JP3743609B2 - 継ぎ目無し管の圧延装置および圧延制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマンドレルミルライン又はプラグミルラインにおいて、管周方向の偏肉を減少し得る継ぎ目無し管の圧延装置および圧延制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、マンネスマン−マンドレルミル方式による継ぎ目無し鋼管の製造方法を示す説明図である。図5に示すように、継ぎ目無し鋼管の製造に際しては、まずビレット51を、加熱炉52で1200〜1300℃まで加熱する。次に、加熱されたビレット51をピアサー53で穿孔圧延して中空素管54とする。この中空素管54にマンドレルバー55を挿入し、マンドレルミル56で延伸圧延して管肉厚を調整する。その後マンドレルバー55を抽出し、サイザー又はストレッチレデューサー等の外径調整圧延機57(以降、外径調整圧延機を便宜上絞り圧延機という)で管を所定の径に成形し、製品寸法に仕上げる。マンドレルミル56では、複数個のスタンド#1,…,#Nにおいて、中空素管54を外側から孔型ロール58で、内側からマンドレルバー55でそれぞれ拘束し、圧延方向に垂直な面内で90°ずつ交差した部分の肉厚を交互に圧延する。
【0003】
前記マンドレルミル56では、孔型ロール58の孔型径と、使用するマンドレルバー55の外径とにより幾何学的に決定される間隔によって肉厚が決まる。したがって、継ぎ目無し鋼管の仕上げ肉厚が異なる場合には、該肉厚に応じて孔型ロール58とマンドレルバー55との間隔を変更する必要があるが、この間隔を変更する方法として、径の異なる別のマンドレルバー55への交換、孔型ロール58の交換、孔型ロール58の位置調整によるロールギャップ(マンドレルバー55と孔型ロール58との隙間)の変更がある。
【0004】
しかし、孔型ロール58の交換は、マンドレルバー55を交換するよりも手数がかかり、現実的ではない。
【0005】
また、マンドレルミル56のロールギャップを変更した場合には、円周方向に偏肉が発生する。なぜならば、孔型ロール58の孔型径と、使用するマンドレルバー55の外径とにより幾何学的に決定される間隔によって肉厚が決まるため、所定のロールギャップ以外では一対の孔型ロール58で形成される孔型径(形状)が変化し、これに伴って前記間隔も円周方向で変化するからである。
【0006】
上記現象を、真円孔型の孔型ロールの仕上げスタンドロールを例にとって模式的に示したのが図6である。以下、図6のロール孔型の最も深い部分をロールの溝底部63、2つのロールに挟まれ肉厚圧下をしていないロール孔型の開口部をフランジ部64という。図6(a)は、一対の孔型ロール61とマンドレルバー62とから形成される間隔が円周方向で均一、つまり円周方向で肉厚が均一となる場合を示す。また、図6(b)は、ロールギャップを締めた場合に円周方向で肉厚が不均一となる場合を示す。図6(b)の場合には、孔型ロール61の溝底部63に相当する部分で孔型ロール61とマンドレルバー62との間隔が一番小さくなり、孔型ロール61のフランジ部64側に進むにつれて、孔型ロール61とマンドレルバー62との間隔は広くなる。したがって、圧延された管は、孔型ロール61の溝底部63で最小になり、フランジ部64に向かって厚肉となる。
【0007】
また、マンドレルミル56の仕上げスタンドは、通常2スタンドからなり、同じ曲率の孔型ロール61を使い、ロールギャップも同じに設定する方法が一般的である。マンドレルミル56の隣接するスタンドは、圧下方向が交互に90°交差しているため、仕上げ2スタンド後の管の肉厚は、仕上げ2スタンドの孔型ロール溝底部63に相当する部分が最小肉厚で、そこから45°ずれた位置が最大肉厚となる肉厚分布となる。
【0008】
以上のような理由から、仕上げ肉厚の変更に対しては、マンドレルバー62を交換することが行われている。しかし、マンドレルミル56で周方向の偏肉を防止するには、仕上げ肉厚のピッチに応じた外径を有する多数の寸法のマンドレルバー62を保有しておく必要があり、数多くのマンドレルバー62が必要となるため、製造コストが高くなるという問題がある。
【0009】
この問題を解決するため、限られた寸法のマンドレルバー62を使用しロールギャップの変更により仕上げ肉厚を変更するべく、ロールギャップ変更に起因する周方向の偏肉を防止する方法が種々提案されている。マンドレルミルにおける周方向の偏肉対策としては、素管を、圧下方向を交互に90°交差させて連続配置された2スタンド以上の2ロールミルで圧延し、次いで、前記2ロールミルの圧下方向に対して45°傾斜させた4方向からロールミルで圧延して管形状を整形し、且つ各口一ルミルのロール圧下量を変えることにより、鋼管の仕上がり肉厚を変更する方法(特開平6−87008号公報)が提案されている。さらに、前記2ロールミルおよび4ロールミルのギャップ精度を±0.1mm以下にするため、前記4ロールミルの下流に熱間肉厚測定装置を配置し、該熱間肉厚測定装置で測定された最終3スタンドの圧下方向の肉厚測定結果に基づき、最終3スタンドのロールギャップを調整する方法(特開平8−71616号公報)が提案されている。
【0010】
一方、3ロールサイザー又は3ロールストレッチレデューサー等の絞り圧延機は、図7(a)及び(b)に示すように、圧延方向に垂直な面内で、それぞれのロールの圧下方向のなす角が120°となるように配設されたスタンドを使用している。また、駆動軸が水平となるように、隣接するスタンド間では、孔型ロール75の圧下方向を60°ずらして交互に配置され、4〜28スタンド(外径加工度によってスタンド数が決定される)で母管76の連続絞り圧延を行って外径の縮小と若干の肉厚減肉加工を行い、所定の製品寸法に仕上げている。
【0011】
ここで、前記絞り圧延機の単スタンド圧延では、ロール溝底部ではエッジ部(フランジ部)に比較して圧延方向延びが大きく、管の周方向肉厚は不均一な変形を受ける。連続スタンドでの圧延では、ロール溝底部とエッジ部は、スタンド毎に交互に塑性変形が繰り返されるため、ほぼ同一肉厚となるが、図8に示すように、ロール溝底部とエッジ部の中間点は、ロール溝底部とエッジ部の肉厚より減肉する負の位相(図8(a))または増肉する位相(図8(b))状況となり、位相の異なった六角形状の角張りを生ずる。この角張現象は、絞り圧延における管長手方向の延伸率が大きくなるほど、且つ厚肉小径になるほど角張り率が増加する傾向にある。さらに、前記絞り圧延機で発生する6方向の厚肉部と、前記マンドレルミルでマンドレルミルの圧下方向から45°ずれた位置に発生する4方向の厚肉部が重複し、その相乗作用によって円周方向の肉厚不均一(偏肉)が助長されるという問題が知られている。
【0012】
絞り圧延機で助長される前記偏肉の対策としては、厚肉部が重複しないよう前記マンドレルミルと、前記絞り圧延機とをタンデム配置し、マンドレルミルの圧下方向のいずれかと、前記絞り圧延機の圧下方向のいずれかが±5°の範囲内に位置するよう配列する方法(特開平8−19806号公報)が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らが、上記特開平8−71616号に示された方法及び特開平8−19806号に示された方法を同時に用いて試圧延したが、前記マンドレルミル出側におけるマンドレルミルの圧下方向の偏肉は、±0.1mm以下に抑えることができたものの、前記絞り圧延機出側におけるマンドレルミルの圧下方向および絞り圧延機の圧下方向の偏肉は、±0.1mm以下に抑えることができなかった。
【0014】
前記試圧延では、3ロールの絞り圧延機の各ロールの圧下方向毎に異なる偏肉が発生しており、特開平8−19806号に示された方法には、3ロールの絞り圧延機の各ロールの圧下方向で均等に発生する六角張りは抑制できるものの、前記各ロールの圧下方向毎に異なる偏肉を抑制できないという欠点がある。
【0015】
また、前記試圧延では、絞り圧延機において偏肉が発生しており、特開平8−71616号に示された方法には、絞り圧延機の母管の偏肉、すなわちマンドレルミルで発生する偏肉は抑制できるものの、前記絞り圧延機において発生する偏肉を抑制できないという欠点がある。
【0016】
本発明は、斯かるマンドレルミル及び絞り圧延機における問題点を解決するべくなされたもので、内面工具を用いずに管の外径を調整する絞り圧延機等の出側において偏肉の小さい管を製造し得る、継ぎ目無し管の圧延装置および圧延制御方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意試験研究を行った。その結果、▲1▼前記±0.1mmより大きい偏肉は、マンドレルミル及び絞り圧延機双方の圧延過程で発生していること、▲2▼前記マンドレルミルで偏肉が発生する原因は、特開平8−71616号に示されているロールギャップの設定の誤差に加えて、対向する2ロールの位置が回転軸方向にずれているためでもあること、▲3▼前記絞り圧延機で偏肉が発生する原因は、絞り圧延機の各スタンドロール設置位置にずれがあり、このずれのため、管の外径圧下量が各ロール圧下方向毎に不均一となり、外径圧下量が増大する方向において管周方向に圧縮力がかかり管の増肉量が大きくなるためであることを見出した。
【0018】
上記知見より、偏肉を発生させるミルに応じて、偏肉が発生するマンドレルミルの下流側、又は偏肉が発生する絞り圧延機の上流側若しくは下流側に、マンドレルミル又は絞り圧延機の圧下方向の肉厚が測定できるように肉厚測定装置を設置し、該装置による肉厚測定結果に基づき、前記方向のミルの圧下位置を調整して偏肉を抑える必要性を見出すに至った。
【0019】
さらに、▲4▼前記マンドレルミルで発生する偏肉量は、マンドレルミルの各ロールを設置し直さない限り、マンドレルミルで圧延する管の肉厚、材質毎にほぼ一意に決まること、▲5▼前記絞り圧延機で発生する偏肉量は、絞り圧延機での外径加工率にほぼ比例して大きくなること、▲6▼前記絞り圧延機の前で付与された偏肉量は絞り圧延機の出側で減少するが、この偏肉減少量が絞り圧延機での外径加工率にはば比例して大きくなることを見出した。
【0020】
上記知見より、▲7▼(a)マンドレルミルで発生する偏肉量及び絞り圧延機で発生する偏肉量を、管の肉厚、材質及び絞り圧延機での外径加工率を用いて定式化し、(b)斯かる式に基づいて、絞り圧延機の出側におけるマンドレルミルの圧下方向の偏肉量が最小となる、絞り圧延機の母管の偏肉量を逆算し、(c)前記逆算された偏肉量の母管が得られるように、マンドレルミル最終2スタンド又は3スタンドの圧下方向についてのマンドレルミル下流側の肉厚測定結果に基づき、マンドレルミル最終2スタンド又は3スタンドのロールギャップを調整することにより偏肉
の小さい管が得られることを究明した。
【0021】
或いは、▲8▼(a)前記定式化された式に基づいて、絞り圧延機の出側における絞り圧延機の圧下方向の偏肉量が最小となる、絞り圧延機の母管の偏肉量を逆算し、(b)前記逆算された偏肉量の母管が得られるように、絞り圧延機の圧下方向の絞り圧延機上流側(マンドレルミル下流側)の肉厚測定結果に基づき、絞り圧延機の圧下位置を調整することにより偏肉の小さい管が得られることを究明した。
【0022】
或いは、▲9▼(a)絞り圧延機下流側の肉厚測定結果に基づき、絞り圧延機の出側のマンドレルミル圧下方向又は絞り圧延機圧下方向の偏肉量が最小となるよう、前記定式化された式によってマンドレルミル最終2スタンド若しくは3スタンドのロールギャップ又は絞り圧延機の圧下位置を調整すれば、偏肉の小さい管が得られることを究明した。
【0023】
なお、肉厚測定結果を反映させるタイミングは、測定された管が圧延されるときであってもよく、前記測定された管が圧延された後に供給される管材を圧延するときであってもよい。また、圧下位置の調整量は、長手方向に亘って変更してもよい。
【0024】
前述した本発明者らが見出した事実より、一般的に、(1)絞り圧延機出側での偏肉量は、絞り圧延機の外径加工率(外径圧下率)によって変化し、(2)絞り圧延機入側の偏肉量を調整することにより、絞り圧延機出側の偏肉量が変化するといえるが、これを数式を用いて表すと次のようになる。
【数5】
【0025】
上記式(1)における関数f1の一例として、次式を選択した場合について、さらに詳細に説明する。
【数6】
【0026】
本究明者らは、さらに鋭意試験研究を行った結果、前記式(2)のように、ΔWT_S/WT−SをΔWT_M/WT_Mに対して線形に、a及びbをρに対して線形に定式化した場合、定数c及びdの値は、それぞれ次の範囲内であること、
−0.02≦c(j)≦0 ・・・(3)
0.9≦d(j)≦1.1 ・・・(4)
定数e及びfの値は、ミルの設置状況、管の寸法、材質などにより異なるが、
−0.002≦e(j)≦0.002 ・・・(5)
−0.03≦f(j)≦0.03 ・・・(6)
の範囲内であることを見出した。
【0027】
従って、絞り圧延機上流側(マンドレルミル下流側)の肉厚測定結果に基づいて、マンドレルミル最終2スタンド若しくは3スタンドのロールギャップ又は絞り圧延機の圧下位置を調整する場合には、前記式(2)のΔWT_Sを0にすることを目標として調整すればよく、このとき、ΔWT_Mの目標値は、式(2)においてΔWT_S=0とすることにより、−b/a×WT_Mとなる。よって、以下の式に従って、マンドレルミル最終2スタンド若しくは3スタンドのロールギャップ又は絞り圧延機の圧下位置を調整すればよい。
【数7】
【0028】
また、絞り圧延機下流側の肉厚測定結果に基づいて、マンドレルミル最終2スタンド若しくは3スタンドのロールギャップ又は絞り圧延機の圧下位置を調整する場合にも、式(2)のΔWT_Sを0にすることを目標として調整すればよく、以下の式に従えばよい。
【数8】
【0029】
以上では、ΔWT_S/WT−SをΔWT_M/WT_Mに対して線形に、a及びbをρに対して線形に定式化した場合について詳細に説明したが、もちろん他の一般的な関数を選んでもよく、さらに、関数の値は管材質にも影響を受けることを考慮すれば、前記肉厚測定結果に基づく圧下位置調整法は、次のように表すことができる。
【0030】
(1)絞り圧延機上流側(マンドレルミル下流側)の肉厚測定結果に基づいて、マンドレルミル最終2スタンド若しくは3スタンドのロールギャップ又は絞り圧延機の圧下位置を調整する場合
【数9】
ここで、前述した式(7)のようなケースでb(j)≒0とみなせることを考慮すれば、上記式(9)は、近似的に以下の式で表すことができる。
【数10】
【0031】
(2)絞り圧延機下流側の肉厚測定結果に基づいて、マンドレルミル最終2スタンド若しくは3スタンドのロールギャップ又は絞り圧延機の圧下位置を調整する場合
【数11】
ここで、前述した式(8)のようなケースで、WT_S≒WT_Mとなる場合が多いことを考慮すれば、上記式(11)は、近似的に以下の式で表すことができる。
【数12】
【0032】
本発明は、本発明者らが見出した前述の新しい知見に基づき案出されたものであり、絞り圧延機の出側において偏肉の小さい管を製造し得る、継ぎ目無し管の圧延装置および圧延制御方法を提供するものである。
【0035】
本願の第1発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーが配置され、管を圧延するリトラクト方式のマンドレルミルと、該マンドレルミルの下流側に直列配置され、前記マンドレルバーから前記管を引き抜くエキストラクタ又は前記管の外径を調整する圧延機と、前記エキストラクタ又は前記圧延機の下流側に配置され、前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0036】
本願の第2発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーが配置され、管を圧延するリトラクト方式のマンドレルミルと、該マンドレルミルの下流側に直列配置され、前記マンドレルバーから前記管を引き抜くエキストラクタ又は前記管の外径を調整する圧延機と、前記マンドレルミルと、前記エキストラクタ又は前記圧延機との間に配置され、前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0037】
本願の第3発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、該圧延機の下流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置と、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整する圧延制御装置を備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0038】
本願の第4発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、該圧延機の上流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置と、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整する圧延制御装置を備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0039】
本願の第5発明は、前記第1発明において、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整する圧延制御装置を備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0040】
本願の第6発明は、前記第2発明において、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整する圧延制御装置を備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0041】
本願の第7発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、該圧延機の下流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備える継ぎ目無し管の圧延装置において、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【0042】
本願の第8発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、該圧延機の上流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備える継ぎ目無し管の圧延装置において、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【0043】
本願の第9発明は、前記第1発明に係る圧延装置において、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【0044】
本願の第10発明は、前記第2発明に係る圧延装置において、前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【0045】
本願の第11発明は、前記第3発明又は第5発明において、前記圧延制御装置が、前記圧延機の圧下位置又は前記マンドレルミルの仕上スタンドのロールギャップを次式に基づいて調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【数13】
なお、前記「仕上スタンド」の語は、マンドレルミルの各スタンドのうち、管材の各部位を圧延する最終のスタンド、つまり、当該スタンドの孔型の溝底部で圧延された管材の部位が、それ以降のマンドレルミルのどのスタンドでも圧延されない場合を意味するものとして使用する。特許請求の範囲及び以下の記載において、全て同様である。
【0046】
本願の第12発明は、前記第4発明又は第6発明において、前記圧延制御装置が、前記圧延機の圧下位置又は前記マンドレルミルの仕上スタンドのロールギャップを次式に基づいて調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【数14】
【0047】
本願の第13発明は、前記第7発明又は第9発明において、前記圧延機の圧下位置又は前記マンドレルミルのロールギャップを次式に基づいて調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【数15】
【0048】
本願の第14発明は、前記第8発明又は第10発明において、前記圧延機の圧下位置又は前記マンドレルミルのロールギャップを次式に基づいて調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【数16】
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、前述した本願の第3発明、第7発明、第11発明及び第13発明の一実施形態を示す構成図である。
【0050】
図1において、11は複数個のスタンド#1,…,#Nからなる3ロールの絞り圧延機、12はマンドレルミルで圧延された母管、13は絞り圧延機11の圧延ロールをそれぞれ示す。3ロールの絞り圧延機11の各スタンドにおけるロールは、3個の孔型口一ル13が120°間隔で組み込まれたものである。さらに、絞り圧延機11の上流側からみて、例えば、奇数スタンドは図7(a)のように、偶数スタンドは図7(b)のように、隣接するスタンドでロールの圧下方向が60°交差するように配置されている。母管12は、絞り圧延機11のスタンド#1から順に、圧延ロール13によって外径が絞り加工され、所定の管外径に仕上げられる。
【0051】
また、図1において、14は絞り圧延機11の下流側に設置された熱間肉厚測定装置、15は演算装置、16は絞り圧延機11の各ロール圧下装置をそれぞれ示す。演算装置15及びロール圧下装置16によって圧延制御装置が構成されている。演算装置15は、管肉厚、材質、絞り圧延機11における外径加工率、及び熱間肉厚測定装置14により測定された絞り圧延機11の圧下方向の肉厚から、予め与えられた式に基づいて絞り圧延機11の#1、#2スタンドにおける適切な母管偏肉量を計算する。さらに、前記適切な母管偏肉量を与えるために必要な絞り圧延機11の♯1、#2スタンドの圧下位置の変更量を算出する。
【0052】
絞り圧延機11の下流側に設置された熱間肉厚測定装置14は、絞り圧延機11の奇数スタンド圧下方向(3方向)及び偶数スタンド圧下方向(3方向)の合計6方向の管肉厚を測定する。図9に示すように、熱間肉厚測定装置14は、絞り圧延機11の圧下方向に沿って、γ線発光器91とγ線受光器92とが対向配置された構成であり、斯かる構成により管肉厚を測定するものである。
【0053】
演算装置15に組み込まれている絞り圧延機11の♯1、#2スタンドにおける適切な母管偏肉量を計算する式と、前記適切な母管偏肉量を与えるために必要な#1、♯2スタンドの圧下位置の変更量を求める式とは、例えば以下のような試験によって定式化することができる。
【0054】
図5に示すマンドレルミル56において、まず通常の製造方法により、中空素管54を圧延する。このとき、マンドレルミル圧延中に、マンドレルミル56の下流側で管54の上部管端部の外表面に人工疵を付し、管54のどの方向をマンドレルミル56で圧下したかが識別できるようにしておく。次に、マンドレルミル56で圧延した母管を、図1の絞り圧延機11で絞り加工し、絞り加工された管について、マンドレルミル最終2スタンドの圧下方向に対応する肉厚T1、T1’、T2及びT2’(図10(a))を計測する。ここで肉厚計測された管を以降管Aという。
【0055】
次に、前記管Aを圧延したときに使用した中空素管と同一の寸法、材質からなる中空素管54を、マンドレルミル56において、前記管Aを圧延したときと同一のマンドレルバー55を用い、次の点を除いて前記管Aを圧延したときと同一の条件で圧延する。すなわち、前記管Aを圧延したときと条件が異なるのは、マンドレルミル56のスタンド数をNとしたときに、#N−1スタンドでは、圧延ロール58とマンドレルバー55との間隙が0.5mm大きくなるように、逆に♯Nスタンドでは、圧延ロール58とマンドレルバー55の間隙が0.5mm小さくなるように、最終2スタンドのロール圧下位置を調整する点である。なお、前記管Aを圧延したときと同様に、マンドレルミル圧延中に、マンドレルミル56の下流側で管54の上部管端部の外表面に人工疵を付し、管54のどの方向をマンドレルミル56で圧下したかを識別し得るようにしておく。次に、マンドレルミル56で圧延した母管を、絞り圧延機11で絞り加工し、絞り加工された管について、マンドレルミル最終2スタンドの圧下方向に対応する肉厚T3、T3’、T4及びT4’(図10(b))を計測する。
【0056】
以上の試験により、絞り圧延機11で発生する偏肉量と、絞り圧延機11の前で付与された1.Ommの偏肉量が絞り圧延機11の出側でどの程度減少するかを以下の式で知ることができる。
【数17】
【0057】
さらに、絞り圧延機11での外径加工率を変えて同様の実験をすることにより、絞り圧延機11の前で付与された1.Ommの偏肉量の絞り圧延機11の出側での減少量(式(17)のa)及び絞り圧延機11の出側の偏肉量(式(17)のb)を、外径加工量の関数で求めることができる。また、管の肉厚、材質毎に絞り加工された管の絞り圧延機11圧下方向の肉厚を測定することにより、管の肉厚、材質毎の偏肉量を求めることができる。このようにして得られた以下の式(18)が、絞り圧延機11の♯1、♯2スタンドにおける適切な母管偏肉量を計算する式として、予め演算装置15に組み込まれている。
【数18】
【0058】
なお、ΔWT_S/WT_SはΔWT_M/WT_Mの関数であり、a及びbはρの関数であるが、式(18)では簡易的に、ΔWT_S/WT_SをΔWT_M/WT_Mに対して線形とし、a及びbをρに対して線形とした。本発明はこれに限るものではなく、前記試験結果に基づき、例えば、以下の式(19)のような、より厳密な式を演算装置15に組み込んでもよい。
【数19】
【0059】
さらに、絞り圧延機11の#1スタンドの圧下位置を変更して圧延する試験により、#1スタンドの圧下位置を1mm変更したときの絞り圧延後の偏肉量ΔWT_Sの変化量δ(#1)を測定し、#2スタンド以降の絞り圧延機11での外径圧下率ρを用いて式(18)を逆算すれば、#1スタンドの圧下位置を1mm変更した場合の絞り圧延機11の#1スタンドでの偏肉量変化量p_S(♯1)を次式のように求めることができる。
【数20】
【0060】
#2スタンドについても同様に、絞り圧延機11の#2スタンドの圧下位置を変更して圧延する試験により、#2スタンドの圧下位置を1mm変更したときの絞り圧延後の偏肉量ΔWT_Sの変化量δ(#2)を測定し、#3スタンド以降の絞り圧延機11での外径圧下率ρを用いて式(18)を逆算すれば、#2スタンドの圧下位置を1mm変更した場合の絞り圧延機11の♯2スタンドでの偏肉量変化量p_S(#2)を次式のように求めることができる。
【数21】
【0061】
絞り圧延機11の#1、#2スタンドにおける適切な母管偏肉量を与えるために必要な#1、#2スタンドの圧下位置の変更量を求めるため、例えば上記試験で得られた式(20)及び式(21)が予め演算装置15に組み込まれている。
【0062】
演算装置15は、熱間肉厚測定装置14で測定した絞り圧延機11の♯1、#2スタンドの圧下方向(6方向)それぞれの偏肉量ΔWT_Sから、式(18)に基づき#1、#2スタンドで与えるべきそれぞれの偏肉量ΔWT_Mを計算する。さらに、前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要な#1、#2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づき計算し、計算された#1、#2スタンドの圧下位置の変更量を絞り圧延機11の各ロール圧下装置16に指令し、圧下位置が調整される。
【0063】
以上に説明した構成を整理すると、以下の式(22)となる。
【数22】
【0064】
上記のように構成されたことによって、絞り圧延機11で絞り加工された管12の周方向の肉厚分布に発生した偏肉は、管12の円周6方向に設置されたγ線発光器91とγ線受光器92とからなる熱間肉厚測定装置14によって測定され、演算装置15に出力される。演算装置15は、熱間肉厚測定装置14から入力される所定圧下位置時の溝底部の肉厚と6方向の肉厚の平均値との差として得られる偏肉量ΔWT_Sが0となる♯1、#2スタンドでの偏肉量ΔWT_Mを式(18)に基づき演算する。さらに、前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要な、#1、♯2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づき演算し、算出された圧下位置の変更量を#1、#2スタンドの各ロール圧下装置16に指令し、圧下位置を調整する。よって、圧下位置を調整した後に圧延した管材の、絞り圧延機11の#1、#2スタンドの各ロール圧下方向の肉厚分布は均一化され、管12の周方向における偏肉を抑制することができる。
【0065】
次に、本願の第4発明、第8発明、第12発明及び第14発明の一実施の形態を図2を参照して説明する。
【0066】
図2において、21は複数個のスタンド#1,…,#Nからなる3ロールの絞り圧延機、22はマンドレルミルで圧延された母管、23は絞り圧延機21の圧延ロールをそれぞれ示す。3ロールの絞り圧延機21の各スタンドにおけるロールは、3個の孔型ロール23が120°間隔で組み込まれたものである。さらに、絞り圧延機21の上流側からみて、例えば、奇数スタンドは図7(a)のように、偶数スタンドは図7(b)のように、隣接するスタンドでロールの圧下方向が60°交差するように配置されている。母管22は、絞り圧延機21のスタンド#1から順に、圧延ロール23によって外径が絞り加工され、所定の管外径に仕上げられる。
【0067】
また、図2において、24は絞り圧延機21の上流側に設置された熱間肉厚測定装置、25は演算装置、26は絞り圧延機21の各ロール圧下装置をそれぞれ示す。演算装置25及びロール圧下装置26によって圧延制御装置が構成されている。演算装置25は、管肉厚、材質、絞り圧延機21における外径加工率、及び熱間肉厚測定装置24により測定された絞り圧延機21の圧下方向の肉厚から、予め与えられた式(18)に基づいて絞り圧延機21の#1、♯2スタンドにおける適切な母管偏肉量を計算する。さらに、前記適切な母管偏肉量を与えるために必要な#1、#2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づいて算出する。
【0068】
絞り圧延機21の下流側に設置された熱間肉厚測定装置24は、絞り圧延機21の奇数スタンド圧下方向(3方向)及び偶数スタンド圧下方向(3方向)の合計6方向の管肉厚を測定する。図9に示すように、熱間肉厚測定装置14は、絞り圧延機21の圧下方向に沿って、γ線発光器91とγ線受光器92とが対向配置された構成であり、斯かる構成により管肉厚を測定するものである。
【0069】
演算装置25には、式(18)、式(20)及び式(21)が予め組み込まれている。演算装置25では、式(18)に基づき、絞り圧延機21の#1、#2スタンドで与えるべきそれぞれの偏肉量ΔWT_Mが計算される。図2の熱間肉厚測定装置24で測定した絞り圧延機21の♯1、#2スタンドの圧下方向(6方向)それぞれの偏肉量ΔWT_M’が前記偏肉量ΔWT_Mと異なる場合には、#1、#2スタンドの圧下方向(6方向)それぞれの偏肉量ΔWT_M’を前記偏肉量ΔWT_Mに等しくするために必要な♯1、#2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づき計算する。さらに、前記計算された#1、#2スタンドの圧下位置の変更量を絞り圧延機21の各ロール圧下装置26に指令し、圧下位置を調整する。
【0070】
以上に説明した構成を整理すると、以下の式(23)となる。
【数23】
【0071】
上記のように構成されたことによって、絞り圧延機21に供給された母管22の周方向の肉厚分布に発生した偏肉は、母管22の円周6方向に設置されたγ線発光器91とγ線受光器92とからなる熱間肉厚測定装置24によって測定され、演算装置25に出力される。演算装置25は、式(18)に基づき、絞り圧延機21の出側の絞り圧延機21の圧下方向(6方向)の偏肉量が0となる絞り圧延機#1、♯2スタンドでの偏肉量ΔWT_Mを演算する。さらに、熱間肉厚測定装置24から入力される絞り圧延機21の#1、#2スタンドの圧下方向(6方向)それぞれの偏肉量ΔWT_M’と前記#1,#2スタンドでの必要な偏肉量ΔWT_Mとの差から、絞り圧延機21の出側の絞り圧延機21の圧下方向(6方向)の偏肉量を0とするために必要な#1、#2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づき演算し、算出された圧下位置の変更量を#1、#2スタンドの各口一ル圧下装置26に指令し、圧下位置を調整する。よって、絞り圧延機21の#1、#2スタンドの各ロール圧下方向の肉厚分布は均一化され、管22の周方向における偏肉を抑制することができる。
【0072】
次に、本願の第1発明、第5発明、第9発明、第11発明及び第13発明の一実施の形態を図3を参照して説明する。
【0073】
図3において、31は複数個のスタンド#1,…,#Nからなるマンドレルミル、32はピアサーで穿孔された中空素管(素管)、33はマンドレルバー、34はマンドレルミル31の圧延ロール、35は複数個のスタンド#1,・・・,#Nからなる3ロールのエキストラクタ又は絞り圧延機である。ピアサーで穿孔された素管32は、内部にマンドレルバー33が挿入され、マンドレルバー33の後端が保持装置(図示せず)により一定速度に保持された状態で、マンドレルミル31においてマンドレルバー33と複数の孔型圧延ロール34とにより延伸圧延される。マンドレルミル31での圧延が完了した後、マンドレルバー33が停止し、母管32は、エキストラクタ又は絞り圧延機35によってマンドレルバー33から引き抜かれる。3ロールのエキストラクタ又は絞り圧延機35の各スタンドにおけるロールは、3個の孔型ロール36が120°間隔で組み込まれたものである。さらに、エキストラクタ又は絞り圧延機35の上流側からみて、例えば、奇数スタンドは図7(a)のように、偶数スタンドは図7(b)のように、隣接するスタンドでロールの圧下方向が60°交差するように配置されている。マンドレルミル31で圧延され、マンドレルバー33から引き抜かれた母管32は、エキストラクタ又は絞り圧延機35のスタンド#1から順に、圧延ロール36によって外径が絞り加工され、所定の管外径に仕上げられる。
【0074】
また、図3において、37はエキストラクタ又は絞り圧延機35の下流側に設置された熱間肉厚測定装置、38は演算装置、39はマンドレルミル31の仕上げスタンドの各ロール圧下装置をそれぞれ示す。演算装置38及びロール圧下装置39によって圧延制御装置が構成されている。演算装置38は、管肉厚、材質、エキストラクタ又は絞り圧延機35における外径加工率、及び熱間肉厚測定装置37により測定されたマンドレルミル31の圧下方向の肉厚から、予め与えられた式(18)に基づいてマンドレルミル31出側における母管32の適切な偏肉量を計算する。さらに、前記適切な母管偏肉量を与えるために必要なマンドレルミル31仕上げスタンドの圧下位置の変更量を求める。
【0075】
エキストラクタ又は絞り圧延機35の下流側に設置された熱間肉厚測定装置37は、マンドレルミル31の仕上げ2又は3スタンドの圧下方向の管肉厚を測定する。図9に示すように、熱間肉厚測定装置37は、マンドレルミル31仕上げスタンドの圧下方向に沿って、γ線発光器91とγ線受光器92とが対向配置された構成であり、斯かる構成により管肉厚を測定するものである。
【0076】
演算装置38には、式(18)が予め組み込まれている。図3の熱間肉厚測定装置37で測定したマンドレルミル31仕上げ2又は3スタンドの圧下方向それぞれの偏肉量ΔWT_Sから、演算装置38において、式(18)に基づきマンドレルミル31出側で与えるべきそれぞれの方向の偏肉量ΔWT_Mが計算される。さらに、演算装置38は、前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要な仕上げ2又は3スタンドの圧下位置の変更量を計算し、該計算された圧下位置の変更量をマンドレルミル31仕上げスタンドの各ロール圧下装置39に指令し、圧下位置を調整する。
【0077】
以上に説明した構成を整理すると、以下の式(24)となる。
【数24】
【0078】
上記のように構成されたことによって、エキストラクタ又は絞り圧延機35で絞り加工された管32の周方向の肉厚分布に発生した偏肉は、管32の円周方向に設置されたγ線発光器91とγ線受光器92とからなる熱間肉厚測定装置37によって測定され、演算装置38に出力される。演算装置38は、熱間肉厚測定装置37から入力される所定圧下位置時のマンドレルミル31溝底方向の肉厚と円周方向の肉厚の平均値との差として得られる偏肉量ΔWT_Sが0となるマンドレルミル31出側での偏肉量ΔWT_Mを式(18)に基づき演算する。さらに、前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要なマンドレルミル31の仕上げ2又は3スタンドの圧下位置の変更量を演算し、算出された圧下位置の変更量を仕上げ2又は3スタンドの各ロール圧下装置39に指令し、圧下位置を調整する。よって、圧下位置を調整した後に圧延した管材において、マンドレルミル31の仕上げ2又は3スタンドの各ロール圧下方向の肉厚分布は均一化され、管32の周方向における偏肉を抑制することができる。
【0079】
次に、本願の第2発明、第6発明、第10発明、第12発明及び第14発明の一実施の形態を図4を参照して説明する。
【0080】
図4において、41は複数個のスタンド#1,…,#Nからなるマンドレルミル、42はピアサーで穿孔された中空素管(素管)、43はマンドレルバー、44はマンドレルミル41の圧延ロール、45は複数個のスタンド#1,…,#Nからなる3ロールのエキストラクタ又は絞り圧延機である。ピアサーで穿孔された素管42は、内部にマンドレルバー43が挿入され、マンドレルバー43の後端が保持装置(図示せず)により一定速度に保持された状態で、マンドレルミル41においてマンドレルバー43と複数の孔型圧延ロール44とにより延伸圧延される。マンドレルミル41での圧延が完了した後、マンドレルバー43が停止し、母管42は、エキストラクタ又は絞り圧延機45によってマンドレルバー43から引き抜かれる。3ロールのエキストラクタ又は絞り圧延機45の各スタンドにおけるロールは、3個の孔型ロール46が120°間隔で組み込まれたものである。さらに、エキストラクタ又は絞り圧延機45の上流側からみて、例えば、奇数スタンドは図7(a)のように、偶数スタンドは図7(b)のように、隣接するスタンドでロールの圧下方向が60°交差するように配置されている。マンドレルミル41で圧延され、マンドレルバー43から引き抜かれた母管42は、エキストラクタ又は絞り圧延機45のスタンド#1から順に、圧延ロール46により外径が絞り加工され、所定の管外径に仕上げられる。
【0081】
また、図4において、47はマンドレルミル41とエキストラクタ又は絞り圧延機45との問に設置された熱間肉厚測定装置、48は演算装置、49はマンドレルミル41の仕上げスタンドの各ロール圧下装置をそれぞれ示す。演算装置48及びロール圧下装置49によって圧延制御装置が構成されている。演算装置48は、管肉厚、材質、エキストラクタ又は絞り圧延機45における外径加工率、及び熱間肉厚測定装置47により測定されたマンドレルミル41の圧下方向の肉厚から、予め与えられた式(18)に基づいてマンドレルミル41出側における適切な母管42の偏肉量を計算する。さらに、前記適切な母管偏肉量を与えるために必要なマンドレルミル41仕上げスタンドの圧下位置の変更量を求める。
【0082】
マンドレルミル41とエキストラクタ又は絞り圧延機45との間に設置された熱間肉厚測定装置47は、マンドレルミル41の仕上げ2又は3スタンドの圧下方向の管肉厚を測定する。図9に示すように、熱間肉厚測定装置47は、マンドレルミル41仕上げスタンドの圧下方向に沿って、γ線発光器91とγ線受光器92とが対向配置された構成であり、斯かる構成により管肉厚を測定するものである。
【0083】
演算装置48には、式(18)が予め組み込まれている。演算装置48は、式(18)に基づきマンドレルミル41仕上げスタンドで与えるべきそれぞれの偏肉量ΔWT_Mを計算し、熱間肉厚測定装置47で測定したマンドレルミル41仕上げ2又は3スタンドの圧下方向それぞれの偏肉量ΔWT_M’が、前記偏肉量ΔWT_Mと異なる場合には、仕上げ2又は3スタンドの圧下方向それぞれの偏肉量ΔWT_M’を前記偏肉量ΔWT_Mに等しくするために必要なマンドレルミル41仕上げスタンドの圧下位置の変更量を計算する。さらに、計算された圧下位置の変更量をマンドレルミル41仕上げスタンドの各ロール圧下装置49に指令し、圧下位置を調整する。
【0084】
以上に説明した構成を整理すると、以下の式(25)となる。
【数25】
【0085】
上記のように構成されたことによって、エキストラクタ又は絞り圧延機45に供給された母管42の周方向の肉厚分布に発生した偏肉は、母管42の円周方向に設置されたγ線発光器91とγ線受光器92とからなる熱間肉厚測定装置47によって測定され、演算装置48に出力される。演算装置48は、式(18)に基づき、エキストラクタ又は絞り圧延機45の出側のマンドレルミル41仕上げ2又は3スタンドの圧下方向の偏肉量が0となるマンドレルミル41出側での偏肉量ΔWT_Mを演算する。さらに、熱間肉厚測定装置47から入力されるマンドレルミル41仕上げ2又は3スタンドの圧下方向それぞれの偏肉量ΔWT_M’と前記マンドレルミル41出側での必要な偏肉量ΔWT_Mとの差から、エキストラクタ又は絞り圧延機45の出側のマンドレルミル41仕上げ2又は3スタンドの圧下方向の偏肉量を0とするために必要なマンドレルミル41仕上げ2又は3スタンドの圧下位置の変更量を演算する。算出された圧下位置の変更量をマンドレルミル41の仕上2又は3スタンドの各ロール圧下装置26に指令し、圧下位置を調整する。よって、圧下位置を調整した後に圧延した管材において、マンドレルミル41の仕上げ2又は3スタンドの各ロール圧下方向の肉厚分布は均一化され、管42の周方向における偏肉を抑制することができる。
【0086】
なお、本願の第1〜第14発明において、熱間肉厚測定装置の測定方向は、測定方向が十分多い(5方向以上)場合には、マンドレルミル又は絞り圧延機の圧下方向に合致していなくてもよい。つまり、補間やフーリエ変換等を利用することにより、マンドレルミル又は絞り圧延機の圧下方向の肉厚を推定し、該推定値を使用することも可能である。
【0087】
例えば、熱間肉厚測定装置の測定方向が、図11における0°、40°、80°、120°、160°、200°、240°、280°及び320°の9方向であり、マンドレルミル又は絞り圧延機の圧下方向の1つが図11の45°の場合、斯かる45°方向の肉厚は、次の式で推測できる。
45°方向の肉厚=(40°方向の肉厚×35+80°方向の肉厚×5)/40・・・(26)
【0088】
ここで、補間又はフーリエ変換により圧下方向の肉厚を推定する際に、5方向以上の肉厚を測定する必要があるのは、以下の理由による。すなわち、サンプリング定理によると、フーリエ変換を用いてn次の偏肉量(周方向肉厚分布のうち、管断面を一周するときに、一定周期で肉厚がn回の最大値をもつ肉厚分布成分)を抽出するには、周方向2n+1箇所の肉厚の値が必要となる。ここで、マンドレルミルの圧下量変更により制御できる偏肉量の次数は、2ロールの場合には2次であり、2×2+1=5方向の肉厚があれば、マンドレルミル圧下方向の肉厚を推定することができる。つまり、補間又はフーリエ変換により2ロールマンドレルミルの圧下方向の肉厚を推定するには、5方向以上の肉厚を測定すればよいことになる。
【0089】
また、説明を簡単にするために、本願の第3、第4、第7、第8、第11〜第14発明に対応する上記実施形態においては、絞り圧延機の圧下位置調整スタンドを#1、♯2に限定したが、本発明はこれに限るものではなく、#1、#2以外の外径加工を行うスタンドで圧下位置を調整してもよいし、#1、#2と#1、#2以外のスタンドとの両方の圧下位置を調整してもよい。絞り圧延機の複数のスタンドで圧下位置を調整する場合は、以下の式(27)又は式(28)のように、各スタンドで付与する偏肉量の和が修正すべき偏肉量となるようにすればよい。
【数26】
【0090】
また、本願の第1〜第14発明において、肉厚測定結果を反映させるタイミングは、測定された管が圧延されるときであってもよく、前記測定された管が圧延された後に供給される管材を圧延するときであってもよく、また、圧下位置の調整量は、長手方向に亘って変更してもよい。
【0091】
さらに、以上の説明では、絞り圧延機は3ロールとしたが、絞り圧延機が2ロール又は4ロール以上であっても、同様の方法で偏肉を抑制することが可能である。また、マンドレルミルは2ロール又は2ロールの下流側に4ロールスタンドを1つだけ併設したミルとしたが、3ロールマンドレルミルや、2スタンド以上の4ロールマンドレルミル等であっても、同様の方法で偏肉を抑制することができる。
【0092】
また、本願の第3、第4、第7、第8、第11〜第14発明については、マンドレルミルラインのみならず、プラグミルラインにおいても適用可能である。
【0093】
以下、実施例を説明することにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。外径320.Omm、肉厚30.Ommの素管を、圧下方向を交互に90°交差させて連続配置された5スタンドの2ロールミルで圧延し、次いで、前記2ロールミルの圧下方向に対して45°傾斜させた4方向からロールミルで圧延するマンドレルミルで、外径276.Omm、肉厚15.Ommに延伸圧延した後、8スタンドからなる3ロール絞り圧延機により外径219.Omm、肉厚16.2mmに圧延した。
【0094】
(実施例1:本発明法A)対象材が圧延される前に、対象材が圧延されるのと同様の条件の下にマンドレルミルで延伸圧延し、絞り圧延機で定径圧延した後、絞り圧延機の下流側の熱間肉厚測定装置で測定した絞り圧延機#1、#2スタンドの圧下方向(6方向)それぞれの偏肉量ΔWT_Sから、式(18)に基づき絞り圧延機#1、#2スタンドで与えるべきそれぞれの偏肉量ΔWT_Mを計算した。次に、前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要な前記絞り圧延機#1、♯2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づき計算し、計算された圧下位置の変更量により前記絞り圧延機#1、#2スタンドの圧下位置を調整した。この状態で対象材をマンドレルミルで延伸圧延し、絞り圧延機で定径圧延した。
【0095】
(実施例2:本発明法B)マンドレルミルで延伸圧延した後、式(18)に基づき、絞り圧延機#1、#2スタンドで与えるべきそれぞれの偏肉量ΔWT_Mを計算した。次に、絞り圧延機の上流側の熱間肉厚測定装置で測定した絞り圧延機#1、#2スタンドの圧下方向(6方向)それぞれの偏肉量ΔWT_M’が、前記偏肉量ΔWT_Mと異なる場合には、絞り圧延機♯1、#2スタンドの圧下方向(6方向)それぞれの偏肉量ΔWT_M’を前記偏肉量ΔWT_Mに等しくするために必要な#1、♯2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づき計算した。計算された絞り圧延機#1、#2スタンドの圧下位置の変更量により、絞り圧延機の各ロール圧下位置を調整し、絞り圧延機で定径圧延した。
【0096】
(実施例3:本発明法C)対象材が圧延される前に、対象材が圧延されるのと同様の条件の下にマンドレルミルで延伸圧延し、絞り圧延機で定径圧延した後、絞り圧延機の下流側の熱間肉厚測定装置で測定したマンドレルミル仕上げ3スタンドの圧下方向(8方向)それぞれの偏肉量ΔWT_Sから、式(18)に基づきマンドレルミル出側で与えるべきそれぞれの方向の偏肉量ΔWT_Mを計算した。次に、前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要な前記マンドレルミル仕上げ3スタンドの圧下位置の変更量を計算し、計算された圧下位置の変更量によりマンドレルミル仕上げスタンドの各ロール圧下位置を調整した。この状態で対象材をマンドレルミルで延伸圧延し、絞り圧延機で定径圧延した。
【0097】
(実施例4:本発明法D)マンドレルミルで延伸圧延した後、式(18)に基づき、マンドレルミル仕上げスタンドで与えるべきそれぞれの偏肉量ΔWT_Mを計算した。次に、マンドレルミル下流側の熱間肉厚測定装置で測定したマンドレルミル仕上げ3スタンドの圧下方向(8方向)それぞれの偏肉量ΔWT_M’が、前記偏肉量ΔWT_Mと異なる場合には、マンドレルミル仕上げ3スタンドの圧下方向(8方向)それぞれの偏肉量ΔWT_M’を前記偏肉量ΔWT_Mに等しくするために必要な仕上げスタンドの圧下位置の変更量を計算した。計算されたマンドレルミル仕上げスタンドの圧下位置の変更量により、マンドレルミル仕上げスタンドの各ロール圧下位置を調整し、絞り圧延機で定径圧延した。
【0098】
(実施例5:本発明法E)対象材が圧延される前に、対象材が圧延されるのと同様の条件の下にマンドレルミルで延伸圧延し、絞り圧延機で定径圧延した後、絞り圧延機の下流側の熱間肉厚測定装置で測定した絞り圧延機#1、#2スタンドの圧下方向(6方向)及びマンドレルミル仕上げ3スタンドの圧下方向(8方向)それぞれの偏肉量ΔWT_Sから、式(18)に基づき絞り圧延機#1、#2スタンド及びマンドレルミル仕上げ3スタンドで与えるべきそれぞれの方向の偏肉量ΔWT_Mを計算した。次に、前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要な前記絞り圧延機♯1、♯2スタンドの圧下位置の変更量を式(20)及び式(21)に基づき計算し、さらに前記偏肉量ΔWT_Mを得るために必要な前記マンドレルミル仕上げ3スタンドの圧下位置の変更量を計算した。計算された絞り圧延機#1、#2スタンドの圧下位置の変更量及びマンドレルミル仕上げ3スタンドの圧下位置の変更量により、前記#1、#2スタンドの圧下位置及び前記仕上げスタンドの各ロール圧下位置を調整した。この状態で対象材をマンドレルミルで延伸圧延し、絞り圧延機で定径圧延した。
【0099】
(比較例1:従来法)比較例として、マンドレルミルの下流側で肉厚測定を行い、マンドレルミル仕上げスタンドの各ロール圧下位置を、マンドレルミルの出側で管が真円に近くなるように調整する特開平8−71616号に示された従来法で圧延した。
【0100】
上記本発明法A、本発明法B、本発明法C、本発明法D、本発明法E、及び従来法のそれぞれについて肉厚分布を比較した結果を表1に示す。
【表1】
【0101】
表1に示すように、マンドレルミルの下流側又は絞り圧延機の上流側の肉厚測定結果によりマンドレルミル又は絞り圧延機の圧下位置を調整した本発明法B及びDは、従来法と比較して、偏肉率は3%程度改善された。また、絞り圧延機の下流側の肉厚測定結果によりマンドレルミル又は絞り圧延機の圧下位置を調整した本発明法A及びCは、従来法と比較して、偏肉率は4%程度改善された。さらに、絞り圧延機の下流側の肉厚測定結果によりマンドレルミル及び絞り圧延機の圧下位置を調整した本発明法Eは、従来法と比較して、偏肉率は5%程度改善された。
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、マンドレルミルの下流側又は内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機の上流側若しくは下流側に、前記マンドレルミルの圧下方向又は前記圧延機の圧下方向の肉厚を測定する熱間肉厚測定装置を備えるため、その測定結果に基づき,圧延機の圧下位置又はマンドレルミルの各ロール圧下位置を調整することにより、円周方向の肉厚分布の均一な管が得られるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明(第3発明、第7発明、第11発明及び第13発明)の一実施形態に係る圧延装置を示す概略構成図である。
【図2】 図2は、本発明(第4発明、第8発明、第12発明及び第14発明)の一実施形態に係る圧延装置を示す概略構成図である。
【図3】 図3は、本発明(第1発明、第5発明、第9発明、第11発明及び第13発明)の一実施形態に係る圧延装置を示す概略構成図である。
【図4】 図4は、本発明(第2発明、第6発明、第10発明、第12発明及び第14発明)の一実施形態に係る圧延装置を示す概略構成図である。
【図5】 図5は、マンネスマンーマンドレルミル方式による継ぎ目無し鋼管の製造工程の説明図である。
【図6】 図6は、真円孔型ロールでのロールギャップと孔型形状との関係を示し、(a)は孔型ロールとマンドレルバーの間隔が円周方向で均一の場合、(b)はロールギャップを締めた場合をそれぞれ表す。
【図7】 図7は、3ロール絞り圧延機の隣接スタンドのロール配置の説明図であり、(a)は奇数スタンド(b)は偶数スタンドをそれぞれ表す。
【図8】 図8は、角張り位相の説明図であり、(a)は負の角張り位相を示す周方向角度と増肉率との関係、(b)は正の角張り位相を示す周方向角度と増肉率との関係を表す。
【図9】 図9は、γ線による熱間肉厚測定の原理を示す説明図である。
【図10】 図10は、γ線による熱間肉厚測定の方向を示す説明図である。
【図11】 図11は、角度方向の呼称の説明図である。
Claims (14)
- 複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーが配置され、管を圧延するリトラクト方式のマンドレルミルと、
該マンドレルミルの下流側に直列配置され、前記マンドレルバーから前記管を引き抜くエキストラクタ又は前記管の外径を調整する圧延機と、
前記エキストラクタ又は前記圧延機の下流側に配置され、前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置。 - 複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーが配置され、管を圧延するリトラクト方式のマンドレルミルと、
該マンドレルミルの下流側に直列配置され、前記マンドレルバーから前記管を引き抜くエキストラクタ又は前記管の外径を調整する圧延機と、
前記マンドレルミルと、前記エキストラクタ又は前記圧延機との間に配置され、前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置。 - 複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、
該圧延機の下流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置と、
前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整する圧延制御装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置。 - 複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、
該圧延機の上流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置と、
前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整する圧延制御装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置。 - 前記熱間肉厚測定装置で測定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整する圧延制御装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の継ぎ目無し管の圧延装置。
- 前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整する圧延制御装置を備えることを特徴とする請求項2に記載の継ぎ目無し管の圧延装置。
- 複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、該圧延機の下流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備える継ぎ目無し管の圧延装置において、
前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法。 - 複数の孔型ロールスタンドを具備し、内面工具を用いずに管の外径を調整する圧延機と、該圧延機の上流側に配置され、該圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を測定する、又は前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚を測定して前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚を推定する熱間肉厚測定装置とを備える継ぎ目無し管の圧延装置において、
前記熱間肉厚測定装置で測定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記圧延機の圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記圧延機の圧下位置を調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法。 - 請求項1に記載の圧延装置において、
前記熱間肉厚測定装置で測定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚、又は前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法。 - 請求項2に記載の圧延装置において、
前記熱間肉厚測定装置で測定した前記管の周方向5箇所以上の前記管の肉厚によって推定した前記マンドレルミルの圧下方向の前記管の肉厚に基づき、前記マンドレルミルのロールギャップを調整することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法。
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