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JP3741716B2 - トリ(白金)錯体 - Google Patents

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Description

発明の概要
本発明は、新規なトリ(白金)錯体、その製造方法、及び、特に癌治療における薬理学的物質としてのそれらの使用方法に関する。
発明の背景
シスプラチン及びカルボプラチンのような白金錯体を癌化学療法で臨床使用することは当業界では当然のこととなっている。ブリストルマイヤーズ(Bristol Meyers,Co.,)によって製造されるシスプラチンの登録商標であるプチノール(Platinol)のような多数の白金錯体が、精巣、卵巣、頭頸部及び小細胞肺癌種を治療するために使用されている。しかしながら、シスプラチンによる治療は深刻な腎毒性を与える可能性がある。臨床上のいま1つの欠点は、薬剤耐性が獲得され、その結果としてその薬剤による治療に対して腫瘍が治療抵抗性になることである。
シスプラチンの腎毒性効果を克服するために、第2世代の類縁体、カルボプラチンが開発された。パラプラチン(Paraplatin)はブリストルマイヤーズ(Bristol Meyers,Co.,)によって製造されたカルボプラチンの登録商標である。カルボプラチン、即ち〔Pt(NH3)2(CBDCA)〕(式中、CBDCAは1,1'シクロブタンジカルボキシレートを示す)はシスプラチンと同じスペクトルの癌種に有効であるが、腎毒性効果は顕著に減少している。
種々の腫瘍または癌種を治療する目的で多くの異なる白金化合物が開発された。例えば、米国特許第4,225,529号は、ハライド、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、カルボキシレート、及び、同じまたは異なる直鎖状アミンからなるグループから選択され窒素原子を介して白金に配位された4個の配位子を有する白金のシス配位化合物の使用を開示している。これらの錯体は、マウスのL-1210白血病を治療するために使用されている。
また、米国特許第4,250,189号、第4,553,502号及び第4,565,884号は、抗腫瘍活性を有する種々のPt(II)及びPt(IV)錯体を開示している。これらのビス(白金)錯体はカルボキシレート結合によって結合されており、これらの錯体を患者に投与すると、錯体は速やかに加水分解して2つのシスモノ白金部分を生じ、これらの部分が活性部位に移送されるようになっている。
さらに、米国特許第4,797,393号は、活性部位にそのまま移送されるビス(白金)錯体を開示している。このビス(白金)錯体は橋かけジアミンまたはポリアミン配位子を有し、白金錯体に結合した第一もしくは第二アミンまたはピリジン型の窒素を有し、更に、ハライド、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、カルボキシレート、置換カルボキシレートまたはジカルボキシレートからなり得る2種類の異なるかまたは同じ配位子を有している。また、同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第07/713,105号は、白金部分がジアミン橋かけ剤によって結合されたビス(白金)錯体に関するものであり、2つの白金配位球(cordinationsphere)の正味電荷が2+または1+となるように白金部分がイオン性及び中性の基に結合されている。
しかしながら、治療薬としての白金錯体の有効使用を制限する重要な問題、特に、種々の腫瘍に対する活性のスペクトルが狭いこと、シスプラチンの細胞毒性効果に耐性の腫瘍細胞が発達することなどの問題は依然として存在する(Loehrer et al.,Ann.Intern.Med. , (1984),100,704-711)。入手可能な白金類縁体の概観に関してはChristian, Michael, Seminars in Oncology, 1992, 19, 720-733を参照されたい。
一般には、シスプラチンのような白金錯体はDNAとの共有相互作用を介してそれらの生物活性を発現すると考えられている。特に、シスプラチンは単座付加物、二座付加物のような一連のDNA付加物、例えばGGまたはAG及びGNG鎖内架橋結合の形成を誘発する(Reedijk et al., Structure and Bonding,(1987), 67, 53-89)。より低度にではあるがシスプラチンも鎖間GG架橋結合及びDNA-タンパク質架橋結合を生じる。(Rahmouni et al., Biochemistry, (1987), 26, 7229-7234)。これらのDNA損傷の結果として立体配座の変化が生じ、DNAのベンディング(bending)または局部的巻き戻し(local unwinding)として現れる。
これらのDNA損傷が種々のDNAポリメラーゼの活性を阻害することが報告されている(Vallan et al., Nucl.Acid.Res., (1988), 16, 4407-4418;Pinto et al., Proc.Natl.Acad.Sci., (1985), 82, 4616-4619;及びGralla et al., Cancer Res., (1987), 47, 5092-5096)。隣り合う2個のグアニン塩基間の鎖間架橋結合がRNAポリメラーゼ機能を阻害することも証明されている。(Lemaire et al., Proc.Natl.Acad.Sci., (1991), 88, 1982-1985)。従って、シスプラチンの細胞毒性効果の極めて有力な原因は、何らかの特定の損傷イベントの結果というよりも、個別のDNA損傷の合併効果であろうと考えられる。
1個または2個の白金原子をそれぞれ含有するモノ(白金)及びビス(白金)錯体は当業界で知られている。(例えば、米国特許第4,225,529号、第4,250,189号、第4,533,502号、第4,565,884号、第4,571,335号及び第4,797,393号を参照されたい)。例えば、モノ(白金)錯体は、4配位である単量体クロラミンの平面正方形Pt(II)化合物を含む。このような化合物中のクロリド基及びアンモニア基の相対数は多様であり、従ってこれらの化合物は一般式:〔PtClm(NH3)4-m(2-m)+で示される。従って、これらの化合物の構造は、m=0の場合の〔Pt(NH3)42+からm=4の場合の〔PtCl42-まで変わり得る。Clはアンモニアに比べてより置換しやすいので、錯体〔PtCl2(NH3)2〕及び〔PtCl(NH3)3〕Clはそれぞれジ官能性及びモノ官能性であると考えられ、この場合の「ジ」及び「モノ」という接頭辞は脱離配位子の数を示す。錯体の電荷は、Pt(II)カチオンが+2の見掛け電荷を有し、従って電荷中和のために−2の負電荷を要することを考慮して得られる。例えば、m=0の場合、2つのクロリドアニオンの存在によって中和が与えられる。
配位結合形成の結果としてPt-Cl結合中に電子対生成が生じる。しかしながら、アンモニア配位子は中性であると考えられるので、結合は、NH3からPt(II)原子上の空いた軌道への電子対供与と考えることができる。従って、PtとNH3基との間に電子共有は全く生じない。このように電子共有が存在しないので、中性配位子の数はPt配位球中の総電荷に影響を与えない。従って、〔Pt(NH3)42+は見かけ上、錯体を中和するために2−の正味負電荷を有する1つもしくは複数の非配位アニオンまたは対アニオンを必要とする2+カチオンである。例えば、2個の1−の負電荷を有するアニオン(例えば、NO3 -、Cl-、PF6 -、BF4 -、及び、一般式RCOO-を有するモノカルボキシレート)または1個の2−の負電荷を有するアニオン(例えばSO4 2-、一般式(RCOO)2 2-を有するジカルボキシレート)によって中和し得る。従って、同じ理論によって〔PtCl2(NH3)2〕は中性錯体である。さらに、場合によっては、Pt(II)アニオンが対アニオンの役割を果たすであろう。その一例は周知のマグヌス塩〔Pt(NH3)42+〔PtCl42-である。
Cl-のようなアニオン性配位子が、共有結合の形成を全く要せずに、配位結合し得る(即ちPt-Cl結合を形成する)か、または、対アニオンとして作用し得ることが注目される。所与の白金錯体中に含まれているCl-のようなアニオンの正確な形態は、理論的考察(動力学的効果対熱力学的効果)及び錯体の製造に使用される実際の合成手順(例えば、反応の程度、酸度、反応混合物中に含まれるCl-のような特定アニオンの濃度)の双方に依存する。このような考え方はその他のアニオン性あるいは中性リガンドにも適用できる。
モノ白金錯体中に含まれる中性配位子の代表例としては、エチレン(C2H4)、プロペン及び2-ブテンのようなオレフィン類、ホスフィン類(PR3)、スルフィド(SR2)、スルホキシド類(R2SO)、アンモニア(NH3)、第一アミン類(RNH2)、及び、ピリジンまたはキノリンのような複素環アミン類がある。白金錯体中に含まれる代表的なアニオン性配位子の例としては、ハライド(例えばCl-、Br-、I-)並びにSCN-、CN-及びNO3 -のような擬ハライドがある。「擬ハライド(pseudohalide)」なる用語は、Cotton及びWilkinsonによる「Advanced Inorganic Chemistry」の560頁に定義されている。代替的な適当な擬ハライドは、Cotton及びWilkinsonによるInorganic Chemistryのような多くの標準的な無機化学書に見出されるであろう。
モノ白金錯体の総電荷がPt(II)金属に結合している中性及びアニオン性配位子、例えばNH3及びCl-配位子の相対数に依存するという事実は、多核錯体(2個以上のPt(II)配位球を含む)に関しても、また、白金部分の酸化状態が4+であるPt(IV)含有錯体に関しても、同様に事実である。例えば、均等な2個のPt(II)配位球がジアミン橋かけ剤によって結合されている二核錯体は一般式〔{PtClm(NH3)3-m2(ジアミン)〕2(2-m)+によって示すことができる。従って、m=2のとき、2つの二官能配位球が存在し、化合物は中性である。これに対して、m=1のとき、一官能配位球だけが存在し、Pt部分は2+の見掛け電荷を有しており、2−の正味電荷を有する1つ以上の対アニオンによって釣り合わせられなければならない。
発明の目的
上記に検討したように、モノ(白金)及びビス(白金)錯体、並びに癌治療剤としてのその使用は、当業界で周知である。
これに対して本発明は、3個の白金配位球を含み、その白金原子がジアミンまたはトリアミン橋かけ剤によって結合されているトリ(白金)錯体の合成を記載している。橋かけ剤の種類は、直鎖状または「ベント(bent)」トリ(白金)ユニットが形成されるように選択される。3個の白金原子が存在するので、これらの錯体の投与によってDNAの同一領域に3個のシスプラチンユニット、即ち白金−アミンユニットが移送され得るが、これは、従来のモノ(白金)またはビス(白金)錯体では得られなかった特徴である。従って、トリ(白金)錯体はモノ(白金)及びビス(白金)錯体に比べてDNA付加物の形成を増進する。そして最小で二官能のDNA付加物の形成が白金錯体の細胞毒性媒介メカニズムであると考えられるので、結果的には細胞毒性効果が増進されるであろう。
最も広義には、本発明の目的は、3個の白金配位球がジアミンまたはトリアミン橋かけ剤によって結合され、このような白金部分の酸化状態が2+もしくは4+またはその混在であることを特徴とするトリ(白金)錯体を提供することである。
本発明の別の目的は、白金配位球がジアミンまたはトリアミン橋かけ剤によって結合されているトリ(白金)錯体を含有する医薬組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、白金配位球がジアミンまたはトリアミン橋かけ剤によって結合されているトリ(白金)錯体の合成方法を提供することである。
本発明の1つの特定の目的は、一般式:
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
〔式中、X、Y、Z及びTは同じまたは異なってもよい中性及び/またはアニオン性配位子であり、但し、各Pt(b)上のX、YまたはZの少なくとも1つがアニオン性配位子であることが必要であり、Aはジアミンまたはトリアミン橋かけ剤からなり、nは3個の白金配位球の正味電荷を示し、Pは3個の白金配位球が正味電荷を有するか否かに依存して必要または不要となる1つ以上の対アニオンを示し、n−は対アニオン(存在する場合)の正味電荷を示し、これらの対アニオンの数及び電荷はトリ(白金)錯体全体が中性となるように選択される〕で示されるトリ(白金)Pt(II)錯体を提供することである。
本発明の別の特定の目的は、その内部に含まれる白金部分がPt(IV)酸化状態で存在するかまたはPt(II)及びPt(IV)酸化状態が混在するトリ(白金)錯体を提供することである。より詳細には、そのようなトリ(白金)錯体は、式:
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
〔式中、X、Y、Z、A及びTは前記と同義であり、V部分はアニオン性の基、好ましくは(OH)-、(Cl)-またはO2CRである〕で示される。
Pt(IV)錯体は当業界で公知である。例えば、テトラプラチン(オリマプラチン)、シス−〔(PtC4(dach)〕及びCHIPシス,シス,トランス−〔PtCl2(i-PtNH2)2(OH)2〕は公知のPt(IV)錯体の例である。白金をPt(IV)形態に酸化するためには、典型的にはH2O2及び/またはCl2で処理する。例えば、シス−〔(PtCl2(NH3)2〕を酸化剤としてのH2O2及び/またはCl2で処理すると、シス,シス,トランス−〔PtCl2(NH3)V2〕(式中、V=OH、Cl)が得られる。V=OHのとき、OH基をカルボキシレートによってさらに置換するとV=O2CR(式中、Rは好ましくはC1-C18の直鎖状もしくは分枝状アルキルまたはアルケニル基、芳香族またはアラルキル基〕が得られることは当業者には理解されよう。V=O2CRのとき、このような白金抗癌錯体が経口投与適性を示すことが当業界で一般に認識されている。
式(I)、(II)及び(III)のトリ(白金)錯体の場合と同様に、Pt(IV)トリ(白金)錯体中のPは、同じまたは異なってもよい1つまたは複数の対アニオンであり、mはこのような対イオンの数を示し、n−は得られるトリ(白金)錯体が中性となるような前記対アニオンの総電荷を示す。3個の白金部分が中性の正味電荷を有する場合、対アニオンは存在しないことになる。
本発明の別の特定の目的は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)のトリ(白金)錯体を少なくとも1種含有する医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、例えば腫瘍または寄生障害(parasitic conditions)の治療などの治療目的で式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)のトリ(白金)錯体を使用する方法を提供することである。
本発明のさらに別の特定目的は、内在する白金カチオンの形成された変化(電荷)が4+であるかまたは2+と4+との酸化状態の混在であるような一般式(I)、(II)、(III)または(VI)で示されるトリ(白金)錯体を合成する方法を提供することである。
本発明のトリ(白金)錯体は、3個の白金配位球を含有することによって、現在使用できるモノ−及びビス(白金)錯体に比べて増強された細胞毒性活性を有するであろう。
発明の詳細な説明
本発明は、現在使用できる白金錯体よりも増強された細胞毒性活性を示す新規なクラスのトリ(白金)錯体を提供する。特に、そのようなトリ(白金)錯体は一般式:
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
及び
Figure 0003741716
〔式中、X、Y、Z及びTは中性及び/またはアニオン性配位子であり、但し、各Pt(b)上のX、YまたはZの少なくとも1つがアニオン性配位子であることが必要であり、Aはジアミンまたはトリアミン橋かけ剤からなり、nは3個の白金配位球の正味電荷であり、Pは必要に応じて存在する同じまたは異なってもよい1つ以上の対アニオンであり、mはそのような対アニオンの数であり、n-はトリ(白金)錯体の総電荷が0になるように選択された対アニオンの正味の負電荷である〕で示される。式(IV)、(V)または(VI)のトリ(白金)錯体中で、Vは一価のアニオン基、例えばハライド、擬ハライド、カルボキシレート、水酸化物からなる。好ましくは、アニオン基は(OH)-、(Cl)-またはO2CRである。
好ましくは、X、Y、Z及びTは、NH3、第一アミン、第二アミン、複素環アミン、スルホキシド(R'R"SO)からなるグループから選択された中性配位子であり、アニオン性配位子は好ましくは、ハライド、擬ハライド(「擬ハライド」はCotton及びWilkinsonによる「Advanced Inorganic Chemistry」の560頁に定義されている)、カルボキシレート、PF6 -、BF4 -のような一価のアニオン、アニオン性配位子及びSO4 2-のような二価のアニオンから選択される。上記の通り、各Pt(b)上のX、YまたはZの少なくとも1つがアニオン性配位子を含み、好ましくはクロリド基を含む。
本発明のトリ(白金)錯体に含まれる第一アミンは好ましくは、式NH2-R1のアルキルアミン(式中のR1は直鎖状もしくは分枝状C1-C8アルキル基、C3-C6シクロアルキル基例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または-CH2O H基からなる)から構成される。
本発明のトリ(白金)錯体中の中性配位子として適当な第二アミンは、一般式NH(R1)2を有するアルキルアミン(式中のR1はやはり好ましくは、直鎖状もしくは分枝状C1-C8アルキル基、C3-C6シクロアルキル基例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または-CH2OH基からなる)から構成される。
本発明のトリ(白金)化合物中の中性配位子として有用なスルホキシドR'R"SOは、R'及びR"基の任意の組み合わせを包含し、ここでR'及びR"はアルキル基または芳香族基、好ましくはMe、Ph、X-Ph(式中、Xは例えばハライド、メトキシまたはヒドロキシル基)、CH2Ph、Et、n-プロピル、イソ-プロピルまたはn-ブチルからなる。
本発明のトリ(白金)化合物中の中性配位子として適当な複素環アミンとしては例えば、ピリジン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、チアゾール、置換ピリジン、置換キノリン、置換イソキノリン、置換チアゾール、ピペリジン、ピロリドン、モルホリン及びN-アルキルまたはN-アシル-ピペラジンのような飽和または不飽和の複素環を有する化合物がある。
本発明のトリ(白金)錯体中で使用される適当なアニオン性配位子としては例えば、ハライド、擬ハライド、カルボキシレート、並びに、一価及び二価のアニオンがある。好ましくは、アニオン性配位子は、ハライドからなり、極めて好ましくは、クロリドからなる。しかしながら、ブロミド、ヨーダイドのような他のハライドもアニオン性配位子として使用できる。
本発明のトリ(白金)錯体で使用される適当な擬ハライドとしては、例えばSCN-、CN-、NO3 -またはコットン(Cotton)及びウイルキンソン(Wilkinson)による「アドハンスト・インオーガニック・ケミストリー(Advanced Inorganic Chemistry)」のような標準的な無機化学書に記載されたものがある。本発明のトリ(白金)錯体中で使用され得るカルボキシレートの代表例は、例えば、アセテート、プロピオネート、ブチレート、クロロアセテート、ヒドロキシアセテート、ベンゾエートであり、またオキザレート、マロネート、置換マロネート、スクシネート、グルタレート及びフタレートのようなキレートジカルボキシレート基がある。
好ましくは、このような置換マロネート基は一般式:
Figure 0003741716
〔式中、R3は同じまたは異なる基を示し、例えば、水素を示すか(但し双方のR3が水素になることはできない)、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec-ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルのようなC1-C8の直鎖状または分枝状アルキル基を示すか、あるいは、双方の(R3)2基が一緒に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルのようなC3-C6シクロアルキルを示すか、または-CH2OH基を示す〕を有する。
上述のように、上式中のAは、ジアミンまたはトリアミン橋かけ剤からなる。このようなジアミン橋かけ剤は一般式H2N-R-NH2(式中、Rは好ましくは、直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、オレイル、リノレイルのような好ましくはC1-C18の基;シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルのような好ましくはC3-C6のシクロアルキル基;オルト、メタまたはパラ トリルのような置換フェニル基;好ましくはクロリド、ブロミドまたはフルオリドのようなモノ-またはジ-ハロゲン置換フェニル基;モノ-及びジメトキシ置換フェニル基;アラルキル基、例えばフェニルメチル、フェニルエチル及びフェニルプロピルのような好ましくはC7-C10のアラルキル基;トリフルオロメチル及びトリフルオロエチルのようなパーフルオロアルキル基である)からなる。
より好ましくは、橋かけジアミンAは一般式:
NH2(CH2)q-R2-(CH2r-(R)NH
〔式中、Rは上に挙げた基を示し、q及びrは同じまたは異なってもよく1から4までの整数であり、R2は好ましくは、-CH2-、-CHOH-、-CO-、-CHOR-、-OC(O)(O)、-SO2-、-OS(O2)O-及び-OP(O)(OH)O-から選択される〕からなる。
より好ましくは、ジアミン橋かけ剤は、一般式-NH2-(CH2)s-NH2からなり、式中のsは2から9までの整数である。
トリアミン橋かけ剤は好ましくは一般式:
Figure 0003741716
〔式中、R、R'及びR"は同じかまたは異なっていてもよく、直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル、アラルキル、パーフルオロアルキル及び芳香族基を包含し得る〕からなる。R、R'及びR"は好ましくは、C1-C18の直鎖状または分枝状アルキルまたはアルケニル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、オレイル、リノレイル;シクロアルキル基、好ましくは例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルのようなC3-C6のシクロアルキル基;オルト、メタまたはパラトリルのような置換フェニル、モノ-またはジ-ハロゲン置換フェニル基、及びジメトキシ置換フェニル基:アラルキル基、好ましくはフェニルメチル、フェニルエチル及びフェニルプロピルのようなC7-C10のアラルキル基、トリフルオロメチル及びトリフルオロエチルのようなパーフルオロアルキル基からなる。最も好ましい実施態様では、トリアミン橋かけ剤が、
Figure 0003741716
からなる。
このような「ベント」構造を有するトリアミン橋かけ剤を選択すると、式(III)に示すような一般構造を有するトリ(白金)錯体が得られる。
上述のように、Pは3個の白金配位球が正味電荷を有するか否かに依存して存在してもよくしなくてもよい1つ以上の対アニオンからなる。「m」はこのような対アニオンの数を意味し、典型的には0から4までの値である。このような対アニオンの電荷の数は、トリ(白金)錯体の総電荷が0となるような値である。対アニオンの適当な例としては、Br-、Cl-及びI-のようなハライド、NO3 -、SO4 2-、ClO4 -のような他のアニオン性配位子、上記のモノ-及びジカルボキシレートのようなカルボキシレート、PF6 -及びSbF6 -がある。上記は適当な物質を例示するだけであって適当な物質をすべて網羅したものではない。
本発明のトリ(白金)錯体は好ましくは3段階手順で合成される。
2個の白金配位球を立体特異的に結合させるために、まず、ブロッキング剤(例えばBoc、テトラブトキシカルボニル)またはNH3 +塩からなる1つの非錯化末端を含む「ダングリング」ジアミン橋かけ剤H2N-R-NH2を含有する前駆モノマーを調製することが必要である。その後に適当なターゲットと反応させると二核の種が与えられる。
Figure 0003741716
これに対し、3個のシス-Pt(アミン)2ユニットを含有する本発明のトリ(白金)錯体を調製するとき、この錯体の通常の調製には、2つのモノ保護ジアミンを含有する適当な前駆体を合成し(段階1)、次いで希HClのような酸で処理して、対応するプロトン付加アミンRNH3 +Cl-を与える。次にこれを以後の金属付加(metallation)のソースとして使用する(段階2)。次いで、2当量の適当なPt(b)ターゲット分子と反応させて所望の生成物を得る(段階3)。
Figure 0003741716
2個のモノ−保護ジアミンを含有するように合成される出発Pt(a)前駆体は、所望の「T」部分及び最終トリ(白金)錯体中のその所望の配向次第で異なる化合物となり、Tは上述のアニオン性または中性の配位子の1つを含む。適当なPt(a)前駆体の例としては、シスまたはトランス−〔PtCl2(H2N-R-NH3Cl)2〕、シスまたはトランス−〔Pt(NH3)2(H2N-R-NH3Cl)22+、シスまたはトランス−〔PtCl2(H2N-CH(CH2NH3)2Cl2〕、シスまたはトランス−〔PtCl(NH3)(H2N-R-NH3Cl)2+及びシス−〔Pt(mal)(H2N-R-NH3Cl)2〕(式中、malはマロネートまたは任意のジカルボキシレートである)などがある。
式(III)のトリ(白金)錯体を製造するためのPt(a)前駆体は、これに結合したトリアミン橋かけ剤を介して「ベント」構造を有するのが好ましい。特に、Pt(a)前駆体は好ましくは一般構造:
Figure 0003741716
または
Figure 0003741716
からなる。
例えば、適当なPt(a)前駆体配位子は、
Figure 0003741716
からなる。
次に、このPt(a)前駆体を2当量の適当なPt(b)ターゲット分子と反応させて所望のトリ(白金)錯体を生成させる。また、段階2で得られたプロトン付加アミンと反応させるべき段階3のPt(b)ターゲット分子は、所望のX、Z及びY部分及び最終トリ(白金)錯体中のその配向に基づいて選択される。適当なPt(b)ターゲット分子の例としては、〔PtLCl3-(式中、LはNH3、NH3、R'R"SO,py)、シス−またはトランス−〔PtCl2(RNH2)2〕及びシス−またはトランス−〔PtCl2(RNH2)2〕などがある。
例えば、シス−〔{シス-PtCl2(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2PtCl2〕を合成するためには、以下の段階を行う。
段階1:2個のモノ-保護されたジアミンを含有する白金(Pt(a)前駆体)の製造
Figure 0003741716
式中のXはアニオン、好ましくはハライドを示す。例えば、X=Clのとき、前駆体は市販品として入手できるK2PtCl4である。X=BrまたはIのとき、Dharaの方法(Dhara, Indian J.Chem.(1970),8,193)によって4当量のX-(NaXまたはKXの単純塩の形態で)を添加することによって錯体をその場で調製する。
段階2:白金ジアミン前駆体(I)の酸処理によるプロトン付加ジアミン(II)の調製
Figure 0003741716
段階3:プロトン付加ジアミン(II)とターゲットPt(b)化合物との反応によるトリ(白金)錯体の調製
Figure 0003741716
例えば、ここでは置換がNH3配位子に対してシスにおいて生じるので、選択ターゲット分子はK〔PtCl3(NH3)〕からなる。しかしながら、前駆体及びターゲット分子は勿論、トリ(白金)の所望の構造、特にX、Y、Z及びTの所望の選択並びに得られるトリ(白金)錯体上のそれぞれの位置に依存して変化する。
式(IV)、(V)及び(VI)のトリ(白金)錯体は、トリ(白金)錯体の製造に使用された前駆体Pt(a)モノマーまたはPt(b)ターゲット分子がPt(IV)酸化状態を含むことまたは前出の式(I)もしくは(II)のトリ(白金)錯体が酸化されて対応するPt(IV)含有トリ(白金)錯体を生成することを除いて実質的に上述のごとく調製される。3個の白金部分全部が4+酸化状態を有する式(IV)のトリ(白金)錯体の場合、式(I)、(II)または(III)のPt(II)トリ(白金)錯体を酸化して3個のPt(IV)ユニットを有する錯体とすればよい。
単一のPt(IV)ユニットを有する式(V)のトリ(白金)錯体の場合、2+酸化状態を有するPt(a)前駆体を酸化し、4+酸化状態を有する対応するPt(a)前駆体を生成する。次にこれを記載したように2個のPt(b)ターゲット分子と結合する。
2個のPt(IV)ユニットを有する式(VI)のトリ(白金)錯体の場合、Pt(b)ターゲット分子を酸化して4+酸化状態とし、次いで2+酸化状態を有するPt(a)前駆体に結合する。
本発明のトリ(白金)錯体は医薬としての使用目的を有している。3個の白金配位球が存在するので、現行の使用可能な白金錯体よりも高い細胞毒性活性を示す。本発明の錯体はシスプラチンを使用して治療する疾患及び障害と同一の疾患及び障害の治療に使用され得る。これは、腫瘍の治療、放射線の増感または増強(radiation sensitization or potentiation, Douple et al.,Cisplatin Current Status and Developments, Eds, A.W.Prestayk et al., Academic Press, 125(1980);Douple et al., Platinum Metals Res., 1985, 29, 118)、及び眠り病のような寄生疾患の治療(Farrell et al.,Biochem. Pharmacol., 1984, 33, 961)を意味する。本発明の錯体は特定のトリ(白金)錯体のLD50を考慮して、好ましくはシスプラチンと同じ薬用量レベルで投与される。通常は、トリ(白金)錯体を、医薬として許容される担体と組み合わせる。例えば、当業界で周知の方法によって錯体と担体とを非経口投与または経口投与に適した製剤として調製し得る。医薬として許容される適当な担体及び製剤方法に関しては、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciencesを参照されたい。
それらの構造により、本発明のトリ(白金)錯体は、白金錯体の現行の治療使用の対象である癌、寄生疾患及び他の異常の治療に用途を有する。特定のトリ(白金)錯体の治療効果は標準方法によって評価される。例えば、特定のトリ(白金)錯体の細胞毒性活性は、同じくL1210癌細胞、P388癌細胞、またはシスプラチンに耐性のL1210もしくはP388癌細胞に対する細胞毒性に基づいてインビトロで評価され得る。L1210アッセイは特に、白金錯体を治療活性に基づいてスクリーニングするための方法として定着している。
例えばL1210細胞に対する細胞毒性活性を示すトリ(白金)錯体を、動物体内、例えばヒト腫瘍を移植したヌードマウス体内でインビボ試験する。実質的な副作用(例えば腎毒性)を伴うことなくインビトロ(in vivo)活性を示すトリ(白金)錯体が臨床試験に提供される。
本発明及びその利点を充分に理解するために、以下に具体的実施例を示すが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものでなく本発明を例示するものであると理解されたい。
実施例1
シス−〔{シス-PtCl 2 (NH 3 )(μ-H 2 N(CH 2 ) 4 NH 2 )} 2 PtCl 2 の調製
この化合物の調製は前記に概略的に示した。この錯体を合成するために本発明者が使用した実際の実験手順を以下に記載する。
錯体I.シス−〔PtCl2(H2N(CH2)4NH(BOC))2
7mlの水に溶解した0.8579gのK2PtCl4の濾過溶液に、5mlの水中の0.8371gのH2N(CH2)4NH(Boc))を滴下した。混合物を5時間撹拌すると、その間にクリーム色の固体が沈殿した。固体を焼結ガラス漏斗に収集し、水及びアセトンで洗浄し、乾燥した。DMF中のδ(195Pt)=−2226ppm。
C16H40N4Cl2O4Ptの元素分析:
計算値:C,33.65;H,6.27;N,8.72;Cl,10.83:
測定値:C,33.90;H,6.43,N,8.80;Cl,11.23。
錯体II.シス−〔PtCl2(H2N(CH2)4NH3)2Cl2
0.4516gのシス−〔PtCl2(H2N-R-NH(Boc))2〕を2mlの水と共に10mlのMeOHに懸濁させた。撹拌した懸濁液に10mlの濃HClをゆっくりと添加した。暫く経ってからクリーム色の固体が溶解し黄色溶液が得られた。溶液を窒素流中で乾固させ、得られた黄色固体をアセトンで洗浄し、沸騰アセトン上方の乾燥ピストル中で乾燥した。錯体IIは完全に水溶性であった。IIの特性測定:
C8H26N4Cl4Ptの元素分析:
計算値:C,18.65;H,5.09;N,10.87;Cl,27.52:
測定値:C,18.89;H,5.40;N,10.76;Cl,27.70。
D2O中のNMR:δ(1H):3.04,2.77,1.79ppm;δ(195Pt):−2239ppm。
錯体IIIa.シス−〔{シス-PtCl2(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2PtCl2
0.713gのシス−〔PtCl2(H2N-R-NH3)2Cl2〕を3mlのH2Oに溶解し、12mlのH2O中の1.5828gのK〔PtCl3(NH3)〕の溶液を添加した。5mlのH2O中の0.18gのKOHを撹拌しながら滴下した。3分以内に黄色沈殿物が形成され始めた。1時間後、固体IIIaを濾別し、水及びアセトンで洗浄し、乾燥した。
C8H30N6Cl6Pt3(IIIa)の元素分析:
計算値:C,9.53;H,3.00;N,8.33;Cl,21.10;
測定値:C,9.34;H,2.90;N,8.02;Cl,20.30。
錯体IIIc.シス−〔{シス-Pt(mal)(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2Pt(mal)〕
Krakerらの標準方法(J.Med.Chem.,(1992),35,4526)によって、IIIaのH2O懸濁液を3当量のマロン酸銀と共に48時間撹拌することによってマロネートを調製した。AgClを沈殿させ、濾過し、濾液を半量まで蒸発させ、生成物をアセトンで沈殿させた。次に白色錯体をH2O/アセトンから再結晶させた。
C17H36N6O12Pt3.3H2O(IIIc)の元素分析:
計算値:C,17.67;H,3.66;N,7.27;
測定値:C,17.66;H,3.72;N,6.57。
MS(FAB)+親イオン:1102(計算値1102)。
実施例2
シス−〔{シス-PtCl 2 (NH 3 )(μ-H 2 N(CH 2 ) 4 NH 2 )} 2 Pt(NH 3 ) 2 〕Cl 2 の調製
上述のごとく、所望のX、Y、Z及びT部分並びに得られるトリ(白金)錯体の所望の配向に従って、本発明のトリ(白金)錯体を調製するための前に詳細に記載した合成手順を多様なPt(a)前駆体及びPt(b)ターゲット分子に応用し得る。例えば、シス−〔PtCl2(NH3)2〕とH2N(CH2)4(Boc)とを反応させるとテトラアミンが得られる。
段階1
Figure 0003741716
及び
段階2
Figure 0003741716
VとK〔PtCl3(NH3)〕とを反応させると、〔Pt(アミン)4〕ユニットを介して結合した2個のシス−〔PtCl2(アミン)2〕基を含有するカチオンVIaが得られる。
段階3
Figure 0003741716
元素分析及び195Pt NMRピークが−1881ppmであることによって証明されるように、〔PtCl3(NH3)〕対アニオンによって三量体錯体VIaが先ず沈殿する。高度に不溶性の〔Pt(NH3)4)〔PtCl3(NH3)〕2塩を選択的に沈殿させるH2O中の〔Pt(NH3)4〕Cl2によってVIaを処理すると、VIaのメタセシスによってVIbが形成され、溶液中のトリ(白金)カチオンがクロリド塩として残る。
実施例IIの実験手順
錯体IV.シス−〔Pt(NH3)2(H2N(CH2)4NHBoc)2〕Cl2
75mlのH2Oに0.45gのシス-DDPを70〜80℃で撹拌しながら懸濁させた。0.6gのH2N(CH2)4NHBoc(やや過剰の1:2の化学量論的量)を10mlのH2Oに溶解し、懸濁液に添加した。70〜80℃で4時間撹拌を継続すると、無色溶液が形成された。放冷後、セライトを通して活性炭で溶液を濾過した。次に濾液を2mlまで蒸発させ、50mlのアセトンを添加した。3℃で一夜冷却後、白色生成物が沈殿し、これを濾別してアセトンで洗浄した。
C16H46N6Cl2O4Ptの元素分析:
計算値:C,31.95;H,6.85;N,12.42;Cl,10.48;
測定値:C,31.75;H,6.90;N,12.12;Cl,10.29。
D2O中のNMR:δ(1H):3.08,2.72,1.74,1.54,1.43ppm;δ(195Pt):−2681ppm。
錯体V.シス−〔Pt(NH3)2(H2N(CH2)4NH3)2Cl2〕Cl2
0.8gの錯体IVを10mlのMeOH及び2mlのH2Oに懸濁させた。撹拌懸濁液にHCl(10ml)をゆっくりと添加した。2時間後、溶液を濾過し、濾液を蒸発乾固した。MeOH(200ml)を添加して2時間撹拌し、溶液を濾過した。濾液を10mlまで蒸発させ、放冷すると生成物が沈殿した。
C8H32N6Cl4Ptの元素分析:
計算値:C,17.49;H,5.96;N,15.30;Cl,25.82;
測定値:C,17.20;H,5.96;N,15.01;Cl,25.53。
D2O中のNMR:δ(1H):3.02,2.75,1.73ppm;δ(195Pt):−2651ppm。
錯体VIa.シス−〔{シス-PtCl2(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2Pt(NH3)2〕〔PtCl3(NH3)〕2
0.1gの錯体Vを2mlのH2Oに溶解し、0.5mlの1MのKOHを添加した。この溶液を5mlのH2O中のK〔PtCl3(NH3)〕(0.15g)の溶液に撹拌しながら2時間で滴下した。溶液を濾過し、30mlのMeOHを添加すると、淡黄色の生成物が沈殿した。
C8H42N10Cl10Pt5の元素分析:
計算値:C,5.97;H,2.63;N,8.71;Cl,22.04;
測定値:C,6.72;H,2.57;N,8.71;Cl,20.89。
錯体VIb.シス−〔{シス-PtCl2(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2Pt(NH3)2〕Cl2
0.3gの錯体VIaを40mlのH2Oに40〜50℃で溶解し、1mlのH2O中の0.1gの〔Pt(NH3)4〕Cl2を添加した。溶液を3℃まで一夜冷却すると、黄金色の沈殿物〔Pt(NH3)4〕〔PtCl3(NH3)〕2が形成された。上清を傾瀉して半量まで蒸発させた。さらにテトラアミン塩の沈殿物から上清を再度傾瀉し、5mlまで蒸発させた。20mlのMeOHを添加して一夜冷却すると、少量の生成物が得られた。
C8H36N8Cl6Pt3(VIb)の元素分析:
計算値:C,9.22;H,3.48;N,10.75;Cl,20.41;
測定値:C,8.99;H,3.61;N,10.28;Cl,20.25。
種々の好適実施例に関して本発明を記載してきたが、本発明の要旨を逸脱することなく種々の修飾、置換、削除及び変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。従って、本発明の範囲は以下の請求の範囲によってのみ限定されると理解されたい。

Claims (19)

  1. 一般式:
    Figure 0003741716
    及び
    Figure 0003741716
    及び
    Figure 0003741716
    〔式中、X、Y、Z及びTは同じまたは異なっていてもよく、
    ハライド、SCN - 、CN - 及びNO 3 - からなる群から選択される擬ハライド、アセテート、プロピオネート、ブチレート、クロロアセテート、ヒドロ(キシ)アセテート、ベンゾエート及びキレートジカルボキシレート基からなる群から選択されるカルボキシレート、並びに、PF 6 - ,BF 4 - 及びSO 4 2- からなる群から選択される一価及び二価のアニオンからなる群から選択されるアニオン性配位子、
    ピリジン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、チアゾール、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン及びN-アルキル-ピペラジンからなる群から選択される複素環アミン、
    一般式NH2-R1を有しており、R1は直鎖状もしくは分枝状のC1-C8のアルキル基、C3-C6のシクロアルキル基及び-CHOHからなる群から選択される第一アミン、
    一般式NH(R1)2を有しており、R1は直鎖状もしくは分枝状のC1-C8のアルキル基、C3-C6のシクロアルキル基及びCHOH基からなる群から選択される第二アミン、
    一般式R'R″SOを有しており、R'及びR″は同じでも異なっていてもよく、メチル、フェニル、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、メチルフェニル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル及びn-ブチルからなる群から選択されるスルホキシド
    から選択され、
    但し、各Pt(b)上のX、YまたはZの少なくとも1つがアニオン性配位子であることが必要であり、Aはジアミンまたはトリアミン橋かけ剤からなり、nは3個の白金配位球の正味電荷を示し、Pは3個の白金配位球が正味電荷を有するか否かに依存して存在してもしなくてもよい1個以上の対イオンを示し、n−は対イオンの正味電荷を示し、得られるトリ(白金)錯体が中性となるような値であり、
    前記ジアミン橋かけ剤は、一般式H2N-R-NH2からなり、RはC1-C18の直鎖状もしくは分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、またはパーフルオロアルキル基であり、
    前記トリアミン橋かけ剤は、一般式:
    Figure 0003741716
    〔式中、R、R'及びR"は同じまたは異なっていてもよく、直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル基、及びパーフルオロアルキル基からなる群から選択される〕を有する〕で示され、前記キレートジカルボキシレート基は、オキザレート、マロネート、置換マロネート、スクシネート、グルタレート及びフタレートからなる群から選択され、
    前記置換マロネート基が一般式:
    Figure 0003741716
    〔式中、2個のR 3 基は同じまたは異なっていてもよく、水素(但し双方のR 3 が水素になることはできない)、C1-C8の直鎖状もしくは分枝状アルキル基からなる群から選択されるか、または、双方の(R 3 ) 2 基が一緒にC3-C6シクロアルキルまたはCHOH基を示す〕を有するトリ(白金)錯体。
  2. C3-C6のシクロアルキル基が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択される、請求項1に記載のトリ(白金)錯体。
  3. 直鎖状もしくは分枝状アルキル基が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル及びn-オクチルからなる群から選択される、請求項に記載のトリ(白金)錯体。
  4. ジアミンAが一般式:NH(R)-(CH2)q-R2-(CH2)r-(R)NH〔式中、RはC1-C18の直鎖状もしくは分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、またはパーフルオロアルキル基であり、q及びrは1から4までの整数であり、R2は、-CH2-、-CHOH-、-CO-、-OC(O)(O)、-SO2-、-OS(O2)O-及び-OP(O)(OH)O-からなる群から選択される〕からなる、請求項1に記載のトリ(白金)錯体。
  5. ジアミン橋かけ剤が、一般式-NH2-(CH2)s-NH2からなり、sは2から9までの整数である、請求項1に記載のトリ(白金)錯体。
  6. 対イオンPがBr-、Cl-、I-、NO3 -、SO4 2-、ClO4 -アセテート、プロピオネート、ブチレート、クロロアセテート、ヒドロキシアセテート、ベンゾエート及びキレートジカルボキシレート基からなる群から選択されるカルボキシレート、
    PF6 - 並びにSbF6 -からなる群から選択され
    前記キレートジカルボキシレート基は、オキザレート、マロネート、置換マロネート、スクシネート、グルタレート及びフタレートからなる群から選択され、
    前記置換マロネート基が一般式:
    Figure 0003741716
    〔式中、2個のR 3 基は同じまたは異なっていてもよく、水素(但し双方のR 3 が水素になることはできない)、C1-C8の直鎖状もしくは分枝状アルキル基からなる群から選択されるか、または、双方の(R 3 ) 2 基が一緒にC3-C6シクロアルキルまたはCHOH基を示す〕を有する、請求項1に記載のトリ(白金)錯体。
  7. Aが式:
    Figure 0003741716
    である、請求項1に記載のトリ(白金)錯体。
  8. 一般式:
    Figure 0003741716
    または
    Figure 0003741716
    〔式中、X、Y、Z及びTは同じまたは異なっていてもよく、
    ハライド、SCN - 、CN - 及びNO 3 - からなる群から選択される擬ハライド、アセテート、プロピオネート、ブチレート、クロロアセテート、ヒドロキシアセテート、ベンゾエート及びキレートジカルボキシレート基からなる群から選択されるカルボキシレート、並びに、PF 6 - ,BF 4 - 及びSO 4 2- からなる群から選択される一価及び二価のアニオンからなる群から選択されるアニオン性配位子、
    NH3
    ピリジン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、チアゾール、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン及びN-アルキル-ピペラジンからなる群から選択される複素環アミン、
    一般式NH2-R1を有しており、R1は直鎖状もしくは分枝状のC1-C8のアルキル基、C3-C6のシクロアルキル基及び-CHOHからなる群から選択される第一アミン、
    一般式NH(R1)2を有しており、R1は直鎖状もしくは分枝状のC1-C8のアルキル基、C3-C6のシクロアルキル基及び-CHOH基からなる群から選択される第二アミン、
    一般式R'R″SOを有しており、R'及びR″は同じでも異なっていてもよく、メチル、フェニル、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、メチルフェニル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル及びn-ブチルからなる群から選択されるスルホキシド
    から選択され、
    但し、各Pt(b)上のX、YまたはZの少なくとも1つがアニオン性基を含むアニオン性配位子からなり、Aはジアミン橋かけ剤からなり、nは3個の白金配位球の正味電荷を示し、Pは3個の白金配位球が正味電荷を有するか否かに依存して存在してもしなくてもよい1個以上の対イオンを示し、n−は対イオンの正味電荷を示し、得られるトリ(白金)錯体が中性となるような値に選択され、
    前記ジアミン橋かけ剤は、一般式H2N-R-NH2からなり、RがC1-C18の直鎖状もしくは分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、またはパーフルオロアルキル基であり、
    Vは、ハライド、SCN - 、CN - 及びNO 3 - からなる群から選択される擬ハライド、アセテート、プロピオネート、ブチレート、クロロアセテート、ヒドロキシアセテート、ベンゾエート及びキレートジカルボキシレート基からなる群から選択されるカルボキシレート、並びに水酸化物からなる群から選択される一価のアニオン基である〕を有し、
    前記キレートジカルボキシレート基は、オキザレート、マロネート、置換マロネート、スクシネート、グルタレート及びフタレートからなる群から選択され、前記置換マロネート基が一般式:
    Figure 0003741716
    〔式中、2個のR 3 基は同じまたは異なっていてもよく、水素(但し双方のR 3 が水素になることはできない)、C1-C8の直鎖状もしくは分枝状アルキル基からなる群から選択されるか、または、双方の(R 3 ) 2 基が一緒にC3-C6シクロアルキルまたはCHOH基を示す〕を有するトリ(白金)Pt(IV)錯体。
  9. シクロアルキル基が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択される、請求項に記載のトリ(白金)錯体。
  10. Vが、OH-、Cl-及びO2CR-からなる群から選択され、Rが直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、またはシクロアルキル基である、請求項に記載のトリ(白金)錯体。
  11. ジアミンAが一般式:NH(R)-(CH2)q-R2-(CH2)r-(R)NH〔式中、RはC1-C18の直鎖状もしくは分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、またはパーフルオロアルキル基であり、q及びrは1から4までの整数であり、R2は、-CH2-、-CHOH-、-CO-、-OC(O)(O)、-SO2-、-OS(O2)O-及び-OP(O)(OH)O-からなる群から選択される〕からなる、請求項に記載のトリ(白金)錯体。
  12. ジアミン橋かけ剤が、一般式NH2-(CH2)s-NH2からなり、sは2から9までの整数である、請求項に記載のトリ(白金)錯体。
  13. (1)2個のモノ保護ジアミン橋かけ剤を含有し、各ジアミン橋かけ剤の一端が錯化されておらずブロッキンク剤またはHN3 +塩からなる前駆体白金Pt(a)モノマーを調製し、(2)前記前駆体白金Pt(a)モノマーを処理して対応するプロトン付加アミンを生成させ、(3)前記プロトン付加前駆体白金モノマーを2当量の適当なPt(b)ターゲット分子と反応させる、段階からなる、
    一般式:
    Figure 0003741716
    及び
    Figure 0003741716
    及び
    Figure 0003741716
    〔式中、X、Y、Z及びTは同じまたは異なっていてもよく、
    ハライド、SCN - 、CN - 及びNO 3 - からなる群から選択される擬ハライド、アセテート、プロピオネート、ブチレート、クロロアセテート、ヒドロキシアセテート、ベンゾエート及びキレートジカルボキシレート基からなる群から選択されるカルボキシレート、並びに、PF 6 - ,BF 4 - 及びSO 4 2- からなる群から選択される一価及び二価のアニオンからなる群から選択されるアニオン性配位子、
    NH3
    ピリジン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、チアゾール、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン及びN-アルキル-ピペラジンからなる群から選択される複素環アミン、
    一般式NH2-R1を有しており、R1は直鎖状もしくは分枝状のC1-C8のアルキル基、C3-C6のシクロアルキル基及び-CHOHからなる群から選択される第一アミン、
    一般式NH(R1)2を有しており、R1は直鎖状もしくは分枝状のC1-C8のアルキル基、C3-C6のシクロアルキル基及びCHOH基からなる群から選択される第二アミン、
    一般式R'R″SOを有しており、R'及びR″は同じでも異なっていてもよく、メチル、フェニル、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、メチルフェニル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル及びn-ブチルからなる群から選択されるスルホキシド
    から選択され、
    但し、各Pt(b)上のX、YまたはZの少なくとも1つがアニオン性配位子であることが必要であり、Aはジアミンまたはトリアミン橋かけ剤からなり、nは3個の白金配位球の正味電荷を示し、Pは3個の白金配位球が正味電荷を有するか否かに依存して存在してもしなくてもよい1個以上の対イオンを示し、n−は対イオンの正味電荷を示し、得られるトリ(白金)錯体が中性となるような値であり、
    前記ジアミン橋かけ剤は、一般式H2N-R-NH2からなり、RはC1-C18の直鎖状もしくは分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル、またはパーフルオロアルキル基であり、
    前記トリアミン橋かけ剤は、一般式:
    Figure 0003741716
    〔式中、R、R'及びR″は同じまたは異なっていてもよく、直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル基、及びパーフルオロアルキル基からなる群から選択される〕を有する〕で示され、前記キレートジカルボキシレート基は、オキザレート、マロネート、置換マロネート、スクシネート、グルタレート及びフタレートからなる群から選択され、前記置換マロネート基が一般式:
    Figure 0003741716
    〔式中、2個のR 3 基は同じまたは異なっていてもよく、水素(但し双方のR 3 が水素になることはできない)、C1-C8の直鎖状もしくは分枝状アルキル基からなる群から選択されるか、または、双方の(R 3 ) 2 基が一緒にC3-C6シクロアルキルまたはCHOH基を示す〕を有するトリ(白金)錯体の製造方法。
  14. 前駆体白金モノマーが、シスまたはトランス−〔PtCl2(H2N-R-NH3Cl)2〕、シスまたはトランス−〔Pt(NH3)2(H2N-R-NH3Cl)22+、シスまたはトランス−〔PtCl2(H2N-R-NH3Cl)22+、シスまたはトランス−〔PtCl2(H2N-CH2(CH2NH2)2Cl2〕、シスまたはトランス−〔PtCl(NH3)(H2N-R-NH3Cl)2+及びシス−〔Pt(mal)(H2N-R-NH3Cl)2〕(式中、malはマロネートまたは任意のジカルボキシレートである)からなる群から選択され、Rは直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル基、またはパーフルオロアルキル基である、請求項13に記載の方法。
  15. Pt(b)ターゲット分子が一般式〔PtLCl3-からなり、式中のLはNH3、第一アミン、スルホキシドまたはピリジンである、請求項13に記載の方法。
  16. Pt(b)ターゲット分子がシスまたはトランス−〔PtCl2(NH3)2〕及びシスまたはトランス−〔PtCl2(RNH)2 2〕からなる群から選択され、式中のRは直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはアルケニル基、シクロアルキル基、オルト、メタ、若しくはパラトリルまたはモノ若しくはジハロゲン置換フェニル、ジメトキシ置換フェニル基、またはパーフルオロアルキル基である、請求項13に記載の方法。
  17. シス−〔{シス-PtCl2(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2PtCl2〕からなるトリ(白金)錯体。
  18. シス−〔{シス-Pt(mal)(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2Pt(mal)〕からなるトリ(白金)錯体。
  19. シス−〔{シス-PtCl2(NH3)(μ-H2N(CH2)4NH2)}2Pt(NH3)2〕Cl2からなるトリ(白金)錯体。
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