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JP3767212B2 - 振動ジャイロの支持構造および支持方法 - Google Patents

振動ジャイロの支持構造および支持方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は振動ジャイロの支持構造および支持方法に関し、特にたとえば、カメラの手振れ防止やカーナビゲーションシステムなどに使用される振動ジャイロを支持するための、振動ジャイロの支持構造および支持方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、従来の支持構造を用いた振動ジャイロを示す斜視図であり、図9はその断面図である。振動ジャイロ1は、振動子2を含む。振動子2は、2つの圧電体基板3a,3bを接合することによって形成される。これらの圧電体基板3a,3bは、図9に矢印で示すように、互いに逆向きの厚み方向に分極される。
【0003】
一方の圧電体基板3aの外側面には、分割された電極4a,4bが形成される。これらの電極4a,4bは、圧電体基板3aの側面の幅方向に2つに分割され、圧電体基板3aの長手方向に延びるように形成される。さらに、他方の圧電体基板3bの外側面の全面に、別の電極5が形成される。振動子2は、電極5が形成された面において、支持部材6によって支持される。支持部材6は、たとえば金属線などで形成される。この支持部材6が折り曲げられて、突起部6aが形成される。この突起部6aが、振動子2の2つのノード点に対応する部分において、電極5に接触させられる。そして、シリコン樹脂を含む弾性接着剤7によって、支持部材6が振動子2の電極5に固着される。
【0004】
この振動ジャイロ1では、電極4a,4bと電極5との間に駆動信号が印加される。2つの圧電体基板3a,3bは、互いに逆向きに分極されているため、振動子2は、バイモルフ構造となっており、駆動信号によって振動子2が、電極4a,4b形成面および電極5形成面に直交する向きに屈曲振動する。このとき、振動子2は、その長手方向の両端から少し内側にある2つのノード点を中心として屈曲振動する。このような方向に振動子2が屈曲振動しているとき、電極4a,4bからは同じ信号が出力されるため、これらの信号の差をとれば、2つの出力信号が相殺されて0となる。
【0005】
振動子2が屈曲振動している状態で、振動子2の軸を中心として回転すると、振動子2の屈曲振動の向きに直交する向きにコリオリ力が働く。そのため、振動子2の屈曲振動の方向が変わり、電極4a,4bの出力信号が変化する。つまり、一方の電極4aからの出力信号がコリオリ力に対応して増加すると、他方の電極4bからの出力信号がコリオリ力に対応して減少する。したがって、これらの電極4a,4bからの出力信号の差をとれば、コリオリ力に対応した信号のみを得ることができる。このように、電極4a,4bの出力信号の差を測定することにより、振動ジャイロ1に加わった回転角速度を検出することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような振動ジャイロの支持構造では、支持部材の突起部を振動子の側面に接触させ、弾性接着剤で固着しているため、振動子が支持部材に対して傾きやすく、振動子と支持部材との間隔を一定にすることが難しい。そのため、支持部材によって、振動子の振動がダンピングされ、これが温度ドリフトの原因となる。また、支持部材を介して、振動子の振動漏れが発生し、これも温度ドリフトの原因となる。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、温度ドリフトを小さくすることができる振動ジャイロの支持構造を提供することである。
また、この発明の目的は、温度ドリフトを小さくすることができる振動ジャイロの支持構造を得るための支持方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、側面に電極が形成された振動子の屈曲振動を利用して回転角速度を検出する振動ジャイロの支持構造であって、振動子を支持するために振動子の幅方向に延びる支持部材を有し、振動子の屈曲振動のノード点に対応する部分において、振動子の側面の電極と支持部材とが、硬化した導電性接着剤によって構成される支持部によって一定の間隔を隔てて、導電性接着剤で電極に硬化した導電性接着剤からなる支持部を介して支持部材が固着されることを特徴とする、振動ジャイロの支持構造である。
このような振動ジャイロの支持構造において、支持部材は、振動子の1つの側面に形成された電極または対向側面に形成された電極に硬化した導電性接着剤からなる支持部を介して固着することができる。
また、硬化した導電性接着剤の硬度は、鉛筆硬度B〜6Hであることが好ましい。
さらに、この発明は、屈曲振動をする振動子のノード点に対応する部分において振動子の側面に形成され電極に導電性接着剤を印刷する工程と、電極から一定の間隔となる面を導電性接着剤に形成して支持部を形成する工程と、支持部に形成された面上に支持部材を配置する工程と、導電性接着剤によって支持部に支持部材を固着する工程とを含む、振動ジャイロの支持方法である。
【0009】
振動子の側面に形成された電極と支持部材とが一定の間隔を隔てて配置されるため、振動子の振動がダンピングされにくく、温度ドリフトを抑えることができる。また、支持部材が導電性接着剤を介して振動子に固着されており、直接振動子に接触していないため、支持部材からの振動漏れを抑えることができる。さらに、導電性接着剤の硬度を、鉛筆硬度でB〜6Hの範囲にしておくことにより、温度ドリフトを抑制する効果が高い。
このような振動ジャイロの支持構造を得るために、まず、振動子の側面に導電性接着剤が印刷され、この導電性接着剤を加工して、振動子の側面の電極から一定の間隔となる面を有する支持部が形成される。この面は、ダイサーなどを用いて、精度よく形成することができる。したがって、この支持部の面に支持部材を配置して、導電性接着剤で固着することにより、支持部材の位置精度がよくなり、電極から一定の間隔で支持部材を固着することができるとともに、振動子のノード点に近い位置で支持することができる。
【0010】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の支持構造を用いた振動ジャイロの一例を示す斜視図であり、図2はその断面図である。振動ジャイロ10は、振動子12を含む。振動子12は、直方体状の第1の圧電体基板14aおよび第2の圧電体基板14bを含む。これらの圧電体基板14a,14bとしては、たとえば圧電セラミックやLiNbO3 ,LiTaO3 の単結晶などが用いられる。そして、第1の圧電体基板14aおよび第2の圧電体基板14bは接合される。第1の圧電体基板14aと第2の圧電体基板14bは、図2に矢印で示すように、互いに逆向きの厚み方向に分極される。したがって、振動子12は、バイモルフ構造となる。
【0012】
第1の圧電体基板14aの外側面には、2つの電極16,18が形成される。これらの電極16,18は、第1の圧電体基板14aの幅方向に2分割され、第1の圧電体基板14aの長手方向に延びるように形成される。さらに、第2の圧電体基板14bの外側面の全面に、別の電極20が形成される。このような振動子12を作製するには、たとえば大きい2枚の圧電体基板をエポキシ樹脂などで接合して積層基板を形成し、積層基板の両面に電極を形成して、一方の圧電体基板上に形成された電極に所定の間隔で溝を形成したのち、ダイシングカットなどによって積層基板を切断すればよい。
【0013】
電極20形成面には、たとえば金属線などで形成された直線状の支持部材22a,22bが取り付けられる。支持部材22a,22bは、振動子12の2つのノード点に対応する部分において、振動子12の幅方向に延びるようにして、導電性接着剤24で電極20上に接着される。このとき、振動子12と支持部材22a,22bとの間隔が一定となるように、支持部材22a,22bが取り付けられる。
【0014】
この振動ジャイロ10を作製するために、振動子12の2つのノード点に対応する部分において、電極20上に導電性接着剤が印刷される。この導電性接着剤が硬化したのち、図3に示すように、ダイサーなどを用いて、硬化した導電性接着剤に電極20と平行な面を含む溝26aが形成され、支持部26が形成される。このように、支持部26では、溝26aが電極20と平行、つまり振動子12の外側面と平行であるので、溝26aと振動子12との間隔は一定となる。そして、図4に示すように、この支持部26の溝26aに支持部材22a(22b)が配置され、支持部材22a(22b)と支持部26とが導電性接着剤で固着される。
【0015】
この振動ジャイロ10を使用するために、図5に示すように、第1の圧電体基板14a上に形成された電極16,18に抵抗30,32が接続される。これらの抵抗30,32と電極20との間には、発振回路34が接続される。発振回路34は、たとえば増幅回路と位相補正回路とを含み、電極20から出力される信号が発振回路34に帰還される。そして、増幅回路および位相補正回路によって、帰還された信号のレベルおよび位相が調整され、電極16,18に与えられる。
【0016】
また、電極16,18は、差動回路36の入力端に接続される。差動回路36の出力端は、同期検波回路38に接続される。同期検波回路38では、たとえば発振回路34の信号に同期して、差動回路36の出力信号が検波される。同期検波回路38は平滑回路40に接続され、さらに平滑回路40は直流増幅回路42に接続される。
【0017】
この振動ジャイロ10は、発振回路34によって自励振駆動される。このとき、振動子12はバイモルフ構造であるため、第1の圧電体基板14aがその主面に平行する向きに延びたとき、第2の圧電体基板14bはその主面に平行する向きに縮む。逆に、第1の圧電体基板14aがその主面に平行する向きに縮んだとき、第2の圧電体基板14bがその主面に平行する向きに延びる。そのため、振動子12は、電極16,18形成面および電極20形成面に直交する向きに屈曲振動する。
【0018】
振動ジャイロ10に回転角速度が加わっていないとき、電極16,18形成部分の振動状態は同じでる。そのため、電極16,18から出力される信号は同じであり、差動回路36で相殺されるため、差動回路36からは信号が出力されない。振動子12の軸を中心として回転すると、屈曲振動の向きと直交する向きにコリオリ力が働く。このコリオリ力により、振動子12の屈曲振動の向きが変わる。そのため、電極16,18形成部分の振動状態に差が生じ、電極16,18から出力される信号に差が生じる。たとえば、電極16から出力される信号が大きくなったとき、電極18から出力される信号は小さくなる。逆に、電極16から出力される信号が小さくなったとき、電極18から出力される信号は大きくなる。したがって、差動回路36から、2つの電極16,18の出力信号の差が得られる。電極16,18の出力信号の変化は、振動子12の屈曲振動の向きの変化、すなわちコリオリ力に対応している。したがって、差動回路36からは、コリオリ力に対応したレベルの信号が出力される。
【0019】
差動回路36の出力信号は、同期検波回路38において、発振回路34の信号に同期して検波される。このとき、差動回路36の出力信号の正部分のみ、または負部分のみ、または正負いずれかを反転した信号が検波される。同期検波回路38で検波された信号は、平滑回路40で平滑され、さらに直流増幅回路42で増幅される。したがって、直流増幅回路42の出力信号を測定することにより、振動ジャイロ10に加わった回転角速度を検出することができる。
【0020】
回転角速度の向きが逆の場合、振動子12の屈曲振動の向きの変化も逆になり、電極16,18の出力信号の変化は逆となる。そのため、差動回路36から出力される信号は逆位相となり、同期検波回路38で検波される信号も逆極性となる。そのため、直流増幅回路42からの出力信号の極性も逆となる。したがって、直流増幅回路42の出力信号の極性から、回転角速度の方向を検出することができる。
【0021】
この振動ジャイロ10では、支持部材22a,22bが導電性接着剤24で形成された支持部26で振動子12に取り付けられ、振動子12と支持部材22a,22bとの間隔が一定に保たれているため、振動子12の屈曲振動が支持部材22a,22bによってダンピングされにくい。そのため、振動ジャイロ10の温度ドリフトを小さくすることができる。特に、導電性接着剤24の硬度が鉛筆硬度B〜6Hの範囲内であるとき、この効果が高いことがわかった。実験例として、導電性接着剤24の硬度とドリフトとの関係を調べ、その結果を図6に示した。図6からわかるように、導電性接着剤24の硬度が、鉛筆硬度B〜6Hの間で、ドリフトが20(deg/sec)と小さいことがわかる。
【0022】
また、支持部材22a,22bが導電性接着剤24で形成された支持部26を介して振動子12に取り付けられ、支持部材22a,22bが直接振動子12に接触していないため、振動子12の振動が支持部材22a,22bから漏れにくい。そのため、振動ジャイロ10の温度ドリフトを小さくすることができる。
【0023】
なお、支持部材は、振動子12の一方の側面のみでなく、対向する両側面に取り付けられてもよい。この場合、図7に示すように、4つの支持部材22a,22b,22c,22dが取り付けられる。ここで、隣接する電極16,18が支持部材22c,22dで短絡されると、振動ジャイロとしての機能が発揮できないため、電極16,18のそれぞれを振動子12のノード点に対応する位置で分割し、ノード点に対応する部分に形成された電極部分16a,18aに支持部材22c,22dが取り付けられる。この場合、電極部分16a,18aに導電性接着剤で支持部を形成し、電極16,18と平行になる面を支持部に形成して、この面に支持部材22c,22dを取り付ければよい。そして、電極16の中央部の電極部分16bに、支持部材22cから延びる延長部を接続し、電極18の中央部の電極部分18bに、支持部材22dから延びる延長部を接続することにより、支持部材22c,22dを介して電極16,18に信号を入出力することができる。なお、図7に示す支持部材22c,22dの接続構造は一例であり、支持部材22c,22dがそれぞれ電極16,18に接続され、かつ電極16,18が短絡しない構造であれば、他の接続構造を採用してもよい。
【0024】
なお、支持部材は、振動子12の2つのノード点に対応する部分のそれぞれに少なくとも1つ取り付けられていればよく、振動子12の電極20側の2つの部分に支持部材22a,22bを形成し、電極16,18側の1つの部分に支持部材22cまたは22dのどちらか一方を形成してもよい。さらに、振動子12の電極20側において、一方のノード点に対応する部分に支持部材22aを形成し、電極16,18側において、他方のノード点に対応する部分に支持部材22dを形成してもよい。もちろん、振動子12の対向側面において、支持部材22b,22cを形成してもよいことはいうまでもない。
【0025】
支持部材を金属線などの導電材料で形成することにより、リード線を用いることなく、支持部材を信号の入出力用として用いることができる。特に、全ての電極16,18,20に支持部材を取り付ける場合、全くリード線などを用いる必要がなく、リード線のテンションなどの影響を取り除くことができる。そのため、リード線の影響がなく、温度ドリフトが小さい、良好な特性を有する振動ジャイロ10を得ることができる。
【0026】
【発明の効果】
この発明によれば、振動子とその幅方向に延びる支持部材とが一定の間隔を隔てて配置されているため、振動子の振動が支持部材によってダンピングされにくい。また、支持部材が直接振動子に接触していないため、振動子の振動が支持部材を介して漏れにくい。これらのことから、振動ジャイロの温度ドリフトを小さくすることができる。特に、導電性接着剤の硬度を鉛筆硬度B〜6Hの範囲にすることにより、この効果を大きくすることができる。
また、振動子のノード点に対応する位置において、予め振動子の側面に形成された電極と平行な面を有する支持部を形成しておき、この面に支持部材を配置することにより、支持部材の位置の精度をよくすることができる。したがって、支持部材と電極との間の間隔を一定にすることができ、しかも振動子のノード点に近い部分で振動子を支持することができ、振動ジャイロの温度ドリフトを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の支持構造を用いた振動ジャイロの一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す振動ジャイロの断面図である。
【図3】図1に示す振動ジャイロを作製するために振動子に支持部を形成した状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す支持部に支持部材を配置した状態を示す図解図である。
【図5】図1に示す振動ジャイロを使用するための回路を示すブロック図である。
【図6】支持部材を固定するための導電性接着剤の硬度とドリフトとの関係を示すグラフである。
【図7】この発明の振動ジャイロの支持構造の他の例を示す斜視図である。
【図8】従来の支持構造を用いた振動ジャイロの一例を示す斜視図である。
【図9】図8に示す振動ジャイロの断面図である。
【符号の説明】
10 振動ジャイロ
12 振動子
14a 第1の圧電体基板
14b 第2の圧電体基板
16 電極
18 電極
20 電極
22a〜22d 支持部材
24 導電性接着剤
26 支持部
26a 溝

Claims (4)

  1. 側面に電極が形成された振動子の屈曲振動を利用して回転角速度を検出する振動ジャイロの支持構造であって、
    前記振動子を支持するために前記振動子の幅方向に延びる支持部材を有し、
    前記振動子の屈曲振動のノード点に対応する部分において、前記振動子の側面の前記電極と前記支持部材とが、硬化した導電性接着剤によって構成される支持部によって一定の間隔を隔てて、導電性接着剤で前記電極に前記硬化した導電性接着剤からなる支持部を介して前記支持部材が固着されることを特徴とする、振動ジャイロの支持構造。
  2. 前記支持部材は、前記振動子の1つの側面に形成された前記電極または対向側面に形成された前記電極に前記硬化した導電性接着剤からなる支持部を介して固着される、請求項1に記載の振動ジャイロの支持構造。
  3. 前記硬化した導電性接着剤の硬度は、鉛筆硬度B〜6Hである、請求項1または請求項2に記載の振動ジャイロの支持構造。
  4. 屈曲振動をする振動子のノード点に対応する部分において前記振動子の側面に形成された電極に導電性接着剤を印刷する工程、
    前記電極から一定の間隔となる面を前記導電性接着剤に形成して支持部を形成する工程、
    前記支持部に形成された前記面上に支持部材を配置する工程、および
    導電性接着剤によって前記支持部に前記支持部材を固着する工程を含む、振動ジャイロの支持方法。
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