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JP3759336B2 - 破袋装置 - Google Patents

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JP3759336B2
JP3759336B2 JP17016799A JP17016799A JP3759336B2 JP 3759336 B2 JP3759336 B2 JP 3759336B2 JP 17016799 A JP17016799 A JP 17016799A JP 17016799 A JP17016799 A JP 17016799A JP 3759336 B2 JP3759336 B2 JP 3759336B2
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孝司 戸田
昌典 石井
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Hitachi Zosen Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ等を包装しているビニール袋等の包装材を破って、ごみ等を包装材から分離するための破袋装置に関し、例えばリサイクル施設において、ビニール袋等の収集ごみ袋の中から再利用可能な物を回収する際に有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、回収されたごみの中から、缶、びん、プラスチックボトル等の再利用可能な物を取り出し、これを資源として利用しているが、このごみのリサイクル施設においては、ビニール袋等の収集ごみ袋の中から、これら再利用可能な物が回収されている。
【0003】
従前では、作業者が収集ごみ袋を手作業で破るなどして再利用可能な物を回収していたが、このような袋を破る作業は容易ではないため、これを機械化した破袋装置が提案されている。
【0004】
例えば、本出願人は、先に、移動部に沿って配列された複数の爪を有する無端コンベヤを、その上側の移動部の移動方向先が高位に位置するように設けると共に、前記爪が通過可能なスリットを有するプレートを前記無端コンベヤの上側の移動部に沿って該無端コンベヤの上方に設ける一方、プレートのスリットに連なって前記爪が通過可能なスリットを有すると共に、プレートの先端部に堰止板を設け、爪に引っ掛けられた袋が、堰止板のスリットを通過しようとする際に、爪によって引き裂かれるようにした構成を基本とする破袋装置を種々提案している(特願平10−196273号および特願平11−99323号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような破袋装置において、堰止板とプレートとが鋭角な角度で折り返されており、その区画が明確になっている構成が有効であると考えられていた。
【0006】
その一例を図15に示す。このものは、堰止板4と該堰止板4とは別体のプレート3とが所定の鋭角な角度を形成しており、その区画が明確になっている構成である。この堰止板形状は、爪5の移動範囲内においては、爪5先端の軌道C1’に垂直な仮想線C2’と堰止板4の接線C3’との角度φ’が零度未満(マイナスの角度、すなわち爪5先端の軌道C1’に垂直な仮想線C2’に対して、最寄りの堰止板4の接線C3’が図で反時計回りの角度位置にある関係)となっている。
【0007】
このような破袋装置においては、プレート3のスリット3Aの中を移動してくる爪5によって運ばれた袋78は堰止板4に押し付けられ、さらに、爪5は堰止板4のスリット4Aを通過しようとするが、堰止板4とプレート3とが所定の角度で折り返された構成になっているので、爪5により堰止板4に押し付けられた袋78は、堰止板4の反力を受けて、堰止板4から爪5先端方向に逃げることなくプレート3側に保持されることになるので、より的確に袋78を爪5で引っ掛けることができるようになる。
【0008】
このように堰止板とプレートとが鋭角な角度で折り返された構成にすると、缶、びん、プラスチックボトルを袋詰めしたごみ袋に対してはそれなりに有効であるが、ごみを取り扱うという性質上、異物が混入する場合もよくあり、この異物が破袋装置の安定した連続運転に支障を来すことが知見された。
【0009】
例えば、電源コード、電線ケーブル、ハンガー、傘等のように長くて、爪に押されて容易に変形し易いもの等では、爪によって堰止板のスリットに押し付けられて変形し、スリットに詰まった状態となる。
【0010】
また、新聞、雑誌、ダンボール等が束ねられたもの等では、特にこれらが濡れている場合は、爪により堰止板のスリットに押し付けられて、堰止板のスリット部分にこれらが詰まってしまう。
【0011】
この状態でさらに運転が続けられると、ついには堰止板と爪の間にこれらが噛み込んで破袋装置が停止してしまう場合がある。したがつて、これによって、処理能力の低下、人手による異物の除去作業を余儀なくされる等の問題点が生じる。
【0012】
また、各爪を、弾性部材を有して、その爪先部にかかる抵抗に応じて移動方向と後方側で揺動可能若しくは起倒可能にそれぞれ構成したものでは、移動する爪と堰止板のスリットとの間に硬質物を噛み込んだ場合、爪に所定以上の力が作用すると、爪が移動方向後方に可動することで、堰止板のスリットと爪の間に噛み込んだ硬質物が除去する作用を奏する。しかし、異物により堰止板のスリットが閉塞されると、これらは爪によって引きちぎられ、爪の通り道ができるものの、爪が堰止板のスリットを通過する際に、常に爪が移動方向後方側で可動した状態でスリットを通過するため、爪から袋がはずれ処理能力の低下、人手による異物の除去作業を余儀なくされる等の問題点が生じると共に、爪が移動方向後方側で可動する回数が増加し、可動する角度も大きくなるため、爪および爪を支持する弾性部材の寿命低下等を来す。
【0013】
本発明は、以上のような技術の問題点に鑑みなされたものであり、ごみ等の内容物が入った状態で無端コンベヤの爪に引っ掛けられた袋が、無端コンベヤの上側の移動部に沿って該無端コンベヤの上方に設けたプレートに設けられた堰止板を通過しようとする際に、爪によって引き裂かれるようにした構成を基本とする破袋装置において、缶、びん、プラスチックボトルを袋詰めしたごみ袋に対しては有効でありながら、混入した異物が破袋装置の安定した連続運転に支障を来すことがないようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明の破袋装置は、
移動方向に沿って移動部に配列された複数の爪を有する無端コンベヤを、その上側の移動部の移動方向先が高位に位置するように設けると共に、
前記爪が通過可能なスリットを有するプレートを前記無端コンベヤの上側の移動部に沿って該無端コンベヤの上方に設ける一方、
前記プレートに固定または一体に連続形成され、かつ該プレートのスリットに連なって前記爪が通過可能な、先端部が開放されたスリットを有すると共に、ごみの入った袋の移動方向に関し前記無端コンベヤから離れる方向へ前記プレートから徐々に湾曲して該スリットを通過する爪の先端軌道より外方に先端部が位置する堰止板を設けたことを特徴とする。
【0015】
かかる請求項1に係る発明において、移動部に配列された複数の爪を有する無端コンベヤは、コンベヤベルトやコンベヤチェーン等の移動部において連続する面が形成されたコンベヤ、例えば、フラットトップコンベヤ、エプロンコンベヤ、パンコンベヤ等のチェーンコンベヤやベルトコンベヤに爪を設けたものが挙げられるが、その移動部において連続する面が形成されている必要はなく、単に、コンベヤチェーンにて移動される部材に爪を設けたものでも良い。
【0016】
さらに、前記「堰止板」は、物品として独立した部品を溶接、ボルト・ナット等でプレートに固定したものでなくともよく、前記プレートと一体で形成されたものであってもよい。さらに、プレートに一体に連続形成され、堰止板とプレートとの区画が不明確でプレートの一部であってもよく、要はプレートのスリットに連続して前記爪が通過可能なスリットを有すると共に、プレートの先端部が徐々に湾曲して該スリットを通過する爪の先端軌道より外方に先端部が位置するようになっていればよい。したがって、前記「堰止板」は、本明細書においては、“プレートの堰止部”という概念をも含み、請求項1に係わる発明を含めて、最も広義に解釈する概念とする。
【0017】
さらに、前記「爪」は、角状、板状、線状等の突起やフックなどを意味し、例えばピアノ線、鋼線等の線状部材でも良く、先端部が爪の回転移動方向に傾斜したり、かぎ状になっているものが好ましい。要は、袋等の包装材の一部に先端が食い込んで、包装材を引っ掛けたり、先端が包装材に接して剪断力により包装材を破る作用をなすものであればなんでもよい。
【0018】
請求項2に係る発明は、
前記堰止板は、爪の移動範囲内において、堰止板の接線とこの接線の接点を通過して爪の先端軌道に垂直な仮想線との角度が零度以上になるように、湾曲されることを特徴とする。
【0019】
かかる請求項2に係る発明において、堰止板の接線と爪の先端軌道に垂直な仮想線との角度が零度以上とは、堰止板4の接線の接点を通過すると共に爪の先端軌道に垂直である仮想線に対して、その最寄りの接線の堰止板4先端側が爪の移動方向前方側位置にあるかまたは重なる位置にある関係をいう。言い換えると、爪の先端軌道に垂直な仮想線を基準として、最寄りの接線の堰止板4先端側が上側にある場合、その角度をプラスの角度とし、下側にある場合、その角度をマイナスの角度とする。
【0020】
請求項3に係る発明は、
前記堰止板のスリットは先端部に向かって徐々にスリット幅が広くなるように形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、
前記堰止板は、該堰止板の先端部と爪の先端軌道との間において、該堰止板の接線の接点を通過して爪の先端軌道に垂直な仮想線となす角度が零度以下からマイナス90度以上の範囲の角度となる該接線が存在するように、形成されたことを特徴とする。
【0021】
かかる請求項4に係る発明において、爪の先端軌道に垂直な仮想線と堰止板の接線との角度が零度以下とは、前述の説明から明らかなように、爪の先端軌道に垂直な仮想線に対して、堰止板4の最寄りの接線の堰止板4先端側が爪の移動方向後方側位置にあるかまたは重なる位置にある関係をいう。
【0022】
請求項5に係る発明は、
前記各爪を、弾性部材を有して、その爪先部にかかる抵抗に応じて移動方向と反対側に揺動可能若しくは起倒可能にそれぞれ構成したことを特徴とする。
【0023】
かかる本発明の作用を説明する。
請求項1〜5のいずれかに記載の破袋装置において、例えば、ごみ(缶、びん、プラスチックボトル、厨芥等)を入れたビニール袋等の包装材(以下、単に袋と言う)が投入シュート等から投入されると、袋は、傾斜した無端コンベヤ上に設置されたプレート上に落下し、プレートに設けられているスリットの間を下部から上部に向かう爪に引っ掛けられて、上方へと掻き揚げられる。爪は袋を引っ掛けたまま、固定されている堰止板のスリットを通過しようとする。
【0024】
堰止板のスリットを通過できるのは、スリット幅よりも小さいもの、つまり、爪と、これに引っ掛けられた袋等の軟質なもののみで、スリット幅より大きな硬質ごみ等は、スリットを通過できない。
【0025】
従って、ごみの詰った袋はスリットの通過を抑制される一方、爪に引っ掛けられた袋は爪の移動に伴って引き裂かれる。
かかるごみの詰った袋は堰止板のスリットの通過が抑制され、かつ爪に引っ掛けられた袋は、爪の移動に伴って引き裂かれ、かかる作用を数回繰り返すことにより、袋は引き裂かれて、ごみは袋から出る(引き裂き作用)。ごみが完全に出た袋は、爪に引っ掛けられたまま、堰止板を通過する。
【0026】
また、スリットを通過せずに爪から外れた袋はプレート上に落下し、落下した袋は、再度爪に引っ掛けられて、堰止板のスリットの方向に運ばれて、引き裂き作用を受ける。これにより安定した連続的な破袋運転が可能となる。
【0027】
ごみが完全に出た袋は、爪に引っ掛けられたまま、堰止板を通過し、無端コンベヤの下側の移動部へと引き込まれて、重力の作用により、例えば排出シュートへと落下する。
【0028】
袋から出たごみは、隣り合う爪の間をすり抜けて傾斜したプレート下端の排出部へと落下し、例えばその下方に設けられた排出コンベヤ等によって次の処理工程に搬送される。
【0029】
ここで、ごみを取り扱うという性質上、異物が混入する場合もよくあるが、堰止板を、プレートから徐々に湾曲して該スリットを通過する爪の先端軌道より外方に先端部が位置するように設けたことにより、この異物が破袋装置の安定した連続運転に支障を来すことがない。
【0030】
すなわち、例えば電線コード、電線ケーブル、ハンガー、傘、あるいは、新聞、雑誌、ダンボール等が束ねられたもの等で、特にこれらが濡れているもの等爪に押されて変形しスリットに詰まりやすい異物が噛み込んだ場合でも、堰止板が湾曲しているので、爪によって堰止板に押し付けられた異物は、押し付けられることによって堰止板から外方への分力を持つ反力(ベクトル)を受け、堰止板に沿って外方に移動して自動的に取り除かれる。
【0031】
したがって、異物により堰止板のスリットが閉塞されてしまうことがなくなり、これによって、処理能力の向上、人手による異物の除去作業を不要とすることができる。また、請求項1に係る発明においては、堰止板のスリットは先端部が開放されているため、上述したような引き裂き作用を受ける袋のうち、引き裂かれて完全にごみが出た袋、引き裂き作用の途中でごみが残っている袋を問わず、袋の一部が堰止板のスリットを通過し、残りの部分が堰止板のスリットを通過していない状態で、爪の通過側(基端部)とは反対側の堰止板端部(先端部)側に引っ掛かった状態となる場合があっても、破袋装置の運転を続けると、上記のスリットの爪通過部分(基端部)と反対側の端部側に詰まった袋は、新たにスリットのこの端部側に詰まる袋に押され、該端部の開放された部分に達すると、ここから外れる。以上により、安定した連続的な破袋運転が可能となる。
【0032】
特に、請求項2に係る発明においては、堰止板は、爪の移動範囲内においては、爪の先端軌道に垂直な仮想線と堰止板の接線との角度が零度以上になるように緩やかに湾曲されるため、上述の噛み込んだ異物が自動的に取り除かれるという作用がより効果的に奏される。
【0033】
また、このような特定した緩やかな堰止板の湾曲形状により、次のような作用を効果的に奏する。
すなわち、爪に引っ掛かった袋およびこの付近にある袋の内容物は、爪の移動に伴って、堰止板のスリットを通過しようとする。
【0034】
上記の内容物が、発泡スチロール等の如く爪と堰止板とによって圧縮されて破損するおそれがあるものであっても、上記のように、堰止板が緩やかに湾曲されていると、爪の移動方向先にある内容物は、爪に押されて、堰止板の湾曲面に沿って爪の先端方向に逃げるように移動し、内容物が爪と堰止板とによって圧縮され破損されるおそれを少なくすることができる。
【0035】
請求項3に係る発明においては、堰止板のスリットは先端部に向かって徐々にスリット幅が広くなるように形成されているため、スリットを移動する際の袋の通過抵抗が軽減され、スリットに詰まった袋を速やかに押し出すことが可能となる。
【0036】
特に、請求項4に係る発明において、堰止板は、該堰止板の開放された先端部と爪の先端軌道との間において、爪の先端軌道に垂直な仮想線となす角度が零度以下からマイナス90度以上の範囲の角度となる該堰止板の接線が存在するように、形成されているので、次のような作用を効果的に奏する。
【0037】
すなわち、堰止板のスリットの先端部が開放されていると、爪に引っ掛けられて堰止板のスリットを通過する袋のうち、スリットの幅よりも大きい内容物を梱包したまま、袋の内容物を梱包した部分が爪の堰止板の先端部を回り込んで、袋とともに内容物が堰止板を通過してしまう事態が発生することがある。
【0038】
しかし、上記のように、堰止板の接線と仮想線との角度が零度以下から−90度以上の範囲の角度になる部分においては、爪に引っ掛けられてスリットを通過する袋が堰止板から受ける反力が、堰止板の先端側とは反対方向のプレート側に作用するため、袋の内容物を梱包した部分が堰止板の先端部を回り込むのが阻止され、袋とともに内容物が堰止板を通過してしまう事態の発生が抑制される。
【0039】
また、袋が爪の堰止板の先端部から外れて、プレートの上面に落下することがあるが、上記のように、堰止板の先端部と爪の先端軌道との間の部分を、爪の先端軌道に垂直な仮想線となす角度が零度以下からマイナス90度以上の範囲の角度となる該堰止板の接線が存在するように、形成した結果、堰止板の該部分とプレート上面との距離が縮まって落下の高低差を小さくすることが可能となり、落下による衝撃をできるだけ抑えることができ、例えばびん等の破損を減少させることができる。
【0040】
特に、請求項5に記載の破袋装置においては、爪を、弾性部材を有して、その爪先部にかかる抵抗に応じて移動方向後方側で揺動可能若しくは起倒可能に構成した結果、移動する爪と堰止板のスリットとの間に硬質物を噛み込んだ場合、爪に所定以上の力が作用すると、爪が移動方向後方側で可動することで、堰止板のスリットと爪の間に噛み込んだ硬質物が除去され、この硬質物は重力の作用により下方に落下する。また、大きい粗大物(硬質物)等が投入された場合でも、上記の噛み込み防止作用によって粗大物の噛み込みが防止される。
【0041】
かかる作用効果は、プレートの先端部が徐々に湾曲して該スリットを通過する爪の先端軌道より外方に先端部が位置するように設けたことによってスリットに噛み込んだ詰まりやすい異物が自動的に取り除かれる作用効果と相まってより効果的に発揮される。
【0042】
また、以上のように爪は移動方向後方側で可動するが、スリットに噛み込んだ詰まりやすい異物が自動的に取り除かれる作用効果によって、前記可動する回数が低減し、可動する角度も小さくなるため、爪および爪を支持する弾性部材の寿命向上を図ることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の破袋装置を、分別収集されたごみのリサイクル施設に適用した場合の例である。
【0044】
図1において、本実施形態の破袋装置は、本体ケーシング1と、無端コンベヤ2と、プレート3と、堰止板4と、を含んで構成される。
前記無端コンベヤ2は、その上面が下方から上方に行くにしたがって傾斜勾配がきつくなり鉛直近くになる軌道形状になっており、この軌道形状に沿って無端コンベヤの移動部の一部を構成するコンベヤチェーン11、12(図2参照)が、配設されている。したがって、無端コンベヤ2は、湾曲した移動部が存在するため、図示しないチェーンガイドを、無端コンベヤの移動部の一部を構成する後述のコンベヤチェーンの上下に配設して、チェーンを湾曲させながら移動部に沿わせて案内するように構成する。
【0045】
かかる無端コンベヤ2は、移動方向に沿って移動部に配列された複数の爪5を有する構成であって、その上側の移動部の移動方向先が高位に位置するように本体ケーシング1内に配設される。
【0046】
かかる無端コンベヤ2は、本実施形態においては、無端コンベヤ2の移動部の外側に移動方向に沿って間隔をおいて爪5を設けた構成であり、具体的には、次のように構成される。
【0047】
すなわち、それぞれ略水平方向に沿って配設された一対の被駆動軸7が下部に、駆動軸8が上部に、相互に平行に設けられ、これら被駆動軸7と駆動軸8それぞれの両端部は、本体ケーシング1に回転自由に支承されている。
【0048】
前記駆動軸8の両端部には、それぞれ駆動スプロケット9が固定取付されている。
また、被駆動軸7の両端部には、それぞれ被駆動スプロケット10が固定取付されている。
【0049】
一方の側の駆動スプロケット9と被駆動スプロケット10、10とには、コンベヤチェーン11(図2参照)が巻き掛けられ、他方の側の駆動スプロケット9と被駆動スプロケット10、10とには、コンベヤチェーン12(図2参照)が巻き掛けられている。
【0050】
そして、例えばモータ等により駆動軸8を回転駆動し、この回転駆動が駆動スプロケット9、9と被駆動スプロケット10、10に伝達されるように構成されている。
【0051】
ここで、図2〜図4に示すように、複数の長尺の板状のスラット18が設けられており、各スラット18の一端部は一方のコンベヤチェーン11に、他端部は他方のコンベヤチェーン12に固定取付される。
【0052】
詳しくは、スラット18の一端部は、一方のコンベヤチェーン11を構成するべく数珠つなぎ的に結合された1つのチェーン構成部材11Aの上面部に固定取付され、他端部は、他方のコンベヤチェーン12の前記一方のコンベヤチェーン11の1つのチェーン構成部材11Aと位置的に対応する1つのチェーン構成部材12Aの上面部に固定取付される。
【0053】
これによって、両コンベヤチェーン11、12間には、多数のスラット18がそれぞれ橋渡しされて並列して設けられており、本実施形態においては、無端コンベヤの移動部が、両コンベヤチェーン11、12と多数のスラット18によって構成されている。
【0054】
この場合、隣接するスラット18同士は、コンベヤチェーン11、12が湾曲変形する部位以外の少なくとも無端コンベヤ2の下端部と上端部との間の上側移動部において、互いに端面同士が近接して、図3の如く実質的にスラット18同士が連続した一つの面をなすように構成されている。
【0055】
そして、各スラット18上面には、該スラット18の長手方向に沿って多数の爪5が所定間隔をもって取り付けられる。
この場合、1つのスラット18には、長手方向に等距離だけ離間して8本の爪5(図2中実線示)が取り付けられ、この1つのスラット18と隣り合う1つのスラット18には、爪5が取り付けられず(図3参照)、この爪5が取り付けられていないスラット18と隣り合う1つのスラット18には、7本の爪5(図2中点線示)が、それぞれ前記8本の爪5が設けられたスラット18における爪5、5の間に位置するように、取り付けられている。この7本の爪5は、プレート3からの突出部が前記8本の爪5と同じ高さに形成されている。そして、この7本の爪5が設けられたスラット18の後には、また爪5が取り付けられていないスラット18が位置している。
【0056】
このように、4つの形態のスラット18の配列が順次繰り返されて、それぞれ多数の爪5を有する多数のスラット18が配設される。
この場合、8本の爪5が取り付けられた各スラット18における各爪5相互は、無端コンベヤ2の移動方向に沿って列をなすように整列されている。
【0057】
また、7本の爪5が取り付けられた各スラット18における各爪5相互も、無端コンベヤ2の移動方向に沿って列をなすように整列されている。
なお、上記のスラット18は、単なる板状のものであったが、図5に示すように、板部18aの両端または一端に板部18bを垂下させた構成であって、各チェーン構成部材11Aの上部に被せられるような構成のスラット18としても良い。
【0058】
さらに、無端コンベヤ2の移動部に爪5を設けた構成として、チェーンコンベヤにおけるスラット18に爪5を設けた例を示したが、前記移動部としては、チェーンコンベヤにおけるチェーン、2条のチェーン間に取り付けたクロスバー、チェーンに取り付けた断面が波形のエプロン、チェーンに取り付けた断面が皿形のパンまたはチェーンに取り付けた各種形状のパレットであってもよく、さらにはスラットやパレット同士で連続する面を形成しなくてもよい。また、前記7本の爪5を、前記8本の爪5の高さと異なる高さに形成してもよい。
【0059】
次に、爪5の構造およびスラット18に対する爪5の取付構造について同上の図2〜図4に基づいて説明する。
爪5は、一端部に爪5の移動方向に屈曲されている爪先部5Aを有した板状部材から構成されており、その他端部には支持穴(図示せず)が形成されている。
【0060】
スラット18には、爪5を取り付ける取付座19が固定取付されている。
この取付座19は、底板19aと、該底板19aの両端部から上方に張り出した一対の側板19bと、両側板19b間に差し渡されたピン19cと、から構成される。
【0061】
この実施形態において、爪5は、弾性部材を有して、その爪先部5Aにかかる抵抗に応じて移動方向後方側に揺動可能若しくは起倒可能に構成されており、爪5と弾性部材とは別体化されている。
【0062】
すなわち、爪5は、取付座19のピン19cにその支持穴挿通支持される一方、弾性部材としての捩じりコイルスプリング20の一端部は取付座19に係止され、他端部は爪5に係止される。
【0063】
かかる爪5は、起倒可能になっており、倒れた時には、プレート3の後述するスリット3Aの内側に格納された状態となる。
本実施形態においては、上述した爪5の取付座19の側壁は、無端コンベヤ2(コンベヤチェーン11、12)の移動方向前方に向かうに従ってより低くなるように傾斜しており、具体的には、取付座19の両側板19bの爪5の倒れる側と反対側の側端面に傾斜面19Aが形成され、取付座19は略台形状に形成されている。なお、傾斜面19Aは、平面である必要はなく、曲線状であつてもよい。また、面である必要もなく移動方向に向かって尖っていてもよい。したがって取付座19の側壁は、無端コンベヤ2の移動方向に向かうに従ってより低くなるように傾斜もしくは湾曲していればよい。
【0064】
以上の構成においては、爪5を、無端コンベヤ2のスラット18の上側に取り付けるようにしたが、スラット18の下側に取り付けるようにしても良い。この例においても、複数の爪を無端コンベヤ移動部の外側に設けたものである。
【0065】
すなわち、図6において、スラット18下面には、爪5を取り付ける取付座21が固定取付されている。
この取付座21は、底板21aと、該底板21aの両端部から上方に張り出した一対の側板21bと、両側板21b間に差し渡されたピン21cと、から構成される。
【0066】
そして、爪5は、取付座21のピン21cにその支持穴が挿通支持される一方、弾性部材としての捩じりコイルスプリング22の一端部は取付座21に係止され、他端部は爪5に係止される。
【0067】
かかる爪5は、起倒可能になっており、倒れた時には、プレート3のスリット3Aおよびスラット18に形成されたスリット18Aから該スラット18下面側に格納された状態となる。
【0068】
以上説明したように、移動方向に沿って移動部に配列された複数の爪5を有する無端コンベヤ2は、その上側の移動部の移動方向先が高位に位置するように傾斜しつつ湾曲して、かつ、その移動部方向と直交する方向の一側部が他側部より高位に位置するように傾斜して本体ケーシング1内に配設されて固定される。
【0069】
一方、前記プレート3は、爪5が通過可能なスリット3Aを有しており、無端コンベヤ2の上側の移動部に沿って該無端コンベヤ2の上方に配設される。
すなわち、プレート3は、図1の如く無端コンベヤ2の上側の移動部に沿って該無端コンベヤ2の上方に傾斜しつつ湾曲して配設されてスリット3Aを有する傾斜・湾曲部3aと、該傾斜・湾曲部3aの下端部に連接して下方に向かって傾斜して伸び、かつスリット3Aが形成されていないごみ排出シュート部3bと、から構成される。
【0070】
そして、前記スリット3Aは、8本の爪5が設けられたスラット18の爪5による8つの爪列に対応して、かつ、7本の爪5が設けられたスラット18の爪5による7つの爪列に対応して、それぞれ設けられ、プレート3には、合計15列のスリット3Aが設けられる。
【0071】
前記堰止板4は、プレート3に一体に連続形成され、プレート3から徐々に湾曲して爪5の先端軌道より外方(無端コンベヤ2の上側の移動部から離れる方向)に位置するようにして形成されている。言い換えると、前記堰止板4は、その基端部がプレート3に連接し、先端部がプレート3外方に位置するように、湾曲傾斜して配設され、プレート3のスリット3Aに対応させて爪5が通過可能で、内容物が入った袋の通過が抑制され、かつ両端部が開放されたスリット4Aが設けられている。
【0072】
この場合、スリット4Aは、8本の爪5が設けられたスラット18の爪5による8つの爪列に対応して、かつ、7本の爪5が設けられたスラット18の爪5による7つの爪列に対応して、それぞれ設けられ、堰止板4にも、プレート3と同様に合計15列のスリット4Aが設けられる。
【0073】
ここで、本実施形態においては、図7に示すように、前記プレート3は、前記スリット3Aが形成されていないごみ排出シュート部3bを共通部分として、スリット3Aを有する傾斜・湾曲部3aが、前記スリット3Aを構成する所定間隔を介して、一側部から他側部に(横方向に)並列して並べられる複数のプレート構成部材50から構成されると共に、前記堰止板4は、前記スリット4Aを構成する所定間隔を介して、横方向に並列して並べられて、一端部が前記プレート構成部材50にそれぞれ連続して構成される複数の堰止板構成部材51から構成される。
【0074】
この場合、プレート構成部材50と堰止板構成部材51とは、一体成形品からなる。つまり、各プレート構成部材50の端部である堰止板構成部材51の先端部が徐々に湾曲して爪5の先端軌道より外方に位置するように形成されている。各プレート構成部材50は、該プレート構成部材50間の所定間隔および各堰止板構成部材51の所定間隔を維持した状態で互いに連結されている。
【0075】
以上、言い換えるとプレート3のごみ排出シュート部3bを除いて中間部から爪5が通るスリットが形成され、そのスリットは先端で開放されていると共に、そのプレート3の先端部が徐々に湾曲して爪5の先端軌道より外方に位置するように形成されている。
【0076】
この状態で堰止板4には、固定支持する連結支持部材が設けられている。
前記連結支持部材は、各堰止板構成部材51の堰止面の裏側にあたる裏面と離隔する位置に配設され、本体ケーシング1壁にその上端が溶接固定された横桟部材52(第1の支持部)と、該横桟部材52からそれぞれ各堰止板構成部材51の前記裏面に向かって伸びて該裏面に固定される複数の支持足53(第2の支持部)、を含んで構成される。
【0077】
この場合、各支持足53は、その一端部が各堰止板構成部材51の上面にボルト54等により固定された取付板55に溶接等によって固着されて立設され、横方向に並列して並べられる。
【0078】
そして、並列して並べられた各支持足53の他端部は、横桟部材52の側面にボルト56等により固定される。
なお、スリット4Aの幅dは、図6で示すようにスリット3Aの幅より広くなるように、スリット3Aから段差を介してスリット4Aに連なるようにしてもよく、またスリット3Aの幅とスリット4Aの基端部の幅とが同じになるようにしてもよい。
【0079】
いずれにしても、本実施形態においては、前記堰止板4のスリット4A、すなわち、隣接する堰止板構成部材51間の間隔dは、爪5の通過部側端部(通過部分)から先端部に向かって徐々にスリット幅が広くなるように形成される。 この場合、隣り合う堰止板構成部材51の内側面が斜めにカットされて、上記のスリット幅に設定される。
【0080】
また、堰止板4のスリット4Aの爪5の通過部側端部(通過部分)とは反対側の先端部近傍位置であって、堰止板4の堰止面(図7において下面)の裏面(図7において上面)と所定間隔を介して対面する位置に、スリット幅方向に横断する袋の回り込み防止用の堰57が設けられている。
【0081】
この堰57は、並列に立設された各支持足53の横桟部材52取付面側に配置された横方向の板部材からなり、その堰57がボルト58等によって両側に位置する支持足53に固定される。
【0082】
さらに、図1、図7および図8に示すように、各プレート構成部材50の高位側の上面には、袋、ごみ、粗大物等を粗大物排出口70側に案内するために、後述する投入シュート69側が高位に粗大物排出口70側が低位になるように固定したガイド板59が設けられている。
【0083】
ここで、図1および図8に示すように前記本体ケーシング1の内面から斜め下方に、プレート3のごみ排出シュート部3bに向かって伸びる切出シュート60が設けられており、この切出シュート60と、ごみ排出シュート部3bと、によってごみの排出部を構成する間隔部61を設けるようにしている。
【0084】
なお、切出シュート60の先端部には、前記間隔部61の間隔を調整するためのゴム製調整部材62が設けられている。
一方、無端コンベヤ2の下側の移動部の下方には、袋落下防止ガイド63が設けられている(図1参照)。
【0085】
すなわち、袋落下防止ガイド63は、無端コンベヤ2の下側の移動部のうち水平部分に沿って該無端コンベヤ2の下方に配設される。
かかる袋落下防止ガイド63は、図9に示すように、多数の湾曲した細板部材64から構成される。
【0086】
具体的には、袋落下防止ガイド63を構成する細板部材64は、水平部64Aと、該水平部64Aの一端部に連接して無端コンベヤ2下側の一方の方向転換部に沿って湾曲形成されて上側に伸びる上側湾曲部64Bと、水平部64Aの他端部に連接して無端コンベヤ2下側の他方の方向転換部の手前側で湾曲形成されて下側に伸びる下側湾曲部64Cと、から構成される。
【0087】
そして、所定間隔を持って並列される一対一組の細板部材64が、互いに所定間隔で並列して多数組配設される。
各組の一対の細板部材64の間隔は、プレート3と堰止板4のスリット3A、4Aに対応して設けられて爪5が通過可能なスリットを構成するものである。
【0088】
各細板部材64の上側湾曲部64Bには、上側取付部材65の一端部が固定され、下側湾曲部64Cには、下側取付部材66の一端部が固定され、上側取付部材65の他端部は、本体ケーシング1の内壁に、下側取付部材66の他端部は、本体ケーシング1の後述する袋シュートと小片シュートの境部に、それぞれ固定されている。
【0089】
また、かかる袋落下防止ガイド63の各細板部材64の下側湾曲部64C側の端部近傍位置には、回転駆動される分岐ローラ67が配設されている。
この分岐ローラ67は、袋落下防止ガイド63の各細板部材64の下側湾曲部64C側の端部の並列する方向に沿い、かつ該下側湾曲部64Cに近接して水平方向に伸びて配設されている。
【0090】
かかる分岐ローラ67は、その上側の円筒側面が、後述する袋シュート71側に向かって回転移動するように回転駆動される(図1において右回り)。
この場合、分岐ローラ67は、無端コンベヤ2用の駆動モータとは別途設けられた専用のモータにより、あるいは、無端コンベヤ用の駆動モータの駆動力をチェーンや歯車等の伝達機構を介して伝達して駆動するようにする。
【0091】
次に、以上のように無端コンベヤ2、プレート3および堰止板4が配設された本体ケーシング1の構造について説明する。
すなわち、本体ケーシング1は、支持足68によって設置面に支持される。
【0092】
上述したように、無端コンベヤ2は、その移動部方向と直交する方向の一側部が他側部より高位に位置するように傾斜して配設されており、無端コンベヤ2の高位の一側部の側には、投入口が設けられている。具体的には、無端コンベヤ2の高位の一側部の側にある本体ケーシング1の側壁に、投入口としての投入シュート69が設けられている。
【0093】
この場合、投入シュート69は、前記切出シュート60の横側に(図8において上側)に開口される。
この投入シュート69の側壁には、図1および図8に示すように前記本体ケーシング1の一部をなすカバー1Aが、該本体ケーシング1の外面から斜め下方に伸び、前記切出シュート60を内側に覆い、他端が無端コンベヤ2の低位の他側部の側にある本体ケーシング1の側壁にいたるように設けられている。
【0094】
また、無端コンベヤ2の低位の他側部の側には、粗大物排出口70が設けられている。すなわち、無端コンベヤ2の低位の他側部の側にある本体ケーシング1の側壁に、切出シュート60がない部分が形成され、これによって粗大物排出口70が形成されている。
【0095】
さらに、本体ケーシング1底部の無端コンベヤ2の下方位置には、排出口としての袋シュート71と小片シュート72とが並列して設けられている。
この場合、袋シュート71は、前述した袋落下防止ガイド63の各細板部材64の下側湾曲部64Cに対応する位置に、小片シュート72は、袋落下防止ガイド63の各細板部材64の水平部64Aに対応する位置に、それぞれ配置される。
【0096】
なお、無端コンベヤ2の上側の移動部と下側の移動部との間には、上側の移動部に対面して前記小片シュート72に向かって傾斜して伸びる板部材からなる小片ガイド73が配設されて固定されている。
【0097】
この場合、プレート3のスリット3Aや無端コンベヤ2の隣接するスラット18間の若干の隙間から落下するごみ等の小片を導くのであるが、プレート3が設けられているので、無端コンベヤ2の爪5が設けられていないスラット18を除去する構成にしてもよい。
【0098】
さらに、本体ケーシング1の外部であって、ごみ排出シュート3bの下端近傍位置には、排出コンベヤ74が配設されている。
ここで、本実施形態においては、投入シュート69やプレート3等の投入される袋が落下供給される際に衝突するような箇所に緩衝材を設置する。
【0099】
すなわち、例えば、プレート3上面の投入シュート69からの袋の投入落下位置、すなわち、図8および図10に示すように、各プレート構成部材50の上面の所定位置に、緩衝材としての方形のゴム板75が予め接着された取付板としての方形の鉄板76をボルト77等によって着脱可能に固定取付する。
【0100】
この場合、ゴム板75並びに鉄板76共に同位置にボルト77用の挿通孔75A、76Aが形成され、鉄板76側の挿通孔76Aは、ゴム板75側の挿通孔75Aよりも小径に形成される。
【0101】
また、プレート構成部材50側にはボルト77のねじ溝50Aが形成される。
さらに、ゴム板75の厚みは、ボルト77の頭部が突出せずに収納されるような厚みに設定される。
【0102】
なお、このようなゴム板75の取付構造によれば、ゴム板75が予め接着された鉄板76をプレート構成部材50の上面に着脱自由に固定する構成によって、次の利点がある。
【0103】
すなわち、ゴム板75を直接プレート構成部材50の上面に接着すると、ゴム板75の交換時には、古いゴム板75を剥がし、プレート構成部材50を磨き、新しいゴム板75を接着し、接着完了まで待機するといった工程が必要となるが、ゴム板75が予め接着された鉄板76をプレート構成部材50の上面に着脱自由に固定する構成にすれば、古くなったゴム板75を鉄板76ごと外し、新しいゴム板75の付いた鉄板76を取り付けといった簡単な工程となる。
【0104】
なお、上述した爪5の屈曲角度、堰止板4のスリット4Aの幅等は後に詳述する。
次に、かかる構成の破袋装置の作用を説明する。
【0105】
例えば、ごみ(缶、びん、プラスチックボトル、厨芥等)を入れたビニール袋等の包装材(以下、単に袋と言う)78が投入シュート69からプレート3上面のゴム板75上面に落下投入される(図11(A)参照)。
【0106】
この場合、袋78がゴム板75上面に落下されることで、落下時の衝撃が緩和され、袋内の缶、びん、プラスチックボトル等のごみの破損等が防止される。
そして、袋78は、プレート3に設けられているスリット3Aの間を下部から上部に向かう爪5に引っ掛けられて、上方へと掻き揚げられる。爪5は袋78を引っ掛けたまま、固定されている堰止板4のスリット4Aを通過しようとする(図11(B)参照)。
【0107】
堰止板4のスリット4Aを通過できるのは、スリット4A幅よりも小さいもの、つまり、爪5と、これに引っ掛けられた袋78等の軟質なもののみで、スリット4Aより幅の広い缶、びん、プラスチックボトル等の硬質ごみは、スリット4Aを通過できない。
【0108】
従って、ごみの詰った袋78はスリット4Aの通過を抑制される一方、爪5に引っ掛けられた袋78は爪5の移動に伴って引き裂かれる(図11(C)、(D)参照)。
【0109】
かかるごみの詰った袋78がスリット4Aの通過を抑制され、かつ爪5に引っ掛けられた袋78が爪5によって引き裂かれるという作用を数回繰り返すうちに、袋78は引き裂かれて、ごみ78Aは袋78から出る。
【0110】
ごみ78Aが完全に出た袋78は、爪5に引っ掛けられたまま、堰止板4を通過し、無端コンベヤ2の下側の移動部へと引き込まれて、重力の作用により、袋シュート71へと落下する。
【0111】
袋78から出たごみ78Aは、隣り合う爪5の間をすり抜けて傾斜したプレート3の底部へと落下し、間隔部61(排出部)を経て、その下方に配設された排出コンベヤ74によって次の処理工程へ搬送される。
【0112】
ここで、本実施形態においては、プレート3と無端コンベヤ2とを、爪5の移動方向と直交する方向の一側部が他側部より高位に位置するように傾斜して配設し、高位側のプレート3上方に袋78の投入シュート69を設けるようにした。このため、破袋が不完全なまま爪5から外れてプレート3の傾斜に沿って下方へと落下した袋78や、中にさらに小さい袋が入った状態の袋78は、落下の回数を重ねて、より低位に位置するプレート3の他側部寄りの位置、つまり、プレート3の低位の他側部に設けられた粗大物排出口70に近づく方向に進み、この方向に設けられた爪5と堰止板4の作用によって繰り返し破袋作用を受けつつ、粗大物排出口70から排出される。
【0113】
ここで、爪5を、弾性部材(捩じりコイルスプリング22)を有して、その爪先部5Aにかかる抵抗に応じて移動方向後方側に揺動可能若しくは起倒可能に構成した結果、プレート3から突出した爪5と堰止板4の間に硬質物を噛み込んだ場合、爪5に所定以上の力が作用すると、爪5がスリット3A内に挿入される方向に可動し、堰止板4と爪5の間に噛み込んだ硬質物が除去され、この硬質物は重力の作用によりプレート3上に落下し、ごみ排出シュート3bから排出コンベヤ74に至り、ここから、よって装置外に排出される。
【0114】
したがって、爪5および堰止板4を損傷することなく連続して処理を行うことができる。
上記の硬質物を除去する作用を図12に基づいて説明する。
【0115】
同図(A)、(B)に示すように、スリット4Aより大きな硬質物79に向かって起きた状態の爪5が進行する。
同図(C)に示すように、爪5と堰止板4との間に硬質物79が噛み込むと、爪5が弾性部材の弾性力に抗してその進行方向後方に回動して倒れる。
【0116】
同図(D)に示すように、爪5が回動することにより、硬質物79が爪5と堰止板4との間から逃げ、一方爪5は堰止板4のスリット4Aを通り抜けて進む。
かかる動作によって、堰止板4と爪5の間に噛み込んだ硬質物79を除去でき、爪5および堰止板4を損傷することなく連続して処理が可能となる。
【0117】
また、間隔部61(排出部)よりも大きい粗大物(硬質物)等が投入された場合は、上記の噛み込み防止作用によって粗大物の噛み込みが防止され、また、無端コンベヤ2が、その移動方向と直交する方向の一側部が他側部より高位に位置するように傾斜して配設されているため、粗大物は装置内で爪5による引掻上方移動と堰止板4近傍からの落下とによって上下運動を繰り返し受け、徐々に無端コンベヤ2の低位側に設けられた粗大物排出口に近づく方向に送られ、この粗大物排出口70から装置外に排出される。
【0118】
ここで、爪5に引っ掛けられて、堰止板4のスリット4Aを通過した袋78は、無端コンベヤ2の下側の移動部へと引き込まれて、重力の作用により袋シュート71へと落下する。しかし、一部の袋78は、袋シュート71上で落下せずに、爪5に引っ掛けられたままの場合がある。
【0119】
この爪5に引っ掛けられたままの袋78は、袋落下防止ガイド63上を爪5に引きずられて通過して、さらに無端コンベヤ2の上側の移動部を通過して、再度下側の移動部に引き込まれ、重力の作用により袋シュート71へと落下する機会を得る。
【0120】
すなわち、袋落下防止ガイド63によって、袋シュート71側に落下しない袋78が袋シュート71以外に落下することを防止しており、袋78が袋シュート71側に確実に落下するようにして、袋78の選別能力の向上を図っている。
【0121】
また、袋落下防止ガイド63の各細板部材64の下側湾曲部64C側の端部の並列する方向に沿って水平方向に伸びて配設される分岐ローラ67を設け、これをその上側の移動部が袋シュート71側に向かって回転移動するように回転駆動するようにしたから、袋シュート71に向かって落下せずに、袋シュート71の小片シュート72との境部近傍位置に落下するような袋78は、分岐ローラ67の回転によって袋シュート71側へと強制的に運ばれるようになり、袋78が袋シュート71の小片シュート72との境部近傍位置に落下して、ここに引っ掛かるのが防止され、袋78を確実に袋シュート71に落下させることができる。
【0122】
なお、袋落下防止ガイド63の各細板部材64の下側湾曲部64C側における爪5の移動部から外れる端部位置においては、隣り合う各細板部材64間に袋78が詰まるおそれがあるが、上記の分岐ローラ67が、袋落下防止ガイド63の各細板部材64の下側湾曲部64C側の端部に近接して設けられているため、この分岐ローラ67によって袋落下防止ガイド63の各細板部材64の下側湾曲部64C側の端部位置に袋が至らず、この位置の隣り合う各細板部材64間に袋78が詰まることが防止されている。
【0123】
さらに、プレート3のスリット3Aから抜け落ちたごみ等の小片80は、通常無端コンベヤ2の上側の移動部にあるスラット18を滑って小片シュート72内に落下するが、さらに無端コンベヤ2のスラット18間の間隙から無端コンベヤ2の上側の移動部と下側の移動部との間に落下した小片80は、その一部が、無端コンベヤ2の下側の移動部の方に直接的に落下し、他部は、小片ガイド73上面に落下して受けられ、小片ガイド73上面を滑りながら無端コンベヤ2の下側の移動部の方に落下する。
【0124】
この落下した小片80は、さらに無端コンベヤ2の下側の移動部の間隙と袋落下防止ガイド63の各組の細板部材64間の間隔および各組間の間隔を通過して小片シュート72内に落下する。
【0125】
この小片ガイド73を設けることにより、無端コンベヤ2の爪5が設けられていないスラット18を除去しても、確実に落下した小片80を小片シュート72内に落下させることができ、無端コンベヤの構成を簡略化できる。すなわち、スラット18除去部から無端コンベヤ2の上側の移動部と下側の移動部との間に落下した小片80は、その一部が、下側移動部のスラット18除去部の方に直接的に落下し、他部は、小片ガイド73上面に落下して受けられ、小片ガイド73上面を滑りながら下側移動部のスラット18除去部の方に落下し、最終的に小片シュート72に到る。
【0126】
上記のようにして、ごみの詰まった袋78は堰止板4のスリット4Aの通過が抑制され、爪5に引っ掛けられた袋78は、爪5の移動に伴って引き裂かれ、かかる作用を数回繰り返すことにより、袋78は引き裂かれて、ごみは袋78から出る(引き裂き作用)。
【0127】
このような引き裂き作用を受ける袋のうち、引き裂かれて完全にごみが出た袋、引き裂き作用の途中でごみが残っている袋を問わず、袋の一部が堰止板4のスリット4Aを通過し、残りの部分が堰止板4のスリット4Aを通過していない状態で、爪5の通過側(基端部)とは反対側の堰止板4端部(先端部)側に引っ掛かった状態となる場合がある。
【0128】
破袋装置の運転を続けると、この端部側に詰まった袋は、爪5のこの端部側への押出し作用などにより新たにスリット4Aの該端部側に詰まる袋に押されて、該端部の開放された部分に達すると、ここから外れる。
【0129】
上記の外れた袋はプレート3上に落下し、落下した袋は、再度爪5に引っ掛けられて、堰止板4のスリット4Aの方向に運ばれて、「引き裂き作用」を受け、安定した連続的な破袋運転が可能となる。
【0130】
さらに、本実施形態においては、スリット4Aは、爪5の通過側とは反対側の先端部(スリット4Aを通過する爪5の先端より先の先端部)に向かって徐々にスリット幅が広くなるように形成されているため、スリット4Aを移動する際の袋の通過抵抗が軽減され、スリット4Aに詰まった袋を速やかに押し出すことが可能となる。
【0131】
すなわち、前述のように、新たにスリット4Aの爪5の通過側とは反対側の先端部側に向かって詰まる袋によって、既に先端部側に詰まっていた袋が該先端部の開放された部分に向けて押し出される作用において、例えば、爪5を、弾性部材を有して、その爪先部にかかる抵抗に応じて移動方向後方側に揺動可能若しくは起倒可能に構成したものでは、スリット4Aに詰まっている袋が弾性部材の弾性力に押されて移動する。この間、袋は圧縮された状態となり、スリット4Aを移動するときに、圧縮圧に応じて袋の通過抵抗は大きくなるが、先端部に向かって徐々にスリット幅が広くなるように形成されているため、スリット4Aを移動する際の袋の通過抵抗が軽減され、スリット4Aに詰まった袋が速やかに押し出される。
【0132】
また、本実施形態においては、スリット4Aの爪5の通過部分とは反対側の先端部近傍位置であって、堰止板4の堰止面の裏面と所定間隔を介して対面する位置に、スリット幅方向に横断する袋の回り込み防止用の堰57を設けるようにしたから、袋のごみが残った部分が堰止板4の先端部の開放された部分を回り込もうとした場合でも、堰57によってその回り込み移動が阻止される。
【0133】
この阻止された状態でも、爪5は、袋を引きちぎるか、袋を外した状態でスリット4Aを通過し、結局、袋は落下する。
本実施形態のように、爪5が通過可能なスリット3Aを有するプレート3を設けたものでは、上記の爪5から離れた袋はプレート3上に落下し、落下した袋は、再度爪5に引っ掛けられて、堰止板4のスリット4Aの方向に運ばれて、「引き裂き作用」を受け、以上により、安定した連続的な破袋運転が可能となる。
【0134】
ところで、破袋装置はごみを取り扱うという性質上、異物が混入する場合もよくあるが、上記のように、堰止板4を、プレート3の先端部が徐々に湾曲してスリット4Aを通過する爪5の先端軌道より外方に先端部が位置するように設けたことにより、この異物が破袋装置の安定した連続運転に支障を来すことがない。
【0135】
すなわち、例えば電線コード、電線ケーブル、ハンガー、傘、あるいは、新聞、雑誌、ダンボール等が束ねられたもの等で、特にこれらが濡れているもの等爪5に押されて変形しスリット4Aに詰まりやすい異物が噛み込んだ場合でも、堰止板4が湾曲しているので、爪5によって堰止板4に押し付けられた異物は、押し付けられることによって堰止板から外方への分力を持つ反力(ベクトル)を受け、堰止板4に沿って外方に移動して自動的に取り除かれる。
【0136】
ここで、図13、14に示すように、爪5の移動範囲内(爪5の先端軌道C1と堰止板4またはプレート3との間)においては、堰止板4の接線C3と、この接線C3の接点S1を通過して爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C2との角度φが常に零度以上になるように、堰止板4を緩やかに湾曲させるのが好ましい。これにより、上述の噛み込んだ異物が自動的に取り除かれるという作用がより効果的に奏される。
【0137】
かかる「堰止板4の接線C3と爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C2との角度φが零度以上」とは、爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C2に対して、堰止板4の最寄りの接線C3が図で時計回りの位置にあるかまたは重なる位置にある関係をいう。言い換えると、爪5先端軌道C1に垂直な仮想線C2に対して、爪5先端軌道C1より堰止板4の接線C3の堰止板4の先端側が、爪5の移動方向前方側位置にあるかまたは重なる位置関係をいう。つまり、爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C2を基準として、最寄りの接線C3となす角度が図で時計回り側にある場合、その角度をプラスの角度とし、最寄りの接線C3となす角度が反時計回り側にある場合、その角度をマイナスの角度という。
【0138】
また、このような特定した堰止板4の湾曲形状により、次のような作用を効果的に奏する。
すなわち、爪5に引っ掛かった袋およびこの付近にある袋の内容物は、爪5の移動に伴って、堰止板4のスリット4Aを通過しようとする。
【0139】
上記の内容物が、爪5を揺動可能若しくは起倒可能に支持する捩じりコイルスプリング20、22等の弾性部材の強度よりも強度が劣る発泡スチロール等の如く爪5と堰止板4とによって圧縮されて破損するおそれがあるものであっても、上記のように、堰止板4が緩やかに湾曲されていると、内容物は爪5に押されて、堰止板4の湾曲面に沿って爪5の先端方向に逃げるように移動し、内容物が爪5と堰止板4とによって圧縮されて破損されるおそれを少なくすることができる。
【0140】
また、図13、14に示すように、堰止板4の先端部と爪5の先端軌道C1との間において、堰止板4は、堰止板4の接線C4と、その接点S2を通過して爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C5と、のなす角度θ1が零度以下から−90度以上の範囲の角度になる該接線C4が存在するように、形成するのが好ましい。
【0141】
かかる爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C5と堰止板4の接線C4との角度θ1が零度以下とは、前述の説明から明らかなように、爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C5に対して、堰止板4の最寄りの接線C4の堰止板4の先端側が、爪5の移動方向後方側位置にあるかまたは重なる位置にある関係をいう。また、堰止板4の先端部と爪5の先端軌道C1との間の全長にわたって、堰止板4の接線C4とその接線C4の接点S2を通過して爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C5となす角度θ1が零度以下から−90度以上の範囲の角度になってる必要はなく、少なくとも一部がそうなっていればよい。
【0142】
これにより、次のような作用を効果的に奏する。
すなわち、爪5に引っ掛けられてスリット4Aを通過する袋のうち、スリット4Aの幅よりも大きい内容物を梱包したまま、袋の内容物を梱包した部分が爪5の堰止板4の先端部の開放されたスリットの部分を回り込んで、堰止板4を通過してしまい、選別した袋のなかに異物が混入する事態が発生するおそれがある。
【0143】
しかし、上記のように、堰止板4の接線C4と仮想線C5との角度θ1が零度以下から−90度以上の範囲の角度になる部分においては、爪5に引っ掛けられてスリット4Aを通過する袋が堰止板4から受ける反力が、堰止板4の先端部と反対方向のプレート3側に作用するため、袋の内容物を梱包した部分が爪5の堰止板4の先端部の開放されたスリットの部分を回り込むのが阻止され、袋とともに内容物が堰止板を通過してしまい、選別した袋のなかに異物が混入する事態の発生が抑制される。
【0144】
また、袋が爪5の堰止板4の先端部の開放された部分から外れて、プレート3の上面に落下することがあるが、上記のように、堰止板4の先端部と爪5の先端軌道C1との間の部分を、爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C5となす角度θ1が零度以下から−90度以上の範囲の角度となる該堰止板の接線が少なくとも一部に存在するように、形成した結果、堰止板の該部分とプレート3上面との距離が縮まって落下の高低差を小さくすることが可能となり、落下による衝撃をできるだけ抑えることができ、例えばびん等の破損を減少させることができる。
【0145】
これら作用効果は、爪5を、捩じりコイルスプリング20、22等の弾性部材を有して、その爪5先部にかかる抵抗に応じて移動方向後方側で揺動可能若しくは起倒可能に構成した作用効果と相まってより効果的に発揮される。
【0146】
したがって、異物により堰止板4のスリット4Aが閉塞されてしまうことがなくなり、これによって、処理能力の向上、人手による異物の除去作業を不要とすることができる。
【0147】
また、スリット4Aに詰まりやすい異物が噛み込むのを抑制できる結果、捩じりコイルスプリング20、22等の弾性部材を有して、その爪5先部にかかる抵抗に応じて移動方向後方側で揺動可能若しくは起倒可能に構成した爪5が移動方向後方側で可動する回数が低減し、可動する角度も小さくなるため、爪5および爪5を支持する弾性部材の寿命向上を図ることができる。
【0148】
また、かかる作用は、上述した堰57によってその回り込み移動を阻止する作用と相あって効果的に奏される。
上述した堰止板4の湾曲形状部分は、具体的には次のような寸法に設定するのがより好ましい。
【0149】
プレート3表面から爪5の先端部まで(プレート3と爪5の先端軌道C1との間)の距離h:100〜200mm
堰止板4の曲率半径r:100〜300mm(但し、h<rが条件)
堰止板4の接線C3と、この接線C3の接点S1を通過して爪5の先端軌道C1に垂直な仮想線C2との角度φ:0度以上、より好ましくは、爪の先端軌道C1位置に接点S1があるときの角度φが0〜+30度
堰止板4先端部の傾斜角θ1(堰止板4の接線C4と、この接線C4の接点Sを通過して爪5の先端軌道に垂直な仮想線C5との角度):0〜−90度、より好ましくは0〜−30度
堰止板4の先端から爪5の先端軌道に垂直な仮想線C5までの距離L:100〜300mm
なお、堰止板4は必ずしも一定の曲率半径の湾曲面でプレート3とつながっている必要はなく、任意の曲率半径のものを組み合わせた湾曲面や平面を組み合わせたもの、あるいは、両者を組み合わせによるものでもよい。
【0150】
従って堰止板4をプレート3に溶接やボルトナット等の他の手段で固定したものでもよい。
以上説明した実施形態のその他の作用は次の通りである。
【0151】
堰止板4とプレート3とが一体形成されているので、この部分で噛み込みが発生することがない。
さらに、爪5が、無端コンベヤ2のその移動方向に沿ってスラット18の上側に取り付けられたことによって、爪5のメンテナンスが容易となる。
【0152】
また、図2〜図5の実施形態で示した爪5の取付座19の側壁は、無端コンベヤ2の移動方向前方に向けてより低くなる傾斜面19Aを有する略台形状に形成されたことによって、例えば、投入された異物として、水筒のように紐を有するものでは、その水筒本体が堰止板4で阻止され、その紐が万が一にもプレート3のスリット3Aに入り込んで爪5の取付座19に引っ掛かった場合でも、紐が取付座19から滑り抜け易く、装置が非常停止するおそれを極力回避できるようになっている。
【0153】
また、図6の実施形態で示した爪5は、無端コンベヤ2の移動部であるスラット18の下側に取り付けられているので、移動部であるスラット18の上側に不要な凹凸を極力回避でき、爪5をスラット18上側に取付座を介して取り付けたもののようにプレートのスリットを通過した袋から出たごみが引っ掛かるおそれがない。
【0154】
次に、以上の構成の破袋装置における各部の寸法等を図6等を参照して説明する。
爪5は、直線状でも差し支えないが、本実施形態においては、爪5の爪先部5Aは、爪5の移動方向に屈曲されており、その屈曲角度θは、30°〜80°、好ましくは45°〜60°の範囲がよい。
【0155】
屈曲角度θが60°により近づくことで、爪5が袋78を引っ掛けるのが容易となるため、破袋効率が高まる。
上記の範囲の角度より小さい場合は、爪5により袋78を引っ掛けることがし損じやすくなり、破袋に必要な時間が長くなる。即ち、処理能力が低下する。
【0156】
また、上記の範囲の角度より大きい角度では、堰止板4と爪5に、固形物が挟まった場合に、爪5が可動した場合であっても、スムーズに固形物を逃がすことが難しくり、結果として、ごみの破損を発生させる。
【0157】
なお、屈曲部の長さaは、10mm〜50mm好ましくは25mm〜35mmの範囲とするのが良い。
屈曲部の長さaが、上記の範囲の長さよりも短い場合には、爪5により袋78を引っ掛けることがし損じやすくなり、破袋に必要な時間が長くなる。即ち、処理能力が低下する。
【0158】
また、爪の厚みbは、爪の強度が許す限り薄い方が好ましいが、例えば、3mm〜10mm程度が現実的である。
さらに、爪5と堰止板4との関係について説明する。
【0159】
爪5のプレート3から上方の爪の垂直高さである爪有効長cは、100mm〜200mmとする。
この爪5の爪有効長cは、袋78の大きさによって最適値が異なる。
【0160】
処理対象の袋78の大きさに幅がある場合には、数種類の長さの爪5を組み合わせることも有効である。
堰止板4のスリット幅dは、爪5と破袋された袋78のみが通過する範囲とし、15mm〜40mm好ましくは20mm〜35mmとする。
【0161】
また、爪5と堰止板4のスリット4Aとの隙間は、爪の両側で各5mm以上確保するのが好ましい。
上記のスリット幅dが狭いと、破袋した袋78が堰止板4のスリット4Aを通過することが困難となり、破袋した袋78の円滑な排出が行われなくなることで、破袋効率の低下をきたす。また、スリット幅dが広すぎると、スリット4Aを袋78と共にごみも通過してしまい、袋78にごみが入ったままの不完全破袋物を発生させてしまう。
【0162】
次に、プレート3と爪5との関係について説明する。
爪5とプレート3のスリット3Aとの隙間は、(爪5の厚さ+0mm〜30mm)好ましくは(爪5の厚さ+10mm〜20mm)とする。この隙間は、プレート3のスリット3Aにおける爪5の円滑な通過が可能な範囲においてできる限り小さい方が好ましい。この隙間が大き過ぎると大きいごみがスリットから落下し易くなる。
【0163】
次に、かかる実施形態におけるプレート3のごみ排出シュート3bと切出シュート60との間隔部(排出部)61について説明する。
上記の間隔部61は、処理対象となるごみの排出が可能な範囲で可能な限り小さい方が、ごみの入った小さい袋が爪5に引っ掛からずに排出されてしまうことが少なくなる。
【0164】
ごみとして、缶、びん、プラスチックボトルを対象にする場合、上記の間隔fは、80mm〜200mm好ましくは120mm〜160mmとするのが良い。
なお、以上の実施形態においては、無端コンベヤ2に複数の爪5のみを設けた例を示したが、これに限らず、複数の爪5の幾つかに代えて袋を切ることのできる刃物を設けてもよいのは当然である。
【0165】
また、以上の実施形態においては、爪5と弾性部材であるコイルスプリング20、22とは別体化されているが、爪と弾性部材としてのコイルスプリングとをを同一の線材で構成し一体としたものでもよい。この場合、コイルスプリング部分がピンに挿通支持された状態で爪座に係止され、そのコイルスプリング部分から張り出す線材部分が爪部分となるようにすればよい。
【0166】
さらに、ごみの排出コンベヤ74は、それ自体を独立させて設置する必要はなく、ごみを次工程に搬送するコンベヤを排出部下方まで延長して、ごみ排出コンベヤ74と兼用させるようにしても良い。
【0167】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜5のいずれかに記載の本発明に係る破袋装置によれば、例えば、電線コード、電線ケーブル、ハンガー、傘、あるいは、新聞、雑誌、ダンボール等が束ねられたもの等で、特にこれらが濡れているもの等爪に押されて変形しスリットに詰まりやすい異物が噛み込んだ場合でも、堰止板が湾曲しているので、爪によって堰止板に押し付けられた異物は、押し付けられることによって堰止板から外方への分力を持つ反力(ベクトル)を受け、堰止板に沿って外方に移動して自動的に取り除かれ、異物により堰止板のスリットが閉塞されてしまうことがなくなり、これによって、処理能力の向上、人手による異物の除去作業を不要とすることができる。
【0168】
特に、請求項2に係る発明によれば、堰止板は爪の移動範囲内においては、堰止板の接線とこの接線の接点を通過して爪の先端軌道に垂直な仮想線との角度が零度以上になるように緩やかに湾曲されるため、上述の噛み込んだ異物が自動的に取り除かれるという作用がより効果的に奏されると共に、強度が劣る発泡スチロール等の如き爪と堰止板とによって圧縮されて破損するおそれがあるものであっても、爪と堰止板とによって圧縮され破損されるおそれを少なくすることができる。
【0169】
請求項3に係る発明によれば、堰止板のスリットは先端部が開放されているため、破袋装置の運転を続けると、上記のスリットの爪通過側(基端部)とは反対側の端部側に詰まった袋は、新たにスリットのこの端部側に詰まる袋に押され、該端部の開放された部分に達すると、ここから外れる。以上により、安定した連続的な破袋運転が可能となる。
【0170】
特に、請求項4に係る発明においては、堰止板の先端部と爪の先端軌道との間において、該堰止板は、該堰止板の接線の接点を通過して爪の先端軌道と垂直な仮想線との角度が零度以下から−90度以上の範囲の角度となる該接線が存在するように、形成されているので、爪に引っ掛けられてスリットを通過する袋が堰止板から受ける反力が、堰止板の先端部と反対方向のプレート側に作用するため、袋の内容物を梱包した部分が堰止板の先端部を回り込むのが阻止され、袋とともに内容物が堰止板を通過してしまう事態の発生が抑制されると共に、堰止板の接線と仮想線との角度が零度以下から−90度以上の範囲の角度をなす部分とプレート上面との距離が縮まって落下の高低差を小さくすることが可能となり、落下による衝撃をできるだけ抑えることができ、例えばびん等の破損を減少させることができる。
【0171】
特に、請求項5に記載の破袋装置においては、爪を、弾性部材を有して、その爪先部にかかる抵抗に応じて移動方向後方側で揺動可能若しくは起倒可能に構成した結果、移動する爪と堰止板のスリットとの間に硬質物を噛み込んだ場合、爪に所定以上の力が作用すると、爪が移動方向後方に可動することで、堰止板のスリットと爪の間に噛み込んだ硬質物が除去され、この硬質物は重力の作用により下方に落下する。また、大きい粗大物(硬質物)等が投入された場合でも、上記の噛み込み防止作用によって粗大物の噛み込みが防止される。
【0172】
かかる作用効果は、プレートの先端部が徐々に湾曲して該スリットを通過する爪の先端軌道より外方に先端部が位置するように設けたことによってスリットに噛み込んだ詰まりやすい異物が自動的に取り除かれる作用効果と相まってより効果的に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る破袋装置の一実施形態を示す正面断面図
【図2】 同上の実施形態におけるチェーンコンベヤの正面断面図
【図3】 その側面図
【図4】 同上のチェーンコンベヤにおける一つのチェーン構成部材と爪とスラットとの関係を示す側面図
【図5】 一つのチェーン構成部材と爪とスラットとの関係を示す側面図で、スラットの他の例を示す図
【図6】 同上の実施形態における爪の支持構造を示す図で、(A)は側面図、(B)はその正面図
【図7】 同上の実施形態におけるプレートと堰止板の構成を示す斜視図
【図8】 同上の実施形態の破袋装置の平面図で、本体ケーシング内を透視した図
【図9】 同上の実施形態における袋落下防止ガイドの構成を示す斜視図
【図10】 同上の実施形態におけるプレート上面の袋の投入落下位置の構成を示す正面断面図
【図11】 (A)〜(D)は同上の実施形態における破袋作用を説明する図
【図12】 (A)〜(D)は同上の実施形態における堰止板のスリットと爪の間に噛み込んだ硬質物を除去する作用を説明する図
【図13】 本発明の堰止板の湾曲形状の条件を説明する拡大図
【図14】 同上の要部拡大図
【図15】 従来の堰止板形状を説明する拡大図
【符号の説明】
1 本体ケーシング
2 無端コンベヤ
3 プレート
3A スリット
4 堰止板
4A スリット
5 爪
78 袋
C1 爪の先端軌道
C2 爪先端の軌道と垂直な仮想線
C3 堰止板の接線
C4 堰止板の接線
S 接点
C5 接点を通過して爪の先端軌道と垂直な仮想線C5

Claims (5)

  1. 移動方向に沿って移動部に配列された複数の爪を有する無端コンベヤを、その上側の移動部の移動方向先が高位に位置するように設けると共に、前記爪が通過可能なスリットを有するプレートを前記無端コンベヤの上側の移動部に沿って該無端コンベヤの上方に設ける一方、前記プレートに固定または一体に連続形成され、かつ該プレートのスリットに連なって前記爪が通過可能な、先端部が開放されたスリットを有すると共に、ごみの入った袋の移動方向に関し前記無端コンベヤから離れる方向へ前記プレートから徐々に湾曲して該スリットを通過する爪の先端軌道より外方に先端部が位置する堰止板を設けたことを特徴とする破袋装置。
  2. 前記堰止板は、爪の移動範囲内において、堰止板の接線とこの接線の接点を通過して爪の先端軌道に垂直な仮想線との角度が零度以上になるように、湾曲されることを特徴とする請求項1記載の破袋装置。
  3. 前記堰止板のスリットは先端部に向かって徐々にスリット幅が広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の破袋装置
  4. 前記堰止板は、該堰止板の先端部と爪の先端軌道との間において、該堰止板の接線の接点を通過して爪の先端軌道に垂直な仮想線となす角度が零度以下からマイナス90度以上の範囲の角度となる該接線が存在するように、形成されたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の破袋装置。
  5. 前記各爪を、弾性部材を有して、その爪先部にかかる抵抗に応じて移動方向後方側で揺動可能若しくは起倒可能にそれぞれ構成したことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の破袋装置。
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