JP3793325B2 - 二輪車のライディングシミュレーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行路を含む映像が表示された画面を見ながら、操作者(乗り手、運転者)が、模型二輪車を操作してライディングシミュレーションを行う二輪車のライディングシミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、乗り手が各種操作可能な模型二輪車と、この模型二輪車の走行状態に係る走行路を含む所望の映像を表示するCRT等を利用した表示器とを組み合わせた二輪車用のライディングシミュレーション装置が、遊技用として、あるいは二輪車の運転教育用として使用に供されている。
【0003】
例えば、特開平4−145482号公報に公表されているように、基台上に設けられ、前後、左右および上下方向に移動自在な移動台と、この移動台の動きを駆動する駆動手段と、前記移動台上に設置され乗り手が操作可能な模型二輪車と、前記模型二輪車の前方に配置され、予め記憶された走行路を含む映像を表示するディスプレイ装置と、乗り手の操縦操作や動きに応じて前記駆動手段を制御して前記模型二輪車のヨー、ロールおよびピッチ動を制御するとともに、前記ディスプレイ装置に表示される映像を前記模型二輪車の走行状態に応じて変化させる制御手段とを備える二輪車のライディングシミュレーション装置が知られている。
【0004】
この二輪車のライディングシミュレーション装置によれば、図5A、図5Bおよび図5Cに示すように、模型二輪車2が、左右旋回方向KDにヨー角Y_a、車幅方向(ロール方向)TDにロール角R_aおよび上下方向UDにピッチ角P_aを持つことができるように、ヨー動機構、ロール動機構およびピッチ動機構を備えているので、模型二輪車2を操縦操作する乗り手4に対して実際の自動二輪車の操縦感覚にきわめて近い操縦感覚を与えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、模型二輪車2を、例えば、直線走行中の乗り手4が、走行方向を変えようとする場合、ハンドル操作および体重移動動作により、模型二輪車2を車幅方向TDに所定ロール角R_a分傾けて旋回しようとする。
【0006】
この場合、所定ロール角R_aを、乗り手4のハンドル操作量に比例したステアリングトルクと、体重移動量に比例したリーントルクの合成値に応じて算出し、これをロール動の指令として、図示していないロールモータに与えるようにしている。
【0007】
しかしながら、模型二輪車2を操縦操作する二輪車のライディングシミュレーション装置では、遠心力が発生しないため実際の二輪車の走行時に発生するロール角ほど乗り手4をロール方向TDに傾動させることができないという知見を得た。
【0008】
この発明はこのような課題および知見を考慮してなされたものであり、模型二輪車の操縦者に対し、その模型二輪車の旋回操縦時に実車の走行感覚にきわめて近いロール動を与えることを可能とする二輪車のライディングシミュレーション装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、例えば、図面に示すように、操作者28による模型二輪車30の操縦操作に基づいて、走行状態を疑似体験させる二輪車のライディングシミュレーション装置10において、
前記操作者のハンドル操作に応じたステアリングトルクを検出するハンドルトルクセンサ94と、
前記操作者の体重移動に応じたリーントルクを検出するリーントルクセンサ96と、
検出されたステアリングトルクと検出されたリーントルクとからロールレートを算出するロールレート算出手段18と、
算出されたロールレートを時間積分して前記模型二輪車のロール角を算出するロール角算出手段18と、
ロール動指令値に応じて、前記模型二輪車を車幅方向に傾動させてロール動を付与するロール動付与手段58と、
前記ロール角に前記リーントルクのみに比例した値を合成して前記ロール動指令値を算出するロール動指令値算出手段18と
を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ステアリングトルクとリーントルクとから計算されるロール角(計算ロール角)に、体重移動に係わるリーントルクに比例したロール角を合成してロール動指令値としている。このため、ロール動に、計算ロール角によるものと体重移動に係わるロール角によるものとが含まれ、模型二輪車が体重移動に直接的に応答することとなり、実際のロール感覚にきわめて近い旋回操縦感覚が得られる。
【0011】
この場合、ヨーレートを算出するときには、前記体重移動に対して直接応答するロール角分を無視し、前記算出ロール角に応じてのみ算出するようにすることで、模型二輪車の操縦性とロール感覚とを別個に調整することが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、この一実施の形態に係る二輪車のライディングシミュレーション装置10の概略構成説明図である。
【0014】
ライディングシミュレーション装置10は、床面34に設置されている制御機構12と、この制御機構12に対し連結機構14を介して着脱自在なモーションユニット部16と、前記制御機構12に対して通信線200(200a、200b)で接続される制御テーブル(インストラクターテーブルともいう。)201とを備える。
【0015】
制御機構12は、ミニコンピュータ等の制御回路18とCGI発生装置23を収容する本体部19と、この本体部19の上部に設けられるディスプレイボックス20とを備えている。制御テーブル201は、制御機構12に対してホストコンピュータとしても動作するコンピュータ202と、このコンピュータ202に接続される、入力手段としてのキーボード203、マウス204と、表示手段であるCRTディスプレイ等のモニタ205とを備えている。なお、制御機構12およびコンピュータ202は、制御、判断、計算手段等として機能する中央処理装置としてのCPUと、システムプログラム等が記憶される記憶手段としてのROMと、ワーク用等に使用される記憶手段としてのRAMを有している。
【0016】
図2にも示すように、ディスプレイボックス20は、スピーカユニット22を組み込むとともに、スクリーンを有する投写型ディスプレイ(ディスプレイ、スクリーンまたは画面ともいう。)24を有する。
【0017】
図1に示すように、ディスプレイ装置25は、基本的には、ディスプレイ24とCGI発生装置23とから構成され、そのスクリーン24上に走行路を含む種々の走行状態を表示する。この場合、CGI発生装置23は、制御回路18から伝達される情報(入力情報)およびコンピュータ202から伝達される情報(入力情報)と自身のコンピュータ(CPU、ROM、RAM、ハードディスク等の大容量記憶装置等を含む。)を用いてディスプレイ24に動体(例えば、他車両)および静体(例えば、風景、走行路)の動きのパターンを迅速に表示する。
【0018】
制御回路18から伝達される情報とは、基本的には、模型二輪車30の挙動に係わる、現在位置データ、現在ヨーデータ、現在速度データ、現在加速度データ、現在ピッチ動データ、現在ロール動データであり、これらのデータ(以下、これらのデータを模型二輪車の現在走行データまたは模型二輪車の現在挙動情報データともいう。)が時々刻々入力されるのに応じて、CGI発生装置23は、予め記憶されている風景を含む走行路の映像情報を発生する。
【0019】
スクリーン24上に表示される映像は、CGI発生装置23から通信線200を介してNTSC信号としてコンピュータ202にも供給され、そのモニタ205上にも表示することが可能である。
【0020】
モーションユニット部16は、連結機構14を介して制御機構12に着脱自在な基台26を備え、この基台26上に乗り手28が操作可能な自動二輪車の模型二輪車30と、この模型二輪車30を実際の二輪車の挙動に則して駆動する駆動機構32とが装着される。
【0021】
基台26は、この基台26を床面34上で移動させるための複数の車輪36と、基台26を床面34上で移動不能なように固定するための複数の固定部38とを備える。固定部38は、ねじ軸40を設けており、このねじ軸40が基台26にねじこまれることにより、固定部38が上下方向に移動自在である。
【0022】
基台26上に支持枠42が設けられ、この支持枠42の上部側には、車幅方向に延びるピッチ軸44(図2も参照)を介して模型二輪車30の車体46が前後方向(ピッチ方向)に揺動自在に支持される。また、支持枠42には、支点48を中心に揺動自在なピッチモータ50が支持され、このピッチモータ50に連結されたねじ軸52には、車体46に揺動自在に支持されたナット54が螺合する。さらに、支持枠42には、水平方向にロール軸56を有するロールモータ58が支持され、このロールモータ58の図示しない出力軸に車体46が係合する。
【0023】
模型二輪車30のハンドル60は、ハンドルトルクセンサ94(図3参照)とステアリングモータ62の回転軸64とに直結されており、図3に示す制御回路18は、このハンドルトルクセンサ94の出力信号に基づき、ステアリングモータ62を介して乗り手28のハンドル60の回動操作に対応する反力を付与する。
【0024】
駆動機構32は、ピッチモータ50、ロールモータ(ロール動付与手段)58およびステアリングモータ62により構成される。
【0025】
図3に示すように、モーションユニット部16側には、乗り手28が右手で操作するフロントブレーキレバー97に連結されたフロントブレーキ圧センサ98やリヤブレーキペダル99に連結されたリヤブレーキ圧センサ100、さらにアクセルであるスロットルグリップ63に連結されたアクセル開度センサ90等、参照符号90〜100に示す各種センサの他、所望のスイッチを備えたハンドルスイッチ102およびギヤシフトペダル103(図1には示していないが、乗り手28の左足で操作される。)に連結されたギヤポジションスイッチ104が、信号線を介してコネクタ70の一端側に接続される。また、駆動機構32を構成するピッチモータ50、ロールモータ58およびステアリングモータ62が、信号線を介してコネクタ72の一端側に接続される。
【0026】
一方、制御機構12側には、コネクタ70、72の他端側から信号線に接続される制御回路18が設けられている。
【0027】
この制御回路18には、乗り手28に風を送る電動ファン106、振動発生器108、スピーカユニット22およびディスプレイ装置25が接続されるとともに、映像用の通信線200bとデータ伝送用の通信線200aとを介して制御テーブル201が接続されている。
【0028】
制御回路18から前記ディスプレイ装置25を構成するCGI発生装置23に対して模型二輪車30の情報が伝達されることで、この模型二輪車30の情報に応じた映像がディスプレイ24上に表示される。
【0029】
次に、このように構成されるライディングシミュレーション装置10の動作について説明する。
【0030】
乗り手28が、ハンドル60に設けられているアクセルとしてのスロットルグリップ63やフロントブレーキレバー97やクラッチレバー91を操作することで、アクセル開度センサ90の出力信号やフロントブレーキ圧センサ98の出力信号およびクラッチレバー角センサ92の出力信号が制御回路18に供給される。また、リヤブレーキペダル99を操作することで、リヤブレーキ圧センサ100の出力信号が制御回路18に供給される。さらに、クラッチレバー91の操作に伴うギヤシフトペダル103の操作により、ギヤポジションスイッチ104のギヤポジション情報(ギヤ位置であり、例えば、5速のうちの1速またはニュートラル位置情報)が制御回路18に供給される。
【0031】
一方、模型二輪車30上で乗り手28の体重の移動方向や移動量が、リーントルクセンサ96により検出され、その出力信号が制御回路18に送られる。
【0032】
これらの出力信号に基づいて、制御回路18は、駆動機構32を駆動制御するとともに、ディスプレイ装置25等を駆動制御する。
【0033】
例えば、乗り手28がフロントブレーキレバー97の操作を行い、ブレーキをかけると、フロントブレーキ圧センサ98により検出されるブレーキ圧に応じてピッチモータ50が駆動されて模型二輪車30が前傾され、ブレーキング時の挙動が再現される。一方、スロットルグリップ63の操作によりアクセルを急速に開いた場合も同様に、アクセル開度センサ90により検出される開度に応じてピッチモータ50が駆動され、このピッチモータ50の作用下に模型二輪車30が後傾され、加速操作時の挙動が再現される。
【0034】
また、乗り手28が体重移動を行うと、その体重の移動方向および移動量と走行速度とに基づいてロールモータ58が駆動され、車体46が車幅方向に傾動してコーナリング(旋回)時の挙動が再現される。このときの体重移動に伴って、体重移動方向にハンドル60が切られる、すなわちステアリングが切られることになる。このとき、ハンドルトルクセンサ94によりハンドル60の操作量に応じたステアリングトルクが検出され、検出されたステアリングトルクに応じて制御回路18によりステアリングモータ62が駆動されて、ハンドル60が切られる方向と反対方向の反力がハンドル60に与えられ、実車によるものと同様の操縦感覚が実現される。
【0035】
上述したような乗り手28の種々の操作が行われる際に、制御回路18からリアルタイムに模型二輪車30の現在の挙動情報データがCGI発生装置23に供給されることで、ディスプレイ24に模型二輪車30の走行状態に基づいた風景と他車両の映像を含む走行路の映像がリアルタイムで表示されるため、乗り手28は、実車によるものと同等の走行感覚を得ることができる。
【0036】
次に、ハンドルトルクセンサ94により検出されるステアリングトルクと、リーントルクセンサ96により検出されるリーントルクに応じて、ロールモータ58を駆動し、乗り手28に実車に近似したロール動を与える動作について図4のフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0037】
なお、図1例のライディングシミュレーション装置10においては、図5Aに示したような左右旋回方向KDにヨー動するヨー機構を採用していないが、以下に説明するようにヨー角Y_a(前記の計算ヨーデータ)を計算し、計算したヨー角Y_aを制御回路18からCGI発生装置23に与え、CGI発生装置23が、そのヨー角Y_aに対応して映像を旋回させて走行路等を表示させることで、ヨー動機構を採用しているシミュレーション装置とほぼ遜色のない操縦感覚を得ることができる。
【0038】
そこで、まず、乗り手28のハンドル60の操作によって発生するステアリングトルクTs(kg・m)をハンドルトルクセンサ94により検出するとともに、乗り手28の体重移動によって発生するリーントルクTl(kg・m)をリーントルクセンサ96により検出する(ステップS1)。
【0039】
次いで、ロール方向TDへの傾き速度(角速度)、いわゆるロールレートR_v(deg/sec)を次の(1)式により求める(ステップS2)。
【0040】
R_v=Ts×K1+Tl×K2 …(1)
この(1)式から分かるように、ロールレートR_v(deg/sec)は、ステアリングトルクTs(kg・m)に係数K1(deg/kg・m・sec)を掛けた値に、リーントルクTl(kg・m)に係数K2(deg/kg・m・sec)を掛けた値を加算した値として得られる。換言すれば、ロールレートR_vが、ステアリングトルクTsとリーントルクTlに比例して変化するように構成している。
【0041】
次に、ロール角(算出ロール角または計算ロール角ともいう。)R_a(deg)を、次の(2)式により算出する(ステップS3)。
【0042】
R_a=R_a+R_v×S_time …(2)
この(2)式に示すように、左辺に示す算出されるロール角R_aは、この実施の形態では33msに設定されているサイクルタイムS_time(sec)毎に、(1)式で求めたロールレートR_vにサイクルタイムS_timeを掛けた値(R_v×S_time)をその前回の値(右辺のロール角R_a)に加算した値として計算される。結局、計算ロール角R_aは、サイクルタイムS_time毎に更新され、乗り手28のハンドル60の操作量と体重移動量の時間積分値として算出される。
【0043】
この計算ロール角R_aをロール動指令値としてロールモータ(ロール動付与手段)58を駆動し、ロール軸56を計算ロール角R_a分だけ回転させて、模型二輪車30を車幅方向TD(図2参照)に計算ロール角R_aだけ傾動させた場合、上述したように、実際の二輪車において遠心力により発生するロール動を正確に表現することができない。そこで、この実施の形態では、この遠心力により発生するロール動を考慮して、次の(3)式により実際の作動ロール角(ロール動指令値ともいう。)Rm(図2参照)を計算するようにしている(ステップS4)。
【0044】
Rm=R_a+Tl×K3 …(3)
この(3)式によれば、作動ロール角Rm(deg)は、計算ロール角R_aに、体重移動により発生するリーントルクTlに比例したロール角分(Tl×K3)(K3は係数)を加算した値として得られるようにしている。このようにすれば、作動ロール角Rmが、乗り手28の体重移動操作に直接的に反応する項(Tl×K3)を持つことになるので、乗り手28の体重移動操作に対して模型二輪車30の車体46が直接的に反応して応答する操縦感覚が得られ、体重移動操作に対しての反応がにぶいという違和感が解消され、模型二輪車30におけるロール動の感覚の向上が図られる。
【0045】
このとき、制御回路18からCGI発生装置23に供給する現在ヨーデータであるヨーレートYawとしては、作動ロール角Rmから算出されるヨーレートではなく、計算ロール角R_aから算出されるヨーレートとする。すなわち、ヨーレートYaw(deg/sec)は、計算ロール角R_aの関数fとして次の(4)式により計算する(ステップS5)。
【0046】
Yaw=f(R_a) …(4)
なお、ヨーレートYawの実際値は、係数をg、自車速度(車速)をV(m/sec)とするとき、次の(5)式により計算することができる。
【0047】
Yaw={g×tan(R_a)}/V …(5)
このヨーレートYawと車速Vとから模型二輪車30の旋回半径Rrは、公知のように、Rr=V/Yawとして簡単に求めることができる。なお、模型二輪車30において、車速Vを求める場合には、発生加速度GをサイクルタイムS_time毎に積分して求めることができる。発生加速度Gは、G=(エンジントルク×ギヤレシオ−ブレーキ制動力)/車両重量(乗り手28の重量も含む)として計算することができる。この場合、エンジントルクは、スロットルグリップ63によるスロットル開度とエンジン回転数に応じたトルクとしてエンジン特性から求めることができる。ギヤレシオは、ギヤポジションスイッチ104から分かるギヤポジションとスプロケット比とから求められる。ブレーキ制動力は、フロントブレーキレバー97の操作に応じたフロントブレーキ圧センサ98の出力とリヤブレーキペダル99の操作に応じたリヤブレーキ圧センサ100の出力に基づき、各々ブレーキ力特性(ブレーキ圧とブレーキ力の対応関係)を参照して求めることができる。このようにして求めた発生加速度Gから、車速Vは、V=1サイクルタイム前の車速+G×S_time×9.8(m/s)として求めることができる。
【0048】
上述した旋回半径RrとヨーレートYawに応じてディスプレイ24上の走行路を含む風景の映像を回転させることで、模型二輪車30の乗り手28は、実車での旋回感覚にきわめて近似した旋回感覚を得ることができる。
【0049】
この場合、映像の旋回計算に寄与するロール角は、計算ロール角R_aのみとしているので、ライディングシミュレーション装置10の操縦性、すなわち、ヨーレートYawによる旋回と、乗り手28に与えるロール感覚、すなわち作動ロール角Rmを各別に調整することが可能となり、操縦性とロール感覚の調整が容易になる。さらに具体的に説明すると、例えば、体重移動、ハンドル操作、車速等に応じて操縦性に係わるヨーレートYawが最適になるように、係数K1、K2、gを決定し、その後、ロール動の感覚が最適となるように係数K3を、例えば、車速Vに応じて別個に決めることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ステアリングトルクとリーントルクとから一定時間毎に連続的に計算されるロール角(計算ロール角)に、体重移動に係るリーントルクに比例した値(体重移動に係わるロール角分)を合成してロール動指令値としているので、遠心力をも考慮したロール動を与えることが可能となり、結果として、模型二輪車の操縦者に対し、その模型二輪車の旋回操縦時に、実車の旋回操縦感覚にきわめて近いロール動を与えることができるという効果が達成される。
【0051】
言い換えれば、実際には、旋回進行していない模型二輪車により、模型二輪車の操縦者に対して遠心力に係わるロール感覚をも擬似的に体感させることができるという効果が達成される。
【0052】
そして、旋回操縦性能に関連する映像に係わるヨーレートを算出するときには、前記体重移動に対して直接応答するロール角分を無視し、前記算出ロール角に応じてのみ算出するようにすることで、操縦性とロール感覚とを別個に調整することができるという効果が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1例の装置を後方から見た図である。
【図3】図1例の装置の電気回路的ブロック図である。
【図4】ロール動算出の説明に供されるフローチャートである。
【図5】従来技術に係る模型二輪車の説明に供される図であって、図5Aは、ヨー動の説明に供される模式的平面図、図5Bは、ロール動の説明に供される模式的背面図、図5Cは、ピッチ動の説明に供される模式的側面図である。
【符号の説明】
10…ライディングシミュレーション装置
12…制御機構 16…モーションユニット部
18…制御回路 23…CGI発生装置
24…ディスプレイ 25…ディスプレイ装置
28…乗り手 30…模型二輪車
46…車体 56…ロール軸
58…ロールモータ 60…ハンドル
62…ステアリングモータ 64…回転軸
94…ハンドルトルクセンサ 96…リーントルクセンサ
R_a…計算ロール角 Rm…作動ロール角
Claims (2)
- 操作者による模型二輪車の操縦操作に基づいて、走行状態を疑似体験させる二輪車のライディングシミュレーション装置において、
前記操作者のハンドル操作に応じたステアリングトルクを検出するハンドルトルクセンサと、
前記操作者の体重移動に応じたリーントルクを検出するリーントルクセンサと、
検出されたステアリングトルクと検出されたリーントルクとからロールレートを算出するロールレート算出手段と、
算出されたロールレートを時間積分して前記模型二輪車のロール角を算出するロール角算出手段と、
ロール動指令値に応じて、前記模型二輪車を車幅方向に傾動させてロール動を付与するロール動付与手段と、
前記ロール角に前記リーントルクのみに比例した値を合成して前記ロール動指令値を算出するロール動指令値算出手段と
を備えることを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。 - 請求項1記載の装置において、
ヨーレート算出手段を有し、
ヨーレートを前記ロール角に応じて算出することを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。
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