JP3783650B2 - ガス燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮断弁の故障状態を診断可能なガス燃料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から遮断弁の故障状態を診断するため、燃料タンクとエンジン等の燃料消費装置との間の配管に遮断弁と圧力センサをこの順に配置し、遮断弁を閉弁して所定時間後の圧力により遮断弁の故障診断を行うものが知られており、例えば、特開2000−274311号公報に記載されている。
【0003】
これは、車両の停止もしくは運転中に、遮断弁を閉弁し、所定時間後の圧力低下量、あるいは圧力が所定の圧力まで低下するまでの経過時間を計測し、圧力低下率を算出し、圧力低下率しきい値と比較して遮断弁の故障診断を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、遮断弁下流の圧力の低下速度は、車両の運転状態、即ち、燃料消費装置の燃料消費率によって変化する。
【0005】
しかしながら、上記従来例では、遮断弁を閉弁し、所定時間後の圧力低下量、若しくは、圧力が所定圧力まで低下するのに経過する時間を計測して遮断弁の故障診断を行っている。このため、車両の運転状態によって燃料消費率が低い場合には、圧力の低下に時間がかかるものであった。
【0006】
所定時間後の圧力低下量によって診断を行う場合、圧力センサの検出精度や分解能より下限圧力低下量が決定され、設定する所定時間はその下限圧力低下量だけ圧力が低下する時間以上にしなくてはならないため、故障診断を行うのに時間がかかってしまうという問題点がある。
【0007】
また、所定圧力まで低下するのに経過する時間を計測する場合、所定圧力は燃料タンク圧力から前述の下限圧力低下量を引いた値以下にしなければならないため、燃料消費率が低い場合は所定圧力まで圧力が低下するのに時間がかかり故障診断を行うのに時間がかかってしまうという問題点がある。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、遮断弁の故障診断を短時間に実施可能なガス燃料供給装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、燃料供給手段から燃料を燃料消費手段に供給し、遮断弁と圧力センサを有する燃料供給ラインと、故障診断信号に基づいて前記遮断弁を閉弁し、少なくとも前記圧力センサからの圧力情報と経過時間とに基づいて圧力低下率を算出し、前記圧力低下率が予め定めた圧力低下率しきい値より小さいときに、前記遮断弁が故障状態であると判断する故障検出手段を有するガス燃料供給装置において、前記故障診断信号に基づいて前記故障検出手段が作動する条件下では、前記燃料消費手段が消費する目標燃料消費率を増大化して制御する燃料消費量制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
前記燃料消費手段は、燃料電池自動車では燃料ガスを消費する燃料電池や燃料ガスを燃焼する燃焼器であり、前記燃料消費量制御手段は、これらの燃料電池や燃焼器の目標燃料消費率を故障検出手段が作動する条件下では増大化して制御する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料消費手段に加え、遮断弁の故障診断の実行時に消費した燃料によって得られるエネルギーを蓄えるエネルギー保存手段を備えることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記エネルギー保存手段は、遮断弁の故障診断前にエネルギー保存量を調節することを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1ないし第3の発明において、前記燃料供給手段は、水素リッチなガス燃料を貯留する水素タンクであり、前記燃料消費手段は、燃料電池であり、前記エネルギー保存手段は、電力貯蔵手段であることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記故障検出手段は、診断に要する水素量から算出される発電電力に応じて前記電力貯蔵手段の充電状態を調節することを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第1の発明において、前記燃料消費手段は、補助燃料消費手段を並列に備え、前記燃料供給ラインは、前記燃料消費手段と前記補助燃料消費手段に燃料を供給する割合を制御する燃料供給割合制御手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第6の発明において、前記補助燃料消費手段は、燃焼器で構成していることを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
したがって、第1の発明では、故障検出手段は燃料消費手段の燃料消費量を増大化して制御できるので、遮断弁の故障診断をする際に、燃料消費手段の燃料消費量を調節することにより、より短時間で燃料供給ラインの圧力を下げることができ、より短時間に遮断弁の故障診断を行うことができる。
【0018】
第2の発明では、第1の発明の効果に加えて、遮断弁の故障診断のために余分に得られるエネルギーをエネルギー保存手段に蓄えるので、燃料を無駄にせずに故障診断をより短い時間で行うことができる。
【0019】
第3の発明では、第2の発明の効果に加えて、遮断弁の故障診断前に前記エネルギー保存手段の保存量を調節するため、故障診断によって得られるエネルギーに応じてエネルギー保存手段の保存量を下げておき、エネルギー保存手段に故障診断によって得られる余分なエネルギーを蓄えることができ、エネルギーを無駄に捨てることなく故障診断ができる。
【0020】
第4の発明では、第1ないし第3の発明の効果に加えて、遮断弁の故障診断時に水素ガス燃料を消費する燃料電池の発電電力は電力貯蔵手段に保存されるので、水素を無駄にすることなく遮断弁の故障診断を行うことができる。
【0021】
第5の発明では、第4の発明の効果に加えて、診断に要する水素量から算出される発電電力に応じて前記電力貯蔵手段の充電状態を調節するため、故障診断によって発電した電力を無駄にすることなく電力貯蔵手段に充電することができる。
【0022】
第6の発明では、第1の発明の効果に加えて、燃料供給割合制御手段が目標燃料消費率と燃料消費手段の燃料消費率に応じて燃料消費手段と補助燃料消費手段に燃料を供給する割合を制御するので、燃料消費手段の燃料消費率が目標燃料消費率に対して十分でないとき、補助燃料消費手段に燃料を供給することによって目標燃料消費率で燃料を消費することができる。
【0023】
第7の発明には、第6の発明の効果に加えて、補助燃料消費手段を燃焼器により構成したため、燃料消費手段が十分にガス燃料を消費できないときでも、燃料供給割合制御手段により燃焼器がガス燃料を消費するので、燃料消費手段が十分に水素を消費できないときでも目標燃料消費率で燃料を消費することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるガス燃料供給装置を実現する実施の形態を、請求項1に対応する第1の実施形態に基づいて説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態に係わるガス燃料供給装置の一例を示し、図1はシステム構成図、図2〜図4は故障診断の制御フローチャートを示す。なお、以下に説明する燃料電池およびガス燃料供給装置は、燃料電池自動車等の移動体に搭載される装置である。
【0026】
図1において、ガス燃料供給装置は、主として、水素吸蔵合金が充填されている燃料供給手段としての燃料タンク2と、燃料タンク2よりのガス燃料と酸化剤ガスの供給を受けて電気化学的な反応により電力を発生する燃料消費手段としての燃料電池1と、燃料電池1の電力が供給されるモータ・インバータ等の電力消費部11と、燃料電池1を安全且つ効率的に運転すること等を目的とするコントローラ6とを備える。
【0027】
前記燃料タンク2は、水素吸蔵合金に吸蔵させた水素をガス燃料として貯蔵する。燃料タンク2よりのガス燃料は、逆流防止機能付きの遮断弁3および配管からなる燃料供給ライン4を経由して燃料電池1に供給可能であり、遮断弁3の開閉により供給量を制御する。
【0028】
コントローラ6は、燃料消費量制御手段としての燃料消費量制御部71および故障検出手段としての故障検出部61を備える。燃料消費量制御部71は、燃料電池1の通常運転時には電力消費部11に消費される電力消費量に基づいて燃料電池1の目標発電量を算定して燃料電池1の燃料消費率を演算し、必要な遮断弁3のバルブ開度(全閉または全開)を故障検出部61に出力して遮断弁3を開閉操作する。燃料消費量制御部71は、また、故障診断時には故障検出部61より規定される目標燃料消費率C1と燃料電池1から入力される燃料電池1の燃料消費率から、目標発電量を算出して燃料電池1に出力し、電力消費部11へ目標電力消費量を出力する。
【0029】
故障検出部61には、遮断弁3よりも下流の燃料供給ライン4の配管内の圧力を検出する圧力センサ5よりの圧力信号が入力されている。故障検出部61は、燃料電池1の通常運転時には、前記燃料消費量制御部71よりの開度信号に応じて遮断弁3を開閉制御する。なお、燃料電池の通常運転時には、図示しないレギュレータ弁により供給量を連続的(リニア)に制御される。故障検出部61は、また、故障診断時には、目標燃料消費量C1、所定時間t0、圧力低下しきい値a0を算出設定し、燃料消費量制御部71に出力して燃料電池1および電力消費部11の作動が目標燃料消費量C1となるよう制御させる。また、遮断弁3を閉じ、閉弁後の圧力センサ5よりの圧力信号により遮断弁3の故障を判定する。
【0030】
次に第1実施態様の故障診断の詳細な手順を、図2〜図4のフローチャートに基づいて説明する。図2に示すステップ100〜150は故障診断の条件設定を、図3に示すステップ220〜240は燃料消費量制御部71の作動を、図4に示すステップ300〜380は故障診断の作動を、夫々示している。
【0031】
故障診断の条件設定は、先ず、ステップ100で、故障検出部61に対し故障診断信号が出されたか否かを判断する。出されていなければステップ100に戻り、故障診断信号が出されるまで待つ。故障診断信号が出されていればステップ110へ進む。
【0032】
ステップ110では、目標燃料消費率C1を設定しステップ120へ進む。目標燃料消費率C1は、図5に示すように、従来の燃料電池1の燃料消費率をC0とすると、規定の水素量nを消費するために経過する時間はtlongとなる。本発明では水素量nを消費するための時間がより短くなるように燃料消費率をC0よりも大きい目標燃料消費率C1に設定することによってtlongよりも短い時間t0で規定の水素量nを消費することができる。よって目標燃料消費率はC1に設定する。
【0033】
規定の水素量nは、圧力センサ5の検出値がP0からP1になるために消費しなくてはならない水素量である。即ち、遮断弁3から燃料電池1までの燃料供給ライン4の容積をVpipeとし、Rを気体定数、Tをガス燃料の絶対温度、n0を圧力が初期圧力P0のときの水素量、n1を圧力がP1のときの水素量とすると、
P0・Vpipe=n0・R・T
P1・Vpipe=n1・R・T
となるので、消費しなくてはならない水素量nは、
n=n0−n1=(1−P1/P0)n0
=(1−P1/P0)P0・Vpipe/(R・T)
=(P0−P1)Vpipe/(R・T)
となる。
【0034】
ここで、圧力低下量(P0−P1)=ΔPは、圧力センサ5の検出範囲と分解能より、圧力センサ5で十分に識別可能である圧力差△Pが決定されるので、圧力低下量(P0−P1)は、圧力差△P以上に設定すればよい。
【0035】
ステップ120では、所定時間t0を設定しステップ130へ進む。所定時間t0は、目標燃料消費率C1で前記水素量nを消費したときの消費時間に相当する。即ち、燃料消費率C1を決定すると、燃料消費率C1で消費される水素量が(P0−P1)Vpipe/(R・T)となる時間となる。図6は、遮断弁3が閉じた時点よりの圧力センサ5から検出される圧力と時間の関係を示したものである。時点0のときに遮断弁3に閉指令を出力し、予め定められた所定時間t0が経過するまでの圧力低下量(P0−P1)から圧力低下率a1を算出する。
【0036】
ステップ130では、圧力低下率しきい値a0を設定しステップ140へ進む。圧力低下率しきい値a0は、目標燃料消費率C1より、遮断弁3が完全に閉じたときの理論圧力低下率が算出でき、遮断弁3が故障していないと判断可能である圧力低下率の幅を考慮して圧力低下率しきい値a0を算出する。なお、故障している遮断弁3を用いて実験をし、故障時の圧力低下率を測定して圧力低下率しきい値a0を算出してもよい。このようにして、故障検出部61は前述の目標燃料消費率C1を算出し、燃料消費量制御部71に出力する。
【0037】
ステップ140では、燃料消費量制御部71により目標発電量を設定しステップ150へ進む。目標発電量は、故障検出手段61から入力される目標燃料消費率C1と燃料電池1から入力される燃料電池1の燃料消費率から算出される。
【0038】
ステップ150では、燃料電池1で発生される発電量を電力消費部11で消費させる目標電力消費量を設定し、図3の燃料消費量制御部71のフローチャートのステップ220へ進む。
【0039】
燃料消費量制御部71の作動を開始するステップ220では、目標燃料消費率C1で燃料電池1が水素を消費するように目標発電量を調整して燃料電池1へ出力し、ステップ230へ進む。
【0040】
ステップ230では、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11で消費するために目標電力消費量を調整し、燃料消費量制御部71から電力消費部11に目標電力消費量を出力し、ステップ240へ進む。
【0041】
ステップ240では、燃料電池1の燃料消費率と目標燃料消費率C1の差が所定の範囲内であるかを判断する。範囲内であれば図4の故障診断作動のフローチャートのステップ300に進む。範囲外であればステップ220〜230を繰り返して燃料電池1の燃料消費率と目標燃料消費率C1の差が所定の範囲内となるよう調整する。
【0042】
図4の故障診断作動を開始するステップ300では、故障検出部61が遮断弁3に閉指令を出し、ステップ310へ進む。図6では、時点0である。
【0043】
ステップ310では、燃料供給ライン4の遮断弁3下流のガス燃料圧力P0を圧力センサ5より検出し、ステップ320へ進む。
【0044】
ステップ320では、遮断弁3に閉指令が出されてから、所定時間t0が経過したか否かを判断する。経過していたらステップ330へ進み、経過していなければ所定時間t0が経過するまで待つ。図6の時点t0参照。
【0045】
ステップ330では、所定時間t0が経過した後の遮断弁3下流の燃料供給ライン4のガス燃料圧力P1を圧力センサ5より検出し、ステップ340へ進む。
【0046】
ステップ340では、(P0−P1)/t0により圧力低下率a1を算出し、ステップ350へ進む。
【0047】
ステップ350では、ステップ340で算出された圧力低下率a1が予め定められた圧力低下率しきい値a0よりも小さいか否かを判断する。小さければステップ360へ進み、小さくなければステップ370へ進む。
【0048】
ステップ360では圧力低下率a1が圧力低下率しきい値a0よりも小さかったので、遮断弁3がガス燃料を完全に遮断せずにガス燃料を燃料電池1に供給してしまっていると判断し遮断弁故障フラグをセットし、ステップ380へ進む。
【0049】
ステップ370では、圧力低下率a1が圧力低下率しきい値a0よりも小さくないので遮断弁3はガス燃料を遮断していると判断し、遮断弁故障フラグをクリアし、ステップ380へ進む。
【0050】
ステップ380では、図示しない故障処理ルーチンへ進む。遮断弁故障フラグがセットされている場合はシステムを停止しドライバーに故障していることを報知するなどの故障処理を行い、次へ進み終了する。
【0051】
このように処理することで遮断弁3の故障診断をより短い時間で行うことが可能となる。
【0052】
なお、診断時間t0を短くするためには、P1はP0に近づけてより大きくしたいので、P1はP0−△Pに設定することが望ましい。
【0053】
本実施の形態にあっては、燃料消費量制御手段としての燃料消費量制御部71は、故障検出手段としての故障検出部61により算出される目標燃料消費率C1で燃料を消費するよう燃料消費手段11を制御するため、遮断弁3の故障診断をする際に、燃料消費手段としての燃料電池1の燃料消費量を調節することにより、より短時間で燃料供給ライン4の圧力を下げることができ、より短時間に遮断弁3の故障診断を行うことができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、本発明におけるガス燃料供給装置を実現する実施の形態を、請求項6、7に対応する第2の実施形態に基づいて説明する。
【0055】
図7〜図9は、本発明の第2の実施形態に係わるガス燃料供給装置の一例を示し、第1の実施形態とは、ガス燃料による燃焼器と燃料電池へ供給するガス燃料を分岐して燃焼器へ供給する燃料供給割合制御部とを備えている構成で相違している。図7はシステム構成図、図2、図8、9は故障診断の制御フローチャートである。
【0056】
図7において、9はガス燃料を燃焼させる燃焼器を示し、燃料供給ライン4からの燃料電池1へのガス燃料を燃料供給割合制御部10により分流して供給される。燃焼器9は燃料消費率制御部72からの起動信号により起動される。燃料供給ライン4は燃料タンク2と燃料電池1の間に遮断弁3と圧力センサ5と燃料供給割合制御部10がこの順で設けてある。燃料供給割合制御部10は、燃料消費量制御部72から入力される目標燃料供給割合指令に応じて燃料電池1と燃焼器9に供給するガス燃料の割合を調節する。即ち、燃料消費量制御部72は燃料供給割合制御部10に目標燃料供給割合指令を出力し、燃料電池1に目標発電量指令を出力し、燃焼器に起動信号を出力し、電力消費部11に目標電力消費量を出力する。
【0057】
次に第2実施態様の故障診断の詳細な手順を、図2、図8、9のフローチャートに基づいて説明する。図2に示すステップ100〜150は故障診断の条件設定を、図8に示すステップ211〜271は燃料消費量制御部72の作動を、図9に示すステップ400〜490は故障診断の作動を、夫々示している。
【0058】
図2に示すステップ100〜150は故障診断の条件設定は、既に説明しており、図8に示す燃料消費量制御部72の作動をステップ211〜271の順を追って説明する。
【0059】
燃料消費量制御部72の作動のステップ211では、目標燃料供給割合を調整してステップ221へ進む。目標燃料供給割合の初期値は、燃料電池1に100%、燃焼器に0%となっている。ステップ251を経由してステップ211へ到達した場合には、燃料消費量が目標燃料消費量に一致するように目標燃料供給割合を調整する。調整量はあらかじめ実験などにより燃料消費量と目標燃料供給割合の関係をマップ化しておき、算出する。
【0060】
ステップ221では、目標燃料消費率C1で燃料電池1が水素を消費するように目標発電量を調整しステップ231へ進む。燃焼器9が起動している場合は、目標燃料消費率C1と燃料電池1に供給される水素量に応じて目標発電量を調整する。
【0061】
ステップ231では、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11で消費するために電力消費部11での目標電力消費量を調整しステップ241へ進む。燃焼器9が起動している場合は、燃料電池1に供給される水素量に応じて目標電力消費量を調整する。
【0062】
ステップ241では、燃料電池1の燃料消費率が目標燃料消費率C1よりも小さいか否かを判断する。小さければステップ251に進み、小さくなければステップ271へ進む。
【0063】
ステップ271では、燃料電池1の燃料消費率が目標燃料消費率C1よりも大きいか否かを判断する。大きければステップ221に進み、大きくなければBを経由して図9に示す故障診断の作動であるステップ400へ進む。
【0064】
ステップ251では、燃焼器9に起動信号を出力してステップ211に進む。
【0065】
ステップ241とステップ271の判断は、分岐条件に適切な範囲をもたせて判断を行う。具体的には、燃料消費率Cと目標燃料消費率C1を比較する際、適切な範囲△C>0を設定し、ステップ241では、(C1<C+△C)が成立すればステップ271へ進み、ステップ271では、(C1>C−△C)が成立すれば、図9に示す故障診断の作動であるステップ400へ進む。
【0066】
図9に示す故障診断の作動においては、図4の故障診断の作動が、所定時間t0が経過したときの圧力低下量を計測して遮断弁3の故障診断をするのに対し、圧力センサ5から検出される圧力が所定圧力P2まで低下する経過時間t1を計測して遮断弁3の故障診断を行うものである。
【0067】
図10により、故障診断方法の詳細を説明する。図10の太線は圧力センサ5から検出される圧力と時間の関係を示した図である。時点0で遮断弁3に閉指令を出し、圧力センサ5の検出値が予め定められた所定圧力P2になるまでの経過時間t1を計測する。前述の圧力低下率しきい値a0によって圧力がP0から所定圧力P2になるまでの時間と経過時間t1を比較することによって遮断弁3の故障診断を行うものである。
【0068】
図9に戻り、故障診断の作動をフローチャートに基づいて説明する。
【0069】
ステップ400では、遮断弁3に故障検出部61が閉指令を出力する。
【0070】
ステップ410では、遮断弁3下流の燃料供給ライン4のガス燃料圧力P0を検出し、時々刻々と圧力センサ5より検出するガス燃料圧力P1の計測を開始する。
【0071】
ステップ420では、遮断弁3に閉指令を出力してからの経過時間t1の計測を開始する。
【0072】
ステップ430では、圧力センサ5より時事刻々と検出されるガス燃料圧力P1が予め定められた診断停止圧力P2より小さいか否か判断する。小さければステップ440に進み、小さくなければステップ430に進む。診断停止圧力P2は圧力センサ5で十分に識別可能である範囲でより大きな値としたほうが、診断にかかる時間が少なくなり、より効果的である。よって遮断弁3下流のガス燃料圧力P0と圧力センサ5の分解能や検出範囲から診断停止圧力P2が設定される。
【0073】
ステップ440では、遮断弁3に閉指令を出力してから、圧力センサ5より時事刻々と検出されるガス燃料圧力P1が診断停止圧力P2を下回るまでの経過時間t1の計測を停止する。
【0074】
ステップ450では、(P0−P2)/t1より圧力低下率a2を算出する。
【0075】
ステップ460では、ステップ450で算出された圧力低下率a2が予め定められた圧力低下率しきい値a0よりも小さいか否か判断する。小さければステップ470に進み、小さくなければステップ480に進む。
【0076】
ステップ470では、圧力低下率a2が圧力低下率しきい値a0よりも小さかったので、遮断弁3がガス燃料を遮断せずにガス燃料を燃料電池1側に供給してしまっていると判断し遮断弁故障フラグをセットする。
【0077】
ステップ480では、圧力低下率a2が圧力低下率しきい値a0よりも小さくないので遮断弁3はガス燃料を遮断していると判断し遮断弁故障フラグをクリアする。
【0078】
ステップ490では、図示しない故障処理ルーチンへ進む。遮断弁故障フラグがセットされている場合はシステムを停止しドライバーに故障していることを報知するなどの故障処理を行い、次へ進み終了する。
【0079】
このように処理することで、燃料電池1が目標燃料消費率C1で燃料を消費できなくても燃焼器9を用いることにより目標燃料消費率C1で燃料を消費することが可能となり、遮断弁3の故障診断をより短時間で行うことが可能となる。
【0080】
本実施の形態にあっては、第1の実施の形態による効果に加えて、燃料消費手段としての燃料電池1は補助燃料消費手段としての燃焼器9を並列に備え、燃料供給割合制御手段としての燃料供給割合制御部10が目標燃料消費率C1と燃料電池1の燃料消費率に応じて燃料電池1と燃焼器9に燃料を供給する割合を制御するので、燃料電池1の燃料消費率が目標燃料消費率C1に対して十分でないとき、燃焼器9に燃料を供給することによって目標燃料消費率C1で燃料を消費することができる。
【0081】
また、補助燃料消費手段を燃焼器9により構成したため、燃料電池1が十分にガス燃料を消費できないときでも、燃料供給割合制御部10により燃焼器9がガス燃料を消費するので、目標燃料消費率C1で燃料を消費することができる。
【0082】
(第3実施形態)
以下、本発明におけるガス燃料供給装置を実現する実施の形態を、請求項2〜5に対応する第3の実施形態に基づいて説明する。
【0083】
図11〜図13は、本発明の第3の実施形態に係わるガス燃料供給装置の一例を示し、第1の実施形態に対して、燃料電池で発電した電力を充電可能な二次電池を付加したものである。図11はシステム構成図、図12、13、および図4は故障診断の制御フローチャートを示す。
【0084】
図11において、二次電池8は燃料電池1が発電した電力を充電することが可能であり、また、電力消費部11に放電することが可能である。二次電池8の充電状態は燃料電池1の発電量と電力消費部11の電力消費量に応じて変化する。
【0085】
故障検出部63は故障診断信号より故障診断を開始する。故障検出部63は、遮断弁3を閉じる前に、故障診断によって燃料電池1が余分に発電する電力を二次電池8が充電できる状態となるように電力調整量を算出し燃料消費量制御部73に出力する。
【0086】
燃料消費量制御部73は故障検出部63から目標燃料消費率C1と電力調整量が入力され、燃料電池1から燃料消費率が入力され、目標発電量と目標電力消費量を算出する。電力調整量が変化すると、目標発電量と目標電力消費量のバランスも変化し二次電池8の充電状態を変化させることができる。
【0087】
次に第2実施態様の故障診断の詳細な手順を、図12、13、および、図4のフローチャートに基づいて説明する。図12に示すステップ100〜195は故障診断の条件設定を、図13に示すステップ221〜241は燃料消費量制御部73の作動を、図4に示すステップ300〜380は故障診断の作動を、夫々示している。
【0088】
図12に示す故障診断の条件設定のステップ100〜150に係わる部分は、故障診断開始信号をステップ100で検出し、ステップ110で目標燃料消費率C1を設定し、所定時間t0をステップ120で設定し、圧力低下率しきい値a0をステップ130で算出し、目標発電量をステップ140で設定し、目標電力消費量C1をステップ150で設定する作動は、図2のステップ100〜150と同じである。
【0089】
ステップ160では、二次電池8の充電状態を読み込み、ステップ170へ進む。
【0090】
ステップ170では、電力調整量を次のように設定し、ステップ180へ進む。故障診断をするために燃料電池1が消費しなければならない水素量nから発電される電力を算出する。算出した電力から燃料電池1を運転するために必要な補器で用いる電力を引く。この電力が二次電池8に充電可能となる目標充電状態を算出する。ステップ160で読み込んだ二次電池8の充電状態と、目標充電状態との差を算出し、二次電池8への電力調整量を算出する。
【0091】
ステップ180で調整される第一の目標発電量とステップ190で調整される第一の目標電力消費量は二次電池8の充電状態が目標充電状態と一致するように調整する。例えば、第一の目標電力消費量は電力の無駄を避けるために必要最低限の値に設定し、第一の目標発電量は二次電池8の充電状態が目標充電状態となる所望の時間を設定し、設定した時間で充電状態が目標充電状態となるように第一の目標発電量を設定すればよい。
【0092】
ステップ195では、二次電池8の充電状態が故障診断によって発電される電力を充電できる状態になったか否かを判断する。なっていれば図13の燃料消費量制御部73の作動であるステップ221へ進み、なっていなければステップ160〜190を再度実行する。
【0093】
図13の燃料消費量制御部73の作動であるステップ221では目標燃料消費率C1で燃料電池1が水素を消費するように第二の目標発電量を調整し、ステップ231へ進む。
【0094】
ステップ231では、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11で消費するために目標電力消費量を調整し、ステップ241へ進む。
【0095】
ステップ241では、燃料電池1の燃料消費率と目標燃料消費率C1の差が所定の範囲内であるかを判断する。範囲内であれば故障診断の作動である図4のBを経由してステップ300に進む、範囲外であればステップ221へと進み、再度ステップ221〜241を実行する。
【0096】
次いで、図4のステップ300〜380の故障診断処理(既に、第1実施態様において詳細に説明しており、ここでは、簡略に記載する)を実行し、遮断弁3を閉じ、所定時間t0経過後の燃料供給ライン4のガス燃料圧P1を検出し、圧力低下率a1(=(P0−P1)/t0)を算出し、圧力低下しきい値a0と比較して遮断弁3を故障診断し、終了する。
【0097】
このように、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11による消費に加えて二次電池8に蓄えるため、遮断弁3の故障診断をより短い時間で行うことが可能となる。しかも、発電された電力を二次電池8に貯えるため、ガス燃料および発電された電力を無駄にすることがなくなる。
【0098】
本実施の形態にあっては、第1の実施の形態による効果に加えて、下記に記載した効果を奏することができる。即ち、遮断弁3の故障診断のために余分に得られるエネルギーをエネルギー保存手段としての二次電池8に蓄えるので、燃料を無駄にせずに故障診断をより短い時間で行うことができる。
【0099】
遮断弁3の故障診断前に前記エネルギー保存手段としての二次電池8の保存量を調節するため、故障診断によって得られるエネルギーに応じて二次電池8の保存量を下げておき、二次電池8に故障診断によって得られる余分なエネルギーを蓄えることができ、エネルギーを無駄に捨てることなく故障診断ができる。
【0100】
なお、上記第1実施形態にあっては、図2(故障診断の条件設定)、図3(燃料消費量制御部の作動)、図4(故障診断作動)とし、第2実施形態にあっては、図2(故障診断の条件設定)、図8(燃料消費量制御部の作動)、図9(故障診断作動)とし、第3実施形態においては、図12(故障診断の条件設定)、図13(燃料消費量制御部の作動)、図4(故障診断作動)として、3種類の構成となっている。しかしながら、これらの組合わせは、上記組み合わせに限定されるものでなく、図示しないが、例えば、図12、図8、図4の組合わせであってもよい。即ち、図2若しくは図12で開始され、図3、図8、図13のいずれか一つへ進み、図4若しくは図9で終了される組合わせであれば、どの組み合わせでも遮断弁3の診断をより短い時間で行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すガス燃料供給装置のシステム構成図。
【図2】故障診断の条件設定の制御フローチャート。
【図3】同じく図2に続く故障診断の燃料消費量制御部の制御フローチャート。
【図4】同じく図3に続く故障診断の作動を示す制御フローチャート。
【図5】目標燃料消費率と消費時間との関係を示すグラフ。
【図6】遮断弁が閉じた時点より所定時間後の圧力低下量測定による故障診断の圧力センサから検出される圧力と時間の関係を示したグラフ。
【図7】本発明の第2の実施形態を示すガス燃料供給装置のシステム構成図。
【図8】図2に続く故障診断の燃料消費量制御部の制御フローチャート。
【図9】同じく図8に続く故障診断の作動を示す制御フローチャート。
【図10】遮断弁が閉じた時点より所定圧力低下に要した経過時間測定による故障診断の圧力センサから検出される圧力と時間の関係を示したグラフ。
【図11】本発明の第3の実施形態を示すガス燃料供給装置のシステム構成図。
【図12】故障診断の条件設定の制御フローチャート。
【図13】図13に続く故障診断の燃料消費量制御部の制御フローチャート。
【符号の説明】
1 燃料消費手段としての燃料電池
2 燃料供給手段としての燃料タンク
3 遮断弁
4 燃料供給ライン
5 圧力センサ
6 コントローラ
8 エネルギー保存手段および電力貯蔵手段としての二次電池
9 補助燃料消費手段としての燃焼器
10 燃料供給割合制御部(燃料供給割合制御手段)
11 電力消費部
61、62 故障検出部(故障検出手段)
71、72、73 燃料消費量制御部(燃料消費量制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮断弁の故障状態を診断可能なガス燃料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から遮断弁の故障状態を診断するため、燃料タンクとエンジン等の燃料消費装置との間の配管に遮断弁と圧力センサをこの順に配置し、遮断弁を閉弁して所定時間後の圧力により遮断弁の故障診断を行うものが知られており、例えば、特開2000−274311号公報に記載されている。
【0003】
これは、車両の停止もしくは運転中に、遮断弁を閉弁し、所定時間後の圧力低下量、あるいは圧力が所定の圧力まで低下するまでの経過時間を計測し、圧力低下率を算出し、圧力低下率しきい値と比較して遮断弁の故障診断を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、遮断弁下流の圧力の低下速度は、車両の運転状態、即ち、燃料消費装置の燃料消費率によって変化する。
【0005】
しかしながら、上記従来例では、遮断弁を閉弁し、所定時間後の圧力低下量、若しくは、圧力が所定圧力まで低下するのに経過する時間を計測して遮断弁の故障診断を行っている。このため、車両の運転状態によって燃料消費率が低い場合には、圧力の低下に時間がかかるものであった。
【0006】
所定時間後の圧力低下量によって診断を行う場合、圧力センサの検出精度や分解能より下限圧力低下量が決定され、設定する所定時間はその下限圧力低下量だけ圧力が低下する時間以上にしなくてはならないため、故障診断を行うのに時間がかかってしまうという問題点がある。
【0007】
また、所定圧力まで低下するのに経過する時間を計測する場合、所定圧力は燃料タンク圧力から前述の下限圧力低下量を引いた値以下にしなければならないため、燃料消費率が低い場合は所定圧力まで圧力が低下するのに時間がかかり故障診断を行うのに時間がかかってしまうという問題点がある。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、遮断弁の故障診断を短時間に実施可能なガス燃料供給装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、燃料供給手段から燃料を燃料消費手段に供給し、遮断弁と圧力センサを有する燃料供給ラインと、故障診断信号に基づいて前記遮断弁を閉弁し、少なくとも前記圧力センサからの圧力情報と経過時間とに基づいて圧力低下率を算出し、前記圧力低下率が予め定めた圧力低下率しきい値より小さいときに、前記遮断弁が故障状態であると判断する故障検出手段を有するガス燃料供給装置において、前記故障診断信号に基づいて前記故障検出手段が作動する条件下では、前記燃料消費手段が消費する目標燃料消費率を増大化して制御する燃料消費量制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
前記燃料消費手段は、燃料電池自動車では燃料ガスを消費する燃料電池や燃料ガスを燃焼する燃焼器であり、前記燃料消費量制御手段は、これらの燃料電池や燃焼器の目標燃料消費率を故障検出手段が作動する条件下では増大化して制御する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料消費手段に加え、遮断弁の故障診断の実行時に消費した燃料によって得られるエネルギーを蓄えるエネルギー保存手段を備えることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記エネルギー保存手段は、遮断弁の故障診断前にエネルギー保存量を調節することを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1ないし第3の発明において、前記燃料供給手段は、水素リッチなガス燃料を貯留する水素タンクであり、前記燃料消費手段は、燃料電池であり、前記エネルギー保存手段は、電力貯蔵手段であることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記故障検出手段は、診断に要する水素量から算出される発電電力に応じて前記電力貯蔵手段の充電状態を調節することを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第1の発明において、前記燃料消費手段は、補助燃料消費手段を並列に備え、前記燃料供給ラインは、前記燃料消費手段と前記補助燃料消費手段に燃料を供給する割合を制御する燃料供給割合制御手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第6の発明において、前記補助燃料消費手段は、燃焼器で構成していることを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
したがって、第1の発明では、故障検出手段は燃料消費手段の燃料消費量を増大化して制御できるので、遮断弁の故障診断をする際に、燃料消費手段の燃料消費量を調節することにより、より短時間で燃料供給ラインの圧力を下げることができ、より短時間に遮断弁の故障診断を行うことができる。
【0018】
第2の発明では、第1の発明の効果に加えて、遮断弁の故障診断のために余分に得られるエネルギーをエネルギー保存手段に蓄えるので、燃料を無駄にせずに故障診断をより短い時間で行うことができる。
【0019】
第3の発明では、第2の発明の効果に加えて、遮断弁の故障診断前に前記エネルギー保存手段の保存量を調節するため、故障診断によって得られるエネルギーに応じてエネルギー保存手段の保存量を下げておき、エネルギー保存手段に故障診断によって得られる余分なエネルギーを蓄えることができ、エネルギーを無駄に捨てることなく故障診断ができる。
【0020】
第4の発明では、第1ないし第3の発明の効果に加えて、遮断弁の故障診断時に水素ガス燃料を消費する燃料電池の発電電力は電力貯蔵手段に保存されるので、水素を無駄にすることなく遮断弁の故障診断を行うことができる。
【0021】
第5の発明では、第4の発明の効果に加えて、診断に要する水素量から算出される発電電力に応じて前記電力貯蔵手段の充電状態を調節するため、故障診断によって発電した電力を無駄にすることなく電力貯蔵手段に充電することができる。
【0022】
第6の発明では、第1の発明の効果に加えて、燃料供給割合制御手段が目標燃料消費率と燃料消費手段の燃料消費率に応じて燃料消費手段と補助燃料消費手段に燃料を供給する割合を制御するので、燃料消費手段の燃料消費率が目標燃料消費率に対して十分でないとき、補助燃料消費手段に燃料を供給することによって目標燃料消費率で燃料を消費することができる。
【0023】
第7の発明には、第6の発明の効果に加えて、補助燃料消費手段を燃焼器により構成したため、燃料消費手段が十分にガス燃料を消費できないときでも、燃料供給割合制御手段により燃焼器がガス燃料を消費するので、燃料消費手段が十分に水素を消費できないときでも目標燃料消費率で燃料を消費することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるガス燃料供給装置を実現する実施の形態を、請求項1に対応する第1の実施形態に基づいて説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態に係わるガス燃料供給装置の一例を示し、図1はシステム構成図、図2〜図4は故障診断の制御フローチャートを示す。なお、以下に説明する燃料電池およびガス燃料供給装置は、燃料電池自動車等の移動体に搭載される装置である。
【0026】
図1において、ガス燃料供給装置は、主として、水素吸蔵合金が充填されている燃料供給手段としての燃料タンク2と、燃料タンク2よりのガス燃料と酸化剤ガスの供給を受けて電気化学的な反応により電力を発生する燃料消費手段としての燃料電池1と、燃料電池1の電力が供給されるモータ・インバータ等の電力消費部11と、燃料電池1を安全且つ効率的に運転すること等を目的とするコントローラ6とを備える。
【0027】
前記燃料タンク2は、水素吸蔵合金に吸蔵させた水素をガス燃料として貯蔵する。燃料タンク2よりのガス燃料は、逆流防止機能付きの遮断弁3および配管からなる燃料供給ライン4を経由して燃料電池1に供給可能であり、遮断弁3の開閉により供給量を制御する。
【0028】
コントローラ6は、燃料消費量制御手段としての燃料消費量制御部71および故障検出手段としての故障検出部61を備える。燃料消費量制御部71は、燃料電池1の通常運転時には電力消費部11に消費される電力消費量に基づいて燃料電池1の目標発電量を算定して燃料電池1の燃料消費率を演算し、必要な遮断弁3のバルブ開度(全閉または全開)を故障検出部61に出力して遮断弁3を開閉操作する。燃料消費量制御部71は、また、故障診断時には故障検出部61より規定される目標燃料消費率C1と燃料電池1から入力される燃料電池1の燃料消費率から、目標発電量を算出して燃料電池1に出力し、電力消費部11へ目標電力消費量を出力する。
【0029】
故障検出部61には、遮断弁3よりも下流の燃料供給ライン4の配管内の圧力を検出する圧力センサ5よりの圧力信号が入力されている。故障検出部61は、燃料電池1の通常運転時には、前記燃料消費量制御部71よりの開度信号に応じて遮断弁3を開閉制御する。なお、燃料電池の通常運転時には、図示しないレギュレータ弁により供給量を連続的(リニア)に制御される。故障検出部61は、また、故障診断時には、目標燃料消費量C1、所定時間t0、圧力低下しきい値a0を算出設定し、燃料消費量制御部71に出力して燃料電池1および電力消費部11の作動が目標燃料消費量C1となるよう制御させる。また、遮断弁3を閉じ、閉弁後の圧力センサ5よりの圧力信号により遮断弁3の故障を判定する。
【0030】
次に第1実施態様の故障診断の詳細な手順を、図2〜図4のフローチャートに基づいて説明する。図2に示すステップ100〜150は故障診断の条件設定を、図3に示すステップ220〜240は燃料消費量制御部71の作動を、図4に示すステップ300〜380は故障診断の作動を、夫々示している。
【0031】
故障診断の条件設定は、先ず、ステップ100で、故障検出部61に対し故障診断信号が出されたか否かを判断する。出されていなければステップ100に戻り、故障診断信号が出されるまで待つ。故障診断信号が出されていればステップ110へ進む。
【0032】
ステップ110では、目標燃料消費率C1を設定しステップ120へ進む。目標燃料消費率C1は、図5に示すように、従来の燃料電池1の燃料消費率をC0とすると、規定の水素量nを消費するために経過する時間はtlongとなる。本発明では水素量nを消費するための時間がより短くなるように燃料消費率をC0よりも大きい目標燃料消費率C1に設定することによってtlongよりも短い時間t0で規定の水素量nを消費することができる。よって目標燃料消費率はC1に設定する。
【0033】
規定の水素量nは、圧力センサ5の検出値がP0からP1になるために消費しなくてはならない水素量である。即ち、遮断弁3から燃料電池1までの燃料供給ライン4の容積をVpipeとし、Rを気体定数、Tをガス燃料の絶対温度、n0を圧力が初期圧力P0のときの水素量、n1を圧力がP1のときの水素量とすると、
P0・Vpipe=n0・R・T
P1・Vpipe=n1・R・T
となるので、消費しなくてはならない水素量nは、
n=n0−n1=(1−P1/P0)n0
=(1−P1/P0)P0・Vpipe/(R・T)
=(P0−P1)Vpipe/(R・T)
となる。
【0034】
ここで、圧力低下量(P0−P1)=ΔPは、圧力センサ5の検出範囲と分解能より、圧力センサ5で十分に識別可能である圧力差△Pが決定されるので、圧力低下量(P0−P1)は、圧力差△P以上に設定すればよい。
【0035】
ステップ120では、所定時間t0を設定しステップ130へ進む。所定時間t0は、目標燃料消費率C1で前記水素量nを消費したときの消費時間に相当する。即ち、燃料消費率C1を決定すると、燃料消費率C1で消費される水素量が(P0−P1)Vpipe/(R・T)となる時間となる。図6は、遮断弁3が閉じた時点よりの圧力センサ5から検出される圧力と時間の関係を示したものである。時点0のときに遮断弁3に閉指令を出力し、予め定められた所定時間t0が経過するまでの圧力低下量(P0−P1)から圧力低下率a1を算出する。
【0036】
ステップ130では、圧力低下率しきい値a0を設定しステップ140へ進む。圧力低下率しきい値a0は、目標燃料消費率C1より、遮断弁3が完全に閉じたときの理論圧力低下率が算出でき、遮断弁3が故障していないと判断可能である圧力低下率の幅を考慮して圧力低下率しきい値a0を算出する。なお、故障している遮断弁3を用いて実験をし、故障時の圧力低下率を測定して圧力低下率しきい値a0を算出してもよい。このようにして、故障検出部61は前述の目標燃料消費率C1を算出し、燃料消費量制御部71に出力する。
【0037】
ステップ140では、燃料消費量制御部71により目標発電量を設定しステップ150へ進む。目標発電量は、故障検出手段61から入力される目標燃料消費率C1と燃料電池1から入力される燃料電池1の燃料消費率から算出される。
【0038】
ステップ150では、燃料電池1で発生される発電量を電力消費部11で消費させる目標電力消費量を設定し、図3の燃料消費量制御部71のフローチャートのステップ220へ進む。
【0039】
燃料消費量制御部71の作動を開始するステップ220では、目標燃料消費率C1で燃料電池1が水素を消費するように目標発電量を調整して燃料電池1へ出力し、ステップ230へ進む。
【0040】
ステップ230では、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11で消費するために目標電力消費量を調整し、燃料消費量制御部71から電力消費部11に目標電力消費量を出力し、ステップ240へ進む。
【0041】
ステップ240では、燃料電池1の燃料消費率と目標燃料消費率C1の差が所定の範囲内であるかを判断する。範囲内であれば図4の故障診断作動のフローチャートのステップ300に進む。範囲外であればステップ220〜230を繰り返して燃料電池1の燃料消費率と目標燃料消費率C1の差が所定の範囲内となるよう調整する。
【0042】
図4の故障診断作動を開始するステップ300では、故障検出部61が遮断弁3に閉指令を出し、ステップ310へ進む。図6では、時点0である。
【0043】
ステップ310では、燃料供給ライン4の遮断弁3下流のガス燃料圧力P0を圧力センサ5より検出し、ステップ320へ進む。
【0044】
ステップ320では、遮断弁3に閉指令が出されてから、所定時間t0が経過したか否かを判断する。経過していたらステップ330へ進み、経過していなければ所定時間t0が経過するまで待つ。図6の時点t0参照。
【0045】
ステップ330では、所定時間t0が経過した後の遮断弁3下流の燃料供給ライン4のガス燃料圧力P1を圧力センサ5より検出し、ステップ340へ進む。
【0046】
ステップ340では、(P0−P1)/t0により圧力低下率a1を算出し、ステップ350へ進む。
【0047】
ステップ350では、ステップ340で算出された圧力低下率a1が予め定められた圧力低下率しきい値a0よりも小さいか否かを判断する。小さければステップ360へ進み、小さくなければステップ370へ進む。
【0048】
ステップ360では圧力低下率a1が圧力低下率しきい値a0よりも小さかったので、遮断弁3がガス燃料を完全に遮断せずにガス燃料を燃料電池1に供給してしまっていると判断し遮断弁故障フラグをセットし、ステップ380へ進む。
【0049】
ステップ370では、圧力低下率a1が圧力低下率しきい値a0よりも小さくないので遮断弁3はガス燃料を遮断していると判断し、遮断弁故障フラグをクリアし、ステップ380へ進む。
【0050】
ステップ380では、図示しない故障処理ルーチンへ進む。遮断弁故障フラグがセットされている場合はシステムを停止しドライバーに故障していることを報知するなどの故障処理を行い、次へ進み終了する。
【0051】
このように処理することで遮断弁3の故障診断をより短い時間で行うことが可能となる。
【0052】
なお、診断時間t0を短くするためには、P1はP0に近づけてより大きくしたいので、P1はP0−△Pに設定することが望ましい。
【0053】
本実施の形態にあっては、燃料消費量制御手段としての燃料消費量制御部71は、故障検出手段としての故障検出部61により算出される目標燃料消費率C1で燃料を消費するよう燃料消費手段11を制御するため、遮断弁3の故障診断をする際に、燃料消費手段としての燃料電池1の燃料消費量を調節することにより、より短時間で燃料供給ライン4の圧力を下げることができ、より短時間に遮断弁3の故障診断を行うことができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、本発明におけるガス燃料供給装置を実現する実施の形態を、請求項6、7に対応する第2の実施形態に基づいて説明する。
【0055】
図7〜図9は、本発明の第2の実施形態に係わるガス燃料供給装置の一例を示し、第1の実施形態とは、ガス燃料による燃焼器と燃料電池へ供給するガス燃料を分岐して燃焼器へ供給する燃料供給割合制御部とを備えている構成で相違している。図7はシステム構成図、図2、図8、9は故障診断の制御フローチャートである。
【0056】
図7において、9はガス燃料を燃焼させる燃焼器を示し、燃料供給ライン4からの燃料電池1へのガス燃料を燃料供給割合制御部10により分流して供給される。燃焼器9は燃料消費率制御部72からの起動信号により起動される。燃料供給ライン4は燃料タンク2と燃料電池1の間に遮断弁3と圧力センサ5と燃料供給割合制御部10がこの順で設けてある。燃料供給割合制御部10は、燃料消費量制御部72から入力される目標燃料供給割合指令に応じて燃料電池1と燃焼器9に供給するガス燃料の割合を調節する。即ち、燃料消費量制御部72は燃料供給割合制御部10に目標燃料供給割合指令を出力し、燃料電池1に目標発電量指令を出力し、燃焼器に起動信号を出力し、電力消費部11に目標電力消費量を出力する。
【0057】
次に第2実施態様の故障診断の詳細な手順を、図2、図8、9のフローチャートに基づいて説明する。図2に示すステップ100〜150は故障診断の条件設定を、図8に示すステップ211〜271は燃料消費量制御部72の作動を、図9に示すステップ400〜490は故障診断の作動を、夫々示している。
【0058】
図2に示すステップ100〜150は故障診断の条件設定は、既に説明しており、図8に示す燃料消費量制御部72の作動をステップ211〜271の順を追って説明する。
【0059】
燃料消費量制御部72の作動のステップ211では、目標燃料供給割合を調整してステップ221へ進む。目標燃料供給割合の初期値は、燃料電池1に100%、燃焼器に0%となっている。ステップ251を経由してステップ211へ到達した場合には、燃料消費量が目標燃料消費量に一致するように目標燃料供給割合を調整する。調整量はあらかじめ実験などにより燃料消費量と目標燃料供給割合の関係をマップ化しておき、算出する。
【0060】
ステップ221では、目標燃料消費率C1で燃料電池1が水素を消費するように目標発電量を調整しステップ231へ進む。燃焼器9が起動している場合は、目標燃料消費率C1と燃料電池1に供給される水素量に応じて目標発電量を調整する。
【0061】
ステップ231では、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11で消費するために電力消費部11での目標電力消費量を調整しステップ241へ進む。燃焼器9が起動している場合は、燃料電池1に供給される水素量に応じて目標電力消費量を調整する。
【0062】
ステップ241では、燃料電池1の燃料消費率が目標燃料消費率C1よりも小さいか否かを判断する。小さければステップ251に進み、小さくなければステップ271へ進む。
【0063】
ステップ271では、燃料電池1の燃料消費率が目標燃料消費率C1よりも大きいか否かを判断する。大きければステップ221に進み、大きくなければBを経由して図9に示す故障診断の作動であるステップ400へ進む。
【0064】
ステップ251では、燃焼器9に起動信号を出力してステップ211に進む。
【0065】
ステップ241とステップ271の判断は、分岐条件に適切な範囲をもたせて判断を行う。具体的には、燃料消費率Cと目標燃料消費率C1を比較する際、適切な範囲△C>0を設定し、ステップ241では、(C1<C+△C)が成立すればステップ271へ進み、ステップ271では、(C1>C−△C)が成立すれば、図9に示す故障診断の作動であるステップ400へ進む。
【0066】
図9に示す故障診断の作動においては、図4の故障診断の作動が、所定時間t0が経過したときの圧力低下量を計測して遮断弁3の故障診断をするのに対し、圧力センサ5から検出される圧力が所定圧力P2まで低下する経過時間t1を計測して遮断弁3の故障診断を行うものである。
【0067】
図10により、故障診断方法の詳細を説明する。図10の太線は圧力センサ5から検出される圧力と時間の関係を示した図である。時点0で遮断弁3に閉指令を出し、圧力センサ5の検出値が予め定められた所定圧力P2になるまでの経過時間t1を計測する。前述の圧力低下率しきい値a0によって圧力がP0から所定圧力P2になるまでの時間と経過時間t1を比較することによって遮断弁3の故障診断を行うものである。
【0068】
図9に戻り、故障診断の作動をフローチャートに基づいて説明する。
【0069】
ステップ400では、遮断弁3に故障検出部61が閉指令を出力する。
【0070】
ステップ410では、遮断弁3下流の燃料供給ライン4のガス燃料圧力P0を検出し、時々刻々と圧力センサ5より検出するガス燃料圧力P1の計測を開始する。
【0071】
ステップ420では、遮断弁3に閉指令を出力してからの経過時間t1の計測を開始する。
【0072】
ステップ430では、圧力センサ5より時事刻々と検出されるガス燃料圧力P1が予め定められた診断停止圧力P2より小さいか否か判断する。小さければステップ440に進み、小さくなければステップ430に進む。診断停止圧力P2は圧力センサ5で十分に識別可能である範囲でより大きな値としたほうが、診断にかかる時間が少なくなり、より効果的である。よって遮断弁3下流のガス燃料圧力P0と圧力センサ5の分解能や検出範囲から診断停止圧力P2が設定される。
【0073】
ステップ440では、遮断弁3に閉指令を出力してから、圧力センサ5より時事刻々と検出されるガス燃料圧力P1が診断停止圧力P2を下回るまでの経過時間t1の計測を停止する。
【0074】
ステップ450では、(P0−P2)/t1より圧力低下率a2を算出する。
【0075】
ステップ460では、ステップ450で算出された圧力低下率a2が予め定められた圧力低下率しきい値a0よりも小さいか否か判断する。小さければステップ470に進み、小さくなければステップ480に進む。
【0076】
ステップ470では、圧力低下率a2が圧力低下率しきい値a0よりも小さかったので、遮断弁3がガス燃料を遮断せずにガス燃料を燃料電池1側に供給してしまっていると判断し遮断弁故障フラグをセットする。
【0077】
ステップ480では、圧力低下率a2が圧力低下率しきい値a0よりも小さくないので遮断弁3はガス燃料を遮断していると判断し遮断弁故障フラグをクリアする。
【0078】
ステップ490では、図示しない故障処理ルーチンへ進む。遮断弁故障フラグがセットされている場合はシステムを停止しドライバーに故障していることを報知するなどの故障処理を行い、次へ進み終了する。
【0079】
このように処理することで、燃料電池1が目標燃料消費率C1で燃料を消費できなくても燃焼器9を用いることにより目標燃料消費率C1で燃料を消費することが可能となり、遮断弁3の故障診断をより短時間で行うことが可能となる。
【0080】
本実施の形態にあっては、第1の実施の形態による効果に加えて、燃料消費手段としての燃料電池1は補助燃料消費手段としての燃焼器9を並列に備え、燃料供給割合制御手段としての燃料供給割合制御部10が目標燃料消費率C1と燃料電池1の燃料消費率に応じて燃料電池1と燃焼器9に燃料を供給する割合を制御するので、燃料電池1の燃料消費率が目標燃料消費率C1に対して十分でないとき、燃焼器9に燃料を供給することによって目標燃料消費率C1で燃料を消費することができる。
【0081】
また、補助燃料消費手段を燃焼器9により構成したため、燃料電池1が十分にガス燃料を消費できないときでも、燃料供給割合制御部10により燃焼器9がガス燃料を消費するので、目標燃料消費率C1で燃料を消費することができる。
【0082】
(第3実施形態)
以下、本発明におけるガス燃料供給装置を実現する実施の形態を、請求項2〜5に対応する第3の実施形態に基づいて説明する。
【0083】
図11〜図13は、本発明の第3の実施形態に係わるガス燃料供給装置の一例を示し、第1の実施形態に対して、燃料電池で発電した電力を充電可能な二次電池を付加したものである。図11はシステム構成図、図12、13、および図4は故障診断の制御フローチャートを示す。
【0084】
図11において、二次電池8は燃料電池1が発電した電力を充電することが可能であり、また、電力消費部11に放電することが可能である。二次電池8の充電状態は燃料電池1の発電量と電力消費部11の電力消費量に応じて変化する。
【0085】
故障検出部63は故障診断信号より故障診断を開始する。故障検出部63は、遮断弁3を閉じる前に、故障診断によって燃料電池1が余分に発電する電力を二次電池8が充電できる状態となるように電力調整量を算出し燃料消費量制御部73に出力する。
【0086】
燃料消費量制御部73は故障検出部63から目標燃料消費率C1と電力調整量が入力され、燃料電池1から燃料消費率が入力され、目標発電量と目標電力消費量を算出する。電力調整量が変化すると、目標発電量と目標電力消費量のバランスも変化し二次電池8の充電状態を変化させることができる。
【0087】
次に第2実施態様の故障診断の詳細な手順を、図12、13、および、図4のフローチャートに基づいて説明する。図12に示すステップ100〜195は故障診断の条件設定を、図13に示すステップ221〜241は燃料消費量制御部73の作動を、図4に示すステップ300〜380は故障診断の作動を、夫々示している。
【0088】
図12に示す故障診断の条件設定のステップ100〜150に係わる部分は、故障診断開始信号をステップ100で検出し、ステップ110で目標燃料消費率C1を設定し、所定時間t0をステップ120で設定し、圧力低下率しきい値a0をステップ130で算出し、目標発電量をステップ140で設定し、目標電力消費量C1をステップ150で設定する作動は、図2のステップ100〜150と同じである。
【0089】
ステップ160では、二次電池8の充電状態を読み込み、ステップ170へ進む。
【0090】
ステップ170では、電力調整量を次のように設定し、ステップ180へ進む。故障診断をするために燃料電池1が消費しなければならない水素量nから発電される電力を算出する。算出した電力から燃料電池1を運転するために必要な補器で用いる電力を引く。この電力が二次電池8に充電可能となる目標充電状態を算出する。ステップ160で読み込んだ二次電池8の充電状態と、目標充電状態との差を算出し、二次電池8への電力調整量を算出する。
【0091】
ステップ180で調整される第一の目標発電量とステップ190で調整される第一の目標電力消費量は二次電池8の充電状態が目標充電状態と一致するように調整する。例えば、第一の目標電力消費量は電力の無駄を避けるために必要最低限の値に設定し、第一の目標発電量は二次電池8の充電状態が目標充電状態となる所望の時間を設定し、設定した時間で充電状態が目標充電状態となるように第一の目標発電量を設定すればよい。
【0092】
ステップ195では、二次電池8の充電状態が故障診断によって発電される電力を充電できる状態になったか否かを判断する。なっていれば図13の燃料消費量制御部73の作動であるステップ221へ進み、なっていなければステップ160〜190を再度実行する。
【0093】
図13の燃料消費量制御部73の作動であるステップ221では目標燃料消費率C1で燃料電池1が水素を消費するように第二の目標発電量を調整し、ステップ231へ進む。
【0094】
ステップ231では、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11で消費するために目標電力消費量を調整し、ステップ241へ進む。
【0095】
ステップ241では、燃料電池1の燃料消費率と目標燃料消費率C1の差が所定の範囲内であるかを判断する。範囲内であれば故障診断の作動である図4のBを経由してステップ300に進む、範囲外であればステップ221へと進み、再度ステップ221〜241を実行する。
【0096】
次いで、図4のステップ300〜380の故障診断処理(既に、第1実施態様において詳細に説明しており、ここでは、簡略に記載する)を実行し、遮断弁3を閉じ、所定時間t0経過後の燃料供給ライン4のガス燃料圧P1を検出し、圧力低下率a1(=(P0−P1)/t0)を算出し、圧力低下しきい値a0と比較して遮断弁3を故障診断し、終了する。
【0097】
このように、燃料電池1が発電した電力を電力消費部11による消費に加えて二次電池8に蓄えるため、遮断弁3の故障診断をより短い時間で行うことが可能となる。しかも、発電された電力を二次電池8に貯えるため、ガス燃料および発電された電力を無駄にすることがなくなる。
【0098】
本実施の形態にあっては、第1の実施の形態による効果に加えて、下記に記載した効果を奏することができる。即ち、遮断弁3の故障診断のために余分に得られるエネルギーをエネルギー保存手段としての二次電池8に蓄えるので、燃料を無駄にせずに故障診断をより短い時間で行うことができる。
【0099】
遮断弁3の故障診断前に前記エネルギー保存手段としての二次電池8の保存量を調節するため、故障診断によって得られるエネルギーに応じて二次電池8の保存量を下げておき、二次電池8に故障診断によって得られる余分なエネルギーを蓄えることができ、エネルギーを無駄に捨てることなく故障診断ができる。
【0100】
なお、上記第1実施形態にあっては、図2(故障診断の条件設定)、図3(燃料消費量制御部の作動)、図4(故障診断作動)とし、第2実施形態にあっては、図2(故障診断の条件設定)、図8(燃料消費量制御部の作動)、図9(故障診断作動)とし、第3実施形態においては、図12(故障診断の条件設定)、図13(燃料消費量制御部の作動)、図4(故障診断作動)として、3種類の構成となっている。しかしながら、これらの組合わせは、上記組み合わせに限定されるものでなく、図示しないが、例えば、図12、図8、図4の組合わせであってもよい。即ち、図2若しくは図12で開始され、図3、図8、図13のいずれか一つへ進み、図4若しくは図9で終了される組合わせであれば、どの組み合わせでも遮断弁3の診断をより短い時間で行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すガス燃料供給装置のシステム構成図。
【図2】故障診断の条件設定の制御フローチャート。
【図3】同じく図2に続く故障診断の燃料消費量制御部の制御フローチャート。
【図4】同じく図3に続く故障診断の作動を示す制御フローチャート。
【図5】目標燃料消費率と消費時間との関係を示すグラフ。
【図6】遮断弁が閉じた時点より所定時間後の圧力低下量測定による故障診断の圧力センサから検出される圧力と時間の関係を示したグラフ。
【図7】本発明の第2の実施形態を示すガス燃料供給装置のシステム構成図。
【図8】図2に続く故障診断の燃料消費量制御部の制御フローチャート。
【図9】同じく図8に続く故障診断の作動を示す制御フローチャート。
【図10】遮断弁が閉じた時点より所定圧力低下に要した経過時間測定による故障診断の圧力センサから検出される圧力と時間の関係を示したグラフ。
【図11】本発明の第3の実施形態を示すガス燃料供給装置のシステム構成図。
【図12】故障診断の条件設定の制御フローチャート。
【図13】図13に続く故障診断の燃料消費量制御部の制御フローチャート。
【符号の説明】
1 燃料消費手段としての燃料電池
2 燃料供給手段としての燃料タンク
3 遮断弁
4 燃料供給ライン
5 圧力センサ
6 コントローラ
8 エネルギー保存手段および電力貯蔵手段としての二次電池
9 補助燃料消費手段としての燃焼器
10 燃料供給割合制御部(燃料供給割合制御手段)
11 電力消費部
61、62 故障検出部(故障検出手段)
71、72、73 燃料消費量制御部(燃料消費量制御手段)
Claims (7)
- 燃料供給手段から燃料を燃料消費手段に供給し、遮断弁と圧力センサを有する燃料供給ラインと、故障診断信号に基づいて前記遮断弁を閉弁し、少なくとも前記圧力センサからの圧力情報と経過時間とに基づいて圧力低下率を算出し、前記圧力低下率が予め定めた圧力低下率しきい値より小さいときに、前記遮断弁が故障状態であると判断する故障検出手段を有するガス燃料供給装置において、
前記故障診断信号に基づいて前記故障検出手段が作動する条件下では、前記燃料消費手段が消費する目標燃料消費率を増大化して制御する燃料消費量制御手段を備えることを特徴とするガス燃料供給装置。 - 前記燃料消費手段に加え、遮断弁の故障診断の実行時に消費した燃料によって得られるエネルギーを蓄えるエネルギー保存手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のガス燃料供給装置。
- 前記エネルギー保存手段は、遮断弁の故障診断前にエネルギー保存量を調節することを特徴とする請求項2に記載のガス燃料供給装置。
- 前記燃料供給手段は、水素リッチなガス燃料を貯留する水素タンクであり、前記燃料消費手段は、燃料電池であり、前記エネルギー保存手段は、電力貯蔵手段であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のガス燃料供給装置。
- 前記故障検出手段は、診断に要する水素量から算出される発電電力に応じて前記電力貯蔵手段の充電状態を調節することを特徴とする請求項4に記載のガス燃料供給装置。
- 前記燃料消費手段は、補助燃料消費手段を並列に備え、
前記燃料供給ラインは、前記燃料消費手段と前記補助燃料消費手段に燃料を供給する割合を制御する燃料供給割合制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のガス燃料供給装置 - 前記補助燃料消費手段は、燃焼器で構成していることを特徴とする請求項6に記載のガス燃料供給装置
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