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JP3761305B2 - ケーシング入り食品のケーシング除去方法及びその装置 - Google Patents

ケーシング入り食品のケーシング除去方法及びその装置 Download PDF

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JP3761305B2
JP3761305B2 JP29657597A JP29657597A JP3761305B2 JP 3761305 B2 JP3761305 B2 JP 3761305B2 JP 29657597 A JP29657597 A JP 29657597A JP 29657597 A JP29657597 A JP 29657597A JP 3761305 B2 JP3761305 B2 JP 3761305B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばハムやソーセージのように、紙や合成樹脂等の柔軟シートからなる筒状のケーシング内に食品本体を収容するとともにケーシングの開口を封止具で封止してなるケーシング入り食品からケーシングを除去する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ケーシング入り食品の一例であるハムについて説明すると、一般に小型のハムはケーシング入りの状態で販売され、他方、大型のハムはケーシングを除去したのち、ハム本体を薄いスライス片にスライスするとともに、このスライス片を所定枚数(通常数枚〜10数枚程度)ずつ合成樹脂製の袋に密封した状態で販売されている。
【0003】
ところで、従来、ハム本体のスライスはスライス機によって自動的に行なわれていたが、これに先立つケーシングの除去作業は自動化されておらず、作業員がカッターナイフなどを用いてケーシングに切れ目を入れたのちに、ケーシングをハム本体から引き剥がすといった手作業が行なわれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記大型のハムは、一般的に直径が80〜130mm程度、長さが600〜1800mm程度もあり、重量も嵩むために取り扱いが容易ではなく、ケーシング除去する作業に極めて多大な労力がかかることになって、これがハム工場における生産効率を低下させる要因となっていた。
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、ケーシングの除去を自動的に効率よく行なえる、ケーシング入り食品のケーシング除去方法及びその装置の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係るケーシング入り食品のケーシング除去方法は、柔軟シートからなる筒状のケーシング内に食品本体を収容するとともにケーシングの開口を封止具で封止してなるケーシング入り食品から、クランプ手段、引張手段及び移動手段を備えた装置を使用して、前記ケーシングを除去するケーシング入り食品のケーシング除去方法であって、クランプ手段が前記ケーシングの一端部を食品本体から引き剥したのち、引き剥がされたケーシングを引張手段に保持させる工程と、前記引張手段によってケーシングを外方に引っ張りながら、移動手段が食品本体を固定することなくその長手方向に押圧して移動させつつ、その周方向に回転させることにより、ケーシングを螺旋状に食品本体から引き剥がす工程とを具備するとともに、クランプ手段及び引張手段が装置に固定されているものである。
【0007】
また、前記方法において、ケーシングの他端部近傍までが食品本体から引き剥がされた時点で、引張手段によるケーシングの引っ張り及び食品本体の回転を中止して、長手方向への移動のみを続行することにより、ケーシングの他端部を食品本体から引き剥がすようにしたものである。
【0008】
また、本発明に係るケーシング入り食品のケーシング除去装置は、柔軟シートからなる筒状のケーシング内に食品本体を収容するとともにケーシングの開口を封止具で封止してなるケーシング入り食品からケーシングを除去する装置であって、前記ケーシングの一端側の封止具又はこの封止具近傍のケーシングを掴んで、ケーシングの一端部を食品本体から引き剥がすとともに、引き剥がされたケーシングを引張手段に保持させるクランプ手段と、前記ケーシングの一端部を保持して外方に引っ張る引張手段と、前記食品本体をその長手方向に固定することなく押圧して移動させつつ、その周方向に回転させる移動手段とを具備するとともに、クランプ手段及び引張手段が装置に固定されているものである。
【0009】
さらに、前記装置であって、クランプ手段がケーシングの一端部を食品本体から引き剥がす前にケーシングの一端近傍部分に切断線を入れる切断手段を備えたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るケーシング入り食品のケーシング除去装置を図面に基づいて説明する。図1及び図2に符号1で示されるケーシング除去装置は、その長手方向の中央に処理部2が設けられ、この処理部2の一側に食品受け入れ部3が、他側に食品取り出し部4が、それぞれ連設されている。
【0012】
食品受け入れ部3には、水平方向に延びる一対の食品載置用回転軸5(図3参照)が軸受(不図示)を介して回動自在に枢支されている。各食品載置用回転軸5には、その長手方向に所定間隔で複数の食品回転ローラ6が設けられるとともに、各食品載置用回転軸5の一端に設けられたプーリ7と、モータ8のプーリ9との間に環状のベルト10が掛け渡されており、これにより各食品載置用回転軸5を図3の矢印方向に回転駆動できるように構成されている。また、一対の食品載置用回転軸5の上方に断面略V字状のトラフ11が設けられ、図3のように各食品回転ローラ6の一部分がトラフ11に形成された四角孔12から上に突出しており、この突出した2列の食品回転ローラ6間にハム13(ケーシング入り食品の一例)を載置し、矢印方向に回転駆動できるように構成されている。
【0013】
また、詳細な図示は省略するが、食品取り出し部4にも一対の食品載置用回転軸15が枢支されるとともに、各食品載置用回転軸15にはその長手方向に所定間隔で複数の食品回転ローラ16が設けられている。各食品載置用回転軸15にはモータ14が連結されていて、前記食品載置用回転軸5が回転駆動されているときには、食品載置用回転軸15も食品載置用回転軸5と同じ方向に回転駆動されるように構成されている。また、一対の食品載置用回転軸15の上方には前記トラフ11と同じ断面略V字状のトラフ17が設けられるとともに、各食品回転ローラ16の一部分がトラフ17上に突出しており、この突出した2列の食品回転ローラ16間にハム13を載置して前記と同様に回転駆動できるよう構成されている。なお、図1に点線で示すように、食品受け入れ部3の食品載置用回転軸5及びトラフ11と、食品取り出し部4の食品載置用回転軸15及びトラフ17とは、処理部2の内部まで延びている。
【0014】
図1〜図3に示すように、トラフ11の下方には食品載置用回転軸5と平行なレール20が、食品受け入れ部3の一端側から処理部2を経て食品取り出し部4に達する位置まで延設されるとともに、このレール20を上下から挟み込む複数の車輪21を介して移動体22がレール20に、その長手方向に移動自在に支持されている。また、図1に示すように、レール20の一端近傍に設けられたプーリ23と、レール20の他端近傍に設けられたモータ24のプーリ25との間に環状のベルト26が掛け渡され、このベルト26の一か所と移動体22とが連結具27(図3参照)によって連結されている。さらに、図3に示すように、移動体22から上方に延びる支持杆28の上端に、トラフ11の上面に臨む食品移動板29が固設されている。
【0015】
したがって、モータ24を正逆方向に回転させると移動体22及び食品移動板29がレール20のほぼ一端から他端までの間で水平方向に往復移動し、移動体22を最も食品取り出し部4側に移動させた場合には、食品移動板29は処理部2を通過してトラフ17の一端部分の上方にまで移動するようになっている。そして、食品受け入れ部3の食品回転ローラ6に図2に二点鎖線で示したように載置されたハム13を前記のように回転駆動しながら食品移動板29で押すことにより、ハム13をその長手方向に移動させて処理部2内に押し込み、さらに処理部2を通過させて食品取り出し部4の食品回転ローラ16上に押し出すことができるようになっている。
【0016】
次いで、処理部2の構成について説明する。図4及び図5に示すように、処理部2内の水平な基板31には支持杆28の通過を許容する溝孔32がレール20の上方に沿って形成されるとともに、処理部2の左右の側板33には移動体22及び食品移動板29等の通過を許容する開口部34が形成されている。また、基板31には後述する引張手段によって引き剥がされたケーシングを排出するためのケーシング排出口35が設けられている。さらに、図1及び図2に示すように処理部2の前面上部には運転スイッチ36が設けられている。
【0017】
そして、各開口部34からそれぞれ処理部2に挿入されたトラフ11とトラフ17との間に食品端部検出手段40が設けられている。図6及び図7に示すように、食品端部検出手段40は、軸41の両端に固設された一対の検出杆42と、プーリ43,44及びベルト45を介して軸41に連結された空気モータ(空気圧で作動する回転アクチュエータ:以下同様)46とを備え、空気モータ46が検出杆42を図6に実線で示した位置と二点鎖線で示した位置との間で揺動させるよう構成されている。基板31の下方には近接スイッチ47が設けられ、この近接スイッチ47用の操作杆48が軸41に固設されている。
【0018】
前記検出杆42の近傍には第1クランプ50が設けられている。図8〜図11に示すように、第1クランプ50を構成する一対のクランプ片51,52の基部を、一対の側板53,54間に固設された2本の案内杆55が貫通しており、この案内杆55によってクランプ片51,52が開閉摺動自在に支持されている。また、側板54に固設されたエアシリンダ56がクランプ片51に連結されるとともに、側板53に固設されたエアシリンダ57がクランプ片52に連結され、これらエアシリンダ56,57の伸縮によりクランプ片51,52が開閉するように構成されている。
【0019】
このように構成された第1クランプ50は、側板53,54間に固設された2本の摺動杆58が、トラフ11,17の長手方向と直交する方向に延びる揺動アーム60(図4,図5参照)の下面に垂設された2枚の支持板61を摺動自在に貫通した状態で、揺動アーム60に支持されている。そして、揺動アーム60の下面に固設されたエアシリンダ62が側板53に連結され、エアシリンダ62の伸縮に伴って、第1クランプ50は全体的に図9に実線で示した位置と二点鎖線で示した位置との間で移動するようになっている。
【0020】
第1クランプ50の上方には第2クランプ70が設けられている。図8,図9及び図11に示すように、第2クランプ70を構成する一対のクランプ片71,72は、それぞれの基部に設けられた中継杆73,74を介して、一対の側板75,76間に支持されている。すなわち、側板75,76間に2本の案内杆77が固設されており、この案内杆77が中継杆73,74を摺動自在に貫通した状態で、クランプ片71,72が開閉自在に支持されている。そして、側板75に固設されたエアシリンダ78が中継杆73に連結されるとともに、側板76に固設されたエアシリンダ79が中継杆74に連結され、これらエアシリンダ78,79の伸縮によりクランプ片71,72が開閉するように構成されている。また、側板75,76の基端部は、揺動アーム60上面に設けられた空気モータ80と連結された軸81と固着されていて、空気モータ80の正逆方向への回転に伴って、第2クランプ70は全体的に図11に実線で示した位置と二点鎖線で示した位置との間で揺動するように構成されている。
【0021】
揺動アーム60は、その基端部に固設された取り付けブロック63を介して、処理部2の前面に対して傾斜して設けられた(図4参照)水平な軸64に固定されることにより、片持ち式に支持されている。図12に示すように、軸64は基板31に立設された支持部材65,66間に回動自在に支持されるとともに、基板31の下方に設けられた空気モータ82とプーリ67,68及びベルト69を介して連結されている。そして、空気モータ82で軸64を回動させることにより、図4,図5,図8,図9等に実線で示した揺動アーム60が水平となる位置と、図4に二点鎖線で示したように揺動アーム60が斜め後方に起き上がる位置との間で、揺動アーム60を揺動させる構成となっている。なお、後述するように揺動アーム60は水平状態からその先端部が僅かに上昇した位置にも停止するようになっており、これらの各位置は、空気モータ82の回転軸の周囲に設けられ、前記回転軸から外方に突設された操作杆(不図示)に操作される複数のリミットスイッチ又は近接スイッチ(不図示)によって設定されている。
【0022】
揺動アーム60の下方には切断手段90が設けられている。図13及び図14に示すように、切断手段90は基板31の下側に設けられたエアシリンダ91に連結されて上下動する2本の伸縮杆92と、これら伸縮杆92の上端部に固設されたフレーム93と、このフレーム93に水平方向に摺動自在に支持された2本の摺動杆94と、これら摺動杆94の先端部に固設された中継板95と、フレーム93に固設され中継板95に連結されたエアシリンダ96とを備えている。また、中継板95の前方に突設された2本の支持杆97に進退自在に支持され、かつ各支持杆97に外嵌されたバネ98によって進出方向に押圧付勢された刃体保持部材99と、この刃体保持部材99の先端部に突設されたケーシング切断用の刃体100とを備えている。以上により、図14に二点鎖線で示すように、エアシリンダ96が伸長すると摺動杆94に支持されながら刃体保持部材99及び刃体100が進出し、さらにこの状態でエアシリンダ91が伸長すると伸縮杆92に支持されながらフレーム93に取り付けられた全ての部材が一体的に上昇するように構成されている。
【0023】
さらに、処理部2内のトラフ11の側方位置にはケーシングを引っ張るための引張手段110が設けられている。図15及び図16に示すように、引張手段110は逆L字状に形成された架台111の上端部に、ケーシングの滑りを抑えて確実に引っ張れるよう周面に複数の突条が設けられて歯車状断面に形成された一対の搬送ローラ112,113を備えている。下側の搬送ローラ112は、架台111に回動自在に枢支された水平な駆動軸114に固設され、その背後側に設けられた空気モータ115により図15の矢印方向に回転駆動されるように構成されている。他方、上側の搬送ローラ113は支持杆116の先端部に支持杆116に対して回動自在に枢支されるとともに、支持杆116の基端側は架台111の上面に設けられた空気モータ117の回動軸118の先端に固定され、これにより空気モータ117の正逆回動に伴って搬送ローラ113は図15,図16に実線で示した直立位置と、図16に二点鎖線で示した水平位置との間で揺動するよう構成されている。また、搬送ローラ113が水平位置にある場合は、空気モータ117が搬送ローラ113を搬送ローラ112に圧接する方向に付勢するよう構成されている。
【0024】
次いで、以上のようなケーシング除去装置1を用いた本発明方法の一実施形態を説明する。ケーシング入りのハム13を食品受け入れ部3の食品回転ローラ6に、図2に二点鎖線で示した状態に載置して運転スイッチ36を操作すると、モータ8(及び14)が起動してハム13の図3矢印方向への回転駆動が開始されるとともに、モータ24が起動して食品移動板29の図2矢印方向への移動が開始される。そして、移動する食品移動板29に他端部を押圧されることで、食品回転ローラ6とハム13の周面の間に滑りが生じて、ハム13はその長手方向に移動させられ、一端側から処理部2内に入ってゆく。
【0025】
処理部2内をさらに進んだハム13は、次いで図6に示したようにその一端部で一対の検出杆42を押圧し、直立状態の検出杆42を僅かにトラフ17側に揺動させる。すると、軸41も僅かに回転し、これによる操作杆48の移動を近接スイッチ47が検出して、この近接スイッチ47からの検出信号を受けて次の動作が開始される。
【0026】
すなわち、先ずモータ8及び24が停止してハム13の回転駆動及び長手方向への移動が中断されるとともに、検出杆42が図6に二点鎖線で示した位置まで退避させられる。次いでエアシリンダ56,67が縮退して第1クランプ50のクランプ片51,52が閉じ、図6及び図10に二点鎖線で示したように、クランプ片51,52間にハム13のケーシング131の一端側を封止しているクリップ(封止具)132又はその近傍のケーシング131を挟持する。
【0027】
この状態から、切断手段90がケーシング131に切断線を入れる動作を開始する。すなわち、先ずエアシリンダ96が伸長して刃体保持部材99が進出し、その先端の刃体100をハム13に圧接させる。この際、図13に示すように刃体保持部材99の進出方向はハム13の長手方向に対して斜めになっており、刃体100は第1クランプ50に挟持されているケーシング131の一端部近傍に斜め前方から当接する。次いで、エアシリンダ91が伸長して刃体100が上方に移動し、この移動する刃体100がケーシング131に図14に一点鎖線で示したような切断線133を形成する。なお、この際、バネ98の伸縮により刃体100がハム13表面の曲面形状に追随して進退するので、上下方向に充分に長い切断線133が形成される。
【0028】
さて、以上のように切断線133を形成するとエアシリンダ96,91が縮退して切断手段90が元の位置に戻るとともに、エアシリンダ62が伸長して第1クランプ50を図9に二点鎖線で示した位置まで押し出す。これにより、図17に示すようにケーシング131の一端部が切断線133と反対の横方向に引っ張られ、この部分がハム本体(食品本体)134から引き剥がされる。
【0029】
次いで、エアシリンダ62が縮退して第1クランプ50が元の位置に戻ったのち、空気モータ82が少しの角度だけ回転して、揺動アーム60がその先端側を僅かに持ち上げた状態に揺動する。これにより、第1クランプ50が図18に示したように上昇し、前記で引き剥がされたケーシング131の一端部が持ち上げられる。そして、ここから先ず空気モータ80が起動して第2クランプ70が図11に二点鎖線で示した状態まで降下し、次いでエアシリンダ78,79が伸長して第2クランプ70のクランプ片71,72が閉じる。これにより図19に示したように第1クランプ50とハム本体134との間のケーシング131がクランプ片71,72間に挟持される。
【0030】
ここで、停止していたモータ8,14及び24が再び起動して、ハム13(ハム本体134)の回転駆動及び長手方向への移動が再開され、かつ、これと同時に揺動アーム60が軸64を中心として後方へ大きく揺動し、第1クランプ50及び第2クランプ70はケーシング131の一端部を掴んだまま、図20に示すように引張手段110の搬送ローラ112の後方まで移動する。これにより、ケーシング131の一端部はハム本体134の長手方向に対して斜めに引き剥がされ、引き剥がされたケーシング131が図20のように下側の搬送ローラ112上に載せられる。
【0031】
ケーシング131が搬送ローラ112に載ると、直ちに空気モータ117が回転し、直立位置にあった上側の搬送ローラ113を水平位置に揺動させて下側の搬送ローラ112に圧接させ、一対の搬送ローラ112,113間にケーシング131を保持する。そして、第1クランプ50及び第2クランプ70が開いて、掴んでいたケーシング131を放すとともに、空気モータ115による搬送ローラ112の回転駆動が開始され、ケーシング131は搬送ローラ112,113によって図21に矢印で示したようにハム13の移動方向に対して斜め後ろ外方に搬送される。このようにケーシング131を搬送しながら、ハム本体134は引き続き回転駆動されつつその長手方向に移動させられる。(その移動方向下流側から見ると、ハム本体134は反時計方向に回転している。)これにより、ケーシング131は螺旋状に引き破られながらハム本体134から引き剥がされてゆき、引き剥がされて長い帯状となったケーシング131はケーシング排出口35から排出され、図外のケーシング収容箱に収容される。
【0032】
以上のようにしてケーシング131の他端部近傍までが引き剥がされ、図22に実線で示したようにハム13の他端部及び食品移動板29が引張手段110の近傍に達すると、その時点で空気モータ115及びモータ8,14が停止してケーシング131の引っ張り及びハム本体134の回転駆動が中止され、食品移動板29による長手方向の移動のみが続行される。ここで、引張手段110の搬送ローラ112,113は相互間にケーシング131を保持したまま停止しているので、まだ引き剥がされていないケーシング131の他端部はハム13の移動方向と反対側に引っ張られることになり、食品移動板29及びハム13が図22に二点鎖線で示した位置の付近まで移動した時点で、前記他端部はハム本体134の他端部から引き抜かれる。
【0033】
こうしてケーシング131の全部が除去されると、食品移動板29が図22に実線で示した位置付近までいったん引き返すとともに、引張手段110の搬送ローラ112が起動して、前記で引き剥がされた他端部を含むケーシング131の残余部分をケーシング排出口35に送り出し、さらに、これと同時にモータ8,14が起動してハム本体134の回転駆動を再開する。そして、ここから食品移動板29がレール20の他端部まで移動し、ハム本体134の全体を食品取り出し部4の食品回転ローラ16上に押し出す。ハム本体134が所定位置まで押し出されると、ハム本体134の回転駆動を停止し、食品移動板29は別のハム13の受け入れ準備のために食品受け入れ部3の一端まで戻り、一連の動作を終了する。
【0034】
因みに、前記で食品移動板29がいったん引き返すのは、その後ケーシング131の残余部分をケーシング排出口35に送り出す際に、ケーシング131が食品移動板29に引っ掛かるのを防止するためである。また、前記でハム本体134を回転駆動しながら食品回転ローラ16上に押し出すのは、ハム本体134と食品回転ローラ16との間の摩擦をできるだけ減らして、ハム本体134に傷が付くのを防止するためである。
【0035】
なお、本発明ではケーシング131の全部を螺旋状に引き剥がしてもよいが、こうするとケーシング131の他端部を引き剥がす際に、この他端部がハム本体134の半球状の他端部に引っ掛かり、その抵抗によりケーシング131が途中でちぎれ、ケーシング131の他端部がハム本体134側に残ってしまう傾向が生じる。これに対し、この実施形態では図23に示したようにケーシング131は、切断線133が入れられた一端部から他端部近傍までを螺旋状に引き剥がすとともに、ケーシング131の他端部はハム13の長手方向に引き剥がしているので、ケーシング131の全部を確実に除去することが可能である。
【0036】
ところで、本発明の技術的範囲が前記の実施形態によって限定されないことは言うまでもないことであり、例えば前記ではケーシング入り食品がハムである場合について説明したが、本発明は例えばソーセージ等、ハム以外のケーシング入り食品にも適用可能である。
【0037】
また、前記では食品回転ローラ6,16をモータ8,14により回転駆動したが、食品回転ローラは回転駆動せずに回転自在に枢支するのみとし、引張手段がケーシングを引っ張る力により食品回転ローラ上の食品本体を回転させるような構成も考えられる。
【0039】
また、前記ではケーシングに切断線を入れる切断手段90を設けたが、例えばケーシングの一端部を掴んだ第1クランプ50を横方向に移動させることによりケーシングの一端近傍部分に裂け目を生じさせるような構成として、切断手段を省略することも考えられる。
【0040】
また、前記では第1クランプ50及び第2クランプ70から本発明にいうクランプ手段を構成したが、これは、万一第1クランプ50又は第2クランプ70のいずれかからケーシング131の一端部が抜け落ちてしまった場合でも動作に支障が生じないようにするためであり、クランプ手段が第1クランプ50のみからなる構成も当然考えられる。
【0041】
さらに、クランプ手段を備えておらず、予め人手によりケーシングの一端部を食品本体から引き剥がすとともに、この引き剥がしたケーシングの一端部を人手により引張手段に保持させるようにした「半自動型」のケーシング除去装置も考えられる。
【0042】
また、前記では一対の搬送ローラ112,113間でケーシングを外方に搬送する引張手段110を示したが、引張手段を例えば周面の一か所にケーシングの一端部を保持可能な保持具を備えた巻き取りリールで構成し、前記保持具にケーシングの一端部を保持させたのち、巻き取りリールを回転駆動して、その周囲にケーシングを巻き付けてゆくようにしてもよい。
【0043】
さらにまた、前記では食品受け入れ部3へのケーシング入り食品の供給と、食品取り出し部4からの食品本体の取り出しを人手により行なうようにしたが、例えば食品受け入れ部3に複数のケーシング入り食品を載置可能な食品載置台を設け、この食品載置台上のケーシング入り食品が1本ずつ自動的に食品受け入れ部3に供給されるように構成することも当然考えられる。同様に、食品取り出し部4からの食品本体の取り出しを自動的に行なうようにすることも考えられる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ケーシングの一端部を食品本体から引き剥がし、この引き剥がされたケーシングを引張手段に保持させ、引張手段によってケーシングを外方に引っ張りながら、この引張手段と食品本体とを食品本体の長手方向及び周方向に相対的に移動させることにより、ケーシングを螺旋状に食品本体から引き剥がすようにしたので、従来非常に効率が悪くしかも多大な労力を要していたケーシングの除去作業を自動的にかつ極めて効率よく行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るケーシング除去装置の正面図である。
【図2】図1のケーシング除去装置の平面図である。
【図3】図1のA−A矢視における拡大断面図である。
【図4】処理部の内部機構を示す、図1のB−B矢視における平面図である。
【図5】処理部の内部機構を示す、図4のC−C矢視における側面図である。
【図6】食品端部検出手段を示す側面図である。
【図7】図6のD−D矢視における断面図である。
【図8】主として揺動アーム,第1クランプ,及び第2クランプを示す平面図である。
【図9】図8のE−E矢視における側面図である。
【図10】図9のF−F矢視における平面図である。
【図11】図9のG−G矢視における側面図である。
【図12】揺動アームの駆動部を示す、図4のH−H矢視における拡大断面図である。
【図13】切断手段を示す平面図である。
【図14】図13のJ−J矢視における側面図である。
【図15】引張手段を示す、図4のK−K矢視における拡大側面図である。
【図16】図15のL−L矢視における側面図である。
【図17】第1クランプによるケーシング一端部の引き剥がし工程を説明する平面説明図である。
【図18】第1クランプによるケーシング一端部の持ち上げ状態を説明する側面説明図である。
【図19】第2クランプによるケーシング一端部の挟持状態を説明する側面説明図である。
【図20】第1クランプ及び第2クランプによりケーシング一端部を引張手段に保持させる工程を説明する平面説明図である。
【図21】引張手段及び移動手段によるケーシングの引き剥がし工程を説明する平面説明図である。
【図22】ケーシングの他端部の引き剥がし工程を説明する平面説明図である。
【図23】本発明の一実施形態に係るケーシングの引き剥がし状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 ケーシング除去装置
6,16 食品回転ローラ(移動手段の一部)
29 食品移動板(移動手段の一部)
50 第1クランプ(クランプ手段の一部)
70 第2クランプ(クランプ手段の一部)
90 切断手段
110 引張手段
13 ハム(ケーシング入り食品)
131 ケーシング
132 クリップ(封止具)
133 切断線
134 ハム本体(食品本体)

Claims (4)

  1. 柔軟シートからなる筒状のケーシング内に食品本体を収容するとともにケーシングの開口を封止具で封止してなるケーシング入り食品から、クランプ手段、引張手段及び移動手段を備えた装置を使用して、前記ケーシングを除去するケーシング入り食品のケーシング除去方法であって
    前記クランプ手段が前記ケーシングの一端部を食品本体から引き剥したのち、引き剥がされたケーシングを引張手段に保持させる工程と、
    前記引張手段によってケーシングを外方に引っ張りながら、移動手段が食品本体を固定することなくその長手方向に押圧して移動させつつ、その周方向に回転させることにより、ケーシングを螺旋状に食品本体から引き剥がす工程と、を具備するとともに
    クランプ手段及び引張手段が装置に固定されていることを特徴とするケーシング入り食品のケーシング除去方法。
  2. ケーシングの他端部近傍までが食品本体から引き剥がされた時点で、引張手段によるケーシングの引っ張り及び食品本体の回転を中止して、長手方向への移動のみを続行することにより、ケーシングの他端部を食品本体から引き剥がすようにした請求項1記載のケーシング入り食品のケーシング除去方法。
  3. 柔軟シートからなる筒状のケーシング内に食品本体を収容するとともにケーシングの開口を封止具で封止してなるケーシング入り食品からケーシングを除去する装置であって、
    前記ケーシングの一端側の封止具又はこの封止具近傍のケーシングを掴んで、ケーシングの一端部を食品本体から引き剥がすとともに、引き剥がされたケーシングを引張手段に保持させるクランプ手段と、
    前記ケーシングの一端部を保持して外方に引っ張る引張手段と、
    前記食品本体をその長手方向に固定することなく押圧して移動させつつ、その周方向に回転させる移動手段と、
    を具備するとともに、
    クランプ手段及び引張手段が装置に固定されていることを特徴とするケーシング入り食品のケーシング除去装置。
  4. クランプ手段がケーシングの一端部を食品本体から引き剥がす前にケーシングの一端近傍部分に切断線を入れる切断手段を備えてなる請求項3記載のケーシング入り食品のケーシング除去装置。
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