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JP3781948B2 - 電磁弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁弁、特に、非通電時に開弁する常開の電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述のような常閉の電磁弁としては、例えば、SAE TECHNICAL PAPER SERIES 930505に記載されたものが知られている。この電磁弁は、図3に示すように、略円筒形状のバルブボディ01と、このバルブボディ01の一端に溶接により固着されて片側が閉鎖されたシリンダ02と、前記バルブボディ01の内部に設けられた弁座部材03と、この弁座部材03に着座する弁部04を先端に有してバルブボディ01内に摺動可能に設けられたプランジャ05と、このプランジャ05の基端部に当接されてシリンダ02内を摺動可能に設けられた可動子06と、前記弁座部材03とプランジャ05との間に設けられてプランジャ05ならびに可動子06を開弁方向に付勢するスプリング07と、前記バルブボディ01ならびにシリンダ02の外周に巻かれたコイル08とを備え、コイル08に通電した場合、ソレノイドヨーク09→可動子06→バルブボディ01に形成される磁路により発生する電磁力で可動子06をスプリング07の付勢力に抗して移動させで閉弁させる構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の電磁弁にあっては、コイル08に通電した場合、上記のような磁路が形成されるものであり、プランジャ05はこの磁路内にあるために、バルブ開閉応答性などの確保のためにステンレスなどの非磁性体で形成されて、プランジャ05それ自体が磁力を持たないように構成されている。また、このプランジャ05の弁部04は、弁座部材03と繰り返し衝突することから、高い度が必要であるが、ステンレスなどの非磁性体は硬度が低いため、摩耗防止のために硬度を高める加工が必要であった。以上のように、従来技術にあっては、プランジャ05として、材料費が嵩む非磁性体を用い、かつ硬度を高める加工を行うことから加工工程がその分だけ増し、コスト的に不利となっていた。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目して成されたもので、プランジャとして材料費が安価であるとともに硬度が高い磁性体を用いることを可能として、プランジャのコストダウンを図り、ひいては電磁弁のコストダウンを図ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明は、バルブボディの内部に軸方向に摺動自在に収納されているとともに、一端がコイルに通電したときに発生する吸引力により吸引される可動子に当接されたプランジャと、このプランジャの他端に形成されてバルブボディ内の弁座部材に形成された弁座に当接する弁部と、前記プランジャを開弁方向に付勢するスプリングと、前記可動子の端面とバルブボディの端面との間に形成された隙間と、を備え、コイル非通電時には弁され、コイル通電時にはバルブボディから可動子を巡る磁路が形成されてこれにより前記隙間を挟んで可動子とバルブボディとの間で発生する吸引力で可動子がプランジャをスプリングの付勢力に抗して押圧して弁部を弁座に当接させて閉弁状態となる構成の電磁弁において、前記プランジャが磁性体で形成され、前記プランジャの一端面に、先端が前記可動子に当接されているとともに、前記コイルに通電したときにプランジャから可動子にかけて形成される磁路の磁束を飽和させる断面積の突起が形成されていることを特徴とする。なお、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の電磁弁において、前記プランジャは炭素系の金属により形成するのが好ましい。また、請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の電磁弁において、前記突起の突出方向の寸法を、前記隙間の寸法よりも大きく形成するのが好ましい。
【0006】
【発明の作用および効果】
本発明では、コイルに通電したときには、磁路がバルブボディから可動子を巡って形成されて、可動子とバルブボディとの間で吸引力が発生する。
加えて、本発明では、プランジャが磁性体で形成されているため、プランジャから可動子を巡る磁路も形成されるが、プランジャは一端に形成された突起により可動子に当接しており、この突起により磁束が絞られる。したがって、プランジャとバルブボディおよび可動子の間で発生する磁路は弱いものとなり、開閉応答性に悪影響を与えることがない。
また、プランジャは、磁性体により形成したため、硬度の高い素材を選択することが可能になり、加工を施さなくても弁部に必要な硬度を得ることができ、従来に比べて加工工数を削減することができる。
以上のように、本発明では、プランジャの素材として磁性体を用いたため、材料費を軽減できるとともに、特別な加工を行わなくても弁部に必要な硬度を得ることができ、コスト低減を図ることができる。しかも、プランジャに磁性体を用いてコイルへの通電時にプランジャを巡る磁路が形成されるにも関わらず、プランジャに突起を形成したことによりプランジャに吸引力が作用しないため、バルブの開閉応答性が悪化することなく、従来と同様の応答性を得ることができる。
なお、請求項2に記載のように、プランジャを炭素系の金属で形成した場合、必要な硬度がいっそう得やすくなる。
また、請求項3に記載のように、突起の突出寸法を隙間の寸法よりも大きくすることにより、確実にプランジャ自体に吸引力が作用しないようにできる。
【0007】
【実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態の電磁弁を示す断面図である。
図において、1はバルブボディであり、略円筒形状を成し、軸心に沿ってバルブ穴1aが形成されているとともに、中間部にはこのバルブ穴1aに直交する連通穴1bが形成されている。また、バルブボディ1の中間部の外側には図外のハウジングにかしめる際に係合するフランジ1cが形成されている。
前記バルブボディ1の連通穴1bの図中僅かに下方位置には弁座部材2がバルブ穴1aに嵌合して設けられている。この弁座部材2には、軸心位置に孔2aが穿設され、この孔2aの外周に弁座2bが形成されている。
前記バルブボディ1の図中上端には、一端が塞がれた薄肉円管から成るシリンダ3が溶接により固着されている。
【0008】
前記バルブ穴1aには、プランジャ4が軸方向に摺動自在に収納されている。このプランジャ4は、磁性体である鉄などの炭素系金属を素材として形成されており、本体4aが円柱形状に形成され、この本体4aの図中下端には、前記弁座2bに着座して閉弁状態を形成する先端が半球状に形成された弁部4bが設けられ、一方、この本体4aの図中上端には、小径円柱形状の突起4cが設けられている。
【0009】
また、前記プランジャ4と弁座部材2との間には、プランジャ4を開弁方向(図中上方)に付勢するスプリング5が設けられている。
【0010】
前記プランジャ4の図中上方位置であって前記シリンダ3の内部には、略円柱形状を成す可動子6が設けられている。前記スプリング5による付勢力によりプランジャ4を介して可動子6が持ち上げられたときに、可動子6とバルブボディ1の図中上端との間に、隙間7が形成される構成となっており、図2の拡大図に示すとおり、前記突起4cの軸方向寸法(突出量)L1は、この隙間7の寸法L2よりも大きな寸法に設定されている。
なお、前記シリンダ3ならびにバルブボディ1の図中上端部の外周には、コイル8が巻かれている。
【0011】
次に、実施の形態の作用を説明する。
コイル8に対する非通電時には、プランジャ4は、スプリング5の付勢力により弁座部材2から離されており、弁部4bと弁座2bとが離間して開弁状態となっている。
コイル8に対する通電時には、可動子6→図示を省略したヨーク→バルブボディ1を巡る磁路が形成され、これにより隙間7を挟んでバルブボディ1と可動子6との間で発生する吸引力でプランジャ4がスプリング5の付勢力に抗して下方に移動し、弁部4bが弁座2bに当接して閉弁状態となる。
ここで、本実施の形態では、プランジャ4を磁性体で形成しているため、上記磁路が形成されたときに、プランジャ4においてもプランジャ4から可動子6にかけて巡る磁路が形成されることになる。しかしながら、プランジャ4の上端部に小径の突起4cを形成してこの磁路を絞っているため、この磁路を形成する磁束が突起4cにおいて飽和し、プランジャ4自体において吸引力が発生して応答性が悪化するということがない。
【0012】
以上のように本実施の形態にあっては、プランジャ4の上端部に突起4cを形成し、この突起4cで可動子6と接するよう構成したため、プランジャ4を磁性体で形成しても、磁束が突起4cで飽和してプランジャ4の応答性を悪化させることがない。よって、プランジャ4として、安価であるとともに硬度の高い磁性体を用いることが可能となって、材料費を低減でき、また、弁部4bの硬度を高める加工が不要となって加工工数を削減することができ、これらによりコストダウンを図ることができるという効果が得られる。
【0013】
以上、図面に基づいて実施の形態を説明してきたが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、実施の形態では、プランジャ4の一端に突起4cを1つのみ形成した例を示したが、複数形成してもよく、この場合、軸心を中心に対称に設ければ、それ自体軸心に設けなくても良い。
また、プランジャ4の素材としては、磁性体であれば炭素系金属に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の電磁弁の要部を示す断面図である。
【図2】実施の形態の要部の拡大断面図である。
【図3】従来技術を示す断面図である。
【符号の説明】
1 バルブボディ
1a バルブ穴
1b 連通穴
1c フランジ
2 弁座部材
2a 孔
2b 弁座
3 シリンダ
4 プランジャ
4a 本体
4b 弁部
4c 突起
5 スプリング
6 可動子
7 隙間
8 コイル

Claims (3)

  1. バルブボディの内部に軸方向に摺動自在に収納されているとともに、一端がコイルに通電したときに発生する吸引力により吸引される可動子に当接されたプランジャと、
    このプランジャの他端に形成されてバルブボディ内の弁座部材に形成された弁座に当接する弁部と、
    前記プランジャを開弁方向に付勢するスプリングと、
    前記可動子の端面とバルブボディの端面との間に形成された隙間と、
    を備え、コイル非通電時には弁され、コイル通電時にはバルブボディから可動子を巡る磁路が形成されてこれにより前記隙間を挟んで可動子とバルブボディとの間で発生する吸引力で可動子がプランジャをスプリングの付勢力に抗して押圧して弁部を弁座に当接させて閉弁状態となる構成の電磁弁において、
    前記プランジャが磁性体で形成され、
    前記プランジャの一端面に、先端が前記可動子に当接されているとともに、前記コイルに通電したときにプランジャから可動子にかけて形成される磁路の磁束を飽和させる断面積の突起が形成されていることを特徴とする電磁弁。
  2. 前記プランジャは炭素系の金属により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
  3. 前記突起の突出方向の寸法が、前記隙間の寸法よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁弁。
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