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JP3772510B2 - 光走査装置 - Google Patents

光走査装置 Download PDF

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JP3772510B2
JP3772510B2 JP2238398A JP2238398A JP3772510B2 JP 3772510 B2 JP3772510 B2 JP 3772510B2 JP 2238398 A JP2238398 A JP 2238398A JP 2238398 A JP2238398 A JP 2238398A JP 3772510 B2 JP3772510 B2 JP 3772510B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査装置に係り、より詳しくは、光束を回転多面鏡によって所定の主走査方向に偏向し、偏向された光束で被走査面を走査する光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザビームを走査して画像の記録を行うレーザビームプリンタやディジタル複写機などの画像形成装置が広く使用されている。図1には、このような画像形成装置に内蔵された一般的な光走査装置100の概略構成図が示されている。
【0003】
この図1に示す光走査装置100において、画像情報信号に基づいて半導体レーザ102が駆動され、該半導体レーザ102からレーザビームが射出される。このレーザビームはコリメータレンズ104によりコリメートされ、スリット106、シリンドリカルレンズ108を通過した後、回転多面鏡110上に線状に結像され、矢印Q方向に回転する回転多面鏡110によって偏向される。偏向されたレーザビームは、感光体112上の走査速度が等速度になるよう補正するfθレンズ114によって集光され、反射ミラー116によって光路を折り曲げられた後、面倒れ補正するシリンドリカルミラー118を介してレーザビームの被走査面となる感光体112上に結像される。これによって、感光体112上に上記画像情報信号に対応する潜像が形成される。
【0004】
感光体112の周囲には、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等の周知の画像形成プロセス機器が配置されており、上記のようにして感光体112上に形成された潜像が現像装置による現像処理でトナー像となり、このトナー像は転写装置によって記録用紙等に転写される。
【0005】
上記のような画像形成装置では、レーザビームの光軸が基準位置からずれると、被走査面上での走査位置がずれ、形成される画像の画質が劣化する等の不都合が生じる。
【0006】
そこで、従来より光走査装置内の光軸調整機構に関し、以下のような種々の提案が行われている。
【0007】
特開平5−297303号公報には、光軸調整および焦点位置調整を光源装置の移動により行う技術が開示されている。図2には特開平5−297303号公報に開示された光源装置120の分解斜視図を示す。この光源装置120では、本体シャーシ122の位置決めピン124がコリメータレンズユニット126の位置決め孔128に嵌入した状態で固定ネジ130、132によって固定されている。コリメータレンズユニット126の取付柱134、136の上面には、LDユニット138の一部を構成するLD取付部材140がLDユニット固定ネジ142、144によって固定される。LDユニット138は光軸調整が終了した後に完全に固定される。LDユニット138の光軸調整が行われた後、調整ネジ146を回転して半導体レーザ148を光軸方向に進退させることにより、焦点位置の調整が行われる。
【0008】
また、光源装置の移動以外の方法で光軸調整を行う技術が実開平2−47609号公報に開示されている。図3(A)に示す光軸調整機構162では、保持部材164により保持された球体166の一部が平面状に削成されており、この平面部168にミラー170が貼付等により固定されている。オペレータは、図3(B)に示す治具172によって球体166を保持部材164に対して回動させることにより、ミラー170の反射角度を調整し、光軸調整を行う。
【0009】
さらに、上記従来技術の他にも1枚のミラーを光軸方向に移動させることにより光軸調整を行う技術が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のうち特開平5−297303号公報記載の技術では、光軸調整の後に、調整ネジ146(図2)を回転させて半導体レーザ148を進退させることにより、焦点位置調整を行っているため、調整ネジ146のガタや調整ネジ146の先端形状によっては半導体レーザ148が光軸方向に平行移動しないことがあり、既に調整が完了している光軸150がずれてしまうおそれがある。そのため、光軸調整の調整範囲を狭めたり或いは再調整を行うなどの処置が必要となってしまうため、調整が困難になり、調整時間の増加という不具合が発生するおそれがある。
【0011】
また、実開平2−47609号公報記載の技術は、人手による光軸調整であり、光軸調整時には治具172が必要となる。この治具172が無くては調整ができず、治具172を使用した場合でも、ミラー170が貼付された球体166を、光軸に対し水平な平面内および垂直な平面内で正確に回動させることは困難である。また、ミラー170で反射された光束が回転多面鏡に対し入射する角度がずれるおそれがある、という問題がある。回転多面鏡への入射角がずれてしまうと、回転多面鏡の回転によって光束が走査する領域がずれてしまい、走査開始の書き出し位置がずれるという不具合が発生する。
【0012】
さらに、1枚のミラーの移動によって光軸を調整する技術では、図4に示すように、ミラー180を所定方向(図4では一例としてZ軸方向)に沿って移動することにより、光束の主走査方向位置を調整することが可能である。しかし、光束の副走査方向位置は調整できない。また、ミラー180を移動することにより光束の光路長が変化してしまう。光路長が変化することで、光源182と回転多面鏡184との共役関係が崩れ、回転多面鏡184上の副走査方向のスポットサイズが悪化し、画質劣化等の問題が発生するおそれがある。
【0013】
光路長の変化量ΔL(mm)は、回転多面鏡184への光束の入射角をα(°)、ミラー180の移動量をΔD(mm)とすると、ΔL=2D/cosαで表わされる。
【0014】
例えば、α=30°、ΔD=1mmとすると、ΔL=2×1/cos30°=2.31mmとなる。このように光路長が2mmも変動すると、回転多面鏡184上のスポット径が悪化し、画質劣化等の影響をもたらすことになる。
【0015】
ところで、近年、光走査装置全体の小型化を図るために、光走査装置内の光路の途中に一対の反射ミラー(反射ミラー対)を設け、光束を折り返す回数を増やす装置構成が広く用いられている。
【0016】
本発明は、上記問題点を解消するために成されたものであり、焦点位置調整に起因した光軸のずれを回避し、光軸調整を容易に精度良く行うことができる光走査装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の光走査装置は、光束を射出する光源部と、所定の回転軸の回りを略等角速度で回転し且つ前記回転軸に平行な複数の反射面が外周に形成され、入射された光束を前記反射面により偏向させる回転多面鏡と、前記光源部から射出された光束を、前記回転軸に平行な副走査方向に収束させて前記反射面上に前記副走査方向に垂直な主走査方向に沿った線像として結像させる第1の結像光学系と、前記副走査方向に沿った断面内で前記反射面と被走査面とを略共役な結像関係とするとともに、前記反射面により偏向された光束を、等速度で前記被走査面を走査するスポットとして結像させる第2の結像光学系と、台に対し所定方向に移動可能な支持部材上に、一方のミラーが光束の反射位置よりも前記副走査方向上側に設けられた支点を中心に回転し、他方のミラーが光束の反射位置よりも前記副走査方向下側に設けられた支点を中心に回転することで前記副走査方向に沿って角度調整可能に設けられ、前記光源部から射出されて前記第1の結像光学系を通過した光束を前記一方のミラー及び前記他方のミラーにより反射して前記回転多面鏡に入射させるミラー対と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項記載の光走査装置では、請求項1記載の光走査装置において、前記光源部は、前記基台に対し着脱可能であることを特徴とする。
【0020】
上記請求項1記載の光走査装置では、光源部から射出された光束は第1の結像光学系に入射され、第1の結像光学系は、光束を副走査方向に収束させて回転多面鏡の反射面上に副走査方向に垂直な主走査方向に沿った線像として結像させる。回転多面鏡は、所定の回転軸の回りを略等角速度で回転し、外周に形成された反射面により光束を偏向させる。そして、回転多面鏡により偏向された光束は第2の結像光学系に入射される。この第2の結像光学系は、副走査方向に沿った断面内で回転多面鏡の反射面と被走査面とを略共役な結像関係とするとともに、入射してきた光束(=主走査方向に沿った線像として回転多面鏡の反射面に結像し該反射面で偏向された光束)を、等速度で被走査面を走査するスポットとして被走査面に結像させる。
【0021】
上記のような第1、第2の結像光学系を含む光走査装置を小型化するために、請求項1記載の光走査装置には、光源部から射出された光束を回転多面鏡に向かって反射するミラー対が設けられている。また、このミラー対は、基台に対し所定方向に移動可能な支持部材上に、副走査方向に沿って角度調整可能に設けられている。
【0022】
このような請求項1記載の光走査装置で光軸調整を行う場合、上記ミラー対が載置された支持部材を基台に対し所定方向に移動させる。このとき、ミラー対を構成する2つのミラーはそれぞれ基台に対し所定方向に同じ移動量だけ移動するので、以下に説明するように、主走査方向に沿った光軸調整を行うことができる。
【0023】
例えば、図7に示すように、ミラー対を構成する第一ミラー26が光源22からの光束に対し(α/2)の入射角度となるよう配置され、ミラー対を構成する第二ミラー27が第一ミラー26からの光束に対しαの入射角度となるよう配置されているものとする。
【0024】
このとき、ミラー対を図7のZ軸方向にΔDだけ移動させることにより、回転多面鏡29における主走査方向の光軸位置をΔX(=ΔD×tanα)だけずらすことができる。
【0025】
よって、ミラー対が載置された支持部材を、ずれを無くす方向に上記ずれ量に応じた距離だけ移動させれば、該ミラー対が所定方向に上記ずれ量に応じた距離だけ移動し、主走査方向の光軸位置のずれを無くすことができる。
【0026】
また、ミラー対は支持部材上に、副走査方向に沿って角度調整可能に設けられているので、何れか一方のミラーの角度調整を行うことにより、副走査方向の光軸位置のずれを無くすことができる。
【0027】
また、請求項1記載の光走査装置では、ミラー対は支持部材上に設けられ、光源部とは分離されている。よって、光源部において、例えば光源やコリメータレンズの移動等の公知の技術を利用して焦点位置調整を行っても、光軸調整と焦点位置調整とが別機構にて行われているため、焦点位置調整の影響で光軸ずれが発生することを回避できる。
【0028】
以上のように、請求項1記載の光走査装置によれば、焦点位置調整に起因した光軸ずれの発生を回避でき、光軸調整を容易に精度良く行うことができる。
【0029】
ところで、上記のようにミラー対を所定方向に移動させた場合、光源部から回転多面鏡までの光路長が若干変化する。通常はこの光路長変化は、上記のように光源部において光源とコリメータレンズとの距離の調整(焦点位置調整)を行うことで補正できる。但し、主走査方向の光軸ずれが大きくて該光軸ずれを補正するためのミラー対の移動量が大きい場合には、光源部から回転多面鏡までの光路長の変化量も大きくなるので、光源部での焦点位置調整だけでは光路長の補正が困難となる場合がある。
【0030】
そこで、請求項に記載したように、ミラー対のうち一方のミラーを、該一方のミラーにおける光束の反射位置よりも副走査方向上側に設けられた支点を中心に回転させることで、副走査方向に沿って角度調整可能とし、且つミラー対のうち他方のミラーを、該他方のミラーにおける光束の反射位置よりも副走査方向下側に設けられた支点を中心に回転させることで、副走査方向に沿って角度調整可能としている。
【0031】
ミラー対を上記のように構成することで、例えば、光軸を副走査方向上側に調整するケースで光路長が長くなるよう調整する場合、上記他方のミラーを反射面が少し上を向くように、光束反射位置よりも下側の支点を中心に回転させれば、光軸を副走査方向上側に調整し且つ光路長が長くなるよう調整することができる。
【0032】
また、光軸を副走査方向上側に調整するケースで光路長が短くなるよう調整する場合、上記一方のミラーを反射面が少し上を向くように、光束反射位置よりも上側の支点を中心に回転させれば、光軸を副走査方向上側に調整し且つ光路長が短くなるよう調整することができる。
【0033】
また、光軸を副走査方向下側に調整するケースで光路長が長くなるよう調整する場合、上記一方のミラーを反射面が少し下を向くように、光束反射位置よりも上側の支点を中心に回転させれば、光軸を副走査方向下側に調整し且つ光路長が長くなるよう調整することができる。
【0034】
また、光軸を副走査方向下側に調整するケースで光路長が短くなるよう調整する場合、上記他方のミラーを反射面が少し下を向くように、光束反射位置よりも下側の支点を中心に回転させれば、光軸を副走査方向下側に調整し且つ光路長が短くなるよう調整することができる。
【0035】
このように請求項記載の発明によれば、光軸を副走査方向に調整しつつ、光路長を補正することができる。もちろん、光源部での焦点位置調整と併せて光路長を補正する場合には、該光源部での焦点位置調整量を少なくすることができる。
【0036】
なお、本発明は、請求項に記載したように光源部が基台に対し着脱可能に構成された光走査装置に対して、特に有効である。即ち、本発明では光軸調整を、光源部とは別体のミラー対の移動により行うため、光源部が着脱可能な光走査装置に本発明を適用した場合、光源部が正確に位置決めされていれば、光源部を何回交換しても、交換の度に光軸調整を再実行する必要がなくなり、光源部交換時の作業負荷を軽減することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光走査装置の実施形態として、画像形成装置に内蔵された光走査装置の例を説明する。
【0038】
図5には、本実施形態における画像形成装置10の要部の構成図を示す。この図5に示すように、画像形成装置10には、感光体ドラム32が設置されており、この感光体ドラム32は矢印W方向に所定の角速度で回転する。また、感光体ドラム32の外周部近傍には、図示しない帯電装置、現像装置、転写装置及びクリーニング装置が外周に沿って順に設置されている。また、感光体ドラム32の上方には、形成される画像の画像データに応じて変調されたレーザ光で感光体ドラム32の表面を走査する光走査装置20が設置されている。
【0039】
この光走査装置20には、レーザーダイオード(以下、LDと称する)22が設けられており、このLD22の光軸上には、LD22に近い方から順にコリメータレンズ23、スリット24、シリンドリカルレンズ25、折り返しミラー26、折り返しミラー27、回転多面鏡(ポリゴンミラー)29が配置されている。なお、回転多面鏡29は、図示しない回転駆動用モータの駆動力で矢印V方向に等角速度で回転する。また、折り返しミラー26、27は、LD22からのレーザ光を回転多面鏡29へ向けて反射するミラー対を構成している。
【0040】
また、回転多面鏡29で反射されたレーザ光の光軸上には、回転多面鏡29から近い方から順に、fθレンズ28、折り返しミラー30、シリンドリカルミラー31が配置されており、シリンドリカルミラー31で反射されたレーザ光は感光体ドラム32に照射される。
【0041】
即ち、LD22から照射されたレーザ光は、コリメータレンズ23、スリット24、シリンドリカルレンズ25を通過し、折り返しミラー26、27で順に反射されて回転多面鏡29に入射し、この回転多面鏡29により偏向される。偏向されたレーザ光は、fθレンズ28を通過し折り返しミラー30、シリンドリカルミラー31で順に反射した後、感光体ドラム32の表面に照射される。このとき回転多面鏡29によるレーザ光の偏向によって、感光体ドラム32の表面はレーザ光で走査露光される。なお、回転多面鏡29により偏向されたレーザ光によって感光体ドラム32が走査される方向を主走査方向といい、主走査方向と直交する方向を副走査方向という。
【0042】
また、光走査装置20には、レーザ光により感光体ドラム32が走査される際に感光体ドラム32の画像形成領域に最初に入射する位置以前の予め定められた位置に、ピックアップミラー33が配置されており、このピックアップミラー33により反射されたレーザ光の光軸上には、SOSレンズ34、水平同期センサ(SOSセンサ)35が順に配置されている。
【0043】
次に、図6、図8を用いて、折り返しミラー26、27により構成されるミラー対の構成を説明する。以後、折り返しミラー26を第一ミラー26と称し、折り返しミラー27を第二ミラー27と称する。
【0044】
図6、図8に示すように、第一ミラー26、第二ミラー27は、同一の支持部材41上に配置されており、このうち第一ミラー26は保持部材36により保持され、第二ミラー27は保持部材46により保持されている。
【0045】
支持部材41には、該支持部材41を所定方向(ここでは一例として光源方向)へ平行移動させるための長穴41A、41Bが設けられており、このうち長穴41Aには、光走査装置20の筐体21に固定された基準ピン21Aが、長穴41Bには、筐体21に固定された基準ピン21Bが、それぞれ嵌入されている。このような構成により、支持部材41及び第一ミラー26、第二ミラー27を筐体21に対して所定方向に平行移動させることができる。
【0046】
詳細は後述するが、オペレータは第一ミラー26、第二ミラー27を筐体21に対して所定方向に平行移動させることで主走査方向の光軸ずれを補正する。この補正完了後に支持部材41はネジ39によって筐体21に固定される。
【0047】
上記保持部材36は、支持部材41の平板部に固定された固定板36Aと、第一ミラー26を上下左右から保持する保持板36Bとを含んで構成されており、保持板36Bの上端部はネジ36Cにより固定板36Aに固定されている。一方の保持板36Bの下端部は支持部材41の平板部に当接しているものの固定されておらず、該保持板36Bの下端部と固定板36Aの下端部とに挿通された調整ネジ36Dを図8の左右方向に沿って進退させることにより、保持板36Bの下端部と固定板36Aの下端部との間隔を変化させることが可能である。
【0048】
このように第一ミラー26の下端部の位置は矢印K1方向に沿って調整可能とされており、オペレータはこの下端部の位置を矢印K1方向に沿って調整することで第一ミラー26の反射面の姿勢を変化させ、光軸を副走査方向(図8の上下方向)に沿って調整することができる。
【0049】
同様に、保持部材46は、支持部材41の平板部に固定された固定板46Aと、第二ミラー27を上下左右から保持する保持板46Bとを含んで構成されており、保持板46Bの下端部はネジ46Cにより支持部材41の平板部に固定されている。一方の保持板46Bの上端部は調整ネジ46Dによって固定板46Aの上端部に連結されており、調整ネジ46Dを図8の左右方向に沿って進退させることにより、保持板46Bの上端部と固定板46Aの上端部との間隔を変化させることが可能である。
【0050】
このように第二ミラー27の上端部の位置は矢印K2方向に沿って調整可能とされており、オペレータはこの上端部の位置を矢印K2方向に沿って調整することで第二ミラー27の反射面の姿勢を変化させ、光軸を副走査方向(図8の上下方向)に沿って調整することができる。
【0051】
次に、図7を用いて主走査方向の光軸調整について説明する。図7に示すように、第一ミラー26はLD22からのレーザ光の入射角度がα/2となるように配置され、第二ミラー27は第一ミラー26で反射されたレーザ光の入射角度がαとなるように配置されている。なお、図7では、LD22からのレーザ光射出方向に沿ってZ軸を、該Z軸方向に垂直な図7の左右方向に沿ってX軸を、図7の紙面垂直方向に沿ってY軸を、それぞれ設定しており、Y軸については図7の紙面手前方向(鉛直方向上側)を正とする。
【0052】
前述したように、このような図7の構成で、ミラー対を図7のZ軸方向にΔDだけ移動させることにより、回転多面鏡29における主走査方向の光軸位置をΔX(=ΔD×tanα)だけずらすことが可能である。
【0053】
そこで、オペレータは、LD22からのレーザ光を任意の位置(例えば回転多面鏡29の直前)でモニター用位置検出素子(不図示)で検出し、予め定められた基準位置からのずれ量ΔXを測定する。そして、支持部材41を、ずれを無くす方向に上記ずれ量ΔXに応じた距離ΔD(=ΔX/tanα)だけ移動させる。これにより、主走査方向の光軸位置のずれを補正することができる。
【0054】
以下の表1に具体的な数値例を示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003772510
【0056】
ところで、上記のように支持部材41を移動させると、ミラー対も移動しLD22からのレーザ光の光路長が変化する。図7の構成では、ミラー対をLD22から遠ざかる方向に移動させると、光路長変化量ΔL(=ΔD(1−1/cosα))は、ΔD>0なので負の値となり、光路長は短くなる。一方、ミラー対をLD22に近づける方向に移動させると、光路長変化量ΔL(=ΔD(1−1/cosα))は、ΔD<0なので正の値となり、光路長は長くなる。
【0057】
このようにミラー対の移動方向に応じて光路長は変化することになる。例えば、回転多面鏡29への入射角をα(°)、ミラー対の移動量をΔD(mm)とした場合、光路長変化量ΔL(mm)は以下の表2のようになる。
【0058】
【表2】
Figure 0003772510
【0059】
この時に、回転多面鏡29へのレーザ光の入射角αによっては光路長変化量ΔLは小さくなり、従来のようにLD22とコリメータレンズ23との距離調整(焦点位置調整)によって補正可能なレベルとなる。
【0060】
しかし、その一方で光路長変化量ΔLは、焦点位置調整では補正できないレベルとなる場合がある。このような場合には、第一ミラー26、第二ミラー27の何れかの角度を、以下のように調整することにより、副走査方向の光軸調整と共に光路長の補正を行うことができる。
【0061】
なお、角度調整を行うミラーの選択は以下の表3のように、ミラー対の移動方向と副走査方向の光軸調整方向との組合せによって決まる。
【0062】
【表3】
Figure 0003772510
【0063】
例えば、光軸を副走査方向に沿って正方向(鉛直方向上側)に調整するケースで、ミラー対を図7のZ軸に沿って正方向移動させる場合、光路長が短くなるので、調整ネジ46Dを進退させて第二ミラー27の角度を、その反射面が少し上を向くように調整する。これにより、光軸を副走査方向に沿って正方向に調整し且つ光路長が長くなるよう調整することができる。
【0064】
また、光軸を副走査方向に沿って正方向(鉛直方向上側)に調整するケースで、ミラー対を図7のZ軸に沿って負方向移動させる場合、光路長が長くなるので、調整ネジ36Dを進退させて第一ミラー26の角度を、その反射面が少し上を向くように調整する。これにより、光軸を副走査方向に沿って正方向に調整し且つ光路長が短くなるよう調整することができる。
【0065】
また、光軸を副走査方向に沿って負方向(鉛直方向下側)に調整するケースで、ミラー対を図7のZ軸に沿って正方向移動させる場合、光路長が短くなるので、調整ネジ36Dを進退させて第一ミラー26の角度を、その反射面が少し下を向くように調整する。これにより、光軸を副走査方向に沿って負方向に調整し且つ光路長が長くなるよう調整することができる。
【0066】
また、光軸を副走査方向に沿って負方向(鉛直方向下側)に調整するケースで、ミラー対を図7のZ軸に沿って負方向移動させる場合、光路長が長くなるので、調整ネジ46Dを進退させて第二ミラー27の角度を、その反射面が少し下を向くように調整する。これにより、光軸を副走査方向に沿って負方向に調整し且つ光路長が短くなるよう調整することができる。
【0067】
このように何れのケースでも、光軸を副走査方向に調整しつつ光路長変化を補正することができる。もちろん、LD22とコリメータレンズ23との距離調整(焦点位置調整)と併せて光路長変化を補正する場合には、該焦点位置調整量を少なくすることができる。
【0068】
なお、光走査装置20においてミラー対は図9に示すように配置しても良い。この図9の例では、第一ミラー26はLD22からのレーザ光の入射角度がαとなるように配置され、第二ミラー27は第一ミラー26で反射されたレーザ光の入射角度が(α/2)となるように配置されている。
【0069】
このような光学系においても上記実施形態と同様の原理で、ミラー対を所定方向(例えば図9の矢印Z方向)に移動させることにより、主走査方向の光軸位置のずれを補正することができる。また、第一ミラー26、第二ミラー27の何れかの角度を調整することにより、副走査方向の光軸調整と共に光路長の補正を行うことができる。
【0070】
但し、図9の構成では、ミラー対をLD22から遠ざかる方向(図9において上方向)に移動させると、光路長変化量ΔL(=ΔD((1/cosα)−1))は、ΔD>0なので正の値となり、光路長は長くなる。一方、ミラー対をLD22に近づける方向に移動させると、光路長変化量ΔLは、ΔD<0なので負の値となり、光路長は短くなる。よって、副走査方向の光軸調整と共に光路長の補正を行う際に、調整対象となるミラーの選択は以下の表4のようになる。
【0071】
【表4】
Figure 0003772510
【0072】
ところで、図10(A)に示すように、光走査装置20において、LD22、コリメータレンズ23、スリット24及びシリンドリカルレンズ25を光源部とみなし、この光源部を本体に着脱可能な光源ユニット42として構成しても良い。LD22は静電気等に非常に弱く、故障や劣化が起こりやすいので、このように光源部を光源ユニット42として構成すれば、交換作業が容易になりオペレータの作業負荷を軽減できる。
【0073】
また、光軸調整は、上記光源ユニット42とは別体のミラー対の移動により行われる。よって、図10(A)のように光源ユニット42が正確に位置決めされ、LD22の発光点Aと第一ミラー26の反射点Bとの位置関係が合っていれば、光源ユニット42の交換により光軸がずれることはない(但し、図10(B)のように光源ユニット42が正確に位置決めされておらず、LD22の発光点Aと第一ミラー26の反射点Bとの位置関係が合っていなければ、光軸がずれてしまう)。
【0074】
このように光源ユニット42が正確に位置決めされていれば、光源ユニット42を何回交換しても、交換の度に光軸調整を再実行する必要がなくなり、光源ユニット42の交換時の作業負荷を軽減することができる。
【0075】
なお、上記実施形態では、図11(A)に示すように、第一ミラー26、第二ミラー27で構成されるミラー対を、LD22からのレーザ光射出方向(矢印J1方向)に沿って移動させる例を示したが、ミラー対の移動方向は上記LD22からのレーザ光射出方向(矢印J1方向)に限定されるものではなく、任意の方向に設定することができる。
【0076】
例えば、図11(B)に示すようにLD22からのレーザ光射出方向に垂直な方向(矢印J2方向)に沿ってミラー対を移動させても良い。また、図12(A)に示すように第一ミラー26で反射された反射光の進行方向(矢印J3方向)に沿ってミラー対を移動させても良いし、図12(B)に示すように第二ミラー27で反射された反射光の進行方向(矢印J4方向)に沿ってミラー対を移動させても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、画像形成装置に内蔵された光走査装置の例を説明したが、本発明に係る光走査装置は、光走査装置により原稿面を走査して該原稿面からの反射光又は透過光に基づいて原稿を読み取る読取装置についても適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、主走査方向の光軸位置のずれ量に応じた距離だけミラー対を所定方向に移動させれば、主走査方向の光軸位置のずれを補正でき、何れか一方のミラーの角度調整を行えば、副走査方向の光軸位置のずれを補正でき、さらに、ミラー対は支持部材上に設けられ光源部とは分離され、光軸調整と焦点位置調整とが別機構にて行われるので、焦点位置調整に起因した光軸ずれの発生を回避しつつ、光軸調整を容易に精度良く行うことができる。
【0079】
また、請求項記載の発明によれば、光軸を副走査方向に調整しつつ、光路長を補正することができる。また、光源部での焦点位置調整と併せて光路長を補正する場合には、該光源部での焦点位置調整量を少なくすることができる。
【0080】
また、請求項記載の発明によれば、光源部が正確に位置決めされていれば、光源部を何回交換しても交換の度に光軸調整を再実行する必要がないので、光源部交換時の作業負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光走査装置の概略構成図である。
【図2】特開平5−297303号公報に開示された光源装置の分解斜視図である。
【図3】(A)は実開平2−47609号公報に開示された光軸調整機構の分解斜視図であり、(B)は(A)の光軸調整機構に対し光軸調整を行う際に用いられる調整治具を示す図である。
【図4】1枚のミラーの移動による光軸調整方法を示す図である。
【図5】発明の実施形態における光走査装置の概略構成図である。
【図6】ミラー対周辺の構成を示す斜視図である。
【図7】発明の実施形態における主走査方向の光軸調整方法を示す図である。
【図8】ミラー対の保持構造を示す図である。
【図9】ミラー対の配置に関する他の構成例を示す図である。
【図10】(A)は光源ユニットが正確に位置決めされた場合の光路を示す図であり、(B)は光源ユニットが正確に位置決めされなかった場合の光路を示す図である。
【図11】(A)は発明の実施形態におけるミラー対の移動方向を示す図であり、(B)は光源からのレーザ光射出方向に垂直な方向に沿ってミラー対を移動させるケースを示す図である。
【図12】(A)は第一ミラーで反射された反射光の進行方向に沿ってミラー対を移動させるケースを示す図であり、(B)は第二ミラーで反射された反射光の進行方向に沿ってミラー対を移動させるケースを示す図である。
【符号の説明】
20 光走査装置
22 LD
23 コリメータレンズ
25 シリンドリカルレンズ
26 第一ミラー
27 第二ミラー
28 fθレンズ
29 回転多面鏡
30 反射ミラー
31 シリンドリカルミラー
32 感光体ドラム
36、46 保持部材
36D、46D 調整ネジ
41 支持部材
42 光源ユニット

Claims (2)

  1. 光束を射出する光源部と、
    所定の回転軸の回りを略等角速度で回転し且つ前記回転軸に平行な複数の反射面が外周に形成され、入射された光束を前記反射面により偏向させる回転多面鏡と、
    前記光源部から射出された光束を、前記回転軸に平行な副走査方向に収束させて前記反射面上に前記副走査方向に垂直な主走査方向に沿った線像として結像させる第1の結像光学系と、
    前記副走査方向に沿った断面内で前記反射面と被走査面とを略共役な結像関係とするとともに、前記反射面により偏向された光束を、等速度で前記被走査面を走査するスポットとして結像させる第2の結像光学系と、
    台に対し所定方向に移動可能な支持部材上に、一方のミラーが光束の反射位置よりも前記副走査方向上側に設けられた支点を中心に回転し、他方のミラーが光束の反射位置よりも前記副走査方向下側に設けられた支点を中心に回転することで前記副走査方向に沿って角度調整可能に設けられ、前記光源部から射出されて前記第1の結像光学系を通過した光束を前記一方のミラー及び前記他方のミラーにより反射して前記回転多面鏡に入射させるミラー対と、
    を有する光走査装置。
  2. 前記光源部は、前記基台に対し着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
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