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JP3774319B2 - 溶融金属炉のためのランス/バーナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、溶融金属のプールを収容する炉に酸素のようなガスを注入する方法に関し、特に電気アーク炉で使用するのに有益である。
【0002】
【従来の技術】
炉で溶融金属を加工処理するに際しては、酸素のようなガスを溶融金属中に供給することがしばしば望まれる。電気アーク炉での溶融金属加工についての最近の有意義な進歩は、マシュア氏他の米国特許5572544に開示される後燃焼法であり、この方法では、主酸素が溶融金属プールの表面よりも上方から溶融金属中に供給されそして後燃焼酸素は溶融金属プールの表面よりも上方であるがしかしそれに接近して炉に供給される。このような系では、主酸素が溶融金属プール中に侵入しなければならないので、それは、1個以上の水冷式ランスを使用して溶融金属表面に極めて接近して炉に注入されなければならず、又は1個以上の管を使用して溶融金属プールの表面よりも下の点で溶融金属中に注入されなければならない。しかしながら、この方法はなお満足なものではない。というのは、液表面へのガス注入装置の先端の接近が水冷式ランス型酸素インゼクターに対して過度のしかし不可避的な摩耗を引き起こすからである。管は溶融鋼浴中に浸漬された端部の溶融や酸化を補償するために連続的に前進されなければならず、このことは、管の操作装置を必要とするのならず連続的な管の損失のために費用がかかる。その上、溶融金属の表面は固定的でないので、酸素インゼクターは、酸素の注入が溶融金属プール表面の距離に対して適切な位置で且つ適切なノズルを使用して行なわれるのを確実にするように連続的に移動されなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、溶融金属のプールを収容する炉に酸素のようなガスを供給するための系であって、そのガスが溶融金属プール中に入るがしかしガス注入系に対する過度の摩耗が回避されるような炉へのガス供給系を提供することである。
【0004】
溶融金属プール中にガスを供給することに加えて、例えばスクラップを溶融するには、熱を溶融金属プールに供給することが望まれる時がある。従って、本発明の他の目的は、ガスを炉内の溶融金属中に効率的に通すことができ、しかも熱を炉に供給することができるようにするための炉へのガス供給系を提供することである。
【0005】
電気アーク炉の操作では、溶融金属プールの上方で起泡性スラグ層を発生させることが望ましい。従って、本発明の他の目的は、ガスを電気アーク炉に供給するための系であって、ガスを炉内の溶融金属中に効率的に通すことができ、しかも溶融金属プールの上方で起泡性スラグ層を発生させることができるようにするための電気アーク炉へのガス供給系を提供することである。
【0006】
電気アーク炉の操作では、発生される煙霧の量を減少させることが望ましい。従って、本発明の目的は、ガスを電気アーク炉に供給するための系であって、はね飛び(スプラッシュ)の発生を最小限にし、そしてたとえはね飛びが発生してもその近傍に煙霧発生の量を減少させる還元性雰囲気を提供する電気アーク炉へのガス供給系を提供することである。
【0007】
電気アーク炉の操作では、炭素、石灰、合金等のような反応剤を粉末形態で浴に注入することが望ましい。従って、本発明の他の目的は、ガスを電気アーク炉に供給するための系であって、ガスを炉内の溶融金属中に効率的に通すことができ、しかも溶融金属中に粉末状反応剤を導入することができるようにするための電気アーク炉へのガス供給系を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明の概要
上記の目的及び他の目的は当業者にはこの開示を通読する時に明らかになるであろうが、これらの目的は、
溶融金属のプール及びその上面にあるスラグの層からなる浴を収容する炉にガスを供給する方法において、
(A)浴の上方で高速主ガス流れを炉に注入し、且つその高速主ガス流れと同軸的に燃料及び二次酸素を炉に注入し、
(B)燃料を二次酸素で燃焼させて高速主ガス流れの周囲に火炎エンベロープを形成し、そして
(C)高速主ガス流れを浴に送り、そこで火炎エンベロープ実質上炉内の高速主ガス流れの全長を浴まで延長る、
ことを含む炉へのガス供給法、
からなる本発明によって達成される。
特に、本発明の目的は、
溶融金属プール(及びその上面にあるスラグ層からなる浴を収容する炉中に該浴の表面よりも上方に離れた所で炉に配置された注入点からガスを注入してその浴表面に侵入させて溶融金属プール中に導入するための方法において、
(A)(1)浴の上方で炉に、その浴の表面に向けられたノズルを経て、(a)超音速の初期噴射軸速度を有する主ガス流れと、(b)その超音速主ガス流れと同軸にある燃料及び二次酸素とを注入し、そして
(2)超音速主ガス流れを、燃料を二次酸素と共に燃焼させることによって形成された火炎エンベロープであって、炉において超音速主ガス流れの実質上全長をノズルの出口から浴の表面まで延長する火炎エンベロープで包囲して凝集性に維持し、ここでノズルは出口直径dを有しそして炉内の超音速主ガス流れの長さは少なくとも20dである、
ことによって炉内においてガスの凝集性超音速噴流を形成し、そして
(B)浴の表面に主ガス流れを侵入させて溶融金属プール中に導入し、ここで浴との接触点における主ガス流れの噴射軸速度はなお超音速である、
ことを含むガスの注入法、
によって達成される。
他の具体例では、本発明の目的は、
電気アーク炉において溶融金属プール及びその上面にあるスラグ層からなる浴中に、該浴の表面よりもランスに対する過度の摩耗を回避するのに十分なだけ上方にある位置で炉の側壁に配置されて浴の表面に向けられた少なくとも1個の酸素ランスの中細ノズルから酸素を注入してその表面に侵入させるための方法において
(A)(1)浴の表面の方に向けられた中細ノズルの中央孔から炉に、(a)超音速の初期噴射軸速度を有する酸素の中心流れと、(b)その超音速酸素中心流れと同軸にある燃料及び二次酸素とを注入し、そして
(2)超音速酸素中心流れを、その超音速酸素中心流れよりも低い速度を有する火炎エンベロープであって、燃料を二次酸素と共に燃焼させることによって形成され、そして炉において超音速酸素中心流れの実質上全長をノズルの出口から浴まで延長する火炎エンベロープで包囲して凝集性に維持し、ここでノズルは出口直径dを有しそして炉内の超音速酸素中心流れの長さは少なくとも20dである、
ことによって炉において実質上全長にわたって凝集性の超音速酸素噴流を形成し、そして
(B)浴の表面に超音速酸素中心流れを侵入させて溶融金属プール中に導入し、ここで浴との接触点における酸素中心流れの噴射軸速度はなお超音速である、
ことを含む酸素の注入法、
によって達成される。
【0009】
用語「酸素」を本明細書で使用するときには、それは、空気の酸素濃度を越えた酸素濃度を有し、好ましくは少なくとも30モル%そして最も好ましくは少なくとも80モル%の酸素濃度を有する流体を意味する。酸素は、99.5モル%又はそれ以上の酸素濃度を有する工業用純酸素であってよい。
【0010】
用語「火炎エンベロープ」を本明細書で使用するときには、それは、主ガス流れと実質上同軸で且つそれに対して環状の燃焼しつつある流れを意味する。
【0011】
用語「スラグ」を本明細書で使用するときには、それは、一般には酸化カルシウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、二酸化アルミニウム及び酸化鉄のうちの1種以上を含む酸化物の溶融又は固体層を意味する。
【0012】
用語「起泡性スラグ」を本明細書で使用するときには、それは、スラグ層の密度を大きく低下させそしてそのスラグ層に発泡体様の外観及び挙動を付与する一酸化炭素のようなガスバブルを高い容量割合で含有するスラグを意味する。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の具体的な説明
一般には、本発明は、高速噴流の周囲にある火炎エンベロープによって凝集性に維持される酸素のような高速主ガス噴流の形成及びその使用を包含する。この噴流の凝集性は、炉への噴流の注入点を溶融金属プールの表面よりも上の有意の距離に置くことを可能にし、しかも噴流が溶融金属プールの表面に侵入するのを可能にして高速主ガスが溶融金属プール中に入ることができるようにする。火炎エンベロープは、高速ガス流れとそれぞれ環状的に同軸である2つの流体流れで炉に注入されるのが好ましい流体を燃焼させることによって形成される。流体流れのうちの一方は燃料流れであり、そして他方は二次酸素流れである。2つの環状流れの燃焼から生じるより緩慢に移動する火炎エンベロープは、高速ガス流れの周囲に流体シールド又はバリヤを形成し、しかして、高速ガス流れの外部からのガスが高速ガス流れ中に連行されるのを大きく減少させる。通常、高速流体流れが空気又はある他の雰囲気を通過するにつれて、ガス高速流れ中に連行され、しかしてそれを特徴的な円すいパターンで膨張させる。火炎エンベロープバリヤの作用によって、この連行は、炉への注入点から有意の距離の間大きく減少され、そして高速ガス噴流はこの距離の間その元の直径を実質上保持し、即ち、この距離の間凝集性である。この凝集性は噴流が溶融金属浴に侵入するその能力を保持するのを可能にし、従ってその噴流注入点は溶融金属表面から間隔を置くことができ、しかもなお適切な溶融金属侵入を達成することができる。その上、所望ならば、噴流は、主ガスと共に溶融金属中に注入されることができる粉末又は他の添加剤を含有することができる。
【0014】
本発明の特に有益な応用例は電気アーク炉でのその使用にある。このような実施例では、主ガスの噴流は、溶融金属中の炭素と反応して一酸化炭素(これは溶融金属からバッブリングする)を形成する酸素を含む。後燃焼酸素は、溶融金属プールの表面よりも上でこの一酸化炭素と反応し、しかして追加的な熱を炉に供給してエネルギー効率及び生産性を向上させ、且つ炉から大気中に放出される有害な一酸化炭素のレベルを低下させる。
【0015】
添付図面を参照しながら電気アーク炉の用途に関して本発明をより詳細に説明する。
【0016】
先ず図2及び3を説明すると、中央導管2、第一環状通路3及び第二環状通路4を有するランス1が例示されるが、その環状通路の各々は中央導管2と同軸である。中央導管2はランス1の注入端5で終わって主オリフィス6を形成する。また、図面に示されるように、第一及び第二環状通路も、好ましくは主オリフィス6と実質上同じ平面においてその注入端で終わる。第一及び第二環状通路はそれぞれ、主オリフィス6の周囲に環状オリフィスを形成することができる。好ましくは、図3に例示されるように、第一環状通路3は、主オリフィス6の周囲にサークル状に配置された一組の第一注入孔7の注入端5で終わり、そして第二環状通路4は、主オリフィス6及び第一注入孔7の周囲にサークル状に配置された一組の第二注入孔8の注入点で終わる。中央導管2及び第二環状通路4の各々は酸素の源(図示せず)と連通する。中央導管2及び第二環状通路4で使用される酸素は同じ酸素流体であってよく、又は中央導管2で使用されるものとは異なる酸素流体を第二環状通路4において使用することもできる。第一環状通路3は、燃料の源(図示せず)と連通する。燃料は、任意の燃料であってよく、好ましくはガス状燃料であり、そして最も好ましくは天然ガス又は水素である。別の具体例では、燃料は最外部の環状通路にあるランスを通されることができ、そして内側環状通路においてランスを通して二次酸素を送ることができる。もう1つの別の具体例では、燃料及び二次酸素は、1つの環状通路を通る混合物としてランスを通されることができる。
【0017】
図1を説明すると、側壁21及び底壁22を有しそして溶融金属プール23からなる浴を収容する電気アーク炉20が示されている。一般には、その金属は鉄又は鋼からなる。図1には、溶融金属プールの上方にあるスラグ層24(これは溶融されても又は固体であってもよい)及びそのスラグ層24の上方にあるスクラップ金属層25も示めされている。このスラグ層は、一般には、酸化カルシウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、二酸化アルミニウム及び酸化鉄のうちの1種又はそれ以上を含む。もしもスクラップ層が存在するならば、それは、電極26によって提供される熱によって溶融されて溶融金属プール23を形成する。この溶融金属プールは、金属の他に、炭素及び/又は炭化水素のような酸化性物質を含む。
【0018】
ランス/バーナー1は、側壁21を突き刺してその注入端5が浴の上面よりも上方にあってそれから少なくとも20dの噴射軸添った距離だけ離隔されるように配置され、そして100dまで又はそれ以上の噴射軸に添った距離だけ浴から間隔を置いて配置されることができる。ここで、dは、主ガスがランス/バーナーから噴射されるところのノズルの出口直径である。噴射軸は、噴射の長さに沿ってその中心を走る想像上の線である。典型的には、噴射軸に添ったこの間隔は、30d〜60dの範囲内である。図1は、例示の目的で、炉で使用される1個のランスを示す。工業的な実施では、1個よりも多いランスを使用することが好ましい場合がある。好ましくは、3個又は4個のランスが使用され、そしてそれらの位置は、炉の側壁又は屋根にある電極とその近くの開口との間のような炉の通常より冷たい領域に熱を供給するように選択される。主酸素は、図4に示されるように、ランス1のノズルオリフィス6を経て溶融金属プール23からなる浴に向けて初期噴射軸速度で一般には少なくとも1000ft/秒(fps)でそして好ましくは少なくとも1500fpsで炉20に注入されて高速主酸素流れ30を形成する。噴射軸速度は、ガス流れの噴射軸におけるその速度である。主酸素は、その主酸素流れの初期噴射軸速度の少なくとも50%好ましくは少なくとも75%の速度で浴と接触する。好ましくは、主酸素は、ランスからの噴射時に超音速を有し、そしてそれが浴と接触するときにも超音速を有する。
【0019】
主酸素の注入と同時に、第一注入孔7を経て燃料が炉20に注入されそして第二注入孔8を経て二次酸素が炉20に注入されて燃料流れ及び二次酸素流れを形成し、しかしてこれらの流れの各々は流れ30と同心で且つ同軸である。二次酸素は燃料と共に燃焼して火炎エンベロープ33を形成する。この火炎エンベロープ33は、主酸素流れ30の速度よりも低い速度を有しそして一般には50〜500fpsの範囲内である。火炎エンベロープは、ランスの先端に又はそれに極端に接近して例えば1インチ以内で生じ、そして実質上炉内の主ガス流れの全長を浴まで延長する。好ましくは、火炎エンベロープは、炉内の主ガス流れの全長をまで延長る。
【0020】
火炎エンベロープ33は酸素流れ30の周囲にバリヤ又はシールを形成し、これによって流れ30の外側のガスの量が流れ30中に連行されるのを大きく減少させる。かくして、流れ30は、それがランス1を経て炉に注入される点からそれが溶融金属プール23からなる浴と衝突する点まで有意には膨張しない。一般には、流れ30が溶融金属プール23からなる浴と衝突するときのその直径は、それがランス1を経て炉20に注入されるときのものと本質上同じである。流れ30はそれがランスの注入端から浴の表面に入るときに実質上凝集性のままであるので、ランスの注入端は溶融金属から大きな距離にあってよく、しかもなお、高速酸素流れ30が浴表面を侵入して溶融金属プール中に入る程に十分な力で溶融金属プール表面と衝突するのを可能にする。
【0021】
溶融金属プール23内で、高速流れ30中の主酸素は、溶融金属プール中の酸化性物質と反応する。例えば、主酸素は、炉に追加的な熱を供給しそして溶融金属を撹拌して熱伝達を向上させるところの発熱反応において、溶融金属プール中の炭素と反応して一酸化炭素を発生させることができる。溶融金属プール内での主酸素と酸化性物質との反応によって発生されるガスはその溶融金属プールからバブリングして上昇する。多くの場合に、このようなガスは、上記の一酸化炭素のような不完全燃焼種の形態にある。このような不完全燃焼種は炉から未反応のままで出される場合には環境上有害であり、しかもエネルギーの損失になる。先に記載したように、溶融金属の上方で炉に供給される後燃焼酸素がこれらの不完全燃焼ガス種と反応する。
【0022】
ランスの形態の本発明の1つの具体例では、燃料及び二次酸化剤の使用量は、火炎エンベロープを形成するのに要求されるよりも有意には大きくない。しかしながら、ある場合には、例えば炉でスクラップを溶融させるように炉に多量の熱を供給するのが望ましいことがある。このような場合には、炉に高い流量の酸化剤を供給することができ、そして炉用の熱を発生させるために燃料を燃焼させるのに燃料及び酸化剤(これは二次及び/又は主酸化剤であってよい)が使用される。即ち、本発明の実施で使用されるランスは、所望ならば、バーナーとして即ちランス/バーナーの態様で機能することもできる。この方法で、酸素噴流が溶融浴表面に達するために通過することができる未制限通路を提供するためにスクラップ金属に侵入してそれを溶融するのに使用されることができる極めて強力な火炎が提供される。同時に、火炎は、スクラップの溶融や落ち込みの進行のためにバーナーの前で落下する可能性があるすべてのスクラップを溶融することができ、これによってこの通路を浴のランス吹き込み用に維持することができる。また、高い天然ガス流量は、凝集性噴流が溶融金属浴に侵入するにつれてその周囲に燃料ガスのブランケットを提供することができる。凝集性噴流が溶融金属浴に侵入するときに、小さい局部キャビテイが形成され、そしてガス流れの偏りがほとんどなくそして浴のはね飛び(スプラッシング)もほとんどない。しかしながら、浴の上方でいくらかの噴霧が生じる可能性がある。この噴霧は、燃料ガスブランケット中に収容される。これは、煙霧の発生をもたらす金属液滴の酸化を防止する。これによって、ランス吹き込み間の煙霧発生は2つの方法で、即ち、(a)通常の噴流ではなく凝集性噴流でランス吹き込みすることによって噴霧の量が大きく少されること、及び(b)燃料ガスブランケットが浴表面よりも上で金属液滴の酸化を防止すること、で抑制される。
【0023】
その上、ある場合には、過剰の燃料を使用しそして高速ガスと一緒に燃料を溶融浴に供給することが望ましい場合がある。1つのこのような場合は、電気アーク炉の実施で起泡性スラグを発生させるのを補助することである。起泡性スラグは、電気アークからのエネルギー損失を減少させ且つ炉壁における手に負えない摩耗を減少させるのに極めて望ましい。この場合には、天然ガスのような過剰の燃料がスラグ層中に導入され、そこでそれは分解反応を受けて一酸化炭素、水素及び二酸化炭素のようなガスを生成し、その後にこれらは望ましい起泡性ガスを発生する。その上、ある場合には、反応剤を粉末形態でガス流れ中に導入してそれらが溶融金属浴中に効率的に注入され得るようにすることが望ましい場合がある。このような反応剤としては、炭素、種々の石灰組成物、合金用添加物、酸化鉄、及び電気アーク炉によって発生される粉塵を挙げることができる。本発明のランス/バーナーが一旦適所に配置されると、それは、溶融金属への高速ガスの注入が望まれない時間の間にバーナーとしてのみ機能することもできる。
【0024】
次のガイドラインは、図2及び3に例示されるような本発明の設計及び操作に適するものである。
【0025】
(1)中心噴流の周囲で火炎を安定化させるためにすべての操作態様で孔の外側リングに酸素のいくらかの流れを維持することが重要である。ランス及びランス/バーナー態様で操作するときには、孔の外側リングを通る酸素の流れは、全酸素流れの少なくとも1%そして好ましくは約5〜10%の範囲内にすべきである。
【0026】
(2)ランス及びランス/バーナー態様で操作するときには、孔の内側リングを通る燃料ガスの流量は、孔の外側リングにおいて酸素と化学量論的に燃焼させるのに要するものよりも大きくすべきである。
【0027】
(3)ランス及びランス/バーナー態様で操作するときには、中央噴流の速度は、500fpsよりも大きくそして好ましくは1200fpsよりも大きくすべきである。
【0028】
(4)冷たい金属スクラップを予熱して溶融するためにバーナーとして操作するときには、孔の外側リングに対する酸素流量の部分は、全酸素流量の25〜75%の間好ましくはその40〜60%の間にすべきであり、そして全酸素は燃料ガスを完全燃焼させるのに要する化学量論的酸素の100〜200%の間にすべきである。
【0029】
(5)一部分溶融したスクラップを侵入するためにランス及びランス/バーナー態様で操作するときには、中央噴流に対する酸素流量の部分は、全酸素流量の50%よりも大きく、好ましくはその75〜99%の間にすべきであり、そして全酸素は、燃料ガスを完全燃焼させるのに要する100%化学量論的酸素よりも大きく、好ましくはその150%よりも大きくすべきである。
【0030】
【実施例】
次の本発明の実施例は例示の目的で提供されるものであって、いかなる点においても本発明を限定するものではない。
【0031】
図1に例示される系と同様のものを使用して、酸素を溶融金属浴に注入した。酸素は、ランスの先端から0.807インチの出口直径を有するノズルを経て噴射された。ランスの先端は、浴の表面よりも28インチ上方に且つその水平に対して40度の角度に位置付けされ、しかして酸素噴流は、ランス先端から浴表面まで43インチの距離即ちノズル直径の53倍の距離を通過した。主酸素ガスは、ランス先端から浴表面まで火炎エンベロープで包囲されて1600fpsの初期噴流軸速度を有し、そしてそれが浴表面に衝突するときにこの1600fpsの噴流軸速度を維持した。ランスから噴射された酸素の約85%が溶融金属プールに入り、そして溶融金属中の成分と反応するのに有効になった。溶融金属1トン当たり約20ポンドの炭素を燃焼させるのに、通常のガス供給法を使用して同じ金属学的操作で要求される溶融金属1トン当たり約558SCFの酸素と比較して、溶融金属1トン当たり約367標準ft3(SCF)の酸素が必要とされた。
【0032】
【発明の効果】
ここに、本発明の使用によって、電気アーク炉のような溶融金属炉にガスをより効率的に供給することができる。
【0033】
ある種の好ましい具体例を参照しながら本発明を詳細に説明したけれども、当業者には、本発明の精神及び特許請求の範囲内に本発明の他の具体例が存在することが認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気アーク炉において使用状態にある本発明のランス/バーナーの1つの具体例の部分横断立面図である。
【図2】本発明の実施に有用なランス/バーナーの1つの具体例の詳細図であって、その注入端部の横断面図である。
【図3】本発明の実施に有用なランス/バーナーの1つの具体例の詳細図であって、その注入端部の正面図である。
【図4】本発明の実施においてランス/バーナーから放出されるガス流れ及びその主ガス流れの周囲に形成される火炎エンベロープの好ましい具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 ランス/バーナー
2 中央導管
3 第一環状通路
4 第二環状通路
5 注入端
6 主オリフィス
7 第一注入孔
8 第二注入孔
20 電気アーク炉
23 溶融金属プール
26 電極
30 主酸素流れ
33 火炎エンベロープ

Claims (11)

  1. 溶融金属プール及びその上面にあるスラグ層からなる浴を収容する炉中に該浴の表面よりも上方に離れた所で炉に配置された注入点からガスを注入してその表面侵入させて溶融金属プール中に導入するための方法において、
    (A)(1)の上方で炉に、そのの表面に向けられたノズルを経て、(a)超音速の初期噴射軸速度を有する主ガス流れと、(b)その超音速主ガス流れと同軸にある燃料及び二次酸素とを注入し、そして
    (2)超音速主ガス流れを、燃料を二次酸素と共に燃焼させることによって形成された火炎エンベロープであって、炉において超音速主ガス流れの実質上全長をノズルの出口から浴の表面まで延長る火炎エンベロープで包囲して凝集性に維持し、ここでノズルは出口直径dを有しそして炉内の超音速主ガス流れの長さは少なくとも20dであ
    とによって炉内においてガスの凝集性超音速噴流を形成し、そして
    (B)の表面に主ガス流れを侵入させて溶融金属プール中に導入し、ここで浴との接触点における主ガス流れの噴射軸速度はなお超音速であ
    とを含むガスの注入法。
  2. 主ガス流れが酸素を含む請求項1記載の方法。
  3. 溶融金属プールが炭素を含有し、更に、主酸素を溶融金属プール内で炭素と反応させて一酸化炭素を形成し、溶融金属プールから一酸化炭素をバッブリングさせ、そして溶融金属プールの上方で追加的な酸素を炉に注入して溶融金属プールからバッブリングする一酸化炭素を酸化させることを包含する請求項2記載の方法。
  4. 燃料及び二次酸素が2つの流れで炉に注入され、その2つの流れの各々が高速主ガス流れと同心的である請求項1記載の方法。
  5. 溶融金属プールに送られる主ガス流れが粉末を含有する請求項1記載の方法。
  6. 二次酸素が、炉に注入される二次酸素及び主ガス酸素の全酸素流量の25〜75%の範囲内の流量で炉に注入され、そしてその全酸素流量が、炉に注入される燃料と化学量論的に燃焼させるのに要求されるものの100〜150%の範囲内である請求項2記載の方法。
  7. 主ガス酸素が、炉に注入される二次酸素及び主ガス酸素の全酸素流量の75〜99%の範囲内の流量で炉に注入され、そしてその全酸素流量が、炉に注入される燃料と化学量論的に燃焼させるのに要求されるものの100%よりも多い請求項2記載の方法。
  8. ノズルが中細ノズルである請求項1記載の方法。
  9. 電気アーク炉において溶融金属プール及びその上面にあるスラグ層からなる浴中に、該浴の表面よりもランスに対する過度の摩耗を回避するのに十分なだけ上方にある位置で炉の側壁に配置されて浴の表面に向けられた少なくとも1個の酸素ランスの中細ノズルから酸素を注入してその表面侵入させるための方法において、
    (A)(1)の表面の方に向けられ中細ノズルの中央孔から炉に、(a)超音速の初期噴射軸速度を有する酸素の中心流れと、(b)その超音速酸素中心流れと同軸にある燃料及び二次酸素とを注入し、そして
    (2)超音速酸素中心流れを、その超音速酸素中心流れよりも低い速度を有する火炎エンベロープであって、燃料を二次酸素と共に燃焼させることによって形成され、そして炉において超音速酸素中心流れの実質上全長をノズルの出口からまで延長る火炎エンベロープで包囲して凝集性に維持し、ここでノズルは出口直径dを有しそして炉内の超音速酸素中心流れの長さは少なくとも20dであ
    とによって炉において実質上全長にわたって凝集性の超音速酸素噴流を形成し、そして
    (B)の表面に超音速酸素中心流れを侵入させて溶融金属プール中に導入し、ここで浴との接触点における酸素中心流れの噴射軸速度はなお超音速であ
    とを含む酸素の注入法。
  10. 炉内の超音速中心酸素流れの長さが30d〜60dである請求項9記載の方法。
  11. 炉内の超音速中心酸素流れの長さが100dを越える請求項9記載の方法。
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