JP3783283B2

JP3783283B2 - ガラス繊維用集束剤

Info

Publication number: JP3783283B2
Application number: JP14234496A
Authority: JP
Inventors: 一智佐藤; 一教佐野
Original assignee: Nitto Boseki Co Ltd
Current assignee: Nitto Boseki Co Ltd
Priority date: 1996-05-14
Filing date: 1996-05-14
Publication date: 2006-06-07
Anticipated expiration: 2016-05-14
Also published as: JPH09301745A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂を補強するガラス繊維に施される集束剤及びそれを付与したガラス繊維束を切断したガラス繊維チョップドストランドと、これを用いて得られたガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形体に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
樹脂と複合してガラス繊維強化熱可塑性樹脂成型体を成型するために使用されるガラス繊維製品には、ガラス繊維を紡糸するときに、樹脂との接着性を向上させ、搬送、ガラス繊維と樹脂の混合工程などで繊維束がばらけないように接着するため集束剤が付与される。
従来より、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形体の物性改良を目的として、補強ガラス繊維と、熱可塑性樹脂との界面の接着性を改善するような、各種ガラス繊維用集束剤が提案されている。
例えば、様々なイソシアネートとポリオールから合成されるポリウレタン樹脂を含有するガラス繊維用処理剤が、一般的に知られている。
また、特開昭５５−５２３４０号公報のように、ビスフェノールＡ型エポキシ樹脂のような多官能性エポキシ化合物を含有した、主に熱可塑性ポリエステル樹脂補強用のガラス繊維用処理剤が開示されており、また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いた例も公知の手法として報告されている。
更に、成形品特性値の改良を主目的として、アクリル系共重合樹脂を用いたガラス繊維用処理剤も検討されており、特開平７−２２３８４６号公報のように、アクリル系共重合体とエポキシ樹脂の縮合反応物を用いた例などが報告されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の集束剤には次のような問題点が存在した．
まず、ポリウレタン樹脂を用いた集束剤は造膜性に優れる為、この集束剤で処理したガラス繊維は集束性に優れ、コンパウンディング等工程中での毛羽の発生量が少ない反面、ポリアミド樹脂のような熱可塑性樹脂の補強材として用いた場合に、充分な耐水強度を有する繊維補強樹脂体が得られないという問題を有している。
また、エポキシ系樹脂を用いた集束剤は、ポリアミド樹脂のような熱可塑性樹脂の補強材として用いた場合に、ポリウレタン樹脂に比べ良好な耐水強度を有する繊維補強樹脂体が得られるが、ガラス繊維は集束性に劣るという問題を有している。
【０００４】
次に、アクリル系樹脂を用いた集束剤も、エポキシと同様の長所、短所を有しており、実用面での問題を有している。
そこで、上記のエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂のガラス繊維の集束性の問題を改良する為に、ポリウレタン樹脂を混合して使用する方法が提案されているが、この方法では、エポキシ、アクリルを用いたものに比べ、繊維補強樹脂体の耐水強度が低下するということが確認されている。
したがって、本発明の目的は、ガラス繊維の集束性に優れ、かつ熱可塑性樹脂、特にナイロン系樹脂の補強材として用いた場合、機械的特性、特に耐水強度が高い繊維補強樹脂成形体を与えることができるガラス繊維集束剤及びそれを付与した補強用ガラスを提供する事である。
またブロックドイソシアネ−トを含有する熱可塑性樹脂用の集束剤が、特開昭５７−２０９８５６号公報に開示されているが、近年、更に高度の耐水強度が要求されるようになっている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはブロックドイソシアネ−トと皮膜形成樹脂を添加した集束剤により処理されたガラス繊維を配合した熱可塑性樹脂成型体の耐水性が向上する場合があることを見出だし、種々の配合を検討し本発明をなすに至った。（以下、本明細書において、％は特に断らない限り固形分としての重量％を意味する。）
本発明はメチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物またはエチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物を１〜１０％と、ブロックドイソシアネートを１〜５％と、シランカップリング剤を０．１〜１％と、及び潤滑剤０．０１〜０．５％を必須成分として、必要に応じてこれに混合されるエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などの皮膜形成樹脂１〜１０％を、温湯に希釈して全重量を１００％とした組成を特徴とするガラス繊維用集束剤である。また、上記集束剤は固形分として０．２〜３％ガラス繊維に付与される。本発明の集束剤は熱可塑性樹脂の補強材として使用するチョップドストランドに付与されるが、特にポリアミド樹脂の補強材として用いたとき効果的である。
【０００６】
【発明の実施の形態】
エステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物の構造を式１に示す。本発明に使用するエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物は、式中のＲがメチル基、またはエチル基のメチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物またはエチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物であり、皮膜形成剤としての役割を有し、１％以下では、集束効果が小さく、毛羽立ち易く作業上問題があり、１０％以上では成型品の耐熱性に問題がある。
【０００７】
【式１】

ここで、中和剤としてはアンモニア及び、アミン類が用いられ、Ｒはメチル基、エチル基などのアルキル基であり、ｍ＞ｎであることが望ましい。
【０００８】
メチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物またはエチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物は単独でも皮膜形成剤として用いる事ができるが、通常はエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂の中から選んだ一種類の皮膜形成樹脂と併用されることが多い。ブロックドイソシアネ−トはイソシアネ−ト化合物の−ＮＣＯ基をブロッキング剤で安定化した化合物である。本発明で使用されるブロックドイソシアネ−ト化合物の原料となるイソシアネ−ト化合物には、（未反応の−ＮＣＯ基を含むように調整されたポリウレタン樹脂初期重合体）、または、メチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト等が包含される。これらイソシアネ−ト化合物の−ＮＣＯ基は活性水素を有する化合物と容易に反応するため、高分子化合物の架橋剤として良く用いられているが、水に分散して使用できるようブロッキング剤で安定化させる。
【０００９】
このブロッキング剤は公知のものを使用するが特に、フェノ−ル、マロン酸ジエチルエステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、ビス４、４−エチレンウレアなどが望ましい。これらのブロッキング剤で安定化されたブロックイソシアネ−トは分解温度が１５０℃以上が望ましく、通常の集束剤の乾燥温度、約１３０℃では分解せず、ナイロン樹脂などに混合して成型する時の温度で分解し活性な−ＮＣＯ基を再生する。推定であるが、この活性な−ＮＣＯ基は樹脂の−ＮＨ₂やカップリング剤の−ＮＨ₂との反応により−ＮＨＣＯＮＨ−となる結果、耐水性が向上するものと思われる。ブロックイソシアネ−トの集束剤中への配合は１−５％であるが好ましくは２−４％である。１％以下の配合量では耐水性の向上が見られず、５％以上添加しても耐水性の増加はほとんどない。
シランカップリング剤は通常ガラス繊維の表面処理に用いられる、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系などのシランカップリング剤で熱可塑性樹脂に適したものから用途に合わせて１−数種類選ばれる。潤滑剤も同様に、通常使用されるカルナウバワックス、ラノリン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル及び脂肪酸エ−テル、あるいは芳香族エステル、及び芳香族エ−テルなどの界面活性剤の中から実験により選択したものを配合する。
【００１０】
以下、本発明について、具体例をあげて説明する。
【実施例】

の組成の水溶液を使用し、集束剤が固形分で０．８％付着したガラスストランドを製造した後、長さ３ｍｍにカットしチョップドストランドを得た。
このチョップドストランドをＰＡ６６樹脂のペレットにガラス含有率３３重量％になるように混合し、エクストル−ダ−により強化材入りのペレットとした後、射出成形機によりダンベル型のガラス繊維強化ナイロン樹脂試験体に成形した
。
【００１１】
＜比較例１＞
実施例１の集束剤にブロックイソシアネ−トを使用しない他は、実施例１と同様にして、チョップドストランドをガラス含有率３３重量％になるようにＰＡ６６樹脂と混合し、エクストル−ダ−により強化材入りのペレットとした後、射出成形によりダンベル型のガラス繊維強化ナイロン樹脂試験体に成形した。
【００１２】
＜比較例２＞
実施例１の集束剤にメチルエステル変成マレイン酸イソブチレン共重合物を含まない他は実施例１と同様にして、チョップドストランドをガラス含有率３３重量％になるようにＰＡ６６樹脂と混合し、エクストル−ダ−により強化材入りのペレットとした後、射出成形によりダンベル型のガラス繊維強化ナイロン樹脂試験体に成形した。
【００１３】
＜試験方法＞
試験片はＪＩＳＫ−７０５４による引張り試験をおこなった。なお、吸水後の引張り強度は試験片を１２０℃のプレッシャ−クッカ−中で１５時間処理したのち測定した。
【００１４】
【表１】

【００１５】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明のガラス繊維集束剤は、メチル（又はエチル）エステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物、ブロックドイソシアネート、シランカップリング剤、潤滑剤を含有している為に、この集束剤を付与した補強用ガラス繊維を熱可塑性樹脂とくにポリアミド樹脂の補強材とすれば、特に吸水後の機械的強度の低下の少ないガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形体を製造することが出来る。

Claims

熱可塑性樹脂補強用ガラス繊維チョップドストランドの集束剤において、メチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物またはエチルエステル変性マレイン酸イソブチレン共重合物を１〜１０重量％、ブロックドイソシアネートを１〜５重量％、シランカップリング剤を０．１〜１重量％、及び潤滑剤０．０１〜０．５重量％を含有するガラス繊維用集束剤。
請求項１記載の集束剤を固形分で０．２〜３重量％付着させたガラス繊維チョップドストランド。
請求項２記載のガラス繊維チョップドストランドで補強したことを特徴とする熱可塑性樹脂成型体。