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JP3780669B2 - アルデヒド類及び、又はアルコール類の製造方法 - Google Patents

アルデヒド類及び、又はアルコール類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルデヒド類及び/又はアルコール類の製造方法に関する。詳しくはカルボン酸又はその誘導体を、分子状水素により気相で還元するに際し、高活性な触媒を用いて収率良くアルデヒド類及び/又はアルコール類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコール類やアルデヒド類は、有機合成中間体等として有用な化合物である。アルデヒド類、あるいはアルコール類は種々の製造方法が知られているが、その1つとして、カルボン酸から分子状水素を用いて直接アルデヒド、及び/又はアルコールを製造する方法がある。この方法は、もっとも望ましい方法と考えられるが、技術的に困難と考えられてきた。
カルボン酸類を分子状水素により直接水素化して、アルコールを製造する反応は公知である。これらは反応に高い圧力を必要とし、主に液相で反応が行われている。そのため、高圧反応用の反応装置が必要となり、コスト面、安全面で問題がある上に、液相反応である故に、触媒成分の溶出が起こり、触媒寿命が短くなるという問題があった。例えば、特開平7−165644号には、ルテニウム−白金−スズの担持触媒の存在下、マレイン酸等のC4 カルボン酸を液相で水素化して1,4−ブタンジオール及びテトラヒドロフランを製造する方法が開示されている。この方法も反応に高い圧力を必要とし、主に液相で反応が行われている。また、この方法ではアルデヒドの生成は報告されていない。気相反応で、かつ、常圧付近でカルボン酸類を直接水素化し、アルコールを得ることが出来るような触媒ができれば、上記のような問題点を回避でき、プロセス上有利であるが、そのような触媒の報告はほとんど存在しない。
【0003】
一方、カルボン酸類を直接水素化してアルデヒドを製造する場合には、一般的に、金属酸化物類を触媒として用い、気相で反応を行う方法が提唱されてきている。これら各種の金属酸化物類の中では、酸化ジルコニウムを主成分とする触媒を用いた場合には、高いアルデヒド選択率を達成することが出来ることが報告されている。(特開昭60−152434号、特開昭60−243037号、特開昭61−115043号参照)。しかし、これら各種の金属酸化物類を触媒として用いた場合は、すべて反応温度が350℃前後という高温であった。そのため、原料カルボン酸又はその誘導体が熱的に不安定な場合は、反応を行うことが困難であった。また、生成物が熱的に不安定な場合は、熱の為にそれらが分解してしまうので、目的とするアルデヒドの選択率が大きく減少してしまい、好ましい方法とは言えない。例えば、特公平7−68155号には、ルテニウム及びスズをシリカ、アルミナなどの担体上に担持した触媒を用いて、気相でカルボン酸を水素化する方法が開示されている。この場合、気相反応は常圧下、250℃付近という低温で反応が進行すると報告されているが、活性自体が低い上に、アルデヒドの選択率が不十分であり、逐次水素化反応等による副生成物の生成が多いので、実用に耐えない。
また、これら気相でのアルデヒド製造方法においては、副生物としてアルコールが僅かに得られる場合があるがその収量は低く、アルデヒドとアルコールの併産は望めなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記背景に鑑み成されたものであって、気相反応で、且つ、常圧付近の低圧でカルボン酸類を直接水素化して、アルデヒド及び、又はアルコールを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、ルテニウム、スズ及び白金の3成分を担体に担持させた触媒を使用することにより、かかる目的を達成した。即ち、本発明の要旨は、ルテニウム成分、スズ成分、及び白金成分を担体に担持してなる触媒の存在下、分子状水素により気相で還元することを特徴とするアルデヒド類及び、又はアルコール類の製造方法に存する。
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の出発原料は、脂肪族、脂環族、芳香族又は複素環式のカルボン酸或いはこれらの誘導体である。
脂肪族カルボン酸としては、具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラルリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、10−ウンデセン酸、9−オクタデセン酸、オレイン酸、11−エイコセン酸等の炭素数2〜24の飽和又は不飽和カルボン酸が挙げられる。また、シュウ酸、マロン酸、ジエチルマロン酸、こはく酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、デカン二酸、オクタデカン二酸等のポリカルボン酸も使用することが出来る。
【0007】
脂環族カルボン酸としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
また、脂肪族カルボン酸あるいは脂環式カルボン酸は、置換基として、反応に不活性な基を有していても良く、そのような置換基としては、例えばアリール基、O、S、N等の原子を含む複素環基、エーテル基、アルコキシ基等が挙げられる。具体的には、フェニル酢酸、桂皮酸、グリコール酸等が例示される。
【0008】
芳香族カルボン酸は一般式Ar−(COOH)nで示すことが出来る(式中、nは1又は2であり、Arは置換基を有していても良いアリール基を表す。)。Arで示されるアリール基としては、通常、フェニル基、ナフチル基、アントリル基が挙げられ、アリール基が有しうる置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ホルミル基、アシル基等が挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、シクロヘキシル安息香酸、クミン酸、t−ブチル安息香酸、フェニル安息香酸、アニス酸、フェノキシ安息香酸、クロロ安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、アセチル安息香酸、ナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸類、アントラセンカルボン酸等のカルボン酸が挙げられる。また、フタル酸等も使用することができる。
【0009】
本発明に用いられる原料の複素環式カルボン酸を構成する複素環とは、その環内に、少なくとも1個のN、S、又はO原子を有するものであり、具体的には、ピロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサゾリン環、イミダゾール環、イミダゾリン環、ピラゾール環、ピラン環、チオピラン環、ピリジン環、キノリン環、オキサジン環、チアジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、アゼピン環、オキゼピン環等が挙げられる。具体的には、ニコチン酸、フランカルボン酸、チアゾールカルボン酸等が挙げられる。また、複素環式カルボン酸は、置換基として、反応に不活性な基を有していても良く、そのような置換基としては、例えばアリール基、O、S、N等の原子を含む複素環基、エーテル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0010】
本発明に用いる原料としては、上述のカルボン酸の誘導体も使用できる。かかる誘導体としては、例えばエステル、酸無水物等が挙げられる。エステルとしては、脂肪族、脂環族、芳香族エステル等のいずれでも良く、具体的には、上記に例示されたカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、オクチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル等があり、ポリカルボン酸の場合はハーフエステルであっても、2種のアルコールとのエステルであっても良い。無水物としては、ホモ無水物でもヘテロ無水物でも良い。芳香族カルボン酸又は複素環式カルボン酸の誘導体としては、低級アルキルエステルが好ましい。上記のカルボン酸及びその誘導体の中、本発明方法の出発原料としては、脂環式カルボン酸、芳香族カルボン酸、複素環式カルボン酸又はこれらの誘導体を用いるのが好ましく、特に芳香族カルボン酸又はこれらの誘導体が好ましい。
【0011】
本発明方法においては、ルテニウム(Ru)と白金(Pt)(以下、RuとPtを総称して、「貴金属成分」とする。)とスズ(Sn)とを担体に担持してなる触媒を使用する。
担体としては、活性炭、グラファイト、珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、クロミア等の多孔質担体を単独又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。好ましくは、シリカ、活性炭、又はクロミアがよく、より好ましくはシリカである。
触媒の調製法は特に制限はなく、例えば公知の、共沈法、浸漬法等の方法で調製できる。浸漬法によるときは、例えば、上記貴金属成分の化合物及びスズ化合物を溶解可能な溶媒、例えば、水に溶解して溶液とし、この溶液に別途調製した多孔質担体を浸漬して、担体に貴金属成分及びスズからなる触媒成分を担持させる。担体に各触媒成分を担持させる方法についても特に限定されるものではなく、全ての金属成分を一度に同時に担持させても、各成分を個別に1つずつ担持させても、または成分のいくつかを組み合わせて複数回にわたって担持させてもよい。
【0012】
貴金属成分(RuとPtの合計量)及び、スズの担持量は、それぞれ金属元素換算で担体に対して、通常0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。PtはRuに対して、0.01〜10重量倍共存させるのが活性向上の観点から好ましい。スズは、貴金属成分に対して、通常0.1〜20重量倍共存させるのが、生成物の選択性向上の観点から好ましい。
なお、本発明に用いられる貴金属成分とスズの原料化合物としては、それらの金属の硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸塩が一般的に使用されるが、酢酸などの有機酸塩、水酸化物、酸化物または錯塩も使用することができる。これらの原料化合物としては、担体に浸漬担持する際に使用する溶媒、例えば水等に可溶性のものが、操作上好ましい。
【0013】
具体的には、触媒原料としてのルテニウム化合物としては、例えば、硝酸ルテニウム、硫酸ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、水酸化ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウム酸カリウム、ルテニウムアルコキシド、オキシデカクロロジルテニウム酸アンモニウム、ペンタクロロアクアルテニウム酸アンモニウム、塩化ルテニウム酸アンモニウム、オキシデカクロロジルテニウム酸カリウム、ペンタクロロアクアルテニウム酸カリウム、過ルテニウム酸カリウム、硝酸ニトロシルルテニウム、オキシデカクロロジルテニウム酸ナトリウム、ヘキサアンミンルテニウム塩化物、ペンタアンミンクロロルテニウム塩化物、ヘキサアンミンルテニウム臭化物、ドデカカルボニルトリルテニウム、ヘキサカルボニルテトラクロロジルテニウム、トリカルボニルトリクロロルテニウム酸セシウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、トリカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。
【0014】
触媒原料としての白金化合物としては、具体的には、例えば、硫酸白金、塩化白金、臭化白金、ヨウ化白金、酸化白金、ヘキサブロモ白金酸アンモニウム、テトラクロロ白金酸アンモニウム、ジニトロジアミン白金、ジニトロサルファイト白金酸、ヘキサブロモ白金酸、ヘキサクロロ白金酸、ヘキサヒドロキシ白金酸、ヘキサブロモ白金酸カリウム、ヘキサクロロ白金酸カリウム、ヘキサヨード白金酸カリウム、ヘキサヒドロキソ白金酸カリウム、テトラブロモ白金酸カリウム、テトラクロロ白金酸カリウム、ヘキサブロモ白金酸ナトリウム、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム、ヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム、テトラクロロ白金酸ナトリウム、テトラアンミン白金塩化物、テトラアンミン白金水酸化物、テトラシアノ白金酸等が挙げられる。
触媒原料としてのスズ化合物としては、具体的には、例えば、硫酸スズ、リン酸スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、酸化スズ、スズ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、酢酸スズ、スズアルコキシド、スズのアセチルアセトネート錯体等が挙げられる。なおスズ化合物は第1スズ(II)化合物及び第2スズ(IV)化合物のいずれであっても良い。
【0015】
多孔質担体に、触媒成分の溶液を浸漬、担持させた後は(複数回にわたって浸漬担持処理を行う場合には、その都度)、必要に応じて乾燥を行っても良い。この乾燥法に関しても制限は無いが、例えば、減圧下での乾燥、風乾による乾燥、マッフル炉中での加温乾燥、不活性ガス気流下で100℃〜150℃の温度条件下での乾燥等の方法が挙げられる。具体的には、乾燥は、例えば、減圧下、50〜100℃の温度条件下で処理した後、アルゴンガスなどの不活性ガス気流下、100〜150℃の温度条件下で処理する方法などによって行う。
その後、必要に応じて、焼成、還元処理を行う。焼成処理を行う場合は、通常100℃〜600℃の温度範囲、好ましくは、200℃〜400℃の範囲で行われる。
【0016】
更に、触媒は、還元処理を行うことにより活性化をすることが望ましい。還元処理を行う場合には、公知の液相還元法、気相還元法が採用される。気相還元法の場合、通常100℃〜600℃の温度範囲、好ましくは、300℃〜500℃の範囲で行われる。また、液相還元法としては、例えばホルマリン還元法、ヒドラジン還元法、リチウムアルミニウムハイドライド還元法が挙げられる。還元処理の温度が低すぎたり、または処理時間が短すぎる条件では、触媒が十分に活性化されず、期待される効果が十分に発揮されない場合があるので注意を要する。還元処理を行った後の触媒の構造に関しては、その詳細は不明であるが、触媒が十分に活性化される様な還元条件では、貴金属成分は実質的にすべてが金属に還元されると推定されている。
【0017】
本発明によるカルボン酸の還元反応は、この様にして得られた触媒を使用し、分子状水素を用いて、気相で実施される。本発明による触媒を用いることによって、高圧条件を用いずに常圧付近の圧力を用い、且つ、従来より低い温度で、カルボン酸の水素化が高活性で起こり、アルデヒド及び/又はアルコールを高収率で製造できる。また、本発明方法は、アルコールとアルデヒドの両者を併産出来るというメリットもある。アルデヒド及びアルコールの生成の割合は、原料、反応条件によって変動する。
【0018】
なお、生成したアルコールは、一部が原料であるカルボン酸又はカルボン酸誘導体から生成したカルボン酸と反応して、カルボン酸エステルを形成する。このカルボン酸エステルは、反応系中に戻してやることにより、再度アルコール及び/またはアルデヒドを生成することが出来るので、本明細書中では、反応により生成したカルボン酸エステルも、有効成分(生産物)と見なしている。
ポリカルボン酸またはその誘導体からは、ポリアルデヒド、ヒドロキシアルデヒド、ポリオール、アルデヒドカルボン酸またはそのエステル、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル、ラクトン等が生成するが、その割合は、原料、反応条件により変動する。
【0019】
本発明の分子状水素による還元反応において、反応圧力は常圧付近で実施すれば良いが、加圧状態としても良い。常圧から100Kg/cm2 の間で実施できる。好ましくは1から50kg/cm2 で実施するのがよい。また、反応温度は100℃〜500℃、好ましくは150℃〜400℃、より好ましくは200℃〜300℃の間の温度が選択される。
【0020】
本発明の水素化反応における反応方法としては、前述の触媒を固定床触媒として水素気流下、反応を行うのが良く、その場合、供給原料中のカルボン酸又はその誘導体の濃度は、気相で20(体積)%以下、好ましくは0.01〜10(体積)%が望ましい。この濃度が希薄すぎると反応の能率が不良となり、他方、濃度が高すぎると反応を促進するためにより高い反応温度を要して選択率が不良となるばかりでなく、触媒寿命が短くなるなど問題が生じる場合がある。
なお、使用する水素には若干の反応に悪影響を及ぼさない気体、例えば窒素、水蒸気等が含まれていても良い。
反応で生成したアルコール類及び/又はアルデヒド類は、蒸留などの公知の方法によりそれぞれの成分に分離精製するか、又は、混合物のまま、その後の工程に供給することも出来る。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「%」は、「重量%」を意味する。
【0022】
〔触媒調製例〕
(0.4%Ru/2.9%Sn/0.4%Pt/SiO2 の調製)
容量100mlのフラスコに、RuCl3 ・3H2 Oを0.133g、SnCl2 ・2H2 Oを0.689g、H2 PtCl6 ・6H2 Oを0.1g秤量し、さらに5N−HCl水溶液を13ml加えて溶解後、担体としてSiO2 (商品名:キャリアクトQ−10、10〜20メッシュ)を12gを加えて、良く振とうした。その後回転減圧乾燥機で50℃、25mmHg下で溶媒の水を除去した後、窒素雰囲気下、150℃で1時間焼成処理した。その後、水素気流下で、300℃、30分処理を行ない触媒を得た。得られた触媒は、担体に対し、ルテニウムを0.4%、スズを2.9%、白金を0.4%含有している。
【0023】
〔触媒調製比較例1〕
(0.4%Ru/2.9%Sn/SiO2 の調製)
容量100mlのフラスコに、RuCl3 ・3H2 Oを0.133g、SnCl2 ・2H2 Oを0.689g秤量し、さらに5N−HCl水溶液を13ml加えて溶解後、担体としてSiO2 (商品名:キャリアクトQ−10、10〜20メッシュ)を12gを加えて、良く振とうした。その後回転減圧乾燥機で50℃、25mmHg下で溶媒の水を除去した後、窒素雰囲気下、150℃で1時間焼成処理した。その後、水素気流下で、300℃、30分処理を行ない触媒を得た。得られた触媒は、担体に対し、ルテニウムを0.4%、スズを2.9%含有している。
【0024】
実施例1
(Ru/Sn/Pt/SiO2 による安息香酸の水素化反応)
触媒調製例に基づいて製造した触媒7.4mlを管型反応器に充填し、常圧、反応温度230℃、安息香酸の空間速度:LHSV=0.054kg/l−cat.・hr、水素の空間速度:GHSV=1250hr-1の条件で、安息香酸の水素化反応を気相で行った。安息香酸の転化率は54.7%、ベンズアルデヒド選択率は36.2%、ベンジルアルコール選択率は53.9%であった。ベンズアルデヒド及びベンジルアルコールの生成速度は0.435mol/kg−cat.・hrであった。
【0025】
比較例1
(Ru/Sn/SiO2 による安息香酸の水素化反応)
触媒調製比較例1に基づいて製造した触媒7.4mlを管型反応器に充填し、常圧、反応温度230℃で、安息香酸の空間速度:LHSV=0.054kg/l−cat.・hr、水素の空間速度:GHSV=1250hr-1の条件で安息香酸の水素化反応を気相で行った。安息香酸の転化率8.4%、ベンズアルデヒド選択率80.9%、ベンジルアルコール選択率14.7%であった。ベンズアルデヒド及びベンジルアルコールの生成速度は0.12mol/kg−cat.・hrであった。
【0026】
【発明の効果】
実施例に示される様に、本発明方法は、触媒としてRu/Sn/Pt/担体を用いることにより、従来のRu/Sn/担体からなる触媒を用いる場合に比し、生成速度及び転化率が著しく向上する。また、従来気相法では困難とされていたアルコールも収率良く得られる。

Claims (3)

  1. ルテニウム成分、スズ成分、及び白金成分を担体に担持してなる触媒の存在下、カルボン酸又はその誘導体を、分子状水素により気相で還元することを特徴とするアルデヒド類及び、又はアルコール類の製造方法
  2. 触媒担体が、シリカであることを特徴とする請求項1記載のアルデヒド類及び、又はアルコール類の製造方法
  3. カルボン酸又はその誘導体が、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、複素環式カルボン酸及びそれらの誘導体から選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載のアルデヒド類及び、又はアルコール類の製造方法
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