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JP3743495B2 - 硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物 - Google Patents

硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物 Download PDF

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JP3743495B2
JP3743495B2 JP2000208633A JP2000208633A JP3743495B2 JP 3743495 B2 JP3743495 B2 JP 3743495B2 JP 2000208633 A JP2000208633 A JP 2000208633A JP 2000208633 A JP2000208633 A JP 2000208633A JP 3743495 B2 JP3743495 B2 JP 3743495B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、離型性、撥水性、撥油性、耐候性に優れ、耐酸性、耐アルカリ性及び耐酸化劣化性を改良した硬化物を得ることができる硬化性フルオロポリエーテル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状フルオロポリエーテル化合物、1分子中にH−SiOSi構造を少なくとも2個以上有する有機ケイ素化合物及びヒドロシリル化反応触媒からなる組成物から、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、離型性、撥水性、撥油性、耐候性等の性質がバランスよく、優れた硬化物を得ることが特許公報第2990646号等で提案されている。
【0003】
しかしながら、このようなフルオロポリエーテルゴム組成物は、ほとんどの用途においては、十分な性能を有しているものの、耐酸性を要求される半導体関連用途、エンジンオイル用途では、更に耐酸性が高いことが要求される。
【0004】
本発明は、上記要望に応えるためになされたもので、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、離型性、撥水性、撥油性、耐候性等に優れている上、耐酸性、耐アルカリ性及び耐酸化劣化性に優れた硬化物を与える硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状フルオロポリエーテル化合物、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、ケイ素原子に結合した水素原子が全てH−Si(Ca2a)Si構造を構成する有機ケイ素化合物、ヒドロシリル化反応触媒及び酸化劣化防止剤を配合することにより、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、離型性、撥水性、撥油性、耐候性等に優れている上、耐酸性、耐アルカリ性及び耐酸化劣化性に優れた硬化物を与える硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
従って、本発明は、
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状フルオロポリエーテル化合物、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、ケイ素原子に結合した水素原子が全てH−Si(Ca2a)Si(但し、aは1〜3の整数)構造を構成する有機ケイ素化合物、
(C)ヒドロシリル化反応触媒、
(D)酸化劣化防止剤
を含有することを特徴とする硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物
を提供する。
【0007】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に用いる(A)成分の直鎖状フルオロポリエーテル化合物は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に2価のパーフルオロアルキルエーテル構造を有するものである。
【0008】
ここで、パーフルオロアルキルエーテル構造としては、−Cd2dO−(式中、各単位のdは独立に1〜6の整数である。)の多数の繰り返し単位を含むもので、例えば下記一般式(5)で示されるものなどが挙げられる。
(Cd2dO)q (5)
(qは1〜500、好ましくは2〜400、より好ましくは10〜200の整数である。)
【0009】
上記式(5)で示される繰り返し単位としては、例えば下記の単位等が挙げられる。なお、前記パーフルオロアルキルエーテル構造は、これらの繰り返し単位の1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
−CF2O−,−CF2CF2O−,−CF2CF2CF2O−,
―CF(CF3)CF2O−,−CF2CF2CF2CF2O−,
−CF2CF2CF2CF2CF2CF2O−,−C(CF32O−
これらの中では、特に下記単位が好適である。
−CF2O−,−CF2CF2O−,−CF2CF2CF2O−,
―CF(CF3)CF2O−
【0010】
また、(A)成分の直鎖状フルオロポリエーテル化合物中のアルケニル基としては、炭素数2〜8、特に2〜6で、かつ末端にCH2=CH−構造を有するものが好ましく、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、中でもビニル基、アリル基が好ましい。このアルケニル基は、分子中に存在していてもよいが、分子鎖の両末端に結合していることが好ましく、この場合、直鎖状フルオロポリエーテル化合物の主鎖の両端部に直接結合していてもよいし、下記に示すような2価の連結基を介して主鎖と結合していてもよい。
−CH2−,−CH2O−,−Y−NR’−CO−
(但し、Yは−CH2−又は下記構造式(I)で示される基であり、R’は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)
【0011】
【化5】
Figure 0003743495
(o,m又はp位)
【0012】
このような(A)成分の直鎖状フルオロポリエーテル化合物としては、下記一般式(1),(2)で示されるものが好ましい。
CH2=CH−(X)p―Rf’−(X)p―CH=CH2 (1)
CH2=CH−(X)p―Q−Rf’−Q−(X)p―CH=CH2 (2)
〔式中、Xは独立に−CH2−,−CH2O−,又は−Y−NR’−CO−(但し、Yは−CH2−又は下記構造式(I)で示される基であり、R’は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)であり、Qは炭素数1〜15の2価炭化水素基であり、エーテル結合を含んでいてもよく、Rf’は2価のパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基である。pは独立に0又は1である。〕
【化6】
Figure 0003743495
(o,m又はp位)
【0013】
これらの中でも、特に下記一般式(3)で示されるものが好適である。
【化7】
Figure 0003743495
〔式中、Xは上記と同様である。pは独立に0又は1、rは2〜6の整数、uは1〜6の整数、m,nはそれぞれ0〜200の整数である。〕
【0014】
上記式(3)の直鎖状フルオロポリエーテル化合物は、重量平均分子量が400〜100,000、特に1,000〜50,000であることが望ましい。
【0015】
式(3)で表されるフルオロポリエーテル化合物の具体例としては、下記化合物等を例示することができる。なお、式中、m,nは前記と同様である。
【化8】
Figure 0003743495
【0016】
【化9】
Figure 0003743495
【0017】
更に、本発明では、直鎖状フルオロポリエーテル化合物を目的に応じた所望の重量平均分子量に調節するため、予め上記した直鎖状フルオロポリエーテル化合物を分子内にSiH基を2個含有する有機ケイ素化合物と通常の方法及び条件でヒドロシリル化反応させ、鎖長延長した生成物を(A)成分として使用することも可能である。
【0018】
次に(B)成分は、上記(A)成分の架橋剤、鎖長延長剤として作用するものである。この(B)成分は1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、ケイ素原子に結合した水素原子が全てH−Si(Ca2a)Si構造を構成する有機ケイ素化合物であれば特に制限されるものではない。このような有機ケイ素化合物の例としては、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
【0019】
【化10】
Figure 0003743495
(式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。Zは水素原子もしくは−R,−M,−Q−Rf,−Q−,−Rf’−,−Q−Rf’−Q−で表される1価又は2価の基である。但し、Qは炭素数1〜15の2価炭化水素基であり、エーテル結合、アミド結合又はカルボニル結合を含んでいてもよく、Rfは1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基であり、Rf’は2価のパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基である。s及びtは1,2又は3であり、b及びcは0又は1,かつbとcは同時に0ではない。aは1,2又は3である。)
【0020】
ここで、Rの1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられ、詳しくは詳述する。また、Qの2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、これらアルキレン基とアリーレン基とが結合した基などが挙げられ、これらはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合を含んでいてもよい。
【0021】
Zは、上述した通り、1価の基(−H,−R,−M,−Q−Rf)又は2価の基(−Q−,−Rf’−,−Q−Rf’−Q−)であり、これはb,cの値によって選定される。
【0022】
上記式(4)で示される有機ケイ素化合物として具体的には、次に示すものが挙げられる。なお、Meはメチル基を示す(以下、同様)。
【0023】
【化11】
Figure 0003743495
(a=1〜3の整数,k=1〜8の整数)
【0024】
また、(A)成分との相溶性、分散性、硬化後の均一性を考慮して、1分子中に1個以上の1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有しているものを使用することができる。
【0025】
なお、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基は炭素数1〜20のものが好ましく、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基は炭素数1〜500、特に4〜500のものが好ましい。
【0026】
上記パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロオキシアルキレン基としては、下記一般式で示される基を例示することができる。
【0027】
【化12】
Figure 0003743495
【0028】
これらパーフルオロ(オキシ)アルキル基、パーフルオロ(オキシ)アルキレン基は、ケイ素原子に直接結合していてもよいが、ケイ素原子と2価の連結基を介して結合していてもよい。ここで、2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基やこれらの組み合わせでも、あるいはこれらにエーテル結合酸素原子やアミド結合、カルボニル結合等を介在するものであってもよく、例えば炭素原子数2〜12のものが好ましく、下記の基等が挙げられる。
−CH2CH2−,−CH2CH2CH2−,−CH2CH2CH2OCH2
−CH2CH2CH2−NH−CO−,
−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−,
−CH2CH2CH2−N(CH3)−CO−,−CH2CH2CH2−O−CO−
(Phはフェニル基である。)
【0029】
また、この(B)成分の有機ケイ素化合物における1価又は2価の含フッ素置換基、即ちパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基あるいはパーフルオロオキシアルキレン基を含有する1価の有機基以外のケイ素原子に結合した1価の置換基(R)としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;あるいはこれらの基の水素原子の一部が塩素原子、シアノ基等で置換された、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜20の非置換又は置換炭化水素基が挙げられる。
【0030】
(B)成分の有機ケイ素化合物は、環状でも鎖状でもよく、更に三次元網状でもよい。また、この有機ケイ素化合物における分子中のケイ素原子数は特に制限されないが、通常2〜60、特に3〜30程度が好ましい。
【0031】
このような有機ケイ素化合物としては、例えば下記のような化合物が挙げられ、これらの化合物は、1種単独で使用しても2種以上を併用して用いてもよい。なお、下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基を示す。
【0032】
【化13】
Figure 0003743495
【0033】
【化14】
Figure 0003743495
【0034】
(B)成分の配合量は、通常(A)成分中に含まれるビニル基、アリル基、シクロアルケニル基等のアルケニル基1モルに対して、(B)成分中のヒドロシリル基、即ちSiH基の量が好ましくは0.5〜5モル、より好ましくは1〜2モル供給する量が好適である。(B)成分の配合量が少なすぎると架橋度合いが不十分になる場合があり、多すぎると鎖長延長が優先し、硬化が不十分となったり、発泡したり、耐熱性、圧縮永久歪み特性等が悪化する場合がある。また、この(B)成分は、1種単独で使用しても2種以上を併用して用いてもよい。
【0035】
(C)成分のヒドロシリル化反応触媒としては、遷移金属、例えばPt、Rh、Pd等の白金族金属やこれら遷移金属の化合物などが好ましく使用される。本発明では、これら化合物が一般に貴金属の化合物で高価格であることから、比較的入手しやすい白金化合物が好適に用いられる。
【0036】
白金化合物としては、具体的に塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、白金/シリカ、アルミナ又はカーボン等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
白金化合物以外の白金族金属化合物としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物等が知られており、例えば、RhCl(PPh33,RhCl(CO)(PPh32,RhCl(C242,Ru3(CO)12,IrCl(CO)(PPh32,Pd(PPh34等が挙げられる(なお、Phはフェニル基を示す)。
【0038】
これらの触媒の使用量は、特に制限されるものではなく、触媒量で所望とする硬化速度を得ることができるが、経済的見地又は良好な硬化物を得るためには、硬化性組成物全量に対して0.1〜1,000ppm(白金族金属換算)、より好ましくは0.1〜500ppm(同上)程度の範囲とすることがよい。
【0039】
(D)成分の酸化劣化防止剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系、ワックス類及びこれらの金属錯体などが挙げられる。これらの大部分は市販されており、通常は市販の酸化劣化防止剤を使用すればよい。
【0040】
アミン系の酸化劣化防止剤としては、以下のものが例示される。
【0041】
【化15】
Figure 0003743495
【0042】
【化16】
Figure 0003743495
【0043】
フェノール系の酸化劣化防止剤としては、以下のものが例示される。
【0044】
【化17】
Figure 0003743495
【0045】
【化18】
Figure 0003743495
【0046】
【化19】
Figure 0003743495
【0047】
その他、硫黄系、リン系、金属錯体及び複合系の酸化劣化防止剤としては、以下のものが例示される。
【0048】
【化20】
Figure 0003743495
【0049】
【化21】
Figure 0003743495
【0050】
以上の酸化劣化防止剤のうち硫黄又はリンを含有する化合物は、その大部分がヒドロシリル化触媒の触媒毒となる可能性があるので、アミン系又はフェノール系の酸化劣化防止剤を使用することが好ましい。更に好ましくは、アミノ基の置換基が2つとも芳香族化合物である芳香族第2級アミン化合物がよく、酸化劣化防止の効果が最もよい。
【0051】
(D)成分の添加量は、本発明の組成物に対して0.01〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜5重量%である。添加量が少なすぎると十分な効果が得られない場合があり、多すぎると硬化後のゴム物性において、強度の低下などに影響を及ぼすおそれがある。
【0052】
本発明の硬化性組成物には、その実用性を高めるために種々の添加剤を必要に応じて添加することができる。これら添加剤として、具体的には硬化性組成物の硬化速度を制御する目的で加えるCH2=CH(R)SiO単位(式中、Rは水素原子又は置換もしくは非置換の1価炭化水素基である。)を含むポリシロキサン(特公昭48−10947号公報参照)及びアセチレン化合物(米国特許第3445420号及び特公平4−3774号公報参照)、更に、重金属のイオン性化合物(米国特許第3532649号参照)等を例示することができる。
【0053】
本発明の硬化性組成物には、硬化時における熱収縮の減少、硬化して得られる弾性体の熱膨張率の低下、熱安定性、耐候性、耐薬品性、難燃性あるいは機械的強度を向上させたり、ガス透過率を下げる目的で充填剤を添加してもよい。この場合、添加剤としては、例えばヒュームドシリカ、石英粉末、ガラス繊維、カーボン、酸化鉄、酸化チタン及び酸化セリウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩を挙げることができる。更に必要に応じて適当な顔料、染料を添加することも可能である。
【0054】
本発明の硬化性組成物の製造方法は特に制限されず、上記成分を練り合わせることにより製造することができる。また(A)成分,(B)成分と(D)成分及び(A)成分と(C)成分との2組成物とし、使用時に混合するようにしてもよい。また、得られた組成物を硬化させるには、(A)成分の官能基の種類、(C)成分の触媒の種類などにより室温硬化も可能であるが、通常は組成物を100〜200℃にて数分から数時間程度の時間で硬化させることが好ましい。
【0055】
本発明の硬化性組成物を使用するに当たり、その用途、目的に応じて該組成物を適当なフッ素系溶剤、例えば1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン、パーフルオロオクタン等を加えて所望の濃度に溶解してから使用することもできる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の硬化性フルオロポリエーテルゴム硬化物は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、離型性、撥水性、撥油性、耐候性等に優れている上、耐酸性、耐アルカリ性及び耐酸化劣化性に優れた硬化物を与え、幅広い成形用途に利用可能で、例えば半導体製造装置のシール材、自動車用、航空機用O−リング、ダイヤフラム、シール材料、複写機用のロール材料、二次電池及び燃料電池の電極構成材料等に有用である。
【0057】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0058】
[比較例1]
下記式(6)で表されるポリマー(粘度8500cs,平均分子量22000,ビニル基量0.009モル/100g)100重量部にジメチルシロキシ基で処理された比表面積200m2/gの煙霧質シリカ20重量部を加え、混合、熱処理の後、三本ロールミル上にて混合し、更に下記式(7)で表される含フッ素有機ケイ素化合物2.64重量部、塩化白金酸をCH2=CHSiMe2OSiMe2CH=CH2で変性した触媒のトルエン溶液(白金濃度1.0重量%)0.2重量部及びエチニルシクロヘキサノールの50%トルエン溶液0.4重量部を加え、混合し、組成物Iを作成した。
【0059】
【化22】
Figure 0003743495
【0060】
これを減圧下で脱泡し、2mm厚の長方形の枠に置き、再び空気抜きをし、100kg/cm2、150℃で10分間プレス硬化した。試験片を硬化した試料から切り取り、JIS K6251,6253に準じて物性を測定した。更に、この試験片を用い、耐薬品性、及び空気中での耐熱性を測定した。結果を表1,2に示す。
【0061】
[比較例2]
比較例1の式(7)の含フッ素有機化合物の代わりに下記式(8)で示される含フッ素水素シロキサン2.49重量部を使用した以外は比較例1と同様にして組成物IIを作成した。
【0062】
【化23】
Figure 0003743495
【0063】
この組成物IIを比較例1と同様の条件で硬化シートを作成した。試験片を切り取り、JIS K6251,6253に準じて物性を測定した。更に、この試験片を用い、耐薬品性及び空気中での耐熱性を測定した。結果を表1,2に示す。
【0064】
[実施例1]
比較例1において、3本ロールミル混合の前に、下記に示す酸化劣化防止剤1.0重量部を添加する以外は、比較例1と同様の方法にて組成物IIIを作成した。
【0065】
【化24】
Figure 0003743495
【0066】
この組成物IIIを比較例1と同様の条件で硬化シートを作成した。試験片を切り取り、JIS K6251,6253に準じて物性を測定した。更に、この試験片を用い、耐薬品性及び空気中での耐熱性を測定した。結果を表1,2に示す。
【0067】
[実施例2]
比較例1において、3本ロールミル混合の前に、下記に示す酸化劣化防止剤1.0重量部を添加する以外は、比較例1と同様の方法にて組成物IVを作成した。
【0068】
【化25】
Figure 0003743495
【0069】
この組成物IVを比較例1と同様の条件で硬化シートを作成した。試験片を切り取り、JIS K6251,6253に準じて物性を測定した。更に、この試験片を用い、耐薬品性及び空気中での耐熱性を測定した。結果を表1,2に示す。
【0070】
[実施例3]
比較例1において、3本ロールミル混合の前に、下記に示す酸化劣化防止剤1.0重量部を添加する以外は、比較例1と同様の方法にて組成物Vを作成した。
【0071】
【化26】
Figure 0003743495
【0072】
この組成物Vを比較例1と同様の条件で硬化シートを作成した。試験片を切り取り、JIS K6251,6253に準じて物性を測定した。更に、この試験片を用い、耐薬品性及び空気中での耐熱性を測定した。結果を表1,2に示す。
【0073】
[実施例4]
比較例1において、3本ロールミル混合の前に、下記に示す酸化劣化防止剤1.0重量部を添加する以外は、比較例1と同様の方法にて組成物VIを作成した。
【0074】
【化27】
Figure 0003743495
【0075】
この組成物VIを比較例1と同様の条件で硬化シートを作成した。試験片を切り取り、JIS K6251,6253に準じて物性を測定した。更に、この試験片を用い、耐薬品性及び空気中での耐熱性を測定した。結果を表1,2に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0003743495
( )内はポイントの増減数
劣化条件:20℃−3日
【0077】
比較例2は架橋剤にシロキサン構造を含んでおり、耐薬品性に劣る。その他は全て耐薬品性に優れている。
【0078】
【表2】
Figure 0003743495
( ):硬度はポイント数の増減、伸びと引張強さは増減%を表す。
【0079】
実施例1〜4は、比較例1に酸化劣化防止剤を添加したものである。表2の結果から明らかなように、比較例1はゴム物性の低下(特に引張強さの低下)が大きいが、酸化劣化防止剤を添加したものはゴム物性の低下率が小さくなっている。また、酸化劣化防止剤に芳香族第2級アミン化合物を使用したもの(実施例3及び4)は、ゴム物性の低下率がより小さくなっている。比較例2は架橋剤にシロキサン構造を含んでおり、比較例1と比べて耐酸化劣化性は良好であることがわかる。
【0080】
よって表1及び表2の結果から、本発明の組成物は耐薬品性と耐酸化劣化性の両方に優れることが分かる。

Claims (6)

  1. (A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状フルオロポリエーテル化合物、
    (B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、ケイ素原子に結合した水素原子が全てH−Si(Ca2a)Si(但し、aは1〜3の整数)構造を構成する有機ケイ素化合物、
    (C)ヒドロシリル化反応触媒、
    (D)酸化劣化防止剤
    を含有することを特徴とする硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物。
  2. (A)成分が、下記一般式(1)又は(2)で表される直鎖状フルオロポリエーテル化合物である請求項1記載の硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物。
    CH2=CH−(X)p―Rf’−(X)p―CH=CH2 (1)
    CH2=CH−(X)p―Q−Rf’−Q−(X)p―CH=CH2 (2)
    〔式中、Xは独立に−CH2−,−CH2O−,又は−Y−NR’−CO−(但し、Yは−CH2−又は下記構造式(I)で示される基であり、R’は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)であり、Qは炭素数1〜15の2価の炭化水素基であり、エーテル結合を含んでいてもよく、Rf’は2価のパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基である。pは独立に0又は1である。〕
    Figure 0003743495
  3. (A)成分が、下記一般式(3)で表される直鎖状フルオロポリエーテル化合物である請求項1又は2記載の硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物。
    Figure 0003743495
    〔式中、Xは独立に−CH2−,−CH2O−,又は−Y−NR’−CO−(但し、Yは−CH2−又は下記構造式(I)で示される基であり、R’は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)である。pは独立に0又は1、rは2〜6の整数、uは1〜6の整数、m,nはそれぞれ0〜200の整数である。〕
    Figure 0003743495
  4. (B)成分の有機ケイ素化合物が、下記一般式(4)で表されるものである請求項1記載の硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物。
    Figure 0003743495
    (式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。Zは水素原子もしくは−R,−M,−Q−Rf,−Q−,−Rf’−,−Q−Rf’−Q−で表される1価又は2価の基である。但し、Qは炭素数1〜15の2価炭化水素基であり、エーテル結合、アミド結合又はカルボニル結合を含んでいてもよく、Rfは1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基であり、Rf’は2価のパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基である。s及びtは1,2又は3であり、b及びcは0又は1,かつbとcは同時に0ではない。aは1,2又は3である。)
  5. (D)成分の酸化劣化防止剤が、アミン系又はフェノール系化合物である請求項1記載の硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物。
  6. (D)成分の酸化劣化防止剤が、芳香族第2級アミン化合物である請求項5記載の硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物。
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