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JP3770555B2 - 複合生体材料 - Google Patents

複合生体材料 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、ハイドロキシアパタイト、コラーゲンおよびアルギン酸を含む複合生体材料およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、生体骨類似の機械的特性を有し、生体適合性、骨誘導性に優れた新規複合生体材料とその製造方法に関する。
背景技術
現在、再生医療の分野では損傷を受けた組織や器官に代わる種々の人工生体材料が開発されている。特に骨欠損部の治療には、人工骨材や人工骨充填材等のインプラントが用いられるが、こうしたインプラントには生体骨類似の機械的特性に加えて、生体適合性や骨誘導性−すなわち、生体適用後徐々に吸収され、骨再生サイクルに取り込まれて自身の骨に置換していく性質−が求められる。
脊椎動物の骨はハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体で、これらは生体骨中でハイドロキシアパタイトがそのc軸方向にコラーゲン繊維に沿って配向した特有のナノコンポジット構造を形成し、この構造が骨に特有の機械的性質を与えている。こうした生体骨類似の構造組成を有する、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合生体材料については、特開平7-101708号公報、特開平11-199209号公報等に記載されており、ある程度の骨誘導性も認められている。
一方、アルギン酸は海藻に含まれる多糖類で、従来より止血材や創傷被覆材として使用されてきた。人工骨材としては、α-TCPとアルギン酸塩を組み合わせた骨補填材開発についての報告(永田、「歯科材料」vol.16, No.6, (1997)p479-491)があるが、最近では、アルギン酸が骨軟骨修復を促すとの報告(Fragonas et.al., Biomaterials 21(2000)p795-801等)もなされている。しかしながら、アルギン酸をハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体に応用しようとの試みは未だなされていなかった。とりわけ、特有のナノコンポジット構造を生かしつつ、これにアルギン酸を均一に組み込んでいくには、ある程度の困難を伴う。
発明の開示
本発明は、生体骨類似の微小多孔質構造を有するハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体にアルギン酸塩を均一に配合し、生体適合性及び骨誘導性に優れた新規複合生体材料とその製造方法を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、微小多孔質構造を有するハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体に、特定の工程でアルギン酸を加えて、硬化させることにより、アルギン酸が均一に配合された複合体を得ることに成功した。そして、この複合体は、優れた生体適合性、骨誘導性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(10)を提供するものである。
(1)ハイドロキシアパタイト、コラーゲンおよびアルギン酸塩を含み、該ハイドロキシアパタイトのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を有する複合生体材料。
(2)前記複合生体材料において、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの総量に対するアルギン酸塩の配合率が1〜30質量%であることを特徴とする、上記(1)記載の複合生体材料。
(3)ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの総量に対するアルギン酸塩の配合率が5〜20質量%であることを特徴とする、請求の範囲第2項に記載の複合生体材料。
(4)前記複合生体材料において、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの配合比が60:40〜90:10である、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の複合生体材料。
(5)ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの配合比が70:30〜85:15である、上記(4)記載の複合生体材料。
(6)複合生体材料中にアルギン酸塩が均一に含まれていることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1に記載の複合生体材料。
(7)凍結乾燥後の複合生体材料における空隙率が80%以上である、上記(6)記載の複合生体材料。
(8)以下の工程によって製造されることを特徴とする、上記(7)記載の複合生体材料。
1)ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体とアルギン酸塩を混合する工程
2)上記混合物にさらに炭酸カルシウム懸濁液を混合し、ついでグルコン酸粉末を混合して硬化させるとともに二酸化炭素を発泡させ、複合生体材料を得る工程
(9)以下の工程を含む、複合生体材料の製造方法。
1)ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体とアルギン酸塩を混合する工程
2)上記混合物にさらに炭酸カルシウム懸濁液を混合し、ついでグルコン酸粉末を混合して硬化させるとともに二酸化炭素を発泡させ、複合生体材料を得る工程
(10)ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体が、ハイドロキシアパタイトのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を有する複合体である、上記(9)記載の方法。
以下、本発明の内容について詳述する。
1.複合生体材料
1.1 複合生体材料の構造
本発明にかかる複合生体材料は、ハイドロキシアパタイト、コラーゲンおよびアルギン酸塩を含み、ハイドロキシアパタイトはそのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を少なくともその一部に有する。この構造は、生体骨特有の構造であり、本発明の複合生体材料に特有の機械的特性を与えている。
なお、本発明において、「微小多孔質構造」とは、生体骨が有するような、数μm〜数10μ程度の孔(空隙)が無数に存在する構造を意味する。
本発明の複合生体材料において、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの配合比は60:40〜90:10、好ましくは70:30〜85:15である。これは両者の配合比が生体骨の組成(75:25)に近いことが必要だからである。
本発明の複合生体材料中には、アルギン酸塩が均一に含まれ、該複合生体材料のインプラント等への利用価値をより高いものとしている。
1.2 複合生体材料の構成成分
本発明の複合生体材料(凍結乾燥後の状態)において、アルギン酸塩はハイドロキシアパタイトとコラーゲンの総量(合計質量)に対し1〜30質量%(以下、単に「質量%」を%と記載する。)、より好ましくは5〜20%配合される。アルギン酸の量が少なすぎると複合体の強度が不十分となり、一方、アルギン酸の量が多すぎると細胞の侵入が妨げられるからである。
本発明の複合生体材料を、硬化・凍結乾燥させることなく骨充填剤として用いる場合、上記複合生体材料は適当量の水分を含有しており、その含水率は用途に応じて適宜調整される。
本発明の複合生体材料を、硬化・凍結乾燥させて用いる場合、凍結乾燥後の複合生体材料全体に対して、ハイドロキシアパタイトは55〜80%、コラーゲンは10〜35%、アルギン酸塩が1〜25%配合されることが好ましい。
本発明の複合生体材料は、凍結乾燥前の水を含んだ状態で、5〜70%、好ましくは10〜50%程度の空隙率(発泡による泡の部分)を有する。凍結乾燥後の複合生体材料は、少なくとも80%以上、好ましくは95%以上の空隙率を有する。前項同様、空隙率が低いと、生体適用後の細胞の侵入が不十分となり骨誘導性が悪くなるとともに、インプラント自体の強度が低下するからである。
凍結乾燥した本発明の複合生体材料には、平均直径1μm〜500μm程度の空隙(孔)と、無数の1μm以下の微小な空隙(孔)が存在し、かかる微小多孔質構造が生体適用後の細胞侵入と骨誘導性の向上に寄与しいている。
2.複合生体材料の製造方法
本発明にかかる複合生体材料の製造方法は、以下の1)および2)の工程を含む。これにより、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体(以下、「HAp/Col複合体」と記載する)中にアルギン酸塩が均一に含まれた微小多孔質構造を有する複合生体材料を得ることができる。
1) HAp/Col複合体にアルギン酸塩を混合する工程;
2) 上記混合物にさらに炭酸カルシウム懸濁液を混合し、ついでグルコン酸粉末を混合して硬化させるとともに二酸化炭素を発泡させ、複合生体材料を得る工程。
2.1 工程1
(1)HAp/Col複合体
工程1)において用いられる、HAp/Col複合体は、ハイドロキシアパタイトのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した、生体骨類似の微小多孔質構造を有する複合体であることが望ましい。そのような複合体は、例えば菊池らの方法(Biomaterials 22,(2000)p1705-1711)にしたがって製造することができる。すなわち、水酸化カルシウム溶液とコラーゲンを含むリン酸塩水溶液を反応容器中に同時滴下し、生じた沈澱物を乾燥することにより得ることができる。ここで、用いられるコラーゲンは、特に限定されないが、分子量が大きいと立体障害のために複合体の強度が不十分となるため、モノメリックなコラーゲンを用いることが好ましい。特に、ペプシン処理したアテロコラーゲンはモノメリックであることに加えて抗原性が低いため、本発明の複合生体材料に好適である。
前記HAp/Col複合体は、あらかじめ少量の生理食塩水、脱イオン水、リン酸緩衝液等を加え、ホモジュナイザー等で混合しておくことが好ましい。これはHAp/Col複合体中に遊離のカルシウムイオンが存在する場合、アルギン酸と反応してゲル化を生じることがあるため、生理食塩水等でカルシウムイオンをハイドロキシアパタイトに吸着させ、アルギン酸と反応しにくくしておくことが必要だからである。
なお、特に生理食塩水やリン酸緩衝液を用いるとイオンが複合体内部に入り込み、ハイドロキシアパタイト表面に吸着してその電気的な力を中和するため、混合物がよりなめらかになり好適である。また、加える生理食塩水等の量はHAp/Col複合体の構造組成によっても異なるが、HAp/Col複合体全量に対して2倍〜6倍程度が好ましい。
(2)アルギン酸塩
工程1)において用いられるアルギン酸塩は、特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができる。またアルギン酸塩は架橋されたアルギン酸を用いてもよい、該架橋アルギン酸の中には生体吸収性の優れたものであり、このようなものを用いればより好適である。なお、アルギン酸塩はあらかじめ3〜5%程度の水溶液にして用いると操作上簡便である。
2.2 工程2
工程2)では、グルコン酸と炭酸カルシウムの中和反応により、二酸化炭素が発泡するとともに、アルギン酸がカルシウムイオンで架橋されて硬化し、微小多孔質構造を有する複合生体材料が得られる。
(1)中和反応(発泡、架橋)
工程2)において用いられる炭酸カルシウムは特に限定されず、懸濁液であっても粉末であってもよい。また、工程2)で用いられるグルコン酸も特に限定されない。
炭酸カルシウムとグルコン酸の比率は、モル比で1:3〜2:3、好ましくは1:2程度であるとよい。本発明の複合生体材料は、炭酸カルシウムとグルコン酸の量を適宜変えることにより、発泡量を制御し、孔のサイズや空隙率を所望のものにすることができる。ただし、加える炭酸カルシウムやグルコン酸の量が少なすぎると、ゲル化が不十分となり、多すぎると発泡が過剰となり、いずれも複合生体材料の強度を低下させる。したがって、炭酸カルシウムはHAp/Col複合体全量に対して10〜100%程度混合されることが好ましい。なお、グルコン酸のみを多めに加えると、発泡量は変化せず、ハイドロキシアパタイトが一部溶解し、遊離したカルシウムイオンにより架橋密度が上がるため、インプラントの強度が高くなることが確認されている。
特に本発明の複合生体材料の強度を高めたい場合は、工程2)で得られるゲル化混合物を、さらに塩酸カルシウム溶液等に浸漬させてアルギン酸を架橋させるとよい。ただし、アルギン酸の架橋が密になりすぎると、生体適用後の細胞侵入が悪くなるため注意が必要である。
(2)硬化・成形
工程2)で得られたゲル化混合物は、数分から数10分程度で硬化がはじまり、本発明の複合生体材料が得られる。
なお、複合生体材料は硬化前に直接骨欠損部に注入すれば、そのまま骨充填材として使用できる。
また、特定形状のインプラントを製造したい場合は、グルコン酸混合後すみやかに所望の型に注入し成形する。さらに、硬化度を高めたい場合には凍結乾燥を行うが、該凍結乾燥の条件(たとえば温度、凍結時間、水中での凍結乾燥等)を選ぶことにより、複合生体材料の構造、すなわち比表面積、空隙率、孔(空隙)の大きさ等は、適宜調整することができる。
(3)その他
本発明の複合生体材料には、必須の成分であるハイドロキシアパタイト、コラーゲンおよびアルギン酸塩に加えて、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、さらに他の成分を含有させることもできる。かかる成分としては、例えばBMP2、BMP6及びBMP7等の骨形成タンパク、bFGF、aFGF、VEGF及びTGFβ等の増殖因子等が挙げられる。
3.複合生体材料に利用方法
(1)生体骨置換型骨再建材(インプラント)
前述のように、本発明の該複合生体材料は、硬化前に直接骨欠損部に注入することにより、そのまま骨充填材として使用できる。また、グルコン酸混合後すみやかに所望の型に注入し成形することにより、所望の形状のインプラントを製造することができる。
本発明により得られる複合生体材料は、水を吸うとスポンジのような弾性を有し、優れた生体親和性、骨誘導能ないしは骨伝導能を有する。すなわち、骨組織に埋入した場合は速やかに骨組織と結合し、ドナー側の硬組織と本発明により得られる複合材料との界面は完全に一体化しうる。
(2)培養基板
また、本発明の複合生体材料は細胞・組織培養基板としても利用できる。例えば、本発明の複合生体材料に生理活性の高いサイトカインを含有させ、これを基板として力学・電気などを加えた生体類似環境下で組織培養を行うことにより、骨髄、肝臓などの組織再建の効果が期待できる。この培養基板は、直接生体内に適用すれば、損傷部の効果的な組織再建を可能にする。
(3)薬剤徐放性基材
さらに、本発明の複合生体材料は他の生理活性物質、薬剤等の徐放材として用いることもできる、たとえば、骨肉腫などの切除骨の再建に、本発明により得られる複合材料に抗癌剤を含浸させたものを用いることで、癌再発の防止とともに生体硬組織の誘導を行うことができる。
すなわち、本発明によって得られる複合生体材料は、骨誘導および骨伝導能を有する生体骨置換型骨再建材、アミノ酸、糖質、サイトカインを含有する組織工学に用いられる生体活性基材や培養基板、および生体融和型薬剤徐放性基材として利用できる。具体的には、人工骨、人工関節、腱と骨との接合材、歯科用インプラント材、カテーテル用経皮端子、薬剤徐放性基材、骨髄誘導チャンバー、組織再建用チャンバー・基材等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、試験例1で作製したインプラントに走査顕微鏡写真である。
図2は、試験例2における本発明のインプラント移植2,4、8週間後のHE染色した組織像を示す写真である。
図3は、試験例2における市販の多孔質HAp移植2,4、8週間後のHE染色した組織像を示す写真である。
図4は、試験例2におけるHAp/Col複合体移植2,4、8週間後のHE染色した組織像を示す写真である。
図5は、試験例2におけるアルギン酸ナトリウム移植2,4、8週間後のHE染色した組織像を示す写真である。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2001-328167号の明細書に記載された内容を包含する。
発明を実施するための最良の形態
以下、試験例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔試験例1〕 ハイドロキシアパタイト/コラーゲン/アルギン酸複合生体材料の製造
1.試験方法
まず、HAp/Col複合体粉末500mgに生理食塩水3mlを加え、ホモジュナイザーで均一になるまで混合し、ついで3%アルギン酸ナトリウム水溶液を1.5m加え、さらに均一になるまで混合した。なお、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体(HAp/Col複合体)としては、前述の菊池らの方法(Biomaterials 22,(2000)p1705-1711)により合成したHAp/Col複合体粉末500mgを用いた。
つぎに、5Mの炭酸カルシウム懸濁液80μlを加えて混合し、さらにグルコン酸粉末100mgを加えて混合した。
混合物はすみやかに型に入れ、45分かけて硬化させた。この硬化物を-20℃で12時間凍結した後、凍結乾燥させ、本発明の複合生体材料(インプラント)を得た。
2.結果(複合生体材料の特性)
インプラント断面を走査電顕で観察すると、直径数μm〜数100μmからなる多孔質体で、生体骨類似の微小多孔質構造を有することが確認された(図1)。
〔試験例2〕 ラット大腿骨への移植実験
1.試験方法
試験例1で作製したインプラント2×2×5mmを10週齢のWistar系ラット大腿骨果部に骨孔をあけて移植し、2、4、6、8週後に採取したHE染色、トルイジンブルー染色を行った。比較として、以下の3種の物質をそれぞれ試験例2と同様にラット大腿骨果部に移植し、評価した。図2〜5に各試料の移植後2、4、8週におけるHE染色結果を示す。
▲1▼市販の焼結体多孔質ハイドロキシアパタイト(三菱マテリアル社「ボンフィル」:2×2×5mm)
▲2▼試験例1で用いたHAp/Col複合体の圧縮成形体(2×2×5mm)
▲3▼アルギン酸ナトリウム粉末(和光製「アルギン酸ナトリウムcp500-600」)の3%溶液(生理食塩水)
2.結果
1) 本発明のインプラント
図2から明らかなように、本発明のインプラント周囲では、2週目で既にインプラントに接した骨形成が旺盛で、4週、8週と経過するに従い、細胞の進入も増加している。拡大図では、4週、8週と経過するに従い、細胞の進入が増加するだけでなく、インプラント内部でも骨形成が増加しているのがわかる。このように、本発明のインプラントを移植した標本では、インプラント内への細胞進入が比較的良好で、貪食細胞と思われる多核巨細胞のインプラント内への進入も認められた。また、骨新生は直接インプラントに接して起こっており、インプラントと新生骨の境界は不明瞭であった。さらに、トルイジンブルー染色では、炎症反応は認められなかった。
2) 市販の焼結体多孔質ハイドロキシアパタイト
図3から明らかなように、市販の多孔質HApのインプラント周囲では、2週目でインプラントに接した骨形成が起こっているものの、4週、8週と経過しても、細胞の進入はあまり増加しなかった。拡大図では、4週、8週と経過するに従いインプラント内部で骨形成が増加していることが認められるが、多孔質であるにもかかわらず細胞の進入していない孔が多いことがわかる。なお、特に強い炎症所見は認められなかった。
3) HAp/Col複合体の圧縮成形体
図4から明らかなように、HAp/Col複合体では、2週目ではインプラント内部への細胞の進入はほとんど認めらなかった。4週、8週と経過すると、インプラントの吸収は進行するものの、吸収されていない部分への細胞の進入は依然としてあまり増加しなかった。拡大図では、時間が経過するにしたがいインプラントの吸収が進行し、その部分では細胞の進入が起こっているのがわかる。骨形成はインプラント吸収の前線を追うように繊維組織を挟んで進行していた。
4) アルギン酸ナトリウム3%溶液
図5から明らかなように、アルギン酸ナトリウムでは、部分的にインプラントに接した骨形成が起こっているが、8週経過しても、細胞の進入は少なかった。なお、強い炎症所見は特に認められなかった。拡大図の所見も同様である。
3.結論
以上のとおり、本発明のインプラント(複合生体材料)は、他の多孔質インプラントに比較して、優れた生体親和性、細胞進入および骨形成能を有することが確認された。また、移植後の炎症反応も認められず、本発明の複合生体材料は安全性の面でも優れていることが確認された。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、生体適合性、骨誘導性に優れた新規複合生体材料を提供することができる。

Claims (9)

  1. ハイドロキシアパタイトのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を有する複合生体材料中にアルギン酸塩が均一に含まれている複合生体材料であって、前記ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体とアルギン酸塩とを含む混合物をアルギン酸の架橋により硬化させつつ、発泡させて製造されることを特徴とする複合生体材料。
  2. 前記複合生体材料において、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの総量に対するアルギン酸塩の配合率が1〜30質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の複合生体材料。
  3. ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの総量に対するアルギン酸塩の配合率が5〜20質量%であることを特徴とする、請求項2に記載の複合生体材料。
  4. 前記複合生体材料において、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの配合比が60:40〜90:10である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合生体材料。
  5. ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの配合比が70:30〜85:15である、請求項4に記載の複合生体材料。
  6. 複合生体材料における空隙率が80%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合生体材料。
  7. 以下の工程によって製造されることを特徴とする、請求項6に記載の複合生体材料。
    1)ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体とアルギン酸塩を混合する工程
    2)上記混合物にさらに炭酸カルシウム懸濁液を混合し、ついでグルコン酸粉末を混合して硬化させるとともに二酸化炭素を発泡させ、複合生体材料を得る工程
  8. 以下の工程を含む、複合生体材料の製造方法。
    1)ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体とアルギン酸塩を混合する工程
    2)上記混合物にさらに炭酸カルシウム懸濁液を混合し、ついでグルコン酸粉末を混合して硬化させるとともに二酸化炭素を発泡させ、複合生体材料を得る工程
  9. ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなる複合体が、ハイドロキシアパタイトのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した、微小多孔質構造を有する複合体である、請求項8に記載の方法。
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