JP3776617B2 - 開口仮封止栓付缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、容易に開蓋することができるとともに、缶体に封入された飲料等が飲みやすい形状又は注ぎ出しやすい形状を有する開口仮封止栓付缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イージーオープン缶として、スコア線によって缶蓋に区画形成された開口片を押圧し、その開口片をスコア線に沿って破断させるタイプの缶が知られている。これらの缶として、例えば特開平8−169454号公報に記載されたものと米国特許第4976368号明細書に記載されたものとがある。
【0003】
特開平8−169454号公報に記載された発明は、蓋部材において環状移行部からスカートまたはエプロンが容器本体から離れる方向であってその中心軸に近づく方向に向かって伸び、その先端に頭部を介してトップが形成されている。そして、そのトップには下部側にスコア線によって囲まれた凹型押し下げタブが形成されている。そして、缶蓋を開ける場合には、その凹型押し下げタブを指で押圧することによりスコア線を破断しつつ凹型押し下げタブを容器本体内部に押し下げて、開口片を吊り下げ状態にすることによって缶蓋を開ける。
【0004】
また、米国特許第4976368号明細書に記載された発明は、缶蓋上方へ突出した外周壁とその外周壁から内方へ平坦な環状パネルが延出し、さらに環状パネルから下方に内周壁が垂下し、その内周壁の下端が折り畳まれて三重層になっており、その最下層に形成されたスコア線により開口片が区画されて形成されている。そして、この開口片には凸タブが形成されており、缶蓋を開ける場合には、その凸タブを指で押し下げて開口片をスコア線の部分で破断し、開口片を缶蓋の内面側に吊り下げ状態にして缶蓋を開ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の二つの発明では、指を用いて開口片を押し下げ、スコア線部分を破断しつつ開口片を缶体内へ押し下げて缶蓋を開けるので、缶体に封入された飲料等が指に付着する可能性がある。特に、炭酸含有飲料では、開蓋時に飲料が噴き出ることがあるので、飲料が指に付着する可能性が高い。また、開蓋の際に開口片の縁部によって指を傷つける可能性があるとともに、消費者の指の大きさや長さ、押圧力の大小等の個人差によって、指で缶蓋を開けることが容易ではない場合が生じる可能性がある。なお、小さな押圧力でも缶蓋を開けることができるように、スコア線を全周にわたって深く刻むことも考えられる。しかし、缶体の輸送中に受ける衝撃により、スコア線が破断する可能性があり、また、内圧力が高くなった場合に、スコア線が破断して封入された飲料が噴き出る可能性があるから、あまりスコア線を広範囲にわたって深くすることができない。
【0006】
また、缶蓋を開けた際に、開口片は缶体内部に押し下げられるので、いわゆるペットボトルのように蓋によって仮封止することが、通常のイージーオープン缶と同様にできない。
【0007】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、容易に缶蓋を開けることができるとともに、開けられた缶蓋を仮封止することのできる開口仮封止栓付缶を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、缶胴の開口端に巻き締め固着されるフランジ部を外周部に備えた缶蓋であって、その軸線方向に該フランジ部よりも外方へ突出した環状の突出部が形成されると共に、該突出部の内周側に、該突出部の外周縁より窪んだ窪み部が形成され、該窪み部に輪郭の少なくとも一部に破断容易なほぼ円形の易破断線により区画された開口片が設けられた缶蓋を、前記フランジ部により前記缶胴の開口端に巻き締め固着した缶において、該突出部の先端外周部には、上端部が半径方向外方へ突出し、その下方部が半径方向内方に窪む凹部である係合突起部が形成されており、該係合突起部には、該係合突起部と係合して少なくとも該係合突起部及び該窪み部を覆うと共にこれらの上に冠着する開口仮封止栓を備え、該開口仮封止栓が、該係合突起部に外嵌される第一円筒部と、該第一円筒部の内面に形成され該係合突起部に係合する第一仮止め突起部と、該第一円筒部とは軸線方向で反対側に延びる第二円筒部と、該第二円筒部の内周側に軸線方向外方へ突出している前記開口片を押圧して前記易破断線を破断させる開口嵌合凸部を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
従って、請求項1の発明によれば、第一仮止め突起部が開口仮封止栓の第一円筒部に形成されていることによって、開口仮封止栓を缶蓋の係合突起部に係合させた状態で缶体を輸送・販売することができる。また、缶蓋を開けて、缶体内の飲料を缶体から直接飲用する際に、開口部から流下する内容液が触れる缶蓋の窪み部と係合突起部及びその間の部分が開口仮封止栓で覆われているので、輸送・販売中に異物がこれら缶蓋の係合突起部等に付着することを防ぐことができ、衛生的である。
【0010】
また、突出部の窪み部に形成された易破断線を破断し開蓋するために開口仮封止栓の開口嵌合凸部が用いられることによって、指で直接開口片を押圧して易破断線を破断し開蓋する場合と比較して指を傷つけたり、指に飲料等の内容液が付着するおそれがない。また、無理無く開口片を押圧して易破断線を破断し開蓋することができる。
【0011】
さらに、開蓋後、開口仮封止栓によって、缶蓋の開口部を仮封止することができるので、缶体を倒した場合のように飲み残した飲料又は使い残した内容液をこぼしてしまうことを防ぐことができ、また仮封止した缶体を持ち運ぶことができる。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、前記開口嵌合凸部が、その側壁部分に、最大外径が前記易破断線が破断した後に形成される開口部の内径以上であるテーパ部を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
従って、請求項2の発明によれば、開口嵌合凸部がその最大外径が、易破断線の破断により形成される開口部の内径以上であるテーパ部によって形成されていることによって、開蓋後缶蓋を仮封止する際に、缶蓋の封止を完全にすることができ、飲料等が漏れ出したりすることを防ぐことができる。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、請求項2の発明に加えて、前記テーパ部の軸線方向での中間部に、前記開口部の内径よりも大きい外径を有する突起部が形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
従って、請求項3の発明によれば、テーパ部に開口部の内径よりも大きい突起部が形成されていることによって、開蓋後缶蓋を仮封止する際に、開口仮封止栓を缶蓋に確実に固定させることができる。
【0016】
そして、請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明に加えて、前記係合突起部が、前記突出部の円周方向に所定の間隔をあけて複数形成されると共に、各係合突起部の半径方向外方への突出量が円周方向に次第に増大し、且つ突出量の少ない部分から最も大きい部分に向かって前記係合突起部がその基端部側に傾斜した螺旋状に形成され、また前記第二円筒部の先端内面に前記係合突起部に係合する第二仮止め突起部が前記第二円筒部の円周方向に所定の間隔をあけて複数個形成されると共に、各第二仮止め突起部が、前記係合突起部の螺旋状の傾斜に対応して傾斜し旦つ前記係合突起部に係合する傾斜面を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
従って、請求項4の発明によれば、係合突起部と第二仮止め突起部とが互いに係合可能に螺旋状に傾斜して形成されていることによって、開蓋後缶蓋を仮封止する際に、開口仮封止栓を缶蓋に対して回転させることによりさらに確実に缶蓋に固定することができる。また、炭酸含有飲料のように、缶体の内圧が高い飲料を仮封止する際には特に有効である。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかの発明に加えて、前記開口仮封止栓が、前記開口嵌合凸部と該第二円筒部の間であって、該第二円筒部とは軸線方向反対側に突出するとともに、該第一円筒部が前記係合突起部に外嵌されている状態のときに、下端が前記易破断線よりも外側の前記窪み部と接触する様に少なくとも同一円周に沿って設けられている凸部が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
従って、請求項5の発明によれば、第一円筒部が係合突起部に外嵌している状態のときに、第一仮止め突起部が係合突起部に係合し、第一円筒部から離れた位置にあり、しかも少なくとも同一円周に沿って設けられている凸部の下端が、易破断線よりも外側の窪み部と接触しているので、缶に取り付けられてカートンケースに収容され、多段積みにパレット積みされて最下段に保管される場合の様に、缶体に取り付けられている開口仮封止栓に荷重が掛かる状態で缶体が保管されても、開口仮封止栓と缶蓋との接触面積が大きいので、開口仮封止栓が部分的に変形して缶蓋から外れたり、缶蓋の開口片を押し下げて開蓋させてしまうことがない。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかの発明に加えて、前記開口片に凹部あるいは凸部のうちのいずれか一方が備えられると共に、それらのうちの他方に対して嵌合が可能な凸部あるいは凹部のいずれか一方が前記開口嵌合凸部に備えられていることを特徴とするものである。
【0021】
従って、請求項6の発明によれば、開口嵌合凸部によって開口片を押圧する際に、凸部と凹部とを互いに嵌合させた状態とすることにより、開口部突出缶蓋に対する開口仮封止栓の位置決めが確実化し、それに伴って押圧荷重を良好に作用させることができるから、開蓋が容易になる。また、開口仮封止栓と開口部突出缶蓋との位置決めがなされることにより、開口仮封止栓ならびに開口片に変形が生じない。
【0022】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明の実施例を図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施例を示すものであって、ここには開口部突出缶蓋1と開口仮封止栓31とが示されている。まず、開口部突出缶蓋1について説明する。この開口部突出缶蓋1は、アルミニウム合金などの金属製の平板材(図示せず)から形成されている。なお、この平板材の一方の表面には、予め合成樹脂からなる内面被膜(図示せず)が形成されている。この内面被膜は保護塗料や樹脂フィルムから形成されている。その塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性樹脂からなる任意の保護塗料、例えばフェノール−エポキシ塗料、アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ−フェノール−変性ビニル塗料等のビニルまたは変性ビニル塗料等の単独または2種以上の組み合わせが使用される。また、その樹脂フィルムとしては、エチレンテレフタレートを基本構成とするポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、さらにはポリエチレンイソフタレート(PEIT)等のコポリマーも適用できる。また、樹脂フィルムが内面被膜に用いられる場合、その樹脂フィルムは、未延伸のものでも二軸延伸のものでもよい。
【0023】
そして、開口部突出缶蓋1の外周側には、円筒状の缶胴21の開口部に巻き締め固着して巻締部2を形成する周知形状のフランジ部(図示せず)が形成されている。また、その巻締部2から開口部突出缶蓋1の半径方向内側には、図1においてほぼ下方向に窪むU字形である環状溝3が形成されている。
【0024】
そして、環状溝3から缶胴21の中心軸側に向かうとともに図1における上方向に延出してスカート壁4が形成されている。このスカート壁4は、その断面が缶胴21の軸線方向に突出するように弧を描くように延出している。またこのスカート壁4の図1における上端部に続けて隆起部5が形成されている。さらに、その隆起部5の図1における上端部には、上端が半径方向外方へ環状に突出している係合突起部6が形成されている。
【0025】
この係合突起部6は、図1における環状突出部分の下側の部分(横断面図では円形)の外径が図1における上側の環状突出部分(横断面図では円形)の外径よりも小さくなっている。即ち、係合突起部6には、環状の凹部が形成されていることになる。なお、係合突起部6の環状突出部分の下側の部分の外径が小さくなっているのは、全体で環状の凹部を形成し、この凹部に開口仮封止栓を係合させて開口部突出缶蓋1に固定するためである。
【0026】
また、係合突起部6の図1における上端部から、缶胴21の半径方向に向かって略平面を有する接触面7が形成されている。さらに、その接触面7よりも内周側には窪み部8が形成されている。窪み部8は、その底部に開口片9が形成されている。この開口片9は、その周囲がスコア線10によって一部を残して略円形に区画されている。そして、図2に示すように、このスコア線10を挟んでその両側の窪み部8の底部が、三重(三層)になるように折り曲げられ(又は折り畳まれ)ており、スコア線10はこの折り曲げられた窪み部8の図2における最も下側(最下層)に位置する箇所に形成されている。また、スコア線10は、三重に折り曲げられた窪み部8の底部の部分の内周側先端部(内周側折曲部)よりも外周側に形成されている。なお、開蓋性を良くするために、スコア線10の一部を完全に切断しておいても良い。さらに、スコア線10を挟んで窪み部8の底部と開口片9とに亘って図2における下側からプラスチゾル11が塗布されている。このプラスチゾル11は缶体の内圧の変化によってスコア線10が破断することを防ぐとともに、スコア線10を形成することによる塗膜の損傷を補修し、飲料の侵入による開口部突出缶蓋1の腐食を防ぐためのものである。このプラスチゾル11を塗布することで、スコア線10の一部が完全に切断されていても、内容液の漏洩を防止できる。なお、スコア線10が、この発明の易破断線に相当する。
【0027】
また、開口片9には、上方に隆起する凸部12が形成されている。この凸部12は、缶蓋を開ける際に開口仮封止栓31が開口片9を容易に押圧することができるようにするために形成されている。
【0028】
つぎに、開口仮封止栓31について説明する。ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂で成形された開口仮封止栓31は、図1に示すように、その外周側には図1の下方向に延出する第一円筒部32が形成されている。そして、この第一円筒部32の下端内面には、缶胴21の半径方向で内側に突出する第一仮止め突起部33が等間隔に4個形成されている(2〜6個が好ましい)。これらの第一仮止め突起部33が開口部突出缶蓋1の係合突起部6の上端の環状突出部を弾性変形して乗り越え、その下側の環状凹部に嵌入することによって、開口仮封止栓31が開口部突出缶蓋1に着脱可能に固定される。
【0029】
また、第一円筒部32の図1において上側に第二円筒部34が形成されており、その第二円筒部34と第一円筒部32との間から開口仮封止栓31の半径方向にパネル部35が延出している。そして、このパネル部35の中心部に、図1における斜め上方向に延出するテーパ部36が形成されている。このテーパ部36は、図1の上方向に進むにしたがって、その径が小さくなるように形成されている。なお、このテーパ部36には、半径方向で外側に突出するように仮封止突起部37が等間隔に4個形成されている(2〜6個が好ましい)。この仮封止突起部37は、缶蓋を開口した後缶蓋を再仮封止する際に、開口部突出缶蓋1の窪み部8に形成される開口部42に嵌入されるためのものである。また、第一円筒部32と第二円筒部34との間には、開口仮封止栓31を開口部突出缶蓋1から取り外す際に指を掛けるための突条38が環状に形成されている。
【0030】
また、テーパ部36の図1における上方向にはテーパ角の大きな傾斜部39を介して押圧面40が形成されている。この押圧面40は、開口部突出缶蓋1の開口片9に接触して、開口片9を押し下げる役目を果たす。なお、テーパ部36と傾斜部39と押圧面40とが開口嵌合凸部41を構成する。
【0031】
つぎに、この発明の一実施例である開口部突出缶蓋1の作用について説明する。図1に示すように、開口仮封止栓31が、その第一仮止め突起部33が開口部突出缶蓋1の係合突起部6に係合(環状凹部に嵌入)した状態で、缶体が販売される。なお、開口仮封止栓31が開口部突出缶蓋1から脱落しないように、また、店頭陳列中に開口仮封止栓31にほこりが付着したり、いたずらされないように、開口仮封止栓31と開口部突出缶蓋1とを透明又は不透明な熱収縮性のプラスチックフィルム等によってシュリンク包装しても良い。そして、消費者は、缶体に封入された飲料を飲むために、まず開口仮封止栓31を開口部突出缶蓋1から取り外す。その際、それらがプラスチックフィルム等によってシュリンク包装されている場合には、最初にフィルムを除去する。
【0032】
つぎに、開口仮封止栓31をその押圧面40が開口部突出缶蓋1の開口片9に対向するように保持し、その後、開口仮封止栓31の押圧面40を開口部突出缶蓋1の開口片9に当接させ、押圧する。その際、開口片9に凸部12が形成されているので、容易に押圧面40を開口片9に当接させ、押圧することができる。
【0033】
開口片9が押圧されることによって、スコア線10が破断し、プラスチゾル11が引きちぎられて、開口片9が缶体内部に押し下げられる。スコア線10を完全に切断した部分を設けておくと、そこを起点として破断が進行するので、比較的小さな押圧力で開蓋できる。なお、開口片9を区画している輪郭の一部にはスコア線10が形成されていない箇所があるので、そのスコア線10が形成されていない箇所がヒンジとなって開口片9が回転し、押し下げられて吊り下げられた状態になる(図3参照)。その結果、三重に折り曲げられた部分の内周側先端部分に囲まれた開口部42が現れる。
【0034】
開口片9が押し下げられて開口部42が形成されることにより、消費者は開口部42に嵌入した開口仮封止栓31を開口部突出缶蓋1から引き離し、その後缶体を傾けて開口部42から窪み部8、接触面7を伝わって流下して来た飲料を飲むことができる。その際、消費者は、缶胴21と開口部突出缶蓋1の巻締部2よりもかなり小径のスカート壁4と隆起部5及び係合突起部6とに下唇を当てて飲用するが、係合突起部の外径を、大人の口よりも十分小さくしてある(35mm以下)ので、巻締部よりも下方に開口部が形成される通常のイージーオープン缶蓋を巻き締めた缶から直接飲用する場合の様に、消費者の鼻が巻締部2や蓋板面にぶつかることがなく、また、飲料をこぼすことなく飲むことができる。また、内容液をコップ等に注ぎ出すのも容易である。なお、缶蓋を開ける際に、消費者の指が開口片9に直接触れることがないので、飲料等の内容液が指に付着することも防ぐことができる。
【0035】
また、消費者は開口仮封止栓31を用いて、開口部突出缶蓋1の開口部42を仮封止することができる。この場合には、開口仮封止栓31の押圧面40を開口部突出缶蓋1の開口部42に向けて保持し、開口仮封止栓31を開口部42に嵌入させる。すると、開口仮封止栓31のテーパ部36に形成された仮封止突起部37が、開口部突出缶蓋1の開口部42の縁部に係合する(図4参照)。その結果、開口部突出缶蓋1が開口仮封止栓31によって仮封止される。テーパ部36に仮封止突起部37が形成されていることによって、開口部42に開口仮封止栓31を嵌入させて、開口された開口部突出缶蓋1を容易に仮封止させることができる。
【0036】
つぎに、この発明の他の実施例を図面を参照して説明する。なお、上述の実施例と同じ部材については、前掲の図に付した参照符号と同じ参照符号を付して、その説明を省略する。図5は、この発明の他の実施例を示すものであって、開口部突出缶蓋51と開口仮封止栓61とが示されている。また、図6は係合突起部52を図5における左右方向から見た図である。これらの図に示すように、開口部突出缶蓋51の係合突起部52が、円周方向において等間隔に3個(好ましくは2〜6個)設けられているとともに、これらの係合突起部52では缶胴21の半径方向での外方への突出量が変化するように形成されている。詳細に説明すると、この係合突起部52は、開口部突出缶蓋51の一方の周方向(例えば、図6における左方向)において、徐々に幅が短くなるように傾斜して形成されている。そして、最短部を超えると、徐々に幅が長くなるように形成されている。
【0037】
図7ないし図9は、図6における係合突起部52の断面図を示している。図7に示すように、上端部に半径方向外方へ突出する突出部が形成されていない箇所では凹部が形成されていない。また、図8に示すように、係合突起部52では、開口部突出缶蓋51の一方の周方向に進むに従い凹部が形成されるとともに、その幅が短くなりその深さが深くなっている。そして、図9に示すように、係合突起部52の幅の最短部では、その深さが最深となっている。なお、凹部の幅が短くなるにしたがって、凹部の深さが深くなるように係合突起部52が形成されている。なお、図10に示すように、係合突起部52は隆起部5よりも外側に突出している。
【0038】
また、図5に示す開口仮封止栓61は、どの位置においても開口部突出缶蓋51の係合突起部52に係合することができるように、第一円筒部32の周方向に亘って環状の第一仮止め突起部62が設けられている。また、開蓋後開口部を仮封止する際に、第二円筒部34が係合突起部52に係合することができるように、第二円筒部34に第二仮止め突起部63が等間隔に3個(好ましくは2〜6個)形成されている。この第二仮止め突起部63は、開口仮封止栓61を開口部突出缶蓋51に対して回転させることによって、係合突起部52に第二仮止め突起部63を係合させることができるように螺旋状に傾斜して形成されている。また、開口仮封止栓61の第一円筒部32の外面と第二円筒部34の外面には滑り止め用のローレット加工による網目模様64が形成されている。なお、網目模様64の代わりに凹凸模様を形成してもよい。さらに、第二円筒部34の端部には、指掛け用の突条65が環状に形成されている。
【0039】
つぎに、この発明の他の実施例である開口部突出缶蓋51の作用について説明する。図5に示すように、開口仮封止栓61が、第一円筒部32に形成された第一仮止め突起部62が開口部突出缶蓋51の係合突起部52に係合した状態で、缶体が販売される(開口仮封止栓61と開口部突出缶蓋51とをシュリンクフィルムで覆うようにしても良い)。そして、開口仮封止栓61が開口部突出缶蓋51から取り外され、開口仮封止栓61によって開口部突出缶蓋51が開けられるのは、前述した実施例と同様である。
【0040】
開口部突出缶蓋51が開蓋された後、開口部42を開口仮封止栓61によって仮封止する際には、まず、開口仮封止栓61の第二円筒部34に形成された第二仮止め突起部63を係合突起部52の形成されていない位置に遊嵌するように、開口仮封止栓61を開口部突出缶蓋51に嵌入させる。次いで、開口仮封止栓61をその周方向に開口部突出缶蓋51に対して回転させる。すると、傾斜している第二仮止め突起部63が係合突起部52に嵌入(凹部に嵌入)し、幅の最短部の位置で第二仮止め突起部63が制止させられる。その結果、開口部突出缶蓋51の開口部が開口仮封止栓61のテーパ部36に形成された仮封止突起部37によって仮封止されるのみならず、第二円筒部34に形成された第二仮止め突起部63が係合突起部52に嵌入し、開口仮封止栓61が開口部突出缶蓋51に固定される。また、第二仮止め突起部63と係合突起部52とがねじとして機能することにより、開口仮封止栓61を開口部突出缶蓋51に強固に固定することができる。これは、飲料が仮封止中に缶内圧を高くする炭酸含有飲料である場合には特に有効である。
【0041】
つぎに、この発明のさらに他の実施例を図面を参照して説明する。なお、上述の実施例と同じ部材については、前掲の図に付した参照符号と同じ参照符号を付して、その説明を省略する。図12及び図13に示す開口仮封止栓71は、開口嵌合凸部41を構成するテーパ部36と第二円筒部34との間に、第二円筒部34とは軸線方向反対側に延びる第三円筒部72が形成されている点が上述した他の実施例である開口仮封止栓61と異なる。この第三円筒部72は、第一円筒部32を係合突起部52に係合させた状態で開口仮封止栓71を開口部突出缶蓋51に冠着させた場合に、その下端部が窪み部8のスコア線10よりも外側でしかも三重に折り畳まれた部分よりもさらに外側の部分と接触することができる長さを有している。このように、第一円筒部32の第一仮止め突起部62と係合突起部52とが係合するのみならず、その係合部と離れた位置において第三円筒部72と窪み部8とが接触することによって、カートンケースに収容されパレット積みされて倉庫に保管されるような場合に、五段程度にパレット積みされて保管される際の最下段の製品が受ける静荷重及び運搬時の荷重(66.5kg程度)に充分耐えることができる。つまり、五段積みされて最下段に保管されても、開口仮封止栓71が部分的に変形して、開口部突出缶蓋51から外れたり、開口部突出缶蓋51の開口片9を押し下げて開口部突出缶蓋51を開口させてしまうことはない。なお、第三円筒部72の代わりに、円筒を幾箇所か切り欠いたものや同一円周上にほぼ等間隔に設けた凸部でも良い。このような凸部でも、パレット積みされた際に、開口仮封止栓71が受ける荷重を支えることができる。
【0042】
つぎに、この発明のさらに他の実施例について図面を参照して説明する。なお、上記実施例と同じ部材には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。図14には、開口嵌合凸部41を上側に向けた姿勢で開口部突出缶蓋80に取り付けられた状態の開口仮封止栓81が示されており、図15には、開口部突出缶蓋80の開口片9に対して押圧面40が突き当てられた状態の開口仮封止栓81が示されている。
【0043】
これらの図における開口仮封止栓81は、図1に示す開口仮封止栓31と類似した構造のものであり、具体的には、開口嵌合凸部41における傾斜部39の上縁部には、テーパ角が小さく、かつ長さの短い押圧部82が形成されている。そして、円筒状を成すこの押圧部82の端面が、押圧面40として構成されている。押圧面40は、平坦面を成しており、開口嵌合凸部41の中心軸線と直交する線と平行となっている。さらに、この押圧面40の幅は、開口嵌合凸部41の周方向での全体で均一となっている。すなわち、押圧面40と押圧部とが、この発明の凸部に相当している。なおこの開口仮封止栓81には、前述の実施例では備えられている第二仮止め突起部と第三円筒部と網目模様等は備えられていない。
【0044】
これに対して、図14に示す開口部突出缶蓋80の窪み部8は、その周縁部分が同図での下側に向けて凹状を成していて、つまり窪み部8には環状の凹部83が備えられている。また窪み部8の底部における凹部83よりも内側部分は、全体として円形を成すように三重に折り畳まれていて、ここが積層部分84として形成されている。その積層部分84のうちの図14での最下層には、一部を除いてその厚さ方向に貫通する切断線85が形成されている。
【0045】
この切断線85は、この発明の易破断線に相当するものであり、図16に示すように、前述の積層部分84の内周側先端部よりも外周側に位置している。すなわち切断線85は、積層部分84に沿うように形成されており、全体としてほぼ円形を成している。そして窪み部8における切断線85の内周側の部分が、開口片9として形成されている。さらに、積層部分84の近傍、具体的には、窪み部8の底部および開口片9のうち切断線85上およびこれに隣接した部分には、図16での下側からプラスチゾル11が塗布されている。
【0046】
なおプラスチゾル11を塗布するだけでは開口片9の強度が足りない場合や切断面の金属露出部の被覆が不充分な場合には、プラスチゾル11を塗布する前に、例えば低粘度で浸透性の良好な硬化型接着剤を切断線85部分に塗布し、硬化させておくのが好ましい。
【0047】
切断線85上およびこれに隣接した部分にプラスチゾル11を塗布することにより、金属露出部分の腐食防止と開口片9の切断部分を適度な範囲の接着強度としているので、図16に示す構造の開口部突出缶蓋80は、内容液の漏洩を防止できることに加えて、開口片9の開封を確実かつ簡単に行うことができる。また、切断線85に沿って開口させた状態での切断面が開口部42よりも外周側に現れるため、図1、図5および図12に示す構造と同様に消費者が指を切るなどのおそれがなく、特に開口部42の内周縁が曲面を成しているから、その効果がより顕著である。
【0048】
ところで、窪み部8のうち積層部分84よりも内周側には、図14での上側に向けて突出した環状凸部86が形成されている。具体的には、この環状凸部86は、積層部分84の内周側から中心軸線に向けて図14での上方に傾斜した外周斜面部87と、その外周斜面部87の周縁部(上縁部)に連続し、かつ窪み部8の底面と平行に配置された頂面部88と、その頂面部88に内周側の縁部に連続し、かつ同図での下方に傾斜した内周斜面部89とを備えている。
【0049】
さらに、開口片9における環状凸部86の内周側には、この発明の凹部に相当する開口嵌合凹部90が形成されている。より詳細には、開口嵌合凹部90は、環状凸部86における内周斜面部89とその内周側(窪み部8の中心側)に設けられた凸部12における斜面とによって区画された平坦な溝部あるいは谷部であって、寸法ならびに形状が開口仮封止栓81における押圧面40のそれと実質的に一致している。つまり、内周斜面部89の図14での下縁部と凸部12の下縁部との間隔が、押圧面40の内周縁と外周縁との間隔に一致している。
【0050】
また開口嵌合凹部90は、缶胴の中心軸線に対して直交した線と平行で、かつ窪み部8における積層部分84の最下層と面一となっている。なお開口嵌合凹部90の中心軸線は、缶胴および開口部突出缶蓋80の中心軸線とそれぞれ同軸上に配置されている。また図14での開口嵌合凹部90の上面部と頂面部88との間隔は、開口仮封止栓81における押圧部82の長さよりも若干短く設定されている。
【0051】
つぎに、上記のように構成されたこの発明の作用について説明する。消費者は、缶体に封入された飲料を飲むために、開口仮封止栓81を開口部突出缶蓋80から取り外す。それらがプラスチックフィルム等によってシュリンク包装されている場合には、最初にフィルムを除去する。
【0052】
さらに、開口仮封止栓81をその押圧面40が開口部突出缶蓋80の開口片9に対向するように保持し、その後、図15に示すように、開口仮封止栓81の押圧面40を開口部突出缶蓋80の開口嵌合凹部90に嵌め込むように当てがい、さらに、その状態から押圧する。その際に、窪み部8の表面において開口嵌合凹部90の全体が目視可能な状態であることに加えて、押圧面40と一致する形状の開口嵌合凹部90がその内周側および外周側に全体として環状の斜面を備えた構造であることから、開口仮封止栓81を開口部突出缶蓋80における開口片9に対して簡単かつ確実にセンタリングさせることができる。
【0053】
すなわち、押圧面40と開口嵌合凹部90との相対位置が半径方向で若干ズレていても、押圧面40あるいは押圧部82の内周縁および外周縁が、開口嵌合凹部90を挟んで対向した環状凸部86の内周斜面部89と凸部12の斜面に沿って滑り落ちるようにして開口嵌合凹部90まで導かれ、その結果、開口仮封止栓81が、その中心軸線を開口片9の中心軸線に対して揃えた状態に位置決めされる。従って、開口片9に対して開口仮封止栓81の押圧荷重が良好に作用し、そのため、窪み部8における切断線85の形成されていない部分をヒンジとして開口片9が開口部突出缶蓋80の内側に押し下げられて、開口部42が現れる。つまり、開口部突出缶蓋80が確実かつスムースに開口する。なお、この実施例では、スコア線に替えて切断線85が採用されているから、前述の実施例よりも小さい押圧力によって開蓋できる。
【0054】
また前述の通り、押圧面40を位置決めした状態で押圧力を生じさせるから、開口片9および開口仮封止栓81には変形が生じない。なお、開口部突出缶蓋80の開口部42を開口仮封止栓81によって仮封止することに伴う作用は、図1に示す実施例と同様であるから、ここでは省略する。このように、図14および図15に示す実施例では、開口時の位置決めが不安定なことに起因した開口片9の変形と開口仮封止栓81の変形と開口不良とを未然に防止することができる。
【0055】
つぎに、この発明のさらに別の実施例について図17および図18を参照して説明する。これらの図に示す開口仮封止栓91は、第三円筒部92を備えている点で図14に示す開口仮封止栓81と構造が異なっている。また図17および図18に示す開口部突出缶蓋93は、窪み部8の周縁部分に環状の凹部83を備えていない点で図14に示す開口部突出缶蓋80と構造が異なっている。
【0056】
すなわち、第三円筒部92は、開口仮封止栓91におけるパネル部35から第二円筒部34とは軸線方向での反対側に缶胴の中心軸線とほぼ平行に突出した筒状を成していて、その端面は缶胴の中心軸線と直交する線と平行な平坦面を成している。また第三円筒部92の直径は、テーパ部36の最大直径よりも若干大きい設定となっている。つまり、この開口仮封止栓91が図17に示す姿勢で開口部突出缶蓋93に取り付けられた状態において、第三円筒部92の端面が開口部突出缶蓋93における窪み部8の積層部分84に一致する構成となっている。さらに、第三円筒部92の長さは、接触面7から窪み部8までの間隔よりも僅かに短く設定されている。
【0057】
前述の通り、開口部突出缶蓋93における窪み部8には、凹部83を備えておらず、すなわち、周縁部分からその内周側の積層部分84に亘って平坦面に形成されている。そして、この平坦面を成す部分は、図17での左右方向に対向する第一円筒部32同士を結んだ線よりも若干低い位置に設定されている。この開口部突出缶蓋93における他の構造は、図14に示す開口部突出缶蓋80と同じ構成となっている。つまり、窪み部8には、図14に示す開口部突出缶蓋80と同じ構造の環状凸部86と開口嵌合凹部90と凸部12とが備えられている。従って、環状凸部86は、開口仮封止栓91に形成された押圧面40と形状ならびに寸法が共に一致した構造となっている。
【0058】
つぎに、上記のように構成されたこの発明の作用について説明する。上記の実施例で説明したように、この種の開口仮封止栓付缶は、開口仮封止栓91の第一仮止め突起部33を開口部突出缶蓋93の係合突起部6に係合させた状態で運搬および保管される。図17に示す実施例では、窪み部8のうち開口片9を避けた部分に対して第三円筒部92の端面が当接されていて、開口仮封止栓91における第一仮止め突起部33よりも内周に位置する部分が第三円筒部92と窪み部8とによって支持された構造となっているから、例えばパレット積みされた状態でも開口仮封止栓91が過度には変形せず、従って、開口部突出缶蓋93から外れたり、開口片9を押し下げて開蓋させてしまうことが未然に防止される。
【0059】
ところで、開口仮封止栓91を用いて開口部突出缶蓋93を開けるにあたっては、まず、図17に示す状態で開口部突出缶蓋93に対して取り付けられている開口仮封止栓91を取り外すとともに、その押圧面40が開口部突出缶蓋93の開口片9に対向するように保持し、さらに、図18に示すように、押圧面40を開口嵌合凹部90に嵌め込むように当接させて、そのまま押圧する。その場合、開口嵌合凹部90の全体が目視可能な構造であることに加えて、開口嵌合凹部90がその内周側および外周側に全体として環状の斜面を備えた構造であることから、押圧部82を開口嵌合凹部90に対して簡単かつ確実に配置させることができる。
【0060】
すなわち、押圧面40と開口嵌合凹部90との相対位置が半径方向で若干ズレていても、押圧面40あるいは押圧部82の内周縁および外周縁が、開口嵌合凹部90を挟んで対向した環状凸部86の内周斜面部と凸部12の斜面に沿って滑り落ちるようにして開口嵌合凹部90まで導かれ、その結果、開口仮封止栓91の中心軸線と開口片9の中心軸線とが揃った状態となる。換言すれば、開口仮封止栓91を開口部突出缶蓋93における窪み部8に対して簡単かつ確実にセンタリングさせることができる。
【0061】
このように押圧面40が開口嵌合凹部90に位置決めされることにより、開口片9に対して開口仮封止栓91の押圧荷重が良好に作用する。従って、開口部突出缶蓋93を確実かつスムースに開口できるばかりでなく、開口片9および開口仮封止栓91に変形が生じない利点がある。なお、開口部突出缶蓋93の開口部42を開口仮封止栓91によって仮封止することに伴う作用は、図1に示す実施例と同様であるから、ここでは省略する。
【0062】
つぎに、この発明のさらに別の実施例について図19乃至図21を参照して説明する。これらの図に示す具体例は、図5に示す実施例と同様に開口仮封止栓94を開口部突出缶蓋95に対していわゆるねじ止めできる構造である。より詳細には、開口仮封止栓94における第二円筒部34の内面には、第二仮止め突起部96が設けられている。この第二仮止め突起部96は、図19での左側から右側に向けて傾斜した断面台形状の突条であり、円周方向での等間隔で例えば3個設けられている。
【0063】
一方、この開口仮封止栓94の開口嵌合凸部41におけるテーパ部36の外面には、前述の実施例に備えられている仮封止突起部37が備えられておらず、平滑面に形成されている。またこの開口仮封止栓94における開口嵌合凸部41には、押圧部が備えられておらず、換言すれば、図19での傾斜部39の上縁部と押圧面40との間に段差がない構造となっている。この押圧面40は、上記各実施例と同様に、平坦面を成していて、全体として環状に形成されている。さらに、開口仮封止栓94におけるパネル部35の下面には、第三円筒部97が形成されていて、その第三円筒部97の高さは、開口部突出缶蓋95における接触面7と積層部分84との間隔よりも若干小さく設定されている。すなわち、図19に示す姿勢で開口仮封止栓94を開口部突出缶蓋95に取り付けた状態で第三円筒部97の端面が窪み部8に対して接触しない構造となっている。
【0064】
さらに、図21に示す開口仮封止栓94では、第一仮止め突起部100が第一円筒部32の内面のうち基端部側、つまりパネル部35との境界部分の近傍に形成されている。この第一仮止め突起部100は、等間隔で6個備えられている。第一円筒部32ならびに第二円筒部34の外面には、これらの軸線方向に沿う向きの縦溝模様64が形成されている。また第二円筒部34の上縁部の外面には、半径方向での外側に突出した指掛け用の突条98が形成されている。
【0065】
これに対して、開口部突出缶蓋95における隆起部5の上端箇所には、係合突起部99が円周方向での等間隔に3個形成されている。各係合突起部99は、図20に示すように、接触面7の外周縁が半径方向での外側に向けて僅かに張り出した構造となっている。すなわち、係合突起部は、図19での下側に向けて径が小さくなるように形成されている。また各係合突起部99の側面は、図20に示すように、円弧状を成している。さらに、接触面7の内周縁のうち各係合突起部99に対応した部分が半径方向での外側に向けて僅かに張り出した構造となっている。これは、接触面7の内周縁を半径方向での外側に向けて押圧することによって、接触面7の外周縁を塑性変形させて係合突起部99を形成しているからである。
【0066】
従って、接触面7の内周縁から窪み部8に繋がる部分のうち係合突起部99に対応していない箇所は、テーパの付けられた状態で半径方向での外側に入り込んでいる。つまり、この部分は、図19での下側に向けて径が大きくなるように形成されている。これに対して、接触面7の内周縁から窪み部8に繋がる部分のうち係合突起部99に対応した箇所は、開口部突出缶蓋95の中心軸線と平行な面となっている。
【0067】
他方、図19に示すように、窪み部8の周縁部分には、前述の実施例に備えられている凹部83は形成されておらず、周縁部分からその内周側の積層部分84に亘って平坦面となっている。そして、この平坦面を成す部分は、図19での左右方向に対向する第一円筒部32同士を結んだ線よりも若干高い位置に設定されている。この開口部突出缶蓋95における他の構造は、図14に示す開口部突出缶蓋80と同じ構成となっている。つまり、窪み部8には、図14に示す開口部突出缶蓋80と同じ構造の環状凸部86と開口嵌合凹部90と凸部12とが備えられていて、特に開口嵌合凹部90の形状ならびに寸法は、開口仮封止栓94の押圧面40のそれと一致している。
【0068】
つぎに、上記のように構成されたこの発明の作用について説明する。図19に示す実施例においても、開口仮封止栓94における第一仮止め突起部100よりも内周部分が第三円筒部97と窪み部8とによって支持された構造となっているから、例えばパレット積みされた状態で保管される場合でも、開口部突出缶蓋95から開口仮封止栓94が外れたり、あるいは開口片9を押し下げて開蓋させてしまうことがない。
【0069】
他方、開口仮封止栓94を用いて開口部突出缶蓋95を開ける場合には、まず、図19に示す状態で開口部突出缶蓋95に対して取り付けられている開口仮封止栓94を取り外すとともに、その押圧面40が開口部突出缶蓋95の開口片9に対向するように保持し、さらに、図21に示すように、押圧面40を開口嵌合凹部90に嵌め込むように当接させ、その状態から押圧する。その際に、開口嵌合凹部90の全体が目視できることおよび押圧面40と一致する形状の開口嵌合凹部90がその内周側および外周側に全体として環状の斜面を備えていることによって、押圧面40を開口嵌合凹部90に対して簡単に組み付けることができる。
【0070】
すなわち、押圧面40と開口嵌合凹部90との相対位置が半径方向で若干ズレていても、押圧面40の内周縁および外周縁が、開口嵌合凹部90を挟んで対向した環状凸部86の内周斜面部89と凸部12の斜面に沿って滑り落ちるようにして開口嵌合凹部90まで導かれ、その結果、開口仮封止栓94の中心軸線と開口片9の中心軸線とが揃えられ、つまり、両者がセンタリングされる。このように窪み部8における押圧面40の位置決めが確実に行われることにより、開口片9に対して開口仮封止栓94の押圧荷重が良好に作用する。従って、開口片9および開口仮封止栓94には変形が生じず、その結果、開口部突出缶蓋95を確実かつスムースに開口させることができる。なお、開口部突出缶蓋95の開口部42を開口仮封止栓94によって仮封止することに伴う作用は、図1に示す実施例と同様であるから、ここでは省略する。
【0071】
なお、上記の実施例では、易破断線としてスコア線と切断線とを挙げたが、易破断線は、要は開口仮封止栓によって開口片を押圧した場合に簡単に破断され、かつ缶体の運搬・保管時等において内容液の漏洩が生じないものであればよいのであって、前述の2種類に限定されるものではない。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明では、第一仮止め突起部が開口仮封止栓の第一円筒部に形成されていることによって、開口仮封止栓を缶蓋の係合突起部に係合させた状態で缶を輸送・販売することができる。また、開口仮封止栓が缶蓋の窪み部と突出部とその間の部分とを覆っているので、輸送・販売中に異物が缶蓋のこれらの部分に付着することを防ぐことができ、衛生的である。
【0073】
また、突出部の窪み部に形成された易破断線を破断し開蓋するために開口仮封止栓の開口嵌合凸部が用いられることによって、指で直接開口片を押圧して易破断線を破断し開蓋する場合と比較して指を傷つけたり、指に飲料等の内容液が付着するおそれがない。また、無理無く開口片を押圧して易破断線を破断し開蓋することができる。
【0074】
さらに、開蓋後、開口仮封止栓によって、缶蓋の開口部を仮封止することができるので、缶体を倒した場合のように飲み残した飲料や使い残した内容液をこぼしてしまうことを防ぐことができ、また仮封止した缶体を持ち運ぶことができる。
【0075】
また、請求項2の発明では、開口嵌合凸部がその最大外径が開口部の内径以上であるテーパ部によって形成されていることによって、開蓋後缶蓋を仮封止する際に、缶蓋の封止を完全にすることができ、飲料等が漏れ出したりすることを防ぐことができる。
【0076】
さらに、請求項3の発明では、テーパ部に開口部の内径よりも大きい突起部が形成されていることによって、開蓋後缶蓋を仮封止する際に、開口仮封止栓を缶蓋に確実に固定させることができる。
【0077】
そして、請求項4の発明では、係合突起部と第二仮止め突起部とが互いに係合可能に螺旋状に傾斜して形成されていることによって、開蓋後缶蓋を仮封止する際に、開口仮封止栓を缶蓋に対して回転させることによりさらに確実に缶蓋に固定することができる。また、炭酸含有飲料のように、缶体の内圧が高くなる飲料を仮封止する際には特に有効である。
【0078】
また、請求項5の発明では、第一円筒部が係合突起部に外嵌されている状態のときに、少なくとも同一円周に沿って設けられている凸部が窪み部の易破断線よりも外側の蓋板と接触しているので、開口仮封止栓付缶がカートンケースに収容されパレット多段積みされる際等に最下段の缶の開口仮封止栓が受ける大きな荷重に耐え、缶蓋から外れたり、開口片を押し下げたりすることがない。
【0079】
またさらに、請求項6の発明では、開口片に凹部あるいは凸部のうちのいずれかが備えられると共に、それらの他方に対して嵌合可能な凸部あるいは凹部のいずれかが開口嵌合凸部に備えられていることによって、缶蓋をより一層簡単かつ確実に開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の開口仮封止栓付缶の開口部突出缶蓋と開口仮封止栓との実施例を示す断面図である。
【図2】 開蓋前のスコア線の近傍を示す部分断面図である。
【図3】 開蓋後の開口仮封止栓付缶の開口部突出缶蓋と開口仮封止栓とを示す断面図である。
【図4】 開蓋後に開口部を開口仮封止栓により仮封止した状態のスコア線の近傍を示す部分断面図である。
【図5】 この発明の開口仮封止栓付缶の開口部突出缶蓋と開口仮封止栓との他の実施例を示す断面図である。
【図6】 係合突起部を示す拡大図である。
【図7】 係合突起部が形成されていない部分を示す断面図である。
【図8】 係合突起部を示す断面図である。
【図9】 係合突起部を示す断面図である。
【図10】開口部突出缶蓋の突出部を示す平面図である。
【図11】開蓋後の開口仮封止栓付缶の開口部突出缶蓋と開口仮封止栓とを示す断面図である。
【図12】この発明の開口仮封止栓付缶の開口部突出缶蓋と開口仮封止栓とのさらに他の実施例を示す断面図である。
【図13】開蓋後の開口仮封止栓付缶の開口部突出缶蓋と開口仮封止栓とを示す断面図である。
【図14】 開口仮封止栓および開口部突出缶蓋のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図15】 図14に示す実施例の開封を開始する状態を示す断面図である。
【図16】 窪み部における積層部分を示す断面図である。
【図17】 開口仮封止栓および開口部突出缶蓋のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図18】 図17に示す実施例において開封する状態を示す断面図である。
【図19】 開口仮封止栓および開口部突出缶蓋のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図20】 開口部突出缶蓋における係合突起部を示す概略図である。
【図21】 図19に示す実施例の開封を開始する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,51,80,93,95…開口部突出缶蓋、 6,52,99…係合突起部、 7…接触面、 8…窪み部、 9…開口片、 10…スコア線、 11…プラスチゾル、 12…凸部、 21…缶胴、 31,61,71,81,91,94…開口仮封止栓、 32…第一円筒部、 33,62,100…第一仮止め突起部、 34…第二円筒部、 36…テーパ部、 37…仮封止突起部、 38,65,98…突条、 40…押圧面、 41…開口嵌合凸部、 42…開口部、 63,96…第二仮止め突起部、 72,92,97…第三円筒部、 85…切断線、 90…開口嵌合凹部。
Claims (6)
- 缶胴の開口端に巻き締め固着されるフランジ部を外周部に備えた缶蓋であって、その軸線方向に該フランジ部よりも外方へ突出した環状の突出部が形成されると共に、該突出部の内周側に、該突出部の外周縁より窪んだ窪み部が形成され、該窪み部に輪郭の少なくとも一部に破断容易なほぼ円形の易破断線により区画された開口片が設けられた缶蓋を、前記フランジ部により前記缶胴の開口端に巻き締め固着した缶において、
該突出部の先端外周部には、上端部が半径方向外方へ突出し、その下方部が半径方向内方に窪む凹部である係合突起部が形成されており、
該係合突起部には、該係合突起部と係合して少なくとも該係合突起部及び該窪み部を覆うと共にこれらの上に冠着する開口仮封止栓を備え、該開口仮封止栓が、該係合突起部に外嵌される第一円筒部と、該第一円筒部の内面に形成され該係合突起部に係合する第一仮止め突起部と、該第一円筒部とは軸線方向で反対側に延びる第二円筒部と、該第二円筒部の内周側に軸線方向外方へ突出している前記開口片を押圧して前記易破断線を破断させる開口嵌合凸部を備えていることを特徴とする開口仮封止栓付缶。 - 前記開口嵌合凸部が、その側壁部分に、最大外径が前記易破断線が破断した後に形成される開口部の内径以上であるテーパ部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の開口仮封止栓付缶。
- 前記テーパ部の軸線方向での中間部に、前記開口部の内径よりも大きい外径を有する突起部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の開口仮封止栓付缶。
- 前記係合突起部が、前記突出部の円周方向に所定の間隔をあけて複数形成されると共に、各係合突起部の半径方向外方への突出量が円周方向に次第に増大し、且つ突出量の少ない部分から最も大きい部分に向かって前記係合突起部がその基端部側に傾斜した螺旋状に形成され、また前記第二円筒部の先端内面に前記係合突起部に係合する第二仮止め突起部が前記第二円筒部の円周方向に所定の間隔をあけて複数個形成されると共に、各第二仮止め突起部が、前記係合突起部の螺旋状の傾斜に対応して傾斜し旦つ前記係合突起部に係合する傾斜面を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の開口仮封止栓付缶。
- 前記開口仮封止栓が、前記開口嵌合凸部と該第二円筒部の間であって、該第二円筒部とは軸線方向反対側に突出するとともに、該第一円筒部が前記係合突起部に外嵌されている状態のときに、下端が前記易破断線よりも外側の前記窪み部と接触する様に少なくとも同一円周に沿って設けられている凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の開口仮封止栓付缶。
- 前記開口片に凹部あるいは凸部のうちのいずれか一方が備えられると共に、それらのうちの他方に対して嵌合が可能な凸部あるいは凹部のいずれか一方が前記開口嵌合凸部に備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の開口仮封止栓付缶。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101499788B1 (ko) * | 2014-03-20 | 2015-03-09 | 주식회사 대륙제관 | 액체용기용 공기 흡입구 |
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1999
- 1999-02-25 JP JP04899899A patent/JP3776617B2/ja not_active Expired - Fee Related
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