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JP3791304B2 - ゲートウェイ装置及びマルチキャスト通信システム - Google Patents

ゲートウェイ装置及びマルチキャスト通信システム Download PDF

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JP3791304B2
JP3791304B2 JP2000194890A JP2000194890A JP3791304B2 JP 3791304 B2 JP3791304 B2 JP 3791304B2 JP 2000194890 A JP2000194890 A JP 2000194890A JP 2000194890 A JP2000194890 A JP 2000194890A JP 3791304 B2 JP3791304 B2 JP 3791304B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星通信に代表される数万台規模の大規模なマルチキャストが可能な通信経路を利用するゲートウェイ装置及びマルチキャスト通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の異なるネットワークが結合されているインターネットワークシステム上で通信を行う場合、異なるネットワーク間でのデータ交信を行うためのプロトコルと、その上位に位置してアプリケーションプログラム間でのデータ交信を行うためのプロトコルに通信プロトコルを階層化して設計することが広く行われている。
【0003】
現在、幅広く利用されている異なるネットワーク間でパケットの交換を行う為のルーティングプロトコルは、同一経路上を双方向にデータが送れるという前提で設計されている。そのため、基地局から受信局への片方向にしかデータを送れない衛星データ通信のような通信経路を利用して、双方向で通信できることを前提に設計されているアプリケーションを動作させることは出来ない。
【0004】
一つの解決策としてはネットワーク層でのルーティングプロトコルを改良して片方向経路を扱えるようにすることが考えられるが、その場合改良しなければならない機器の数が数万台あるいはそれ以上規模になるため、現実的とはいえない。
【0005】
そこで、特開平11−313109号公報に示されるように、片方向通信経路の両端に送信側ゲートウェイと受信側ゲートウェイを設置し、両ゲートウェイ間でネットワーク層でのパケットトンネリングと動的なネットワークアドレス置換を行うことで、アプリケーション層に対して透過な非対称経路利用通信システムが考案されている。
【0006】
上記従来技術により片方向経路である衛星データ通信路を利用したインターネット通信システムが構築可能であり、ユーザは衛星データ通信路を利用して高速にインターネットアクセスが行える。
【0007】
インターネット通信で利用されるパケットはIPパケットであるが、IPパケットを用いた通信方式としては、一対一で通信を行うユニキャスト通信方式に加えて、一対多で通信を行うマルチキャスト通信方式がある。
【0008】
一般に、インターネットシステム上ではパケットの中継を行うルータが回線速度、伝送遅延時間等の各種条件を考慮して経路の決定を行う。マルチキャストパケットを中継する場合もマルチキャストルーティングプロトコルを用いて経路情報の交換を行い、経路を決定するのであるが、マルチキャストの場合はユニキャストと異なり、IPパケットの終点アドレスをマルチキャストグループ番号として利用するため、終点アドレスから機器を特定することが出来ない。そこで、ルータ間のルーティングを制御するプロトコルに加えて、同一セグメント上でどのマルチキャストグループを送信するのかを制御するIGMPプロトコルが使用される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
衛星データ通信路は、衛星送信局から送出されたデータが多数の衛星受信局で同時に受信可能であるため、マルチキャスト通信方式に用いるのに非常に適した通信路である。しかし、従来のマルチキャストルーティングプロトコルはルーティングテーブルのエントリー数が数千程度に制限されていたり、ルーティング情報を交換するためのデータ量がルータ数に比例して増大するなど、一対数万といった規模のマルチキャストを考慮して設計されておらず、衛星データ通信路の特徴を活かすことが困難であるという課題がある。
【0010】
また、ユニキャスト経路とマルチキャスト経路は独立しており、インターネット上のサーバが送信したマルチキャストパケットをクライアントPCが受信する場合、そのマルチキャストパケットがRGWの衛星回線側に届くか、インターネット側に届くかはインターネット網内の状況に依存し、特定できない。マルチキャストパケットを衛星回線側で受け取るためのもっとも確実な方法は、RGWでインターネット側のインターフェースではマルチキャストルーティングを行わないと設定することである。この場合はRGWまでのマルチキャスト経路が衛星回線経由の一つとなるため、かならずこの経路が使われる。
【0011】
しかし、この場合、悪天候などの影響で衛星回線が一時的に使用不能となった際、マルチキャスト経路がなくなってしまうため、ユニキャスト通信は可能であるがマルチキャスト通信は不可となってしまうという課題がある。
【0012】
本発明の目的は、衛星回線という大規模マルチキャストが行えるが天候等の要因で部分的に通信不能となる回線を利用し、衛星回線部分ではIGMPプロキシーを用いることで大規模なマルチキャストルーティングを可能とし、また、衛星回線断時には自動的にインタネット網経由でマルチキャスト配送を行うシステム、ゲートウェイ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、非対称な経路制御を行うマルチキャスト通信システムを考案した。
【0014】
同一セグメント内でのマルチキャスト送信を制御するIGMPプロトコルでは、制御に必要な制御パケットのデータ量がセグメント内のマシン数の一乗よりは小さな乗数で増加する。衛星回線自身は巨大な単一セグメントに見えるため、衛星回線内でのマルチキャスト制御にはIGMPを利用する。この際、RGWは本来ならルータとして振舞うのであるが、そうではなく、ホストとして振舞うことで、IGMPだけでの制御が可能となる。
【0015】
RGW(受信側ゲートウェイ)にマルチキャストルーティングプログラムを設け、異なるインターフェース間でのマルチキャストパケットのルーティングを行う。マルチキャストルーティングプロトコルにはいくつもの種類があるが、ルーティングアルゴリズムが何であっても本発明は適用可能であるため、マルチキャストルーティングプロトコル自体の説明は省略する。
【0016】
RGWにIGMPプロキシーを設ける。IGMPプロキシーは
(1)衛星インターフェース上で他のマシンとIGMPプロトコルを用いてマルチキャストグループの配信要求をやりとりする。
【0017】
(2)上記情報に基づいて、マルチキャストルーティングプログラムにマルチキャスト経路情報とマルチキャストパケットを渡す。
【0018】
という機能を持つ。IGMPプロキシーの詳細は"http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-fenner-igmp-proxy-01.txt"に記述されている。
【0019】
RGWに衛星インターフェース監視プログラムを設ける。衛星インターフェース監視プログラムは衛星インターフェースの受信状況を調べ、正常に受信している場合はインターネット側インターフェースのマルチキャストルーティング機能を無効とし、衛星インターフェース側が正常に受信できていない場合はインターネット側インターフェースのマルチキャストルーティング機能を有効とする。
【0020】
以上説明したように、RGW上にマルチキャストルータ、IGMPプロキシー、衛星インターフェース監視プログラムを設けることで、衛星回線が正常な場合はIGMPプロキシーを用い、衛星回線が異常な場合は通常のマルチキャストルーティング処理を行うことで、非対称かつ動的な経路制御を行うマルチキャスト通信システムを実現した。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0022】
図1に本発明の実施例の構成を示す。本発明のシステムは衛星送信局側に送信側ゲートウェイ(SGW)20とアップリンクステーション21を有し、衛星受信局側には受信側ゲートウェイ(RGW)10、衛星受信機(IRD)11、ローカル網を介してRGWと接続された一台以上のパソコン(PC)60(a,b、...)を有する。衛星送信局と衛星受信局間は通信衛星30を介して送信局側から受信局側に通信が行え、またインターネット網40を介して双方向に通信が行える。インターネット網40上にはまた一つ以上のサーバ50(a,b、...)が接続されている。本システムを構成するこれらの機器は同一の運用主体により運用されている場合もあれば別個の運用主体により運用されている機器の集合体である場合もある。
【0023】
SGWとRGWの機能により非対称ルーティングを実現する。RGWはまた非対称なマルチキャストルーティング制御機能を合わせ持つ。
【0024】
ここで、本発明の前提となる非対称ルーティング処理について簡単に説明する。
【0025】
インターネットシステムは相互接続されたルータの集合体であり、ルータどうしが互いに経路情報を交換しあって、あるパケットを送るための経路を動的に選択し、ルータ間でパケットを送付する。現在利用されている経路情報交換プロトコルでは経路自身に方向性はなく、ある経路が利用可能であれば、その経路は双方向にパケットが送れるものと見なしている。このようなインターネットシステムで片方向経路を利用する為、特定のルータだけが片方向経路に関する情報を有するだけで実現できる非対称経路利用インターネットシステムが考案されている。
【0026】
ローカル網内のPCaとインターネット網上のサーバaが交信する場合を想定する。PCaでは始点アドレスがPCa、終点アドレスがサーバaであるIPパケットを送り、逆にサーバaでは始点アドレスがサーバa、終点アドレスがPCaであるIPパケットを送る。
【0027】
該システムでのインターネット網上での経路情報が、PCaとサーバa間の通信はSGWを経由せずにインターネット網から直接RGWを経由することとなっていた場合は、PCaからサーバaへ送られるパケットはPCa→RGW→インターネット網→サーバaと送られ、サーバaからPCaへと送られるパケットはサーバa→インターネット網→RGW→PCaと送られるが、この状態は通常のルーティング経路であり、衛星データ通信路は利用されない。
【0028】
該システムでのインターネット網上での経路情報が、PCaとサーバa間の通信はSGWを経由することとなっていた場合は、PCaからサーバaへ送られるパケットはPCa→RGW→インターネット網→SGW→インターネット網→サーバaと送られ、サーバaからPCaへと送られるパケットはサーバa→インターネット網→SGW→アップリンクステーション→衛星→IRD→RGW→PCaと送られ、非対称な経路が使われる。
【0029】
この非対象な経路について、PCaからサーバaへパケットを送る場合、サーバaからPCaへのパケットを送る場合を具体的に説明する。まず、PCaからサーバaにパケットを送る場合、まずPCaでは始点アドレスがPCa、終点アドレスがサーバaであるIPパケットを作成しローカル網を介してRGWへと送る。RGWでは、パケットをSGWに送りたい場合は、送るべきIPパケットをIPパケット内にカプセル化してインターネット網を介してSGWへと送る(トンネリング)。カプセルの外側のIPパケットは始点アドレスがRGW、終点アドレスがSGWであり、通常のルーティング経路に従って送られる。SGWではカプセル化されたIPパケットを受け取るとカプセルを解除し、インターネット網上に送り出す。ここで送られるパケットは終点アドレスがサーバaであり、通常のルーティング経路に従ってサーバaへと届く。
【0030】
次にサーバaからPCaへ送られるパケットの流れを示す。サーバaでは届いたIPパケットに対して(何らかの)返答を返すが、この時生成されるIPパケットは始点アドレスがサーバa、終点アドレスがPCaのパケットである。但し、このサーバaからPCaへ送られるパケットは、インタネット上でSGWを経由する取り決めを設定してある為、インタネット網を介して必ずSGWへと届く。SGWはこのパケットをアップリンクステーションへと送り、アップリンクステーションはIPパケットを衛星データパケットのペイロードとして格納して衛星へと送出する。そして衛星から届いたデータが受信されてRGWへと送られ、RGWではそのパケットをローカル網上へ送る。
【0031】
以上が非対称ルーティングを行う際の動作である。
【0032】
ここで、IPアドレス体系について簡単に説明する。IPアドレスはインターネットプロトコルを利用して通信を行う機器をユニークに識別するための固定長の数値であり、IPプロトコルバージョン4では2進数で32ビット長、IPプロトコルバージョン6では2進数で128ビット長である。IPアドレスはネットワーク部とホスト部に分かれており、ホスト部の値が全て0のIPアドレスはネットワーク自身を表わすと定められている。固定長のIPアドレスの内、どの部分をネットワーク部として用いるかは可変であり、その区切りを示す値をサブネットマスク値という。また、上記ネットワーク部の値が特定の範囲のIPアドレスはマルチキャストアドレスを示すと定められており、その場合、そのIPアドレスは特定の機器を示すものではなく、マルチキャストグループを表わすものとなる。IPアドレス体系の詳細についてはRFCを参照されたい。
【0033】
さて、このような非対称ルーティングを実現する際、通常のインターネットシステムと異なる動作が必要となるのはRGW、SGWであるため、以下にこれらの機器の動作の詳細を説明する。
【0034】
まず、SGW20について説明する。
【0035】
図2にSGW20のハードウェア構成図を示す。
【0036】
SGW20はルータとして動作するコンピュータシステムであり、CPU2001、メモリ2002、ディスクコントローラ2003、ハードディスク2100、コンソールコントローラ2004、コンソール2200、ネットワークコントローラ2005a、ネットワークコントローラ2005bからなる。
【0037】
CPU2001はSGW20全体の動作を制御する。メモリ2002はプログラムやデータを格納する。ディスクコントローラ2003はハードディスク2100を制御する。ハードディスク2100はプログラムや図4に示す経路情報テーブル2150や図5に示すマルチキャスト転送情報テーブル2250等のデータを格納する。コンソールコントローラ2004はコンソール2200を制御する。コンソール2200はユーザとの入出力を行う。ネットワークコントローラ2005aはインターネット網との通信を行う。ネットワークコントローラ2005bはアップリンクステーション21との通信を行う。
【0038】
アップリンクステーション21はIPパケットを通信衛星30で使用されているデータ形式に変換して、通信衛星30へと送信する。
【0039】
次にSGW20の動作について説明する。
【0040】
SGW20の動作はCPU2001が、詳細を後述するSGW処理プログラム2500を実行することによって実現される。
【0041】
図4は経路情報テーブルリスト2100のデータ構成図である。経路情報テーブルリスト2100は経路情報テーブル2150が0個以上集まったリストであり、リスト内に経路情報テーブル2150が一つもない場合は、経路情報が全くないことを示す。
【0042】
経路情報テーブル2150にはネットワークアドレスフィールド2151、ネットマスクフィールド2152、送り先アドレスフィールド2153、送り先コントローラ名2154の各フィールドがある。
【0043】
ネットワークアドレスフィールド2151とネットマスクフィールド2152は合わせてルーティングの対象となるネットワークを示し、送り先アドレスフィールド2153はそのネットワークにパケットを送る場合の経路の次のルータのアドレスを示し、送り先コントローラ名2154はそのネットワークにパケットを送る場合にパケットを送るべきコントローラの名称を示す。本実施例では送り先コントローラ名フィールド2154の値はネットワークコントローラa、ネットワークコントローラbのいずれかとなる。また、送り先のネットワークがルータを経由せずに直接パケットが送れる場合は、送り先アドレスフィールド2153の値は0となる。
【0044】
図5はマルチキャスト転送情報テーブルリスト2200のデータ構成図である。マルチキャスト転送情報テーブルリスト2200はマルチキャスト転送情報テーブル2250が0個以上集まったリストであり、リスト内にマルチキャスト転送情報テーブル2250が一つもない場合は、マルチキャスト転送情報が全くないことを示す。
【0045】
マルチキャスト転送情報テーブル2250にはグループアドレスフィールド2251、ソースアドレスフィールド2252、受信元コントローラ名フィールド2253、コピー先コントローラ名リスト2254の各フィールドがある。
【0046】
グループアドレスフィールド2251はパケット転送を行うマルチキャストグループアドレスを示す。ソースアドレスフィールド2252はそのグループアドレス宛にマルチキャストパケットを送出している機器のIPアドレスを示し、この値が0の場合は、任意のソースアドレスを示す。受信元コントローラ名フィールド2253はそのマルチキャストパケットを受信したコントローラ名を示し、コピー先コントローラ名リスト2254はそのパケットをコピーして転送すべきコントローラ名の0個以上のリストを示す。
【0047】
図6はSGW処理プログラム2500のフローチャートである。
【0048】
SGW処理プログラム2500はまずステップ2501でネットワークコントローラ2005aからIPパケットを受信し、ステップ2502で受信したIPパケットがユニキャストパケットかどうかを調べ、ユニキャストでない(マルチキャスト)場合はステップ2510へと進みマルチキャストパケットの処理を行う。
【0049】
ユニキャストの場合はステップ2503でその終点アドレスが自分自身であるかを調べ、自分自身である場合はステップ2504へと進んでプロトコル種別がカプセル化されたIPパケットであるかどうかを調べ、YESの場合はカプセル化されたIPパケットを取り出して(ステップ2505)、ステップ2502へ戻って取り出したIPパケットの処理を行う。カプセル化されたIPパケット以外の場合はステップ2506へと進み、受信したパケットの処理を行う。ステップ2506ではインターネットプロトコルに従って様々な処理が行われるが、この部分の処理は通常のルータにおけるパケット処理と違いはないので、詳細な説明は省略する。ステップ2506の次はステップ2501へと戻り、次のパケットを処理する。
【0050】
終点アドレスが自分自身以外の場合は、ステップ2507で経路情報テーブルリスト2100を検索してパケットの送り先を探す。ここではネットワークアドレスフィールド2151、ネットマスクフィールド2152で示されるネットワークが送るべきパケットの終点アドレスを含んでいる経路情報テーブル2150を探し、そのテーブルの送り先コントローラ名フィールド2154の値が送り先となる。送り先が見つかった場合はステップ2509に進み、対応するネットワークコントローラへとパケットを送信する。見つからなかった場合は、そのパケットは廃棄して次のパケット処理に移る(ステップ2514)。
【0051】
マルチキャストパケットの場合はステップ2510でマルチキャスト転送情報テーブルリスト2520を検索し、パケットのコピー先を探す。ここではグループアドレスフィールド2251の値がコピーすべきパケットの終点アドレスに一致し、ソースアドレスフィールド2252の値が0、あるいはコピーすべきパケットの始点アドレスと一致するマルチキャスト転送情報テーブル2250のコピー先コントローラ名リストフィールド2254の値がコピー先となる。コピー先が見つかった場合は、コピー先コントローラ名リストに対応する一つ以上のネットワークコントローラに当該パケットをコピーして送信し、ステップ2513へと進む。コピー先が見つからなかった場合はパケットの送信を行わず、そのままステップ2513へと進む。
【0052】
ステップ2513では受信したマルチキャストパケットをインターネットプロトコルに従って処理する。この部分の処理は通常のルータにおけるパケット処理と違いはないので、詳細な説明は省略する。
【0053】
経路情報テーブルリスト2100及びマルチキャスト転送情報テーブルリスト2200の内容は、ステップ2506及び2513で行われるパケット処理内容によって更新される。以上がSGW処理プログラム2500の処理内容である。
【0054】
続いてRGW10について説明する。
【0055】
図3にRGW10のハードウェア構成図を示す。
【0056】
RGW10はルータとして動作するコンピュータシステムであり、CPU1001、メモリ1002、ディスクコントローラ1003、ハードディスク1100、コンソールコントローラ1004、コンソール1200、ネットワークコントローラ1005a、ネットワークコントローラ1005b、IRDコントローラ1007からなる。
【0057】
CPU1001はRGW10全体の動作を制御する。メモリ1002はプログラムやデータを格納する。ディスクコントローラ1003はハードディスク1100を制御する。ハードディスク1100はプログラムや図7で示す経路情報テーブル1150、図8に示すマルチキャスト転送情報テーブル1250や図9に示すマルチキャスト動作状態管理テーブル等のデータを格納する。コンソールコントローラ1004はコンソール1200を制御する。コンソール1200はユーザとの入出力を行う。ネットワークコントローラ1005aはインターネット網との通信を行う。ネットワークコントローラ1005bはローカル網との通信を行う。IRDコントローラ1007はIRD11を制御する。
【0058】
IRD11は通信衛星30から送られるデータを受信し、データ中からIPパケットを取り出してRGW10へと送る。
【0059】
次にRGW10の動作を示す。RGW10の動作は、CPU1001が、RGW処理プログラム(後述)を実行することにより実現される。
【0060】
図7は経路情報テーブルリスト1100のデータ構成図である。経路情報テーブルリスト1100はSGWが持つ経路情報テーブルリスト2100と同一の構成であるため、説明は省略する。
【0061】
図8はマルチキャスト転送情報テーブルリスト1200のデータ構成図である。マルチキャスト転送情報テーブルリスト1200もまたSGWが持つマルチキャスト転送情報テーブルリスト2200と同一の構成であるため、説明は省略する。
【0062】
図9はマルチキャスト動作状態管理テーブル1300のデータ構成図である。マルチキャスト動作状態管理テーブル1300はネットワークコントローラ1005aがマルチキャストパケットの送受信を行うかどうかの動作状態を保持している。
【0063】
図10はRGW処理プログラム1500のフローチャートである。
【0064】
RGW処理プログラム1500ではまずステップ1501でネットワークコントローラ1005a、ネットワークコントローラ1005b、IRDコントローラ1007からIPパケットを受信する。ステップ1502において受信したパケットがマルチキャストパケットの場合はステップ1520に進む。ユニキャストパケットであった場合はステップ1503へ進み、終点アドレスが自分自身であるかを判定する。自分自身の場合はステップ1508へと進み、受信したパケットを処理する。ステップ1508の内容は通常のルータと変らないため、詳細は省略する。処理が終わるとステップ1501へと戻り、次のパケットを処理する。
【0065】
終点アドレスが自分自身でない場合はステップ1504でそのパケットの送り先を図7に示した経路情報テーブル1150を用いて探す。送り先の検索処理はSGWの場合と同様であるため、詳細は省略する。見つかった場合はステップ1506へと進んで送り先がIRDコントローラであるかどうかを調べる。IRDコントローラの場合はそのパケットをSGW行きにカプセル化し(ステップ1509)、ステップ1502に戻ってカプセル化されたパケットを処理する。
【0066】
送り先がIRDコントローラ以外の場合はステップ1507へと進んで対応するネットワークコントローラへパケットを送信し、ステップ1501へと戻る。尚、ステップ1505において、送り先が見つからなかった場合には、そのパケットを廃棄する。
【0067】
マルチキャストパケットの場合はステップ1520に進み、そのパケットの受信元がネットワークコントローラ1005aであるかを調べる。そうである場合はマルチキャスト動作状態管理テーブル1300の値を調べ(ステップ1521)、動作中、即ちIRDコントローラ1007が正常にIPパケットを受信していない場合はステップ1522へと進み、停止中、即ち、IRDコントローラ1007が正常にIPパケットを受信している場合はステップ1531において、そのパケットを破棄してステップ1501へと戻る。
【0068】
ステップ1522でパケットのコピー先を図8に示したマルチキャスト転送情報テーブル1250を用いて検索する。コピー先の検索処理はSGWの場合と同様であるため、詳細は省略する。コピー先が見つからない場合はただちにステップ1530へと進む。
【0069】
コピー先が見つかった場合、まずコピー先にIRDコントローラが含まれるかどうかを調べ(ステップ1524)、含まれる場合はそのパケットをSGW行きにカプセル化して、カプセル化したパケットを受信キューに入れて後でステップ1501で取り出せるようにする(ステップ1525)。尚、コピー先が見つからなかった場合にはそのパケットを廃棄する。
【0070】
次に、コピー先にネットワークコントローラ1005aが含まれるかどうかを調べ(ステップ1526)、含まれる場合はマルチキャスト動作状態管理テーブル1300の値を調べ(ステップ1527)、動作中である場合はパケットをコピーしてネットワークコントローラ1005aへ送信し、ステップ1529へと進む。停止中である場合はそのままステップ1529へと進む。
【0071】
ステップ1529では他の対応するネットワークコントローラ(この場合はネットワークコントローラ1005b)へパケットをコピーして送信し、ステップ1530で受信したパケットを処理してステップ1501へと戻る。
【0072】
ステップ1530での受信パケット処理内容はIGMPプロキシー機能を持つ通常のルータと変らないため、詳細は省略する。
【0073】
以上がRGW処理プログラム1500の処理内容である。
【0074】
図11はRGW監視プログラム1600のフローチャートである。
【0075】
RGW監視プログラム1600はIRDコントローラからのパケット受信が正常に行えているかどうかを常に監視し(ステップ1601)、正常であればマルチキャスト動作状態管理テーブル1300の内容を「停止中」とし(ステップ1603)、正常でなければマルチキャスト動作状態管理テーブル1300の内容を「動作中」とする。
【0076】
IRDコントローラからのパケット受信が正常かどうかの判定にはいくつかの方法があり、受信信号レベルがある閾値以下の状態が一定時間続く場合は異常とみなす方法、アップリンクステーション21から周期的に送られるデータを一定期間受け取れなかった場合は異常と見なす方法などがあるが、いずれの方式を用いても本発明は実現可能である。
【0077】
受信信号レベルの閾値に関しては、CS衛星放送で映像が正常に受信できる信号レベルとされている40dbを閾値とすることが妥当である。
【0078】
また、周期データ受信不能で検知する場合、InternetDraftであるDraft−ietf−udlr−lltunnel−02.txtに規定されている、「連続して3回以上アップリンクステーションからの周期的に送られるパイロットデータが受信できなかった場合は回線異常とみなす」という規定を採用することが望ましい。この場合、RGW10のメモリ1002はパイロットデータが送信される周期を予め記憶しておき、IRDコントローラ1007が3周期に相当する期間以上パイロットデータを受信しないとCPUが判断するように構成する。
【0079】
以上がRGW10の処理内容である。
【0080】
以上説明したようなRGWとSGWの働きにより、RGWが衛星からのパケットを正常に受信している間はRGWとインターネット網の間でマルチキャストパケットは流れないため、RGW宛のマルチキャスト経路はSGW経由だけとなり、SGW経由でIGMPプロキシーを用いて大規模なマルチキャスト処理が行える。また、ある特定のRGWが衛星からのパケットを正常に受信できない間は、そのRGWとインターネット網との間でマルチキャストパケットが流れ、インターネット経由のマルチキャストルーティングを行うという非対称なマルチキャストルーティングが実現される。
【0081】
本実施例によれば、衛星回線という大規模マルチキャストが行えるが天候等の要因で部分的に通信不能となる回線を利用して、衛星回線部分ではIGMPプロキシーを用いることで大規模なマルチキャストルーティングを可能とし、また、衛星回線断時には自動的にインターネット網経由でマルチキャスト配送を行うシステムが実現できる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、既存のインターネット網でのルーティング方式に変更を加えることなく、大規模、かつ動的に経路切換が行えるマルチキャスト通信システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成図。
【図2】SGWのハードウェア構成図。
【図3】RGWのハードウェア構成図。
【図4】経路情報テーブルリスト(SGW)の構成図。
【図5】マルチキャスト転送情報テーブルリスト(SGW)の構成図。
【図6】SGW処理プログラムのフローチャート。
【図7】経路情報テーブルリスト(RGW)の構成図。
【図8】マルチキャスト転送情報テーブルリスト(RGW)の構成図。
【図9】マルチキャスト動作状態管理テーブルの構成図。
【図10】RGW処理プログラムのフローチャート。
【図11】RGW処理プログラムのフローチャート。
【図12】RGW監視プログラムのフローチャート。
【符号の説明】
10…RGW、
11…IRD、
20…SGW、
21…アップリンクステーション、
30…通信衛星、
40…インターネット網、
50…サーバ
60…PC。

Claims (6)

  1. 衛星受信機を介してIPパケットを送受信する第1のコントローラと、インターネットを介してIPパケットを送受信する第2のコントローラと、前記第1のコントローラが正常に動作しているか否かを監視する制御手段有し、
    前記制御手段は、前記第1のコントローラが正常にIPパケットを受信していない期間において、種別がマルチキャストであるIPパケットを受信した場合、前記受信したIPパケットが転送されるべき送信先の複数の通信装置に対し、前記受信したIPパケットのコピーを生成し、前記第2のコントローラを介して前記複数の通信装置へ前記コピーを送信し、前記第1のコントローラが正常にIPパケットを受信している期間において、種別がマルチキャストであるIPパケットを前記第2のコントローラから受信した場合、前記受信したIPパケットを廃棄する、ゲートウェイ装置。
  2. 前記第1のコントローラは、IGMPプロキシである、請求項1記載のゲートウェイ装置。
  3. 衛星受信機を介してIPパケットを送受信する第1のコントローラと、インターネットを介してIPパケットを送受信する第2のコントローラと、ローカルネットワークを介してIPパケットを送受信する第3のコントローラと、前記第1のコントローラが正常に動作しているか否かを監視する制御手段とを有し、
    前記制御手段は、前記第1、第2又は第3のコントローラを介して受信したIPパケットの種別がマルチキャストであり、かつ前記受信したIPパケットが前記第2のコントローラを介して受信したIPパケットである場合、前記第1のコントローラ正常に動作していると判断した場合には前記受信したパケットを廃棄し、前記第1のコントローラに異常が発生していると判断した場合には、前記受信したIPパケットに含まれる終点アドレスと始点アドレスから転送すべき複数の通信装置のアドレスに対応したコントローラリストを検索し、検索された複数のコントローラに対して、前記受信したIPパケットをコピーして送信するゲートウェイ装置。
  4. 前記制御手段は、前記第1のコントローラが正常に動作しているか否かの監視を、前記第1のコントローラの受信レベルが40db以下の場合に異常と判断する、請求項3記載のゲートウェイ装置。
  5. 前記制御手段は、前記第1のコントローラが正常に動作しているか否かの監視を、前記第1のコントローラが定期的に受信するパイロット信号を3周期に相当する期間以上受信しなかった場合に異常と判断する、請求項3記載のゲートウェイ装置。
  6. インターネットと、前記インターネットと通信衛星に接続される送信側ゲートウェイと、前記インターネットに接続される複数のサーバと、前記通信衛星と前記インターネットに接続される衛星受信局とを有するマルチキャスト通信システムにおいて、
    前記衛星受信局は、前記通信衛星からの信号を受信する衛星受信機と、受信側ゲートウェイ装置と、ローカル網を有し、
    前記受信側ゲートウェイ装置は、前記衛星受信機を介してIPパケットを送受信する第1のコントローラと、前記インターネットを介してIPパケットを送受信する第2のコントローラと、前記ローカル網を介してIPパケットを送受信する第3のコントローラと、前記第1のコントローラが正常に動作しているか否かを監視する制御手段とを有し、
    前記衛星送信局は、
    前記ローカル網から前記複数のサーバに対して送信されたIPパケットを受信すると、前記インターネットを介して前記複数のサーバに転送し、前記サーバから前記ローカル網に対して送信されたIPパケットを受信すると、前記衛星送信局、前記通信衛星及び前記衛星受信機を経由して受信する非対象経路情報を設定し、
    前記制御手段は、前記第1、第2又は第3のコントローラを介して受信したIPパケットの種別がマルチキャストであり、かつ前記受信したIPパケットが前記第2のコントローラを介して受信したIPパケットである場合、前記第1のコントローラ正常に動作していると判断した場合には前記受信したIPパケットを廃棄し、前記第1のコントローラに異常が発生していると判断した場合には、前記受信したIPパケットに含まれる終点アドレスと始点アドレスから転送すべき複数の通信装置のアドレスに対応したコントローラリストを検索し、検索された複数のコントローラに対して前記受信したIPパケットをコピーして送信する、マルチキャスト通信システム。
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