信側では、フレーム番号検出器208及び誤り検出器209において、受信されたフレームデータについてそのフレーム番号と誤りの有無が調べられる。誤りが無い場合は、フレームデータを動画像復号器211に渡し、次のフレームの処理に移る。誤りがあった場合は、受信側再送制御器210から送信側再送制御器207に対して誤りの発生と共にそのフレーム番号が通知される。これを受けた送信側再送制御器207は、再送メモリ203に保持されている同じフレームを再度伝送するように制御する。
【0012】
なお、受信側再送制御器210ではフレーム番号検出器208からのフレーム番号を監視し、同一フレームが複数回誤った場合、制限された回数以上の再送要求をしないように制御する。
【0013】
以上の動作により、誤りのある伝送路でも伝送遅延時間を増大させることなく比較的正確なデータの伝送が実現されている。
【0014】
しかしながら、再送回数を制限すると、完全な誤りの訂正はできなくなってしまう。
【0015】
そこで、上記文献の場合には、誤り検出の結果得られた複数の再送フレームの各ビットに、各フレームの受信状態(受信レベル等による)に応じた重みを付した後多数決判定することにより、ビット誤り率を改善し、再送回数が制限されるような場合でも比較的信頼性の高いデータを得ることができるようにしている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献に示された通信方法をもってしても、以下に示すような課題があった。
【0017】
すなわち、許容された回数だけフレームを繰り返し再送しても誤りが訂正されない場合、受信レベル等を考慮した重み付け多数決後のデータが後段回路に出力されるが、このデータの信頼性を高めるためには何回か再送を繰り返す必要があり、リアルタイム性が求められる双方向の動画像通信アプリケーションには効果的な適応が難しいという課題があった。
【0018】
しかも、従来技術では、多数決判定のために誤り検出用の冗長ビットが常に付加されているので、再送回数が1又は2回程度に制限されるような使用状況下では、多数決判定による信頼性の向上が望めないだけでなく、冗長ビットによる通信速度の低下が問題となっていた。
【0019】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して通信速度の低下の少ない又は信頼性を向上できるデータ通信方法及び装置を提案しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
(A)かかる課題を解決するため本発明においては、通信データに含まれる誤りの有無を受信側で検出し、誤りが検出された場合、当該通信データの自動再送を送信側に要求する自動再送方式を用いてデータの通信を行うデータ通信方法において、以下のようにする。なお、データ通信装置についても同様とする。
【0021】
すなわち、要求できる再送回数に制限がある場合、送信側は、最終再送データについて、誤り検出符号を付さずに送信するようにする。
【0022】
また、受信側は、最終再送データについて、誤り検出処理を実行することなく、復号処理を実行するようにする。
【0023】
かかるデータ通信方法を用いることにより、再送データが占有する通信時間を短くでき、通信速度の低下を抑制できる。これにより、特に実時間伝送が要求される通信データの場合には、通信時間の低下に起因した品質の劣化を回避することができる。
【0024】
(B)また、本発明においては、通信データに含まれる誤りの有無を受信側で検出し、誤りが検出された場合、当該通信データの自動再送を送信側に要求する自動再送方式を用いてデータの通信を行うデータ通信方法において、以下のようにする。なお、データ通信装置についても同様とする。
【0025】
すなわち、要求できる再送回数に制限がある場合、送信側は、最終再送データについて、誤り検出符号に替えて誤り訂正符号を付して送信するようにする。
【0026】
また、受信側は、最終再送データについて、誤り検出処理をすることなく、誤り訂正処理を実行し、誤り訂正後のデータを復号処理するようにする。
【0027】
かかるデータ通信方法を用いることにより、最終再送データの信頼性を向上させることができ、その分、品質の向上を図ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(A)第1の実施形態
以下、動画像通信装置を例に、本発明に係るデータ通信方法及び装置の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0029】
(A−1)第1の実施形態の構成
第1の実施形態に係る動画像通信装置の特徴は、再送回数に制限がある場合に、最後の再送データ(以下「最終再送データ」という。)には誤り検出用の冗長ビットを付けないことにより通信速度の低下を抑える点にある。
【0030】
図1は、かかる通信機能を備える動画像通信装置の機能ブロック構成を表している。なお、図1に示す機能ブロック群のうち、上段の機能ブロック群101〜107が送信側端末に対応し、下段の機能ブロック群108〜112が受信側端末に対応している。従って、図中、Aの部分が下りの通信路、Bの部分が上りの通信路である。
【0031】
まず、送信側端末の構成を説明する。
【0032】
送信側端末は、画像データ入力端子101、動画像符号化器102、再送メモリ103、セレクタ104、誤り検出符号化器105、フレーム番号付加器106、送信側再送制御器107から構成されている。
【0033】
ここで、動画像符号化器102は、画像データ入力端子101から入力される画像データを圧縮すると共に、画像データを誤り検出のためフレーム単位に分割する手段である。符号化後のフレーム単位データは、再送メモリ103及びセレクタ104に出力されている。
【0034】
再送メモリ103は、受信側からの再送要求に備えて設けられているメモリであり、送信側制御器107から与えられる制御信号とメモリアドレスにより制御される手段である。ここで、再送メモリ103は、送信フレーム番号に対応した所定領域にフレーム単位データを保持すると共に、当該領域から読み出してセレクタ104に出力するようになっている。
【0035】
セレクタ104は、送信側再送制御器107から与えられる制御信号の指示に応じ、選択された方のフレーム単位データを後段に出力する手段である。
【0036】
誤り検出符号化器105は、送信側再送制御器107の制御に基づいて誤り検出符号化処理を実行する手段である。ここで、誤り検出符号化器105は、送信側再送制御器107からの制御信号がオン制御信号である場合には、CRC符号等の誤り検出符号を生成して入力データに付加し、制御信号がオフ制御信号である場合には、入力データをそのまま後段へ出力するようになっている。
【0037】
フレーム番号付加器106は、送信側再送制御器107から与えられたフレーム番号を入力データに付加して通信路に送出する手段である。
【0038】
送信側再送制御器107は、送信フレームを管理する手段であり、フレーム番号を生成するカウンタと、再送要求回数をカウントするカウンタと、再送回数の識別のための比較器と、その他回路とで構成されている。ここで、フレーム番号を生成するカウンタは、動画像符号化器102からフレーム単位データが出力される度、そのカウント値がインクリメントされる。
【0039】
なお、送信側再送制御器107は、再送メモリ103にメモリアドレスと制御信号を与え、セレクタ104に入力選択信号を与え、誤り検出符号化器105に最終再送を示す信号を与え、フレーム番号付加器106に送信フレーム番号を示す信号を与えている。
【0040】
また、送信側再送制御器107には、通信路経由で受信側再送制御器110から再送要求信号及びそのフレーム番号が入力されており、当該情報に基づいて再送動作が制御される。
【0041】
次に、受信側端末の構成を説明する。
【0042】
受信側端末は、フレーム番号検出器108、誤り検出器109、受信側再送制御器110、動画像復号器111、復号画像出力端子112から構成されている。
【0043】
ここで、フレーム番号検出器108は、通信路を介して受信された受信データからフレーム番号を検出する手段であり、フレーム番号を削除した後の受信データを後段の誤り検出器109に出力する。なお、フレーム番号検出器108は、検出されたフレーム番号を受信側再送制御器110に与える。
【0044】
誤り検出器109は、受信側再送制御器110から与えられる制御信号に応じて制御される手段であり、オン制御信号が与えられたとき、受信データに含まれる誤り検出冗長ビットを用いて受信データに誤りがあるか否か調べ、オフ制御信号が与えられたとき、誤り検出冗長ビットを削除した受信データを後段にそのまま出力する。
【0045】
受信側再送制御器110は、再送要求の送出を管理する手段であり、同一フレームについての再送要求回数をカウントするカウンタと、再送回数の識別のための比較器と、その他回路とで構成されている。受信側再送制御器110は、フレーム番号検出器108からフレーム番号が入力されると、そのフレーム番号のデータ再送回数をカウンタのカウント値から調べる機能を備えており、最大再送回数である場合には、誤り検出器109にオフ制御信号を与える一方、その他の場合には、誤り検出器109にオン制御信号を与えるようになっている。
【0046】
なお、受信側再送制御器110は、誤り検出器109からの入力によって誤り検出処理されたフレームに誤りがないことを検出すると、処理されたフレーム番号に対応する再送回数をカウントするカウンタをリセットするよう動作する。その反対に、受信側再送制御器110は、誤り検出器109からの入力によって誤り検出処理されたフレームに誤りの存在を検出すると、処理されたフレーム番号に対応する再送回数をカウントするカウンタをインクリメントし、フレーム番号と共に再送要求を通信路に送出するように構成されている。
【0047】
動画像復号器111は、圧縮符号化されている受信データを伸張して圧縮前のデータに復元すると共に、フレーム単位に分割されているデータを結合して元の画像データを復号するようになっている。
【0048】
(A−2)送受信動作
続いて、第1の実施形態に係る動画像通信装置による送受信動作を説明する。
【0049】
(a)送信動作
(a−1)再送要求が入力されていない場合の動作
まず最初に、再送要求が入力されていない場合における送信側端末の動作を説明する。このとき、送信側再送制御器107は、内部にあるカウンタの値をフレーム番号として処理する。すなわち、再送メモリ103にはカウンタ値に対応した領域を示すメモリアドレス及び制御信号が、フレーム番号付加器106にはカウンタ値が送られ、それぞれにおいて前述の処理が行われる。
【0050】
再送要求が入力されていないため、セレクタ104には動画像符号化器102の出力を選択する信号が与えられ、誤り検出符号化器105にはオン制御信号が与えられる。すなわち、再送要求のない場合は、動画像符号化器102の出力である新規符号化データが、誤り検出符号化処理された後、フレーム番号が付加されて通信路に出力される。
【0051】
(a−2)再送要求が入力された場合の動作
次に、再送要求及び再送を要求するフレームのフレーム番号が入力された場合における送信側端末の動作を説明する。このとき、送信側再送制御器107は、受信側再送制御器110から再送要求があったフレーム番号に対応したデータを送出するように制御動作を行なう。
【0052】
ここで、再送要求されたフレームは過去に送出したフレームであり、再送メモリ103に保持されている。従って、再送メモリ103には、再送要求されたフレーム番号に対応した領域を示すメモリアドレス及び制御信号が送信側再送制御器107から与えられる。同様に、セレクタ104には再送メモリ103を選択する信号が送信側再送制御器107から与えられる。また、フレーム番号付加器106にはそのフレーム番号が送信側再送制御器107から与えられる。
【0053】
ところで、送信側再送制御器107は、同一フレームについての再送回数をカウントしているカウンタのカウント値(再送要求回数)が最大再送回数と一致するか否か比較器にて判定し、カウント値が最大再送回数に一致しない場合は再び再送する可能性があるため、誤り検出符号化器105に対しオン制御信号を出力する。これに対し、カウント値が最大再送回数に一致した場合は以後再送することがないため、誤り検出符号化器105に対しオフ制御信号を出力する。
【0054】
すなわち、再送要求があり、それが最終再送要求でなければ、再送メモリ103に蓄えられている再送要求に対応するデータが誤り検出符号化され、再送要求のあったフレーム番号を付加され通信路に出力される。そして反対に、再送要求があり、それが最終再送要求の場合は、再送メモリ103に蓄えられている再送要求に対応するデータが、そのままフレーム番号を付加されるだけで通信路に出力される。
【0055】
(b)受信動作
(b−1)受信データが最終再送データでない場合の動作
まず、受信データが最終再送データでない場合の動作を説明する。このとき、通信路からは上述の処理が行なわれたデータがフレーム番号検出器108に入力される。フレーム番号検出器108では受信データからフレーム番号を検出し、受信側再送制御器110にそれを伝える。また、フレーム番号を削除した受信データを誤り検出器109に送る。
【0056】
ここで、受信側再送制御器110は、フレーム番号検出器108からフレーム番号が入力されると、そのフレーム番号のデータの再送回数を、再送要求回数カウント用のカウンタで調べる。ここでは、最大再送回数でない場合であるので、誤り検出器109に対してオン制御信号が出力され、誤り検出器109の誤り検出動作が実行される。
【0057】
誤り検出器109は、受信データ中に含まれる誤り検出冗長ビットを用いて受信データに誤りがあるか否か調べ、その結果を受信側再送制御器110に伝える。また、誤りのない場合は、誤り検出冗長ビットを削除した受信データを動画像復号器111に送る。
【0058】
なお、誤りが検出されなかった場合、受信側再送制御器110は、処理フレーム番号に対応するカウンタのカウント値をリセットし、誤りが検出された場合は、そのフレームの再送回数をカウントするカウンタをインクリメントすると共に、フレーム番号と再送要求を通信路に出力する。
【0059】
(b−2)受信データが最終再送データである場合の動作
受信データが最終再送データであるか否かは受信側再送制御器110で認識される。受信側再送制御器110は、フレーム番号検出器108からフレーム番号が入力されると、そのフレーム番号のデータの再送回数を再送要求回数カウント用のカウンタで調べる。ここでは、受信データが最終再送データである場合の動作であるので、そのカウント値が最大再送回数と一致することが判定される。
【0060】
すると、受信側再送制御器110は、誤り検出器109における誤り検出処理が開始される前にオフ制御信号を与え、その処理を禁止する。これにより、誤り検出器109は、入力された受信データをそのまま後段の画像復号器111に出力するよう動作する(元々誤り検出冗長ビットは付加されていないのでその削除処理も行われない。)。この結果、動画像復号器111において受信データが伸長され映像データとして出力される。
【0061】
(A−3)第1の実施形態の効果
図3を用いて、第1の実施形態の効果を説明する。この図で斜線の部分は誤り検出用の冗長ビットを表している。またこの図では、最大再送回数は1回に制限され、”frameN−1”及び”frameN”の伝送で誤りがあった場合を示している。なお、この例では”frameN”は再送によっても誤りは訂正されることはない。
【0062】
受信側端末は、”frameN−1”の冗長ビットまで受信して誤りを検出すると、再送要求信号(ARQ)を送信側に送出する。
【0063】
従来例の場合には(図中上段の(a))、再送要求信号(ARQ)を受信した送信側端末が最終再送データである”frameN−1”に誤り検出符号を付加して再送信を実行する。
【0064】
ただし、再送要求信号(ARQ)の受信時は、”frameN+1”の送信中であるため、”frameN−1’”は”frameN+1”の送信終了後に送信される。
【0065】
一方の受信側端末は、”frameN−1’”を受信すると誤り検出を行ない、誤りのないことを確認した後、そのデータを後段の処理にまわす。同様に、”frameN’”も再送されてくると誤り検出を行なう。”frameN’”では再び誤りが検出されるが、リアルタイム性保持のための再送回数の制限により、誤りのあることを識別する信号と共に後段の処理にデータが渡される。
【0066】
一方、この第1の実施形態の場合には、最終再送データに誤り検出用冗長ビットを付加しない。このため、受信側端末において再送されてきた”frameN−1’”を受信すると、誤り検出処理を行なわずに後段の処理にデータを渡す。また”frameN’”も同様に処理する。後段の処理には誤りのある可能性を含んだデータが送られるが、この誤りは動画像復号の過程で不明なコードが現れる等の理由で検出することができる。つまり、最終再送データには誤り検出用冗長ビットが付加されてなくても問題にならない。
【0067】
さて、従来例では、送信データには必ず冗長ビットが付加されていたが、第1の実施形態の場合には最終再送データについては冗長ビットを付けないので、再送データが通信路を占有する時間をその分短くできる。すなわち、通信速度の低下を抑えることができる。特に、動画像通信のアプリケーションでは、通信速度の低下が少なくなるので、画質の向上を図ることができる。
【0068】
(B)第2の実施形態
以下、動画像通信装置を例に、本発明に係るデータ通信方法及び装置の第2の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0069】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態に係る動画像通信装置の特徴は、最終再送データに、誤り検出冗長ビットの代わりに誤り訂正冗長ビットを付加し、データの信頼性を向上させる点にある。
【0070】
図4に、かかる通信機能を備える動画像通信装置の機能ブロック構成を示す。なお、図4の場合、図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付している。また、上段の機能ブロック群が送信側端末に対応し、下段の機能ブロック群が受信側端末に対応している。
【0071】
図4及び図1から分かるように、この第2の実施形態に係る動画像通信装置は、誤り訂正符号化器401、セレクタ402、誤り訂正器403、セレクタ404が新たに設けられた点で第1の実施形態と異なる。
【0072】
ここで、送信側端末に設けられた誤り訂正符号化器401は、前述したように最終再送データに対して誤り訂正冗長ビットを付加するために設けられた回路であり、誤り検出符号化器105に対して並列的に設けられている。
【0073】
セレクタ402は、誤り訂正符号化器401の出力と、誤り検出符号化器105の出力とのいずれか一方をフレーム番号付加器106に出力するために設けられた回路であり、送信側再送制御器107’によって切換制御される構成となっている。
【0074】
一方、受信側端末に設けられた誤り訂正器403は、受信データが最終再送データである場合にこれを誤り訂正するために設けられた回路であり、その他の受信データの処理用に設けられている誤り検出器109に対して並列的に設けられている。
【0075】
セレクタ404は、誤り訂正器403の出力と、誤り検出器109の出力のいずれか一方を動画像復号器111に出力するために設けられた回路であり、受信側再送制御器110’によって切換制御される構成となっている。
【0076】
なお、この実施形態では、最終再送データについての処理動作の切換えはセレクタ402及び404によって実行される構成となっているため、第1の実施形態の場合に誤り検出符号化器105及び誤り検出器109に入力されていたオン/オフ制御信号は不要である。
【0077】
(B−2)送受信動作
続いて、第2の実施形態に係る動画像通信装置による送受信動作を説明する。なお、第2の実施形態における基本動作は第1の実施形態と同じであるため、ここでは変更部分を中心に説明する。すなわち、最終再送データについての送受信動作についてのみ説明し、最終再送データの送受信時以外の動作については説明を省略する。
【0078】
図5に、第2の実施形態の場合の送受信信号を示す。図中、斜線部分は誤り検出用の冗長ビットを示しており、黒塗部分は誤り訂正用の冗長ビットを表している。またこの図では、最大再送回数は1回に制限されているものとし、”frameN−1”及び”frameN”の伝送で誤りがあったものとする。
【0079】
さて、再送要求が受信側端末から通知されると、送信側端末の送信側再送制御器107’はそのフレームの再送要求回数を調ベ、これが最終再送要求であるか否かを判断する。
【0080】
ここで、最終再送要求であると判断した場合には、セレクタ402に対し、誤り訂正符号化器401の出力を選択するように制御信号を出力する。これにより通信路には誤り訂正符号が付加された再送フレームが出力されることになる。
【0081】
一方、受信側端末では、受信側再送制御器110’がフレーム番号検出器108から与えられるフレーム番号を監視することで、現時点の受信データが最終再送データか否かを判断する。
【0082】
ここで、最終再送要求に対して送られてきた最終再送データであると判断した場合には、セレクタ404に対し誤り訂正器403の出力を選択するように制御信号を出力する。これにより、送信側端末において誤り訂正符号化された後通信路を介して伝送されてきた最終再送データは、受信側端末において誤り訂正され、動画像復号器111’に与えられることになる。
【0083】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、最終再送データを誤り訂正符号化することにしたので、小さな誤りであれば訂正できるようになり、最終再送データの信頼性を向上することができる。
【0084】
例えば、第1の実施形態の場合には、再送動作を繰り返しても”frameN”についての誤りを訂正できなかったが、この第2の実施形態の場合には、最終再送時に誤り訂正符号化を行なうことで”frameN”を誤りなく送信できる。
【0085】
(C)第3の実施形態
以下、動画像通信装置を例に、本発明に係るデータ通信方法及び装置の第3の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0086】
(C−1)第3の実施形態の構成
この第3の実施形態に係る動画像通信装置は、第2の実施形態の機能を更に進めるもので、最終再送データに付加された誤り訂正符号により、最終再送データだけでなく、過去の誤ったデータに対しても誤りの訂正を試みることで、より信頼性の高いデータを得ることに特徴を有するものである。
【0087】
図6に、かかる通信機能を備える動画像通信装置の受信側端末の機能ブロック構成を示す。ただし、この第3の実施形態では、送信側端末に第2の実施形態に係る動画像通信装置の送信側端末と同じでものを用いるため、図6中、これを省略している。なお、図6の場合、図4との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0088】
図6及び図4から分かるように、この第3の実施形態に係る動画像通信装置は、受信側端末にメモリ601とセレクタ602が追加されたことを除き、第2の実施形態に係る動画像通信装置と同様の構成を有している。
【0089】
ここで、メモリ601は、過去の受信されたデータのうち誤り検出器109において誤りが検出されたデータを記憶しておくための記憶手段であり、セレクタ602は、当該メモリ601から読み出したデータと通信路から受信されたデータのいずれか一方を後段回路に出力するために設けられている。
【0090】
(C−2)送受信動作
続いて、第3の実施形態に係る動画像通信装置による送受信動作を、図7を用いて説明する。
【0091】
なお、誤り訂正符号は、冗長ビット数が少ない場合、十分な訂正能力を持つことができない。このため、誤り訂正処理により誤りを訂正できない場合がある。また、誤りが残っていても、これが必ずしも誤り有として認識されるわけではない。
【0092】
そこで、この第3の実施形態においては、最終再送データを、誤り訂正器403で誤り訂正(図7処理1)した後、その結果を誤り検出器109に入力して誤りの有無を確認するようにする(図7処理2)。この処理で誤りが検出されると、過去に受信した同一フレームについての誤りのあるデータをメモリ601から読み出し、誤り訂正処理を行ない(図7処理3)、再度誤り検出処理を行なうようにする(図7処理4)。
【0093】
具体的には、以下の動作となる。まず、最終再送データ以外の受信データが受信されている場合について説明する。このとき、フレーム番号検出器108の出力は、セレクタ602を介して誤り検出器109に与えられ、当該受信データに誤りが存在するか否か判定される。
【0094】
ここで、誤りが検出されない場合には、セレクタ409を介して動画像復号器111に受信データが出力されることになるが、誤りが検出された場合には、セレクタ409を介してメモリ601に蓄えられ、同時に、受信側再送制御器110”から送信側端末に対して再送要求が出力される。
【0095】
ところが、再送要求を繰り返しても誤りのないデータが受信できず、結果として誤り訂正符号が付加された最終再送データが受信されると、今度は、この受信データを誤り訂正器403に与え、誤り訂正処理を行なう。しかし、このような誤り訂正処理を実行しても、訂正結果に誤りが含まれているか否かは不明である。
【0096】
従って、訂正結果、すなわちセレクタ409の出力を、メモリ601を経由して再びセレクタ602に帰還させることにより誤りの有無を検出する。なおこのとき、受信側再送制御器110”は、セレクタ602にメモリ601の出力を選択するよう制御信号を出力する。
【0097】
これにより、誤り訂正器403の出力が誤り検出器109に入力されることになり、確実に受信データに含まれていた誤りが訂正されたかが確かめられる。
【0098】
ここで、再度誤りが検出されると、受信側再送制御器110”は、過去誤りが検出されたためにメモリ601に保持されている同一フレームについてのデータを読み出し、誤り訂正器403で誤り訂正を行なう。
【0099】
続いて、これを、セレクタ602を介して誤り検出器109に帰還入力し、再度、誤り検出処理を実行する。ここで再び誤りが検出されれば、メモリ601より別のデータを読み出し、同様の処理を繰り返す。なお、同一フレーム番号のデータに対する誤り訂正冗長ビット及び誤り検出冗長ビットは、誤り訂正器403及び誤り検出器109に保持されているものとする。
【0100】
繰り返しにより、誤りのないデータが得られれば、これを動画像復号器111に与え、誤り訂正処理を終える。
【0101】
これに対し、全てのデータに対して上記処理を行なっても誤りが残った場合には、誤りのあることを示す識別信号と共に、誤りのある受信データを動画像復号器111に与える動作が実行される。
【0102】
(C−3)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、誤りが検出されたために再送されてきた受信データに付加されている誤り検出符号及び誤り訂正符号(誤り訂正符号については、最終再送データについてのみ、誤り検出符号についてはそれ以外の伝送時)を、異なるタイミングで伝送されてきた同一データに適用し、誤り訂正後の受信データに誤りが残存していないか検出し、誤りがない場合にはそれを用いて復号動作を行うようにしたので、一段と信頼性の高いデータを得ることができるようになる。
【0103】
(D)他の実施形態
なお、上述の実施形態においては、動画像データの通信に用いられる動画像通信装置に本発明を適用する場合について述べたが、通信するデータは、静止画その他画像データであっても良く、音声データやバイナリーデータ等であっても良い。
【0104】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、自動再送方式を用いてデータの通信を行うデータ通信方法及び装置において、要求できる再送回数に制限がある場合、送信側は、最終再送データについて、誤り検出符号を付さずに送信し、受信側は、最終再送データについて、誤り検出処理を実行することなく、復号処理を実行することにより、再送データが占有する通信時間を短くでき、通信速度の低下を抑制できる。これにより、特に実時間伝送が要求される通信データの場合には、通信時間の低下に起因した品質の劣化を回避することができる。
【0105】
また、上述のように、本発明によれば、自動再送方式を用いてデータの通信を行うデータ通信方法及び装置において、要求できる再送回数に制限がある場合、送信側は、最終再送データについて、誤り検出符号に替えて誤り訂正符号を付して送信し、受信側は、最終再送データについて、誤り検出処理をすることなく、誤り訂正処理を実行し、誤り訂正後のデータを復号処理することにより、最終再送データの信頼性を向上させることができる。これにより、その分、品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデータ通信装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】従来装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るデータ通信装置の送受信動作を示す図である。
【図4】本発明に係るデータ通信装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態に係るデータ通信装置の送受信動作を示す図である。
【図6】本発明に係るデータ通信装置の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図7】第3の実施形態に係るデータ通信装置の送受信動作を示す図である。
【符号の説明】
101…画像データ入力端子、102…動画像符号化器、103…再送メモリ、104…セレクタ、105…誤り検出符号化器、106…フレーム番号付加器、107、107’…送信側再送制御器、108…フレーム番号検出器、109…誤り検出器、110、110’、110”…受信側再送制御器、111…動画像復号器、112…復号画像出力端子、401…誤り訂正符号化器、402、404、602…セレクタ、403…誤り訂正器、601…メモリ。
Claims (2)
- フレーム単位に通信される通信データに含まれる誤りの有無を受信側で検出し、誤りが検出された場合、当該通信データの自動再送を送信側に要求する、要求できる再送回数に制限がある自動再送方式を用いてデータの通信を行うデータ通信方法において、
最終再送データと同一フレームの過去に受信して記憶手段に保持されていたデータに付随していた誤り検出冗長ビットに基づき、誤り訂正後の最終再送データに対する誤り検出を行い、
誤り訂正後の最終再送データに誤りが検出された場合、上記記憶手段に保持されている最終再送データと同一フレームの過去に受信したデータを対象として最終再送データに付随していた誤り訂正冗長ビットに基づき誤り訂正処理を再度実行し、
当該訂正後のデータに対して上記誤り検出冗長ビットに基づいた誤り検出を行い、誤りが検出されない場合には、最終再送データに代えて、誤りが検出されない当該訂正後のデータを出力する
ことを特徴とするデータ通信方法。 - フレーム単位に通信される、受信した通信データに含まれる誤りの有無を検出し、誤りが検出された場合、当該通信データの自動再送を送信側に要求する要求できる再送回数に制限がある自動再送方式を用いてデータを通信する受信側のデータ通信装置において、
受信データに付随している誤り検出冗長ビットに基づいて受信データに対する誤り検出を行うと共に、フレーム毎の誤り検出冗長ビットを保持する誤り検出手段と、
当該誤り検出手段により誤りが検出された場合、対応するデータの再送を送信側に要求する再送要求手段と、
現受信データが、要求できる再送回数に制限がある場合における最終再送データか、上記誤り検出手段による誤り検出処理前に判別する再送制御手段と、
最終再送データに付随している誤り訂正冗長ビットに基づいて最終再送データについて誤り訂正符号化処理を実行すると共に、フレーム毎の誤り訂正冗長ビットを保持する誤り訂正手段と、
上記誤り検出手段で誤りが検出されたデータ、および、上記誤り訂正手段から出力されたデータを保持する誤りデータ保存用メモリとを備え、
上記再送制御手段は、誤り訂正後の最終再送データを上記誤り検出手段に入力させて誤り検出させ、誤り訂正後の最終再送データに誤りが検出された場合、上記誤りデータ保存用メモリに保持されている、最終再送データと同一フレームのデータについて上記誤り訂正手段によって誤り訂正処理を実行させ、その訂正後のデータに誤りが検出されないことを上記誤り検出手段による処理を経て確認できた場合、上記最終再送データに替えて上記誤りデータ保存用メモリから読み出したデータから得られた誤り訂正後のデータを出力するように制御する
ことを特徴とするデータ通信装置。
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