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JP3788263B2 - 通信ネットワーク、通信ネットワーク・ノード装置、及び、障害回復方式 - Google Patents

通信ネットワーク、通信ネットワーク・ノード装置、及び、障害回復方式 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信ネットワーク、通信ネットワーク・ノード装置、及び、障害回復方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下で、分離とは、ネットワーク・ノードに於いて転送されて来た信号を分解したものを自ノード内の他の通信装置へ出力することを意味する。挿入とは、ネットワーク・ノードに於いて、自ノード内の他の通信装置からの信号を伝送信号に多重し、他ノードに伝送することを意味する。通過とは、伝送されて来た信号の一部あるいは全部を自ノード内の他の通信装置へ分離や挿入を行わずに、そのまま波長やタイムスロットの入れ替えをしないで、もしくは、空間的に接続替えを行ったり波長あるいはタイムスロットを入れ替えて、他ノードへ伝送することを意味する。又、以下ここでは、あるノードで電気信号が光信号に変換されて他ノードへ送出されてから、それが再び電気信号に変換されるまでを光パスと定義する。
【0003】
通信の大容量化の需要に対応するために、光通信ネットワークでは、波長多重を行うことにより1本の光伝送路中の容量を大きくする手段が取られている。そのような網を効率的に運用するためには、通信ネットワーク・ノードに於いて光信号の波長単位で切り替え、光信号の分離、挿入を行う光ADM(Add/drop multiplexers) ノードをリングトポロジを構成するように接続した光ADMリングシステムが検討されている。光ADMリングシステムとして、4ファイバ双方向リング、及び、2ファイバ単方向リングが考えられている。
【0004】
4ファイバリングとは、ファイバにより構成されるリングが4本あるシステムであり、2ファイバリングとは、ファイバにより構成されるリングが2本あるシステムである。
【0005】
4ファイバリングは、従来、双方向リングとして用いていた。双方向リングとは、あるノード間の通信を考えた場合、同じ経路上を右回りの信号と左回りの信号で互いに通信を行うリングであることを意味する。4本のリングを、右回りの現用信号光を伝送する現用リング、左回りの現用リング、右回りの現用リングのための左回りの予備リング、左回りの現用リングのための予備リングとして用いる。あるノード間全てのファイバに障害が発生した場合は、図10に示すように、障害点の手前のノードで反対回りの方向へ伝送する予備ファイバに接続替えを行う(ループバックスイッチ)ことにより、障害回復を行うことが可能である(例えば、文献A. F. Elrefaie, "Multiwavelength survivable ring network architectures" in Proc. ICC '93, pp. 1245-1251, 1993. を参照)。図10に於いて、1005〜1008は通信ノードを表す。1021は現用リング1001を通る現用光パスであり、ノード1006からノード1005、ノード1008を通りノード1007で終端される。今、ノード1005とノード1008の間のファイバに破断障害が発生すると、障害点に最も近いノードであるノード1005、ノード1008では折り返すように波長多重信号を多重されたまま予備リング1002に切り替え(ループバック切り替え)、迂回路1022を構成し障害回復を行う。結局障害回復時では、光信号はノード1006、ノード1005、ノード1006、ノード1007、ノード1008、ノード1007という経路を通るので、リング1周分より長距離の光伝送を行うことになる。この時、双方向リングでは障害時に、ファイバ単位で波長多重信号光を一括して切り替える。
【0006】
2ファイバ・リングは、従来、単方向リングとして用いていた。単方向リングとは、例えば、通常は全て右回りの信号によりノード間の通信を行うことを意味する。単方向リングでは、障害回復方式として1+1プロテクション方式を用いる(例えば、H. Toba et al., "An optical FDM-based self-healing ring network employing arrayed waveguide grating filters and EDFA's with level equalizers," IEEE J. on Select. Areas Commun. Vol. 14, no.5, pp. 800-813参照)。図11は1+1プロテクション方式を用いての障害回復を説明する図である。1101,1103は現用リング、1102,1104は予備リングを表す。図11に示すように、1+1プロテクション方式では、送信側ノード(ソースノード)で予め、予備リング1102上を右回りに光伝送される予備光パス1122と、現用リング1101上を左回りに光伝送される現用光パス1121との両方に送出しておく。受信ノードでは、スイッチを切り替えることにより右回りの信号と左回りの信号を受信することが可能であるので、障害が発生した場合にどちらか障害の起こっていない方の信号を受信するように切り替えることにより障害回復を行うことが可能である。あるノード間の通信で右回りの信号も左回りの信号も常に流しているので、特に現用信号、予備信号と区別するまでもなく、右回り、左回りとも常に現用信号が流れているとも言える。
【0007】
2ファイバ単方向リングを用いることにより、1+1プロテクション方式を適用することが可能であるので、非常に高速に障害回復を行う事が可能である。2ファイバ単方向リングで1+1プロテクション方式を用いた場合、光伝送の面からは、ループバックを行わないので、光伝送の距離は、リング1周より大きくなることはない。
【0008】
その他、SONET(例えば、T-H Wu, "Fiber Network Service Survivability," Artech house,1992参照)のリングでは、2ファイバ単方向リングで、障害区間を折り返す(ループバック)ようにして障害回復を行う方式もある(例えば、T-H Wu, "Fiber Network Service Survivability," Artech house,1992)。4ファイバリングで説明したのと同様に、ループバックを行うので、総伝送距離がリング1周より長くなる場合がある。
【0009】
一方、4ファイバ双方向リングを用いることにより、ある程度高速に障害回復を行う(SONETの場合、50msec程度で)ことが可能である。
【0010】
以上のような構成を用いることにより、高速に障害回復を行う通信ネットワークを構成することが可能である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2ファイバ単方向リング(1+1プロテクション方式)を用いることにより、現用パスに対し予備パスをリング上で逆向きのパスを1:1に対応させて準備して常にその光信号を送信しておく必要があり、使用効率が下がり高コストとなる。
【0012】
一方、4ファイバ双方向リング等障害回復の際、ループバックを行うシステムを用いると、もし現用のパスとしてリング1周に近い距離のパスを用いていた場合、ループバックにより2周近くの光伝送を行わなければならない。リング半周程度のパスを現用パスとして用いていた場合でも1周半近くの光伝送を行わなければならなくなる。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、パスの収容効率が良く、尚かつ、長いリング全長を設定することが可能な障害回復機能を有するリングシステムを構築することであり、通信ネットワークを低コスト化することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、通信ネットワーク・ノード装置であって、多重信号を入力する複数又は単数の多重信号入力端と信号を挿入する複数又は
単数の挿入入力端と前記多重信号入力端に入力された多重信号が多重分離された多重分離信号を出力する複数又は単数の分離出力端と前記挿入入力端に入力される信号及び前記多重分離信号を多重して出力する多重信号出力端とを持つ複数又は単数の挿入分離多重手段と、他ノードと接続される複数又は単数の外部入力端と、他ノードと接続される複数又は単数の外部出力端と、複数の出力端を持つ複数又は単数のスイッチ手段と、複数又は単数の合流手段と、複数又は単数の信号入力端と、複数又は単数の信号出力端とからなり、前記外部入力端が前記挿入分離多重手段の多重信号入力端に接続され、前記挿入分離多重手段の多重信号出力端が前記外部出力端に接続され、前記信号入力端が前記スイッチ手段に接続され、前記スイッチ手段が前記挿入分離多重手段の挿入入力端に接続され、前記挿入分離多重手段の分離出力端が前記合流手段に接続され、前記合流手段が前記信号出力端に接続されることを特徴とする。
【0015】
第2の発明は、通信ネットワーク・ノード装置であって、多重信号を入力する複数又は単数の多重信号入力端と信号を挿入する複数又は
単数の挿入入力端と前記多重信号入力端に入力された多重信号が多重分離された多重分離信号を出力する複数又は単数の分離出力端と前記挿入入力端に入力される信号及び前記多重分離信号を多重して出力する多重信号出力端とを持つ複数又は単数の挿入分離多重手段と、他ノードと接続される複数又は単数の外部入力端と、他ノードと接続される複数又は単数の外部出力端と、複数の出力端を持つ複数又は単数のスイッチ手段と、複数又は単数の合流手段と、複数又は単数の信号入力端と、複数又は単数の信号出力端と、他ノードと制御情報の授受を行い前記制御情報に基づき前記光スイッチ手段の切り替え制御を行う複数又は単数の制御手段とからなり、前記外部入力端が前記挿入分離多重手段の多重信号入力端に接続され、前記挿入分離多重手段の多重信号出力端が前記外部出力端に接続され、前記信号入力端が前記スイッチ手段に接続され、前記スイッチ手段が前記挿入分離多重手段の挿入入力端に接続され、前記挿入分離多重手段の分離出力端が前記合流手段に接続され、前記合流手段が前記信号出力端に接続されることを特徴とする。
【0016】
第3の発明は、通信ネットワーク・ノード装置であって、多重信号を入力する複数又は単数の多重信号入力端と信号を挿入する複数又は
単数の挿入入力端と前記多重信号入力端に入力された多重信号が多重分離された多重分離信号を出力する複数又は単数の分離出力端と前記挿入入力端に入力される信号及び前記多重分離信号を多重して出力する多重信号出力端とを持つ複数又は単数の挿入分離多重手段と、他ノードと接続される複数又は単数の外部入力端と、他ノードと接続される複数又は単数の外部出力端と、複数の出力端を持つ複数又は単数のスイッチ手段と、複数又は単数の合流手段と、複数又は単数の信号入力端と、複数又は単数の信号出力端と、合流手段に入力される信号を監視する複数又は単数の信号監視手段と、他ノードと制御情報の授受を行い前記光スイッチ手段の切り替え制御を行う複数又は単数の制御手段とからなり、前記外部入力端が前記挿入分離多重手段の多重信号入力端に接続され、前記挿入分離多重手段の多重信号出力端が前記外部出力端に接続され、前記信号入力端が前記スイッチ手段に接続され、前記スイッチ手段が前記挿入分離多重手段の挿入入力端に接続され、前記挿入分離多重手段の分離出力端が前記合流手段に接続され、前記合流手段が前記信号出力端に接続され、前記制御手段が前記信号監視手段の前記合流手段に入力される信号の監視結果及び前記他ノードとの制御情報の授受の結果に基づいて前記スイッチ手段の制御を行うことを特徴とする。
【0017】
第4の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の通信ネットワーク・ノード装置であって、前記挿入分離多重手段が光信号の挿入分離多重手段であることを特徴とする。
【0018】
第5の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の通信ネットワーク・ノード装置であって、前記挿入分離多重手段が波長の挿入分離多重を行う手段であることを特徴とする。
【0019】
以下、本発明の作用について説明する。
【0020】
本発明で述べるシステムでは、障害が発生すると、共有された予備資源を用い、光パス単位で障害の起こった経路と逆方向回りの迂回路を設定して切り替えて障害回復を行うので、ループバック切り替えを行う必要が無く、1周以上の光伝送を行わなくて済む。又、本発明では、パス・スイッチ方式を用いているが、予備資源を共有するので、パスの収容効率が高くなる。これは、従来の1+1プロテクション方式を用いると、予備パスを常に動作させておかなければならないので1つのリング1周中1波長で、最大2個(あるノード間の上り方向、下り方向)のパスしか収容することができないのに対し、本発明で述べるシステムは、予備資源は全ての現用資源の間で共有されているので、1つの現用リング中1波長で最大隣接ノード間の数(ノード数)だけ、パスを収容することが可能であるからである。ループバックを行わない事と、パスの収容効率が良い事とを同時に実現するので、通信ネットワークが低コスト化される。
【0021】
又、特に波長多重システムの場合、元々波長を束ねた単位で監視することは難しく波長単位の管理を行う必要があるので、パス単位の管理を必要とする本発明で述べるシステムと合致し、そのまま導入出来るので低コスト化される。又、特に、波長多重システム(波長多重できる数に物理的制約があるのでパスの数は多くならない)や、低速信号を何本も多重した高速信号を扱うシステムのようにパスの数が少ないシステムに本発明を適用すると、管理するパスの数が少なくて済み、管理コストが低減化され、より効果が増大する。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
第1の実施の形態について図1を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の光波長多重通信ネットワークのブロック構成図である。105〜108は光通信ネットワーク・ノードである。これらのノードは、リング・トポロジを構成するようにファイバを接続することにより4つのファイバのリングを構成している。101,103は現用リング、102,104は予備リングを表す。各ノードは、それぞれ、右回りの現用リングの信号を処理する右回り現用信号処理部(ノード108に於いては121)と、左回りの現用信号を処理する左回り現用信号処理部(ノード108に於いては122)を持つ。右回り現用処理部は現用リング101の信号と左回りの予備リング102の信号(障害時)とを取り扱う。左回り現用信号処理部は、左回りの現用リング103の信号と右回りの予備リング104の信号(障害時)とを取り扱う。各ノードでは、波長多重分離した信号の分離、挿入を行う。例えば、ノード105からは、109〜112の光信号が波長多重分離されて出力される。109,110は、現用リング101から波長多重分離された光信号であり、111,112は現用リング103から波長多重分離された光信号である。113〜116の光信号が挿入される。113,114は現用リング101に挿入する光信号で、115,116は現用リング103に挿入する光信号である。リング中、データの伝送を行う主信号光の波長は1.5μm帯の2波λ1,λ2を用いる。従って、例えば、113,115にλ1、114,116にλ2の波長を割り当てることが可能である。主信号光の他、隣接ノード間で制御信号をやりとりするために1.3μm帯の制御信号光(波長:λs)も主信号光と波長多重されて伝送される。分離信号と挿入信号について、ノード105分しか示していないが、他のノード106〜108も同様な機能構成を持つ。
【0024】
図2に、ノード108を構成するブロックである、右回り現用信号処理部200(図1では121)を示す。201,205は外部入力端を表し、204,208は外部出力端を表し、それぞれ光ファイバを用いて他ノードと接続される。現用リング101の光ファイバは、ノード105の方から外部入力端201に接続され、外部出力端208からノード107の方へ接続される。又、予備リング102の光ファイバは、ノード107の方から外部入力端205に接続され、外部出力端204からノード105の方へ接続される。221,223は制御信号分離器で外部入力端から入力された光信号を分離し、1.5μm帯の波長多重された主信号光を光ADM部209,210にそれぞれ送出し、1.3μmの制御信号光(λs)を監視制御装置215,216に入力させる。制御信号分離器221,223としては、1.3μm帯の波長と1.5μm帯の波長を分離するWDMカップラを用いることが可能である。202,203は波長多重分離された光信号(λ1、又はλ2)を出力する分離出力端であり、206,207は1波の光信号(λ1、又はλ2)を入力する分離入力端であり、それぞれ、SONET終端装置、ATMスイッチ(例えば、T-H Wu, "Fiber Network ServiceSurvivability," Artech house,1992参照)等、他のネットワーク機器が接続される。209,210は光ADM部である。光ADM部209は、外部入力端201から入力された波長多重光を波長多重分離して218,220の方へ出力、もしくは多重して外部出力端208の方へ出力する。光ADM部210は、外部入力端205から入力された波長多重光を波長多重分離して217,219の方へ出力、もしくは多重して外部出力端204の方へ出力する。217〜220は光分岐器であり、光ADM部から波長多重分離されて出力された光信号の一部をタップ(例えば10%の光パワー分)して、監視制御器215,216に接続し、残りの大部分の光信号(例えば90%の光パワー分)を光スイッチ213や光スイッチ214の方へ出力する。
【0025】
211〜214は2×1光スイッチであり、機械式光スイッチを用いることが可能である。光スイッチ213,214には光ADM部209,210から波長多重分離された出力が光ファイバを用いて接続され、外部入力端201に入力される光信号を波長多重分離したもの、又は、外部入力端205に入力される光信号を波長多重分離したもの内のいずれかを選択してそれぞれ分離出力端202,203に出力する。同様に、光スイッチ212,211にはそれぞれ、1波長の光信号が入力され、光スイッチ212,211を切り替えることによりそれぞれ、光ADM部209,210で波長多重して外部出力端208、又は204の内のいずれの方へ出力するか選択することができる。
【0026】
215,216は監視制御器であり、タップした光信号の監視を行い、光スイッチ211〜214に切り替え制御信号を送出する。監視制御器215,216では、監視制御部の入力端に光受信器を設置することにより入力された光信号のビット誤り率を監視して光信号の伝送品質を監視する(光信号としてSONETフレームを用い、そのB1バイトを監視することによりビット誤り率の監視を行うことが可能;例えば、T-H Wu, "Fiber Network Service Survivability," Artech house, 1992)。ノード108では、右回り現用信号処理部に於いて通常は、外部入力端201からの現用リング101を伝送されて来る光信号の誤り率を監視して、光信号が正常に伝送されているかを管理する。監視制御部は、光スイッチ211〜214に接続されており、監視制御部の情報により光スイッチ211〜214を切り替えることが可能である。
【0027】
外部出力端204,208の前段にはそれぞれ制御信号合波器222,224が接続されており、監視制御器215,216から送出される他ノードへの制御信号光(1.3μm帯)と主信号光(1.5μm帯)とを波長多重する。制御信号合波器としては、制御信号分離器221,223と同様にWDMカップラを用いることが可能である。制御信号分離器221,223、制御信号合波器222,224を用いて制御信号光の主信号光への重畳、分離を行うことにより、他ノードとの制御信号のやり取りを行うことが可能である。
【0028】
監視制御部には他ノードからの制御信号光も入力されるので、他ノードからの制御情報に基づく切り替え、及び、自ノードの光信号の監視結果に基づく切り替えの両方が可能である。
【0029】
左回り現用信号処理部も図2の200と同様の構成を用いることが可能である。同様に右回り現用信号処理部、左回り現用信号処理部と現用リング103、予備リング104に接続することが可能である。ノード108以外の他ノードも同様にノードを構成しリングの光ファイバと接続することが可能である。
【0030】
図3に、図2中で用いられる光ADM部209,210のブロックを表す。300は光ADM部を表す。301は波長多重された信号光を入力する多重信号入力端であり、306は、波長多重された光信号を出力する多重信号出力端である。302,303は多重信号入力端301に入力された光信号を波長多重分離して出力する分離信号出力端である。304,305は挿入信号入力端であり、1波の光信号を入力する。314は波長多重分離器、307は波長多重合波器で、AWG(Arrayed−waveguide grating:例えば、K.Okamoto et al., "Fabrication of unequal channel spacing arrayed-waveguidedemultiplexer modules," Electron. Lett., 1995, vol.31, no.17, pp.1464-1465. 参照)を用いることが可能である。310,311は光ゲートスイッチであり、機械式光スイッチや、半導体光アンプを用いたゲートスイッチを用いることが可能である。312,313は入力された光のパワーを2分岐して一方をそれぞれ分離出力端302,303へ出力し、他方をそれぞれ光ゲート310,311の方へ出力する光分岐器である。308,309は光カップラであり、挿入信号入力端304、挿入信号305からの信号光と光ゲート310,311からの出力をそれぞれ結合したものを出力する。307は、光カップラ308,309からの出力を合波した波長多重光を出力する。光ゲート310、光ゲート311をon状態にしたり、off状態にすることにより波長多重合波器307に入力させる信号を光分岐器の出力からのものにするか、挿入信号入力端からのものにするか選択することが可能である。尚、図3の構成では、光分岐器312,313により分岐しているので、分岐信号出力端には常に光信号が出力される。
【0031】
次に、図2のノード構成、図1のネットワークを用いた時の障害回復動作の説明を図4、図5を用いて行う。
【0032】
図4は、図1のネットワークで主信号、障害発生後の制御信号及び各ノードでの動作ステップを表す。以下ここでは、あるノードで電気信号が光信号に変換されて他ノードへ送出されてから、それが再び電気信号に変換されるまでを光パスと定義する。光パスには1つの波長が対応する。401は現用主信号光を転送する現用光パスであり、ノード106(ソースノード:送信ノード)からノード105を経由してノード108で終端され、λ1の波長を用いている。通常は、予備リングは使用されておらず、障害の発生した時のみ予備リングに光パスが設定され、使用される。予備リングでは全てのノードに於いて、他ノードから到着した光信号は全てそのまま通過させる状態に予め設定しておく。これは、予備リング中で図3の光ゲート310,311をOn状態に設定しておくことにより実現できる。今、ノード106とノード105の間の光ファイバ全てに破断障害が発生した時の障害回復動作について説明する。光ファイバの破断障害なので、光パス401は終端ノード108に到着しなくなり、まず、ノード108の右回り現用信号処理部の中にある監視制御器215はビット誤り率の劣化を検出し、光パス401の障害を認識する(ステップ1)。
【0033】
監視制御器が現用光パスの障害を検出するとノード108では光スイッチ213を切り替え予備リング102(外部入力端205)からの光信号を選択して出力し(ステップ2)、ソースノード106宛てに切り替え要求メッセージを制御信号光(λS)を用いて障害の起こっていない方向に送出する(ステップ3)ように、監視制御器を予め設定しておく。制御信号光には、情報として、宛先ノード、光パス名、及び制御内容をのせることが可能である。例えば、SONETのセクションオーバヘッドのようにフレーミングされたビットの位置と値に情報を割り当てることにより実現可能である。例えば、フレーミングされたビット列の最初の8ビットを宛先ノード名に割り当て、次の8ビットを光パスの識別子に割り当て、次の1ビットを切り替え要求するかしないかに割り当てる。この計17ビットのビット列を波長数だけ連結したフレーム構成を用いると、波長数分の光パスの切り替え要求メッセージを一括して送ることができる。この場合、あるノード間光ファイバが破断してしまうという一重障害に対応できるメッセージ量を送ることができる。
【0034】
以上のような設定した制御システムを用いると、(ステップ1)でノード108が障害を認識すると、ノード108では予備リング102からの信号(現用光パスと同一の波長:λ1)を選択するように光スイッチ213は切り替えられ(ステップ2)、ソースノード宛てに現用光パスの識別子と切り替え要求のメッセージ(λS)を送出する(ステップ3)。
【0035】
ノード107では、制御信号光を受信するが、自ノード宛てのメッセージではないので、そのままノード106へ転送する(ステップ4)。制御信号光がノード106に到着すると、それが自ノード宛のメッセージであるので、ノード106で図2の光スイッチ212に相当する光スイッチを切り替えて現用リング101に送出していた現用光パス401の光信号(λ1)を予備リング102に送出する(ステップ5)。ノード107は予備リング102のλ1の波長の光を受信する設定になっておらず、且つ、予め光信号を他ノードへそのまま通過させる状態にしてあり、且つ、ノード108は予備リング102のλ1の波長を受信する設定になっている(ステップ2)ので、ノード108の光スイッチ213は予備リング102からの波長λ1の光信号を選択出力し(予備光パス402の形成)、現用光パス401の障害は、予備光パス402を用いることにより回復される。
【0036】
本実施の形態では、ステップ2(光スイッチ213の切り替え)の後、ステップ3(ソースノードへ切り替え要求のメッセージを送出)を実行しているが、(ステップ2)と(ステップ3)の順序は逆であっても本発明は支障無く実施できる。メッセージの伝達に要する時間が障害回復速度を支配している場合、先にメッセージの送出を行うので全体の障害時間が短縮される。
【0037】
図5に、このノード間通信とノードでの動作のシーケンスチャートを示す。縦軸は時間軸であり、下に行く程時間が後であることを表す。
【0038】
図6に、このシーケンスを実現するために各ノードがの監視制御器が備えるべき制御のフローチャートの一例を示す。601は分岐であり、自ノードの終端信号の障害を検出するかしないかによって場合分けする。自ノード終端信号の障害を認識する行為を(ステップ1)とする。602は手続きであり、自ノードに障害が発生していないことを確認し障害回復が終了したことを認識する(ステップ6)。605は、手続きであり、光スイッチを切り替えることにより予備リングからの光信号を受信できる態勢を作る(ステップ2)。606は手続きであり、障害が発生した光パスのソースノードに向け制御メッセージを伝送する(ステップ3)。603は分岐であり、他ノードから送られてきた制御信号が自ノード宛かどうか判定する。607は手続きであり、他ノード宛の制御メッセージが到着した場合、そのまま他ノードへ転送する(ステップ4)。604は分岐であり、到着した制御信号が、自ノード宛てのスイッチ要求であるかを判定する。608は手続きであり、到着した制御信号で指定された光パスの識別子を参照して、該当する光パスを予備リングの方へ送出するように切り替える。
【0039】
このようなフローチャートを各ノードに適用すれば図4に示すような障害回復が可能となる。
【0040】
以上では、波長がλ1である現用光パスの障害回復方法について述べたが、本発明構成、方法を用いれば、波長多重されている系に於いて任意の一重障害に対し、障害部を通っている全ての光パス(ソースノード、終端ノードの異なっているものを含む)の障害回復を行うことが可能である。以下にこれについて説明する。ファイバやノードの一重障害が発生すると、波長多重数分の光パスに障害が起こることになる。予備リングは現用リングの現用信号により共有されているので、障害に発生していない時は、予備リングは用いられていない。従って、現用リングの伝送方向と逆向きに信号を伝送する予備リングに現用光パスと同じ波長を割り当てれば、波長衝突(1本の光ファイバ中で同じ波長が光パスに割り当てられて分離できなくなること)無く予備光パスを割り当てることが可能である。従って、任意の1重障害に対して、そこを通っている全ての光パスの障害を回復できる。又、多重障害が発生した場合でも、現用光パスと反対回りの経路が無事であれば、対応可能である。
【0041】
以上、現用リング101の現用光パスの障害回復を共有予備資源である予備リング102を用いて障害回復を行う方法、そのノード構成について説明したが、現用リング103(現用リング101と逆向きの信号伝送)と予備リング104にも同様のノード構成、障害回復方法を適用することが可能である。尚、障害回復動作後、光ファイバの障害点を確認し、光ファイバの融着接続により現用リング101の修理を完了した場合は、予備資源を共有しているので次の障害に備えるため、予備光パス402を用いずに現用光パス401を使用して伝送されるように元に戻しておく。
【0042】
第1の実施の形態を用いることにより、ループバック切り替えを行う事無く障害回復を行っているので、光信号の伝送距離を小さくすることが可能である。従って、光のまま伝送可能な距離が定まっている時、ループバックを行うシステムよりも大きな全長のリングを構成することが可能である。又、1+1プロテクションのように予備資源を専有して用いておらず、予備資源を共有しているので運用する現用光パスの本数を多くすることが可能である。1+1方式では上り方向の通信として最短ルートに設定した場合、下り方向は、それと同じ向き回りのルートも常に用いてしまうから、光パスの収容が非効率となる。例えば、1+1方式では、1つの波長では1つのリング当たり、2つの光パスしか構成することができない(図11に於いて、光パス1122とノード1107からノード1106への光パス)。本構成を用いることにより、例えば図7のように、1波長で最大4つの光パスを構成することができる。図7に於いて701〜704は波長がλ1である現用光パス、101は現用リング、102は予備リングを表す。701〜704の現用光パスに対する予備資源は予備リング102であり、それぞれの現用光信号の間で共有されている。例えば、現用光パス701に対する予備光パスは予備リング102上でノード106→ノード105→ノード108→ノード107という経路で波長λ1を用いる。現用光パス702に対する予備光パスは予備リング102上でノード107→ノード106→ノード105→ノード108という経路で波長λ1を用いることができる。ノード106→ノード105→ノード107の区間では、予備光パスとして同じ波長λ1が用いられ共有されていることになる。これらの予備光パスは独立な事象であるので(一重障害に対して)、予備リング102中のλ1という予備資源を現用光パス701,702の間で共有することが可能となっているからである。同様に考えて、図7の場合は、結局、現用光パス701〜704の間で予備リング102の予備資源である波長λ1を共有していることになる。他の波長の光パスも同様である。又、予備資源は共有されていることにより、あるノード間の通信で右回りの現用リング、左回りの現用リングを独立に光パスを設定できるので、上り信号、下り信号をそれぞれ最短ルートのパスに設定すると効率が良くなる。
【0043】
又、障害回復のためのメッセージングは、せいぜいリングを1周するのみであるので、SONETの4ファイバの双方向リングの障害回復の動作速度と同程度の速度で障害回復を行うことが可能である。
【0044】
又、1+1プロテクション方式では、予備パスにも常に光信号を送出していたので、障害が起こっていないときでも予備資源が使われていた。それに対し、本構成及び方式を用いると障害が発生していない時は予備資源の使用が可能であり、そこへ優先度の低い光パスを流すことが可能である(スタンバイ・アクセス)。優先度が低いので障害が発生したときには、他の優先度の高い光パスの予備光パスとして使われてしまうかもしれないが、障害の起こっていないときに優先度の低い光パスを構成できるという利点がある。
【0045】
又、SONETシステムでは、パスを束ねた信号を監視するライン(隣接ノード間のパスが多重された信号の単位)という単位で監視すれば、パスの信号の品質(例えば誤り率)までを行うことが可能であった。ところが、波長多重システムでは、元々ノード間毎で必ず波長の管理を行う必要があり、光パスを束ねたもののみの管理のみで管理系を運用するのは困難である。従って、本発明構成、方法を光パス単位で障害回復を行う場合の管理、監視系を流用することができるので、より効果がある。
【0046】
又、現在のSONETシステムでは50Mb/sをパスの単位として扱っているが、これらを束ねたパス群単位(例えば、50Mb/sの信号が束ねられた2.5Gb/s単位)での切り替えを取り扱うようにすると管理するパスの本数が減り、より本方式の適用の効果が増す。光の場合でも、物理的な制約により波長多重数にある程度限界があるので、パスの本数が非常に多くなることはなく、より効果がある。
【0047】
又、第1の実施の形態を用いることにより、障害が発生しても光パスの終端ノードとソースノードのみがその光パスの障害回復のためにスイッチの切り替えを行えば良く、光パスの途中のノードは、終端ノードからソースノードへ宛てて発せられた切り替え要求メッセージを転送すれば良いだけであるので、制御が簡単であり、障害回復速度が高速になるという効果がある。
【0048】
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では4ファイバリングの構成、方法について説明したが、第2の実施の形態では、2ファイバリングの場合について説明する。2ファイバリングでは右回りのリングと左回りのリングが存在する。λ1〜λ4の4波が波長多重されているとし、両リング中で、λ1,λ2を現用光パスの波長、λ3,λ4を予備光パスの波長に割り当てる。右回りのリング中のλ1,λ2を用いて構成された現用光パスに対応する予備資源を左回りのリングのλ3,λ4に割り当てることが可能であり、左回りのリング中のλ1,λ2を用いて構成された現用光パスに対応する予備資源を右回りのリングのλ3,λ4に割り当てることが可能である。従って、2ファイバリングでも4ファイバリングと同様に考えることが可能である。右回りリングのλ1,λ2の資源を図1の現用リング101に対応させ、左回りリングのλ3,λ4を図1の予備リング102に対応させ、左回りリングλ1,λ2を図1の現用リング103に対応させ、右回りリングのλ3,λ4を図1の予備リングに対応させると、論理的には第1の実施の形態で説明した4ファイバリングと同様の動作が可能であることがわかる。ノード構成は現用光パスにλ1,λ2を用いており、予備光パスにλ3,λ4を用いているので、図2の4ファイバのノード構成に比べて、例えば光スイッチ212の出力端と光ADM部209の間に、入力された光信号をλ1に変換する波長変換器を挿入し、光スイッチ212の出力端と光ADM部210の間に、入力された光信号をλ3に変換する波長変換器を挿入し、光スイッチ211の出力端と光ADM部209の間に、入力された光信号をλ2に変換する波長変換器を挿入し、光スイッチ211の出力端と光ADM部210の間に、入力された光信号をλ4に変換する波長変換器を挿入する必要がある。波長変換器としては、光信号をフォトダイオードを用いて一旦電気信号に変換してから、その電気信号を用いて所望の波長のレーザ光に変調をかけて別の波長に変換する方法を用いることが可能である。
【0049】
第2の実施の形態を用いることにより、第1の実施の形態での効果と同様な効果がある。第1の実施の形態と異なる部分としては、用いるファイバ数(リング数)が半分なので、光ファイバ敷設費がコストの中で大部分を占める場合や、どうしても2ファイバリングしか構成できない場合に特に効果が大きくなる、という点が上げられる。
【0050】
第2の実施の形態では、固定波長出力の波長変換器を図2のノード構成に挿入したが、可変波長出力の波長変換器を適用しても本発明が適用可能なことは自明である。その場合、予備光パスの割り当て方を柔軟に変更できるので多重障害に対応する場合に、固定波長変換器を用いた場合よりも効果がある。
【0051】
第2の実施の形態では、波長変換器として光信号を電気信号に変換してから再び光信号に変換する方式を用いたが、光のままの波長変換器(例えば、半導体光アンプの相互利得変調の効果や、相互位相変調の効果を用いた波長変換器)を用いても本発明が実施可能であることは自明である。
【0052】
次に本発明適用方式として第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、2ファイバリングの場合であり、第1のリングと第2のリングは逆向き回りに光信号を伝送する。第1のリングの現用信号を伝送する波長としてλ1,λ2を用い、その予備資源として、第1のリングの波長λ1の現用光パスに対して第2のリングの波長λ1、第1のリングの波長λ2の現用光パスに対して第2のリングのλ2を用いる。第2のリングの現用信号を伝送する波長としてλ3,λ4を用い、その予備資源として、第2のリングの波長λ3の現用光パスに対して第1のリングのλ3、第2のリングの波長λ4の現用光パスに対して第1のリングのλ4を用いる。このように2ファイバリングに現用用、予備用の波長として、互いに逆回りに伝送するリングに同じ波長を割り当てると、第2の実施の形態で用いていた波長変換器を用いる必要が無くなる。第2の実施の形態では、あるソースノードに於いて現用光パスに波長λ1を用い予備光パスに波長λ3を用いていたので波長変換器が必要であったが、第3の実施の形態を用いると現用光パスに用いる波長と予備光パスに用いる波長が同一であるため波長変換の必要が無いからである。
【0053】
第3の実施の形態を用いると、波長変換器が不要になるという以外には、第2の実施の形態で説明した効果と同様の効果がある。
【0054】
本発明の実施の形態では、ファイバ障害の場合について説明したが、ノード障害等他の障害の場合に対しても、同様の方法で障害回復可能であることは自明である。
【0055】
本発明の実施の形態では、光パスの監視としてビット誤り率を監視する方法を用いたが、光パワーを監視する方法を用いて監視することも可能である。フォトダイオードを入力端に設置し、そのフォトカレントを監視することにより実現可能である。その他、光のS/N(信号対雑音比)を監視することを適用することが可能である。ASE(自然放出光雑音)と信号光の比を求めることにより光のS/Nを求めることが可能である。
【0056】
本発明の実施の形態では、図5に示すようなシーケンスを用いたが、例えば、ステップ2とステップ3の順序が入れ替わっても本発明は支障無く実施可能である。
【0057】
本発明の実施の形態では、各ノードの制御として図6に示すようなフローチャートを用いたが、必ずしもこれと同一のものを用いる必要がないのは明らかである。例えば、分岐603とそれに付随する手続き607とをひとまとめにしたものと、分岐604とそれに付随する手続き608とをひとまとめにしたものの順番を逆にしても(分岐手続き602の後に、先に分岐604を接続する方式)本発明は支障無く実施できることは明らかである。
【0058】
本発明の実施の形態では、波長多重システムに於いて光パスを用いるリングについて説明したが、SONET、SDH等のパスが時間多重されているシステムにも本発明が適用可能であることは自明である。但し、ループバックスイッチを行わないことより光信号の伝送距離が少なくて済むので、リング長を大きく取ることが可能であるため、光のままノードを光信号が通過する光ネットワークに於いて本発明を適用する方が有効性が増大する(SONETリングでは、各ノード毎に光信号を電気信号に変換して信号の再生を行う)。又、光のパスは2.5Gb/sの光信号であろうと10Gb/sの光信号であろうと、一本の光パスであるので、2.5Gb/sの光パスと10Gb/sの光パスが混在したしたシステムに於いても、第1の実施の形態と同様のノード構成、障害回復方法を用いることが可能であり、柔軟性が高い。
【0059】
本発明の実施の形態では、波長多重システムに於いて光パスを用いる方式について説明したが、ATMのVP(Virtual Path)やVC(Virtual Channel)に対しても、リングネットワークであれば、本発明が適用可能であることは自明である。
【0060】
本発明の実施の形態では、光ADM部の構成として図3のような構成を用いたが、図8の構成、図9の構成を用いることが可能である。
【0061】
図8は、図3で示される構成の他の実施例を表すものであり、構成波長多重分離器314と波長多重合波器307の間に2×2の光スイッチを挿入し、挿入信号入力端や、分離信号出力端へ切り替えるようにしたものである。図3の構成では、常に分離信号出力端に光信号が出力されていたが、この構成では2×2光スイッチとして分配選択型(マルチキャスト型)を用いていない場合は、2×2光スイッチをクロス状態にした時のみ分離信号出力端に出力される。
【0062】
図9は、図3で示される構成の他の実施例を表すものであり、波長多重分離器の出力の内一部を波長多重合波器に直結し、又、他の一部を分離信号出力端へ直結するものである。これらは、分離や挿入の動作を切り替えることはできないが、図2の光ADM部に適用することにより本発明の障害回復動作を行うことが可能である。
【0063】
その他の構成や、これらの組み合わせの構成を用いても、多重信号が入力され、それを多重分離したものの一部を出力し、一部を多重器に入力し、又、多重器に挿入信号を入力させることができる構成であれば、本発明が適用可能なことは自明である。
【0064】
本発明の実施の形態では、主信号系に1.5μm帯の波長の光信号、制御信号系に1.3μm帯の波長の光信号を用いたが、主信号系と制御信号系が分離できるものであれば、これらの波長を用いるに限定されるものでないことは自明である。
【0065】
本発明の実施の形態では、他ノードへの制御信号の転送する方式としてフレーム構成を用い、最初の8ビットに宛先ノード名、次の8ビットに光パスの識別子、次の1ビットに切り替え要求の有無を割り当てたが、これと同一でなくても、パスの障害回復の要求がソースノードに伝われば、どのようなビットの割り当て方でも良い。又、ビットに情報を割り当てる必要も無く、メッセージ指向通信を用いることも可能である。パケット通信やフレーム・リレー、ATMを用いた通信を用いることも可能である。
【0066】
本発明の実施の形態では、制御信号の転送手段として、主信号と異なる波長の光信号を用いたが、主信号と別の波長を用いる必要は無く、制御情報を転送できる媒体であれば何でも適用できることは自明である。例えば、無線信号や、サブキャリアを光信号に重畳して伝送する系を用いて制御情報をノード間でやり取りしたり、電話回線を用いて制御信号のやり取りを行っても本発明が適用できることは明らかである。
【0067】
本発明の実施の形態では、障害回復動作開始のきっかけとして、自ノード終端信号の障害検出という事象を用いたが、他ノードや他のネットワーク機器からの障害通知によって障害回復動作を開始しても、本発明が支障無く実施できることは明らかである。例えば、光パス(波長:λ1)を終端するノードの前段のノードで、λ1の波長の光パスの異常を検出してそれを終端ノードに通知することによって障害回復動作を起こす方式を用いても、本発明は支障無く実施できる。
【0068】
本発明構成では、障害の起こっていない場合、予備リングは全ての光信号を通過させる状態に設定していたが、この設定を終端ノードからのスイッチ要求メッセージの到着時に行うことによっても本発明が適用可能であることは自明である。但し、この方法を用いると、スイッチ要求メッセージが到着してから光ゲートの切り替えを行うので、障害回復時間が遅くなる場合もある。
【0069】
本発明の実施の形態では、ノード間の通信量が上り方向と下り方向で対称な場合について説明したが、ノード間の通信量が上り方向と下り方向で非対称な場合(例えば、下り方向の通信のみしかないシステム)でも本発明が適用できることは自明である。
【0070】
本発明の実施の形態では、1つのリングシステムで1つの障害回復方式を用いる方式について説明したが、本発明構成、方法と従来の1+1プロテクション方式等他の方式を組み合わせても実現可能である。例えば、波長毎に、λ1,λ2は1+1方式による障害回復方式、λ3,λ4を本発明による障害回復に用いることもできる。又、必ずしも現用光パスの伝送の向きと逆方向に迂回する必要はない。例えば、ノード間で現用リングにのみ障害が発生して予備リングは無事である場合は、予備リング上で最短経路に迂回路を割り当てること。その場合、スイッチ要求メッセージは、右回り、左回り両方向に送ることになる。
【0071】
本発明の実施の形態では、光スイッチ211〜214として機械式光スイッチを用いたが、クロストークやロス等の性能を満たす光スイッチであれば、電気光学効果を用いた光スイッチや、熱光学効果を用いた光スイッチや、半導体光アンプを用いた光ゲート・スイッチによっても本発明は実施可能である。
【0072】
本発明の実施の形態では、光スイッチ211〜214としてスイッチ中のある経路を導通させると他の経路には信号が分配されない光スイッチを用いたが、例えば光カップラの分岐側に半導体ゲートスイッチを接続した構成の分配選択型のスイッチ(マルチキャスト可能なスイッチ)を用いても、マルチキャスト機能をゲートにより遮断すれば、本発明が適用できることは自明である。
【0073】
本発明の実施の形態では、光スイッチ211〜214として2×1の光スイッチを用いたが、2×1スイッチと異なるサイズ、構成のスイッチでも本発明が適用可能である。例えば、光スイッチ212として2×2スイッチを適用して分離入力端207が接続されない光スイッチの入力端に、予備のネットワーク機器を接続することが可能である。その他、光スイッチ213として分配選択型2×2スイッチを用い、光スイッチの出力端の一方を分離出力端202に接続し、他方を光信号監視装置に接続して光信号を監視するようにしても本発明が支障無く実施できることは明らかである。
【0074】
送信側を切り替える1×2光スイッチ211,212として用いる分配選択型の光スイッチとしては、カップラの分岐部に光ゲートスイッチ(光を通すか通さないかを切り替えるスイッチ)を接続する構成により実現可能である。その他、光ゲートスイッチの一方の出力端には光ゲートスイッチが接続され、他方の出力端には光ゲートスイッチが接続されない構成を用いることも可能である。予備リングには、光ゲートスイッチが接続されている方の光スイッチ出力端を接続し、現用リングには、光ゲートスイッチが接続されていない方の光スイッチ出力端を接続すれば良い。通常は、予備リングに信号光を流さない必要があるので、光ゲートスイッチを接続し、On/Offする必要があるが、現用リングには光信号が流れ放しでも、終端ノードの光スイッチ213,214により、現用リング、予備リングどちらかの光信号を選択することが可能であるからである。
【0075】
又、現用信号の共有予備資源を持つ予備リングをn本持つシステムの場合、現用リングへと予備リング全てに切り替えることを可能にするためには(n+1)×1の光スイッチを用いる必要がある。このようなスイッチを複数集積化した一般的なm×nスイッチを用いても本発明が適用可能であることは自明である。
【0076】
本発明の実施の形態では、送信側、受信側のスイッチとして光スイッチ211〜214を用いたが、ここでスイッチングをせずにそのまま直接分離出力端や分離入力端に接続し、光信号を電気信号に変換した後に電気のスイッチによりプロテクションを行うことによっても本発明が実施できることは自明である。
【0077】
又、電気のスイッチとしては、空間的に切り替える電気のスイッチでも、時分割多重された信号を時分割多重分離したものを切り替える電気のスイッチでも、ATMスイッチのようにセルにより確立したコネクションを切り替えるATMスイッチでも、本発明は支障無く実施できる。
【0078】
本発明の実施の形態では、光信号の監視のために10:90の分岐比の光カップラを用いたが、光レベル設計が問題なければ、光パワー分岐比、結合比は特に限定されるものでないことは自明である。
【0079】
本発明の実施の形態では、4ノード、2波長のリングの場合について説明したが、ノード数、波長多重数がこれ以外のシステムでも本発明が適用できることは自明である。
【0080】
本発明の実施の形態では、全ての光信号の挿入、分離が可能である構成を用いたが、全ての波長の挿入分離が可能でない構成でも本発明が適用できることは明らかである。
【0081】
本発明の実施の形態では、波長多重された系を前提としているが、波長多重数が1の場合でも、本発明が実施可能であることは明らかである。
【0082】
本発明の実施の形態では、光多重技術として波長多重技術を適用した場合について検討したが、偏波多重、時間多重、空間多重等他の多重技術を適用しても本発明が実施可能であることは明らかである。空間多重システムに本発明を適用するには、光ファイバ複数本を束ねた物を光ファイバ群として扱い、光ファイバ群によりノードをリングトポロジに接続し、光ファイバ群により構成されるリングを1つのリングとして扱うことにより、本発明が適用できる。例えば、ファイバ群のリングが4つであれば、第1の実施の形態と同様に障害回復を行うことが可能であり、ファイバ群のリングが2つであれば、第2の実施の形態、第3の実施の形態と同様に取り扱えるからである。
【0083】
本発明の実施の形態として、2ファイバの場合、4ファイバの場合を示したが、それに限定されるものではない。例えば、4ファイバシステムから、共有予備資源となる予備リングを右回り、左回り1本ずつ増やし、障害回復に用いるスイッチを3×1スイッチにすれば、6ファイバリングに於いても本発明が適用できる。又、第2の実施の形態、第3の実施の形態で説明したように、帯域資源の一部を現用資源、残りを予備資源として用いさせえすれば、2ファイバリングである必要は無く、3ファイバリング、4ファイバリングにも本発明は適用可能である。
【0084】
光信号を1本のファイバ中で双方向に伝送するシステムを用いれば、物理的には1つのリングしかないが、論理的的には逆向き回りの2つのリングとみなすことができ、本発明構成、方法が適用可能である。この技術を用いると、物理的には、本発明の実施の発明で説明したリングの本数より少ない本数のリングを用いて本発明の適用が可能である。
【0085】
本発明の実施の形態では、受信側ノードでは、スイッチを用いることにより受信するリングを切り替えた。しかし、障害が発生すると障害の発生した方の光信号が受信側ノードに入力されないようになっているので(ソースノードで迂回路に信号を送出するように切り替えている)、受信側ノードでは、障害の起こっていない方のリングからの光信号のみ信号終端ノードに入力される。従って、光スイッチを用いてどちらのリングを受信するか選択する必要はなく、光カップラを用いることにより本発明を支障無く実施できる。従って、本発明の請求項中の合流手段の例として、パワーを足し合わせる光カップラのようなカップラ型や、本発明の実施の形態で説明した光スイッチのような切り替え型を用いることが可能である。
【0086】
本発明の実施の形態では、波長多重器、波長多重分離器としてAWGを用いたが、回折格子を用いたものや、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(ファイバの中に周期構造を持たせてフィルタを構成したもの)を組み合わせたもの等、波長を多重したり波長多重分離する機能を持つものを用いれば、本発明が支障無く実施できることは自明である。
【0087】
本発明の実施の形態では、光増幅器を光通信ノードや光伝送路中に用いていないが、それを用いた系でも本発明が支障無く実施できることは自明である。
【0088】
本発明の実施の形態では、光信号を電気信号に変換することなく、光のまま途中のノードを通過する光通信ネットワークについて説明したが、途中で電気信号に変換して再び光信号に変換する装置が挿入されていても本発明が支障無く実施できることは自明である。このような装置を入れることによりリングの長距離化が可能となる。
【0089】
本発明の実施の形態では、光パスとして途中で波長変換の無いものを用いたが、リングネットワーク中に波長変換器を挿入し、途中で波長変換がなされているものを光パスとして扱っても、本発明が支障無く実施できる。波長変換器としては、光信号を一旦電気信号に変換してから所望の波長の光源を用いて再び光信号に変換する方法、相互利得変調、相互位相変調、四光波混合を用いる方式等、どれでも適用できる。波長変換器を用いることにより、予備光パスをうまく割り当てることにより予備リングの中での波長の再利用(同一リングで同じ波長を再び用いること)が可能となるので二重障害等の多重障害への耐性が良くなる。
【0090】
本発明の実施の形態では、予備リングでは障害の起こっていない時に光を伝送していなかったが、予備リングを用いた伝送系に障害が発生していないかを確認するために、障害の起こっていない時にも光信号を流す方法を用いても本発明は適用可能である。例えば、予備リングを周期的に全ての予備パスを構成するように動作させて予備光パスの監視を周期的に行い、障害を検出したり、切り替え要求メッセージを受信すると、監視のための予備パスを構成することをやめて、障害回復のための予備光パスのみを構成する方法を用いれば良い。
【0091】
本発明の実施の形態では、左回りか右回りの現用パスいづれか1方向の通信の障害に対する障害回復について説明したが、右回りの通信と左回りの通信の両方の障害が同時に起こっても、本発明の適用が可能である。本発明では、それぞれの共有予備資源は独立に割り当てられており、それぞれ独立に迂回路を形成できるからである。
【0092】
【発明の効果】
本発明を適用するならば、ループバックスイッチを行う事無く障害回復を行っているので、光信号の総伝送距離を小さくすることが可能である。従って、光のまま伝送可能な距離が定まっている時、ループバックを行うシステムよりも大きな全長のリングを構成することが可能である。又、1+1プロテクションのように予備資源を専有して用いておらず、予備資源を共有しているので運用する現用光パスの本数を多くすることが可能である。従って、パスの収容効率と長いリング全長の両方の特徴を持つ障害回復機能を有したリングシステムを実現でき、通信ネットワークを低コストに構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すブロック構成図である。
【図2】図1で用いられる右回り現用信号処理部を示すブロック構成図である。
【図3】図2で用いられる光ADM部を示すブロック構成図である。
【図4】第1の実施の形態で用いられる障害回復動作を説明する図である。
【図5】第1の実施の形態で用いられる障害回復動作を説明するシーケンスチャートである。
【図6】第1の実施の形態で用いられる障害回復動作を説明する1ノード中でのフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態で用いられるシステムの効果を説明するための図である。
【図8】図3の他の実施例を示すブロック構成図である。
【図9】図3の他の実施の形態を示すブロック構成図である。
【図10】従来例を示すブロック構成図である。
【図11】従来例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
101、103 現用リング
102、104 予備リング
200 右回り現用信号処理部
211〜214 光スイッチ
215、216 監視制御器
217〜220 光分岐器
310、311 光ゲート
401 現用光パス
402 予備光パス
1021 現用光パス
1022 予備光パス
1121 現用光パス
1122 予備光パス

Claims (4)

  1. 多重信号を入力する複数又は単数の多重信号入力端と信号を挿入する複数又は単数の挿入入力端と前記多重信号入力端に入力された多重信号が多重分離された多重分離信号を出力する複数又は単数の分離出力端と前記挿入入力端に入力される信号及び前記多重分離信号を多重して出力する多重信号出力端とを持つ複数又は単数の挿入分離多重手段と、
    他ノードと接続される複数又は単数の外部入力端と、
    他ノードと接続される複数又は単数の外部出力端と、
    複数の出力端を持つ複数又は単数のスイッチ手段と、
    複数の入力端を持ち入力端に信号が入力されるとそのうちの一つを選択的に出力する複数又は単数の合流手段と、
    複数又は単数の信号入力端と、
    複数又は単数の信号出力端と、
    前記合流手段に入力される信号を監視する複数又は単数の信号監視手段と、
    他ノードと制御情報の授受を行い前記スイッチ手段の切り替え制御を行う複数又は単数の制御手段と
    からなり、
    前記外部入力端が前記挿入分離多重手段の多重信号入力端に接続され、
    前記挿入分離多重手段の多重信号出力端が前記外部出力端に接続され、
    前記信号入力端が前記スイッチ手段に接続され、
    前記スイッチ手段が前記挿入分離多重手段の挿入入力端に接続され、
    前記挿入分離多重手段の分離出力端が前記合流手段に接続され、
    前記合流手段が前記信号出力端に接続され、
    前記信号監視手段が自通信ネットワーク・ノード装置への入力信号の障害を検出すると、前記制御手段を用いて信号の送り元のノード装置へ障害回復の要求を送出、及び、前記制御手段による前記自通信ネットワーク・ノード装置のスイッチ手段の切り替えとを行うことを特徴とする通信ネットワーク・ノード装置。
  2. 前記挿入分離多重手段が光信号の挿入分離多重手段であることを特徴とする請求項1記載の通信ネットワーク・ノード装置。
  3. 前記挿入分離多重手段が波長の挿入分離多重を行う手段であることを特徴とする請求項1記載の通信ネットワーク・ノード装置。
  4. 通信ネットワーク・ノード装置が複数の伝送路を介してリング状に接続された通信ネットワークの通信ネットワーク・ノード装置であって、
    前記通信ネットワーク上の他の通信ネットワーク・ノード装置から自通信ネットワーク・ノード装置への通信に障害が発生した際に、前記障害を検出し、障害検出時に障害回復の要求メッセージを通信先の通信ネットワーク・ノード装置宛に送出し、前記自通信ネットワーク・ノード装置が受信する入力信号の切り替えを行い、障害が検出されていない他の通信ネットワーク・ノードからの入力信号を受信させる通信ネットワーク・ノードの監視制御手段を備えたことを特徴とする通信ネットワーク・ノード装置。
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