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JP3771711B2 - フォトソルダーレジストインクの製造方法 - Google Patents

フォトソルダーレジストインクの製造方法 Download PDF

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JP3771711B2 JP8703698A JP8703698A JP3771711B2 JP 3771711 B2 JP3771711 B2 JP 3771711B2 JP 8703698 A JP8703698 A JP 8703698A JP 8703698 A JP8703698 A JP 8703698A JP 3771711 B2 JP3771711 B2 JP 3771711B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線硬化性及び熱硬化性を有する希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインク、及び微細・高密度の導体パターンを有するプリント配線板の製造に好適に用いられるフォトソルダーレジストインクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
民生用及び産業用の各種プリント配線板の導体パターンの微細・高密度化に対応するために、ソルダーレジスト形成においても解像性及び寸法精度等に優れた現像可能な液状のフォトレジストインク等が好んで用いられている。この液状のフォトソルダーレジストインクとしては、例えば特開昭61−243869号公報に開示されるように、一般的には希アルカリ水溶液に可溶な紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及びエポキシ化合物からなる希アルカリ水溶液で現像可能なものが用いられる。このような紫外線硬化性樹脂とエポキシ化合物を配合したレジストインクの場合、紫外線露光及び現像後の加熱硬化により最終的に形成されるソルダーレジストを半田耐熱性及び密着性等に優れたものとすることができるのである。
【0003】
上記の紫外線硬化性樹脂には、アルカリ水溶液による現像を可能とするに十分な量のカルボキシル基が導入されている。また、これらのインク中に配合される熱硬化性エポキシ化合物はその重合あるいはソルダーレジスト中に存在するカルボキシル基との反応によりソルダーレジストの架橋密度を向上させることで最終的に形成されるソルダーレジストを熱的、化学的に安定させる効果を有するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記レジストインク中には、アルカリ水溶液による現像を可能とするに十分な量のカルボキシル基が導入されている上記紫外線硬化性樹脂が含まれているため、現像可能な反面、耐アルカリ性に問題を生じる面も見られ、現像工程での現像不良及び解像性不良等を生じ易すかった。このため、形成されるレジストの耐熱性及び耐電蝕性などの被膜物性向上には一定の限界があった。従って、希アルカリ溶液水溶液で現像可能な液状のフォトソルダーレジストインクは指触乾燥性、半田耐熱性、耐電蝕性及び耐金めっき性等の物性面で改良が望まれていた。
【0006】
また本発明は、指触乾燥性、解像性、感度及び半田耐熱性等に優れると共に、優れた基板密着性、耐薬品性、耐電蝕性及び電気特性並びに特に優れた半田耐熱性及び耐金めっき性等を示すソルダーレジストを基板上に形成することができる希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のフォトソルダーレジストインクの製造方法は、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体から生成され、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基とケイ素原子を有する紫外線硬化性樹脂と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光重合開始剤と、希釈剤とを配合するフォトソルダーレジストインクの製造方法であって、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分の共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と飽和又は不飽和の多塩基酸無水物とを反応させることによって、上記紫外線硬化性樹脂を生成することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項2に記載のフォトソルダーレジストインクの製造方法は、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体から生成され、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基とケイ素原子を有する紫外線硬化性樹脂と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光重合開始剤と、希釈剤とを配合するフォトソルダーレジストインクの製造方法であって、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分の共重合体に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させることによって、上記紫外線硬化性樹脂を生成することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明で製造される紫外線硬化性樹脂は、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基とケイ素原子を有するものであって、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体から生成されるものである。このような紫外線硬化性樹脂としては、具体的には、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分を共重合させて共重合体を生成し、この共重合体にカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させて生成されるもの、あるいはケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分を共重合させて共重合体を生成し、この共重合体にエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させて生成されるものである
【0011】
まず共重合体としてケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分を共重合させたものを用いて紫外線硬化性樹脂を生成する場合(請求項)について説明する。
ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(トリメチルシリルメチル)メタクリレート、(フェニルジメチルシリル)メチルメタクリレート、1−(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、1−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、1−ビニル−1−メチルサイラ−17−クラウン−6、1−ビニルシラトラン、1−フェニル−1−トリメチルシロキシエチレン、3−[N−アリル−N(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトキシシラン、3−[N−アリル−N(2−グリシジル)]アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3−フェニルアリルトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N,−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N,−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N−トリメチルシリルアリルアミン、t−ブチルジメチルビニルシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、トリフェニルビニルシラン、トリメチルシリルメタクリレート、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビニルジエチルメチルシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(トリ−s−ブトキシシロキサニル)シラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニロキシトリメチルシラン、フェニルジメチルビニルシラン、フェニルメチルビニルシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。特に、1−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましく、このことでケイ素原子を含んだ側鎖が分子表面に存在する確率を上昇させることができる。
【0012】
ケイ素原子を含むエチレン性不飽和単量体の含有量は、不飽和単量体成分(重合性単量体成分)の全量100重量部中で0.01部から10部の範囲であることが好ましい。これが0.01部より少ない場合は、指触乾燥性、解像性、感度及び半田耐熱性等が不十分なフォトソルダーレジストインクしか得ることができない恐れがあり、また10部より多い場合は希アルカリ性水溶液による現像が良好に行われないフォトソルダーレジストインクしか得ることができない恐れがある。特に好ましい範囲は0.05部から5部である。
【0013】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類や、アクリレート又はメタクリレートの脂環エポキシ誘導体、及びβ−メチルグリシジルアクリレート又はβ−メチルグリシジルメタクリレート等を挙げることができこれらは単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、汎用されて入手が容易なグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを用いるのが好ましい。
【0014】
このエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は、共重合体にエポキシ基を導入すると共にこれにカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を付加することで共重合体にエチレン性不飽和二重結合による光硬化性を付与することを目的として配合される。従って、紫外線硬化性樹脂の光硬化性は、共重合体中に占めるエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体からくる構成単位の含有率に直接支配されることになる。このためエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の含有率は、不飽和単量体成分の全量中で40〜95モル%の範囲であることが好ましい。これが40モル%より少ない場合は紫外線硬化性樹脂の光硬化性が不十分となって、パターン形成工程において感度不足及び解像性不良が生じやすく、また最終的に形成されるソルダーレジストにおいては半田耐熱性等の物性が不十分となるようなフォトソルダーレジストインクしか得ることができなくなる恐れがある。
【0015】
ケイ素原子を含むエチレン性不飽和単量体及びエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体以外に不飽和単量体成分として用いることができる不飽和単量体は、ケイ素原子を含むエチレン性不飽和単量体及びエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能であり、しかもこれら以外の不飽和単量体とも共重合可能なエチレン性不飽和単量体を用いることができる。ケイ素原子を含むエチレン性不飽和単量体及びエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体以外の不飽和単量体は、紫外線硬化性樹脂の光硬化性の調整及び紫外線硬化性樹脂の硬化膜の物性調整のために必要に応じて併用されるものであって、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート等の直鎖、分岐或は脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)のアクリル酸エステル又はメタクリル酸、及びヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシジエチレングリコールモノアクリレート、メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート等のエチレングリコールエステル系アクリレート又はエチレングリコールエステル系メタクリレート、及び同様なプロピレングリコール系アクリレート、プロピレングリコール系メタクリレート、ブチレングリコール系モノアクリレート、ブチレングリコール系モノメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等、及びベンジルアクリレート又はベンジルメタクリレート等の芳香族系のアクリレート又は芳香族系のメタクリレート、及びアクリルアミド又はメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド等のアクリルアミド系化合物又はメタクリルアミド系化合物、及びビニルピロリドン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。それらの中でも、直鎖又は分岐の脂肪族、芳香族、あるいは脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレート、アルコキシアルキルアクリレート又はアルコキシアルキルメタクリレート、N−フェニルマレイミド又はN−シクロヘキシルマレイミド等が、紫外線硬化性樹脂の被膜硬度及び油性の調節並びに最終的に形成されるレジストの硬度の調節が容易である等の点で特に好適である。
【0016】
上記のような各種の不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体は、公知の重合方法、例えば溶液重合やエマルジョン重合等により得られる。溶液重合を用いる場合について説明すれば、例えば、上記のようなエチレン性不飽和単量体の混合物(不飽和単量体成分)を、適当な有機溶剤中で重合開始剤を添加して、窒素気流下に加熱撹拌する方法や沸点重合法等により重合させる。
【0017】
重合の際に用いる有機溶剤として、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、及びジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられ、これらは単独で又は混合して用いることができる。
【0018】
また重合の際に用いる重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類のジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、及びジアルキルパーオキサイド類のジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、及びジアシルパーオキサイド類のイソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、及びケトンパーオキサイド類のメチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、及びアルキルパーエステル類のt−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、及びパーオキシジカーボネート類のジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物類としてアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキセン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド}等が挙げられこれらは単独で又は組み合わせて用いることができる。また、重合開始剤としてレドックス系の開始剤を使用してもよい。
【0019】
上記の共重合体の分子量は、これを用いて得られる紫外線硬化性樹脂の所要分子量に対応した範囲にあることが求められ、この共重合体を用いて合成される紫外線硬化性樹脂に所望される分子量によって、自動的に規定される。尚、共重合体の分子量の調節のために公知の連鎖移動剤等を用いて重合を行ってもよい。
そして上記のように生成される共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を付加させて反応させることによって、本発明の請求項1の製造方法により紫外線硬化性樹脂を生成することができる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等を例示することができ、これらの少なくとも一種を選択して用いることができる。特にアクリル酸又はメタクリル酸より導入されるエチレン性不飽和基は光反応性に優れるので、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としてアクリル酸又はメタクリル酸を用いるのが好ましい。
【0020】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の配合量は、上記共重合体の1エポキシ当量に対して0.7〜1.2化学当量であることが必要である。前記配合量が0.7化学当量に満たないと紫外線硬化性樹脂中にエポキシ基が多く残り過ぎて、予備乾燥程度の弱い熱乾燥条件下においても熱硬化反応が起こり、露光後の現像性の低下が生じ易く、またこれが1.2化学当量を越えると未反応のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の残存が問題となる恐れがある。
【0021】
また飽和又は不飽和の多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸無水物、及び無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物等の三塩基酸以上の酸無水物が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記の飽和又は不飽和の多塩基酸無水物は、紫外線硬化性樹脂に酸価を与え、希アルカリ水溶液による再分散、再溶解性をもたせることを主たる目的として使用される。その使用量は、該多塩基酸無水物を付加してなる紫外線硬化性樹脂の酸価が25〜150の範囲になるように選択することが好ましい。酸価が25より少ないと現像性不良となり、またこれが150より大きいと、熱硬化後のレジスト中の残存カルボキシル基に起因して、形成されるべきソルダーレジストの電気特性、耐電蝕性及び耐水性等の低下の問題を生じる。なお、特に酸価が40〜100である場合に最適な効果が得られる。
【0023】
上記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体及び飽和又は不飽和の多塩基酸無水物の付加反応は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の付加反応は、上記共重合体の溶剤溶液に熱重合禁止剤としてハイドロキノンもしくはハイドロキノンモノメチルエーテル等及び触媒としてベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類もしくはトリフェニルスチビン等を加え撹拌混合し、常法により、好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の反応温度で反応させる。飽和又は不飽和の多塩基酸無水物の付加反応も、上記と同様の方法で行うことができる。
【0024】
次に共重合体としてケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分を共重合させたものを用いて紫外線硬化性樹脂を生成する場合(請求項)について説明する。
不飽和単量体成分を構成するケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体及びカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体及びこれら以外の不飽和単量体としては上記と同様のものを使用することができる。またケイ素原子を含むエチレン性不飽和単量体の含有量は、上記と同様に、不飽和単量体成分の全量100重量部中で0.01部から10部の範囲であることが好ましく、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量は、不飽和単量体成分の全量100重量部中で40〜99.99部の範囲であることが好ましく、40部に満たない場合は、導入されたカルボキシル基の量が少ないために現像不良となりやすい。そして各種の不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体は、上記と同様に、溶液重合やエマルジョン重合等の公知の重合方法より得られる。
【0025】
上記のような不飽和単量体成分より生成される共重合体に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加させて反応させることによって、本発明の請求項2の製造方法により紫外線硬化性樹脂を生成することができる。エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては上記と同様のものを使用することができ、その配合量は、上記共重合体の1カルボキシル当量に対して0.2〜0.9化学当量の範囲に設定するのが好ましく、0.2化学当量に満たないと導入されるエチレン性二重結合が少ないために紫外線に対する感光性が不十分となり易く、また0.9化学当量を超えると、残存するカルボキシル基が少ないために現像不良となりやすい。
【0026】
またエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の付加反応は、上記と同様な公知の方法を用いて行うことができる。
上記のようにして生成される紫外線硬化性樹脂の重量平均分子量は、3000〜100000であることが望ましい。すなわち、本発明の目的の一つである高感度かつ高解像性を達成するためには紫外線硬化性樹脂のアルカリ水溶液に対する溶解性が露光によりシャープに変化することが必要であるが、上記紫外線硬化性樹脂において、平均分子量が100000より大きいものを用いた場合、レジストインクは極めて低い露光量においても希アルカリ水溶液に対する溶解性が低下する反面、未露光の状態でもアルカリ水溶液に対する溶解性の余裕がなく、露光時には貼付されたネガマスクの境界部分における僅かな光の漏れによる硬化によっても現像時の除去性が低下する。従ってこの場合は、露光による溶解性変化のシャープさに欠け、見かけ上は感度が高いにもかかわらず解像性は不十分なものとなり易い。一方、重量平均分子量が3000より小さい場合は感度が不足し易い。前述のグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートの配合量との組み合わせでいえば、紫外線硬化性樹脂の重量平均分子量が5000〜50000であり、かつグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートが不飽和単量体全量中で40〜95モル%の範囲にある場合に高感度と高解像性を併せ持った最適な効果が得られる。
【0027】
そして上記のようにして得られた紫外線硬化性樹脂に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有させることによって、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物が調製され、この紫外線硬化性樹脂組成物にさらに光重合開始剤と希釈剤を含有させることによって、本発明のフォトソルダーレジストインクが調製される。
【0028】
フォトソルダーレジストインクに使用する紫外線硬化性樹脂の配合量は、インクの良好な感度及び作業特性並びに最終的に形成されるレジストの良好な物性を確保するために、同時に配合される希釈剤中の有機溶剤を除外したインク成分全量中で10〜80重量%であることが望ましい。
1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、溶剤難溶性エポキシ化合物、汎用の溶剤可溶性エポキシ化合物等が挙げられ、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、YX4000(油化シェルエポキシ社製)、ソルビトールポリグリシジルエーテル、N−グリシジル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(例えばダイセル化学工業社製「EHPE−3150」)、ポリオールポリグリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、N−グリシジル型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンベースの多官能エポキシ樹脂(日本化薬社製EPPN−502H、並びにダウケミカル社製タクテックス−742及びXD−9053等)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂及びエポキシ基を有するビニル重合ポリマー等が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、トリグリシジルイソシアヌレート、YX 4000、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールA−ノボラック型エポキシ樹脂等が望ましい。
【0029】
レジストインク中におけるエポキシ化合物の配合量は、同時に配合される希釈剤中の有機溶剤を除外したインク成分全量中で0.1〜50重量%であることが望ましく、特に0.1〜30重量%の範囲において最適な効果を得られる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類、及びアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類、及び2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、及び2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン類、及びアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、及びベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルペルオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン類又はキサントン類、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンゾイル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、4,4’−ビス−ジエチルアミノベンゾフェノン等の窒素原子を含むもの、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられ、これらは安息香酸系、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート等の第三級アミン系等の公知の光重合促進剤及び増感剤等と併用しても良い。これらの光重合開始剤は各々単独で又は適宜互いに組み合わせて配合される。
【0030】
尚、例えばレーザ露光法用増感剤として7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン等のクマリン誘導体、その他カルボシアニン色素系、キサンテン色素系等を適宜選択することもでき、また本発明のフォトソルダーレジストインクを可視光又は近赤外線硬化性のものとすることができるが、紫外線硬化性を有する限りにおいてこれらを用いたものも含まれる。
【0031】
フォトソルダーレジストインク中における光重合開始剤の配合量は、光硬化性と得られるソルダーレジストの物性の良好なバランスを得るために、同時に配合される希釈剤中の有機溶剤を除外したインク成分全量中で0.1〜30重量%であることが望ましい。
希釈剤としては、光重合性単量体又は有機溶剤を単独で又は併せて使用することができる。上記光重合性単量体として、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、メタクリロイルモルフォリン、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、及びジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、シクロペンタニルモノアクリレート、シクロペンタニルモノメタクリレート、シクロペンテニルモノアクリレート、シクロペンテニルモノメタクリレート、シクロペンタニルジアクリレート、シクロペンタニルジメタクリレート、シクロペンテニルジアクリレート、シクロペンテニルジメタクリレート、及び多塩基酸とヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステル等、及びポリエステルアクリレート又はポリエステルメタクリレート、ウレタンアクリレート又はウレタンメタクリレート等のアクリレート単量体又はメタクリレート単量体等が挙げられる。光重合性単量体は各々単独であるいは適宜互いに組み合わせて使用することができる。
【0032】
また、フォトソルダーレジストインクの有機溶剤としては、例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級あるいは多価のアルコール類、及びメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤及びセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、及びカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、及びプロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類、及びジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、及び酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、及びジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられ、これらは各々単独であるいは適宜互いに組み合わせて使用することができる。
【0033】
上記光重合性単量体は、紫外線硬化性樹脂等を希釈し、塗布し易い状態にすると共に酸価を調整し、光重合性を与える。また、上記有機溶剤は、紫外線硬化性樹脂等を溶解、希釈し、液状として塗布可能にすると共に乾燥により造膜させる。
尚、上記希釈剤として光重合性単量体等の光重合性を有する成分はフォトソルダーレジストインクに必ずしも配合する必要はないが、配合する場合におけるその合計量は、希釈剤として同様に配合されている有機溶剤を除外したインク成分全量中で50重量%以下であることが望ましい。これを50重量%を越えて配合した場合は乾燥塗膜の表面粘着性が強くなり過ぎ、パターンを描いたネガマスクを乾燥した塗膜表面に直接当てがって露光するときにネガマスクの汚損等の問題を生じ易い。
【0034】
一方、上記光重合性単量体と同様に希釈剤として用いられる有機溶剤は本発明の希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクの必須成分であり、予備乾燥時に速やかに揮散し、乾燥塗膜に残存しないように選択する必要がある。レジストインク中における有機溶剤の配合量は、インク成分全量中で5%以上配合することが望ましく、これより少ない場合はインクの塗布が困難となり易い。尚、その好適な配合量は塗布方法により異なるので、該塗布方法に応じて適宜調節する必要がある。
本発明のフォトソルダーレジストインクには、上記各成分の他に、例えばカプロラクタム、オキシム、マロン酸エステル等でブロックされたトリレンジイソシアネート、モルホリンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート系のブロックドイソシアネート、及びn−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル化メラミン尿素共縮合樹脂、ベンゾグアナミン系共縮合樹脂等のアミノ樹脂等の熱硬化成分、及び紫外線硬化性エポキシアクリレート又は紫外線硬化性エポキシメタクリレート、例えばビスフェノールA型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環型エポキシ樹脂にアクリル酸又はメタクリル酸を付加したもの、あるいはこれらにさらに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の飽和もしくは不飽和多塩基酸無水物を付加したもの、無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体にヒドロキシアルキルアクリレートあるいはヒドロキシアルキルメタクリレート又はエポキシ基を有するアクリレートあるいはエポキシ基を有するメタクリレートを反応させて得られる紫外線硬化性重合体、及びスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体又はスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン性不飽和化合物の共重合体又はスチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体又はスチレン−アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン性不飽和化合物の共重合体、あるいはこれらにさらにエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させて得られる紫外線硬化性重合体、及びエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を単量体単位の一つとしたビニル共重合体に、アクリル酸あるいはメタクリル酸を付加した紫外線硬化性重合体、及びスチレン−マレイン酸樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の高分子化合物を加えることができる。
【0035】
また上記フォトソルダーレジストインクには、必要に応じて、さらにイミダゾール誘導体、ポリアミン類、グアナミン類、3級アミン類、4級アンモニウム塩類、ポリフェノール類、多塩基酸無水物等のエポキシ樹脂硬化剤及び硬化促進剤類、及び硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、クレー、炭酸カルシウム等の充填剤及び着色剤、及びシリコンやアクリレート共重合体、フッ素系界面活性剤等のレベリング剤、及びシランカップリング剤等の密着性付与剤、アエロジル等のチクソトロピー剤、及びハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ハレーション防止剤、難燃剤、消泡剤、酸化防止剤等の各種添加剤及び分散安定性を向上させるための界面活性剤や高分子分散剤等を加えても良い。
【0036】
本発明のフォトソルダーレジストインクは、例えば、各配合成分及び添加剤等を三本ロール、ボールミル、サンドミル等を用いる公知の混練方法によって調製される。その場合に、上記成分の内の一部を予め混合して分散させておき、これとは別に一部を予め混合して分散させておき、使用時に本発明のレジストインクの配合組成になるように混合調製する方法を採っても良い。
【0037】
上記レジストインクを使用して基板上へレジストパターンを形成する方法は特に限定されない。その中で最も一般的な方法を例示すれば以下の通りである。
例えば、基板上にレジストインクを浸漬法、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター又はスクリーン印刷等により塗布した後、希釈剤たる有機溶剤を揮発させるために例えば60〜120℃で予備乾燥を行なう。次にパターンを描いたネガマスクを乾燥した塗膜表面に直接又は間接的に当てがい、ケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプ等を用いて紫外線を照射した後、現像によりパターンを形成し、さらに例えば120〜180℃で30〜90分程度の加熱によりエポキシ化合物を硬化させることでレジストの被膜強度、硬度及び耐薬品性等を向上させるものである。
【0038】
上記現像工程で使用されるアルカリ溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液などを例示することができる。このアルカリ溶液の溶媒としては、水又は水とアルコール系等の親水性のある有機溶媒の混合物を用いることができる。親水性のある有機溶媒としてはエタノールやイソプロピルアルコール、モノメチルエーテルなどを例示することができ、溶媒全体に対して25重量%以下で配合することができる。
【0039】
尚、本発明のような1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基とケイ素原子を有する紫外線硬化性樹脂としては、多官能性エポキシ樹脂のエポキシ基の一部を(メタ)アクリル酸と反応させて、分子中に不飽和結合を有するエポキシ樹脂を生成し、この分子中に不飽和結合を有するエポキシ樹脂と、分子中にラジカル反応性不飽和結合を有する有機シリコーン化合物を反応させて、シリコーン変性エポキシ樹脂を生成し、このシリコーン変性エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸及び多塩基性酸無水物を反応させて生成されるものが考えられる。
【0040】
しかし、上記のものでは分子中に不飽和結合を有するエポキシ樹脂を生成するにあたって、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させているので、1分子あたりに複数の不飽和結合(二重結合)を有するエポキシ樹脂が生成される場合と、1分子あたりに1個の不飽和結合を有するエポキシ樹脂が生成される場合と、1分子あたりに不飽和結合が全くないエポキシ樹脂が生成される場合とがあり、このために、紫外線硬化性樹脂の合成過程においてエポキシ樹脂のゲル化が発生して紫外線硬化性樹脂の生成が困難になる恐れがあり、またケイ素(シリコン)を持たない紫外線硬化性樹脂が生成されることがあって、これを用いたソルダーレジストインクでは、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、電気特性に優れるソルダーレジストを形成することができない恐れがある。従って、本発明のように、ケイ素を有する不飽和単量体を含む不飽和単量体成分を共重合させて共重合体を生成し、この共重合体を用いて紫外線硬化性樹脂を生成するのが好ましい。
【0041】
【実施例】
下記に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、下記に示される「部」及び「%」は、全て重量基準である。また、「重量平均分子量」は、下記測定条件に基づきGPCにより測定されたものである。
【0042】
各試料を固型分について10mg/ミリリットルとなる様にTHF溶液を調製し、各々インジェクション量100マイクロリットルにて測定した。
測定条件
GPC測定装置:昭和電工社製SHODEX SYSTEM 11
カラム :SHODEX KF−800P、KF−805、KF−803及びKF−801の4本直列
移動層 :THF
流 量 :1ミリリットル/分
カラム温度 :45℃
検出器 :UV
換 算 :ポリスチレン
また生成物の赤外線吸収スペクトルの測定は、NaCl法にて行った。
【0043】
〔実施例1〕
還流冷却器に、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、1−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン1部、グリシジルメタクリレート70部、メチルメタクリレート29部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.2部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下で加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合を行い、50%共重合体溶液を得た。次に、上記50%共重合体溶液に、ヒドロキノン0.05部、アクリル酸37部、ジメチルベンジアミン0.2部、を加えて100℃で24時間付加反応を行い、続いて、無水テトラヒドロフタル酸45部、カルビトールアセテート79部を加え、100℃で3時間反応させ、50%紫外線硬化性樹脂(i)を得た。
【0044】
上記紫外線硬化性樹脂(i)のGPCチャートを図1に、また赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
〔実施例2〕
還流冷却器に、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、(トリメチルシリルメチル)メタクリレート5部、グリシジルメタクリレート70部、メチルメタクリレート25部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.2部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下で加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合を行い、50%共重合体溶液を得た。次に、上記50%共重合体溶液に、ヒドロキノン0.05部、アクリル酸37部、ジメチルベンジアミン0.2部、を加えて100℃で24時間付加反応を行い、続いて、無水テトラヒドロフタル酸45部、カルビトールアセテート79部を加え、100℃で3時間反応させ、50%紫外線硬化性樹脂(ii)を得た。
【0045】
上記紫外線硬化性樹脂(ii)のGPCチャートを図3に、また赤外線吸収スペクトルを図4に示す。
〔実施例3〕
還流冷却器に、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、1−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン1部、アクリル酸40部、N−フェニルマレイミド28部、メチルメタクリレート31部、カルビトールアセテート95部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下で加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合を行い、60%共重合体溶液を得た。次に、上記60%共重合体溶液に、グリシジルメタクリレート43部を加えて100℃で24時間付加反応を行い、60%紫外線硬化性樹脂(iii) を得た。
【0046】
上記紫外線硬化性樹脂(iii)のGPCチャートを図5に、また赤外線吸収スペクトルを図6に示す。
〔合成例1〕
還流冷却器に、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、グリシジルメタクリレート70部、メチルメタクリレート30部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.2部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下で加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合を行い、50%共重合体溶液を得た。次に、上記50%共重合体溶液に、ヒドロキノン0.05部、アクリル酸37部、ジメチルベンジアミン0.2部、を加えて100℃で24時間付加反応を行い、続いて、無水テトラヒドロフタル酸45部、カルビトールアセテート79部を加え、100℃で3時間反応させ、50%紫外線硬化性樹脂(iv)を得た。
【0047】
〔合成例2〕
還流冷却器に、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、アクリル酸40部、N−フェニルマレイミド28部、メチルメタクリレート32部、カルビトールアセテート95部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下で加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合を行い、60%共重合体溶液を得た。次に、上記60%共重合体溶液に、グリシジルメタクリレート43部を加えて100℃で24時間付加反応を行い、60%紫外線硬化性樹脂(v) を得た。
【0048】
〔合成例3〕
エピクロンN−680(大日本インク株式会社製のクレゾールノボラック型樹脂、エポキシ当量214)214部をカルビトールアセテート60部に溶解させたものに、攪拌しながらアクリル酸74部、ヒドロキノン0.1部及びジメチルベンジアミン0.7部を加え、常法により90〜100℃で24時間反応させた。この反応液にカルビトールアセテート95部を加え、攪拌し、エポキシアクリレート溶液を得た。続いて、テトラヒドロフタル酸無水物76部、およびカルビトールアセテート87部を加えて100℃で3時間反応させ、60%紫外線硬化性樹脂(vi)を得た。
【0049】
〔実施例4乃至8及び比較例1乃至3〕
上記実施例及び合成例で生成された紫外線硬化性樹脂(i) 乃至(vi)に、表1に示す各配合組成の配合成分を3本ロールで混練し、実施例4乃至8及び比較例1乃至3の希アルカリ水溶液で現像可能な液状フォトレジストインクを得た。各レジストインク及びそれにより最終的にソルダーレジストの形成されたプリント配線板の各性能を下記の試験方法で評価した。
【0050】
【表1】
Figure 0003771711
【0051】
(注1)エポキシ当量195の油化シェルエポキシ社製のエポキシ化合物
(注2)エポキシ当量100の日産化学工業社製のエポキシ樹脂
(注3)エポキシ当量214の大日本インク株式会社製のクレゾールノボラック型樹脂
(注4)チバガイギー社製の光重合開始剤
(注5)モンサント社製のレベリング剤
(注6)丸善石油社製の芳香族系溶剤
〔レジストインクの性能評価〕
−表面粘着性−
レジストインクを厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板の全面にスクリーン印刷により塗布し、溶剤を揮発させるために80℃で乾燥時間10、20及び30分の各乾燥条件で予備乾燥を行い、膜厚20μmの乾燥塗膜を有する3種類の試験片を各インクについて作成した。その後、ORC HMW680GW(オーク製作所製減圧密着型両面露光機)にてパターンを描いたマスクを乾燥塗膜面に直接当てがうと共に減圧密着させ、150mJ/cm2 の紫外線を照射した後、各乾燥条件においてマスクを取り外すときの粘着の程度を観察した。結果を表2に示す。
【0052】
表面粘着性の評価方法は、次の通りである。
×:マスクを取り外すことが困難で、無理に剥すとマスクパターンがはがれ落ち再使用できない状態となった。
△:マスクを取り外した後、乾燥塗膜上にマスクの貼付痕が認められた。
○:マスクを容易に取り外すことができ、貼付痕もなかった。
【0053】
【表2】
Figure 0003771711
【0054】
−現像幅(予備乾燥時間許容範囲)−
レジストインクを厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板の全面にスクリーン印刷により塗布し、溶剤を揮発させるために80℃で乾燥時間10、20、30、40、50、60分の各乾燥条件で予備乾燥を行い、膜厚20μmの乾燥塗膜を有する種類の試験片を各インクについて作成した。その後、パターンを描いたマスクを乾燥塗膜面に直接当てがって密着させ、各レジストインクにおける最適露光量の紫外線を照射し、次にpHが10の炭酸ナトリウム水溶液を現像液として現像することにより現像性及びパターンの形成状態を観察した。結果を表3に示す。
【0055】
現像幅の評価方法は次の通りである。
×:未露光部も現像による除去が困難であり、パターン形成が不可能であった。
△:未露光部の現像に長時間を要し、また微細なパターン部分についてはパターン形成が不可能であった。
○:未露光部の現像は容易で、シャープなパターンを得ることができた。
【0056】
−残存ステップ段−
レジストインクを厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板の全面にスクリーン印刷により塗布し、溶剤を揮発させるために80℃で乾燥時間20分の乾燥条件で予備乾燥を行ない、膜厚20μmの乾燥塗膜を有する試験片を各インクについて作成した。その後、ORC HMW680GW(オーク製作所製減圧密着型両面露光機)にて、ステップタブレットPHOTEC21段(日立化成工業社製の露光テスト用マスク)を乾燥塗膜に直接当てがうと共に減圧密着させ、各々50及び150mJ/cm2 の紫外線を照射し、次に炭酸ナトリウム水溶液を現像液として現像することにより現像後の残存ステップ段数を求め、露光感度の目安とした。結果を表3にそれぞれ示す。
【0057】
【表3】
Figure 0003771711
【0058】
表3から明らかなように、実施例4乃至8のものは比較例1乃至3と対比して、残存ステップ段の数が大きくて感度が高いことが判る。
〔プリント配線板の性能評価〕
次に、各レジストインクにより製造されるプリント配線板の性能を確認するため、順次下記(I) から(V) の工程を経ることによりテストピースを作成した。
(I) <塗布工程> 液状フォトソルダーレジストインクを、厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板及びこれを予めエッチングしてパターンを形成しておいたプリント配線基板の全面にスクリーン印刷により塗布し、基板表面にレジストインク層を形成させた。
(II)<予備乾燥工程> 塗布工程の後、基板表面のレジストインク層中の溶剤を揮発させるために80℃で予備乾燥を20分行ない、膜厚20μmの乾燥塗膜を得た。
(III) <露光工程> その後、パターンを描いたマスクを乾燥塗膜表面に直接当てがうとともにに各レジストインクにおける最適露光量の紫外線を照射し、基板表面上の乾燥塗膜の選択的露光を行った。
(IV)<現像工程> 露光工程後の乾燥塗膜において、選択的に未露光となっている部分を、炭酸ナトリウム水溶液を現像液として現像することにより除去し、基板上に露光硬化された乾燥塗膜のパターンを形成させた。
(V) <ポストベーク工程> 現像工程で得られた、露光硬化された乾燥塗膜のパターンが形成されている基板を150℃で30分間加熱し、乾燥塗膜の硬化を行い、テストピースを得た。
【0059】
上記工程で得られたテストピースについて以下の評価を行った。結果を表4に示す。
−解像性−
線幅及び線間が共に40μmの同心円で構成されるマスクパターンによって形成されるパターンの形成状態を観察した。
【0060】
解像性の評価方法は次の通りである。
×:パターンが形成されなかった。
△:パターンは一応形成されるものの、その一部が欠落していた。
○:シャープなパターンを得ることができた。
−半田耐熱性−
フラックスとしてLONCO 3355−11(ロンドンケミカル社製の水溶性フラックス)を用い、まずテストピースにフラックスを塗布し、次いでこれを260℃の溶融半田浴に15秒間浸漬し、その後水洗した。このサイクルを3回おこなった後の表面白化の程度を観察した。また、クロスカットによるセロハン粘着テープ剥離試験をJIS D 0202に準拠して行い、密着状態の変化を観察した。
【0061】
表面白化の評価方法は次の通りである。
×:著しく白化した。
△:僅かに白化が認められた。
○:異常を生じなかった。
また密着性の評価方法は次の通りである。
×:クロスカット試験をするまでもなく、レジストの膨れ又は剥離を生じた。
△:テープ剥離時にクロスカット部分に一部剥離を生じた。
○:クロスカット部分の剥離を生じなかった。
【0062】
−鉛筆硬度−
鉛筆硬度は、三菱ハイユニ(三菱鉛筆社製)を用いて、JIS K 5400に準拠して測定して評価した。
−耐溶剤性−
室温において1時間、イソプロパノール及び1,1,1−トリクロロエタン中に浸漬し、基板を観察して評価した。
【0063】
耐溶剤性の評価方法は次の通りである。
○:異常を生じないもの。
△:僅かに変化が見られるもの。
×:塗膜に剥がれが見られるもの。
−耐酸性−
室温において1時間、10wt%の塩酸に浸漬し、基板を観察して評価した。
【0064】
耐酸性の評価方法は次の通りである。
○:異常を生じないもの。
△:僅かに変化が見られるもの。
×:塗膜に剥がれが見られるもの。
−耐金メッキ性−
市販品の無電解ニッケルメッキ浴及び無電解金メッキ浴を用いて、テストピースのメッキを行い、塗膜の密着状態を観察した。
【0065】
耐金メッキ性の評価方法は次の通りである。
○:全く変化のないもの。
△:外観変化はないが、テープ剥離時に一部剥離が見られるもの。
×:塗膜の浮きが見られ、テープ剥離時に剥離が見られるもの。
−耐電蝕性−
テストピースに代えて、IPC B−25のくし型電極Bクーポンを用い、上記の条件で評価基板を作製し、くし電極にDC100Vのバイアス電圧を印加し、40℃、90%R.H.の条件下にて500時間後のマイグレーションの有無を確認して評価した。
【0066】
耐電蝕性の評価方法は次の通りである。
○:全くマイグレーションが確認できないもの。
△:ほんの僅かにマイグレーションが確認できるもの。
×:マイグレーションが発生しているもの。
【0067】
【表4】
Figure 0003771711
【0068】
表4から判るように、実施例4乃至8のレジストインクは比較例1乃至3のレジストインクと対比して、耐金めっき性が向上した。
【0069】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1、2に記載の発明は、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体から生成され、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基とケイ素原子を有する紫外線硬化性樹脂と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光重合開始剤と、希釈剤とを配合するフォトソルダーレジストインクの製造方法であって、請求項1に記載の発明は、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分の共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と飽和又は不飽和の多塩基酸無水物とを反応させることによって、上記紫外線硬化性樹脂を生成するものであり、また請求項2に記載の発明は、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分の共重合体に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させることによって、上記紫外線硬化性樹脂を生成するものであるので、指触乾燥性、解像性、感度及び半田耐熱性等に優れ、また優れた基板密着性、耐薬品性、耐電蝕性及び電気特性並びに特に優れた半田耐熱性及び耐金めっき性等を示すソルダーレジストを基板上に形成することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のGPCチャートである。尚、矢印で示したピークがピーク1であり、下部の目盛りはリテンションタイム(単位:分)を表す。
【図2】本発明の実施例1の赤外線吸収スペクトルのチャートである。
【図3】本発明の実施例2のGPCチャートである。尚、矢印で示したピークがピーク1であり、下部の目盛りはリテンションタイム(単位:分)を表す。
【図4】本発明の実施例2の赤外線吸収スペクトルのチャートである。
【図5】本発明の実施例3のGPCチャートである。尚、矢印で示したピークがピーク1であり、下部の目盛りはリテンションタイム(単位:分)を表す。
【図6】本発明の実施例3の赤外線吸収スペクトルのチャートである。

Claims (2)

  1. ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体から生成され、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基とケイ素原子を有する紫外線硬化性樹脂と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光重合開始剤と、希釈剤とを配合するフォトソルダーレジストインクの製造方法であって、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分の共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と飽和又は不飽和の多塩基酸無水物とを反応させることによって、上記紫外線硬化性樹脂を生成することを特徴とするフォトソルダーレジストインクの製造方法。
  2. ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分の共重合体から生成され、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基とケイ素原子を有する紫外線硬化性樹脂と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光重合開始剤と、希釈剤とを配合するフォトソルダーレジストインクの製造方法であって、ケイ素原子を有するエチレン性不飽和単量体とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを含む不飽和単量体成分の共重合体に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させることによって、上記紫外線硬化性樹脂を生成することを特徴とするフォトソルダーレジストインクの製造方法。
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