JP3741788B2 - 結像レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は結像レンズに関し、特にTV電話用、ドアホーン用、監視用等のビデオカメラやスチルビデオカメラ等の撮影レンズとして好適な結像レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種ビデオカメラやスチルビデオカメラの結像面に固体撮像素子を配するものが多い。この固体撮像素子は技術の進歩により年々小型化しており、それに伴ない撮像レンズには小型で広画角なものが用いられている。
【0003】
また、このようなビデオカメラやスチルビデオカメラ等においては、撮影レンズと固体撮像素子との間に、モアレ防止用のローパスフィルタ、固体撮像素子の分光感度を補正するための赤外光遮断フィルタあるいは撮像面保護のためのカバーガラス等を配設することも多く、このような場合にはこのスペースを確保するため撮影レンズのバックフォーカスをある程度大きくする必要がある。
【0004】
このような結像レンズとしては、例えば特開平5-264895号公報に開示された4枚玉による結像レンズが知られているが、この公報記載のレンズ構成によれば、系の全長がどうしても長くなり小型化を図ることが難しい。
そこで、上述したような各問題をある程度解消したレンズとして特開平8-5908号公報に記載された4枚玉による結像レンズが知られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開平8-5908号公報に記載された4枚玉による結像レンズは、像側に位置する2つのレンズが接合されており、特に上述したような小型の結像レンズにおいてはレンズの接合によりコストが大幅に上昇するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、コストを大幅に低減することができるとともに、小型でバックフォーカスを十分に長くとることができ、広画角化を達成し得る明るい結像レンズを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の結像レンズは、物体側から、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第1レンズ、像側に強い曲率の面を向けた両凸レンズ、または像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズ、または像側に凸面を向けた平凸レンズからなる第2レンズ、像側に強い曲率の面を向けた両凸レンズからなる第3レンズ、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第4レンズをこの順で配置した、接合レンズを用いない4枚レンズ構成とされるとともに、下記条件式を満足するように構成されてなることを特徴とする。
また、本発明の結像レンズは、物体側から、像側に強い曲率の面を向けた両凹レンズ、または像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズ、像側に凸面を向けた平凸レンズからなる第2レンズ、像側に強い曲率の面を向けた両凸レンズからなる第3レンズ、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第4レンズをこの順で配置した、接合レンズを用いない4枚レンズ構成とされるとともに、下記条件式を満足するように構成されてなることを特徴とする。
【0007】
0.3≦(d2+d3)/f≦1.5
ただし、
d2 :第1レンズと第2レンズとの面間隔
d3 :第2レンズのレンズ厚
f :全系の合成焦点距離
【0008】
また、上記結像レンズにおいて、前記第2レンズと前記第3レンズとの間に配設された絞りの位置から前記第4レンズの物体側の面までの距離をdS、全系の焦点距離をfとするとき下記条件式を満足するように構成するのが好ましい。
dS/f≦1.0
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について実施例1〜6を用いて具体的に説明する。
【0010】
<実施例1>
図1は実施例1のレンズ基本構成を示すものである。図1に示すように、実施例1に係る結像レンズは、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第1レンズL1、像側に強い曲率の面を向けた両凸レンズからなる第2および第3レンズL2,L3、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第4レンズL4の4枚のレンズを物体側からこの順に配列し、かつ絞りiを第2レンズL2と第3レンズL3との間に配設してなるもので、物体側から光軸Xに沿って入射した光束は固体撮像素子の受光面2の結像位置Pに結像される。実施例1(実施例2〜6においても同じ)のレンズ構成によれば、図1に示す如くレトロフォーカス型とされており、これによりバックフォーカスを長くとることができるとともに広画角なものとすることもできる。
【0011】
なお、実施例1(実施例2〜6においても同じ)のものでは第2レンズL2において、物体側の面の曲率半径R3の絶対値よりも像側の面の曲率半径R4の絶対値が小となるようにしており、これにより歪曲収差や非点収差の補正を良好なものとすることができ、さらに、バックフォーカスを十分な長さのものとすることができる。
【0012】
また、実施例1(実施例2〜6においても同じ)のレンズは以下の条件式を満足する。
0.3≦(d2+d3)/f≦1.5
ただし、
d2 :第1レンズと第2レンズとの面間隔
d3 :第2レンズのレンズ厚
f :全系の合成焦点距離
【0013】
上記条件式は、第1レンズL1 と第2レンズL2 の間隔d2と第2レンズL2 のレンズ厚d3の和を、全系の合成焦点距離fで割った値の範囲を規定するもので、この条件式を満足することにより、コマ収差や色収差が良好に補正され、さらに、レンズ全長を短いものとすることができ、十分な性能が得られる。すなわち、上記(d2+d3)/fがこの上限を上回ると、レンズ系全体が長くなり、小型化が難しくなる。一方、上記下限を下回ると、コマ収差、色収差が良好に補正できなくなり、明るいレンズを得るのが困難になる。また、歪曲が小さくなりすぎて画角が十分に得られなくなり、バックフォーカスも短くなってしまう。
【0014】
また、実施例1(実施例2〜6においても同じ)の結像レンズにおいては、絞り位置から上記第4レンズL4の物体側の面までの距離をdS、全系の焦点距離をfとするとき dS/f≦1.0なる条件式を満足するように構成されており、これにより上記第4レンズL4の物体側の面に対する光の入射角度が調整され、この面における光の全反射が防止される。
【0015】
以下、この実施例1における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表1に示す。
ただし、この表1および後述する表2〜6において、各記号R,d,n,νに対応させた数字は物体側から順次増加するようになっている。
【0016】
【表1】
【0017】
なお、この実施例1においては、表1の下段に示されるように、レンズ系全体の焦点距離fが5.11mmであり、バックフォーカスが5.33mm、Fnoが2.86、半画角ωが32.9度である。また、(d2+d3)/fの値は0.46、dS/fの値は0.96となっており、上記各条件式を満足している。
【0018】
<実施例2>
この実施例2の結像レンズは上記実施例1の結像レンズと略同様の構成とされているが、第1レンズL1 が像側に強い曲率の面を向けた両凹レンズとされ、第2レンズL2が像側に凸面を向けた平凸レンズとされている点で相違している。この実施例2における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
なお、この実施例2においては、表2の下段に示されているように、レンズ系全体の焦点距離fが6.05mm、バックフォーカスが9.41mm、Fno が2.8、半画角ωが30.2度である。また、(d2+d3)/fの値は0.38、dS/fの値は0.71となっており、上記各条件式を満足している。
【0021】
<実施例3>
この実施例3の結像レンズは上記実施例1の結像レンズと略同様の構成とされているが、第2レンズL2が像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズからなる点で相違している。
【0022】
この実施例3における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
なお、この実施例3においては、表3の下段に示されるように、レンズ系全体の焦点距離fが6.20mm、バックフォーカスが8.45mm、Fno が2.79、半画角ωが29.3度である。また、(d2+d3)/fの値は0.75、dS/fの値は0.55となっており、上記各条件式を満足している。
【0025】
<実施例4>
この実施例4の結像レンズは上記実施例1の結像レンズと略同様の構成とされているが、第2レンズL2が像側に凸面を向けた平凸レンズからなる点で相違している。
この実施例4における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
なお、この実施例4においては、表4の下段に示されるように、レンズ系全体の焦点距離fは5.81mm、バックフォーカスは8.52mm、Fno は2.81、半画角ωは30.8度である。また、(d2+d3)/fの値は1.20、dS/fの値は0.91となっており、上記各条件式を満足している。
【0028】
<実施例5>
この実施例5の結像レンズは上記実施例1の結像レンズと略同様の構成とされているが、第1レンズL1 が像側に凹面を向けた平凹レンズとされ、第2レンズL2が像側に凸面を向けた平凸レンズとされている点で相違している。
この実施例5における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】
なお、この実施例5において、レンズ系全体の焦点距離fは5.99mm、バックフォーカスは8.71mm、Fno は2.90、半画角ωは29.8度である。また、(d2+d3)/fの値は0.56、dS/fの値は0.75となっており、上記各条件式を満足している。
【0031】
<実施例6>
この実施例6の結像レンズは上記実施例1の結像レンズと略同様の構成とされているが、第2レンズL2が像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズからなる点で相違している。
この実施例6における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表6に示す。
【0032】
【表6】
【0033】
なお、この実施例6においては、表6の下段に示すように、レンズ系全体の焦点距離fが6.10mm、バックフォーカスが9.00mm、Fno が2.79、半画角ωが29.3度である。また、(d2+d3)/fの値は0.91、dS/fの値は0.72となっており、上記各条件式を満足している。
【0034】
次に、上記実施例1〜6の各収差(球面収差、非点収差、ディストーション)を各々図2、4、6、8、10、12に示し、また、実施例1〜6のコマ収差を各々図3、5、7、9、11、13に示す。なお、これらの収差図においてωは半画角を示す。図2〜13から明らかなように、本実施例によれば、各収差を良好なものとすることができる。
【0035】
なお、この結像レンズと固体撮像素子の受光面との間において、ローパスフィルタに代えて、あるいはローパスフィルタとともに赤外光遮光フィルタやカバーガラスを挿入することも可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の結像レンズによれば、接合を用いない4枚レンズ構成としつつ、第1レンズの像側の面から第2レンズの像側の面までの距離を所定範囲のものとすることにより、Fnoを2.8程度と明るく、半画角も30度程度と広く、全レンズ系の小型化を図りつつ製造コストを大幅に低減することが可能となる。さらに、バックフォーカスを長くとることができ、しかも解像力に優れているから、各種のビデオカメラやスチルビデオカメラの撮影レンズとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図2】 実施例1に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図3】 実施例1に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図4】 実施例2に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図5】 実施例2に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図6】 実施例3に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図7】 実施例3に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図8】 実施例4に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図9】 実施例4に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図10】 実施例5に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図11】 実施例5に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図12】 実施例6に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図13】 実施例6に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図14】 本発明の実施例2に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図15】 本発明の実施例3に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図16】 本発明の実施例4に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図17】 本発明の実施例5に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図18】 本発明の実施例6に係るレンズ基本構成を示す概略図
Claims (3)
- 物体側から、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第1レンズ、像側に強い曲率の面を向けた両凸レンズ、または像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズ、または像側に凸面を向けた平凸レンズからなる第2レンズ、像側に強い曲率の面を向けた両凸レンズからなる第3レンズ、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第4レンズをこの順で配置した、接合レンズを用いない4枚レンズ構成とされるとともに、下記条件式を満足するように構成されてなることを特徴とする結像レンズ。
0.3≦(d2+d3)/f≦1.5
ただし、
d2 :第1レンズと第2レンズとの面間隔
d3 :第2レンズのレンズ厚
f :全系の合成焦点距離 - 物体側から、像側に強い曲率の面を向けた両凹レンズ、または像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズ、像側に凸面を向けた平凸レンズからなる第2レンズ、像側に強い曲率の面を向けた両凸レンズからなる第3レンズ、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズからなる第4レンズをこの順で配置した、接合レンズを用いない4枚レンズ構成とされるとともに、下記条件式を満足するように構成されてなることを特徴とする結像レンズ。
0.3≦(d2+d3)/f≦1.5
ただし、
d2 :第1レンズと第2レンズとの面間隔
d3 :第2レンズのレンズ厚
f :全系の合成焦点距離 - 前記第2レンズと前記第3レンズとの間に配設された絞りの位置から前記第4レンズの物体側の面までの距離をdS、全系の焦点距離をfとするとき下記条件式が満足されてなることを特徴とする請求項1または2記載の結像レンズ。
dS/f≦1.0
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