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JP3785137B2 - 計測情報送信装置及び多点計測情報収集システム - Google Patents

計測情報送信装置及び多点計測情報収集システム Download PDF

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JP3785137B2
JP3785137B2 JP2002338759A JP2002338759A JP3785137B2 JP 3785137 B2 JP3785137 B2 JP 3785137B2 JP 2002338759 A JP2002338759 A JP 2002338759A JP 2002338759 A JP2002338759 A JP 2002338759A JP 3785137 B2 JP3785137 B2 JP 3785137B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測情報送信装置及び多点計測情報収集システムに関し、特に、多点で計測された物理量を効率的に収集する計測情報送信装置及び多点計測情報収集システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図14に示されるように、従来、多点の物理量を同時計測するには、計測エリア500の各計測ポイントに計測装置504を配置し、各計測装置504で計測された物理量(以下、計測データ)を収集する計測ステーション506まで、ケーブルや光ファイバなどの伝送線502を物理的に張り巡らすことにより行われている場合が多い。従って、伝送線502に障害が発生した場合には、障害が発生した伝送線502以遠の計測データが収集できなくなる場合がある。
【0003】
また、レーザなどを用いて非接触で計測データを取得するシステムも考えられるが、この場合には、計測ステーションと計測装置との間に障害物が無いことが条件であり、計測装置の設置場所が制限される、という問題がある。
【0004】
また、計測データを無線で伝送するシステムは既に存在するが、電波管理法による免許を必要としない微弱な電力を使用するために、伝送可能距離は数十メートル程度に限られる、という問題がある。
【0005】
このような問題点を解決するためのシステムとして、子局から親局まで他の子局を経由して信号を伝達する無線通信システムが知られている。(例えば、特開平10−247914参照。)
【0006】
【特許文献1】
特開平10−247914号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の無線通信システムでは、ある任意の子局から発信される信号をいかに確実に伝達するかということに主眼が置かれており、任意の複数の測定点で同時に計測された情報を、同時性を損なわずに迅速且つ効率的に収集することができるような構成は何ら開示されていない。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、多点で同時に計測された物理量を迅速且つ効率的に確実性高く収集できる計測情報送信装置及び多点計測情報収集システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の計測情報送信装置は、物理量を計測する計測手段と、
第1の他の計測情報送信装置で生成され送信された、前記計測手段と異なる他の計測手段により計測された物理量に関する情報を受信する受信手段と、自装置と通信可能な装置を検出する検出手段と、前記検出手段によって物理量を収集する収集装置が検出された場合には、該収集装置を選択し、前記検出手段によって自装置と通信可能な1以上の第2の他の計測情報送信装置が検出された場合には、該検出された第2の他の計測情報送信装置の中から、前記収集装置に最も近い第2の他の計測情報送信装置または自装置に比べて前記収集装置に近く且つ自装置に最も近い第2の他の計測情報送信装置を選択する選択手段と、自装置の前記計測手段により計測された物理量、及び前記受信手段により受信された物理量に関する情報に基づいて、送信すべき物理量に関する情報を生成して、前記選択手段によって選択された装置に対して送信する送信手段と、を含んで構成されている。
【0010】
本発明では、計測情報送信装置の計測手段により、物理量が計測される。また、該計測手段とは異なる他の計測手段により計測された物理量に関する情報が第1の他の計測情報送信装置で生成されて送信される。受信手段は、該送信された物理量に関する情報を受信する。検出手段は、自装置と通信可能な装置を検出する。選択手段は検出手段によって物理量を収集する収集装置が検出された場合には該収集装置を選択するが、自装置と通信可能な1以上の第2の他の計測情報送信装置が検出された場合には該検出された第2の他の計測情報送信装置の中から、収集装置に最も近い第2の他の計測情報送信装置または自装置に比べて収集装置に近く且つ自装置に最も近い第2の他の計測情報送信装置を選択する。送信手段は、自装置の計測手段により計測された物理量、及び、受信手段により受信された物理量に関する情報に基づいて、送信すべき物理量に関する情報を生成する。更に送信手段は、該生成した送信すべき物理量に関する情報を、物理量を収集する収集装置及び第2の他の計測情報送信装置のいずれか一方に送信する。
【0011】
これにより、自装置の計測手段で計測された物理量と、他装置の計測手段で計測された物理量に関する情報とに基づいて、送信すべき物理量に関する情報が生成されて送信されるため、このような計測情報送信装置を複数用いることにより、多点で同時に計測される物理量に関する情報を迅速且つ効率的に送信することができる。すなわち、受信された他の装置の計測手段を単に転送するのではなく、自装置で計測された物理量に関しても送信すべき情報に含めて送信することができるため、情報送信に係る時間が短縮し、計測情報の収集が効率化する。
また、物理量を収集する収集装置が検出された場合には該収集装置が選択されて送信されるため、多点で同時に計測された物理量に関する情報は、最終的に収集装置に収集される。従って、多点で同時に計測された物理量に関する情報を確実に収集することができる。また、他の計測情報送信装置を経由せずとも収集装置と通信可能であれば直接収集装置に情報が送信されるため、収集装置に対して、迅速に情報を送信することができる。また、より収集装置に近い第2の計測情報送信装置へ送信するようにすることにより、送信時間を短縮することができる。
【0012】
なお、計測手段で計測される物理量は、特に限定されず、温度や湿度等、或いは地震や風等による建物の振動量等であってもよい。
【0013】
また、計測された物理量が時系列的に連続した複数の物理量である場合には、各物理量が計測された時刻が明確になるよう、送信すべき物理量に関する情報に各物理量の計測時刻を含めるようにしてもよい。また、物理量が予め定められた間隔で時系列的に連続して計測された場合には、各計測時刻の代わりに計測開始時刻を含めるようにしてもよい。また、計測手段が移動する場合には、物理量を計測した計測手段の位置が明確になるような情報を送信すべき情報に含めるようにしてもよい。
【0014】
また、受信手段による受信処理及び送信手段による送信処理は、有線により行われてもよいし、無線により行われてもよい。有線の場合には、例えばケーブルがネット状に張り巡らされていれば、1つのケーブルに障害が起きても、他の装置を経由して物理量に関する情報を伝達することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る計測情報送信装置において、前記送信すべき物理量に関する情報は、自装置の前記計測手段により計測された物理量と前記他の計測手段により計測された物理量、自装置の前記計測手段により計測された物理量が特定できる情報と前記他の計測手段により計測された物理量、及び、自装置の前記計測手段により計測された物理量と前記他の計測手段により計測された物理量が特定できる情報、の何れか1つとすることもできる。
【0016】
なお、物理量が特定できる情報としては、例えば、物理量のレベルの閾値を予め定めておき、各レベルに対して識別子を割り当て、計測された物理量のレベルに応じて該識別子を送信すべき情報に含めて送信するようにすれば、送信データ量を削減でき、送信時間を短縮することができる。
【0017】
また、2つの異なる計測装置で計測された物理量の差分を、物理量が特定できる情報とすることもできる。すなわち、前記受信手段により受信された物理量に関する情報には、前記第1の他の計測情報送信装置の計測手段で計測された物理量と、該物理量の計測時刻とが含まれ、前記送信手段は、前記第1の他の計測情報送信装置の計測手段により計測された物理量と、該計測された物理量の計測時刻と同一時刻に自装置の前記計測手段により計測された物理量との差分を算出し、自装置の前記計測手段により計測された物理量及び前記第1の他の計測情報送信装置の計測手段により計測された物理量のいずれか一方と、前記算出された差分とにより構成されるよう前記送信すべき物理量に関する情報を生成して送信することもできる。
【0018】
すなわち、他装置で計測された物理量と、該物理量が計測された時刻と同時刻に自装置で計測された物理量との差分を算出し、該差分と自装置で計測された物理量の双方を送信するようにする。収集装置は、該差分から逆算して計測された物理量そのものを導出することができる。また、差分と、他装置で計測された物理量とを送信する場合にも、同様に差分から逆算して計測された物理量そのものを導出することができる。これにより、多点で同時に計測された物理量をそのまま送信する場合に比して、送信データ量が大幅に削減され、送信にかかる時間を短縮することができる。
【0019】
なお、物理量が建物内等の各所における振動量である場合には、振動の種類により、差分を送信するか計測された振動量そのものを送信するかを判断するようにしてもよい。例えば、建物が大きくゆっくりとゆれる場合(振幅及び振動の周期が所定値を超えた場合)には、各計測点の計測結果が同一位相となることが多く、振幅も似通ったものとなることが多い。従って、このような振動の場合には、物理量そのものではなく差分を算出して送信するようにすれば、送信するデータ量はより小さくなり、送信効率が高まる。
【0021】
なお、差分を算出して送信する場合には、自装置に近い装置で計測された物理量ほどその差分の絶対値は小さくなるため、より自装置に近い装置へ送信するようにすれば、送信すべきデータ量が小さくなり、送信に係る時間を短縮することができる。
【0026】
また、本発明の多点計測情報収集システムは、本発明に係る複数の計測情報送信装置と、前記複数の計測情報送信装置で計測された物理量を収集する収集装置と、を含んで構成されている。
【0027】
このような構成によれば、多点で同時に計測された物理量に関する情報を効率的且つ迅速的に収集することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
なお、以下では、本発明を無線を利用した多点同時計測情報収集システムに適用した場合について説明する。
【0030】
図1は、第1の実施の形態の多点同時計測情報収集システム10の全体構成を模式的に示した図である。
【0031】
多点同時計測情報収集システム10は、建物50の複数のポイントにおける連続する同時刻の振動量(例えば風等による振動量)を計測するためのシステムであり、複数の局20及び1つの計測ステーション40とから構成されている。局20は、建物50の各計測ポイントに配置され、それぞれ計測装置21(図2参照)が設けられている。計測装置21は、振動量を計測して他の局20の計測装置21或いは計測ステーション40に無線で送信する。計測ステーション40は、各局20の計測装置21で計測された振動量を収集する。以下、計測された振動量を計測データと呼称する。
【0032】
図2は、計測装置21の機能的な構成を示すブロック図である。図示されるように、計測装置21には、センサ24と、CPU22とが設けられている。更に、CPU22には、データ受信装置32と、自局データ取得装置34と、他センサ情報メモリ36と、自センサ情報メモリ37と、データ送信装置38とがバスで接続されている。センサ24は、予め定められた時間間隔で振動量を計測する。自局データ取得装置34は、センサ24の計測データを取得する。データ受信装置32は、他の計測装置21からの各種信号や計測データ等を受信する。他センサ情報メモリ36は、データ受信装置32で受信した計測データを記憶し、自センサ情報メモリ37は、自局データ取得装置34で取得した計測データを記憶する。データ送信装置38は、各種信号を送信したり、他センサ情報メモリ36と自センサ情報メモリ37に記憶された計測データに基づいて送信用のデータを生成して送信したりする。CPU22は、これら各装置の動作を制御する。
【0033】
更にまた、アンテナ26がデータ受信装置32及びデータ送信装置38に接続されており、データの送受信はアンテナ26を介して無線で行われる。なお、データ送信装置38は、計測データについて可変長での送信はせず、所定のパケットサイズ毎にパケット送信するようにしている。
【0034】
図3は、複数の局間の計測データの流れの具体例を示した図である。なお、ここでは、説明を簡略化するために、局(A)20a、局(B)20b、局(C)20c、局(D)20d、局(E)20e、及び局(F)20fの6局のみ建物50に配置されていることとする。
【0035】
図示されるように、それぞれの局には計測ステーション40からの距離に応じた局番号が割り当てられている。割り当てられた局番号が小さくなるにつれ、計測ステーション40に近くなる。図3では、局(A)20aが計測ステーション40から最も遠距離に位置する。なお、計測ステーション40にも局番号が割り当てられており、0が設定されている。
【0036】
また、各局は、各局に設けられた計測装置21のセンサ24によって計測された振動量(計測データ)が計測時刻と共に計測装置21の自センサ情報メモリ37に記憶されている。局(D)20d、局(E)20e及び局(F)20fにおける計測データと計測時刻の図示は省略する。なお、各局の時刻データは予め同期しており、各局が計測データを取得するサンプリング時間間隔は予め設定されている。また、図中の実線矢印は計測データの流れを示している。
【0037】
図4は、各局間で各計測装置21により送受信される信号の概要を示した表である。図示されるように「受信許可願信号」は、計測データを送信する際、送信先を判断するために予め全ての局に対して送信される信号であり、受信許可願フラグと自局の局番号(送信元局番号)とから構成されている。
【0038】
「受信許可信号」は、受信許可願信号を受信した局から、受信許可願信号の送信元である局に対して、自装置が計測データの受信が可能な状態であることを伝えるための信号であり、受信許可フラグと、自局の局番号(送信元局番号)と、受信許可願信号の送信元局番号(送信先局番号)とから構成されている。
【0039】
「データ送信信号」は、計測データに基づいてデータ送信装置38で生成され、受信許可信号を送信した局の中から選択された局に対して送信される信号である。このデータ送信信号が各局で生成され順繰りに送信されることにより、最終的に計測ステーション40で各計測ポイントの計測データを収集できる。
【0040】
データ送信信号の具体的な内容を、図5(a)から図5(c)に示す。図5(a)は、局(A)20aから局(B)20bに送信されるデータ送信信号の構成を示しており、図5(b)は、局(B)20bから局(C)20cに送信されるデータ送信信号の構成を示しており、図5(c)は、局(C)20cから局(E)20eに送信されるデータの送信信号の構成を示している。
【0041】
図示されるように、データ送信信号は、データ送信開始フラグ60と、送信元の局番号62と、送信先の局番号64と、計測データの計測開始時刻66と、計測開始時刻66から計測された計測データの個数68と、計測データ内容70と、データ送信終了フラグ69とから構成されている。
【0042】
計測データ内容70は、計測を行った局の番号72と、実際に計測された振動量74が個数68に示された数だけ連続して構成されている。また、計測データ内容70は、局毎に構成されている。
【0043】
例えば、図5(a)では、計測データ内容70は、局(A)20aのデータのみであるが、図5(b)では、局(B)20bで受信された局(A)20aの計測データの内容と、局(B)20b自身の計測データの内容とが計測データ内容70として構成されている。図5(c)でも同様に、局(C)20cで受信された局(A)20aと局(B)20bの計測データの内容に加え、局(C)20c自身の計測データの内容が計測データ内容70として構成されている。
【0044】
次に、図6から図8のフローチャートを用いて、各局20の計測装置21により実行される処理のフローを詳細に説明する。
【0045】
なお、以下の各フローチャートの各種判断・記憶処理は、CPU22により行われ、各種信号受信処理は、データ受信装置32によりアンテナ26を介して行われ、各種信号送信処理は、データ送信装置38によりアンテナ26を介して行われる。
【0046】
図6は、局20に設けられた計測装置21の自局データ取得装置34により実行される、自局の計測データを取得する処理の流れを示したフローチャートである。
【0047】
ステップ100では、トリガを待機させる。このトリガは、センサ24から計測データを取得するためのサンプリング時間間隔が経過すると起動するデータ取得トリガである。ステップ102で、データ取得トリガが起動したか否かが判断される。トリガが起動していないと判断された場合には、サンプリング時間間隔が経過していないため、ステップ100に戻る。トリガが起動したと判断された場合には、ステップ104で、自局のセンサ24から計測データが取得され、自センサ情報メモリ37に記憶される。
【0048】
このように、センサ24で連続的に計測された振動量は、所定のサンプリング時間間隔で自センサ情報メモリ37に逐次蓄えられる。なお、自局データ取得装置34はAD変換機能を有しており、センサ24からの計測データをデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は、CPU22の制御により自センサ情報メモリ37に記憶される。その際、自センサ情報メモリ37には、計測時刻及び計測された振動量のデータが記憶される。
【0049】
図7は、他局の計測データを受信する処理の流れを示したフローチャートである。
【0050】
ステップ200では、計測装置21は受信可能状態で待機する。ステップ202で、他の局から送信された受信許可願信号を検出したか否かが判断される。受信許可願信号が検出されなかったと判断された場合には、ステップ200の待機状態を継続する。受信許可願信号が検出されたと判断された場合には、ステップ204で、自装置の動作状態が確認され、計測データの受信が可能であるか否かが判断される。受信不可能であると判断された場合には、ステップ200の待機状態に戻る。受信可能であると判断された場合には、ステップ206で、受信許可願信号の発信局へ受信許可信号が返信される。
【0051】
ステップ208では、受信許可願信号の発信局から発信された送信開始信号(所謂ハンドシェイク要求)が検出されたか否かが判断される。送信開始信号が検出されなかったと判断された場合には、ステップ210で、予め定められた待機時間を超えたか否かが判断される。待機時間を超えていないと判断された場合には、ステップ208に戻る。待機時間を超えたと判断された場合には、ステップ200に戻り、受信可能状態で待機する。
【0052】
また、ステップ208で送信開始信号が検出されたと判断された場合には、ステップ212で、該発信局とハンドシェイクが成立した後、他局で計測された計測データが受信される。受信した計測データは、他センサ情報メモリ36に記憶される。ステップ214で、計測データの受信が終了すると、ステップ200に戻り、待機状態となる。
【0053】
図8は、計測データを送信する処理の流れを示したフローチャートである。
【0054】
ステップ300では、他センサ情報メモリ36及び自センサ情報メモリ37に記憶された計測データの量が予め設定されたパケットサイズを超えたか否かが判断される。パケットサイズを超えていないと判断された場合には、待機状態が維持される。パケットサイズを超えたと判断された場合には、ステップ302で全局に向けて受信許可願信号を送信する。
【0055】
ステップ304では、他の局から送信された受信許可信号を検出したか否かが判断される。受信許可信号が検出された場合には、検出された受信許可信号の発信局は計測データの受信が可能な局であるため、ステップ306で、その発信局の局番号が所定の記憶領域(図示せず)に記憶される。ステップ308で、予め定められた待機時間を超えたか否かが判断される。待機時間を超えていないと判断された場合には、ステップ304に戻る。また、ステップ304で、受信許可信号が検出されなかったと判断された場合には、ステップ308の処理に移行する。なお、待機時間中に受信される受信許可信号の発信局全てが、自局から計測データの送信が可能な局として、その局番号が記憶される。
【0056】
ステップ308で待機時間経過後、ステップ310では、ステップ306で記憶された送信可能な局番号の中から、最も局番号の小さい局(計測ステーション40に最も近い局、もしくは、計測ステーション40そのもの)が選択される。ステップ312で、選択された局に対して送信開始信号が送信され、ハンドシェイク成立の後、ステップ314で、データ送信装置38により他センサ情報メモリ36に記憶された他局の計測データと、自センサ情報メモリ37に記憶された自局の計測データとに基づいて、図5に示されるようなデータ送信信号が生成されて選択した局へ送信される。送信後は、送信済みのデータが他センサ情報メモリ36及び自センサ情報メモリ37から消去される。
【0057】
データ送信信号の生成について具体的に説明すると、局(A)20aは、最も計測ステーション40から遠い位置にあるため、他局からの計測データは受信されない。従って、局(A)20aから局(B)20bに対して計測データが送信される場合には、図5(a)に示されるように自局の計測データのみが含まれるデータ送信信号が生成され、局(B)20bに対して送信される。
【0058】
また、局(B)20bから局(C)20cに対して計測データが送信される場合には、図5(b)に示されるように、受信された局(A)20aの計測データと局(B)20b自身の計測データとを含むデータ送信信号が生成され、局(C)20cに対して送信される。
【0059】
また、データ送信後のデータの消去は、送信先の局へ確実に転送されたことが確認された後に行われる。例えば、計測データ送信中に、送信先の局20(すなわち送信先の計測装置21)で異常が発生して計測データを送信できなくなった場合には、改めて別の近傍の局(ステップ306で記憶された局番号のうち、次に局番号の小さい局)の計測装置21へ計測データが転送され、故障した計測装置21の局20は回避される。このようにして、任意の局20の計測装置21が故障した場合においても、故障した局以外の計測データを全て収集することが可能となる。
【0060】
なお、本実施の形態では、計測データの送信のタイミングを、計測データがパケットサイズを超えた時としたが、送信のタイミングは特に限定されず、例えば、自局の計測データを取得してから所定の時間経過後であってもよいし、メモリにある程度の容量が蓄積された時であってもよい。
【0061】
次に、図3に示されるように局(C)20cから局(E)20eへ計測データが送信される場合の各局毎の処理の具体例を、図9の対応図を用いて説明する。なお、以下に示される各処理は、上述したように各局20に設けられた計測装置21により行われることとし、詳細な説明は省略する。
【0062】
まず、ステップ400で、局(C)20cから受信許可願信号が全局に向けて送信される(図8のステップ302に相当)。ステップ402及び404で、該送信された受信許可願信号は、局(C)20cの通信圏内に位置する局(D)20d及び局(E)20eで受信される(図7、ステップ202yesに相当)。
【0063】
ステップ406及び408で、局(D)20dと局(E)20eは自局が受信可能な状態であれば、局(C)20cに対して受信許可信号を送信する(図7、ステップ206に相当)。
【0064】
ステップ410で、局(C)20cは、局(D)20d、局(E)20eのからの受信許可信号を受信してその局番号を記憶しておく(図8のステップ304yes及び306に相当)。
【0065】
また、ステップ412で、局(C)20cの通信圏外に位置する局(F)20fは、局(C)20cからの受信許可願信号を受信できず、待機状態が維持される(図7のステップ202noに相当)。
【0066】
なお、局(F)20fが局(C)20cの通信圏内にあっても、異常が発生して通信不能の状態にある場合には、同様に受信許可願信号を受信できず、待機状態が維持される。
【0067】
ステップ414で、局(C)20cでは、記憶された局番号の中で最も小さい番号の局(すなわち、最も計測ステーションに近い局)が選択される(図8のステップ310に相当)。図3に示されるように局(D)20dは、局番号が4であり、局(E)20eは局番号が2であるため、局番号の小さい局(E)20eが選択される。選択された局(E)20eに対して、局(C)20cから送信開始信号が送信される(図8のステップ312に相当)。
【0068】
ステップ416で、局(D)20dでは、局(C)20cからの送信開始信号が受信されないため、待機状態に戻る(図7のステップ208no、210yesに相当)。
【0069】
ステップ418で、局(E)20eでは、局(C)20cからの送信開始信号が受信される(ステップ208yesに相当)。ステップ420では、局(C)20cは、図5(c)に示されるような局(A)、局(B)、局(C)の各計測データの内容を含むデータ送信信号を生成して、局(E)20eに送信する(図8のステップ314に相当)。
【0070】
ステップ422では、局(E)20eが局(C)20cからのデータ送信信号を受信する(図7のステップ212に相当)。ステップ424で、局(C)20cは、送信済みの内容を他センサ情報メモリ36及び自センサ情報メモリ37から消去し(図8のステップ314に相当)、ステップ426で、待機状態に戻る(図8のステップ300に相当)。
【0071】
ステップ428で、受信が終了した局(E)20eでは、次の局(局(E)20eと通信圏内の全局が対象)へ受信許可願信号が送信される。
【0072】
このように、順次、計測ステーション40に対してより近い局が、自局の計測データと、自局より計測ステーション40から遠い局から送信されてきた他局の計測データとを合わせて送信することにより、多点で同時に連続して計測される物理量(本実施の形態では振動量)が迅速且つ効率的に計測ステーションに送信される。また、送信の際、予め通信可能な局が確認されて送信されるため、確実性高く計測データが収集される。
【0073】
上述した第1の実施の形態では、計測された振動量そのものをデータ送信信号に含めて送信する例について説明したが、以下では、計測された振動量の差分を算出して送信する第2の実施の形態について説明する。
【0074】
図10は、第2の実施の形態において、多点同時計測情報収集システム10が12階建ての建物に設置された状態を模式的に示した図である。本システムは、上述した第1の実施の形態と同様に、計測装置21が設けられた複数の局20と計測ステーション40とが12階建ての建物に設けられて構成されている。計測装置21の機能構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0075】
なお、以下に示される各処理は、第1の実施の形態と同様に各局20に設けられた計測装置21により行われることとし、詳細な説明は省略する。
【0076】
更にまた、第1の実施の形態と同様に、各局の時刻データは予め同期しており、各局が計測データを取得するサンプリング時間間隔は予め設定されている。
【0077】
図11は、複数の局間の計測データの流れの具体例を示した図である。なお、ここでは、局20は各階毎に1つずつ配置されているものとする。局(A)20aは12階、局(B)20bは11階、局(C)20cは10階、局21dは9階に配置された局である。
【0078】
各局は、自局及び受信した他局の計測データを順繰りに送信するが、受信した他局の計測データについては自局のデータとの差分データを送信する。
【0079】
通常、建物のヘルスモニタリングを目的とした計測が行われる場合、各計測装置で計測される振動は、多くの場合1次モード(建物がゆっくりと大きく揺れるモード)であることが多い。1次モードの場合には、振動の位相及び振幅は非常に似通ったものとなる。図12(a)は、12階及び11階の計測装置21で計測された1次モードの場合の振動量の一例を示したグラフであり、図から明らかなように、12階の振動はその直下の11階の振動と非常によく似ている。図12(b)は、12階と11階の振動量の差分を示したグラフであり、図から明らかなように、12図(a)の振動数そのものに比して差分のデータ量の絶対値は小さい。従って、12階のデータを送信する場合には、12階の振動量をそのまま送信するのではなく、11階の振動量との差分を算出して送信することにより、送信データはより小さいビット数で表され、送信ビットを削減することができる。
【0080】
また、自局に近い局ほど振動は似通ったものとなるため、自局に最も近い局、すなわち直下の階の局へ送信されれば、差分を大幅に小さくすることができる。従って、本実施の形態では、各局の計測装置21の所定の記憶領域(図示せず)には、「12階(局(A))→11階(局(B))→10階(局(C))→9階(局(D))・・・」というように、上の階からその直下の階へと順に記述された転送ルートテーブルが予め設定されており(図示せず)、各局は転送ルートテーブルに設定されたルートに従って、自局と通信可能で自局に最も近い局にデータを転送(送信)する。
【0081】
図13(a)から図13(c)は、各局で生成されて送信されるデータ送信信号の具体的な内容を示した図である。図13(a)は、局(A)20aから局(B)20bに送信されるデータ送信信号の構成を示しており、図13(b)は、局(B)20bから局(C)20cに送信されるデータ送信信号の構成を示しており、図13(c)は、局(C)20cから局(D)20dに送信されるデータの送信信号の構成を示している。
【0082】
図示されるように、送信信号は、データ送信開始フラグ80と、送信元の局番号82と、送信先の局番号84と、計測データの計測開始時刻86と、計測開始時刻86から計測された計測データの個数88と、計測データ内容90と、データ送信終了フラグ89とから構成されている。また、計測データ内容90は、計測を行った局の番号92と、局毎の計測データ94が計測データの個数88分だけ連続して構成されている。全体的な構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0083】
しかしながら、他局の計測データ94に関しては、振動量そのものではなく、直前局のデータから自局のデータを減じて得られた差分が、計測データ94となる。
【0084】
以下、図11及び図13を用いて、本実施の形態の各局における処理の詳細を説明する。
【0085】
まず、局(A)20aでは、時刻T1からT10までの計測データ(AT1〜AT10)が自局のセンサ24から取得され、自センサ情報メモリ37に記憶される。本処理は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。局(A)20aでは、転送ルートテーブルが参照されて送信先(局(B))が読み出される。そして自センサ情報メモリ37に蓄積された計測データにより、図13(a)に示されるようなデータ送信信号が生成されて送信先である局(B)20bに対して送信される。局(A)20aは最終端の12階の計測ポイントに設置されているため他局の計測データが記憶されることはない。従って、自局の計測データのみが局(B)20bに対して送信される。
【0086】
局(B)20bでも、時刻T1からT10までの計測データ(BT1〜BT10)が自局のセンサ24から取得され、自センサ情報メモリ37に記憶される。また、局(A)20aから受信したデータ送信信号に含まれる局(A)の計測データ内容90が他センサ情報メモリ36に記憶される。
【0087】
局(B)20bでは、転送ルートテーブルが参照されて送信先(局(C))が読み出される。そして他センサ情報メモリ36及び自センサ情報メモリ37に蓄積された計測データにより、図13(b)に示されるようなデータ送信信号が生成されて送信先である局(C)20cに対して送信される。図13(b)に示されるように、局(A)20aの計測データ94については、自局のデータと同一の時刻において計測された局(A)と自局のデータとの差分を算出し、差分のみを送信する。
【0088】
局(C)20cでも、時刻T1からT10までの計測データ(CT1〜CT10)が自局のセンサ24から取得され、自センサ情報メモリ37に記憶される。また、局(B)20bから受信したデータ送信信号に含まれる局(A)及び局(B)の計測データ内容90が他センサ情報メモリ36に記憶される。
【0089】
局(C)20bでは、転送ルートテーブルが参照されて送信先(局(D))が読み出される。そして他センサ情報メモリ36及び自センサ情報メモリ37に蓄積された計測データにより、図13(c)に示されるようなデータ送信信号が生成されて送信先である局(D)20dに対して送信される。なお、図13(c)に示されるように、自局のデータと同一の時刻において計測された他局の振動量については、上述した局(B)と同様に差分を送信するが、実際に局(C)で算出するのは局(B)の計測データと自局の計測データとの差分であり、局(A)の計測データに関しては受信された時点で既に差分データとなっているため、受信した差分データをそのまま用いてデータ送信信号を形成し、送信する。
【0090】
このように順繰りに送信していき、最終的には計測ステーション40に全ての計測データが送信される。計測ステーション40は、受信した差分データに、その局の直下の局の振動量を加算することによって、計測された実際の振動量を復元する。全ての差分データにその直下の局の振動量が順繰りに加算されて最終的に全ての局の振動量を復元することができる。
【0091】
なお、データの送信中にいずれかの階の局に異常が発生した場合には、異常が発生した局への送信は回避され、その局の直下の局に対してデータが送信されるようにしてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、自局の計測データについては振動量そのものを送信し、他局の計測データについては差分データを送信するようにしたが、自局の計測データについては差分データを送信し、他局の計測データについては振動量そのものを送信するようにしてもよい。
【0093】
このように、振動量そのものの代わりに差分データを送信することによって、より少ないビット数で他局の振動量を表現することができ、送信されるデータ量が低減し、データ転送効率が向上する。
【0094】
なお、上述した第1の実施の形態においても、他局のデータについては第2の実施の形態と同様に差分とって送信するようにしてもよい。また、第2の実施の形態においても、他局のデータについても第1の実施の形態と同様に物理量そのままを送信するようにしてもよい。
【0095】
また、本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、多点で計測されるデータを収集するための様々なシステム及び装置に適用可能である。
【0096】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明によれば、自装置の計測手段で計測された物理量と、他装置の計測手段で計測された物理量に関する情報とに基づいて、送信すべき物理量に関する情報が生成されて送信されるため、多点で同時に計測された物理量を迅速且つ効率的に収集することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における多点同時計測情報収集システムの全体構成を模式的に示した図である。
【図2】計測装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態において、複数の局間の計測データの流れの具体例を示した図である。
【図4】各局間で送受信される信号の概要を示した表である。
【図5】データ送信信号の具体的な内容を示した図である。
【図6】自局の計測データを取得する処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】他局の計測データを受信する処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】計測データを送信する処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】各局毎の処理フローの対応図である。
【図10】第2の実施の形態において、多点同時計測情報収集システムが12階建ての建物に設置された状態を模式的に示した図である。
【図11】第2の実施の形態において、複数の局間の計測データの流れの具体例を示した図である。
【図12】図12(a)は、12階及び11階の計測装置で計測された1次モードの場合の振動量を示したグラフであり、図12(b)は、12階と11階の振動量の差分を示したグラフである。
【図13】差分を送信する場合のデータ送信信号の具体的な内容を示した図である。
【図14】従来の多点計測情報システムの全体構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
10 多点同時計測情報収集システム(多点計測情報収集システム)
20 局
21 計測装置(計測情報送信装置)
22 CPU
24 センサ(計測手段)
32 データ受信装置(受信手段)
34 自局データ取得装置
36 他センサ情報メモリ
37 自センサ情報メモリ
38 データ送信装置(送信手段)
40 計測ステーション(収集装置)

Claims (5)

  1. 物理量を計測する計測手段と、
    第1の他の計測情報送信装置で生成され送信された、前記計測手段と異なる他の計測手段により計測された物理量に関する情報を受信する受信手段と、
    自装置と通信可能な装置を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって物理量を収集する収集装置が検出された場合には、該収集装置を選択し、前記検出手段によって自装置と通信可能な1以上の第2の他の計測情報送信装置が検出された場合には、該検出された第2の他の計測情報送信装置の中から、前記収集装置に最も近い第2の他の計測情報送信装置または自装置に比べて前記収集装置に近く且つ自装置に最も近い第2の他の計測情報送信装置を選択する選択手段と、
    自装置の前記計測手段により計測された物理量、及び前記受信手段により受信された物理量に関する情報に基づいて、送信すべき物理量に関する情報を生成して、前記選択手段によって選択された装置に対して送信する送信手段と、
    を含む計測情報送信装置。
  2. 前記送信すべき物理量に関する情報は、自装置の前記計測手段により計測された物理量と前記他の計測手段により計測された物理量、自装置の前記計測手段により計測された物理量が特定できる情報と前記他の計測手段により計測された物理量、及び、自装置の前記計測手段により計測された物理量と前記他の計測手段により計測された物理量が特定できる情報、の何れか1つである請求項1記載の計測情報送信装置。
  3. 前記受信手段により受信された物理量に関する情報には、前記第1の他の計測情報送信装置の計測手段で計測された物理量と、該物理量の計測時刻とが含まれ、
    前記送信手段は、前記第1の他の計測情報送信装置の計測手段により計測された物理量と、該計測された物理量の計測時刻と同一時刻に自装置の前記計測手段により計測された物理量との差分を算出し、自装置の前記計測手段により計測された物理量及び前記第1の他の計測情報送信装置の計測手段により計測された物理量のいずれか一方と、前記算出された差分とにより構成されるよう前記送信すべき物理量に関する情報を生成して送信する請求項1または請求項2に記載の計測情報送信装置。
  4. 前記選択された第2の他の計測情報送信装置に対する前記送信すべき物理量に関する情報の送信途中で、該第2の他の計測情報送信装置に異常が発生して送信できなくなった場合には、前記選択手段は改めて別の第2の他の計測情報送信装置を選択し、前記送信手段は該改めて選択された第2の他の計測情報送信装置に対して前記送信すべき物理量に関する情報を送信する請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の計測情報送信装置
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された複数の計測情報送信装置と、
    前記複数の計測情報送信装置で計測された物理量を収集する収集装置と、
    を含む多点計測情報収集システム
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