JP3780269B2 - 路面舗装材料および路面加熱方法 - Google Patents
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Description
該電磁波加熱性を向上させるための添加物とはFe ,Ba ,Co ,Ni ,Cr ,Cu ,Mn ,Sr ,Zn およびこれらの金属の酸化物または加熱により酸化物を与える金属化合物であることが望ましい。
該バインダーは水硬性無機材料あるいは合成樹脂および/またはゴムおよび/またはアスファルトであることが望ましい。
電気炉酸化スラグの粒状物または破砕物は、他のフェライト系無機質に比べて非常に安価であり、かつ耐化学性があり殆ど変質しないので実用性が高い。そして電磁波を及ぼせば発熱する。即ち非接触的に発熱させることが出来るから、配線、結線等が不要である。
本発明では、該電気炉酸化スラグとして電気炉酸化スラグ溶融物に電磁波加熱性を向上させるための添加物を添加した上で空気または酸素を吹込んで強制酸化処理を施し、そして急冷固化することによって得られた改質電気炉酸化スラグを使用するから、電磁波加熱性が更に向上し、小さな電力で高温度の加熱が可能になる。
本発明では、組成物中のバインダーによって結着されている改質電気炉酸化スラグ粒状物または破砕物を、電磁波によって加熱するから、広範囲にかつ急速に該混合物を加熱することが出来る。またニクロム線等を配線する必要もなく、非接触的に加熱が行われるので路面の加熱構造も非常に簡単になる。
〔水硬性無機粉体〕
本発明でバインダーとして使用される水硬性無機粉体としては、ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント等のセメント類あるいは高炉急冷スラグ微粉末、電気炉急冷還元スラグ微粉末、該セメント類にケイ砂、ケイ石粉、シリカヒューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シラスバルーン、パーライト、ベントナイト、ケイソウ土等のケイ酸含有物質を添加した混合粉体等が例示される。
本発明でバインダーとして使用される合成樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等のような熱硬化性樹脂等が例示されるが、更に上記合成樹脂を生成するウレタン樹脂プレポリマー、エポキシ樹脂プレポリマー、メラミン樹脂プレポリマー、尿素樹脂プレポリマー、フェノール樹脂プレポリマー、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等の合成樹脂前躯体が使用されてもよい。
上記合成樹脂および/または合成樹脂前躯体は二種以上混合使用されてもよい。
本発明でバインダーとして使用されるゴムとしては、例えばアクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム等の合成ゴムや天然ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーやブタジエン−スチレンプロック共重合体、スチレン−ゴム中間ブロック−スチレン共重合体等のブロック共重合体等のエラストマーが例示される。
本発明でバインダーとして使用されるアスファルトとしては、例えばブローンアスファルト、アスファルトコンパウンド、ストレートアスファルト、タール、ピッチ等の瀝青質等、如何なる種類のアスファルトも含まれ、これらの二種以上の混合物であつてもよい。
上記バインダーとしての合成樹脂、ゴム、アスファルトは相互に混合されてもよい。例えばアスファルトの耐熱性を改良するためにはゴムが添加され、また合成樹脂の耐衝撃性等を改良するためにはゴム(エラストマー)が添加され、防音性を改良するためにはアスファルトが添加される。
本発明で使用する電気炉酸化スラグは、通常Ca O10〜26質量%、Si O2 8〜22質量%、Mn O4〜7質量%、Mg O2〜8質量%、Fe O13〜32質量%、Fe2O3 9〜45質量%、Al2O3 4〜16質量%、Cr2O3 1〜4質量%程度含み、更に微量成分としてBa O0.05〜0.20質量%、Ti O2 0.25〜0.70質量%、P2 O5 0.15〜0.50質量%、S0.005〜0.085質量%程度含み、安定な鉱物組成を得るためのFe を20〜45質量%程度含むものであり、天然骨材成分に含まれる粘土、有機不純物、塩分を全く含まず、不安定な遊離石灰、遊離マグネシアあるいは鉱物も殆ど含まない。該電気炉酸化スラグは粒状物または破砕物として提供される。
上記電気炉酸化スラグを粒化して粒状物を製造するには、該電気炉酸化スラグの溶融物を高速回転する羽根付きドラムに注入し、該溶融物を該羽根付きドラムによって破砕粒状化し、粒状化した該溶融物を水ミスト雰囲気中で急冷処理する方法が採られる。該羽根付きドラムは複数個配置して複数段の破砕粒状化を行なってもよい。
このようにして得られる電気炉酸化スラグの粒状物は、再酸化が促進されるので、Fe2O3 系の鉱物を多く含み、かつ急冷により、極微細な粒状物になるため、電磁波加熱性が非常に良好なものとなる。また通常5mm以下の粒径を有し、粒径2.5mm以下のものは略球状であり、比重は3.3〜4.1の範囲にあり、表面にはひび割れ等の欠陥はなく、微細な凹凸を有しまた中空構造のものからなるかまたは中空構造のものを含んでいる。
上記電気炉酸化スラグ破砕物を製造するには、上記電気炉酸化スラグを溶融状態で耐熱容器中に所定の厚みに流し出し、上から水をかけることによって急冷改質処理が施される。この場合、耐熱容器中のスラグ溶融物の厚さが小さすぎると、水をかける前に自然冷却(徐冷)によって硬化し易くなり、所望の硬度が得られなくなるおそれがあり、また厚さが大きくなり過ぎると、水をかけた場合に水が急激に水蒸気となり、水蒸気爆発の危険がある。望ましいスラグ溶融物の厚さは80mm〜120mmである。
上記水をかける量は、スラグ溶融物1トン当たり毎秒200〜400リットル程度が望ましい。
上記急冷によってスラグ溶融物は急速に硬化するが、この際自己破砕によって容器中のスラグ溶融物の厚さ程度の径を有するスラグ原塊が得られる。
このようにして得られる破砕物は徐冷スラグに較べ、再酸化が促進されるので、Fe2O3 系の鉱物を多く含み、かつ急冷により、微細な粒状物になるため、電磁波加熱性が非常に良好なものとなり、その比重は水砕品と同様3.3〜4.1の範囲にある。
更に本発明の電気炉酸化スラグには電磁波加熱性を向上させるための添加物を添加する。
上記電磁波加熱性を向上させるための添加物としては、Fe ,Ba ,Co ,Ni ,Cr ,Cu ,Mn ,Sr ,Zn 等の金属あるいはこれら金属を含む合金あるいはこれらの金属の酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩等の加熱により酸化物を与える化合物である。望ましい添加物としては鉄スクラップ、スケール、BaO屑、硫酸バリウムを含む重晶石等がある。
上記添加物は前記粒化法あるいは破砕法において、電気炉酸化スラグ溶融物に添加されるかあるいは電気炉酸化スラグに混合されて共に溶融される。上記溶融は通常電気溶解炉で行われるが、この時溶融物に空気または酸素を吹込み強制酸化処理を施す。上記強制酸化処理は特にFe O比率が高い破砕法によるスラグに対して有効であり、上記強制酸化処理によってFe2O3 比率を高めて電磁波加熱性を向上せしめることが出来る。
該改質電気炉酸化スラグも粒状物または破砕物として提供される。
本発明においては、更に細骨材や粗骨材を添加してもよい。上記細骨材は粒径が5mm以下のものであり、このような細骨材としては、例えば上記電気炉酸化スラグ粒状物の粒径5mm以下のもの、粒径5mm以下の砂等が用いられる。
上記細骨材の一部に代えて、本発明では粒径5〜25mmの砕石、砂利等の粗骨材を使用してもよい。
バインダーとして水硬性無機粉末を使用する場合、上記電気炉酸化スラグ粒状物または破砕物と、上記水硬性無機粉末との混合物には、更に減水剤を添加することが好ましい。
本発明に使用される減水剤としては、AE減水剤、高性能AE減水剤等が例示される。
本発明においてバインダーとして合成樹脂エマルジョンやゴムラテックスを使用する場合には、上記電気炉酸化スラグ粒状物または破砕物とバインダーとの混合物の粘度、またバインダーが水硬性無機粉末の場合には上記電気炉酸化スラグ粒状物または破砕物との混合物、あるいは該混合物に減水剤を混合した混合物を主体とする粉末組成物を水と混練した際の粘度を調節するために増粘剤を使用してもよい。例えばバインダーが水硬性無機粉末の場合、水との混練物がブリージング試験でブリージング率3%を越える場合、これを3%以下にするために増粘剤を使用する。上記増粘剤としては、例えばニカワ、ゼラチン、カゼイン、澱粉、変性澱粉、酸化澱粉、デキストリン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ハイドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル部分鹸化物、ポリメタクリル酸エステル部分鹸化物等の水溶性高分子がある。
本発明においてバインダーが水硬性無機材料の場合、通常電気炉酸化スラグ粒状物または破砕物100質量部に対して水硬性無機粉末15〜60質量部、減水剤および/または増粘剤0.01〜3.0質量部が混合される。水硬性無機粉末の添加量が60質量部を越えると発熱性が悪くなり、15質量部を下回るとバインダーの結着力が小さくなり、成形物の強度が充分発現しなくなる。
更に上記混練物は型枠に充填されることなく、道路基礎に直接流し出されてもよい。
図1に本発明の電気炉スラグ粒状物(以下スラグ粒状物と略す)(8) を製造する装置を示す。
即ち1500℃前後の電気炉酸化スラグ溶融物(1) は電気溶解炉から取鍋(2) に移され、該取鍋(2) からシューター(3) に移し、該シューター(3) から高速回転する羽根付きドラム(4,5) に注入する。該製鋼スラグ溶融物(1) は該羽根付きドラム(4,5) によって細破砕されて粒状化し、該電気炉酸化スラグ溶融物の粒化物(1A)は急冷チャンバー(6) 内にスプレー装置(7) からスプレーされる水ミストによって急冷される。そしてこのようにして得られたスラグ粒状物(8) は備蓄容器(9) 内に備蓄される。
該スラグ粒状物(8) の粒度分布を図2に示す。
実施例1において電気溶解炉から取鍋(2) に移されたスラグの溶融物に鉄粉および酸化カルシウムと酸化ケイ素とを後添加して次の組成に調節する。
CaO 24.92重量%
SiO2 15.24重量%
Al2O3 6.72重量%
MnO 5.66重量%
MgO 4.25重量%
Cr2O3 1.97重量%
TiO2 0.42重量%
BaO 0.07重量%
総Fe 40.75重量%
CaO/SiO2 =1.64
上記スラグ溶融物は約1350℃に加熱されているが、取鍋(2) から耐熱容器(皿型鋼鉄製)に約100mmの厚さに流し出され、直ちにスラグ溶融物1トン当たり毎秒300リットル、スプレーにより散水する。
4.5トンの電気炉酸化スラグ(1) を図3に示す電気溶解炉(10)に投入し、更に鉄スクラップとして1.5トンの銑ダライと125kgの重晶石を加えてランス管(12)から酸素を吹精しつゝ加熱溶融し、得られた溶融物(1A)を図1に示す取鍋(2) に移し、以後実施例2と同様にして改質電気炉酸化スラグ破砕物を得る。
上記改質電気炉酸化スラグ破砕物の化学組成の一例を表1に示す。
下記の処方の混合物を調製した。
実施例3の改質電気炉酸化スラグ破砕物(5〜10mm)100質量部
実施例1の電気炉酸化スラグ粒状物(5mm以下) 100質量部
ポルトランドセメント 25 〃
高性能AE減水剤 0.25 〃
メチルセルロース(増粘剤) 0.13 〃
実施例4において、実施例3の改質電気炉酸化スラグ破砕物に代えて実施例2の電気炉酸化スラグ破砕物(5〜10mm)100質量部を使用し、実施例4と同様にして厚さ10mm、500×500mm角の板状成形体を成形した。
下記の処方の混合物を調製した。
実施例3の改質電気炉酸化スラグ破砕物(5mm以下)100質量部
クロロプレンゴム 60 〃
酸化亜鉛 0.6〃
硫黄 0.3〃
上記混合物は加熱溶融混練され、Tダイを介して厚さ5mmのシートに押出された。
上記シートから500×500mm角の試料を切出し、10℃の室内に置き、2.5GHz、100Wの出力の電磁波を10分間放射したところ、放射前の試料温度10.5℃、放射後5分で30.1℃、放射後10分で41.3℃であった。
実施例5において、実施例3の改質電気炉酸化スラグ破砕物に代えて、実施例1の電気炉酸化スラグ粒状物(5mm以下)100質量部を使用し、実施例5と同様にして厚さ5mm、500×500mm角のシート状試料を切出した。該試料を10℃の室内に置き、2.5GHz、100Wの出力の電磁波を10分間放射したところ、放射前の試料温度10.5℃、放射後5分で29.8℃、放射後10分で38.6℃であった。
下記の処方の混合物を調製した。
実施例1の電気炉酸化スラグ粒状物(5mm以下) 110質量部
実施例3の改質電気炉酸化スラグ破砕物(5〜10mm)100質量部
アスファルト 80 〃
スチレン−ブタジエン−ゴム、 4 〃
上記混合物は100℃に加熱溶融混練され、型枠に流し込んで厚さ10mm、300×300mm角の板状成形体を成形した。
上記成形体を8℃の室内に置き、2.5GHz、100Wの出力の電磁波を10分間放射したところ、放射前の成形体温度8.1℃、放射後5分で33.8℃、10分で45.7℃であった。
実施例6において、実施例3の改質電気炉酸化スラグ破砕物に代えて、実施例2の電気炉酸化スラグ破砕物(5〜10mm)100質量部を使用し、実施例6と同様にして厚さ10mm、300×300mm角の板状成形体を成形した。上記成形体を8℃の室内に置き、2.5GHz、100Wの出力の電磁波を10分間放射したところ、放射前の成形体温度8.2℃、放射後5分で30.4℃、放射後10分で42.0℃であった。
下記の処方の混合物を調製した。
実施例3の改質電気炉酸化スラグ粒状物(5mm以下) 100質量部
ポリカーボネート 40 〃
上記混合物は射出成形によって厚さ10mm、300×300mm角のシート状試料を成形した。
上記試料を10℃の室内に置き、2.5GHz、100Wの出力の電磁波を5分間放射したところ、放射前の試料温度10.3℃、放射後3分で27.4℃、5分で35.6℃であった。
実施例7において、実施例3の改質電気炉酸化スラグ粒状物に代えて、実施例1の電気炉酸化スラグ粒状物(5mm以下)100質量部を使用し、実施例7と同様にして厚さ10mm、300×300mm角のシート状試料を成形した。上記試料を10℃の室内に置き、2.5GHz、100Wの出力の電磁波を5分間放射したところ、放射前の試料温度10.2℃、放射後3分で26.6℃、放射後5分で34.3℃であった。
Claims (5)
- 電気炉酸化スラグ溶融物に電磁波加熱性を向上させるための添加物を添加した上で空気または酸素を吹込んで強制酸化処理を施し、そして急冷固化することによって得られた改質電気炉酸化スラグの粒状物または破砕物をバインダーで結着した電磁波加熱性組成物からなる路面舗装材料であって、該路面舗装材料は電磁波を及ぼすことによって非接触的に発熱することを特徴とする路面舗装材料。
- 該電磁波加熱性を向上させるための添加物とはFe ,Ba ,Co ,Ni ,Cr ,Cu ,Mn ,Sr ,Zn およびこれらの金属の酸化物または加熱により酸化物を与える金属化合物である請求項1に記載の路面舗装材料。
- 該バインダーは水硬性無機材料である請求項1または2に記載の路面舗装材料。
- 該バインダーは合成樹脂および/またはゴムおよび/またはアスファルトである請求項1または2に記載の路面舗装材料。
- 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の路面舗装材料によって舗装した路面に電磁波を及ぼし、該路面を非接触的に加熱することを特徴とする路面加熱方法。
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