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JP3755988B2 - 乳化安定化剤 - Google Patents

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  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水中油型乳化物に配合して乳化安定化機能を発揮するエステル化生成物に関する。更に詳しくは、乳化組成物に配合することによって、その乳化安定性を著しく向上させる機能を持ち、かつ安全性も極めて高いものであり、食品、化粧品、医薬品、農薬、飼料等の幅広い分野の水中油型乳化組成物に利用できるエステル化生成物からなる乳化安定化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水と油脂、炭化水素あるいは溶剤などを均一に乳化・安定化する目的で各種の乳化剤や乳化安定化剤と呼ばれる原材料が用いられてきた。一般に乳化剤には乳化能として水や油のように大きく異なる物質間の界面張力を低下させて乳化粒子を微細化しやすくさせ、かつ安定に保つ機能が必要となる。この機能は水と油あるいは溶剤の種類や配合比率などの条件によっても要求される機能が異なり、結果として使用する乳化剤も異なり、一般には乳化剤混合物となる場合が多い。さらに特に人体に係わるような分野、例えば食品、化粧品、医薬品等の製品では安全性も高いことが要求される。
【0003】
例えば、水中油型の乳化物において乳化能力が極めて高く広範囲で使用されているものとして、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルがあるが、安全性の点での問題が指摘されている。一方、安全性が極めて高いポリグリセリン脂肪酸エステルはその乳化力において完全に満足できるものではない。
【0004】
乳化安定化能が不足する処方系においては、補助的手段として乳化安定化剤が用いられる。この代表的なものにセタノールやコレステロールがある。セタノールは選択的に乳化粒子の界面に配向して液晶を形成し、界面を固くすることにより乳化系全体の流動性を失わせしめて乳化状態を安定化する。しかし、セタノールだけでは安定化機能は不十分であるうえ、温度変化により分離しやすい。また乳化系が硬くなる結果、乳化組成物の木目も荒くなりやすい。一方、コレステロールは界面張力を低下させて乳化粒子を細かくすることに寄与するが、安定させる乳化系が限定され、さらに乳化物の粘度は増大しないためにクリーミング現象を生じやすい。また、これらとは別に乳化系の粘度を上昇させることにより乳化安定性を増強させるキサンタンガム、カルボキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の高分子素材がある。これらはいずれも外相(水)を増粘させて安定化させるものであるが、乳化組成物が糊状になったり、ぬめり感等の使用感から敬遠されることが多い。
【0005】
このように、これまではある目的のために乳化系が設計される場合、処方調整によりこれらの欠点を補いながら全体をまとめ上げて、要求する物性、感触へ仕上げていく過程を経ていた。しかしながら従来の乳化関連資材を用いる範囲では、柔らかく木目が細かい上に、乳化安定性が優れている、さらに安全性も高いというような処方を作り出すことは非常に困難を伴う作業であった。
【0006】
本発明者らは、かかる実状に鑑み、水中油型を主体とする乳化系において乳化安定性を向上させるために、従来とは異なる位置づけで使用できる原料の開発に取り組んだ。すなわち、幅広い乳化系において少量添加することで乳化安定化の機能を発揮し、かつ乳化系の物性をあまり変化させないような機能を有する材料の開発を目指して、種々の物質のスクリーニングを行った。その結果、特定のオリゴエステル乳化助剤と乳化安定化剤の両方の機能を満たし、乳化物の粘度の増加を伴わないにも係わらず乳化状態を非常に安定化させることを見いだした。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、乳化処方系に添加することによって、あるいは他の乳化剤を用いずに水中油型乳化系を極めて安定なものとする機能を有する乳化安定化剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、ジペンタエリスリトール、グリセリン縮合物、二塩基酸および脂肪酸をエステル化して得られるオリゴエステル生成物に高い乳化安定効果があることを発見した。さらに詳細に検討を行った結果、他の脂肪酸の部分については何を使用しても大きな効果が見られるが、母核となるジペンタエリスリトール、二塩基酸、グリセリン縮合物を特定範囲の比率でエステル化させることにより、従来にない非常に優れた乳化安定化機能が発現することを見いだし、また、この比率を外れる領域でも他の乳化剤と併用することで相乗効果を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ジペンタエリスリトール、グリセリン縮合物、炭素数6〜20の脂肪族飽和二塩基酸および炭素数8〜22の直鎖飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸からなる群から選ばれる1種または2種以上の脂肪酸をエステル化反応させたエステル化生成物からなる乳化安定化機能を有する油剤である。
なお、本発明による油剤は乳化安定化機能を発揮するが、通常の乳化剤に比較するとはるかに大きな分子量を有するため、安全性も極めて高い。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエステル化生成物を製造するための必須原料成分としては、まずジペンタエリスリトールとグリセリン縮合物がある。本発明において、グリセリン縮合物の適正な縮合度は平均縮合度として5以上のものを指すが、とりわけ平均縮合度が6以上のものが好ましく、さらに好ましくは10程度のグリセリン縮合物であり、具体的にはペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等を例示でき、これらは単独もしくは混合物として使用できる。
【0010】
次に二塩基酸としては、炭素数が6〜20の脂肪族飽和二塩基酸であることを必要とする。不飽和を含むものは乳化安定化機能が低下し、また炭素数が6未満の二塩基酸ではエステル化物の安定性及び安全性が低下する。また炭素数が21を越える二塩基酸は工業的原料として入手しにくい。したがって本発明では、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の二塩基酸を単独もしくは混合して使用すれば良い。これらのうち、望ましいものはエイコサン二酸である。
【0011】
さらに、脂肪酸としては炭素数が8〜22の直鎖飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸であることを必須とする。具体的な脂肪酸としてn−オクタン酸、n−オクチル酸、n−デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの直鎖飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖不飽和脂肪酸、イソオクチル酸(2−エチルヘキサン酸)、イソパルミチン酸(2−ヘキシルデカン酸)、イソステアリン酸(エメリー社製、商品名「Emersol 875 Isostearic Acid 」、ユニケマ社製、商品名「PRISORINE ISAC 3505 」等)等の分枝脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等のヒドロキシス脂肪酸を例としてあげることができ、本発明ではこれらを単独あるいは混合物で使用しても差し支えない。これらのうち望ましい脂肪酸は、炭素数が16ないし18のもので、具体的にはステアリン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸および12−ヒドロキシステアリン酸からなる群から選ばれる1種または2種以上である。なお本発明においては、不飽和度の高い脂肪酸を多く使用すると、本発明のエステル化生成物の保存安定性が低下する場合があるために注意が必要である。かかる脂肪酸の炭素数が7未満あるいは20以上であると、その場合のエステル化生成物は本発明で言う乳化安定化機能を発揮しにくくなる。最大の安定化機能を実現するのは、脂肪酸として炭素数が16〜18のものを用いたときである。
【0012】
前記原料は適宜組み合わせて用いることができ、本発明のエステル化生成物を得るには次に述べる方法のいずれかを採用すれば良い。すなわちジペンタエリスリトール、グリセリン縮合物、二塩基酸及び脂肪酸を同時にオリゴエステル化反応するか、ジペンタエリスリトールと二塩基酸とグリセリン縮合物をまずエステル化せしめ、さらに脂肪酸を加えてオリゴエステルとするか、グリセリン縮合物と脂肪酸とをエステル化せしめ、これをさらに二塩基酸とジペンタエリスリトールを加えてオリゴエステル化反応あるいはエステル交換反応をする。これらの方法のうち、好ましくはジペンタエリスリトールと二塩基酸とグリセリン縮合物をまずエステル化せしめ、さらに脂肪酸を加えてオリゴエステルとする方法が、同じ比率で合成を試みた場合に、最も好ましい結果が得られる。
【0013】
ジペンタエリスリトールとグリセリン縮合物、二塩基酸の配合比率は特に限定されるものではないが、ジペンタエリスリトールとグリセリン縮合物を合わせたモル数が二塩基酸のモル数を越えるものが特に好ましい。二塩基酸のモル数が同数あるいはこれ以上の値となる場合には、油への溶解性が落ちるために、配合する脂肪酸の種類と量で調整する必要がある。またジペンタエリスリトールのモル比率がグリセリン縮合物の1モルに対して0.7〜0.1モルであることが好ましい。ジペンタエリスリトールのモル比率が0.7モル以上となる場合には、融点の上昇が認められ、相溶性が低下する。また0.1モル以下となる場合は、乳化物からの離水が増大し安定性が低下する。このような場合には、二塩基酸の種類や量で調整することも可能である。従って、ジペンタエルスリトールとグリセリン重合物のモル数の総和が、二塩基酸のモル数より大きく、且つ、ジペンタエリスリトールとグリセリンのモル比率が0.1〜0.7:1である組成が最も乳化安定化剤として優れている。
また、この母核に対する脂肪酸の添加量は反応可能な水酸基の数以下であれば構わないが、乳化剤としての機能を持たせるためにはジペンタエリスリトールとグリセリン縮合物の有するすべての水酸基の中で、最低1個は未反応の水酸基として残しておかなければならない。なお、脂肪酸としてヒドロキシ脂肪酸を使用する場合にはこの限りではない。
【0014】
エステル化反応は、酸、アルカリ又は金属触媒の存在下もしくは非存在下、好ましくは該反応に不活性な有機溶剤又は/及び気体中で、100〜240℃にて数時間〜20時間程度まで、副生する水を除去しながら行う。またエステル交換反応は、金属アルコラート又はリパーゼ等の触媒を用い、20〜140℃にて数十分〜数時間行う。前記反応経過は、系中の酸価あるいは遊離状態の酸成分の組成を測定することにより評価でき、これにより反応の終了時点を決定すれば良い。
【0015】
なお、エステル化反応を完全に終結させずに遊離のカルボキシル基をオリゴエステル構造中に残すことも可能だが、本発明ではほぼ完全にエステル基とすることが望ましい。エステル化反応物またはエステル交換反応物は、未反応のジペンタエリスリトール、グリセリン重合物、脂肪酸及び/または二塩基酸を含むことがあり、このほかに副生する脂肪酸、比較的低分子量の部分エステル化物等が混在することがあるため、水洗、アルカリ脱酸、シリカゲル等の吸着剤処理等の公知の方法で分離除去し、さらに脱色、脱臭処理を施して精製する。
【0016】
かくして得られる本発明のエステル化生成物は、ジペンタエリスリトール、グリセリン縮合物、脂肪酸および二塩基酸が直鎖状または/及び分枝状にオリゴエステル化された混合物であり、常温において高粘性液体からワックス状となる。なお、エステル化生成物の残存水酸基の数は、原料であるジペンタエリスリトールとグリセリン縮合物の有する水酸基のうちの最低1個を必須とする。ただし、ヒドロキシ脂肪酸の場合にはこの限りではない。ヒドロキシ脂肪酸以外において、残存水酸基が1個も存在しない場合、本発明で対象とする水中油型乳化組成物において乳化性がほとんど発現されず、あるいは溶解性や分散性が著しく劣り、乳化物は容易に分離する。本発明のエステル化生成物の水酸基価は、原料の配合割合すなわちジペンタエリスリトール及びグリセリン縮合物の反応モル当量と脂肪酸及び二塩基酸の各反応モル当量とから容易に算出でき調節できる。また反応温度、反応時間、反応の進行に伴う生成水の量によっても調整可能である。
【0017】
本発明のエステル化生成物は、これを単独あるいは任意に混合して、親油性物質及び水、必要に応じて親水性物質(多価アルコール、糖類等)を主体とする混合物に添加して極めて安定な水中油型乳化組成物を形成することができる。ここに、親油性物質として特に限定するものではないが、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、大豆油、ゴマ油、米胚芽油、サフラワー油、パーム油、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、月見草油、ヒマシ油、ミンク油、牛脂等の動物性油脂やその硬化油や分別油、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ライスワックスなどのワックス類、イソプロピルミリステート、トリオクタン酸グリセリド、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールエステル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソオクチルなどの合成エステルやシリコーンオイルなどを例示することができる。
【0018】
前記親油性物質に対して本発明のエステル化生成物を0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%添加し、約80℃程度に加温して攪拌、溶解した油相を、常温あるいは加温した状態で攪拌下の水相に添加し乳化させる。あるいは、本発明のエステル化生成物を水相に添加する。さらには本発明のエステル化生成物を油相及び水相の両方にともに添加する方法も可能である。乳化方法としては上記のような乳化法のほか、ショ糖、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール等のアルコール類に本発明のエステル化生成物を添加したのち、油相を加えるD相乳化法や転相乳化法を用いることもできる。このようにして得られた水中油型乳化組成物は常温において油分や水分の分離を起こしにくく極めて安定な処方物であり、系全体が均一状態を保持する。
【0019】
なお、本発明の乳化安定化機能を有する油剤を含む乳化組成物は、油分と水分と前記エステル化生成物の単独または混合物とのみを配合してなるものが基本であるが、本発明の目的を逸脱しない範囲で、これにさらに適量の従来既知の乳化剤を配合することができる。乳化剤として特に限定するものではないが、例えばポリオキシエチレン及び/またはポリオキシプロピレン付加アルキルエーテル、ポリオキシエチレン及び/またはポリオキシプロピレン付加アルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン及び/またはポリオキシプロピレン付加アルキルエステル、ポリオキシエチレン及び/またはポリオキシプロピレン付加ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤、脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、脂肪族アルコールリン酸エステル塩、脂肪酸アミドスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、脂肪族アミン塩、第四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤や両性界面活性剤等を例示することができる。その他、必要に応じて脂肪酸、アルコール類、無機塩類、ワックス類、高分子化合物、顔料、色素、香料等の成分を配合することも可能である。
【0020】
【実施例】
以下の合成例及び実施例において、%は重量基準である。
合成例1
攪拌機、温度計、ガス吹き込み管および水分離器を付けた四つ口フラスコに、ジペンタエリスリトール17.7g(0.07モル)、デカグリセリン116g(0.15モル、但し固形分換算)、及びエイコサン二酸47.6g(0.14モル)を仕込み、触媒としてp−トルエンスルホン酸を対仕込み量0.1%、還流溶媒としてキシレンを対仕込量5%を加え、窒素ガス気流中、180〜200℃で、酸価の低下が見られなくなるまで6時間、エステル化反応を行わせた。さらに室温まで冷却後、ステアリン酸118.6g(0.42モル)を加え、再度該反応を行い、反応終了後に白土および活性炭を各1%加え、減圧下にて脱色処理してろ過、さらに水蒸気吹き込みによる脱臭処理を施して、本発明のエステル化生成物(試料No.1とする)280gを得た。
【0021】
比較合成例1
原料としてジペンタエリスリトール25.7g(0.10モル)、ジグリセリン33.5g(0.20モル)、エイコサン二酸68.4g(0.19モル)、ステアリン酸170.4g(0.60モル)を用いる他は同様に操作、処理し、エステル化生成物(試料No.11)286gを得た。
【0022】
合成例2〜9、比較合成例2〜5
前記同様の方法により各種ポリグリセリン、脂肪酸及び二塩基酸を組み合わせて合成例(試料No.2〜9)、比較合成例(試料No.11〜15)のエステル化生成物を得た。
【0023】
合成例10
攪拌機、温度計、ガス吹き込み管および水分離器を付けた四つ口フラスコに、ジペンタエリスリトール17.7g(0.07モル)、デカグリセリン116g(0.15モル、但し固形分換算)、エイコサン二酸47.6g(0.14モル)およびステアリン酸118.6g(0.42モル)を仕込み、触媒としてp−トルエンスルホン酸を対仕込み量0.1%、還流溶媒としてキシレンを対仕込量5%を加え、窒素ガス気流中、180〜200℃で、酸価の低下が見られなくなるまで7時間、エステル化反応を行わせた。室温まで冷却後、白土および活性炭を各1%加え、減圧下にて脱色処理してろ過、さらに水蒸気吹き込みによる脱臭処理を施して、本発明のエステル化生成物(試料No.10)295gを得た。
【0024】
エステル化反応の原料配合およびエステル化生成物の性状、分析値をまとめて表1、表2に示す。なお、表中の原料は次のものを用いた。また、原料配合における数値はモル数を示す。
ジペンタエリスリトール:広栄化学工業(株)製、商品名「ジペンタエリトリット」
デカグリセリン:阪本薬品工業(株)製、商品名「ポリグリセリン#750」
ヘキサグリセリン:阪本薬品工業(株)製、商品名「ポリグリセリン#500」
ジグリセリン:阪本薬品工業(株)製、商品名「ジグリセリン」
エイコサン二酸:岡村製油(株)製、商品名「SL−20」
アジピン酸:旭化成工業(株)製、商品名「アジピン酸」
ステアリン酸:花王(株)製、商品名「ルナックS−98」
イソステアリン酸:日産化学工業(株)製、商品名「イソステアリン酸N」
オレイン酸:日本精化(株)製、商品名「パモリン#100」
n−オクタン酸:新日本理化(株)製、商品名「カプリル酸」
12−ヒドロキシステアリン酸:川研ファインケミカル(株)製、商品名「ヒドロキシステアリン」
【0025】
【表1】
Figure 0003755988
【0026】
【表2】
Figure 0003755988
【0027】
実施例1〜10、比較例1〜9(通常の水中油型乳化機能の評価)
合成例1〜10および比較合成例1〜5で得られたエステル化生成物について水中油型乳化組成物における能力を以下の方法により評価した。すなわち、合成例1〜10で得たエステル化生成物(試料No.1〜10)のいずれか1gを80℃の水59gに添加、攪拌して均一に溶解または分散させ、さらにホモミキサー(特殊機化工業(株)製、TKホモミキサー)を用いて3000rpmの攪拌下で、80℃に加温したトリオクタン酸グリセリル(日清製油(株)製、商品名「TIO」)40gを徐々に添加した。添加終了後さらに5分間攪拌を行った後、攪拌を続けながら30℃まで冷却し、水中油型乳化物を調整した。得られた乳化物を目盛りつきシリンダーに入れ、調整直後、および20℃にて24時間保存時の状態を観察した(実施例1〜10)。この結果を表−3に示す。また、比較合成例1〜5で得たエステル化生成物(試料No.11〜15)および既存の乳化剤各種についても同様にして乳化物を調整し乳化能評価を行った(比較例1〜5および比較例6〜8)。この結果を表4及び表5に示す。さらに、前記既存乳化剤と本発明のエステル化生成物(試料No.1)とを併用した場合についても同様にして乳化物を調整し、乳化能評価を行った(実施例11〜13)。この結果を表6に示す。
【0028】
なお、表3〜5において評価指標は次の基準および計算方法によるものである。
(乳化状態)
◎:全体に均一な乳化物
○:表面に若干油滴が認められる乳化物
△:表面にかなり油滴が認められる乳化物
×:ほとんど乳化せず
(離水率)
離水率(%)=(離水相の重量 ÷ 乳化物中の水分重量) × 100
【0029】
【表3】
Figure 0003755988
【0030】
【表4】
Figure 0003755988
【0031】
【表5】
Figure 0003755988
[使用原料]
ポリオキシエチレンソルビタンステアラート(POE):花王(株)製、商品名「レオドールTW−S120」
ソルビタンモノオレアート:日清製油(株)製、商品名「コスモール82」
脂肪酸:花王(株)製、商品名「ルナックS−98」
グリセリン脂肪酸エステル(MG):理研ビタミン(株)製、商品名「ポエムS100」
セタノール:花王(株)製、商品名「カルコール68」
【0032】
【表6】
Figure 0003755988
【0033】
表3〜表6に示したデータから、本発明のエステル化生成物(試料No.1〜10)は、従来の乳化剤を使用して得た乳化状態をさらに安定化させ、該乳化状態を長期に維持できることが明らかとなった。これは、比較合成例で調整したエステル化生成物(試料No.11〜15)や従来既知の乳化剤を使用して作成した水中油型乳化物に比べて顕著な効果があり、また従来既知の乳化剤を使用して作成した水中油型乳化物の乳化状態を安定化させる乳化安定化剤として本発明の生成物が有用であることを意味する。
【0034】
実施例14〜19(ゲル乳化法による水中油型乳化機能の評価)
合成例1、3、5および7で得たエステル化生成物(試料No.1、3、5および7)のいずれか1gをグリセリン10g、水2gと80℃で混合し、さらにディスパーミキサー(特殊機化工業(株)製)2000rpmの攪拌下で、80℃に加温したトリオクタン酸グリセリル(日清製油(株)製、商品名「TIO」)30gを徐々に添加した。添加終了後5分間攪拌を行いゲル状とした後、さらに80℃に加温したイオン交換水57gを徐々に攪拌下で添加した。その後攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化物を得た。得られた乳化物を目盛りつきシリンダーに入れ、調整直後、および20℃にて10日後の状態を観察した。この結果を表7に示す。
【0035】
【表7】
Figure 0003755988
表7のデータから、本発明のエステル化生成物は、ゲル乳化法による乳化が可能であり、非常に均一で安定な水中油型乳化物を形成することが確認された。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、ジペンタエリスリトール、グリセリン縮合物、炭素数6〜20の脂肪族飽和二塩基酸および炭素数8〜22の脂肪酸とのエステル化生成物からなる水中油型乳化組成物の乳化安定剤を提供できる。この乳化安定剤を水中油型乳化系の処方中に少量添加することで、均一かつ非常に安定性の高い水中油型乳化組成物を得ることができる。また本発明のエステル化生成物は、既知の乳化剤に添加して非常に安定な乳化状態を形成するだけではなく、単独で用いても良好な乳化状態を作ることが可能であり、安全性も極めて高い。かかる乳化安定化機能を有する本発明のエステル化生成物は、化粧品、医薬品等の身体に関わる分野の他、一般工業用としても広範囲の産業の乳化製品に応用することができ、極めて有用である。

Claims (9)

  1. ジペンタエリスリトール、グリセリン縮合物、炭素数6〜20の脂肪族飽和二塩基酸および炭素数8〜22の脂肪酸をエステル化反応させたエステル生成物からなる乳化安定化剤。
  2. 炭素数8〜22の脂肪酸が直鎖飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の乳化安定化剤。
  3. グリセリン縮合物が平均重合度5〜10である請求項1または2に記載の乳化安定化剤。
  4. ジペンタエリスリトールとグリセリン重合物のモル数の総和が脂肪族飽和二塩基酸のモル数より大きい請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化安定化剤。
  5. ジペンタエリスリトールのモル数が、グリセリン縮合物の1モルに対して0.1〜0.7モルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳化安定化剤。
  6. 直鎖飽和脂肪酸がステアリン酸および/またはパルミチン酸である請求項2に記載の乳化安定化剤。
  7. 直鎖不飽和脂肪酸がオレイン酸である請求項2に記載の乳化安定化剤。
  8. 分枝脂肪酸がイソステアリン酸である請求項2に記載の乳化安定化剤。
  9. ヒドロキシ脂肪酸が12−ヒドロキシステアリン酸である請求項2に記載の乳化安定化剤。
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