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JP3769090B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ Download PDF

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りラジアルタイヤにおいて、特にタイヤショルダー部における発熱抑制とタイヤ耐久性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤのショルダー部は、カーカスプライ層、ベルト端部及びベルト下パッド等の部材が複雑に組み合わされて構成されている。特に、ベルト端部とカーカスプライ層の間からタイヤ巾方向外側に向けたトレッドゴムとカーカスプライ層の間に至る部位にタイヤ周方向に連続して配置されているベルト下パッドは、ベルト端部とカーカスプライ間のせん断応力緩和の働きを持たせるため、構造上ゴム厚みが厚いという構造的特徴があり、かつ走行中負荷が繰り返し作用するため、内部発熱し易く、上記各部材同士のゴム−ゴム間、及びカーカスプライ層等の各部材内のゴム−コード間特にゴム−スチールコード間の接着破壊やベルト下パッド自体のゴム内部破壊によって、プライセパレーションやベルト端部からのベルトセパレーションを起こし、タイヤの故障原因を誘発し易い。従来は、かかる問題点を解決するために、ベルト下パッドのゴム組成物中のカーボンブラックを低配合量とし、発熱性を抑制するゴム配合となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ベルト下パッドにおけるゴム組成物中のカーボンブラックを低配合量にしていくと、柔らかいゴム組成物となり、発熱による接着破壊やベルト下パッド自体のゴム内部破壊から走行中にセパレーションを誘発し易く、タイヤの耐久性の点で必ずしも満足できるものではない。一方、近時の自動車の性能向上に伴う高速化及び重荷重化によって、前記ベルト下パッドの構造に起因した高発熱による耐久性の低下は一層問題となる。
【0004】
本発明の課題は、タイヤショルダー部におけるベルト下パッドの構造に起因した高発熱による耐久性の低下を防止した空気入りラジアルタイヤを提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物をベルト下パッドに用いることで前記課題を解決できることを見出した。
【0006】
すなわち、構造上ゴム厚みが厚く、走行中負荷が繰り返し作用するため、内部発熱し易く、ゴム−ゴム間及びゴム−コード間の接着破壊やベルト下パッド自体のゴム内部破壊によって、プライセパレーションやベルト端部でのセパレーションを起こし、タイヤの故障原因を誘発し易いベルト下パッドの構造的特徴に鑑み、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物をベルト下パッドに用いることで前記課題を解決できることを見出したものである。
【0007】
本請求項1の発明は、タイヤショルダー部のベルト端部とカーカスプライ層との間にベルト下パッドが配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、上記ベルト下パッドに、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0008】
これによって、ベルト下パッドを取り巻くショルダー部を構成するカーカスプライ層及び又はベルト端部などの部材、特にベルト下パッドとカーカスプライ層との間のゴム−ゴム間及びカーカスプライ層のゴム−コード間の接着強度の向上が図られる。しかも、低発熱性であり、かつベルト下パッドで要求される適度な柔軟性を備えている結果、構造上ゴム厚みが厚く、走行中負荷が繰り返し作用しても、タイヤショルダー部においてタイヤ耐久性を発揮する。
【0009】
また、上記ベルト下パッドの構造的特徴に鑑み、ベルト下パッドとカーカスプライ層との間に、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いた中間ゴム層を配置することによっても前記課題を解決できることを見出したものである。
【0010】
本請求項2の発明は、タイヤショルダー部のベルト端部とカーカスプライ層との間にベルト下パッドが配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、上記ベルト下パッドとカーカスプライ層との間に、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いた中間ゴム層を配置したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0011】
空気入りタイヤのベルト下パッドに用いるゴム組成物の動的粘弾性E’が5MPa未満の場合、ゴム組成物が柔軟すぎ、たとえレゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有することでゴム−ゴム間及びゴム−コード間のタイヤ新品初期の接着強度を確保しても、走行中の負荷による発熱から接着破壊やゴム自体の内部破壊が生じ、走行中セパレーションを誘発し易く、タイヤの耐久性の点で好ましくない。また空気入りタイヤのベルト下パッドに用いるゴム組成物の動的粘弾性E’が10MPaを超えると、たとえレゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有することでゴム−ゴム間及びゴム−コード間のタイヤ新品初期の接着強度を確保しても、ベルト下パッドとしてはゴム組成物の柔軟性に欠け、内部発熱し易いため、タイヤの耐久性の点で好ましくない。
【0012】
空気入りタイヤのベルト下パッドに用いるゴム組成物の損失正接tanδが0.18を超える場合は、たとえレゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有することでゴム内部破壊及びゴム−コード間のタイヤ新品初期の接着強度を確保しても、内部発熱し易いため、ゴム内部破壊及びゴム−コード間の接着破壊によって、プライセパレーションやベルト端部でのセパレーションを起こし、タイヤの故障原因を誘発し易く、タイヤ耐久性の点で好ましくない。また空気入りタイヤのベルト下パッドに用いるゴム組成物の損失正接tanδが0.10未満では、発熱は抑えられるが、補強効果が劣り、耐疲労性が低下する。
【0013】
空気入りタイヤのベルト下パッドに用いるゴム組成物の300%モジュラスが11MPa未満の場合、たとえレゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有することでゴム−ゴム間及びゴム−コード間のタイヤ新品初期の接着強度を確保しても、ベルト下パッドゴムとしては柔軟すぎるため、走行中の負荷が作用して、ゴム内部破壊を起こし、タイヤの耐久性が低下する。一方、空気入りタイヤのベルト下パッドに用いるゴム組成物の300%モジュラスが15MPaを超えると、ゴム厚みが厚く、走行中の負荷が繰り返し作用するベルト下パッドゴムとしては柔軟性を喪失することから、たとえレゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有することでゴム−ゴム間及びゴム−コード間のタイヤ新品初期の接着強度を確保しても、ゴム内部破壊が生じ易く、タイヤの耐久性が低下する。
【0014】
上記の請求項1のベルト下パッド又は請求項2の中間ゴム層に用いるゴム組成物としては、具体的には、ゴム100重量部に対してカーボンブラック10〜60重量部、シリカ3〜30重量部で、カーボンブラックとシリカの両者の合計で20〜65重量部、硫黄2〜5重量部を含有するゴム組成物が好ましい。
【0015】
また本発明は、請求項1又は2のゴム組成物に、ゴム100重量部に対してカーボンブラック10〜60重量部、シリカ3〜30重量部で、カーボンブラックとシリカの両者の合計で20〜65重量部、硫黄2〜5重量部を含有する請求項1又は2記載の空気入りラジアルタイヤである。
【0016】
ゴム100重量部に対してカーボンブラックが10重量部未満の場合、たとえレゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有することでゴム−ゴム間及びゴム−コード間のタイヤ新品初期の接着強度を確保しても、十分な補強効果が得られず、耐久性に欠ける。これに対して、ゴム100重量部に対してカーボンブラックが60重量部を超えると、ゴム厚みが厚く、走行中の負荷が繰り返し作用するベルト下パッドゴムとしては柔軟性を喪失し、接着破壊やゴム内部破壊が生じ易く、発熱性の抑止効果も乏しく、タイヤの耐久性が低下する。
【0017】
また、ゴム100重量部に対してシリカ3重量部未満では、たとえ請求項1のベルト下パッド又は請求項2の中間ゴム層に、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いたとしても、請求項1のベルト下パッド又は請求項2の中間ゴム層に対して十分な引き裂き強度及び粘着力を付与することが困難である点で好ましくない。これに対して、ゴム100重量部に対してシリカ30重量部を超えて配合した場合は、同じくたとえ請求項1のベルト下パッド又は請求項2の中間ゴム層に、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いたとしても、粘度上昇や早期加硫など加工性の悪化がみられる。
【0018】
またゴム100重量部に対してカーボンブラックとシリカの両者の合計で20重量部未満では、補強効果が劣り、摩耗性が悪化する。これに対してカーボンブラックとシリカの両者の合計で65重量部を超えると、発熱の抑制が困難となる。
【0019】
また、ゴム100重量部に対して硫黄2重量部未満の配合では、補強効果が不足し、また接着の改善効果が不十分であり、ゴム100重量部に対して硫黄5重量部を超えて配合した場合は、柔軟性の確保が困難でかつ耐熱性が悪化する。
【0020】
さらに本発明ではベルト下パッドを中心としたタイヤショルダー部の接着強度を向上させるために、請求項1のベルト下パッド又は請求項2の中間ゴム層に、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を配合するが、その配合量としてはゴム100重量部に対してレゾルシン又はレゾルシン誘導体が0.5〜3重量部、メチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体がレゾルシン又はレゾルシン誘導体の0.5〜2倍の重量部であることが好ましいことを見出した。
【0021】
また本発明は、請求項1又は2のゴム組成物に、ゴム100重量部に対してレゾルシン又はレゾルシン誘導体が0.5〜3重量部、メチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体がレゾルシン又はレゾルシン誘導体の0.5〜2倍の重量部含有する請求項1又は2記載の空気入りラジアルタイヤである。
【0022】
ゴム100重量部に対してレゾルシン又はレゾルシン誘導体が0.5重量部未満では、これを請求項1のベルト下パッド又は請求項2の中間ゴム層に用いた場合、カーカスプライゴムとの接着強度の向上やカーカスプライ層におけるコード及びゴム間の接着強度の向上が図られない。これに対して、レゾルシン又はレゾルシン誘導体が3重量部を超える場合は、コスト増に見合った補強効果が得られない。また、メチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体がレゾルシン又はレゾルシン誘導体の0.5倍の重量部未満ではレゾルシン又はレゾルシン誘導体の未反応物が残り、レゾルシン又はレゾルシン誘導体の2倍の重量部を超える場合ではそれ以上増量しても接着の向上効果が得られず、コスト増に見合った補強効果が得られない。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のタイヤの一実施形態を示すタイヤ右側の半断面図である。図中の1はスチールコードで補強されたベルト、2はトレッドゴム、3はベルト下パッド、4はスチールコードで補強されたカーカスプライ層、5はインナーライナーを示す。ベルト下パッド3は、ベルト1端部とカーカスプライ層4の間及びカーカスプライ層4とトレドゴム2の間に配置されている。この実施形態ではベルト下パッド3は断面略三角形状をなしている。ベルト下パッド3には請求項1、3又は4記載のゴム組成物が用いられる。なお本発明のベルト下パッドはかかる断面略三角形状のものに限定されない。
【0024】
一方、図2は本発明のタイヤの他の実施形態を示すタイヤ右側の半断面図である。図中の6はベルト下パッド3とカーカスプライ層4との間に配置された中間ゴム層である。本実施形態ではこの中間ゴム層6に請求項2、3又は4記載のゴム組成物が用いられる。
【0025】
なお、請求項1、2、3又は4記載のゴム組成物は、ベルト下パッド3及び中間ゴム層6の両者に使用することも可能である。
【0026】
本発明のタイヤのベルト下パッド又は中間ゴム層に用いるゴム組成物は、特に限定されるものではないが、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム等のジエン系ゴムが好適であり、中でも天然ゴム、イソプレンゴムは比較的低発熱性であるため、より好ましい効果を奏する。これらのゴムは単独で、あるいは2種以上を適宜混合して使用してもよい。
【0027】
本発明で使用するレゾルシン誘導体としては、少なくともレゾルシン及びホルムアルデヒドを成分とする樹脂を含んだ誘導体が用いられ、例えば、レゾルシンとホルマリンの重合物、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂との溶融混合物などが例示される。
【0028】
本発明で使用するメラミン誘導体としては、例えばメチロールメラミンの部分エーテル化物、メラミンとホルマリンとの反応物をメタノールでメトキシ化した化合物等が用いられ、その中でもメラミン1分子当たりの結合ホルマリン数が4〜6、メトキシ基数が2〜6の混合物でかつ一量体の含量が60〜90%の範囲のメラミン誘導体が好ましい。
【0029】
その他、本発明にかかるゴム組成物は、上記成分の他に、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、補強剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤などを添加することができる。
【0030】
本発明にかかるゴム組成物をタイヤに用いた場合、接着性が向上する理由は明らかではないが、本発明にかかるゴム組成物に含まれる接着剤成分であるレゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体の有効成分が、ゴム厚みの厚いベルト下パッドが配置されたタイヤショルダー部であっても、ベルト下パッド又は前記中間ゴム層から、有効成分を含んでいないベルト端部及び又はカーカスプライ層を構成するゴムに浸透していき、ゴム−ゴム間及びゴム−コード間の接着強度を増強する役割を果たすと考えられる。
【0031】
【実施例】
次の表1及び表2に示す実施例及び比較例に係る各成分配合のゴム組成物を用いた前記図1に示すベルト下パッドを用いてタイヤサイズ11R22.5 14PRのタイヤを試作した。なお、表1及び表2に示す実施例及び比較例の各ゴム組成物には、いずれも次の成分が含まれている。
【0032】
天然ゴム 80重量部
イソプレンゴム 20重量部
亜鉛華 10重量部
老化防止剤6C 1重量部
加硫促進剤DZ 1重量部
【0033】
【表1】
Figure 0003769090
【0034】
【表2】
Figure 0003769090
【0035】
表中のレゾルシン誘導体としてはレゾルシンとホルマリンの重合物、メラミン誘導体としてはメチロールメラミンの部分エーテル化物を使用した。
【0036】
また、ゴム組成物の動的弾性率E’及び損失正接tanδは、岩本製作所製、動的粘弾性スペクトロメーターを用い、温度30℃、周波数50Hz、初期歪15%、振幅1%で測定した。
【0037】
次に、各実施例及び比較例のタイヤのプライコードゴム付着率及びドラム耐久性を測定した。その結果も前記表1及び表2に示す。プライコードゴム付着率はタイヤを高速長距離バスの後輪に取り付け20万km走行後(高速道路利用率90%)、プライコードにゴムが付着している割合を目視により判定した。ドラム耐久性は、タイヤ空気圧JIS D4230に規定の100%、試験速度は40km/時間とし、タイヤ付加荷重を前記JISに規定の140%から始め150時間毎に10%ずつ荷重を上げドラムテストを実施した。比較例7をコントロールとしてタイヤ故障発生までの走行距離で比較した。走行距離が比較例7に対し±10%の範囲では「同等」、10%を超える場合は「良好」、10%未満は「劣る」とし、表にはそれぞれ同等は△、良好は○、劣るは×で示している。
【0038】
表1及び表2より、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有しないゴム組成物を用いたベルト下パッドを配置した比較例7のタイヤと比べて、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を配合した各実施例タイヤはいずれもプライコードゴム付着率が大きく、プライセバレーション及びベルトセパレーションが発生しにくく、ドラム耐久性に優れている。
【0039】
一方、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有するゴム組成物をベルト下パッドに用いた場合でも、各実施例のほか、比較例1及び比較例2から認められる様に、動的粘弾性E’は5〜10MPa、損失正接tanδは0.18以下、300%モジュラスは11〜15MPaのゴム組成物とすることが、かかるベルト下パッドに適用する上では重要であることが認められる。なお、損失正接tanδが0.10未満では、発熱は抑えられたが、補強効果が劣り、耐疲労性が低下した。
【0040】
また、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有し、動的粘弾性E’は5〜10MPa、損失正接tanδは0.18以下、300%モジュラスは11〜15MPaのゴム組成物をベルト下パッドに用いる場合であっても、さらにゴム組成物中にゴム100重量部に対してカーボンブラックは10〜60重量部、シリカは3〜30重量部で、カーボンブラックとシリカの両者の合計で20〜65重量部、硫黄は2〜5重量部を含有することが最適な配合であることが認められた。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、タイヤショルダー部のベルト端部とカーカスプライ層との間にベルト下パッドが配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、上記ベルト下パッドに、レゾルシン又はレゾルシン誘導体とそのメチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含み、かつ動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いたタイヤであるので、タイヤショルダー部におけるベルト下パッドの構造に起因した高発熱による耐久性の低下を防止して、タイヤ耐久性のある空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤの一実施形態を示す右側の半断面図である。
【図2】本発明のタイヤの他の実施形態を示す右側の半断面図である。
【符号の説明】
1 ベルト
2 トレッドゴム
3 ベルト下パッド
4 カーカスプライ層
5 インナーライナー
6 中間ゴム層

Claims (2)

  1. タイヤショルダー部のベルト端部とカーカスプライ層との間にベルト下パッドが配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、
    上記ベルト下パッドに、
    ゴム100重量部に対して、カーボンブラック10〜60重量部、シリカ3〜30重量部であって、かつカーボンブラックとシリカの両者の合計が20〜65重量部、硫黄2〜5重量部、レゾルシン又はレゾルシン誘導体0.5〜3重量部、メチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体が上記レゾルシン又はレゾルシン誘導体の0.5〜2倍の重量部含有し、
    その動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. タイヤショルダー部のベルト端部とカーカスプライ層との間にベルト下パッドが配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、
    上記ベルト下パッドとカーカスプライ層との間に、
    ゴム100重量部に対して、カーボンブラック10〜60重量部、シリカ3〜30重量部であって、かつカーボンブラックとシリカの両者の合計が20〜65重量部、硫黄2〜5重量部、レゾルシン又はレゾルシン誘導体0.5〜3重量部、メチレンドナーとしてのヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体が上記レゾルシン又はレゾルシン誘導体の0.5〜2倍の重量部含有し、
    その動的粘弾性E’が5〜10MPa、損失正接tanδが0.10〜0.18、300%モジュラスが11〜15MPaであるゴム組成物を用いた中間ゴム層を配置したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
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