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JP3778102B2 - ヒートポンプ給湯装置 - Google Patents

ヒートポンプ給湯装置 Download PDF

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JP3778102B2
JP3778102B2 JP2002041048A JP2002041048A JP3778102B2 JP 3778102 B2 JP3778102 B2 JP 3778102B2 JP 2002041048 A JP2002041048 A JP 2002041048A JP 2002041048 A JP2002041048 A JP 2002041048A JP 3778102 B2 JP3778102 B2 JP 3778102B2
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F25B2400/075Details of compressors or related parts with parallel compressors

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、瞬間湯沸し型のヒートポンプ給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
瞬間湯沸し型給湯装置としては、ガスや石油の燃焼を用いた給湯機が従来より使用されてきたが、これらは排ガスによる大気汚染や、直接燃焼させることへの不安感、燃焼音など避けられない課題を抱えていた。これに対し、貯湯タンクに湯を貯えて給湯するヒートポンプ給湯器があり、こちらは燃焼による給湯機の問題を解消し、しかもヒートポンプにより熱効率がよいものであった。しかし、貯湯タンクが大きく、重量や設置スペースなど施工上に問題があった。このヒートポンプによる瞬間湯沸しの発想は従来よりあったが、ヒートポンプの場合は燃焼給湯機と違い、気温や湿度や水温などの自然条件によって給湯能力が変動する。しかも、給湯流量が変化する条件下で幅広い給湯能力をカバーし、素早く一定の出湯温度を維持することが難しかった。
【0003】
こうした問題を解決する瞬間湯沸し型のヒートポンプ給湯装置として特開平2−223767号公報に記載されているような給湯装置が提案されていた。このヒートポンプ給湯装置は図6に示すように、閉回路に構成される冷媒流路1で圧縮機2、放熱器3、減圧手段4、吸熱器5が接続されたヒートポンプサイクル7と、放熱器3の冷媒流路a8と熱交換を行う水流路9を備えた熱交換器10と、この水流路9に水道水を供給する給水管11と、前記水流路9とシャワーや蛇口等の給湯端末12とを接続する給湯回路13と、給湯回路13に設け給湯温度を検出する温度センサ14と、圧縮機2の回転数を制御するインバータ15を備え、圧縮機2を温度センサ14の検出温度と設定温度との差に応じてインバータ15の出力周波数を変換するようにしていた。すなわち従来の給湯装置では設定温度に対して給湯温度が低い場合は圧縮機2の回転数を上げ、給湯温度が高い場合は回転数を下げるように制御するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような瞬間湯沸し型では給湯時における給湯負荷が一定ではない。特に流量は使用者が給湯目的によってさまざまに変化させるために給湯負荷は大きく変ってしまう。例えば家庭用の給湯の場合、シャワーや風呂への湯張りに給湯する場合は10〜20L/minの大流量となるが、台所で食器を洗う場合や洗面への給湯では3〜5L/minと少流量である。また、季節による給水温度の変化によっても給湯負荷は大きく変る。
【0005】
こうした流量や水温の変化により大きくかわる給湯負荷を、従来のヒートポンプ給湯装置のように給湯温度と設定温度の差だけで圧縮機の回転数を変えて給湯熱量を制御しようとした場合に制御の応答性と安定性に不都合が生じてくる。例えば制御の安定性を良くするために給湯温度と設定温度との温度差と圧縮機の回転数の係数である制御ゲインを低く
すると、温度差の変化量に対する回転数の変化量が少なくなるので給湯温度変化が緩やかになり、設定温度に達するのに時間がかかったり、オフセットにより流量や水温の違いによって給湯温度の安定値が設定温度にならず変化したりする。逆に制御ゲインを上げると給湯負荷の大きな大流量では、圧縮機の回転数の変化に対する給湯温度の変化が少ないので安定に制御できても、圧縮機の回転数の変化に対する給湯温度の変化が急峻になる小流量での給湯では、圧縮機の回転数の制御の変化が急峻になり給湯温度が安定しないばかりか、給湯温度と回転数の変化の位相のずれによりハンチングを起こして制御が発散する可能性もあった。
【0006】
また、瞬間湯沸し型のヒートポンプ給湯装置は給湯の開始時にヒートポンプサイクル全体の圧力や温度の立上がりに時間を要するため、ガス給湯機などに比べ熱交換器の水流路からの出湯に遅れが生じる。この給湯開始時に従来の制御方法では、給湯温度と設定温度の差だけで圧縮機の回転数を設定するので、大流量であっても少流量であっても給湯開始時のように給湯温度が低い状態では圧縮機の回転数は一様に高いレベルに設定されてしまう。したがって、少流量の場合に熱交換器からの出湯温度が急上昇してオーバーシュートして設定温度より高温の湯が出たり、放熱器温度の上昇によって圧縮機出口の圧力が異常に高くなるなどの不都合が発生したりする。
【0007】
さらに、従来のヒートポンプ給湯装置のように単一の圧縮機の回転数を変えるだけの制御では能力変更幅に限界があり、例えば冬場のシャワーと風呂の湯張りの同時使用といった大能力から、夏場の食器洗いなどの微小能力までの幅広い給湯能力をカバーできなかった。そのためシャワー温度が低下したり、食器洗いで熱い湯がでたりするなどの不都合がでる可能性があった。
【0008】
また、気温や水温や給湯負荷によりヒートポンプサイクルの運転条件が変ると、運転効率も変化するが、従来のヒートポンプ給湯装置では給湯温度に応じて圧縮機の回転数を変えるだけなので、運転効率は成り行きとなり、加熱効率の悪い条件でもそのまま運転されていた。したがって条件によっては極端に効率が悪化し、能力が発揮できなくなるばかりでなく、ランニングコストも高いものなる可能性もあった。
【0009】
以上のように従来のヒートポンプ給湯装置では給湯負荷の大小に関わりなく一律に加熱制御を行うために幅広い給湯負荷への対応が困難であったり、制御の応答性と安定性を両立させることができなかったり、効率が悪化するなどの問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、広い能力幅を有し、制御性と効率のよい給湯ができる瞬間湯沸し型のヒートポンプ給湯装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、本発明の瞬間湯沸し型のヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクルの放熱器の冷媒流路aと熱交換を行う水流路を備えた熱交換器での所要加熱量を設定し、この負荷設定手段の設定値に応じて前記熱交換器の加熱量を制御する加熱制御手段を有するものである。
【0012】
上記発明によれば、熱交換器での必要な熱交換量を定め、加熱制御手段が設定された熱量になるように熱交換器の加熱制御を行うので、必要以上に加熱されたり、また熱量が不足することがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のヒートポンプ給湯装置は、閉回路に構成される冷媒流路で圧縮機、放熱器が接続されたヒートポンプサイクルと、放熱器の冷媒流路aと熱交換を行う水流路を備えた熱交換器と、水流路に水道水を供給する給水管と、水流路から給湯端末へと通水するように接続する給湯回路と、水流路の出湯温度と給湯の目標温度とから算定される第1の所要加熱量及び給水管の給水温度と給湯の目標温度と給湯回路の流量とから算定される第2の所要加熱量とに基づいて算定される所要加熱量となるように圧縮機の回転数を制御する加熱制御手段を備え、給湯回路の流量または給湯温度が所定分だけ変化したとき、加熱制御手段は第1の所要加熱量よりも第2の所要加熱量を反映して算定された加熱量となるように圧縮機の回転数を制御するものである。特に、所要加熱量は第1の所要加熱量と第2の所要加熱量にそれぞれ係数を乗じて加算することにより算定されるので、給湯回路の流量または給湯温度が所定分だけ変化したときは、加熱制御手段は第1の所要加熱量よりも第2の所要加熱量に乗算された係数を増加して加熱量を算定するようにする。ここで、加熱制御手段がこの所要熱量に応じて熱交換器の加熱量を制御するので、熱量の過不足が少なく制御の安定性がよい。
【0014】
また、給湯開始直後から所定時間の間、加熱制御手段は第2の所要加熱量よりも第1の所要加熱量を反映して算定された加熱量となるように圧縮機の回転数を制御するものである。特に、給湯開始直後から所定時間の間は、加熱制御手段は第2の所要加熱量よりも第1の所要加熱量に乗算された係数を増加して加熱量を算定するようにする。ここで、給湯開始直後などの出湯温度が低い場合であっても、大能力で加熱制御するので応答性がよくなる。
【0015】
また、ヒートポンプサイクルや熱交換器の熱応答遅れに応じた熱量を定める立上り設定部を有し、所要加熱量を設定する際に前記立上り設定部の設定値を加味するものである。
【0016】
したがって、給湯開始時や給湯負荷の変更時などに熱応答遅れ分を加味した加熱制御が可能となり、熱応答遅れを最小限に抑えることができる。
【0017】
また、複数の圧縮機を備え、加熱制御手段が、前記圧縮機の台数を制御するものである。給湯負荷が大幅に変るような使い方をする場合に、1台の圧縮機では制御幅に限界があり、満足な給湯制御ができないが、この発明の複数の圧縮機の台数を制御する方法であれば給湯負荷に応じて台数を変えれば、大幅な給湯負荷の変化に対応できる。
【0018】
また、減圧手段の冷媒流路抵抗を制御するもので、予め減圧手段の冷媒流路抵抗と熱交換器での加熱量の関係を定め、設定された所要加熱量になるように冷媒流路抵抗を制御するもので、高温の出湯が必要であったり、外気温度が低いなどで加熱量が不足した場合など、冷媒流路抵抗を大きくすることで熱交換器の加熱量を所要加熱量が確保できる。
【0019】
また、減圧手段の冷媒流路抵抗の制御が、前記水温検知手段の検知温度に応じて行うもので、予め給水温度に応じた減圧手段の冷媒流路抵抗と熱交換器での加熱量の関係を定め、設定された所要加熱量になるように冷媒流路抵抗を制御するもので、高温の出湯が必要であったり、外気温度が低いなどで加熱量が不足した場合など、冷媒流路抵抗を大きくすることで熱交換器の加熱量を所要加熱量が確保できる。また、通常給湯時に給水温度により最も加熱効率の良くなる冷媒流路抵抗に制御することも可能になる。
【0020】
また、吸熱器の吸熱量を制御するもので、たとえば大気熱から吸熱器に吸熱させるのを送風機の風量により吸熱量を制御するものとした場合に、予め送風機の風量と熱交換器での加熱量の関係を定め、設定された所要加熱量になるように送風機の風量を制御するもので、給湯負荷が極端に小さく熱交換器の所要加熱量が小さすぎて圧縮機の回転数制御などでは絞りきれない場合などに送風機の風量を減少させることにより熱交換器の加熱量を減少させて所要加熱量に制御することが可能である。
【0021】
また、熱交換器の水流路内の流速や伝熱面積などの伝熱条件を変更して制御するもので、たとえば熱交換器の水流路の長さや水量を変更して制御するもので、熱交換器の加熱量は伝熱面積や熱伝達率に比例するため、水流路の長さや水量を変れば比例的に加熱量を変えることができる。これら条件を変えると直ちに加熱量が変るため、熱応答性を向上させた制御が可能となる。
【0022】
また、前記気温検知手段の検出値に応じて負荷設定手段の設定値を変更して熱交換器の加熱量を制御するもので、気温変化による熱交換器の加熱量の誤差を補正する。ヒートポンプサイクルは大気熱を利用して吸熱器から吸熱するため、熱交換器での加熱量は気温に大きく影響される。したがって例えば圧縮機の回転数を制御する場合に、同じ回転数でも気温により加熱量は変ってくる。その気温による影響を相殺するように熱交換器の加熱量を制御することにより、正確な給湯制御ができる。
【0023】
また、冷媒の圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルであり、前記臨界圧力以上に昇圧された冷媒により熱交換器の水流路の流水を加熱する構成である。
【0024】
そして、熱交換器の冷媒流路aを流れる冷媒は、圧縮機で臨界圧力以上に加圧されているので、熱交換器の水流路の流水により熱を奪われて温度低下しても凝縮することがない。したがって熱交換器全域で冷媒流路aと水流路とに温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くできる。
【0025】
また、熱交換器の冷媒流路aと水流路の流れ方向を対向流としたもので、熱交換器の冷媒流路aと水流路の伝熱が均一化することで、熱交換効率がよく高温の出湯が可能になる。
【0026】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例および各実施例において、同じ構成、同じ動作をする部分については同一符号を付与し、詳細な説明を省略する。
【0027】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるヒートポンプ式給湯装置の構成図である。図1において、7はヒートポンプサイクルで、圧縮機2、放熱器3、減圧手段4、吸熱器5が冷媒流路1により閉回路に接続されている。このヒートポンプサイクル7は、例えば炭酸ガスを冷媒として使用し、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧以上となる超臨界ヒートポンプサイクルを使用している。そして圧縮機2は、内蔵する電動モータ(図示しない)によって駆動され、吸引した冷媒を臨界圧力まで圧縮して吐出する。また、10は放熱器3の冷媒流路a8と熱交換を行う水流路9を備えた熱交換器である。この水流路9に水道水を直接供給する給水管11と、水流路9から出湯される湯をシャワー16や蛇口17等より成る給湯端末12へ通水させるための給湯回路13が接続されている。そして18は熱交換器10での所要加熱量を設定する負荷設定手段で、19は負荷設定手段18の設定値に応じて熱交換器10の加熱量を制御する加熱制御手段である。給水管11には、給湯回路13の流量を検出する流量検知手段20と、熱交換器10への給水温度を検出する水温検知手段21が設けられている。そして給湯回路13には水流路9からの出湯温度を検出する湯温検知手段22が設けられている。23は給湯の目標温度を設定する温度設定手段で、使用者が任意に温度を設定する。
【0028】
熱交換器10は、冷媒流路a8の流れ方向と水流路9の流れ方向を対向流とし、各流路間を熱移動が容易になるように密着して構成している。この構成により冷媒流路a8と水流路9の伝熱が均一化し、熱交換効率がよくなる。また、高温の出湯も可能になる。
【0029】
負荷設定手段18は、湯温検知手段22と温度設定手段23とのそれぞれが出力する出湯温度と目標温度との偏差から第1の所要加熱量を算定する第1算定部24と、水温検知手段21と温度設定手段23と流量検知手段20の各値から第2の所要加熱量を算定する第2算定部25と、第1の所要加熱量と第2の所要加熱量を加算する加算部26とを有し、加算された所要加熱量を出力する。
【0030】
加熱制御手段19は、圧縮機2の回転数を変更する周波数制御手段27を備え、負荷設定手段18により設定された所要加熱量に応じて圧縮機2の回転数を制御する。
【0031】
28は気温を検出する気温検知手段で、加熱制御手段18は、気温検知手段28の検出値に応じてヒートポンプサイクルの運転条件である圧縮機2の回転数を変更して熱交換器の加熱量を制御する。熱交換器10での加熱量は、気温が定まれば圧縮機2の回転数に比例的に可変できる。そこで、加熱制御手段19は予め各気温毎の熱交換器10の加熱量と圧縮機2の回転数の関係を記憶しておき、気温に応じて負荷設定手段18により設定された所要加熱量と熱交換器10の加熱量が一致するように回転数を設定制御する。このことで、気温が変動しても精度よい給湯制御が可能になる。
【0032】
以上の構成において、その動作、作用について説明する。図1に示す実施例において、蛇口17が開かれると給水管11から水道水が流れ込み始める。これを流量検知手段20が検知し負荷設定部18に信号が送り、負荷設定部18では所要加熱量が算定され、この算定値に基づいて加熱制御手段19が圧縮機1の回転数を制御する。そして、圧縮機2から吐出される高温高圧の冷媒ガスは放熱器3へ流入し、水流路9を流れる水を加熱する。そして、加熱された水は給湯回路13を経て給湯端末12から出湯する。一方、放熱器3で冷却された冷媒は減圧手段4で減圧されて吸熱器5に流入し、ここで大気熱、太陽熱など自然エネルギーを吸熱して蒸発ガス化し、圧縮機2に戻る。従って、出湯を検出して、すぐに圧縮機1からの高温高圧の冷媒ガスが放熱器3に流入し、水を加熱し、そのまま給湯端末12から出湯利用できる。
【0033】
給湯中の負荷設定部18では、第1算定部24で算定する第1の所要加熱量を、出湯温度と目標温度との偏差から公知のPID制御を用いて算定する。すなわち、出湯温度のフィードバック制御がおこなわれる。ここでの制御定数である比例ゲインや積分係数や微分係数は、制御の応答性と安定性を両立するための最適な値を予め設定しておく必要がある。なおフィードバック制御は、PI制御でもP制御でもファジーやニューロ制御でもよい。また、出湯温度と目標温度との偏差の変化速度から、第1の所要加熱量を判定してもよい。これは、給湯における流量や給水温度で給湯負荷が変ると、出湯温度と目標温度との偏差の変化速度に違いが表れる。たとえば、同じ加熱量の場合に流量が多ければ出湯温度の上昇は緩やかになり、流量が少なければ速やかになる。この速度変化と所要加熱量の相関を予め記憶させておき、出湯温度と目標温度との偏差の変化速度から所要加熱量を設定するもので、単に温度偏差だけで加熱量を制御する場合よりも安定に所要加熱量に制御する時間を短縮できる。
【0034】
一方、第2算定部25で算定する第2の所要加熱量は、給湯負荷を算定し、この給湯負荷を所要加熱量とする。すなわち目標温度と給水温度との差に、流量検知手段20の検知する流量を乗じて給湯負荷を求め、これを第2の所要加熱量としている。これは、いわゆるフィードフォワードの制御量である。そして、加算部26で、第1の所要加熱量と第2の所要加熱量を加算して所要加熱量を求めている。この所要加熱量フィードバック制御を加味することによって、出湯温度を目標温度に正確に制御することができる。とくにPIDやPI制御のように積分要素を用いることにより、出湯温度をより目標温度にあわせることができる。また、比例制御要素を用いることで給湯開始直後などの出湯温度が低い場合に大能力で加熱制御するので応答性がよくなる。一方、フィードフォワード制御は、給湯の温度安定時における所要熱量であるので、熱量の過不足が少なく制御の安定性に優れている。また、給湯流量や給水温度が急変した場合には直ちに応答して加熱量を変更制御できるので、この点はフィードバック制御より応答性がよくしかも安定性がよい。そして、このフィードバック制御とフィードフォワード制御を加算して制御するので、それぞれの特徴が活かされ応答性がよくしかも安定性のよい制御が可能になる。
【0035】
なお実施例1では加算部において第1の所要加熱量と第2の所要加熱量を加算して所要加熱量を求めているが、第1の所要加熱量をそのまま所要加熱量としてもよいし、逆に第2の所要加熱量をそのまま所要加熱量としてもよい。
【0036】
また、これらを加算せずに給湯時間経過や出湯温度に応じて切換えても良いし、第1の所要加熱量と第2の所要加熱量にそれぞれ係数を乗じて加算するようにしてもよい。
【0037】
さらに、第1の所要加熱量と第2の所要加熱量を単独で用いる場合と加算する場合を切換えてもよい。上記のように第1の所要加熱量と第2の所要加熱量の加算の組合わせや加算条件を変えることで給湯条件によっては、より制御の安定性や応答性が向上する場合がある。
【0038】
また、実施例1では第2算定部において第2の所要加熱量として演算する給湯負荷を、目標温度と給水温度との偏差に流量を乗じて求めていたが、概略の給湯負荷設定をするだけならば流量に所定の定数を乗じた推定値を用いてもよい。この場合、給湯負荷の計算精度は悪くなるが、水温検知手段と温度設定手段が不要になるので低コスト化できる。
【0039】
さらに、第2算定部における給湯負荷の演算を、給水温度と仮の目標温度の差に所定の定数を乗じた推定値を用いてもよい。この場合も、給湯負荷の計算精度は悪くなるが、流量検知手段と温度設定手段が不要になるので低コスト化できる。ただし、給湯開始を検知するための流量スイッチは必要になる。
【0040】
実施例1ではヒートポンプサイクルを、冷媒の圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルとしたが、もちろん一般の臨界圧力以下のヒートポンプサイクルでもよい。これは以下に述べる各実施例においても同様である。
【0041】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2におけるヒートポンプ給湯装置の制御ブロック図である。なお、実施例1の給湯装置と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。図2において、実施例1の構成と異なるところは、負荷設定手段18に、ヒートポンプサイクル7や熱交換器10の熱応答遅れに応じた熱量を定める立上り設定部30を備え、所要加熱量を設定する際に加算部26で立上り設定部30の設定値を加算する点にある。ヒートポンプサイクル7や熱交換器10の熱応答遅れに応じた熱量とは、ヒートポンプサイクル7が冷えた状態から給湯を開始した場合に、圧縮機2や放熱器3の温度が上昇し、また吸熱器5の温度が下降して、本来の定常的な運転状態になるまでに必要な、給湯負荷とは別の熱量のことを指している。
【0042】
この熱量は、ヒートポンプサイクル7や熱交換器10の運転前の温度と定常運転時の温度差に熱容量を乗じて求められるが、定常運転時の温度差は部位によって大きく異なるので、実施例2では運転前の湯温検知手段22の検出する温度と温度設定手段23の設定値の温度差を代表値として採用し、これに係数を乗じ求めている。ただし、この立上り設定部30で求められる熱量は立上りに必要な総熱量であるので、圧縮機2を制御するためには単位時間当りの熱量に変換する必要がある。そこで、加算部26において第2算定部25で算定される給湯負荷と立上り設定部30の設定熱量を加算し、この加算熱量を圧縮機2の最大回転数における最大加熱量で除して、この最大加熱量における運転時間を求め、この時間内の所要加熱量を圧縮機2の最大加熱量に設定する。そして、この運転時間を超過したら、立上り設定部30の設定値の加算を終了し、実施例1に示す運転状態に戻すように作用させる。
【0043】
以上のように実施例2では、給湯運転開始時のヒートポンプサイクル7や熱交換器10の熱応答遅れ分の熱量を給湯負荷に加算して、熱応答遅れ分の熱量だけを圧縮機2の最大加熱量で加熱するので、最小時間で所定の給湯が可能になる。
【0044】
また、熱応答遅れ分の熱量を、運転前の湯温検知手段22の検出する温度と温度設定手段23の設定値の温度差に係数を乗じて求めるようにしたので、特別な検知手段を準備する必要がなく低コストにこの制御が実現できる。
【0045】
なお、実施例2では熱応答遅れ分の熱量を、運転前の湯温検知手段22の検出する温度と温度設定手段23の設定値の温度差に係数を乗じて求めたが、熱交換器10や、圧縮機2、吸熱器5、冷媒流路1の圧縮機2の吐出部などの温度を用いてもよい。
【0046】
(実施例3)
図3は本発明の実施例3におけるヒートポンプ給湯装置の構成図である。なお、実施例1の給湯装置と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。図3において、実施例1の構成と異なるところは、加熱制御手段19が圧縮機2を制御するだけでなく、減圧手段4の冷媒流路抵抗と、吸熱器5の吸熱量を制御するようにした点である。
【0047】
減圧手段4は絞り弁(図示せず)と、この絞り弁を駆動するステッピングモータ(図示せず)によりなり、絞り弁の駆動によって冷媒流路抵抗を変更することができる。そして、加熱手段19は、予め減圧手段4の冷媒流路抵抗と熱交換器10での加熱量の関係を定め、負荷設定手段18で設定された所要加熱量になるように冷媒流路抵抗を制御するもので、高温の出湯が必要であったり、外気温度が低いなどで加熱量が不足した場合など、冷媒流路抵抗を大きくすることで熱交換器の加熱量を所要加熱量が確保するように作用する。
【0048】
なお、通常の給湯使用状態において、冷媒流路a8と水流路9との温度差が小さくなるほどヒートポンプサイクル7効率が良くなるので、水温検知手段21の検知する給水温度に応じて、熱交換器10での所要加熱量を確保して、最も冷媒流路a8と水流路9との温度差が小さくなるように減圧手段4の冷媒流路抵抗を制御すると、効率のよい運転が可能となる。
【0049】
吸熱器5の吸熱量は、ファン31のモータ32の回転数を変更して、吸熱器5への送風量を変更することにより制御する。加熱制御手段19は、予めファン32の風量と熱交換器10での加熱量の関係を定め、設定された所要加熱量になるようにファン31の風量を制御するもので、給湯負荷が極端に小さく熱交換器10の所要加熱量が小さすぎて圧縮機2の回転数制御などでは絞りきれない場合などにファン31の風量を減少させることにより熱交換器10の加熱量を減少させて所要加熱量に制御することが可能である。また、圧縮機2の最大回転数でも加熱量が不足する場合には、ファン31の風量を上げて熱交換器10の加熱量を増加させて所要加熱量に制御することも可能である。
【0050】
(実施例4)
図4は本発明の実施例4におけるヒートポンプ給湯装置の構成図である。なお、実施例1の給湯装置と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。図4において、実施例1の構成と異なるところは、ヒートポンプサイクル7に3台の圧縮機2a、2b、2cを並列に設け、加熱制御手段19がこの圧縮機2a、2b、2cの台数制御および回転数制御するようにした点である。実施例4では圧縮機2aを回転数制御して、微妙な加熱能力制御を行い、圧縮機2bおよび2cはオンオフ制御を行い、シャワーや風呂の湯張りなどの給湯負荷に大能力が要求される場合は、圧縮機を2台または3台で運転し、夏場での台所での食器洗いなど給湯負荷が極端に少ない場合には、圧縮機2a単独運転とすることで、大幅な給湯負荷の変化に対応できる。
【0051】
なお、圧縮機の台数は2台でもよいし、3台以上でも同様の効果が得られる。また、複数台の圧縮機を全て回転数制御して、台数切換えをスムーズに制御してもよい。さらに、圧縮機を直列に接続して、吐出圧力を制御してもよい。
【0052】
(実施例5)
図5は本発明の実施例5におけるヒートポンプ給湯装置の構成図である。なお、実施例1の給湯装置と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。図5において、実施例1の構成と異なるところは、熱交換器10の水流路9の中央部から分岐管33を取り出し、給湯回路13に設けた混合弁34と接続して、熱交換器10の伝熱条件を変更するところにある。これは加熱制御手段19が、混合弁34の開度を制御することにより、水流路9の分岐管33より下流を流れる水量を制御して、冷媒流路a8と水流路9との伝熱条件を変えることによって熱交換器10での加熱量を制御するもので、水量が低下すると水流路9内の熱伝達率が下がり、結果として加熱量が下がる。そして、水流路9の分岐管33より下流の流れを止めてしまうと、熱交換しなくなり、伝熱面積が約半分になるのと同様の作用をする。このように水流路の長さや水量を変れば比例的に加熱量を変えることができる。これら条件を変えると直ちに加熱量が変るため、熱応答性を向上させた制御が可能となり、所要加熱量が急変した場合にも対応できる。
【0053】
なお、実施例5では分岐管33を熱交換器10の中央部から取り出したが、熱交換器10の上流で分岐して熱交換器をバイパスさせて、熱交換器全体を流れる流量を変更してもよい。また、熱交換器の上流側や下流側から分岐しても同じような効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、広い能力幅を有し、給湯制御の応答性と安定性が両立し、効率のよい給湯ができる瞬間湯沸し型のヒートポンプ給湯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1におけるヒートポンプ給湯装置の構成図
【図2】 本発明の実施例2におけるヒートポンプ給湯装置の制御ブロック図
【図3】 本発明の実施例3におけるヒートポンプ給湯装置の構成図
【図4】 本発明の実施例4におけるヒートポンプ給湯装置の構成図
【図5】 本発明の実施例5におけるヒートポンプ給湯装置の構成図
【図6】 従来のヒートポンプ給湯装置の構成図
【符号の説明】
1 冷媒流路
2 圧縮機
3 放熱器
4 減圧手段
5 吸熱器
7 ヒートポンプサイクル
8 冷媒流路a
9 水流路
10 熱交換器
11 給水管
12 給湯端末
13 給湯回路
16 シャワー
17 蛇口
18 負荷設定手段
19 加熱制御手段
20 流量検知手段
21 水温検知手段
22 湯温検知手段
23 温度設定手段
24 第1算定部
25 第2算定部
26 加算部
30 立上り設定部

Claims (12)

  1. 閉回路に構成される冷媒流路で圧縮機、放熱器が接続されたヒートポンプサイクルと、前記放熱器の冷媒流路aと熱交換を行う水流路を備えた熱交換器と、前記水流路に水道水を供給する給水管と、前記水流路から給湯端末へと通水するように接続する給湯回路と、前記水流路の出湯温度と給湯の目標温度とから算定される第1の所要加熱量及び前記給水管の給水温度と前記給湯の目標温度と前記給湯回路の流量とから算定される第2の所要加熱量とに基づいて算定される所要加熱量となるように前記圧縮機の回転数を制御する加熱制御手段を備え、前記所要加熱量は前記第1の所要加熱量と前記第2の所要加熱量にそれぞれ係数を乗じて加算することにより算定され、前記給湯回路の流量または給湯温度が所定分だけ変化したとき、前記加熱制御手段は前記第1の所要加熱量よりも前記第2の所要加熱量に乗算された係数を増加して算定された加熱量となるように前記圧縮機の回転数を制御するヒートポンプ給湯装置。
  2. 給湯開始直後から所定時間の間は、加熱制御手段は第2の所要加熱量よりも第1の所要加熱量を反映して算定された加熱量となるように圧縮機の回転数を制御する請求項記載のヒートポンプ給湯装置。
  3. 給湯開始直後から所定時間の間は、加熱制御手段は第2の所要加熱量よりも第1の所要加熱量に乗算された係数を増加して加熱量を算定する請求項記載のヒートポンプ給湯装置。
  4. ヒートポンプサイクルまたは熱交換器の熱応答遅れに応じた熱量を定める立上り設定部を有し、所要加熱量を設定する際に前記立上り設定部の設定値を加味する請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  5. ヒートポンプサイクルに複数の圧縮機を備え、加熱制御手段は、前記圧縮機の台数を制御する請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  6. 加熱制御手段は、減圧手段の冷媒流路抵抗を制御する請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  7. 給水管の給水温度を検出する水温検知手段を備え、減圧手段の冷媒流路抵抗の制御は、前記水温検知手段の検知温度に応じて行う請求項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  8. 加熱制御手段は、吸熱器の吸熱量を制御する請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  9. 加熱制御手段は、熱交換器の水流路内の流速や伝熱面積などの伝熱条件を変更して制御する請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  10. 気温を検出する気温検知手段を設け、加熱制御手段は前記気温検知手段の検出値に応じてヒートポンプサイクルの運転条件を変更して熱交換器の加熱量を制御する請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  11. ヒートポンプサイクルは、冷媒の圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルであり、前記臨界圧力以上に昇圧された冷媒により熱交換器の水流路の流水を加熱する請求項1〜10のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
  12. 熱交換器の冷媒流路aと水流路の流れ方向を対向流とした請求項1〜11のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯装置。
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