JP3783602B2 - 記録媒体搬送装置及び記録媒体搬送装置を備えた記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体搬送装置、及び記録媒体搬送装置を備えた記録装置に関し、特に、記録装置の記録部内で記録媒体を吸引保持し、且つ印刷終了後に円滑に排出するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、インクジェットプリンタ或いはインクジェットプロッタ等においては、記録媒体を紙送りローラで記録部に送り込んだ後、排紙ローラ(駆動ローラ)及びその従動ローラとしての拍車ローラで押さえながら排出する構成のものがある。図6(a)、(b)、(c)は、このようなインクジェットプリンタ等における記録部と記録媒体の搬送装置の主要部のみを抽出して示す図である。
【0003】
即ち、かかるインクジェットプリンタ等においては、図6(a)に示すように、記録媒体1を紙送りローラ2(及びその従動ローラ2a)で記録部3内に送り込んだ後、排紙ローラ(駆動ローラ)4及びその従動ローラとしての拍車ローラ5で押さえながら排出する。この場合、拍車ローラ5の押圧力は、記録媒体1に傷(拍車跡)が付かない程度に設定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図6(a)に示したような記録媒体の搬送装置を備えるインクジェットプリンタでは、例えば、記録媒体1にベタ画像等のように多数のインク粒が吐出される画像が記録される場合には、当該記録媒体1が多量のインクを吸収して、図6(b)に示すように、記録ヘッド6側に波状に膨らむ、いわゆるコックリングを生じる場合がある。
【0005】
このコックリングを発生すると、記録媒体1と記録ヘッド6との間隔が狭くなってインク粒の飛翔距離がばらつくことにより記録むらを生じ、或いは、記録媒体1が記録ヘッド6に接触して汚れてしまう不具合があった。図6(a)に示した記録媒体の搬送装置においても、紙送りローラ2及び排紙ローラ4間のスパンが比較的短かければ、上述したコックリングを許容範囲内に押さえることで、上記不具合を極力防止することも可能である。
【0006】
しかしながら、インクジェットプリンタ等においては、近い将来、記録速度の更なる高速化のために、各色ノズル列ごとのノズル数を増やし、或いは、記録媒体の搬送方向に複数色のノズル列を並べる必要があり、これらの場合には、記録ヘッドの寸法は、図6(c)に示すように、記録媒体の搬送方向に長くなる。記録ヘッド10が長くなれば、紙送りローラ2と排紙ローラ4間のスパンも長くなるため、紙送りローラ2(及びその従動ローラ2a)と排紙ローラ4(及びその従動ローラとしての拍車ローラ5)で挟んで搬送・排出する構成では、このコックリングを到底防止できず、許容範囲を越えることとなり、そのようなヘッド長の大きいインクジェットプリンタ等、機種によっては、かかる2組のローラで挟んで搬送・排出する構成自体が成り立たなくなる事態も考えられる。
【0007】
また、このようなコックリングは、記録媒体としてインクジェットプリンタ等の専用紙を用いた場合には比較的小さく、普通紙を用いた場合に大きい。このため、通常、インクジェットプリンタ等の設計においては、普通紙を用いた場合のコックリングによる紙の浮き上がり分を考慮してペーパーギャップ[図6(a)における記録媒体1と記録ヘッド6との間隔A]を大きくしてある。しかし、このようにペーパーギャップが大きいと、その必要のない専用紙を用いた場合にも、記録ヘッドのノズルから吐出されたインク粒に飛行曲りを生じ、着弾点のズレがその分だけ大きくなり、印字品質の向上を妨げかねない。
【0008】
更に、コックリングにより記録媒体1が浮き上がると、浮き上がった記録媒体1は、図6(b)に矢印Bで示すように、拍車ローラ5に押しつけられる結果、当該記録媒体1には、図7に示すように、拍車ローラ5による拍車跡が付いてしまう。この拍車跡は、特に、コックリングの大きい普通紙で目立ち、印字品質を低下させる一因ともなる。
【0009】
一方、近年、主として記録媒体の搬送面に中空箱状の吸引部を有し、該吸引部に設けられた複数の吸引(貫通)穴を介して吸引ポンプ等で記録媒体を吸引するものが種々提案されている(特開昭63−303781号公報、特開平3−270号公報等参照)。この中には、上述したコックリングを解消する手段として、記録媒体をそれら吸引穴を介してプラテン等に吸引乃至吸着することを提案するものもある。
【0010】
しかし、いづれも中空箱状の吸引部にただ貫通穴が開いていて吸引するものだけであり、記録部内で記録媒体全面に亘って上述したコックリングを防止することは困難である。また、記録媒体の記録部から出た部分が浮き上がって、図6(b)に矢印Bで示したように、拍車ローラ5に押しつけられる結果、当該記録媒体1に拍車跡が付いてしまうのは防止できない。
【0011】
更に、上記公報に記載された従来例では、中空箱状の吸引部にただ貫通穴が開いていて吸引する構成であることから、吸引力が強すぎると搬送(紙送り)精度の低下を招きかねない。このため、現状では、重力方向に紙送りを行う(紙送りに用紙の自重を利用する)ような一部の大判プリンタを除いて実用化されていないのが実情である。
【0012】
そこで、本発明の課題は、記録装置において記録媒体のコックリングをより有効に防止すると共に、印刷終了後の記録媒体を円滑に搬出して、拍車ローラによる拍車跡が付かないようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、記録装置における記録媒体の排出側に、複数の吸引穴が設けられた記録媒体搬送面と、前記複数の吸引穴と連通した減圧室と、該減圧室内の空気を吸引する吸引手段とを有する吸引ユニットを置き、この吸引ユニットに設けた吸引穴を介して記録媒体を吸引・吸着する構成において、印刷終了後に、吸引穴から空気を吹き出すことにより、記録媒体を記録媒体搬送面から離反させ、さらに補助的に搬出方向に移動させるようにした。
【0014】
即ち、請求項1記載の記録媒体搬送装置では、 記録媒体を吸引保持する吸引ユニットと、この吸引ユニットの上流側から下流側へ記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段とを備え、上記吸引ユニットが、複数の吸引穴が設けられた記録媒体搬送面と、これら複数の吸引穴と連通した減圧室と、この減圧室内の空気を吸引する吸引手段とを有し、上記記録媒体搬送手段により上記吸引ユニットの記録媒体搬送面上に供給される記録媒体を、記録中に吸引手段により吸引穴を介して記録媒体搬送面上に吸着しつつ、上記記録媒体を上流側から下流側へ搬送する記録媒体搬送装置において、上記吸引ユニットは、記録部から排出部に亘って形成され、且つ、上記複数の吸引穴が上記記録媒体搬送面の全域に設けられ、上記記録媒体搬送面の少なくとも排出部側が、排出を補助する構成となっており、上記記録媒体搬送手段は、吸引ユニットの減圧室内に空気を吹き込む吹き付け手段と、上記吹き付け手段により上記減圧室内に吹き込まれた空気を利用して、上記記録媒体を上記記録媒体搬送面上から離間させて排出方向に補助的に移動させる補助搬送手段とを備え、一連の記録排出動作の中で、上記記録媒体を吸引し、上記記録媒体を離間して排出を補助するように上記吸引手段と上記吹き込み手段を切り替えて制御することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、記録媒体は、記録媒体搬送手段により上記吸引ユニットの記録媒体搬送面上に供給され、吸引手段により吸引穴を介して記録媒体搬送面上に吸着される。そして、記録媒体は、記録媒体搬送面上に吸着された状態にて、記録ヘッドにより印刷されると共に、記録媒体搬送手段により上流側から下流側に向かって徐々に搬送される。
【0016】
その後、印刷が終了すると、記録媒体は、吹き付け手段により吸引穴から空気が吹き出すことにより、記録媒体搬送面の表面から離反して、僅かに浮き上がり、補助搬送手段により排出方向、即ち下流側に向かって移動されることになる。
【0017】
これにより、記録媒体は、印刷終了後に、記録媒体搬送手段の記録媒体搬送面から離反して、排出方向に移動されることにより、円滑に排出されるので、従来の拍車ローラが不要となり、排出時に記録媒体に拍車ローラによる拍車跡が付くようなことがない。
【0018】
また、請求項2記載の記録媒体搬送装置においては、請求項1記載の記録媒体搬送装置において、上記補助搬送手段が、吸引ユニットの各吸引穴が記録媒体の排出方向に向かって斜めに開口していることにより、構成されていることを特徴とする。この構成によれば、印刷が終了すると、記録媒体は、吹き付け手段により吸引穴から空気が吹き出すことにより、記録媒体搬送面の表面から離反して、僅かに浮き上がると共に、吸引穴が排出方向に向かって斜めに開口していることにより、吸引穴から吹き出す空気の流れに乗って、排出方向に向かって移動されることになる。
【0019】
また、請求項3記載の記録媒体搬送装置においては、請求項1又は2に記載の記録媒体搬送装置において、上記吸引穴と減圧室とは、吸引孔によって連通されており、該吸引孔は、上記減圧室から上記記録媒体支持面へ向けて先細に形成されていることを特徴とする。これにより、吸引孔を通る空気が、その形状に基づいて加速され、吸引孔の上端から勢いよく吹き出すことにより、記録媒体は、より強い浮上力を受けて、確実に浮き上がることになる。
【0020】
また、請求項4記載の記録媒体搬送装置においては、請求項1乃至3の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、上記補助搬送手段が、吸引ユニットの記録媒体搬送面が排出方向に向かって低くなるように傾斜して形成されることにより、構成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、印刷が終了すると、記録媒体は、吹き付け手段により吸引穴から空気が吹き出すことにより、記録媒体搬送面の表面から離反して、僅かに浮き上がると共に、記録媒体搬送面が排出方向に向かって低くなるように形成されていることにより、記録媒体の自重により、排出方向に向かって移動されることになる。
【0022】
また、請求項5記載の記録媒体搬送装置においては、請求項2乃至4の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、上記吹き付け手段が、吸引手段により兼用されており、吸引手段を逆転させることにより、減圧室内に空気を吹き込むことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、既設の吸引ユニットの吸引手段を利用して、この吸引ユニットを逆転させることにより、吹き付け手段として、吸引穴から空気を吹き出させることができるので、簡単な構成により、コストの上昇を抑制することができる。
【0024】
しかして、請求項5記載の記録装置は、上記記録媒体搬送装置を備えたことを特徴とする。
【0025】
このような構成の記録装置によれば、印刷終了後に、記録媒体は、吹き付け手段により吸引穴から空気が吹き出すことにより、記録媒体搬送面の表面から離反して、僅かに浮き上がり、補助搬送手段により排出方向、即ち下流側に向かって移動されるので、従来の拍車ローラが不要となり、排出時に記録媒体に拍車ローラによる拍車跡が付くようなことがない。
【0026】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態に係る記録媒体搬送装置について説明する。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0027】
まず、本発明の第1の実施形態について述べる。図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録媒体搬送装置を組み込んだ記録装置としてのインクジェットプリンタ,図2は、その主要部としての記録媒体搬送装置を示す。
【0028】
図1に示すように、このインクジェットプリンタ10は、基本的には、プリンタ本体11に斜めに取り付けられた自動給紙(ASF)ユニット12の用紙トレイ12aに収容されている記録媒体1を記録時において搬送方向Dに搬送する記録媒体搬送装置20により、記録ヘッド13及びその記録ヘッド13の下方に位置する吸引ユニット100から成る記録部14に送り込むと共に、記録後の記録媒体1をプリンタ本体11外へ排出する構成を有している。
【0029】
また、プリンタ本体11の背面側には、図1には示されない手差し給紙口15(図2参照)が形成され、この手差し給紙口15から差し込まれて給紙される記録媒体1も、同様に、記録時において記録媒体搬送装置20により、記録部14に送り込むと共に、記録後の記録媒体1をプリンタ本体11外へ排出する。
【0030】
尚、図1において、プリンタ本体11は、支持フレーム11a、外装カバー11b及び記録媒体1の排出口11cを含んでいる。記録媒体1としては、インクジェットプリンタの専用紙、普通紙の他、OHPフィルム、トレーシングペーパー、ハガキ等各種のものを用いることができる。
【0031】
ここで、記録ヘッド13は、記録媒体1の搬送方向D(紙送り方向、又は副走査方向)と直交する方向E、F(主走査方向)に沿って平行に配設されたガイド軸(図示せず)に摺動可能に支持されたキャリツジ13aに搭載されており、このキャリツジ13aが、DCモータ13bにより駆動されるタイミングベルトによってガイド軸(図示せず)上を摺動する。そして、記録ヘッド13は、各色ごとに、例えば96個等複数のノズルから成るノズル列を有しており、キャリツジ13aに着脱可能に装着されたインクカートリッジ13cから各色ごとに供給されるインクを印刷データに応じて上記複数のノズルの全部又は一部から微小なインク粒として記録媒体1上に吐出する。
【0032】
図2は、上記記録媒体搬送装置20の要部の構成を示す断面図であり、図3は、その吸引ユニットの平面図である。
【0033】
図2に示すように、記録媒体搬送装置20は、記録時に記録媒体1を吸引保持する吸引ユニット100と、吸引ユニット100の上流側から下流側へ記録媒体1を搬送する記録媒体搬送手段120と、を備えている。
【0034】
上記吸引ユニット100は、記録媒体に印刷するための記録ヘッド13に対して、記録媒体搬送路Lを挟んで下側に配置されていると共に、上段の吸引部101と下段の吸引力発生部104から成る上下2段構成の中空箱状に形成されている。
【0035】
吸引部101は、図2に示すように、内部に形成された減圧室102と、記録媒体1の搬送面にそれぞれ略矩形の凹みとして形成された複数の吸引室106と、これら吸引室106をそれぞれ減圧室102と連通させるべく、上下方向に伸長する上記吸引室106より小さい断面積を有する複数の吸引孔108(図3参照)とを有している。
【0036】
吸引力発生部104は、吸引部101の減圧室102と連通孔110を介して連通されており、内部に遠心ファンを備えたポンプ112を有している。
【0037】
ポンプ112は、減圧室102の下方の所定位置に連通孔110を介して減圧室102と連通した状態で取り付けられており、遠心ファンが記録時に順方向に回転すると共に、後述するように、記録終了後の記録媒体1の排出時には、記録媒体搬送手段120の補助搬送手段である吹き付け手段として、逆方向に回転するようになっている。
【0038】
ここで、従来の吸引構造における吸引穴に相当する部分が、吸引室106と吸引孔108とにより形成されており、吸引孔108を小径の貫通孔により形成することで、ポンプの特性に対して利用できる負圧の利用率を高めると共に、記録媒体に対向する面を形成する吸引室106をより面積の大きい略矩形の凹みとして形成することで、記録媒体に対して大きな吸引力を発生できるようになっている。
【0039】
尚、上記吸引孔108は、図4に示すように、上面に向かって先細に形成されていてもよい。
【0040】
上記記録媒体搬送手段120は、用紙トレイ12aに収容されている記録媒体1を一枚づつピックアップして送り出すように、吸引ユニット100及び記録ヘッド13の上流側にて記録媒体搬送路Lの下側に配置された給紙ローラ121と、記録媒体1を記録ヘッド13及び吸引ユニット100の間に送り込む紙送りローラ122と、この紙送りローラ122に対して上方から圧接される従動ローラ123と、から構成されており、排紙ローラ及び拍車ローラは省略されている。
【0041】
ここで、記録媒体搬送手段120は、さらに補助搬送手段126と、空気吹き付け手段128と、を備えている。
【0042】
上記補助搬送手段126は、吸引ユニット100の吸引部101の上面が、図2に示すように、記録ヘッド13に対向する印刷領域では平坦に形成されるが、この印刷領域から下流側の領域では、上流側から下流側に向かって、即ち記録媒体の排出方向に向かって低くなるように傾斜して形成されることにより、構成されている。
【0043】
これに対して、上記吹き付け手段128は、図示の場合、上記吸引ユニット100の吸引力発生部104のポンプ112を利用して、このポンプ112を逆回転させることにより、ポンプ112から吸引部101の吸引穴108,吸引室106を介して、吸引部101の表面から吹き出すように、構成されている。
【0044】
そして、このポンプ112が、記録媒体の印刷終了後に、逆回転に切換えられることにより、吸引部101の表面から空気が吹き出されるようになっている。
【0045】
本発明実施形態による記録媒体搬送装置10は、以上のように構成されており、以下のように動作する。
【0046】
先ず、図示しないホストコンピュータ等により用紙トレイ12aに収容されている記録媒体1に対する記録命令が入力されると、ASFユニットの給紙ローラが回転駆動して、用紙トレイ12aに収容されている記録媒体1が一枚づつピックアップして送り出し、さらに記録媒体搬送手段120の紙送りローラ122等が回転駆動して、記録媒体1を記録ヘッド13と吸引ユニット100との間に送り込むように搬送する。
【0047】
一方、吸引ユニット100では、遠心ファンが順方向に回転を開始し、これによりポンプ112による吸引力が連通孔110及び減圧室102を介して吸引孔108と吸引室106に作用し、吸気吸引状態となる。
【0048】
これにより、記録部14に送り込まれた記録媒体1は、吸引ユニット100の記録媒体搬送面の印刷領域に吸引吸着され、密着した状態を保持しながら搬送される。これと同時に、記録ヘッド13が記録媒体1の上方を主走査方向E,Fを移動しながら、その記録媒体1に対してインク粒を吐出し、画像記録が行なわれる。
【0049】
そして、記録媒体1の印刷が終了すると、図2に示すように、記録媒体1の後縁が記録媒体搬送手段の紙送りローラ122と従動ローラ124との間から解放される。
【0050】
このとき、吸引ユニット100の吸引力発生部104のポンプ112が逆方向に回転駆動されることにより、吸引ユニット100の吸引室106から空気が上方に向かって吹き出される。これにより、記録媒体1が吸引ユニット100の吸引部101の上面から離反して、浮き上がることになる。
【0051】
ここで、上記吸引孔108が図4に示すように上面に向かって先細に形成されている場合には、吸引孔108を通る空気が、その形状に基づいて加速され、吸引孔108の上端から勢いよく吹き出すことにより、記録媒体1は、より強い浮上力を受けて、確実に浮き上がることになる。
【0052】
そして、吸引ユニット100の吸引部101の上面が排出方向に向かって低くなるように傾斜していることから、記録媒体1は、その自重により、低い方に落下しようとするので、吸引ユニット100の傾斜した上面に沿って排出方向に移動して、記録部14から送り出された後、プリンタ本体11外へ排出される。
【0053】
このとき、上述したように、記録媒体1は、記録ヘッド13による印刷時に吸引ユニット100により記録媒体搬送面に吸引吸着保持されているので、コックリングにより浮き上がるようなことはない。
【0054】
また排出時には、記録媒体1は、吸引ユニット100の記録媒体搬送面からの空気吹き出しにより浮上り、この記録媒体搬送面の傾斜に沿って自重により落下することにより、従来のような拍車ローラを使用することなく、プリンタ本体11外に搬出されるので、拍車跡が付くようなこともない。
【0055】
図5は、本発明による記録媒体搬送装置の第二の実施形態を示している。
【0056】
図5において、記録媒体搬送装置30は、図2に示した記録媒体搬送装置20とほぼ同様の構成であるから、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0057】
記録媒体搬送装置30は、以下の点で図2に示した記録媒体搬送装置20とは異なる構成になっている。
【0058】
即ち、記録媒体搬送装置30においては、補助搬送手段31が、図2に示した記録媒体搬送装置20における吸引ユニット100の吸引部101の傾斜した上面による補助搬送手段31の代わりに、吸引ユニット100の吸引部101の上面に設けられた吸引孔108が図5に示すように上方に向かって排出方向に斜めに傾斜していることにより、構成されている。
【0059】
このような構成の記録媒体搬送装置30によれば、図2に示した記録媒体搬送装置20と同様に動作すると共に、記録媒体1の印刷が終了して、図3に示すように、記録媒体1の後縁が記録媒体搬送手段の紙送りローラ122と従動ローラ124との間から解放されると、吸引ユニット100の吸引力発生部104のポンプ112が逆方向に回転駆動されることにより、吸引ユニット100の吸引室106から空気が上方に向かって吹き出される。これにより、記録媒体1が吸引ユニット100の吸引部101の上面から離反して、浮き上がることになる。
【0060】
そして、吸引ユニット100の吸引部101の各吸引孔108が排出方向に向かって斜めに傾斜していることから、記録媒体1は、各吸引孔108から斜めに噴射される空気流に乗って、吸引ユニット100の平坦な上面に沿って排出方向に移動して、記録部14から送り出された後、プリンタ本体11外へ排出される。
【0061】
従って、記録媒体1は、図2の記録媒体搬送装置20と同様に、記録ヘッド13による印刷時に吸引ユニット100により記録媒体搬送面に吸引吸着保持されているので、コックリングにより浮き上がるようなことはない。
【0062】
また排出時には、記録媒体1は、吸引ユニット100の記録媒体搬送面からの空気吹き出しにより浮上り、この空気吹き出し方向により、従来のような拍車ローラを使用することなく、プリンタ本体11外に搬出されるので、拍車跡が付くようなこともない。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、印刷が終了すると、記録媒体は、吹き付け手段により吸引穴から空気が吹き出すことにより、記録媒体搬送面の表面から離反して、僅かに浮き上がり、補助搬送手段としての記録媒体搬送面の傾斜または吸引孔の傾斜に基づいて、排出方向、即ち下流側に向かって移動されることになる。
【0064】
これにより、記録媒体は、印刷終了後に、記録媒体搬送手段の記録媒体搬送面から離反して、排出方向に移動されることにより、円滑に排出されるので、従来の拍車ローラが不要となり、排出時に記録媒体に拍車ローラによる拍車跡が付くようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による記録媒体搬送装置を組み込んだ記録装置としてのインクジェットプリンタを示す図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る記録媒体搬送装置の概略断面図
【図3】図2の記録媒体搬送装置の吸引ユニットの平面図
【図4】図2の記録媒体搬送装置における吸引ユニットの吸引孔の変形例を示す部分拡大断面図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る記録媒体搬送装置の概略断面図
【図6】(a)、(b)、(c)は、従来のインクジェットプリンタ等における記録部と記録媒体の搬送装置の主要部のみを抽出して示す図
【図7】従来のインクジェットプリンタで記録した画像の拍車跡を示す図
【符号の説明】
1 記録媒体
10 インクジェットプリンタ(記録装置)
20,30 記録媒体搬送装置
100 吸引ユニット
101 吸引部
102 減圧室
104 吸引力発生部
106 吸引室
108 吸引孔
110 連通孔
112 ポンプ
120 記録媒体搬送手段
121 給紙ローラ
122 紙送りローラ
123 従動ローラ
126,31 補助搬送手段
128 吹き付け手段
Claims (6)
- 記録媒体を吸引保持する吸引ユニットと、
この吸引ユニットの上流側から下流側へ記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段とを備え、
上記吸引ユニットが、複数の吸引穴が設けられた記録媒体搬送面と、
これら複数の吸引穴と連通した減圧室と、
この減圧室内の空気を吸引する吸引手段とを有し、
上記記録媒体搬送手段により上記吸引ユニットの記録媒体搬送面上に供給される記録媒体を、記録中に吸引手段により吸引穴を介して記録媒体搬送面上に吸着しつつ、上記記録媒体を上流側から下流側へ搬送する記録媒体搬送装置において、
上記吸引ユニットは、記録部から排出部に亘って形成され、且つ、上記複数の吸引穴が上記記録媒体搬送面の全域に設けられ、
上記記録媒体搬送面の少なくとも排出部側が、排出を補助する構成となっており、
上記記録媒体搬送手段は、吸引ユニットの減圧室内に空気を吹き込む吹き付け手段と、
上記吹き付け手段により上記減圧室内に吹き込まれた空気を利用して、上記記録媒体を上記記録媒体搬送面上から離間させて排出方向に補助的に移動させる補助搬送手段とを備え、
一連の記録排出動作の中で、上記記録媒体を吸引し、上記記録媒体を離間して排出を補助するように上記吸引手段と上記吹き込み手段を切り替えて制御することを特徴とする記録媒体搬送装置。 - 請求項1記載の記録媒体搬送装置において、上記補助搬送手段が、吸引ユニットの各吸引穴が記録媒体の排出方向に向かって斜めに開口していることにより、構成されていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
- 請求項1又は2に記載の記録媒体搬送装置において、上記吸引穴と減圧室とは、吸引孔によって連通されており、該吸引孔は、上記減圧室から上記記録媒体支持面へ向けて先細に形成されていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
- 請求項1乃至3の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、上記補助搬送手段が、吸引ユニットの記録媒体搬送面が排出方向に向かって低くなるように傾斜して形成されることにより、構成されていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
- 請求項1乃至4の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、上記吹き付け手段が、吸引手段により兼用されており、吸引手段を逆転させることにより、減圧室内に空気を吹き込むことを特徴とする記録媒体搬送装置。
- 請求項1乃至5の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置を備えたことを特徴とする記録装置。
Priority Applications (14)
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