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JP3761456B2 - データ通信装置,通信データの誤り検出方法,データ通信システム - Google Patents

データ通信装置,通信データの誤り検出方法,データ通信システム Download PDF

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JP3761456B2
JP3761456B2 JP2001369962A JP2001369962A JP3761456B2 JP 3761456 B2 JP3761456 B2 JP 3761456B2 JP 2001369962 A JP2001369962 A JP 2001369962A JP 2001369962 A JP2001369962 A JP 2001369962A JP 3761456 B2 JP3761456 B2 JP 3761456B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,所定の誤り訂正符号への符号化が施された通信データを受信し,該通信データに含まれる誤り訂正符号に基づいて通信データの誤り訂正を行うデータ通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より,例えば,IPプロトコルでの通信においてIPパケットを単位として通信データを構成しているように,所定長さのデータ列であるバースト信号を単位とした通信データを構成して通信するデータ通信装置がある。また,通信経路のノイズ等により発生する通信データの誤りに対応するため,リード・ソロモン符号等の所定の誤り訂正符号への符号化が施された前記バースト信号(IPパケット等)によって通信データを構成し,受信側において通信データに含まれる誤り訂正符号に基づいて通信データの誤り訂正を行うことも一般的に行われている。前記リード・ソロモン符号等によれば,誤り訂正を行えることに加え,誤り訂正符号ごとに誤りが発生していたか否か,或いは誤り訂正によって誤りが正しく訂正できたか否かの検出も可能である。従って,誤りが発生していた誤り訂正符号の数(以下,誤り符号数という),及び誤り訂正ができなかった誤り訂正符号の数(以下,訂正不能符号数という)が検出可能である。そして,これらの情報を用いれば,通信データの所定のサンプリング単位に含まれる全ての誤り訂正符号の数(以下,サンプリング符号数という)に対する前記誤り符号数,或いは前記訂正不能符号数の比率を求めることにより,誤りの訂正前又は訂正後についての誤り発生率を求めることが可能である。
【0003】
ところで,通信経路における通信データの誤りは,その発生原因から,通信データのビット単位で特に規則性なくランダムに発生する誤り(以下,ランダム誤りという)と,前記バースト信号の同期の失敗等の原因により前記バースト信号の単位全体に発生する誤り(以下,バースト誤りという)とに分けられる。前記バースト誤りでは,前記バースト信号に含まれる全ての誤り訂正信号に誤りが発生し,その誤り訂正も行えない場合が多い。そして,前記ランダム誤りと前記バースト誤りとでは,その発生を抑制するための対策も異なる。例えば,前記ランダム誤りの発生は,通信経路における通信信号レベルの減衰が大きい,或いはノイズレベルが高い等によるSN比の低下が原因であることが多く,この場合には,送信側における通信データの出力信号の強度を上げることや,よりノイズに強い変調方式へ変更すること,さらには,誤り訂正符号のサイズを大きくする等によってより訂正能力の高い誤り訂正符号に符号化すること(符号化方式の変更)等の対策が有効となる。一方,前記バースト誤りの発生は,前述したように前記バースト信号の同期の失敗等が原因であることが多く,この場合には,前記バースト信号の変調パラメータのうち,プリアンブル長を長くして信号の同期を取りやすくすること等が有効となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来は前記ランダム誤りと前記バースト誤りとを区分して検出することができないため,例えば,前記バースト誤りが支配的な場合に,送信側の信号出力の強度を上げてしまう等,適切な対応をとれない場合があるという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,通信データに発生する前記ランダム誤りと前記バースト誤りとを区分して検出できるとともに,誤りの種類に応じて適切な対応を行えるデータ通信装置及び通信データの誤り検出方法,並びにデータ通信システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,所定の誤り訂正符号への符号化が施された所定長さのデータ列であるバースト信号を単位として構成される通信データを受信し,該通信データに含まれる前記誤り訂正符号に基づいて前記通信データの誤り訂正を行うデータ通信装置であって,受信した前記通信データの所定のサンプリング単位に含まれる前記誤り訂正符号の数であるサンプリング符号数と,そのうち誤りが検出された前記誤り訂正符号の数若しくは誤りの訂正ができなかった前記誤り訂正符号の数である誤り発生符号数とに関する誤り情報を検出する誤り情報検出手段を具備するデータ通信装置において,前記バースト信号1つに含められる前記誤り訂正符号の数である所定のバースト内符号数と前記誤り情報とに基づいて,前記バースト信号の単位全体に発生する誤りであるバースト誤りと,その他の誤りであるランダム誤りとを区分して検出する誤り検出手段とを具備してなることを特徴とするデータ通信装置である。
前述したように,前記バースト誤りが発生すると,1つの前記バースト信号に含まれる全ての誤り訂正符号に誤りが発生するため,前記誤り発生符号数は前記バースト内符号数の倍数の単位で加算されることとなる。
そこで,前記誤り検出手段を,前記誤り発生符号数を前記バースト内符号数により除したときの商を前記バースト誤りの発生数とし,その余りを前記ランダム誤りの発生数として,前記バースト誤りの発生率と前記ランダム誤りの発生率とを区分して算出するものとすれば,前記バースト誤りと,前記ランダム誤りとを区分して検出することができる。
【0006】
また,前記誤り情報に基づいて,前記誤り情報検出手段による前記通信データの前記サンプリング単位を変更するものが考えられる。例えば,前記サンプリング符号数に対する前記誤り発生符号数の比率である誤り発生率と,前記サンプリング符号数に対応させて予め設定される前記誤り発生率の許容値との比較に基づいて,前記誤り情報検出手段による前記通信データの前記サンプリング単位を変更するもの等である。
これにより,前記ランダム誤りの発生数が,前記バースト内符号数以上にまで増加した場合に,本来,前記ランダム誤りとしてカウントすべきものを,前記バースト誤りとして誤ってカウントしてしまう誤判定を防止できる。即ち,前記サンプリング符号数ごとに,所定数の前記ランダム誤りが発生する確率は理論的に計算でき,これに基づくと,前述した方法で前記バースト誤りと前記ランダム誤りとを区分した場合に,前記サンプリング符号数ごとに,前記誤判定が生じる確率(前記ランダム誤りの発生数の検出誤差)を所定の許容範囲内に収めるための前記誤り発生率の許容値を理論的に予め求めることができる。この誤り発生率の許容値は,前記サンプリング符号数が少ないほど高い値となるため(後述する図3),前記誤り発生率がその許容値を越えないように前記サンプリング符号数を調節(即ち,前記サンプリング単位を変更)すれば,前記誤判定を防止することが可能となるとともに,可能な範囲で前記サンプリング単位を大きくして(前記サンプリング符号数を増やして)より正確な(母数の大きな)前記ランダム誤りの発生率と前記バースト誤りの発生率とを求めることができる。
【0007】
また,前記通信データの前記サンプリング単位が,所定のサンプリング周期の間に受信した前記通信データであるものが考えられ,この場合,前記通信データのサンプリング単位の変更が,前記サンプリング周期を変更すること,又は前記通信データの送信に所定の送信データ量制御指令を送信して単位時間当たりの前記通信データの送信許容量を変更させることのいずれか一方又は両方によりなされるものが考えられる。
これにより,前記サンプリング数を直接的に変更できない場合であっても,前記サンプリング単位(前記サンプリング数)を変更することができる。
【0008】
また,前記ランダム誤りの発生率に基づいて,前記通信データの送信に前記通信データの出力信号の強度を変更させる指令を送信するものや,前記通信データの送信に前記通信データの変調方式を変更させる指令を送信するとともに,これに対応させて当該データ通信装置の具備する前記通信データの復調手段の復調方式を変更するもの,さらには,前記通信データの送信に前記誤り訂正符号の符号化方式を変更させる指令を送信するとともに,これに対応させて前記通信データに含まれる前記誤り訂正符号に基づく誤り訂正の方式を変更するもの等が考えられる。
これにより,前記ランダム誤りが発生した場合に,その発生原因に対応した適切な誤り抑止の対応が可能となる。
【0009】
また,前記バースト誤りの発生率に基づいて,前記通信データの送信先に前記通信データの変調パラメータであるプリアンブル長を変更させる指令を送信するとともに,これに対応させて当該データ通信装置の具備する前記通信データの復調手段の前記プリアンブル長に関するパラメータを変更するものが考えられる。
これにより,前記バースト誤りが発生した場合に,その発生原因に対応した適切な誤り抑止の対応が可能となる。
また,前記データ通信装置の有する誤り検出機能を通信データの誤り検出方法として捉えたものや,前記データ通信装置を有するデータ通信システムとして捉えたものも考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る通信システムXの概略構成を表すブロック図,図2は本発明の実施の形態に係る通信システムXにおける通信データの1サンプル当たりに誤りが生じていた誤り訂正符号の数それぞれの発生確率の分布の一例を表すグラフ,図3は本発明の実施の形態に係る通信システムXが通信データのサンプリング周期を変更するために用いるグラフであってサンプリングした誤り訂正符号数と誤り発生率との関係の一例を表すグラフである。
【0011】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る通信システムXの構成について説明する。
本通信システムXは,2つの端末装置51,52相互間において,該端末装置51,52それぞれに接続された通信装置1,2を介してIPプロトコルを用いてデータ通信を行うものである。前記端末装置51及び52,前記通信装置1及び2はそれぞれ同じものであり,ともに送信側,受信側となり得るが,以下,説明の便宜上,前記端末装置51及び前記通信装置1を送信側,前記端末装置52及び前記通信装置2を受信側として説明する。
前記端末装置51から出力される通信データは,誤り訂正符号化復号化装置21により,前記通信データに含まれるIPパケットをバースト信号の単位とし,例えば,1500バイトの固定長パケットとしてリード・ソロモン符号等の誤り訂正符号へ符号化され,さらに,変復調装置11によってQPSKや16QAM,或いは64QAM等の変調方式によるデジタル変調がかけられた後,通信ケーブル60を介して受信側へ送信される。
一方,受信側では,前記デジタル変調がかけられた通信データが変復調装置12によって復調され,さらに,誤り訂正符号化復号化装置22により,通信データに含まれる前記誤り訂正符号に基づいて,誤り訂正がなされた後,前記端末装置52へ出力される。このとき,前記誤り訂正符号化復号化装置22は,誤り訂正を行う際,通信データに含まれる前記誤り訂正符号の数,誤りが発生している前記誤り訂正符号の数,及び誤り訂正ができなかった前記誤り訂正符号の数をカウントする。
前記誤り訂正符号化復号化装置21,22による前記誤り訂正符号への符号化方式及び,前記変復調装置11,12による変調及び復調方式は,複数の種類から選択が可能であり,いずれの方式を選択するかは,前記誤り訂正符号化復号化装置21,22及び前記変復調装置11,12に通信可能に接続された通信制御装置31,32によって制御される。さらに,2つの前記通信制御装置31,32は,独自の通信プロトコルにより,前記変復調装置11,12を介して相互に所定の指令の交換が行えるよう構成されている。
また,前記誤り訂正符号化装置21,22及び前記通信制御装置31,32には,CPU,ROM,RAM等(不図示)で構成される通信状態判定装置41,42がそれぞれと通信可能に接続されている。図1では,前記通信状態判定装置41,42は,前記通信装置1,2それぞれに設けられているが,これらを前記通信装置1,2とは別個に設け,例えば,公衆回線や専用線を介して遠隔地に設置する構成としてもよい。
前記通信状態判定装置42は,前記誤り訂正符号化復号化装置22に対して所定の誤り情報要求を所定のサンプリング周期で送信し,これに応じて前記誤り訂正符号化復号化装置22から前記通信状態判定装置42に対し,前記サンプリング周期の間に受信された前記通信データ(以下,この通信データの単位を,サンプリング単位データという)に含まれる前記誤り訂正符号の数であるサンプリング符号数と,そのうち誤りが検出された前記誤り訂正符号の数である誤り発生符号数とが誤り情報として返信される。前記誤り発生符号数としては,誤り訂正の後の通信データに着目して,誤りの訂正ができなかった前記誤り訂正符号の数が返信されるよう構成してもよい。前記誤り情報は,前記ランダム誤り及び前記バースト誤りの各発生率を求めるために用いるものであるが,これについては後述する。本通信システムXの構成は,前記通信状態判定装置41,42が設けられている以外は,一般的な通信システムと特に変わりはない。
【0012】
次に,図2を用いて,前記通信状態判定装置41,42が前記誤り訂正符号化復号化装置21,22から取得する前記誤り発生符号数について説明する。
図2は,前記誤り訂正符号化復号化装置22から所定回数だけ前記誤り発生符号数を入力した際に,入力される前記誤り発生符号数を横軸とし,前記誤り発生符号数ごとに積算した入力回数が全入力回数に占める割合(分布確率)を縦軸としたグラフ,即ち,前記誤り発生符号数それぞれについての確率分布を表したグラフの一例である。また,図2の例は,前記IPパケット(前記バースト信号)1つ当たりに含められる前記誤り訂正符号の数(以下,バースト内符号数という)が7つであり,前記バースト誤りが発生した状況におけるデータをグラフ化したものである。
図2に示すように,前記バースト誤りが発生すると,前記バースト信号の単位に含まれる前記誤り訂正符号全てに誤りが発生するので,前記誤り発生符号数が,前記バースト内符号数(=7)となる確率が高くなる分布を示すことになる。また,図2では生じていないが,前記バースト誤りが複数発生すると,前記バースト内符号数の倍数に相当する前記誤り発生符号数が検出されることとなる。一方,前記誤り発生符号数が3以下の部分で高い確率の分布を示しているのは,前記ランダム誤りによるものである。本発明は,このような前記バースト誤りの特性に着目して,前記バースト誤りと前記ランダム誤りとを区分して検出する。
具体的には,前記通信状態判定装置41,42により,前記サンプリング単位データごとの前記誤り発生符号数を前記バースト内符号数で除し,その商を前記バースト誤りの発生数として,その余りを前記ランダム誤りの発生数として算出し,前記サンプリング符号数に対する,前記バースト誤りの発生数及び前記ランダム誤りの発生数の比率をそれぞれバースト誤り率及びランダム誤り率として算出する。
これにより,主として前記バースト内符号数の倍数として検出される前記バースト誤りの発生数と,その他の前記ランダム誤りの発生数とを区分して検出することが可能となる。
【0013】
ところで,前記サンプリング単位データに含まれる実際の前記ランダム誤りの発生数(以下,真のランダム誤り発生数という)が,前記バースト内符号数に比べて少ない場合には,前述した方法で前記バースト誤りと前記ランダム誤りとを適切に区分できるが,前記真のランダム誤りの発生数が前記バースト内符号数以上に増えてくると,前記ランダム誤りとして検出されるべきものが,前記バースト誤りとして検出されてしまうといった誤判定が生じてしまう。この誤判定は,前記サンプリング周期を長くとることにより,前記サンプリング符号数が多くなればなるほど,それに含まれる前記真のランダム誤りの発生数が増えるためより顕著になる。逆にいえば,前記サンプリング単位データのサイズを小さく,即ち,前記サンプリング周期を短くすることにより,前記サンプリング単位データに含まれる前記真のランダム誤りの発生数を少なくすることができ,前記誤判定を防止できる。
一方,通信中の前記誤り情報の検出負荷の軽減のためには,前記サンプリング周期は長い方が望ましい。そこで,本データ通信システムXでは,前記誤判定を防止するため,通信状態に応じて前記サンプリング周期を変更する。
【0014】
以下,前記通信状態判定装置によって実行される,前記サンプリング周期の変更について説明する。
ここで,前記サンプリング符号数をN,前記バースト内符号数をM,前記真のランダム誤りの発生率をpeとすると,前記バースト誤りが発生していない場合に,ある前記サンプリング単位データにおいて前記誤り発生符号数がn個となるときの確率をPr(n)は,次の(1)式で表すことができる。
【数1】
Figure 0003761456
従って,前記誤り発生符号数がn個である期待値<n>は,次の(2)式で表すことができる。
【数2】
Figure 0003761456
前述したように,本データ通信システムXでは,前記サンプリング単位データにおいて,前記誤り発生符号数を前記バースト内符号数Mで除したときの余りn’(=n mod(M))を前記ランダム誤りの発生数とするので,該ランダム誤りの発生数n’の期待値<n’>は,次の(3)式で表すことができる。
【数3】
Figure 0003761456
従って,本データ通信システムXで算出される前記ランダム誤りの発生率(以下,単にランダム誤りの発生率p’eという)は,次の(4)式で表すことができる。
【数4】
Figure 0003761456
ここで,「前記真のランダム誤りの発生率peと前記ランダム誤りの発生率p’eとの差を,前記真のランダム誤り発生率peで除した値」を前記ランダム誤りの発生率p’eの誤差Er(N,pe)と定義すると,該誤差Er(N,pe)は,次の(5)式で表すことができる。
【数5】
Figure 0003761456
この(5)式に,前記(1)式,(3)式,及び(4)式を代入すると,次の(6)式が導かれる。
【数6】
Figure 0003761456
この(6)式より求まる前記誤差Er(N,pe)が所定の値以下となるようにできれば,前記ランダム誤りの発生率p’eは信頼できる値となり,前記誤判定を防止できる。
【0015】
ここで,(6)式によれば,前記真のランダム誤りの発生率peが大きくなるほど,前記誤差Er(N,pe)が大きくなることがわかる。そして,前記サンプリング符号数Nのそれぞれにおいて,前記誤差Er(N,pe)が所定の値(例えば,0.1)となるような前記真のランダム誤りの発生率peを求めると,図3に示すグラフとなる。
図3のグラフにおいて,横軸は前記サンプリング符号数N,縦軸は前記真のランダム誤りの発生率peであり,前記誤差Er(N,pe)が0.1となるときの前記サンプリング符号数N及び前記真のランダム誤りの発生率peの関係を実線で示している。これにより,図3のグラフにおいて,実線の上側(前記真のランダム誤りの発生率peが大きい方)の領域が,前記誤差Er(N,pe)が0.1を越える領域を表し,同下側の領域が,前記誤差Er(N,pe)が0.1未満となる領域を表すこととなる。即ち,図3のグラフは,前記誤差Er(N,pe)を0.1未満とするための,前記サンプリング符号数Nに対応する前記ランダム誤りの発生率peの許容値(前記誤り発生率の許容値に該当)を表すものである。
この図3のグラフを用いることにより,前記真のランダム誤りの発生率peが上昇した場合に,前記真のランダム誤りの発生率peが,図3のグラフの下側に位置するように前記サンプリング符号数Nを小さく設定し,前記真のランダム誤りの発生率peが図3のグラフより余裕をもって下回れば,その余裕分だけ前記サンプリング符号数N大きく設定することにより,前記誤差Er(N,pe)を0.1未満に維持できる範囲で最大の前記サンプリング符号数Nとすることができる。しかし,前記真のランダム誤り率peを算出することはできないため,これに代わるものを代替して用いる必要がある。
【0016】
本データ通信システムXでは,前記ランダム誤り率peの代替値として,前記誤り発生符号数を前記サンプリング符号数で除した値である総誤り発生率peaを用いる。理由を以下に説明する。
前記総誤り発生率peaは,前記バースト誤りと前記ランダム誤りの両方を含むものであり,前記新のランダム誤りの発生率pe以上となるものである。従って,図3のグラフを用いた前記サンプリング符号数Nの設定の際に,前記真のランダム誤り率peの代わりに前記総誤り発生率peaを適用すれば,前記バースト誤りを含む分だけ余裕を持って,前記サンプリング符号数Nが設定されることとなり,結果的に,前記誤差Er(N,pe)を所定値(=0.1)未満に維持することが可能となる。
これにより,前記ランダム誤りがの発生数が増えた場合でも,前記ランダム誤りを前記バースト誤りとしてカウントしてしまう前記誤判定を防止することが可能となり,適切に前記バースト誤りと前記ランダム誤りとを区分して検出できることとなる。
【0017】
本データ通信システムXでは,前記サンプリング符号数Nを前記誤り訂正符号化復号化装置21,22に直接設定することができないため,各時点の前記サンプリング符号数Nと前記サンプリング周期により,通信データに含まれる時間当たりの前記誤り符号数を求め,これにより,以後の前記サンプリング符号数Nが所望の数(図3のグラフで示される前記真のランダム誤りの発生率peが前記総誤り発生率pea以上になる前記サンプリング符号数N)となるように,前記サンプリング周期を設定(変更)する。この設定(変更)は,前記通信状態判定装置41,42から前記通信制御装置31,32を介して前記誤り訂正符号化復号化装置21,22に対して行われる。
前記サンプリング符号数Nの設定(即ち,前記サンプリング単位データの設定)の他の方法としては,受信側から送信側に対し,所定の送信データ量制御指令を送信し,単位時間当たりの通信データの送信許容量を変更させる方法や,これと前記サンプリング周期の設定(変更)とを組み合わせる方法等も考えられる。もちろん,前記誤り訂正符号化復号化装置21,22に対して前記サンプリング符号数Nを直接設定できるよう構成してもよい。
【0018】
また,本データ通信システムXでは,前記バースト誤りの発生率と前記ランダム誤りの発生率とを区分して検出することができるので,それぞれの要因に対応した適切な対応が可能である。
例えば,前記ランダム誤りの発生率が,所定の上限値を越えた場合には,2つの前記通信制御装置31,32間の通信により,受信側から送信側に対し,通信データの出力信号の強度をより強く変更させる指令を送信し,前記ランダム誤りの発生率が,所定の下限値を下回った場合には,同様に通信データの出力信号の強度を元に戻させる指令を送信する。これにより,主としてSN比の低下が原因である前記ランダム誤りの発生を抑制することが可能となる。同様に,前記ランダム誤りの発生率に基づいて,受信側から送信側に対し,送信側の前記変復調装置11の変調方式や,前記誤り訂正符号化復号化装置21における前記誤り訂正符号の符号化方式を変更させる指令を送信するとともに,これに対応させて受信側の前記変復調装置12の復調方式や,前記誤り訂正符号化復号化装置22の誤り訂正の方式を変更するよう構成してもよい。これにより,前記ランダム誤りの発生率が上昇した場合に,多値化レベルの低い変調方式に切り替えたり,前記誤り訂正符号の符号長を長くする等,データの伝送容量よりも耐ノイズ性を優先した変調方式に切り替えれば,通信の安定性を保持することができる。
一方,前記バースト誤りの発生率に基づいて,受信側から送信側に対し,前記変復調装置11における変調パラメータであるプリアンブル長を変更させる変更させる指令を送信し,これに対応させて受信側の前記変復調装置12における復調時のプリアンブル長を変更するよう構成してもよい。これにより,前記バースト誤りの発生率が上昇した場合に,プリアンブル長を長くしてデータの伝送容量よりも信号の同期の取りやすさを優先した変調パラメータに切り替えれば,前記バースト誤りの発生を抑制でき,通信の安定性を保持することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,通信データに発生するランダム誤りとバースト誤りとを区分して検出できるとともに,誤りの種類に応じて適切な対応を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムXの概略構成を表すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信システムXにおける通信データの1サンプル当たりに誤りが生じていた誤り訂正符号の数それぞれの発生確率の分布の一例を表すグラフ。
【図3】本発明の実施の形態に係る通信システムXが通信データのサンプリング周期を変更するために用いるグラフであってサンプリングした誤り訂正符号数と誤り発生率との関係の一例を表すグラフ。
【符号の説明】
1,2…通信装置
11,12…変復調装置
21,22…誤り訂正符号化復号化装置
31,32…通信制御装置
41,42…通信状態判定装置
51,52…端末装置
60…通信ケーブル

Claims (12)

  1. 所定の誤り訂正符号への符号化が施された所定長さのデータ列であるバースト信号を単位として構成される通信データを受信し,該通信データに含まれる前記誤り訂正符号に基づいて前記通信データの誤り訂正を行うデータ通信装置であって,受信した前記通信データの所定のサンプリング単位に含まれる前記誤り訂正符号の数であるサンプリング符号数と,そのうち誤りが検出された前記誤り訂正符号の数若しくは誤りの訂正ができなかった前記誤り訂正符号の数である誤り発生符号数とに関する誤り情報を検出する誤り情報検出手段を具備するデータ通信装置において,
    前記バースト信号1つに含められる前記誤り訂正符号の数である所定のバースト内符号数と前記誤り情報とに基づいて,前記バースト信号の単位全体に発生する誤りであるバースト誤りと,その他の誤りであるランダム誤りとを区分して検出する誤り検出手段とを具備してなることを特徴とするデータ通信装置。
  2. 前記誤り検出手段が,前記誤り発生符号数を前記バースト内符号数により除したときの商を前記バースト誤りの発生数とし,その余りを前記ランダム誤りの発生数として,前記バースト誤りの発生率と前記ランダム誤りの発生率とを区分して算出するものである請求項1に記載のデータ通信装置。
  3. 前記誤り情報に基づいて,前記誤り情報検出手段による前記通信データの前記サンプリング単位を変更するものである請求項1又は2のいずれかに記載のデータ通信装置。
  4. 前記サンプリング符号数に対する前記誤り発生符号数の比率である誤り発生率と,前記サンプリング符号数に対応させて予め設定される前記誤り発生率の許容値との比較に基づいて,前記誤り情報検出手段による前記通信データの前記サンプリング単位を変更するものである請求項3に記載のデータ通信装置。
  5. 前記通信データの前記サンプリング単位が,所定のサンプリング周期の間に受信した前記通信データである請求項1〜4のいずれかに記載のデータ通信装置。
  6. 前記通信データのサンプリング単位の変更が,前記サンプリング周期を変更すること,又は前記通信データの送信に所定の送信データ量制御指令を送信して単位時間当たりの前記通信データの送信許容量を変更させることのいずれか一方又は両方によりなされるものである請求項5に記載のデータ通信装置。
  7. 前記ランダム誤りの発生率に基づいて,前記通信データの送信に前記通信データの出力信号の強度を変更させる指令を送信してなる請求項2〜6のいずれかに記載のデータ通信装置。
  8. 前記ランダム誤りの発生率に基づいて,前記通信データの送信に前記通信データの変調方式を変更させる指令を送信するとともに,これに対応させて当該データ通信装置の具備する前記通信データの復調手段の復調方式を変更してなる請求項2〜7のいずれかに記載のデータ通信装置。
  9. 前記ランダム誤りの発生率に基づいて,前記通信データの送信に前記誤り訂正符号の符号化方式を変更させる指令を送信するとともに,これに対応させて前記通信データに含まれる前記誤り訂正符号に基づく誤り訂正の方式を変更してなる請求項2〜8のいずれかに記載のデータ通信装置。
  10. 前記バースト誤りの発生率に基づいて,前記通信データの送信に前記通信データの変調パラメータであるプリアンブル長を変更させる指令を送信するとともに,これに対応させて当該データ通信装置の具備する前記通信データの復調手段の前記プリアンブル長に関するパラメータを変更してなる請求項2〜9のいずれかに記載のデータ通信装置。
  11. 所定の誤り訂正符号への符号化が施された所定長さのデータ列であるバースト信号を単位として構成される通信データの誤り検出方法において,
    前記通信データの所定のサンプリング単位に含まれる前記誤り訂正符号の数であるサンプリング符号数と,そのうち誤りが検出された前記誤り訂正符号の数若しくは誤りの訂正ができなかった前記誤り訂正符号の数である誤り発生符号数とに関する誤り情報,及び前記バースト信号1つに含められる前記誤り訂正符号の数である所定のバースト内符号数に基づいて,前記バースト信号の単位全体に発生する誤りであるバースト誤りと,その他の誤りであるランダム誤りとを区分して検出してなることを特徴とする通信データの誤り検出方法。
  12. 所定の誤り訂正符号への符号化が施された所定長さのデータ列であるバースト信号を単位として構成される通信データを送信する第1のデータ通信装置と,
    前記第1のデータ通信装置から受信した前記通信データに含まれる前記誤り訂正符号に基づいて前記通信データの誤り訂正を行うとともに,前記通信データの所定のサンプリング単位に含まれる前記誤り訂正符号の数であるサンプリング符号数と,そのうち誤りが検出された前記誤り訂正符号の数若しくは誤りの訂正ができなかった前記誤り訂正符号の数である誤り発生符号数とに関する誤り情報の検出を行う第2のデータ通信装置と,を有するするデータ通信システムにおいて,
    前記第1のデータ通信装置と通信可能に構成され,前記第1のデータ通信装置から受信した前記誤り情報と,前記バースト信号1つに含められる前記誤り訂正符号の数である所定のバースト内符号数とに基づいて,前記バースト信号の単位全体に発生する誤りであるバースト誤りと,その他の誤りであるランダム誤りとを区分して検出する誤り検出装置とを有してなることを特徴とするデータ通信システム。
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